JP4431867B2 - 電子ビーム描画方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子ビーム描画方法に関し、特に微細構造を有する光学素子を成形するための母型や金型を製造するのに好適な電子ビーム描画方法に関する。
たとえば、近年、急速に発展している光ピックアップ装置の分野では、極めて高精度な対物レンズなどの光学素子が用いられている。プラスチックやガラスなどの素材を金型を用いて、そのような光学素子を成形すると、均一な形状の製品を迅速に製造することができるため、金型成形は大量生産に適しているといえる。かかる金型は、一般的には、例えば単結晶ダイヤモンド工具などによって、一つ一つ切削されて製作されることが多い。しかるに、金型は、使用回数に応じて各部が摩耗する消耗品であることから、定期的に交換することが必要である。従って、交換に備えて同一形状の金型を用意しなくてはならないが、単結晶ダイヤモンド工具などによる切削加工で金型を製造した場合、全く同一形状の金型を切り出すことは困難といえ、それ故金型交換前後で光学素子製品の形状バラツキが生じる恐れがあり、又コストもかかるという問題がある。
これに対し、光学素子の光学面に対応した母光学面を有する母型に対し、例えば電鋳を成長させることで、金型を作成しようとする試みがある。このような試みによれば、母型の母光学面に形成したパターンがたとえ微細なものであっても、それを精度良く転写形成することができる。
ところで、このような用途に用いる母型のパターンは、被描画基材の母光学面にレジストを塗布し、例えば電子ビーム描画で微細パターン等を形成しレジストを現像した後、ドライエッチングにより得ることができる。このような母型を接着剤等で治具に取り付けた後、母型の母光学面を覆うように電鋳を成長させることで、金型となる電鋳部材を形成できる。
ここで、電子ビーム描画について説明する。このような電子ビーム描画の従来例が、特許文献1に開示されている。
特開平5−113503号公報
電子ビーム描画は微細パターンを形成するものであるため、微動機構によるビームの走引領域(フィールドという)は、例えば0.5mm×0.5mmと極めて小さなものとなっている。これに対し、光ピックアップ装置の対物レンズ等の光学素子は、その径が3mm程度であり、被描画基材の母光学面もそれに応じたサイズとなっているので、かかる被描画基材の母光学面に一度で微細パターンを形成することはできない。そこで、電子ビームの一つのフィールド内で描画し終わったら、隣のフィールドを電子ビーム描画できるように電子ビーム照射源と被描画基材とを相対移動させ、その後更に隣のフィールド内において電子ビーム描画を行う順次描画手法が考案された。これをステップ・アンド・リピート方式という。
ここで、輪帯状の回折格子などは、光軸に対して傾いた斜面を有するが、かかる斜面を創成するには、一つのフィールド内でも、斜面に応じてドーズ量を変更する必要がある。ドーズ量が多ければ、その分現像において除去されるレジストが増大することとなるため、これを利用して、斜面に対して横切る方向に所定ピッチで電子ビームを何本も走引しながら、斜面が深くなるにつれて走引速度を遅くするなどしてドーズ量を増大させている。
図1(a)は、従来技術による斜面を創成するための電子ビーム描画処理を模式的に示したレジストの断面斜視図である。図1(b)は、かかる電子ビーム描画が行われたレジストの現像後の形状を示す断面図である。図1(a)において、基板S上にレジストRが均一な厚さで塗布されており、これに電子ビームを照射すれば、そのドーズ量に応じてレジストRが変質することを利用し、基板S上のレジストRを現像することで、図1(b)に示すような斜面を有する微細構造を形成することができる
ここでは、図1(a)に示すように、電子ビームBは、1フィールドの始端から終端まで点線で示す矢印の方向に走引され、終端までいけば、1ピッチ分平行にずらして再度始端から終端まで走引を行っており、そのピッチpは等しくなっている。又、斜面が深くなるにつれて、走引速度を低下させ、ドーズ量を増大することで、現像時により深い位置までレジストが除去されるようにしている。
しかるに、本発明者らの研究によれば、図1(a)に示す態様で電子ビーム描画を行うと、図1(b)に示すように、斜面の深い位置において、斜面の起伏が激しくなることがわかった。これは、走引ピッチpを変えることなくドーズ量を増大させた結果、レジストにおいて電子ビームBの走引軌跡のみが深く除去されることとなったものである。このような起伏は、回折格子の本来の機能を損なう恐れがある。
かかる問題を解決するためには、走引ピッチを細かくすることが考えられる。ところが、走引ピッチを細かくすると、1フィールド当たりの走引回数が増大し、その結果、電子ビーム描画に長時間を要するという問題を生じさせる。
本発明は、このような従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、コストを上昇させたり加工時間を延長することなく、適正な描画を行える電子ビーム描画方法を提供することを目的とする。
本発明の電子ビーム描画方法は、電子ビームをレジストに照射し、現像を行うことで、電子ビームの照射方向に対して傾いた斜面を有する3次元形状を創成する際に用いる電子ビーム描画方法であって、レジストに照射する電子ビームの走引ピッチを所定間隔とした複数の走引により3次元形状の斜面を創成する場合における、走引位置とドーズ量との関係を示すドーズ量関数を求め創成すべき3次元形状の斜面が浅い第1の領域では、前記ドーズ量関数に従うドーズ量にて前記所定間隔の走引ピッチで電子ビームをレジストに照射し、創成すべき3次元形状の斜面が前記第1の領域より深い第2の領域では、前記ドーズ量関数に従うドーズ量よりも少ない低減ドーズ量にて、前記所定間隔より狭い走引ピッチで電子ビームをレジストに照射し、前記第2の領域の単位面積内で走引された電子ビームにおいて、前記低減ドーズ量の総和は、前記ドーズ量関数に従ったと仮定したときのドーズ量の総和に等しくすることを特徴とする。本発明の原理を以下に説明する。


図2(a)は、本発明による斜面を創成するための電子ビーム描画処理を模式的に示したレジストの断面斜視図である。図2(b)は、かかる電子ビーム描画が行われたレジストの現像後の形状を示す断面図である。図2(a)に示すように、本発明においては、レジストRに照射する電子ビームBの走引ピッチを、創成すべき3次元形状に応じて変化させるので、例えば斜面の浅い領域A1において電子ビーム描画を行うときは、比較的広い走引ピッチpとして描画時間を短縮し、斜面の深い領域A2に対して電子ビーム描画を行うときには、電子ビームの走引ピッチを、より狭く(例えばp/2と)し且つそれに応じてドーズ量を変更することで、現像後における斜面の起伏を抑え、なだらかな斜面を含む高精度な3次元形状を創成することができる(図2(b)参照)。尚、斜面の深い領域A2における電子ビームの走引速度は、走引ピッチとの兼ね合いで任意に決定できる。又、斜面の深い領域A2を基準として走引ピッチを考えると、斜面の浅い領域A1で走引ピッチを2倍に広げることになる。
電子ビームをレジストに照射し現像を行うことで創成される3次元形状の斜面の深さ(斜面の上端からの距離)に応じて、前記電子ビームの走引ピッチを変化させると、なだらかな斜面を創成できるので好ましい。
レジストに照射する電子ビームの走引ピッチを所定間隔とした場合における、3次元形状を創成するために必要な一走引当たりのドーズ量が閾値を超えたとき、前記電子ビームの走引ピッチを小さくすると好ましいが、段階的にでなく漸次走引ピッチを少なくしてもよい。
前記ドーズ量が閾値を超える前において、前記電子ビームの走引ピッチをp、前記ドーズ量をDとしたときに、前記ドーズ量が閾値を超えた後において、前記電子ビームの走引ピッチを(p/n)、前記ドーズ量を(D/n)とする(ただし、nは2以上の整数)と好ましい。
電子ビームを照射した領域に対して、少なくともドーズ量もしくは走引ピッチの一方を変更して、再度電子ビームを照射すると、走引速度を細かく変えられない場合でも、所望のドーズ量を得ることができる。
本発明によれば、コストを上昇させたり加工時間を延長することなく、適正な描画を行える電子ビーム描画方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態の一例について、図面を参照して具体的に説明する。先ず、電子ビームにより描画される被描画基材について、図3〜図4を参照しつつ説明する。図3には、基材上に描画される描画パターン並びにその細部の描画形状が開示されている。
同図に示されるように、本実施の形態の被描画基材(以下、基材という)2上に描画される描画パターンの一例として円描画による回折輪帯が開示されており、基材2の描画部分の一部であるA部分を拡大してみると、図4に示すように基材2には、複数のブレーズ3からなる回折輪帯が形成されている。
ブレーズ3は、傾斜部(斜面)3b及び側壁部3aを繰り返し接続した形状を有している。より詳細には、図5に示すように、基材2は、少なくとも一面に形成された曲面部2a(基材の母光学面)を有し、回折格子を傾けて各ピッチL1毎に形成し、この回折格子の少なくとも1ピッチL1に、当該ピッチの区切り目位置にて前記曲面部2aより立ち上がる側壁部3aと、隣接する各側壁部3a、3a’間に形成された傾斜部3bと、側壁部3aと傾斜部3b’との境界領域に形成された溝部3cとが形成されている。なお、この回折輪帯は、後述するように、曲面部2a上に塗布された塗布剤(レジスト)を描画することにより形成されることが好ましい。
ここでレジストは加熱又は紫外線等によって硬化する高分子の樹脂材料が用いられており、電子ビームによって与えられたエネルギー量に応じて分子間の結合が切れ、分解される特性を有している(分解された部分は後述の現像液によって除去される)。
本発明のステップ・アンド・リピート方式において、図3に示される基材上で描画される領域は、図18(基材の上面図)のように複数のフィールド(描画領域)に分割されて各フィールド毎に順次ビームによる描画と、ビームと基材の相対移動のステップが繰り返され、所定のパターン(ここでは回折輪帯)が基材上に描画される。
具体的には各フィールドは描画される回折輪帯に応じて同心円状に配置され、各フィールドは扇状の形状を有する。このように同心円状に配置されたフィールドは回折輪帯の同心円の中心から同心円の半径方向に連なって配置されている(例えば図18の第1の描画領域Aと第2の描画領域B)。このようにして基材上の描画領域は複数の描画領域に分割される。なお図から分かるように半径方向に配置されるフィールドの数は、描画される基材の大きさ、ビームの走査可能距離によって変化する。
本実施の形態では主としてこれら複数に分割されたフィールドのうち、半径方向に隣接するフィールド(例えば図18の第1の描画領域Aと第2の描画領域B)とパターンの関係を予め決定し、ビームの経時的ずれが生じ、フィールドの間隔が変化しても適正な描画が行えるようにしている。
また、かかる基材2は、光ピックアップ装置に用いる光学素子たとえば対物レンズの成形用金型を形成するための母型の素材であることが好ましい。上記の描画によって得られた母型から複数の同一形状の金型が作成されるので、金型交換時における光学素子製品の形状バラツキを防ぐことができる。このような光学素子においては、異なる波長の情報記録光を用いてDVD・CD互換を達成する光ピックアップ装置において、収差補正のために回折輪帯を設けることが行われている。以下、このような基材を形成するための前提となる電子ビーム描画装置の具体的構成について説明することとする。
(電子ビーム描画装置の全体構成)
次に、電子ビーム描画装置の全体の概略構成について、図6を参照して説明する。図6は、本例の電子ビーム描画装置の全体構成を示す説明図である。
本実施形態の電子ビーム描画装置1は、図6に示すように、大電流で高解像度の電子線プローブを形成して高速に描画対象の基材2上を走査するものであり、電子ビーム生成手段である電子銃12と、この電子銃12からの電子ビームを通過させるスリット14と、スリット14を通過する電子ビームの前記基材2に対する焦点位置を制御するための電子レンズ16と、電子ビームが出射される経路上に配設されたアパーチャー18と、電子ビームを偏向させることでターゲットである基材2上の走査位置等を制御する偏向器20と、偏向を補正する補正用コイル22と、を含んで構成されており、電子ビームからなる高解像度の電子線プローブを形成し、電子線プローブを走査する事でターゲットに対してビーム照射を行う。なお、これらの各部は、鏡筒10内に配設されて電子ビーム出射時には真空状態に維持される。
さらに、電子ビーム描画装置1は、描画対象となる基材2を載置するための載置台であるXYZステージ30と、このXYZステージ30上の載置位置に基材2を搬送するための搬送手段であるローダ40と、XYZステージ30上の基材2の表面の基準点を測定するための測定手段である測定装置80と、XYZステージ30を駆動するための駆動手段であるステージ駆動手段50と、ローダを駆動するためのローダ駆動装置60と、鏡筒10内及びXYZステージ30を含む筐体11内を真空となるように排気を行う真空排気装置70と、これらの制御を司る制御手段である制御回路100と、を含んで構成されている。
なお、電子レンズ16は、高さ方向に沿って複数箇所に離間して設置される各コイル17a、17b、17cの各々の電流値によって電子的なレンズが複数生成されることで各々制御され、電子ビームの焦点位置が制御される。
測定装置80は、基材2に対してレーザーを照射することで基材2の高さ方向の位置を測定する第1のレーザー測長器82と、第1のレーザー測長器82にて発光されたレーザー光(第1の照射光)が基材2の平坦部より反射し当該反射光を受光する第1の受光部84と、前記第1のレーザー測長器82とは異なる照射角度から照射を行う第2のレーザー測長器86と、前記第2のレーザー測長器86にて発光されたレーザー光(第2の照射光)のうち基材2により遮られる光を除いた光を受光する第2の受光部88と、を含んで構成されている。
ステージ駆動手段50は、XYZステージ30をX方向に駆動するX方向駆動機構52と、XYZステージ30をY方向に駆動するY方向駆動機構54と、XYZステージ30をZ方向に駆動するZ方向駆動機構56と、XYZステージ30をθ方向に駆動するθ方向駆動機構58と、を含んで構成されている。これによって、XYZステージ30を3次元的に動作させたり、アライメントを行うことができる。すなわち、XYZステージ30上に基材2を載置すれば、ビーム照射源としての電子銃12との相対位置を任意に変更できるため、上述したステップ・アンド・リピート方式で描画を行える。
制御回路100は、電子銃12に電源を供給するための電子銃電源部102と、この電子銃電源部102での電流、電圧などを調整制御する電子銃制御部104と、電子レンズ16(複数の各電子的なレンズを各々)を動作させるためのレンズ電源部106と、このレンズ電源部106での各電子レンズに対応する各電流を調整制御するレンズ制御部108と、を含んで構成される。
さらに、制御回路100は、補正用コイル22を制御するためのコイル制御部110と、偏向器20にて成形方向の偏向を行う成形偏向部112aと、偏向器20にて副走査方向の偏向を行うための副偏向部112bと、偏向器20にて主走査方向の偏向を行うための主偏向部112cと、成形偏向部112aを制御するためにデジタル信号をアナログ信号に変換制御する高速D/A変換器114aと、副偏向部112bを制御するためにデジタル信号をアナログ信号に変換制御する高速D/A変換器114bと、主偏向部112cを制御するためにデジタル信号をアナログ信号に変換制御する高精度D/A変換器114cと、を含んで構成される。
さらに、制御回路100は、偏向器20における位置誤差を補正する、乃ち、位置誤差補正信号などを各高速D/A変換器114a、114b、及び高精度D/A変換器114cに対して供給して位置誤差補正を促すあるいはコイル制御部110に対して当該信号を供給することで補正用コイル22にて位置誤差補正を行う位置誤差補正回路116と、これら位置誤差補正回路116並びに各高速D/A変換器114a、114b及び高精度D/A変換器114cを制御して電子ビームの電界を制御する電界制御手段である電界制御回路118と、描画パターンなどを前記基材2に対して生成するためのパターン発生回路120と、を含んで構成される。
またさらに、制御回路100は、第1のレーザー測長器82を上下左右に移動させることによるレーザー照射位置の移動及びレーザー照射角の角度等の駆動制御を行う第1のレ−ザー駆動制御回路130と、第2のレーザー測長器86を上下左右に移動させることによるレーザー照射位置の移動及びレーザー照射角の角度等の駆動制御を行う第2のレ−ザー駆動制御回路132と、第1のレーザー測長器82でのレーザー照射光の出力(レーザーの光強度)を調整制御するための第1のレーザー出力制御回路134と、第2のレーザー測長器86でのレーザー照射光の出力を調整制御するための第2のレーザー出力制御回路136と、第1の受光部84での受光結果に基づき、測定結果を算出するための第1の測定算出部140と、第2の受光部88での受光結果に基づき、測定結果を算出するための第2の測定算出部142と、を含んで構成される。
さらにまた、制御回路100は、ステージ駆動手段50を制御するためのステージ制御回路150と、ローダ駆動装置60を制御するローダ制御回路152と、上述の第1、第2のレーザー駆動回路130、132・第1、第2のレーザー出力制御回路134、136・第1、第2の測定算出部140、142・ステージ制御回路150・ローダ制御回路152を制御する機構制御回路154と、真空排気装置70の真空排気を制御する真空排気制御回路156と、測定情報を入力するための測定情報入力部158と、入力された情報や他の複数の情報を記憶するための記憶手段であるメモリ160と、各種制御を行うための制御プログラムを記憶したプログラムメモリ162と、これらの各部の制御を司る例えばCPUなどにて形成された制御部170と、を含んで構成されている。
上述のような構成を有する電子ビーム描画装置1において、ローダ40によって搬送された基材2がXYZステージ30上に載置されると、真空排気装置70によって鏡筒10及び筐体11内の空気やダストなどを排気したした後、電子銃12から電子ビームが照射される。
電子銃12から照射された電子ビームは、電子レンズ16を介して偏向器20により偏向され、偏向された電子ビームB(以下、この電子レンズ16を通過後の偏向制御された電子ビームに関してのみ「電子ビームB」と符号を付与することがある)は、XYZステージ30上の基材2の表面、例えば曲面部(曲面)2a上の描画位置に対して照射されることで描画が行われる。
この際に、測定装置80によって、基材2上の描画位置(描画位置のうち少なくとも高さ位置)、もしくは後述するような基準点の位置が測定され、制御回路100は、当該測定結果に基づき、電子レンズ16のコイル17a、17b、17cなどに流れる各電流値などを調整制御して、電子ビームBの焦点深度の位置、すなわち焦点位置を制御し、当該焦点位置が前記描画位置となるように移動制御される。
あるいは、測定結果に基づき、制御回路100は、ステージ駆動手段50を制御することにより、前記電子ビームBの焦点位置が前記描画位置となるようにXYZステージ30を移動させる。
また、本例においては、電子ビームの制御、XYZステージ30の制御のいずれか一方の制御によって行っても、双方を利用して行ってもよい。
(測定装置)
次に、測定装置80について、図7〜9を参照しつつ説明する。測定装置80は、より詳細には、図7に示すように、第1のレーザー測長器82、第1の受光部84、第2のレーザー測長器86、第2の受光部88などを有する。
第1のレーザー測長器82により電子ビームと交差する方向から基材2の平坦部2bに対して第1の光ビームS1を照射し、基材2の平坦部2bより反射する第1の光ビームS1の受光によって、第1の光強度分布が検出される。
この際に、図7に示すように、第1の光ビームS1は、基材2の平坦部2bにて反射されるため、第1の強度分布に基づき、基材2の平坦部2b上の(高さ)位置が測定算出されることになる。しかし、この場合には、基材2の曲面部2a上の(高さ)位置を測定することができない。
そこで、本例においては、さらに第2のレーザー測長器86を設けている。すなわち、第2のレーザー測長器86によって、第1の光ビームS1と異なる電子ビームとほぼ直交する方向から基材2に対して第2の光ビームS2を照射し、第2の光ビームS2のうち基材2により遮られる光を除いた光が第2の受光部88に含まれるピンホール89を介して受光されることによって、第2の光強度分布が検出される。
具体的には、第2の光ビームS2がXY基準座標系における曲面部2a上のある位置(x、y)の特定の高さを透過すると、この位置(x、y)において、図8(A)〜(C)に示すように、第2の光ビームS2が曲面部2aの曲面にて当たることにより散乱光SS1、SS2が生じ、この散乱光分の光強度が弱まることとなる。このようにして、図8に示すように、第2の受光部88にて検出された第2の光強度分布に基づき、位置が測定算出される。
この算出の際には、図9に示すように、第2の受光部88の信号出力Opは、図10に示す特性図のような、基材の高さとの相関関係を有するので、制御回路100のメモリ160などにこの特性、すなわち相関関係を示した相関テーブルを予め格納しておくことにより、第2の受光部88での信号出力Opに基づき、基材の高さ位置を算出することができる。
そして、この基材の高さ位置を、例えば描画位置として、前記電子ビームの焦点位置の調整が行われ描画が行われることとなる。
(描画位置算出の原理の概要)
次に、本例の特徴である電子ビーム描画装置1における、描画を行う場合の原理の概要について、説明する。
先ず、基材2は、例えば樹脂等による光学素子例えば対物レンズ成形用金型を形成するための母型の素材であると好ましく、断面略平板状の平坦部2bと、この平坦部2bより突出形成された曲面をなす曲面部2aと、を含んで構成されている。この曲面部2aの曲面は、球面に限らず、非球面などの他のあらゆる高さ方向に変化を有する自由曲面であってよい。
このような基材2において、予め基材2をXYZステージ30上に載置する前に、基材2上の複数例えば3個の基準点P00、P01、P02を決定してこの位置を測定しておく(第1の測定)。これによって、例えば、基準点P00とP01によりX軸、基準点P00とP02によりY軸が定義され、3次元座標系における第1の基準座標系が算出される。ここで、第1の基準座標系における高さ位置をHo(x、y)(第1の高さ位置)とする。これによって、基材2の厚み分布(基材の3次元形状を示す座標データ)の算出を行うことができる。
一方、基材2をXYZステージ30上に載置した後も、同様の処理を行う。すなわち、図11(A)に示すように、基材2上の複数例えば3個の基準点P10、P11、P12を決定してこの位置を測定しておく(第2の測定)。これによって、例えば、基準点P10とP11によりX軸、基準点P10とP12によりY軸が定義され、3次元座標系における第2の基準座標系が算出される。
さらに、これらの基準点P00、P01、P02、P10、P11、P12により第1の基準座標系を第2の基準座標系に変換するための座標変換行列などを算出して、この座標変換行列を利用して、第2の基準座標系における前記Ho(x、y)に対応する高さ位置Hp(x、y)(第2の高さ位置)を算出して、この位置を最適フォーカス位置、すなわち描画位置として電子ビームの焦点位置が合わされるべき位置とすることとなる。これにより、上述の基材2の厚み分布の補正を行うことができる。
なお、上述の第2の測定は、電子ビーム描画装置1の第1の測定手段である測定装置80を用いて測定することができる。
そして、第1の測定は、予め別の場所において他の測定装置を用いて測定しおく必要がある。このような、基材2をXYZステージ30上に載置する前に予め基準点を測定するための測定装置としては、上述の測定装置80と全く同様の構成の測定装置(第2の測定手段)を採用することができる。
この場合、測定装置からの測定結果は、例えば図6に示す測定情報入力部158にて入力されたり、制御回路100と接続される不図示のネットワークを介してデータ転送されて、メモリ160などに格納されることとなる。もちろん、この測定装置が不要となる場合も考えられる。
上記のようにして、描画位置が算出されて、電子ビームの焦点位置が制御されて描画が行われることとなる。
具体的には、図11(C)に示すように、電子ビームの焦点深度FZ(ビームウエストBW)の焦点位置を、3次元基準座標系における単位空間の1フィールド(m=1)内の描画位置に調整制御する(この制御は、上述したように、電子レンズ16による電流値の調整もしくはXYZステージ30の駆動制御のいずれか一方又は双方によって行われる)。なお、電子ビームは図12に示されるように深い焦点深度を有しており、電子レンズ16により絞り込まれた電子ビームは、焦点深度FZ内においてほぼ一定の太さのビームウエストBWを形成する。ここで焦点深度FZとは、この太さが一定のビームウエストの電子ビーム進行方向における長さをいう。なお前述の焦点位置はこのビームウエストの電子ビーム進行方向における中央位置を指している。また、電子ビームBの場合、図12に示すように、電子レンズ16の幅D、電子レンズ16よりビームウエスト(ビーム径の最も細い所)BWまでの深さfとすると、D/fは、0.01程度であり、例えば50nm程度の解像度を有し、焦点深度は例えば数十μ程度ある。
そして、図11(C)に示すように、例えば1フィールド内をY方向にシフトしつつ順次X方向に走査することにより、1フィールド内の描画が行われることとなる。さらに、1フィールド内において、描画されていない領域があれば、当該領域についても、上述の焦点位置の制御を行いつつZ方向に移動し、同様の走査による描画処理を行うこととなる。
次に、1フィールド内の描画が行われた後、他のフィールド、例えばm=2のフィールド、m=3のフィールドにおいても、上述同様に、測定や描画位置の算出を行いつつ描画処理がリアルタイムで行われることとなる。このようにして、描画されるべき描画領域について全ての描画が終了すると、基材2の表面における描画処理が終了することとなる。
さらに、上述のような各種演算処理、測定処理、制御処理などの処理を行う処理プログラムは、プログラムメモリ162に予め制御プログラムとして格納されることとなる。
(ドーズ分布)
図13は、本実施の形態の特徴的構成の電子ビーム描画装置の制御系の機能ブロック図である。同図に示すように、電子ビーム描画装置1のメモリ160には、形状記憶テーブル161を有し、この形状記憶テーブル161には、例えば基材2の曲面部2aに回折格子を傾けて各ピッチ毎に形成する際の走査位置に対するドーズ量分布を予め定義したドーズ分布の特性などに関するドーズ分布情報161a、各ピッチ毎に表面反射防止用の凹凸を形成する際に、当該凹凸部分のドーズ量に関するドーズ分布情報161b、ドーズ分布を補正演算したドーズ分布補正演算情報161c、その他の情報161dなどが格納されている。なお、ドーズ分布補正演算情報161cとは、ドーズ量などを算出するためのもととなるテーブルないしは演算情報である。
また、プログラムメモリ162には、これらの処理を行う処理プログラム163a、前記ドーズ分布情報161a、161bやドーズ分布補正演算情報161cなどの情報をもとに、曲面部2a上の所定の傾斜角度におけるドーズ分布特性など演算により算出するためのドーズ分布演算プログラム163b、その他の処理プログラム163cなどを有している。
このような構成を有する制御系において、ドーズ分布情報は予めメモリ160の形状記憶テーブル161などに格納され、処理プログラム163aに基づいて、描画時に当該ドーズ分布情報を抽出し、そのドーズ分布情報によって種々の描画が行われることとなる。
あるいは、制御部170は、処理プログラム163aにより所定の描画アルゴリズムを実行しつつ、ドーズ量を算出するルーチンに至ると、ドーズ分布演算プログラム163bを実行し、傾斜角度に応じたドーズ分布を算出するためのある程度の基本的情報、すなわち、ドーズ分布情報161a、161b、ドーズ分布補正演算情報161cなど格納したテーブルを参照しつつ、対応するドーズ分布特性情報を算出したのち、この算出したドーズ分布特性情報を前記メモリ160の所定の一時記憶領域に格納し、そのドーズ分布特性情報を参照しつつドーズ量を算出して描画を行うといった手法であってもよい。
(制御系の具体的構成)
次に、前記円描画を正多角形で近似して直線的に走査する場合の各種処理を行なうための制御系の具体的構成について、図14を参照しつつ説明する。図14には、本実施の形態の電子ビーム描画装置の制御系の詳細な構成が開示されている。
電子ビーム描画装置の制御系300は、図14に示すように、例えば円描画時に正多角形(不定多角形を含む)に近似するのに必要な(円の半径に応じた)種々のデータ(例えば、ある一つの半径kmmの円について、その多角形による分割数n、各辺の位置各点位置の座標情報並びにクロック数の倍数値、さらにはZ方向の位置などの各円に応じた情報等)、さらには円描画に限らず種々の曲線を描画する際に直線近似するのに必要な種々のデータ、各種描画パターン(矩形、三角形、多角形、縦線、横線、斜線、円板、円周、三角周、円弧、扇形、楕円等)に関するデータを記憶する描画パターン記憶手段である描画パターンデータメモリ301と、を含んで構成される。
また、制御系300は、前記描画パターンデータメモリ301の描画パターンデータに基づいて、描画条件の演算を行う描画条件演算手段310と、前記描画条件演算手段310から(2k+1)ライン((k=0、1、2・・)である場合は(2k+1)であるが、(k=1、2、・・)である場合は(2k−1)としてもよい)乃ち奇数ラインの描画条件を演算する(2k+1)ライン描画条件演算手段311と、(2k+1)ライン描画条件演算手段311に基づいて1ラインの時定数を設定する時定数設定回路312と、(2k+1)ライン描画条件演算手段311に基づいて1ラインの始点並びに終点の電圧を設定する始点/終点電圧設定回路313と、(2k+1)ライン描画条件演算手段311に基づいてカウンタ数を設定するカウンタ数設定回路314と、(2k+1)ライン描画条件演算手段311に基づいてイネーブル信号を生成するイネーブル信号生成回路315と、奇数ラインの偏向信号を出力するための偏向信号出力回路320と、を含んで構成されている。
さらに、制御系300は、前記描画条件演算手段310から(2k)ライン乃ち偶数ラインの描画条件を演算する(2k)ライン描画条件演算手段331と、(2k)ライン描画条件演算手段331に基づいて1ラインの時定数を設定する時定数設定回路332と、(2k)ライン描画条件演算手段331に基づいて1ラインの始点並びに終点の電圧を設定する始点/終点電圧設定回路333と、(2k)ライン描画条件演算手段331に基づいてカウンタ数を設定するカウンタ数設定回路334と、(2k)ライン描画条件演算手段331に基づいてイネーブル信号を生成するイネーブル信号生成回路335と、偶数ラインの偏向信号を出力するための偏向信号出力回路340と、描画条件演算手段310に基づいて、次の等高線に移動するときなどにブランキングを行うブランキングアンプ350と、描画条件演算手段310での描画条件と、奇数ラインの偏向信号出力回路320並びに偶数ラインの偏向信号出力回路340からの情報とに基づいて、奇数ラインの処理と偶数ラインの処理とを切り換える切換回路360と、を含んで構成されている。
奇数ラインの偏向信号出力回路320は、走査クロックCL1と、カウンタ数設定回路314からの奇数ラインカウント信号CL6と、イネーブル信号発生回路315のイネーブル信号とに基づいてカウント処理を行う計数手段であるカウンタ回路321と、カウンタ回路321からのカウントタイミングと、始点/終点電圧設定回路313での奇数ライン描画条件信号CL3とに基づいて、DA変換を行うDA変換回路322と、このDA変換回路322にて変換されたアナログ信号を平滑化する処理(偏向信号の高周波成分を除去する等の処理)を行う平滑化回路323と、を含んで構成される。
偶数ラインの偏向信号出力回路340は、走査クロックCL1と、カウンタ数設定回路334からの偶数ラインカウント信号CL7と、イネーブル信号発生回路335のイネーブル信号とに基づいてカウント処理を行う計数手段であるカウンタ回路341と、カウンタ回路341からのカウントタイミングと、始点/終点電圧設定回路333での偶数ライン描画条件信号CL5とに基づいて、DA変換を行うDA変換回路342と、このDA変換回路342にて変換されたアナログ信号を平滑化する処理を行う平滑化回路343と、を含んで構成される。
なお、これらの制御系300を構成する各部は、いずれも図3に示すCPU等の制御部170(制御手段)にて制御可能な構成としている。また、これら制御系300は、X偏向用の制御系とY偏向用の制御系を各々形成する構成としてもよい。
またなお、本実施形態の描画パターンデータメモリ301と描画条件演算手段310などを含む制御系300で、「演算手段」を構成できる。この「演算手段」は、走査される走査ライン上に、DA変換器の最小時間分解能の整数倍の時間に対応する距離に相当する少なくとも2点の各位置を演算する機能を有する。この場合、制御部170の「制御手段」は、前記演算手段にて演算された各位置間を前記電子ビームによりほぼ直線的に走査するように制御することとなる。また、同様にして、本発明の他の態様の「演算手段」では、略円状に走査される走査ライン上に、DA変換器の最小時間分解能の整数倍の時間に対応する距離を一辺とする多角形の各頂点位置を算出する機能を有する。また、制御手段は、演算手段にて演算された各位置間を前記電子ビームによりほぼ直線的に走査するのは同様である。
上記のような構成を有する制御系300は、概略次のように作用する。すなわち、描画条件演算手段310が描画パターンデータメモリ301から直線近似による走査(描画)に必要な情報を取得すると、所定の描画条件の演算処理を行ない、例えば一つの円に対して正多角形の各辺に近似された場合の各辺のうち最初の辺、奇数番目のラインに関する情報は、(2k+1)ライン描画条件演算手段311へ、次の辺、偶数番目のラインに関する情報は、(2k)ライン描画条件演算手段331へ各々伝達される。
これにより、例えば、(2k+1)ライン描画条件演算手段311は、奇数ラインに関する描画条件を生成し、走査クロックCL1と生成された奇数ライン描画条件生成信号CL2とに基づいて、偏向信号出力回路320から奇数ライン偏向信号CL9を出力する。
一方、例えば、(2k)ライン描画条件演算手段331は、偶数ラインに関する描画条件を生成し、走査クロックCL1と生成された偶数ライン描画条件生成信号CL4とに基づいて、偏向信号出力回路340から偶数ライン偏向信号CL10を出力する。
これら奇数ライン偏向信号CL9と偶数ライン偏向信号CL10は、描画条件演算手段310のもとに切換回路360によって、その出力が交互に切り換わる。したがって、ある一の円について、正多角形に近似され、各辺が算出されると、ある一つの辺、奇数番目の辺が描画されると、次の辺、偶数番目の辺が描画され、さらに次ぎの辺、奇数番目の辺が描画される、という具合に交互に各辺が直線的に描画(走査)されることとなる。
そして、ある一の円について描画が終了すると、描画条件演算手段310は、その旨をブランキングアンプ350に伝達し、他の次の円を描画するように促す処理を行なう。このようにして、各円について多角形で近似した描画を行うこととなる。
次に、上述した電子ビーム描画を用いて、母型を形成し、その母型より光学素子成形金型を形成する工程を説明する。図15は、本実施の形態にかかる金型の製作方法を示すフローチャートである。図16は、図15に示す主要な工程において、処理される基材を示す断面図である。
まず、図15のステップS101で、樹脂材を加熱溶融させた後、元型K1、K2内の空間に射出して、基材2を射出成形する。このとき、元型K1の転写面K1aには輪帯は形成されていないが、光学素子の光学面に対応した非球面形状となっているので、射出成形された基材2の母光学面(すなわち非平面部2d)は、精度良く非球面形状が転写される。尚、基材2は、切削加工によりシリコンから切り出されても良い。
続いて、ステップS102で、基材2を、不図示のスピンコータにセットし、ステップS103で、レジストLを基材2上に流下させながらプレスピンを実施し、その後ステップS104でプレスピンよりも高速に回転する本スピンを実施して、レジストLの被膜を行う(図16(b)参照)。プレスピンと本スピンとを分けたのは、非球面形状のような複雑な曲面である基材の母光学面2dに、均一な膜厚のレジストLを被膜させるためである。尚、レジストLを基材2にスプレー塗布して基材の母光学面2dを被膜することも可能である。
その後、ステップS105で、基材2をスピンコータから取り外し、ステップS106で、雰囲気温度180℃で20分間ベーキング処理を行って、レジストLの被膜を硬化し安定させる。ここで、一回のレジストLの被膜処理では、十分な膜厚を得ることができない場合には、ステップS102〜S106の工程を繰り返し、レジストLの被膜を積層させて十分な膜厚になったところで(ステップS107)、ステップS108で、不図示の電子ビーム描画装置から照射される電子ビームBを用いて、基材2の母光学面2d上のレジストLに電子ビーム描画処理を施す(図16(c)参照)。この際に、上述したステップ・アンド・リピートにより描画を行う。
ここで、本実施の形態の電子ビーム描画処理について、より詳細に説明する。図19は、電子ビーム描画処理を説明するフローチャートである。図20は、本実施の形態において電子ビーム描画処理を模式的に示したレジストの断面斜視図である。図20において、W1は電子ビームの走引ピッチを広くする領域の幅A1(単位はdot)を示し、W2は電子ビームの走引ピッチを狭くする領域の幅A2(単位はdot)を示し、PBはブレーズ(斜面)の幅(単位はdot)を示し、pxは電子ビームの走引位置(px=0〜Pの整数)を示す。尚、D(px/PB)はドーズ量関数である。
まず、図19のステップS201において、描画パターンデータを作成する。これは、記憶されているデータ中のブレーズ本数やフィールド分割数等を取得することで行える。続いて、ステップS202において、最初のブレーズ描画データを作成する。更に、ステップS203において、n=0とした後、ステップS203で、px=2nラインの描画座標を検出する。
ステップS205で、pxが領域A1内であるか否かを判断し、pxが領域A1内であると判断すれば、ステップS206で、px=2nラインをドーズ量D(px/PB)で描画する。これは、pxが大きくなるほど、ドーズ量を増大させるものであり、例えば電子ビームの走引速度を遅くすることに対応し、ブレーズの斜面を形成するのに必要である。1ラインを走引し終えたら、ステップS207で、2n=PBとならない限り、ステップS214で、n=n+1として、ステップS204以降を繰り返す。このようにして斜面の浅い領域A1の電子ビーム描画を行う。
一方、nが十分増大して、ステップS205で、pxが領域A1にない(領域A2に入った)と判断された場合、ピッチを半分にして以降の電子ビームの走引を行う。より具体的には、ステップS210で、px=2nラインをドーズ量int{D(px/PB)/2}で描画する。続いて、ステップS212で、px=2n+1ラインの描画座標を検出する。更に、ステップS213で、px=2n+1ラインをドーズ量D(px/PB)−int{D(px/PB)/2}で描画する。これにより、2nラインのドーズ量と、それに隣接する2n+1ラインのドーズ量の合計は、ドーズ量D(px/PB)となり、ライン数が2倍になっても全体としてのドーズ量を適切に維持することができる。
以上の描画を繰り返した後、ステップS207で、2n=PBとなれば、ステップS208で、全ての描画が完了したか否かを判断し、完了していなければ、ステップS215で、次のフィールドに移動して、ブレーズデータを作成し、ステップS203以降を繰り返し、全ての描画が完了したと判断すれば、電子ビーム描画処理を完了する。
ところで、電子ビーム描画装置によっては、ドーズ量を調整するために変化させる走引速度の変更可能範囲が狭い場合がある。例えば、図21(a)に示すごとく変化するドーズ量を得ようとした場合、理想的には、図21(b)に示すように、7段階にドーズ量を調整する必要がある。ところが、走引速度の最小単位の関係から、4段階しか走引速度を変更できない場合があったとする。かかる場合、領域A1で十分なドーズ量を得るように電子ビーム照射量を決定した場合、領域A2では電子ビーム照射量が不足する。
これに対し、本実施の形態によれば、まず図21(c)に示すように、一度電子ビームの走引を行い、ついで図21(d)に示すように電子ビームの走引を行うことができ、それにより照射量の合計は、図21(b)に示すものとなり、図21(a)に示す理想に近いドーズ量を得ることができる。尚、本実施の形態では、領域A2では、走引ピッチを半分にしたが、これを1/3又はそれ以下とすることは任意であり、それに応じてドーズ量を変えることができる。
上述のごとき電子ビーム描画処理後、図15のステップS109で、基材2に対して現像処理及びリンス処理を行って(図16(d)参照)、不要なレジストを排除することで、輪帯形状のレジストLを得る。ここで、ドーズ量に応じてレジストLの除去量が増大するため、ブレーズ形状の回折輪帯になるよう、レジストLを残すことができる。
更に、ステップS110で、プラズマシャワーによるドライエッチングを経て、基材2の母光学面2dの表面を彫り込んでブレーズ状の回折輪帯3(実際より誇張されて描かれている)を形成する(図16(e)参照)。更に、ステップS111で、基材2を円筒状の治具(不図示)に接着する。その後、基材2に裏打ち部材を配置し、ステップS112で、スルファミン酸ニッケル浴中に、表面を活性処理した基材2を浸し電鋳を成長させ、電鋳部材を得る。更に、ステップS113で、電鋳部材を切断して、ステップS114で、基材2と電鋳部材とを脱型する。脱型された電鋳部材は、ステップS115で機械加工され、光学素子成形用金型として成形装置に組み込まれ、光学素子の成形に用いられる。
図17は、本実施の形態にかかるビーム描画方法により形成された光学素子の一例としての対物レンズを含む光ピックアップ装置の概略図である。図17において、光ピックアップ装置400は、半導体レーザー401、コリメートレンズ402、分離プリズム403、対物レンズ404、DVD、CD等の光磁気ディスク405(光磁気記録媒体)、1/2波長板406、偏光分離素子407、集光レンズ408、シリンドリカルレンズ409、分割光検出器410を有する。
上記のような構成を有する光ピックアップ装置400において、半導体レーザー1からのレーザー光は、コリメートレンズ402で平行光となり、分離プリズム403で対物レンズ404側に反射され、対物レンズ404によって回折限界まで集光されて光磁気ディスク405(光磁気記録媒体)に照射される。
光磁気ディスク405からのレーザー反射光は、対物レンズ404に入光して再び平行光となり、分離プリズム403を透過し、更に、1/2波長板406を透過し偏光方位を45度回転した後、偏光分離素子407に入射し、この偏光分離素子407で、光路が近接したP,S両偏光からなる2つの光束に分離される。前記P,S両偏光の光束はそれぞれ集光レンズ408,シリンドリカルレンズ409によって集光されて、分割光検出器410の分離受光領域(受光素子)にそれぞれのスポットを形成する。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。たとえば本発明のビーム描画方法は、電子ビームに限らず、他のビームにおいても適用が可能である。又、光学素子を成形するための型のみならず、種々の描画に適用可能である。
図1(a)は、従来技術による斜面を創成するための電子ビーム描画処理を模式的に示したレジストの断面斜視図である。図1(b)は、かかる電子ビーム描画が行われたレジストの現像後の形状を示す断面図である。 図2(a)は、本発明による斜面を創成するための電子ビーム描画処理を模式的に示したレジストの断面斜視図である。図2(b)は、かかる電子ビーム描画が行われたレジストの現像後の形状を示す断面図である。 本発明の基材の概略構成の一例を示す説明図である。 図3の基材の要部を詳細に示す説明図である。 回折輪帯の概略断面図である。 本発明のビーム描画装置の全体の概略構成を示す説明図である。 測定装置の原理を説明するための説明図である。 同図(A)〜(C)は、基材の面高さを測定する手法を説明するための説明図である。 測定装置の投光と受光との関係を示す説明図である。 信号出力と基材の高さとの関係を示す特性図である。 同図(A)(B)は、図6の電子ビーム描画装置にて描画される基材を示す説明図であり、同図(C)は、描画原理を説明するための説明図である。 電子ビーム描画装置におけるビームウエストを説明するための説明図である。 電子ビーム描画装置において、所定のドーズ分布にて描画を行うための制御系の詳細を示す機能ブロック図である。 電子ビーム描画装置のさらに詳細な制御系の構成を示す機能ブロック図である。 本実施の形態にかかる金型の製作方法を示すフローチャートである。 図15に示す主要な工程において、処理される母型(基材)を示す断面図である。 光ピックアップ装置の概略を示す説明図である。 描画領域を模式的に示す基材の上面図である。 電子ビーム描画処理を説明するフローチャートである。 本実施の形態において電子ビーム描画処理を模式的に示したレジストの断面斜視図である。 重ね合わせ照射によるドーズ量の調整を説明するための図である。
符号の説明
1 電子ビーム描画装置
2 基材(被描画基材)
3 回折輪帯
3a 側壁部
3b 傾斜部
3c 溝部
10 鏡筒
12 電子銃
14 スリット
16 電子レンズ
18 アパーチャー
20 偏向器
22 補正用コイル
30 XYZステージ
40 ローダ
50 ステージ駆動手段
60 ローダ駆動装置
70 真空排気装置
80 測定装置
82 第1のレーザ測長器
84 第1の受光部
86 第2のレーザー測長器
88 第2の受光部
100 制御回路
110 コイル制御部
112a 成形偏向部
112b 副偏向部
112c 主偏向部
116 位置誤差補正回路
118 電界制御回路
120 パターン発生回路
130 第1のレーザー駆動制御回路
132 第2のレーザー駆動制御回路
134 第1のレーザー出力制御回路
136 第2のレーザー出力制御回路
140 第1の測定算出部
142 第2の測定算出部
150 ステージ制御回路
152 ローダ制御回路
154 機構制御回路
156 真空排気制御回路
158 測定情報入力部
160 メモリ
162 プログラムメモリ
170 制御部
300 制御系

Claims (4)

  1. 電子ビームをレジストに照射し、現像を行うことで、電子ビームの照射方向に対して傾いた斜面を有する3次元形状を創成する際に用いる電子ビーム描画方法であって、
    レジストに照射する電子ビームの走引ピッチを所定間隔とした複数の走引により3次元形状の斜面を創成する場合における、走引位置とドーズ量との関係を示すドーズ量関数を求め
    創成すべき3次元形状の斜面が浅い第1の領域では、前記ドーズ量関数に従うドーズ量にて前記所定間隔の走引ピッチで電子ビームをレジストに照射し、
    創成すべき3次元形状の斜面が前記第1の領域より深い第2の領域では、前記ドーズ量関数に従うドーズ量よりも少ない低減ドーズ量にて、前記所定間隔より狭い走引ピッチで電子ビームをレジストに照射し、
    前記第2の領域の単位面積内で走引された電子ビームにおいて、前記低減ドーズ量の総和は、前記ドーズ量関数に従ったと仮定したときのドーズ量の総和に等しくすることを特徴とする電子ビーム描画方法。
  2. レジストに照射する電子ビームの走引ピッチを所定間隔とした場合における、3次元形状を創成するために必要な一走引当たりのドーズ量が閾値を超えたとき、前記電子ビームの走引ピッチを小さくすることを特徴とする請求項に記載の電子ビーム描画方法。
  3. 前記ドーズ量が閾値を超える前において、前記電子ビームの走引ピッチをp、前記ドーズ量をDとしたときに、前記ドーズ量が閾値を超えた後において、前記電子ビームの走引ピッチを(p/n)、前記ドーズ量を(D/n)とする(ただし、nは2以上の整数)ことを特徴とする請求項に記載の電子ビーム描画方法。
  4. 電子ビームを照射した領域に対して、少なくともドーズ量もしくは走引ピッチの一方を変更して、再度電子ビームを照射することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電子ビーム描画方法。
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