JP4430272B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンツ型の使い捨ておむつに関する。特に、使い捨ておむつのサイズ調整機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
パンツ型のおむつは、一般的に、乳幼児の成長に合わせてS,M,L等のようにサイズ分けされている。大人用のおむつの場合にも、着用者の体格に合わせていくつかのサイズが用意されている。ところで、複数の異なるサイズのおむつであっても、全ての着用者にフィットするとは限らない。ウエスト周りが平均より細い場合や、太股の周りが平均より細いというケースがある。このため、実開平5−39531号公報に示されるように、ウエスト開口部及び脚開口部にサイズ調整用の止着部材を別設したおむつが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
パンツ型のおむつにおいては、所謂オープン型のおむつに比べてスリムで見栄えが良いというのがメリットの1つである。しかしながら、上述した止着部材を備えた従来のパンツ型おむつでは、止着部材の端部がブラブラしておむつ本体から浮いた状態になる。このため、見栄えが悪いだけでなく、乳幼児などが不用意に当該止着部材を剥がしてしまうことがある。
【0004】
本発明は上記のような状況に鑑みて成されたものであり、見栄えがよく、且つ、サイズ調整部を不用意に解除することの少ない使い捨ておむつ提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の使い捨ておむつは、前胴周り域と後胴周り域と股下域とによってパンツ形状をなし、胴周り開口と一対の脚周り開口とを備えたパンツ型使い捨ておむつにおいて、前記胴周り開口及び脚周り開口のうちの少なくとも一方の周縁部外面の一部に、止着部材が直接取付けられている。そして、前記止着部材の接着面は前記外面と同一方向を向き、前記外面同士が前記止着部材を介して着脱可能に形成されている。ここで、「止着部材の接着面が外面と同一方向を向き」とは、例えば、止着部材が外面上に取り付けられ、その接着面が外面と同様におむつの外側(着用者の肌と反対側)に向いている状態を言う。また、「外面同士が止着部材を介して着脱・・」とは、止着部材があたかも外面の一部のように機能し、サイズ調整時には接着部分はズボンのタックのような姿勢をとる意味である。
【0006】
上記のような請求項1に記載の発明によれば、任意のサイズに容易且つ確実に調整することが可能となる。また、止着部材の接着面が外面と同一方向を向いており、止着部材とおむつ外面とが一体となってたぐられる様な格好になるため、ベルトのような別部材を取付けた構造に比べ、ウエスト周りがすっきりとし、見栄えを損なうことがない。また、フィット性が向上するため、漏れ防止効果が向上することが期待できる。更に、ベルトのように、おむつ本体から浮き上がった部材が存在しないため、不用意に接着部を剥がしてしまう確率が著しく減少する。
【0007】
請求項2に記載の発明においては、止着部材がメカニカルファスナーのフック部材である。この時、請求項3に記載のように、胴周り開口及び脚周り開口のうちの少なくとも一方の周縁部外面の一部に、メカニカルファスナーのループ部材を取付けることができる。
【0008】
請求項4に記載の発明においては、止着部材が、胴周り開口及び脚周り開口いずれかの周り方向に、複数存在する。このような構成により、サイズの微調整が可能となる。
【0009】
請求項5に記載の発明においては、胴周り開口及び脚周り開口いずれかの周縁部外面に、摘持部を形成している。このような構成により、摘持部をつかんで容易に周縁部をたぐり寄せることが可能となる。
【0010】
請求項6に記載の発明においては、おむつの着用感や外観を損ねることなく周縁を規則的に折り重ねるため、止着部材近傍の周縁部の剛性を他の部分と異ならせている。
【0011】
請求項7に記載の発明においては、胴周り開口又は脚周り開口の周縁部には、止着部材が取り付けられた領域を除き、その周縁部に沿って弾性部材が伸張状態で取り付けられている。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施例に係る使い捨ておむつ10の構成を示す斜視図である。図2は、本実施例のおむつ10の構成を示す正面図であり、前身頃のみを示す。本実施例のおむつ10は、着用者の肌に接する液透過性の表面シートと、おむつ10の外側に設けられた液不透過性の裏面シートと、体液を吸収する吸収性コア16とを備えている。基本的には、これら表面シート、裏面シート、吸収性コア16によっておむつ本体が構成される。
【0013】
表面シートは、これに***された体液を吸収性コア16に迅速に導き、吸収性コア16に一旦吸収された体液が表面シートの肌当接面へ逆流することが少ない構造となっている。例えば、親水処理された不織布、又は、多数の開孔を付与したプラスチックフィルムなどが使用される。裏面シートは、液不透過性を有するプラスチックフィルムや不織布、又は、プラスチックフィルムや不織布とのラミネートによって構成することができる。吸収性コア16は、親水性繊維又は、親水性繊維や高吸収性ポリマー粒子から形成される。また、熱可塑性合成繊維を混在させても良い。ここで、親水性繊維とは、例えば、粉砕パルプやレーヨンなどが挙げられる。
【0014】
着用者の胴周りに位置する部分にはウエスト開口部12が形成され、脚周りに位置する部分には脚開口部14が形成されている。ウエスト開口部12の上縁部の左右両端における裏面シート上には、止着部材(第1の接着領域)24が設けられている。止着部材24としては、メカニカルファスナーのフック部材や、粘着材を使用することができる。粘着材としては、粘着付与剤及び軟化剤を主成分とし、スチレン層とゴム層との2層ブロック構造を保持したスチレン系ブロックポリマーや;ポリオレフィン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、エラストマー系の材料を使用することができる。
【0015】
止着部材24としてメカニカルファスナーのフック部材を採用した場合には、当該止着部材24と接着する裏面シート上の領域26(第2の接着領域)には、メカニカルファスナーのループ部材を設けるか、或いは、裏面シート自体に毛羽立ちの多い不織布を使用する。毛羽立ちの多い不織布としては、スパンボンド、ニードルパンチ等を使用することができる。なお止着部材24及び領域26ともに、裏面シートに対して全面固定されることが好ましい。
【0016】
一方、止着部材24として粘着材を使用した場合には、当該止着部材24と接着する裏面シート上の領域26(第2の接着領域)にプラスチックフィルムを貼り付けるか、或いは、裏面シート自体を当該フィルムで構成する。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンコポリマー、プロピレンコポリマー、これらの物質のブレンド材料、或いは、ポリオレフィン系の樹脂シート等を使用することができる。
【0017】
本実施例における止着部材24は、接着面(メカニカルファスナーのフック面)がおむつ本体の外面と同一方向(使用者の肌と逆方向)を向いており、サイズ調整時には、止着部材24とおむつ外面とが一体となってたぐられる様な格好になる。このため、ベルトのような別部材を取付けた構造に比べ、ウエスト周りがすっきりとし、見栄えを損なうことがない。
【0018】
止着部材24は、ウエストライン(サイズ調整方向)に沿って配列された複数の部材から構成される。これらの止着部材24は、胴周り弾性部材18が存在しない領域に配置されることが好ましい。胴周り弾性部材18の収縮力で、一旦折り重ねたおむつの周縁が剥がれ易くなるからである。仮に、胴周り弾性部材18の上に止着部材24を形成してしまうと、折角サイズ調整をしても、胴周り弾性部材の伸縮力により、その効果が半減してしまう(吸収されてしまう)。止着部材24の外側には、サイズ調整時に使用される摘持部(ツマミ)22が設けられている。
【0019】
図3は、第1の実施例に係るおむつ10の使用方法を示す斜視図である。また、図4は、止着部材24付近の構造を示す断面図である。本実施例にかかるおむつ10のサイズ調整機能を使用する(締め付け力をアップさせる)場合には、腰骨の付近にある摘持部22をつかみ、おむつ本体をたぐり寄せるように当該摘持部22を腹部側に引っ張る。そして、適当な位置でおむつ本体(裏面シート)側に押し付けることにより、止着部材24が裏面シートの接着領域26に接着する。これにより、任意のサイズに容易且つ確実に調整することが可能となる。また、ベルトのような別部材を取り付けた構造ではないため、ウエスト周りがすっきりとし、見栄えを損なうことがない。また、フィット性が向上するため、漏れ防止効果が向上することが期待できる。更に、ベルトのように、おむつ本体から浮き上がった部材が存在しないため、不用意に接着部を剥がしてしまう確率が著しく減少する。
【0020】
図5は、本発明の第2の実施例に係るおむつの構成を示す正面図であり、前身頃のみを示す。なお、本実施例において、上記第1の実施例と同一又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。本実施例は、第1の実施例に加えて、脚開口部14にもサイズ調整機構を設けたものである。すなわち、脚開口部14の縁部に、止着部材30を当該開口部14に沿って複数配列設置するとともに、前身頃と後身頃の接着部付近に摘持部(ツマミ)32を設けている。脚開口部14におけるサイズ調整方法は、ウエスト開口部12の場合と同様である。
【0021】
図6は、本発明の第3の実施例に係るおむつの構成を示す正面図であり、前身頃のみを示す。なお、本実施例において、上記第1及び第2の実施例と同一又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。本実施例は、第1の実施例に加え、止着部材24の間に高剛性の芯材36を取付けている。この高剛性領域は、JIS L 1096に準拠したガーレー剛性値で、0.5〜20mN/25mm、より好ましくは、1〜10mN/25mmの範囲であって、表裏面シートを合わせた剛性の少なくとも3倍である。
【0022】
芯材36の位置は、止着部材24の間に限らず、止着部材24の裏側に配置することも可能である。また、芯材でなく、表裏面シートをエンボス処理して剛性を高めてもよく、更に、止着部材24自体の剛性を高めても、同様の効果が得られる。ただし、本発明は高剛性に限られるものではなく、止着部材24近傍の剛性を表裏面シートを合わせた剛性よりも低くしてもよい。この実施例において、例えば、表裏面シートにスリットを入れて、止着部材24近傍の剛性を下げる構造を採用することができる。この場合の、止着部材24近傍のガーレー剛性値としては、0〜1mN/25mmの範囲とする。このように、止着部材24近傍の周縁部の剛性を、内面シート及び外面シートの剛性と異ならせることで、おむつの着用感や外観を損ねることなくおむつの周縁を規則的に折り重ねることが可能となる。
【0023】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内で適宜設計変更可能であることは言うまでもない。
【0024】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、サイズ調整機構を設けているにも関わらず、ウエスト周り及び脚部がすっきりとし、見栄えを損なうことがない。また、フィット性が向上するため、漏れ防止効果が向上することが期待できる。更に、ベルトのように、おむつ本体から浮き上がった部材が存在しないため、不用意に接着部を剥がしてしまう確率が著しく減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施例に係る使い捨ておむつの構成を示す斜視図であり、側部側から見た様子を示す。
【図2】図2は、第1の実施例に係るおむつの構成を示す斜視図であり、前身頃側から見た様子を示す。
【図3】図3は、第1の実施例に係るおむつの使用方法を示す斜視図である。
【図4】図4は、第1の実施例に係るおむつの止着部材近傍(使用時)の様子を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施例に係るおむつの構成を示す斜視図であり、前身頃側を示す。
【図6】図6は、本発明の第3の実施例に係るおむつの構成を示す斜視図であり、前身頃側を示す。
【符号の説明】
10 使い捨ておむつ
12 ウエスト開口部
14 脚開口部
16 吸収性コア
18 胴周り弾性部材
20 レッグギャザー
22 摘時部
24 止着部材(第1の接着領域)
26 接着領域(第2の接着領域)
36 芯材
Claims (7)
- 前胴周り域と後胴周り域と股下域とによってパンツ形状をなし、胴周り開口と一対の脚周り開口とを備えたパンツ型使い捨ておむつにおいて、
前記胴周り開口及び脚周り開口のうちの少なくとも一方の周縁部外面の一部に、止着部材が直接取り付けられ、
前記止着部材の接着面は前記外面と同一方向を向き、前記外面同士が前記止着部材を介して着脱可能に形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。 - 前記止着部材がメカニカルファスナーのフック部材であることを特徴とする請求項1に記載の使い捨ておむつ。
- 前記胴周り開口及び脚周り開口のうちの少なくとも一方の周縁部外面の一部に、メカニカルファスナーのループ部材が取付けられていることを特徴とする請求項2に記載の使い捨ておむつ。
- 前記止着部材が、前記胴周り開口及び脚周り開口いずれかの周り方向に、複数、存在することを特徴とする請求項1,2又は3に記載の使い捨ておむつ。
- 前記胴周り開口及び脚周り開口いずれかの周縁部外面に、摘持部を形成したことを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の使い捨ておむつ。
- 前記周縁部において、前記止着部材の近傍の剛性が他の部分の剛性と異なることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載の使い捨ておむつ。
- 前記胴周り開口又は脚周り開口の周縁部には、前記止着部材が取り付けられた領域を除き、その周縁部に沿って弾性部材が伸張状態で取り付けられていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6に記載の使い捨ておむつ。
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