JP4424815B2

JP4424815B2 - 耐油性コンベアベルト

Info

Publication number: JP4424815B2
Application number: JP2000101968A
Authority: JP
Inventors: 文男麻田
Original assignee: Bridgestone Corp
Current assignee: Bridgestone Corp
Priority date: 2000-04-04
Filing date: 2000-04-04
Publication date: 2010-03-03
Anticipated expiration: 2020-04-04
Also published as: JP2001288301A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐油性コンベアベルト用ゴム組成物およびそれを用いた耐油性コンベアベルトに関する。
【０００２】
【従来の技術】
アクリロニトリル・ブタジエンゴム（ＮＢＲ）を主成分とするゴム組成物に各種添加剤を添加して加硫したゴムからなるコンベアベルトは、従来、耐油性に優れたコンベアベルトとして用いられている。また、コンベアベルトの補強材としては、経済的な考慮（コスト面）から布製補強帆布が用いられ、これを加硫接着して用いるために汎用ゴムを配合したゴムが用いられるようになり、この布製補強帆布を芯体とする接着ゴムと、該接着ゴムの上下面に加硫接着された少なくとも１層のカバーゴムとからなる耐油性コンベアベルトが用いられるようになってきた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、耐油性を高めるためにＮＢＲを用いた従来のコンベアベルトにおいては、各層間の接着性を維持するために全ての層においてＮＢＲを使用することが求められ、その結果、汎用ゴムのみを用いたコンベアベルトに比べコスト面で不利であった。もし、汎用ゴムを接着層に用いることができれば、コスト面のみならずカバーゴムの異なるコンベアベルトとの共用も可能になる。また、成形作業性の低下をきたすこともなく、さらに、補強材としての補強帆布との接着性の安定化の面でも有利となる。
【０００４】
そこで本発明の目的は、上記問題を解決し、汎用ゴムとの接着性を高めた耐油性コンベアベルト用ゴム組成物およびそれを用いた耐油性コンベアベルトを提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、耐油性に優れたＮＢＲを主成分とするゴム成分を、ＮＢＲ中のアクリロニトリル（ＡＮ）の割合の高いものと低いものとのブレンドとすることにより汎用ゴムとの接着が良好となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００６】
即ち、本発明の耐油性コンベアベルトは、芯体として補強帆布を有する接着ゴムと、該接着ゴムの上下面に加硫接着された少なくとも１層のカバーゴムとからなる耐油性コンベアベルトにおいて、
上記接着ゴムに、ゴム成分として汎用ゴムが配合されるとともに、上記カバーゴムに、ＮＢＲを主成分とし、該ＮＢＲがＡＮの割合の高いもの（以下「高ＡＮ−ＮＢＲ」と略記する）と、低いもの（以下「低ＡＮ−ＮＢＲ」と略記する）との重量比７５／２５〜６０／４０のブレンドからなる耐油性コンベアベルト用ゴム組成物が使用され、該耐油性コンベアベルト用ゴム組成物における、高ＡＮ−ＮＢＲ中のＡＮの割合が３７〜４３％であり、低ＡＮ−ＮＢＲ中のＡＮの割合が１５〜２４％であり、かつ、該耐油性コンベアベルト用ゴム組成物が有機酸コバルトおよび／またはジメタクリル酸亜鉛を含むことを特徴とするものである。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の耐油性コンベアベルト用ゴム組成物の実施の形態について説明する。
本発明のゴム組成物は、ＮＢＲを主成分とし、このＮＢＲが高ＡＮ−ＮＢＲと、低ＡＮ−ＮＢＲとのブレンドからなる。かかるブレンドとすることにより、汎用ゴムとの接着性を高めることができる。
【００１０】
本発明においては、高ＡＮ−ＮＢＲ中のＡＮの割合が３７〜４３％であり、低ＡＮ−ＮＢＲ中のＡＮの割合が１５〜２４％であることが好ましく、両者がこれら範囲内のときに耐油性と汎用ゴムとの接着性との両立を良好に図ることができる。また、高ＡＮ−ＮＢＲと、低ＡＮ−ＮＢＲとの重量比が７５／２５〜６０／４０であることが好ましく、両者の重量比がこの範囲内のときに、同様に耐油性と汎用ゴムとの接着性との両立を良好に図ることができる。
【００１１】
本発明のゴム組成物のゴム成分には、耐油性と汎用ゴムとの接着性を阻害しない範囲内でＮＢＲ中のＡＮの割合が中程度のＮＢＲ（以下「中ＡＮ−ＮＢＲ」と略記する）が含まれていてもよく、また、天然ゴムや他の合成ゴム、例えば、ブタジエンゴム、スチレンブタジエン共重合体ゴム（ＳＢＲ）、ブチルゴム等が含まれていてもよい。
【００１２】
また、本発明のゴム組成物には、接着性を高めるために有機酸コバルト、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、バーサチック酸コバルト等またはジメタクリル酸亜鉛を含めることが好ましい。有機酸コバルトは、ゴム成分１００重量部に対し、好ましくは１．５〜６重量部、より好ましくは２〜４重量部配合する。また、ジメタクリル酸亜鉛は、ゴム成分１００重量部に対し、好ましくは０．５〜４重量部、より好ましくは１〜２重量部配合する。有機酸コバルトおよびジメタクリル酸亜鉛の添加量がこれら範囲内よりも少ないと添加による接着性向上効果が十分に得られず、一方、これら範囲内よりも多いとゴムの物性が低下し、またコスト的にも好ましくない。
【００１３】
尚、本発明のゴム組成物においては、上記以外に必要に応じて、老化防止剤、カーボンブラックやシリカ等の補強材、充填材、加工助剤等、通常のゴム配合物を適宜配合することができるのは勿論のことである。
【００１４】
次に、本発明の耐油性コンベアベルトの実施の形態について説明する。
本発明の一実施の形態に係る耐油性コンベアベルトは、図１に示すその断面構造に観られるように、補強帆布１が埋設された接着ゴム２の上下面にカバーゴム３が加硫接着されている。カバーゴム３は、上述の本発明のゴム組成物より構成される。図示する好適例ではカバーゴム３の層数は上下夫々１層であるが、複数層であってもよい。例えば、押出し機の制約により層厚に制限がある場合には複数層とすればよい。また、補強帆布１の層数も制限されない。
【００１５】
接着ゴム層２には、ゴム成分として汎用ゴムが配合されている。ここで、汎用ゴムとは、耐油性や耐熱性等の特殊性能の向上は特に求められておらず、従来よりコンベアベルトとして慣用されているゴム、例えば、天然ゴム（ＮＲ）や他の合成ゴム、例えば、ブタジエンゴム、スチレンブタジエン共重合体ゴム（ＳＢＲ）、ブタジエンゴム（ＢＲ）などである。
【００１６】
本発明のコンベアベルトにおいて補強材として使用する帆布は、特に制限されるべきものではないが、ナイロンやポリエステル製帆布を好適に使用することができる。
【００１７】
本発明の耐油性コンベアベルトは、例えば、上記接着ゴムおよびカバーゴム用の各ゴム組成物から未加硫ゴムシートを得、接着ゴムのための未加硫ゴムシートの間に接着ゴムで被覆した補強帆布を１層あるいは多層積層して、これら接着ゴムシートの両側に上記カバーゴムのための未加硫ゴムシートを順次積層し、これらを常法に従って加硫接着することによって製造することができる。
【００１８】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
下記の表１に示す配合内容（重量部）に従い、汎用ゴムの接着ゴム層用ゴム組成物を調製した。
【００１９】
【表１】

【００２０】
次に、下記の表２および表３に示す配合内容（重量部）に従い、各種カバーゴム用ゴム組成物を調製した。得られた各種カバーゴム用ゴム組成物に対し、上記接着ゴム層用ゴム組成物（汎用ゴム）等との接着性および耐油性を次のようにして評価した。
【００２１】
（１）接着性
▲１▼汎用ゴムとの接着性
カバーゴム用ゴム組成物と接着ゴム層用ゴム組成物との未加硫シート同士を貼り合わせ、成型した後、１５１℃で２０分間、加硫プレスで加硫した。しかる後、テンシロンにより５０ｍｍ／分の剥離速度で両シートを剥離させ、界面の破壊状態を判定した。判定基準は下記の通りである。
○：界面で剥離せず、１００％ゴム破壊した場合
△：界面での剥離とゴム破壊とがほぼ半々であった場合
×：界面で１００％剥離した場合
▲２▼同種カバーゴム同士の接着性
同種のカバーゴム用ゴム組成物の未加硫シート同士を貼り合わせ、成型した後、１５１℃で２０分間、加硫プレスで加硫したものについて、上記と同様にして界面の接着性を評価した。
▲３▼異種カバーゴム同士の接着性
実施例２のカバーゴム用ゴム組成物と他のカバーゴム用ゴム組成物の未加硫シート同士を貼り合わせ、成型した後、１５１℃で２０分間、加硫プレスで加硫したものについて、上記と同様にして界面の接着性を評価した。
【００２２】
（２）耐油性
供試カバーゴム用ゴム組成物を１５１℃で２０分間加硫プレスして２ｍｍ厚の加硫ゴムを作製した。得られた加硫ゴムを油（商品名：ＩＲＭ９０３）に沈め、７０℃で７日間放置した後、取り出し、体積変化度（△Ｖ）を評価した。判定基準は下記の通りである。
○：△Ｖ＝１０％以下
△：△Ｖ＝１０〜１５％
×：△Ｖ＝１５〜４０％
得られた結果を下記の表２および表３に併記する。
【００２３】
【表２】

【００２４】
【表３】

１）ＡＮ量：４１％
２）ＡＮ量：３４％
３）ＡＮ量：２０％
４）商品名：エスコレツ
５）ジオクチルフタレート
６）ジベンゾチアジルジスルフィド
【００２５】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の耐油性コンベアベルト用ゴム組成物においては、優れた耐油性が得られるとともに汎用ゴムとの接着性に優れており、よって安価に耐油性コンベアベルトを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施の形態に係る耐油性コンベアベルトの部分断面図である。
【符号の説明】
１補強帆布
２接着ゴム
３カバーゴム

Claims

芯体として補強帆布を有する接着ゴムと、該接着ゴムの上下面に加硫接着された少なくとも１層のカバーゴムとからなる耐油性コンベアベルトにおいて、
上記接着ゴムに、ゴム成分として汎用ゴムが配合されるとともに、上記カバーゴムに、アクリロニトリル・ブタジエンゴムを主成分とし、該アクリロニトリル・ブタジエンゴムがアクリロニトリルの割合の高いものと、低いものとの重量比７５／２５〜６０／４０のブレンドからなる耐油性コンベアベルト用ゴム組成物が使用され、該耐油性コンベアベルト用ゴム組成物における、アクリロニトリルの割合の高いアクリロニトリル・ブタジエンゴム中の該アクリロニトリルの割合が３７〜４３％であり、アクリロニトリルの割合の低いアクリロニトリル・ブタジエンゴム中の該アクリロニトリルの割合が１５〜２４％であり、かつ、該耐油性コンベアベルト用ゴム組成物が有機酸コバルトおよび／またはジメタクリル酸亜鉛を含むことを特徴とする耐油性コンベアベルト。