以下、本発明の実施形態に係るレーザープリンタについて図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1には、本発明の第1の実施形態に係るレーザープリンタの概略構成が示され、図2には、図1に示されるレーザープリンタにおける作像ユニットの構成が示されている。このレーザープリンタ100は、所謂電子写真プロセスに基づいて記録紙等の記録媒体にカラー画像及び単色画像を形成可能とされたものである。
図1に示されるように、レーザープリンタ100には、複数本のロール103により張設された無端状の中間転写ベルト102が設けられると共に、この中間転写ベルト102の上部側の水平部分に4個の作像ユニット104Y,104M,104C,104Kが中間転写ベルト102の移動方向(矢印M方向)に沿って順に配置されている。作像ユニット104Y,104M,104C,104Kは、レーザープリンタ100により形成されるカラー画像における黄色(Y)成分、マゼンタ色(M)成分、シアン色(C)成分及び黒色(K)成分にそれぞれ対応して設けられており、それぞれが異なる色(Y、M、C及びK)のトナーを用いてトナー像を形成する点を除いて、同一の構成及び機能を有している。このことから、以下の説明にて4個の作像ユニット104Y,104M,104C,104Kを特に区別する必要が無い場合には、これらを単に「作像ユニット104」と呼称する。
図2及び図5に示されるように、作像ユニット104には、トナー像の担持体として感光体ドラム12が設けられると共に、この感光体ドラム12の外周側にブラシ・クリーニング装置10(図2参照)及びブレード・クリーニング装置210(図5参照)の一方が配置されている。
ここで、ブラシ・クリーニング装置10は、感光体ドラム12から残留トナーを除去するために一対のクリーニングブラシ16,18を備えた所謂W−ESB(Double−Eelectro Static Brush)タイプのものとして構成され、ブレード・クリーニング装置210は、感光体ドラム12から残留トナーを除去するためにクリーニングブレード212を備えた所謂ブレードタイプのものとして構成されている。また本実施形態に係るレーザープリンタ100では、メンテナンス作業者、オペレータ、ユーザ等の装置管理者の判断に応じて、作像ユニット104にブラシ・クリーニング装置10及びブレード・クリーニング装置210の何れでも組付け可能とされ、すなわちブラシ・クリーニング装置10とブレード・クリーニング装置210とが互換性を有している。
感光体ドラム12は、その外周面が電子写真プロセスに基づいて画像(トナー像)が形成される像担持面14とされており、この感光体ドラム12の外周側には、図2及び図5に示されるように、その回転方向(矢印RD方向)に沿ってクリーニング装置10,210の下流側にイレーズランプ29、帯電器20、表面電位計22、現像器24(図1参照)、キャリアキャッチロール26及び一次転写ロール28が順に配置されている。ここで、イレーズランプ29は、ブラシ・クリーニング装置10によりクリーニングが完了した感光体ドラム12の像担持面14に除電光を照射して像担持面14の除電し、この除電された領域を帯電器20は所定の作像開始電位(例えば、400V〜800V)に帯電する。
またレーザープリンタ100には、各作像ユニット104Y,104M,104C,104Kの上方にそれぞれレーザースキャナ142が配置されており、これらのレーザースキャナは、Y成分、M成分、C成分又はK成分に対応する画像情報に基づいて変調されたレーザビームLY、LM、LC及びLK(図1参照)により作像開始電位に帯電された各作像ユニット104Y,104M,104C,104Kにおける感光体ドラム12の像担持面14を走査して像担持面14に静電潜像を形成する。
作像ユニット104では、現像器24が正規極性(本実施形態では、負(−)極性)に帯電させてトナーを現像ロール25のロール面に薄層化して付着させると共に、このトナーを現像ロール25から感光体ドラム12に形成された静電潜像の露光領域又は非露光領域に選択的にトナーを付着させることより静電潜像をトナー像に現像し、このトナー像を一次転写ロール28が感光体ドラム12から中間転写ベルト102に転写する。このとき、一次転写ロール28は、中間転写ベルト102を介して静電的な吸着力を像担持面14上のトナー像に作用させてトナー像(トナー)を中間転写ベルト102上へ転写させる。
レーザープリンタ100では、カラー画像を形成する場合には、上述したようなプロセス(電子写真プロセス)を経て各作像ユニット104Y,104M,104C,104Kの感光体ドラム12にそれぞれ形成されたY成分、M成分、C成分及びK成分のトナー像を中間転写ベルト102に順次転写し、これらのトナー像を中間転写ベルト102上で重畳することにより、中間転写ベルト102上にフルカラーのトナー像を形成する。
図1に示されるように、レーザープリンタ100には、中間転写ベルト102の移動方向に沿って作像ユニット104の下流側に二次転写ロール106が設けられると共に、この二次転写ロール106と作像ユニット104との間にベルトクリーニング装置108が設けられている。またレーザープリンタ100には、中間転写ベルト102の下方に給紙搬送機構110、排紙搬送機構112及び定着器114が設けられている。
ここで、給紙搬送機構110は、中間転写ベルト102への画像形成に連動し、スタッカ116内に収納された記録紙Pの束から1枚の記録紙Pを分離し、この記録紙Pをガイド板118に沿って二次転写ロール106と中間転写ベルト102との間の二次転写位置まで搬送する。また排紙搬送機構112は、二次転写位置から排紙される記録紙Pをガイド板120により受けて、この記録紙Pを搬送ベルト122により定着器114へ搬送する。定着器114は、排紙搬送機構112により搬送されてきた記録紙Pを加圧ロール124及び所定の温度に加熱された加熱ロール126により加圧状態で挟持しつつ、これらのロール124,126のニップ部から排出する。これにより、記録紙P上のトナー像がロール124,126により印加される熱及び圧力により定着される。このトナー像が定着された記録紙Pは、排紙トレー等の記録紙Pの集積部(図示省略)へ排紙され、集積される。
図1に示されるように、ベルトクリーニング装置108には、ハウジング128及びウレタンゴム等の弾性材料からなるクリーニングブレード130が設けられており、このクリーニングブレード130は、その先端部がハウジング128により中間転写ベルト102へ圧接するように支持されている。ベルトクリーニング装置108は、中間転写ベルト102におけるトナー像が転写完了した領域に残留したトナー(残留トナー)をクリーニングブレード130によりハウジング128内へ掻き落す。この残留トナーは、オーガ等のトナー搬送機構(図示省略)によりハウジング128内から排出され、廃トナーとしてトナータンク等のカートリッジ構造の容器内へ蓄えられる。
一方、作像ユニット104では、転写ロール28によるトナー像の転写完了後に感光体ドラム12の像担持面14に残留したトナー(残留トナー)をクリーニング装置10,210の一方により除去回収する。このとき、像担持面14上の残留トナーは、転写ロール28からのコロナ放電等の影響により帯電電位が転写前よりもブロードな分布となり、正(+)極性に帯電したもの、負(−)極性に帯電したもの及び電荷が略中和されたものが混在した状態となる。
先ず、ブラシ・クリーニング装置10の構成について説明する。図2に示されるように、ブラシ・クリーニング装置10には、感光体ドラム12へ対向するように支持されたハウジング30が設けられており、このハウジング30には、感光体ドラム12の像担持面14へ面して開口する開口部32が形成されている。ハウジング30内には、開口部32付近に一対のクリーニングブラシ16,18が配置されている。ここで、感光体ドラム12の回転方向に沿って、一方のクリーニングブラシ16はハウジング30内の上流側に配置され、他方のクリーニングブラシ18はハウジング30内の下流側に配置されている。これらのクリーニングブラシ16,18の外形形状は略ロール状に形成されている。
図3及び図4に示されるように、クリーニングブラシ16,18には、それぞれ内周側にブラシ芯金34が設けられると共に、これらのブラシ芯金34の外周側から径方向外側へ延出する多数本のブラシ毛36が設けられている。ブラシ芯金34は、SUS等の導電性の金属材料を素材として円柱状に形成されており、その軸方向両端部にそれぞれ中央側よりも細径とされた軸部38が同軸的に設けられている。ブラシ芯金34における一対の軸部38は、それぞれハウジング30に取り付けられた軸受(図示省略)により回転可能に支持されている。これにより、クリーニングブラシ16,18は、それぞれハウジング30により回転可能に支持されると共に、ブラシ毛36の先端部を撓ませつつ感光体ドラム12の像担持面14へ圧接させている。
一対のブラシ芯金34における軸部38には、それぞれレーザープリンタ100の本体側に設けられたモータ(図示省略)からのトルクが伝達可能とされている。このモータは、ブラシ・クリーニング装置10の作動時に、ブラシ芯金34にトルクを伝達してクリーニングブラシ16,18を所定の方向(矢印RB方向)へ回転させる。このとき、クリーニングブラシ16,18は、そのブラシ毛36の先端部が矢印RD方向へ回転する感光体ドラム12との接触部位において像担持面14とは反対の方向(アゲンスト方向)へ移動する。
図3及び図4に示されるように、クリーニングブラシ16,18のブラシ毛36は、ブラシ芯金34の軸心を中心とする径方向に対し、クリーニングブラシ16,18の回転方向(矢印RB方向)後方へ向って所定の倒れ角θBだけ傾斜するようにブラシ芯金34に取り付けられている。
ここで、各クリーニングブラシ16,18におけるブラシ毛36の倒れ角θBは5°〜45°の範囲で設定され、好ましくは30に設定されるが、前記範囲内であれば特に限定されない。このようなブラシ毛36は、例えば、一定密度でブラシ毛36が片側の面に植設されたパイル織物を帯状に切断加工し、これをブラシ芯金34の外周面に螺旋状に巻き付けることにより設けられる。このとき、パイル織物のブラシ芯金34の軸方向に対する傾斜角を調整することにより、ブラシ毛36の倒れ角θBが調整可能になる。またブラシ毛36は、カーボンブラックが分散されたナイロンにより形成されており、その体積抵抗が150Vの電圧印加時に104〜108Ω・cmとなるようにカーボンブラックの添加量等が調整されている。
図2に示されるように、ブラシ・クリーニング装置10には、ハウジング30内に一対のデトーニングロール40,42が配置されている。ここで、一方のデトーニングロール40は、そのロール面44を上流側のクリーニングブラシ16のブラシ毛36に接触させており、他方のデトーニングロール42は、そのロール面44を下流側のクリーニングブラシ18のブラシ毛36に接触させている。
図3及び図4に示されるように、デトーニングロール40,42には、それぞれ内周側にロール芯金48が設けられると共に、これらのロール芯金48の外周側に径方向に沿って一定の厚さを有するフェノール樹脂製の抵抗層62が設けられている。ロール芯金48はSUS等の導電性の金属材料を素材として円柱状に形成されており、その軸方向両端部にそれぞれ中央側よりも細径とされた軸部52が同軸的に設けられている。ロール芯金48における一対の軸部52は、それぞれハウジング30に取り付けられた軸受(図示省略)により回転可能に支持されている。これにより、デトーニングロール40,42は、それぞれハウジング30により回転可能に支持される。またロール芯金48には、外周面に軸方向に延在する溝部54がロール芯金48の全長に亘って形成されている。
一対のロール芯金48における軸部52には、それぞれレーザープリンタ100の本体側シャーシ等に設けられたモータ(図示省略)からのトルクが伝達可能とされている。このモータは、ブラシ・クリーニング装置10の作動時に、クリーニングブラシ16,18の回転に同期してデトーニングロール40,42を所定の方向(矢印RR方向)へ回転させる。このとき、デトーニングロール40,42は、そのロール面44が矢印RB方向へ回転するデトーニングロール40,42との接触部位においてブラシ毛36の先端部とは反対の方向(アゲンスト方向)へ移動する。
デトーニングロール40,42には、ロール芯金48の外周側にフェノール樹脂製を素材として円筒状に形成されたパイプ材60が嵌挿されており、このパイプ材60により抵抗層62が構成されている。また、図3及び図4に示されるように、デトーニングロール40,42には、ロール芯金48の外周面と抵抗層62の内周面との間に介在する中間導電層64が設けられている。ここで、中間導電層64は、熱硬化性樹脂中にカーボンブラックが分散された導電性接着剤からなり、この導電性接着材がロール芯金48の溝部54内に充填された後、この導電性接着材が硬化することにより形成される。この中間導電層64は、抵抗層62(パイプ材60)をロール芯金48に固着すると共に、ロール芯金48を抵抗層62に導通させている。またデトーニングロール40,42における抵抗層62は、その体積抵抗が500Vの電圧印加時に105〜108Ω・cmとなるように成分が調整されている。
図2に示されるように、ブラシ・クリーニング装置10には、ハウジング30内に一対のスクレーパ66が設けられており、これらのスクレーパ66は可撓性及び導電性を有する板ばねにより構成されており、それぞれ基端側がハウジング30に連結固定されており、先端部をデトーニングロール40,42のロール面44へ圧接させている。またスクレーパ66は、回転するデトーニングロール40,42のロール面44の移動方向に対してカウンター方向へ傾斜するように支持されている。これらのスクレーパ66は、それぞれデトーニングロール40,42のロール面44に付着したトナーをハウジング30内へ掻き落す。
ハウジング30には、その下端部に樋状のトナー溜り70が形成されており、このトナー溜り70内には、スクレーパ66によりデトーニングロール40,42から掻き落されたトナーが落下する。トナー溜り70内には、スクリュー軸状のオーガ72が配置されており、このオーガ72はデトーニングロール40,42の回転に同期して回転する。これにより、トナー溜り70内に落下したトナーは、オーガ72により攪拌されつつハウジング30内から排出され、廃トナータンク(図示省略)内へ移送される。またハウジング30には、開口部32の周縁部に弾性を有するプレート状のシール材74が取り付けられており、このシール材74は、その先端部を感光体ドラム12の像担持面14へ密着させている。これにより、クリーニングブラシ16,18により像担持面14から掻き落されたトナーがハウジング30内から外部へ流出しないようにシールされる。
図2に示されるように、ブラシ・クリーニング装置10には、ハウジング30の上流側に除電ランプ78が配設されると共に、この除電ランプ78の上流側に放電式の帯電器であるプレクリーニングコロトロン80が配設されている。プレクリーニングコロトロン80には、軸方向に沿って張設された放電ワイヤー82を覆うようにケーシング84が設けられており、このケーシング84は、その断面形状が感光体ドラム12の像担持面14へ向って開口する略コ字状に形成されている。これにより、ケーシング84は、コロナ放電が放電ワイヤー82と像担持面14との間のみで生じるように放電ワイヤー82の周囲をシールドする。またケーシング84には、下流側の端部に像担持面14側へ向って延出する遮蔽部86が一体的に形成されており、この遮蔽部86は、ケーシング84の上流側の先端部から像担持面14までの間隔と比較し、ケーシング84の下流側の先端部から像担持面14までの間隔を十分に狭いものにしている。これにより、除電ランプ78から照射される除電光Fが遮蔽部86により遮蔽され、除電光Fが像担持面14におけるプレクリーニングコロトロン80による帯電領域へ照射されることが防止される。
ここで、プレクリーニングコロトロン80は、ブラシ・クリーニング装置10の作動時に、転写完了後に像担持面14上に残留したトナー(以下、「残留トナー」という。)を負極性側へ帯電し、残留トナーの帯電極性の分布を全体として負極性側へシフトさせる。また除電ランプ78は、除電光を像担持面14へ照射することにより、像担持面14の電荷を中和し、像担持面14からの残留トナーの除去を容易にする。
図2に示されるように、ブラシ・クリーニング装置10には、ハウジング30の上方に電源ボックス88が設けられている。この電源ボックス88内には、高圧電源ユニット90が収納されると共に、クリーニングブラシ16,18と高圧電源ユニット90との間に介在するようにシールド基板92が配置されている。高圧電源ユニット90には、画像形成装置の装置本体側に設けられた高圧電源部(図示省略)により高圧電源が供給される電圧調整回路が設けられており、この電圧調整回路は、クリーニングブラシ16,18のブラシ芯金34、デトーニングロール40,42のロール芯金48及びスクレーパ66にそれぞれ所定の電圧値の電圧を印加する。またシールド基板92は、高電圧が印加されたクリーニングブラシ16,18等から発生する電磁ノイズを遮蔽及び吸収し、この電磁ノイズの影響によりレーザープリンタ100における制御部であるコントローラ136及び制御ユニット138(図2参照)等にエラーが発生することを防止している。
ここで、高圧電源ユニット90がクリーニングブラシ16,18のブラシ芯金34に印加する電圧をVB1及びVB2、デトーニングロール40,42のロール芯金48に印加する電圧をVR1及びVR2、スクレーパ66に印加する電圧をVS1及びVS2とすると、これらの電圧には、次の(1)及び(2)式のような関係が成立する。
|VB1|<|VR1|=|VS1| … (1)
|VB2|<|VR2|=|VS2| … (2)
具体的には、本実施形態では、上記各部材に対する印加電圧が、VB1=+250V〜+400V、VR1=VS1=+650V〜+800V、VB2=−350V〜−500V、VR2=VS2=−750V〜−900Vの範囲内で適宜設定される。
除電ランプ78は、感光体ドラム12における像担持面14の表面電位が高圧電源ユニット90によりクリーニングブラシ16のブラシ芯金34に印加される電圧VB2とクリーニングブラシ18のブラシ芯金34に印加される電圧VB2との中間の電位であって、しかも像担持面14とクリーニングブラシ16,18のブラシ毛36との表面電位差が放電開始電圧DV以下となるように、感光体ドラム12へ照射する除電光Fの光強度及び光量が設定されている。
具体的には、除電ランプ78は、像担持面14の表面電位が−100V〜0Vとなるように除電する。ここで、放電開始電圧DVは約500V程度であり、またクリーニングブラシ16,18のブラシ毛36の表面電位は印加電圧VB1,VB2よりも0Vに近くづくことから、像担持面14とクリーニングブラシ16,18のブラシ毛36との表面電位差は確実に500Vよりも小さい値になる。
次に、ブレード・クリーニング装置210の構成について説明する。なお、ブレード・クリーニング装置210において、ブラシ・クリーニング装置10と構成及び作用が共通の部分については同一符号を付して説明を省略する。
図5に示されるように、ブレード・クリーニング装置210には、ハウジング30の開口部32から感光体ドラム12側へ突出するようにプレート状のクリーニングブレード212が設けられており、このクリーニングブレード212は、感光体ドラム12の回転方向に沿って開口部32の下流側の端部付近に配置され、その先端部が感光体ドラム12の像担持面14の圧接するようにハウジング30により支持されている。ここで、クリーニングブレード212は、十分な弾性を有する素材、例えば、ウレタンゴムにより成形されており、感光体ドラム12の回転時に像担持面14に付着した残留トナーを像担持面14から掻き落す。
ブレード・クリーニング装置210には、クリーニングブレード212の上流側にディスターブブラシ214が配置されている。ディスターブブラシ214は、その外形形状が略ロール状に形成されており、クリーニングブラシ16,18と同様に、内周側にブラシ芯金216が設けられると共に、これらのブラシ芯金216の外周側から径方向外側へ延出する多数本のブラシ毛218が設けられている。このブラシ毛218は、弾性を有する絶縁性材料により形成されている。ブラシ芯金216は、その軸方向両端部にそれぞれ設けられた軸部を介してハウジング30に取り付けられた軸受(図示省略)により回転可能に支持されている。これにより、ディスターブブラシ214は、ハウジング30により回転可能に支持されると共に、ブラシ毛36の先端部を撓ませつつ感光体ドラム12の像担持面14へ圧接させている。
ディスターブブラシ214のブラシ芯金216には、レーザープリンタ100の本体側に設けられたモータ(図示省略)からのトルクが伝達可能とされている。このモータは、感光体ドラム12の回転時に、ブラシ芯金216にトルクを伝達してディスターブブラシ214を所定の方向(矢印RF方向)へ回転させる。このとき、ディスターブブラシ214は、そのブラシ毛218の先端部を矢印RD方向へ回転する感光体ドラム12との接触部位において像担持面14と同一の方向へ移動させる。これにより、ディスターブブラシ214は、感光体ドラム12の回転時に、クリーニングブレード212の上流側で、ブラシ毛218を像担持面14に摺接して残留トナーを像担持面14上で攪拌し、この残留トナーを像担持面14から剥離し易い状態にする。
図5に示されるように、ブレード・クリーニング装置210では、ブラシ・クリーニング装置10に設けられている除電ランプ78が省略されており、ハウジング30の上流側にはプレクリーニングコロトロン80のみが配設されている。ここで、プレクリーニングコロトロン80は、ブラシ・クリーニング装置10の場合と同様に、ブレード・クリーニング装置210の作動時に、転写完了後に像担持面14上に残留したトナー(以下、「残留トナー」という。)を負極性側へ帯電し、残留トナーの帯電極性の分布を全体として負極性側へシフトさせる。またブレード・クリーニング装置210では、その電源ボックス88内に高圧電源ユニット90が収納されておらず、シールド基板92のみが配置されている。なお、高圧電源ユニット90の代わりにノイズフィルター基板を入れても良い。
上記のように構成されたレーザープリンタ100では、各作像ユニット104の一部が交換可能なカートリッジ部品として構成されており、このカートリッジ部品として、それぞれ構成が異なる2種類のプロセスカートリッジ132及びプロセスカートリッジ220の何れでも選択的に使用できる。ここで、プロセスカートリッジ132(図2参照)は、少なくとも感光体ドラム12とブラシ・クリーニング装置10とを構成部品として含んでおり、これらの構成部品が一体化されている。またプロセスカートリッジ220は、少なくとも感光体ドラム12とブレード・クリーニング装置210とを構成部品として含んでおり、これらの構成部品が一体化されている。
すなわち、レーザープリンタ100では、少なくとも感光体ドラム12及びクリーニング装置10,210が各作像ユニット104により形成される画像(トナー像)を高画質に維持するために一定周期毎に新しいものに交換する必要があり、レーザープリンタ100では、これらの一定の寿命を有する作像ユニット104における複数の部品を短時間で簡単に交換するため、少なくとも感光体ドラム12及びクリーニング装置10,210を含む複数部品をプロセスカートリッジ132,220として一体化し、これらを同時に交換できるようにしている。
図2及び図5に示されるように、レーザープリンタ100には、装置全体を制御するためのコントローラ136が設けられると共に、このコントローラ136からの制御に従って作像ユニット104を制御するための制御ユニット138が設けられている。この制御ユニット138は、Y、M、C、Kの各作像ユニット104Y,104M,104C,104K(図1参照)にそれぞれ対応して合計で4個設けられているが、図2及び図5では1個の制御ユニット138のみを示している。またレーザープリンタ100には、その内部における各作像ユニット104付近にそれぞれ環境センサー140が設けられており、この環境センサー140は、作像ユニット104付近における温度及び湿度を一定周期で検出し、その検出値に対応する検出信号を制御ユニット138へ出力する。
図2及び図5に示されるように、プロセスカートリッジ132,220には、それぞれROM等の記憶素子を内臓したデータメモリ部144が配置されている。このデータメモリ部144は、制御ユニット138とのインターフェイスとしてコネクタ146を備えており、このコネクタ146は、プロセスカートリッジ132,220の作像ユニット104のユニット本体側への装着動作に連動し、制御ユニット138に設けられたソケット148に接続され、またプロセスカートリッジ132,220の作像ユニット104のユニット本体側からの取外動作に連動し、制御ユニット138のソケット148から離脱する。
ここで、メモリ部144の記憶素子には、少なくともプロセスカートリッジ132,220に配置されたクリーニング装置の種類に対応するクリーニング設定データが記憶されており、制御ユニット138は、ソケット148及びコネクタ146を介してメモリ部144に接続されると、メモリ部144の記憶素子からクリーニング設定データを読み取り、このクリーニング設定データに基づいてプロセスカートリッジ132,220に配置されているクリーニング装置の種類を判断すると共に、このクリーニング装置の種類に応じて感光体ドラム12に対するクリーニング制御条件を設定する。これにより、制御ユニット138は、クリーニング装置としてブラシ・クリーニング装置10を用いた場合のクリーニング時の制御条件と、ブレード・クリーニング装置210を用いた場合のクリーニング時の制御条件とをそれぞれ異なるものに自動的に変更可能になる。
具体的には、本実施形態に係るレーザープリンタ100では、クリーニング装置としてブラシ・クリーニング装置10を用いた場合には、制御ユニット138によりブレード・クリーニング装置210を用いた場合には行われない後述する経時補正制御及び環境補正制御が行われ、ブレード・クリーニング装置210を用いた場合には、制御ユニット138により、ブラシ・クリーニング装置10を用いた場合には行われない後述するトナーバンド制御が行われる。
次に、クリーニング装置としてブラシ・クリーニング装置10を用いた場合の本実施形態に係るレーザープリンタ100の動作について詳細に説明する。
レーザープリンタ100では、前述したように、感光体ドラム12を回転させつつ、公知の電子写真プロセスに基づいて感光体ドラム12の像担持面14上にトナー像を形成し、このトナー像を転写ロール28により中間転写ベルト102へ転写する。ブラシ・クリーニング装置10は、レーザープリンタ100による画像形成開始に同期して作動開始し、プレクリーニングコロトロン80及び除電ランプ78を駆動開始すると共に、クリーニングブラシ16,18及びデトーニングロール40,42をそれぞれ所定の方向へ回転させつつ、高圧電源ユニット90によりクリーニングブラシ16,18、デトーニングロール40,42及びスクレーパ66に規定の電圧をそれぞれ印加する。このとき、高圧電源ユニット90により、上流側のクリーニングブラシ16のブラシ毛36には、ブラシ芯金34を介して電圧VB1が印加され、下流側のクリーニングブラシ18のブラシ毛36には、ブラシ芯金34を介して電圧VB2が印加される。
またデトーニングロール40の抵抗層62には、ロール芯金48を介して電圧VR1が印加されると共に、スクレーパ66を介して電圧VS1が印加され、デトーニングロール42の抵抗層62には、ロール芯金48を介して電圧VR2が印加されると共に、スクレーパ66を介して電圧VS1が印加される。これにより、デトーニングロール40,42の抵抗層62は、その内周面及び外周面側からそれぞれ同一電位の電圧が印加されるので、ロール芯金48のみを通して抵抗層62に電圧を印加した場合と比較し、その表面電位として高い電位を安定して得られるようになる。
ブラシ・クリーニング装置10は、先ず、プレクリーニングコロトロン80からのコロナ放電により転写完了後に像担持面14上に残留した残留トナーを負極性側へ帯電し、残留トナーの帯電極性の分布を全体として負極性側へシフトさせた後、除電ランプ78からの除電光を像担持面14へ照射することにより、感光体ドラム12における像担持面14の表面電位が高圧電源ユニット90によりクリーニングブラシ16のブラシ芯金34に印加される電圧VB2とクリーニングブラシ18のブラシ芯金34に印加される電圧VB2との中間の電位であって、しかも像担持面14とクリーニングブラシ16,18のブラシ毛36との表面電位差が放電開始電圧DV以下となるように、除電光Fを感光体ドラム12へ照射する。
具体的には、除電ランプ78は、像担持面14の表面電位が−100V〜0Vとなるように除電する。ここで、放電開始電圧DVは約500V程度であり、またクリーニングブラシ16,18のブラシ毛36の表面電位は印加電圧VB1,VB2よりも0Vに近くづくことから、像担持面14とクリーニングブラシ16,18のブラシ毛36との表面電位差は確実に500Vよりも十分に小さい値になる。これにより、クリーニングブラシ16,18のブラシ毛36から像担持面14への放電現象の発生が防止され、クリーニングブラシ16,18のブラシ毛36の表面がそれぞれ印加電圧VB1,VB2に対応する電位に確実に維持される。これにより、クリーニングブラシ16,18のブラシ毛36と像担持面14との間に常に十分な強度の電界を発生させ、像担持面14に付着した残留トナーをクリーニングブラシ16,18により確実に吸着できる。またクリーニングブラシ16,18のブラシ毛36から像担持面14への放電現象の発生が防止され、クリーニングブラシ16,18のブラシ毛36の表面がそれぞれ印加電圧VB1,VB2に対応する電位に確実に維持される。
次いで、ブラシ・クリーニング装置10は、上流側に配置されたクリーニングブラシ16のブラシ毛36を像担持面14へ摺接させることにより、感光体ドラム12の像担持面14に付着した残留トナーのうち、主として負極性に帯電した残留トナーを静電的に像担持面14上からブラシ毛36の表面に吸着する。クリーニングブラシ16のブラシ毛36に吸着された残留トナーは、デトーニングロール40のロール面44に静電的な力により転移し、ロール面44上に吸着される。この残留トナーは、スクレーパ66によりロール面44上からトナー溜り70へ掻き落され、オーガ72によりハウジング30内から排出される。
像担持面14から負極性の残留トナーを除去した後、ブラシ・クリーニング装置10は、クリーニングブラシ16の下流側に配置されたクリーニングブラシ18のブラシ毛36を像担持面14へ摺接させることにより、感光体ドラム12の像担持面14に付着した残留トナーのうち、主として正極性に帯電した残留トナーを静電的に像担持面14上からブラシ毛36の表面に吸着する。クリーニングブラシ18のブラシ毛36に吸着された残留トナーは、デトーニングロール42のロール面44に静電的な力により転移し、ロール面44上に吸着される。この残留トナーは、スクレーパ66によりロール面44上からトナー溜り70へ掻き落され、オーガ72によりハウジング30内から排出される。なお、残留トナーに少量含まれる電荷が略中和された残留トナーについては、一対のクリーニングブラシ16,18のブラシ毛36によりそれぞれ機械的に像担持面14上から掻き落され、重力の作用等によりトナー溜り70内へ落下する。
本実施形態に係るレーザープリンタ100では、クリーニング装置としてブラシ・クリーニング装置10を用いた場合には、上述したような通常のクリーニング動作に加え、作像ユニット104における感光体ドラム12へのトナー像の形成回数が増加するに従って、高圧電源ユニット90によりクリーニングブラシ16,18のブラシ芯金34にそれぞれ印加する電圧VB1、VB2の電位を徐々に昇圧するクリーニング電圧の経時補正制御を実行する。具体的には、制御ユニット138は、画像形成時における感光体ドラム12の像担持面14へのトナー像の形成回数(作像回数)をカウントし、この作像回数の累積値がドラムサイクルで1000回転増加する毎に、高圧電源ユニット90によりクリーニングブラシ16,18のブラシ芯金34に印加する電圧VB1、VB2の絶対値を0.1V〜0.25Vの範囲内で設定された値ずつ昇圧すると共に、デトーニングロール40,42のロール芯金48及びスクレーパ66にに印加する電圧VR1、VR2及び電圧VS1、VS2の絶対値を電圧VB1、VB2と同じ値だけ昇圧する。
本実施形態に係るレーザープリンタ100では、制御ユニット138が作像ユニット104における感光体ドラム12へのトナー像の形成が増加するに従って、高圧電源ユニット90によクリーニングブラシ16,18のブラシ芯金34並びにデトーニングロール40,42のロール芯金48及びスクレーパ66にそれぞれ印加する電圧の電位を徐々に昇圧することより、クリーニング回数の増加に伴ってクリーニングブラシ16,18に劣化、磨耗等が生じてクリーニングブラシ16の像担持面14への接触圧及び接触面積が減少しても、これらにより生じるクリーニング能力の低下を補うことができるようになるので、ブラシ・クリーニング装置10のクリーニング能力が経時的に低下することを効果的に防止できる。
また本実施形態に係るレーザープリンタでは、クリーニング装置としてブラシ・クリーニング装置10を用いた場合には、通常のクリーニング動作に加え、制御ユニット138が、環境センサー140により検出された温度及び湿度に応じて、高圧電源ユニット90によりクリーニングブラシ16,18のブラシ芯金34に印加する電圧VB1、VB2を調整すると共に、デトーニングロール40,42のロール芯金48及びスクレーパ66に印加する電圧VR1、VR2及び電圧VS1、VS2を調整するクリーニング電圧の環境補正動作が実行される。
制御ユニット138は、例えば、環境センサー140により検出された温度が26℃以上であって、かつ相対湿度が55%以上である場合には、作像ユニット104が高温/高湿の環境条件下にあると判断し、この条件以外の環境条件(常温又は常湿の環境条件)下で印加される電圧に対して、高圧電源ユニット90によりクリーニングブラシ16,18のブラシ芯金34に印加する電圧VB1、VB2を低下させると共に、デトーニングロール40,42のロール芯金48及びスクレーパ66に印加する電圧VR1、VR2及び電圧VS1、VS2を低下させる。具体的には、制御ユニット138は、高温/高湿の環境条件下では、常温又は常湿の環境条件)下よりも、電圧VB1、VB2、VR1、VR2、VS1、VS2をそれぞれ10V〜50V低下させる。
ここで、クリーニングブラシ16,18を用いたブラシ・クリーニング装置10が高温及び多湿の環境下で使用される場合には、樹脂材料を基材として成形されたクリーニングブラシ16,18のブラシ毛36が空気中の水分を吸収する吸湿現象が生じやすくなり、このような吸湿現象によってブラシ毛36自体の電気抵抗が低下する。このため、上記のようなクリーニング電圧の環境補正動作を実行しない場合には、クリーニングブラシ16,18のブラシ毛36と感光体ドラム12の像担持面14との間に生じる電界の強度を十分に確保できなくなり、ブラシ・クリーニング装置10によるクリーニング性能が低下し、クリーニング不良が発生し易くなる。
それに対し、本実施形態に係るレーザープリンタでは、制御ユニット138が、環境センサー140により検出された温度及び湿度に応じて、高圧電源ユニット90によりクリーニングブラシ16,18のブラシ芯金34並びにデトーニングロール40,42のロール芯金48及びスクレーパ66にそれぞれ印加する電位を調整することにより、環境条件に影響されることなく、ブラシ・クリーニング装置10によるクリーニング能力を常に略一定に維持できる。
なお、本実施形態に係るブラシ・クリーニング装置10では、クリーニングブラシ16,18におけるブラシ毛36をそれぞれ回転方向(図3及び図4の矢印RB方向)後方(順目方向)へ向って所定の倒れ角θBだけ傾斜させている。これにより、ブラシ毛が回転方向(矢印RB方向)前方(逆目方向)へ向って倒れ角を有する場合と比較し、ブラシ毛36と像担持面14との接触面積を十分に確保しつつ、ブラシ毛36の感光体ドラム12の像担持面14に対する接触圧を低く設定できると共に、ブラシ毛36が像担持面14から離れる時にフリッキング(跳ね上り)がブラシ毛36に発生することを抑制できる。
この結果、クリーニングブラシ16,18のブラシ毛36に吸着され、ブラシ毛36により保持されているトナーが像担持面14へ押し付けられる際の加圧力を小さいものにできるでの、トナー中の外添剤が像担持面14へ押し付けられて生じるフィルミングをより効果的に抑制できるようになり、またブラシ毛36のフリッキングの発生を抑制することにより、像担持面14からのトナーの吸着後、クリーニングブラシ16,18のブラシ毛36に付着して電気的な抵抗層として作用するトナーの付着量を安定化できるので、クリーニングブラシ16,18の表面電位も安定化できるようになる。
次に、クリーニング装置としてブレード・クリーニング装置210を用いた場合の本実施形態に係るレーザープリンタ100の動作について詳細に説明する。
レーザープリンタ100では、感光体ドラム12を回転させつつ、公知の電子写真プロセスに基づいて感光体ドラム12の像担持面14上にトナー像を形成し、このトナー像を転写ロール28により中間転写ベルト102へ転写する。ブレード・クリーニング装置210は、レーザープリンタ100による画像形成開始に同期して作動開始し、プレクリーニングコロトロン80を駆動開始すると共に、ディスターブブラシ214を所定の方向へ回転させる。
ブレード・クリーニング装置210は、先ず、プレクリーニングコロトロン80からのコロナ放電により転写完了後に像担持面14上に残留した残留トナーを負極性側へ帯電し、残留トナーの帯電極性の分布を全体として負極性側へシフトさせる。このとき、制御ユニット138は、ブラシ・クリーニング装置10を用いる場合と比較し、プレクリーニングコロトロン80の放電ワイヤー82に印加する電圧値を2%程度上昇させ、残留トナーの負極性側へシフト量を若干増加させる。
次いで、ブレード・クリーニング装置210は、ディスターブブラシ214のブラシ毛36像担持面14へ摺接させることにより、感光体ドラム12の像担持面14に付着した残留トナーを機械的に攪拌し、残留トナーを像担持面14から容易に剥離する状態とした後、像担持面14に付着した残留トナーをクリーニングブレード212により機械的に掻き落す。このとき、クリーニングブレード212は、その先端部を比較的大きい圧接力で圧接させていることから、像担持面14に付着した残留トナーをムラなく確実に掻き落すことができる。ブレード・クリーニング装置210では、クリーニングブレード212により像担持面14から掻き落された残留トナートナー溜り70へ落下し、オーガ72によりハウジング30内から排出される。
本実施形態に係るレーザープリンタ100では、クリーニング装置としてブレード・クリーニング装置210を用いた場合には、上述したような通常のクリーニング動作に加え、制御ユニット138が各作像ユニット104における感光体ドラム12の像担持面14上に形成される複数のトナー像の間に所定の画像密度を有するトナーバンド画像を所定のタイミングで形成するトナーバンド制御を実行する。
すなわち、ブレード・クリーニング装置210を用いた場合の問題点として、感光体ドラム12の像担持面14上における残留トナーの付着量が微小なものになった場合、クリーニングブレード212と像担持面14との摩擦抵抗が過大になり、この摩擦抵抗によりクリーニングブレード212の先端部に欠け、めくれが発生し易くなる。ここで、欠けとは、クリーニングブレード212の先端部の一部が像担持面14によりむしり取られ、欠損することを言い、まためくれとは、クリーニングブレード212の先端部の一部又は全体が像担持面14に固着した状態となり、像担持面14に従動してその移動方向へ一時的に屈曲し、この屈曲部分に塑性的な変形が生じることを言う。ここで、上記トナーバンド制御は、クリーニングブレード212の欠け及びめくれを防止するために行われる。
制御ユニット138は、感光体ドラム12の像担持面14へのトナー像の形成回数(作像回数)をカウントすると共に、過去100回に亘って形成されたトナー像における着色部分の画素数の累積値が、像担持面14におけるトナー像の作像領域に含まれる全画素数の累積値の3%以下の場合には、感光体ドラム12に形成された通常のトナー像の間の領域(インターイメージ領域)に所定の画像濃度を有するトナーバンド画像を形成すると共に、このトナーバンド画像が感光体ドラム12から中間転写ベルト102へ転写されないように、トナーバンド画像が転写ロール28による転写位置を通過中には、この転写ロール28への転写電圧の印加を中断する制御(トナーバンド制御)を実行し、また過去100回に亘って形成されたトナー像における着色部分の画素数の累積値が作像領域に含まれる全画素数の累積値の3%を超える場合には、トナーバンド制御を実行しない。
制御ユニット138は、トナーバンド制御を実行する場合には、感光体ドラム12の像担持面14におけるインターイメージに対応するインターイメージ領域を帯電器20により帯電すると共に、トナーバンド画像に対応する画像情報をレーザースキャナ142へ出力し、レーザースキャナ142により像担持面14のインターイメージ領域にトナーバンド画像に対応する静電潜像を形成させる。制御ユニット138は、インターイメージ領域に形成された静電潜像の現像位置への移動に同期して現像器24を作動開始させ、現像器24により像担持面14の静電潜像をトナーバンド画像に現像する。このトナーバンド画像は、転写ロール28により中間転写ベルト102へ転写されることなく、像担持面14上に保持されたままブレード・クリーニング装置210へ移動する。
ここで、トナーバンド画像としては、レーザープリンタ100により形成可能な画像サイズのうち最大幅であって、感光体ドラム12の移動方向に沿ったサイズが40mm程度の画像が選択される。またトナーバンド画像の画像濃度は、高画像濃度(50%〜60%)及び低画像濃度(30%〜40%)の何れかに環境センサー140により検出された環境条件に応じて設定される。具体的には、制御ユニット138は、環境センサー140により検出された温度が26℃以上であって相対湿度が55%以上の場合には、トナーバンド画像の画像濃度として高画像濃度を選択し、また環境センサー140により検出された温度が26℃以下又は相対湿度が55%以下の場合には、トナーバンド画像の画像濃度として低画像濃度を選択する。このような環境条件に応じた制御を行うことにより、高温及び高湿度の条件下でより発生しやすくなる、クリーニングブレード212の欠け及びめくれを効果的に防止できるようになる。
次に、上記のように構成された本実施形態のレーザープリンタ100による作用を説明する。
本発明の第1の実施形態に係るレーザープリンタ100では、感光体ドラム12に付着した残留トナーのクリーニング装置として、ブラシ・クリーニング装置10及びブレード・クリーニング装置210の一方が選択的に使用可能とされていることにより、ブラシ・クリーニング装置10及びブレード・クリーニング装置210から任意に選択した一方により感光体ドラム12の像担持面14から残留トナーを除去できるので、例えば、ユーザの要求、像担持面14に形成される画像の画質や画像濃度、感光体ドラム12に対して要求される寿命等に応じてブラシ・クリーニング装置10及びブレード・クリーニング装置210のうち適したものを選択し、この選択された一方のクリーニング装置10,210により感光体ドラム12をクリーニングできる。
ここで、クリーニング装置としてブラシ・クリーニング装置10を用いた場合には、ブラシ・クリーニング装置10では、クリーニング時に一対のクリーニングブラシ16,18のブラシ毛36の先端部をそれぞれ比較的小さな接触圧で像担持面14に摺接させつつ、像担持面14上の残留トナーを主として静電的な吸着力によりブラシ毛36に吸着して除去することから、ブレード・クリーニング装置210を用いた場合と比較し、像担持面14に対する経時的な磨耗量を減少できるので、感光体ドラム12の寿命を延長することが容易になる。
またクリーニング装置としてブレード・クリーニング装置210を用いた場合には、ブレード・クリーニング装置210では、クリーニングブレード212の先端部を比較的大きな接触圧で像担持面14に圧接させ、このクリーニングブレード212により像担持面14上の残留トナーを掻き落として除去することから、転写完了後の像担持面14上における残留トナーの濃度(付着量)にあまり影響されることなく、像担持面14上に付着した残留トナーを高い除去能力で除去できるので、クリーニング完了後に像担持面14に残留するトナーを極めて微量なものにでき、この残留トナーの影響により像担持面14に形成されるトナー像の画質が低下することを効果的に防止できる。
また、本実施形態に係るレーザープリンタでは、プロセスカートリッジ132,220にクリーニング装置として配置されたブラシ・クリーニング装置10及びブレード・クリーニング装置210の一方による感光体ドラム12に対するクリーニング動作を設定するためのクリーニング設定データを保持したメモリ部144が設けられ、プロセスカートリッジ132,220を作像ユニット104のユニット本体側に装着すると、各作像ユニット104を制御する制御ユニット138がメモリ部144へアクセス可能となることにより、制御ユニット138がメモリ部144の記憶素子からクリーニング設定データを読み取り、このクリーニング設定データに基づいてプロセスカートリッジ132,220に配置されているクリーニング装置の種類を判断すると共に、このクリーニング装置の種類に応じて感光体ドラム12に対するクリーニング制御条件を設定できるので、制御ユニット138が、クリーニング装置としてブラシ・クリーニング装置10を用いた場合のクリーニング時の制御条件と、ブレード・クリーニング装置210を用いた場合のクリーニング時の制御条件とをそれぞれ異なるものに自動的に変更可能になる。
なお、本実施形態に係るレーザープリンタ100では、メモリ部144としてROM等の電子的な記憶素子を内臓したものを用いたが、このようなメモリ部144に代えて、例えば、クリーニング装置の種類及びクリーニング設定データに対応する複数の凹凸が形成されたメモリ部をプロセスカートリッジ132,220に配置し、作像ユニット104の本体側にはプロセスカートリッジ132,220が装着されると、メモリ部における複数の凹凸パターンを機械的に読み取る検出スイッチを配置し、この検出スイッチからの信号により制御ユニット138がクリーニング装置の種類及びクリーニング設定データを判断するようにしても良い。
また本実施形態に係るレーザープリンタ100では、異なる色のトナー像を形成する複数の作像ユニット104C,104M,104Y,104K毎にそれぞれクリーニング手段としてブラシ・クリーニング装置10及びブレード・クリーニング装置210の一方が選択的に使用可能とされていることにより、複数の作像ユニット104C,104M,104Y,104毎に、ブラシ・クリーニング装置10及びブレード・クリーニング装置210から選択した一方により感光体ドラム12の像担持面14から残留トナーを除去できるので、例えば、印字色(トナー色)毎の各作像ユニット104C,104M,104Y,104により形成されるトナー像の平均的な画像濃度に応じてブラシ・クリーニング装置10及びブレード・クリーニング装置210から適したものを各作像ユニット104C,104M,104Y,104のクリーニング装置として選択し、この選択されたクリーニング装置により作像ユニット104C,104M,104Y,104における感光体ドラム12をクリーニングできる。
具体的には、平均的な画像濃度が低い作像ユニット104C,104M,104Y,104では、低画像濃度のトナー像形成時にはクリーニングブレード212の破損が生じやすいブレード・クリーニング装置210を用いず、ブラシ・クリーニング装置10をクリーニング装置として用いることにより、感光体ドラム12の寿命を延長しつつ、感光体ドラム12の像担持面14から長期間に亘って安定的に残留トナーを除去できる。
また平均的な画像濃度が高い作像ユニット104C,104M,104Y,104では、高画像濃度のトナー像形成時にも高いクリーニング能力を発揮できるブレード・クリーニング装置210をクリーニング装置として用いることにより、クリーニング後に感光体ドラム12の像担持面14に残留するトナーの影響によりトナー像の画質が低下することを効果的に防止できる。
なお、本発明の第1の実施形態に係るレーザープリンタ100では、ブラシ・クリーニング装置10及びブレード・クリーニング装置210がそれぞれプロセスカートリッジ132,220の一部として構成され、このプロセスカートリッジ132,220が装置本体に対して交換可能とされていたが、ブラシ・クリーニング装置10及びブレード・クリーニング装置210を単体で作像ユニット104のユニット本体側に対して交換可能に構成しても良く、この場合にも、ブラシ・クリーニング装置10及びブレード・クリーニング装置210にそれぞれクリーニング設定データを保持したメモリ部を設けておけば、制御ユニット138が、クリーニング装置としてブラシ・クリーニング装置10を用いた場合のクリーニング時の制御条件と、ブレード・クリーニング装置210を用いた場合のクリーニング時の制御条件とをそれぞれ異なるものに自動的に変更可能になる。
(第2の実施形態)
図6には、本発明の第2の実施形態に係るレーザープリンタにおける作像ユニット及び制御部の構成が示されている。なお、この第2の実施形態に係るレーザープリンタの構成及び作像動作は、図1に示される第1の実施形態に係るレーザープリンタ100と基本的には共通化されている。このことから、本実施形態に係るレーザープリンタでは、第1の実施形態に係るレーザープリンタ100と共通の部分に同一符号を付して説明を省略する。
図6に示されるように、レーザープリンタには、装置全体を制御するためのコントローラ230が設けられると共に、このコントローラ230からの制御に従って作像ユニット104を制御するための制御ユニット232が設けられている。この制御ユニット232は、Y、M、C、Kの各作像ユニット104Y,104M,104C,104K(図1参照)にそれぞれ対応して合計で4個設けられているが、図6では1個の制御ユニット232のみを示している。作像ユニット104には、その感光体ドラム12の外周側にクリーニング装置234が配置されている。
ここで、クリーニング装置234は、感光体ドラム12から残留トナーを除去するために一対のクリーニングブラシ16,18及びクリーニングブレード236の双方を備えており、制御ユニット232による制御に応じて所謂W−ESB(Double−Eelectro Static Brush)タイプのクリーニング装置とブレードタイプのクリーニング装置との何れとしても機能する兼用タイプのものとして構成されている。
図7に示されるように、クリーニング装置234には、ハウジング30の開口部32から感光体ドラム12側へ突出するようにプレート状のクリーニングブレード236が設けられており、このクリーニングブレード236は、感光体ドラム12の回転方向に沿ってクリーニングブレード236の下流側に配置されている。クリーニング装置234には、クリーニングブレード236を感光体ドラム12の像担持面14から離間する待機位置(図7(A))及び像担持面14に圧接するクリーニング位置(図7(B)参照)の何れかに移動させるブレード駆動機構238が設けられている。
ブレード駆動機構238には、クリーニングブレード236の基端部に連結されクリーニングブレード236を片持ち状態で支持する支持プレート240が設けられると共に、この支持プレート240を略高さ方向と平行な駆動方向(矢印D方向)に沿って待機位置とクリーニング位置との間でスライド可能に支持した昇降ガイド242が設けられている。この昇降ガイド242には、その下端部に上方へ向って開口した略コ字状の断面を有するスプリング収納部244が一体的に形成されており、このスプリング収納部244と支持プレート240との間にはコイルスプリング246が配設されており、このコイルスプリング246は支持プレート240を常に上側(待機位置側)へ付勢している。
またブレード駆動機構238には、支持プレート240の上面部に圧接するように円板状の偏心カム248と、この偏心カム248に連結されたモータユニット250が設けられている。ここで、モータユニット250は、制御ユニット232から駆動信号に従って偏心カム248を待機位置に対応する第1位相(図7(A)参照)及びクリーニング位置に対応する第2位相(図7(B)参照)の何れかに回転させる。このとき、偏心カム248が第1位相から第2位相へ回転すると、偏心カム248の外周面(カム面)からの加圧力により支持プレート240がコイルスプリング246の付勢力に抗して待機位置からクリーニング位置へ下降し、また偏心カム248が第2位相から第1位相へ回転すると、偏心カム248のカム面と支持プレート240との間隔が狭くなると共に、支持プレート240がコイルスプリング246の付勢力によりクリーニング位置から待機位置へ上昇する。
上記のように構成された本実施形態に係るレーザープリンタでは、各作像ユニット104の一部が交換可能なプロセスカートリッジ252として構成されており、このプロセスカートリッジ252(図6参照)は、少なくとも感光体ドラム12とクリーニング装置234とを構成部品として含んでおり、これらの構成部品が一体化されている。すなわち、レーザープリンタでは、少なくとも感光体ドラム12が各作像ユニット104により形成される画像(トナー像)を高画質に維持するために一定周期毎に新しいものに交換する必要があり、本実施形態に係るレーザープリンタでは、これらの一定の寿命を有する作像ユニット104における複数の部品を短時間で簡単に交換するため、少なくとも感光体ドラム12及びクリーニング装置234を含む複数部品をプロセスカートリッジ252として一体化し、これらを同時に交換できるようにしている。
本実施形態に係るレーザープリンタでは、制御ユニット232によりクリーニング装置234をブラシ・クリーニング装置として機能させるか、ブレード・クリーニング装置として機能させるかが判断され、それぞれのクリーニング装置に適合する制御が実行される。
具体的には、制御ユニット232は、感光体ドラム12の像担持面14へのトナー像の形成回数(作像回数)をカウントすると共に、過去100回に亘って形成されたトナー像における着色部分の画素数の累積値が、像担持面14におけるトナー像の作像領域に含まれる全画素数の累積値の3%以下の場合には、クリーニング装置234をブラシ・クリーニング装置として機能させるための制御を実行し、また過去100回に亘って形成されたトナー像における着色部分の画素数の累積値がトナー像の作像領域に含まれる全画素数の累積値の3%を超える場合には、クリーニング装置234をブレード・クリーニング装置として機能させるための制御を実行する。
なお、本実施形態では、クリーニング装置234をブラシ・クリーニング装置として機能させるか、ブレード・クリーニング装置として機能させるかを、(着色部分の画素数の累積値/全画素数の累積値)=3%というしきい値に基づいて判断しているが、このしきい値を環境センサー140により検出された温度及び湿度に応じて補正するようにして良い。すなわち、高温及び高湿度の条件下では、クリーニングブレード236の欠け及びめくれが発生し易くなるので、しきい値を温度又は湿度の上昇に伴って増加させ、また温度又は湿度の下降に伴って低下させるように補正しても良い。
先ず、クリーニング装置234をブラシ・クリーニング装置として機能させた場合の制御ユニット232による制御及びクリーニング装置234によるクリーニング動作について詳細に説明する。この場合、制御ユニット232は、ブレード駆動機構238によりクリーニングブレード236を待機位置に保持しつつ、高圧電源ユニット90によりクリーニングブラシ16,18のブラシ芯金34にそれぞれ所定の電圧VB1,VB2を印加すると共に、デトーニングロール40,42のロール芯金48及びスクレーパ66にそれぞれ電圧VR1,VR2及び電圧VS1,VS2を印加する。ここで、電圧VB1,VB2、電圧VR1,VR2及び電圧VS1,VS2のそれぞれの設定値については、第1の実施形態の場合と同様であるので説明を省略する。制御ユニット232は、クリーニング装置234によるクリーニング動作が開始されると、クリーニング装置234を次のように動作させる。
すなわち、クリーニング装置234は、先ず、プレクリーニングコロトロン80からのコロナ放電により転写完了後に像担持面14上に残留した残留トナーを負極性側へ帯電し、残留トナーの帯電極性の分布を全体として負極性側へシフトさせた後、除電ランプ78からの除電光を像担持面14へ照射することにより、感光体ドラム12における像担持面14の表面電位が高圧電源ユニット90によりクリーニングブラシ16のブラシ芯金34に印加される電圧VB2とクリーニングブラシ18のブラシ芯金34に印加される電圧VB2との中間の電位であって、しかも像担持面14とクリーニングブラシ16,18のブラシ毛36との表面電位差が放電開始電圧DV以下となるように、除電光Fを感光体ドラム12へ照射する。
次いで、ブラシ・クリーニング装置10は、上流側に配置されたクリーニングブラシ16のブラシ毛36を像担持面14へ摺接させることにより、感光体ドラム12の像担持面14に付着した残留トナーのうち、主として負極性に帯電した残留トナーを静電的に像担持面14上からブラシ毛36の表面に吸着する。クリーニングブラシ16のブラシ毛36に吸着された残留トナーは、デトーニングロール40のロール面44に静電的な力により転移し、ロール面44上に吸着される。この残留トナーは、スクレーパ66によりロール面44上からトナー溜り70へ掻き落され、オーガ72によりハウジング30内から排出される。
像担持面14から負極性の残留トナーを除去した後、ブラシ・クリーニング装置10は、クリーニングブラシ16の下流側に配置されたクリーニングブラシ18のブラシ毛36を像担持面14へ摺接させることにより、感光体ドラム12の像担持面14に付着した残留トナーのうち、主として正極性に帯電した残留トナーを静電的に像担持面14上からブラシ毛36の表面に吸着する。クリーニングブラシ18のブラシ毛36に吸着された残留トナーは、デトーニングロール42のロール面44に静電的な力により転移し、ロール面44上に吸着される。この残留トナーは、スクレーパ66によりロール面44上からトナー溜り70へ掻き落され、オーガ72によりハウジング30内から排出される。なお、残留トナーに少量含まれる電荷が略中和された残留トナーについては、一対のクリーニングブラシ16,18のブラシ毛36によりそれぞれ機械的に像担持面14上から掻き落され、重力の作用等によりトナー溜り70内へ落下する。
また制御ユニット232は、クリーニング装置234をブラシ・クリーニング装置として機能させた場合には、第1の実施形態に係るレーザープリンタ100の場合と同様に、上述したような通常のクリーニング動作に加え、作像ユニット104における感光体ドラム12へのトナー像の形成回数が増加するに従って、高圧電源ユニット90によりクリーニングブラシ16,18のブラシ芯金34にそれぞれ印加する電圧VB1、VB2の電位を徐々に昇圧するクリーニング電圧の経時補正制御を実行すると共に、環境センサー140により検出された温度及び湿度に応じて、高圧電源ユニット90によりクリーニングブラシ16,18のブラシ芯金34に印加する電圧VB1、VB2を調整すると共に、デトーニングロール40,42のロール芯金48及びスクレーパ66に印加する電圧VR1、VR2及び電圧VS1、VS2を調整するクリーニング電圧の環境補正動作が実行される。
次に、クリーニング装置234をブレード・クリーニング装置として機能させた場合の制御ユニット232による制御及びクリーニング装置234によるクリーニング動作について詳細に説明する。この場合、制御ユニット232は、ブレード駆動機構238によりクリーニングブレード236を待機位置からクリーニング位置へ移動させた後、高圧電源ユニット90に内臓された1MΩ〜100MΩの抵抗値を有する抵抗素子(図示省略)を介してクリーニングブラシ16,18のブラシ芯金34、デトーニングロール40,42のロール芯金48及びスクレーパ66をそれぞれ接地させる。制御ユニット232は、クリーニング装置234によるクリーニング動作が開始されると、クリーニング装置234を次のように動作させる。
クリーニング装置234は、レーザープリンタ100による画像形成開始に同期して作動開始し、プレクリーニングコロトロン80を駆動開始すると共に、クリーニングブラシ16,18を所定の方向へ回転させる。ブレード・クリーニング装置210は、先ず、プレクリーニングコロトロン80からのコロナ放電により転写完了後に像担持面14上に残留した残留トナーを負極性側へ帯電し、残留トナーの帯電極性の分布を全体として負極性側へシフトさせる。このとき、制御ユニット138は、ブラシ・クリーニング装置10を用いる場合と比較し、プレクリーニングコロトロン80の放電ワイヤー82に印加する電圧値を2%程度上昇させ、残留トナーの負極性側へシフト量を若干増加させ、また除電ランプ78を消灯した状態に維持する。
次いで、クリーニング装置234は、クリーニングブラシ16,18のブラシ毛36を像担持面14へ摺接させることにより、感光体ドラム12の像担持面14に付着した残留トナーを機械的に攪拌し、残留トナーを像担持面14から容易に剥離する状態とした後、像担持面14に付着した残留トナーをクリーニングブレード236により機械的に掻き落す。このとき、クリーニングブレード236は、その先端部を比較的大きい圧接力で圧接させていることから、像担持面14に付着した残留トナーをムラなく確実に掻き落すことができる。クリーニング装置234では、クリーニングブレード236により像担持面14から掻き落された残留トナートナー溜り70へ落下し、オーガ72によりハウジング30内から排出される。
次に、上記のように構成された本実施形態のレーザープリンタによる作用を説明する。
本発明の第1の実施形態に係るレーザープリンタでは、クリーニング装置234が感光体ドラム12の像担持面14をクリーニングするために一対のクリーニングブラシ16,18を備えると共に、像担持面14に圧接するクリーニング位置と像担持面14から離間する待機位置との間で移動可能とされたクリーニングブレード236及び、制御ユニット232からの制御に従ってクリーニングブレード236をクリーニング位置及び待機位置の何れかに移動させるブレード駆動機構238を備えていることにより、ブレード駆動機構238によりクリーニングブレードを待機位置に保持すると共に、クリーニングブラシ16,18及びデトーニングロール40,42に所定の電圧を印加すれば、クリーニング装置234をW−ESBタイプのブラシ・クリーニング装置として機能させ、一対のクリーニングブラシ16,18により像担持面14から残留トナーを除去でき、またブレード駆動機構238によりクリーニングブレード236を待機位置からクリーニング位置へ移動させると共に、クリーニングブラシ16,18及びデトーニングロール40,42をそれぞれ接地させれば、クリーニング装置234の交換を行うことなく、クリーニング装置234をブレード・クリーニング装置として機能させ、クリーニングブレード236により像担持面14から残留トナーを除去できる。
ここで、クリーニング装置234をブラシ・クリーニング装置として機能させた場合には、クリーニング時に一対のクリーニングブラシ16,18のブラシ毛34の先端部をそれぞれ比較的小さな接触圧で像担持面14に摺接させつつ、像担持面14上の残留トナーを主として静電的な吸着力によりブラシ毛34に吸着して除去することから、ブレード・クリーニング装置210を用いた場合と比較し、像担持面14に対する経時的な磨耗量を減少できるので、感光体ドラム12の寿命を延長することが容易になる。
またクリーニング装置234をブレード・クリーニング装置として機能させた場合には、クリーニングブレード236の先端部を比較的大きな接触圧で像担持面14に圧接させ、このクリーニングブレード236により像担持面14上の残留トナーを掻き落として除去することから、転写完了後の像担持面14上における残留トナーの濃度(付着量)にあまり影響されることなく、像担持面14上に付着した残留トナーを高い除去能力で除去できるので、クリーニング完了後に像担持面14に残留するトナーを極めて微量なものにでき、この残留トナーの影響により像担持面14に形成されるトナー像の画質が低下することを効果的に防止できる。
この結果、本実施形態のレーザープリンタによれば、感光体ドラム12の像担持面14へのトナー像の形成回数(作像回数)をカウントすると共に、過去100回に亘って形成されたトナー像における着色部分の画素数の累積値が、像担持面14におけるトナー像の作像領域に含まれる全画素数の累積値の3%以下の場合には、クリーニング装置234をブラシ・クリーニング装置として機能させ、また過去100回に亘って形成されたトナー像における着色部分の画素数の累積値がトナー像の作像領域に含まれる全画素数の累積値の3%を超える場合には、クリーニング装置234をブレード・クリーニング装置として機能させることにより、平均的な画像濃度が低い作像条件では、低画像濃度のトナー像形成時にはクリーニングブレード236を使用せず、クリーニング装置234をブラシ・クリーニング装置として機能させることができるので、感光体ドラム12の寿命を延長しつつ、感光体ドラム12の像担持面14から長期間に亘って安定的に残留トナーを除去でき、また平均的な画像濃度が高い作像条件では、高画像濃度のトナー像形成時にも高いクリーニング能力を発揮できるクリーニングブレード236を使用し、クリーニング装置234をブレード・クリーニング装置として機能させることができるので、クリーニング後に感光体ドラム12の像担持面14に残留するトナーの影響によりトナー像の画質が低下することを効果的に防止できる。
(第2の実施形態の変形例)
次に、本発明の第2の実施形態に係るレーザープリンタにおける制御ユニットによるクリーニング動作の制御の変形例について説明する。
制御ユニット232は、クリーニングブレード236を待機位置に保持し、クリーニング装置234をブラシ・クリーニング装置として機能させた状態で、感光体ドラム12の像担持面14へのトナー像の形成回数(作像回数)をカウントし、このカウント値が50回〜100回の範囲内で適宜設定されたしきち値(N回)に達すると、カウント値を0にリセットすると共に、クリーニングブレード236を待機位置からクリーニング位置へ移動させる。
次いで、制御ユニット232は、クリーニングブレード236のクリーニング位置への移動後、感光体ドラム12の像担持面14にトナー像が1回〜10回の範囲内で設定された回数(M回)に亘って形成されるまで、クリーニング装置234をブレード・クリーニング装置として機能させ、感光体ドラム12の像担持面14にM回のトナー像の形成が完了し、このトナー像が転写された領域のクリーニング完了後に、クリーニングブレード236を待機位置へ復帰させると共に、クリーニング装置234を再びブラシ・クリーニング装置として機能させる。
本発明の第2の実施形態に係るレーザープリンタでは、上記のようにクリーニング装置234を間欠的にブレード・クリーニング装置として機能させることにより、ブラシ・クリーニング装置のみを長期間に亘って使用した場合に、クリーニングブレード236との摺接により感光体ドラム12の像担持面14に生じるスクラッチマークの発生を長期間に亘って効果的に防止できるようになるので、像担持面14のスクラッチマークを原因として生じる高濃度の画像(トナー像)における画質低下を長期間に亘って効果的に防止できる。
すなわち、クリーニング装置234を間欠的にブレード・クリーニング装置として機能させることにより、クリーニングブレード236との接触により感光体ドラム12の像担持面14を略均一に磨耗させることができるので、クリーニングブレード236により像担持面14にスクラッチマークの表面粗さ(Rz=1μm〜2μm)に対応する磨耗量を意図的に発生させれば、クリーニング装置234をブレード・クリーニング装置として使用した時に、感光体ドラム12に生じていたスクラッチマークを消失させることができる。
またクリーニングブレード236が間欠的にしか使用されないので、クリーニングブレード236に欠けや、めくれ等の損傷が発生することも長期間に亘って防止でき、クリーニング装置234自体の寿命も十分に長いものにできる。
なお、本発明の第2の実施形態に係るレーザープリンタでは、クリーニング装置234がプロセスカートリッジ252の一部として構成され、このプロセスカートリッジ252が作像ユニット104のユニット本体側に対して交換可能とされていたが、クリーニング装置234を単体で作像ユニット104の本体側に対して交換可能とするようにして良い。