JP4424706B2 - 腺組織の自動検出方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常人体の器官または器官部分を可視化することができる放射線撮像の分野に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ディジタル放射線医学においては、得られたディジタル画像は特にＸ線量と検査対象器官の組織の性質に依存する。検査対象器官は様々な性質の組織からなることがあり、検査対象器官のうちの関心あるゾーンは特定の性質の組織で構成されていることがある。特に、脂肪組織と腺組織から構成される***の場合がそうである。
【０００３】
現今の***撮影装置では、自動露光セル（ＡＥＣ）が腺組織とみなされるものの後ろ側に位置決めされる。しかしこの位置決めは勘で行われる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
従って検査される組織の性質に応じて露光のパラメータを設定するため、***の腺組織や検査対象器官の他の組織など、決まった性質の組織を自動的に検出することができることが望まれる。
【０００５】
従って、本発明の目的は、ディジタルＸ線写真で検査される器官の所定の性質の組織の自動検出方法と、その器官の露光のパラメータを確立するための検出方法の使用にある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明はつぎのステップを含む。すなわち、ａ）パラメータの自動最適化のテーブル、検査対象器官の論理的構成および放射線医学的な予測厚さから予露光のパラメータ、並びに検査対象器官の組織の区別に十分良質な予露光画像を得るために十分なＸ線量を確立するステップ、ｂ）検査対象器官の機械的厚さから最小の線量レベルと最大の線量レベルを確立し、検出器で読取りできる最小の基準信号レベルと最大の基準信号レベルにこれらの線量レベルを変換するステップ、ｃ）予露光画像を得るために検査対象器官を予露光するステップ、ｄ）参照点に対して指示された各セルが検出器の画素の所定数の最小基準レベルと最大基準レベル間の信号レベルの対数平均を表すカラムを含む多くのセルによる画像を予露光画像の範囲の関心のあるゾーン内に作り出すステップ、ｅ）参照点に対して、１組の保持されたセルを得るために最小信号レベルを有するセルの位置の各カラム内で決定するステップ、ｆ）保持された一連のセルから位置が参照点から最も離れたセルを選択するステップ、ｇ）幅が参照点に対して選択されたセルの距離に比例する、保持されたセルを含む参照点を含む行に平行なバンドを決定し、絶対最小信号レベルをもつセルをこのバンド内で調べるステップ、およびｈ）絶対最小信号レベルを使用してＸ線によって検査される器官の露光のパラメータを確立するステップ。
【０００７】
検査対象器官部分が***の場合には圧縮パッドなどの圧縮装置によって圧縮されるので、この装置が画像の範囲にないのを保持すること、もしある場合関心のあるゾーンの検出モードを修正することが好ましい。
【０００８】
これを実施するため、ステップ（ｄ）の後、次のステップが採用される。
（１）最小基準レベルと最大基準レベル間の値の十分な画素を含まない全てのセルを排除するステップ、（２）検査対象器官の圧縮用に存在し得る装置の、参照点から決定される深さの最小位置と最大位置を確立するステップ、（３）基準値を確立するステップ、（４）可能な圧縮装置の深さの最小と最大の位置間に位置し、参照点を含む行に平行な線を確立するステップ、（５）前記線に沿う２つの連続したセル間の信号レベル、および線上の全てのセルについての変化を基準値に比較するステップ、（６）信号レベルの変化が基準値より大きい値から基準値の反対よりも小さい値に変化する前記線に沿う２つの位置を、それらが存在する場合に記録するステップ、（７）２つの記録位置が存在する場合、その間の距離が圧縮装置の存在を決定するステップ（６）と（７）の条件を満たす、所定値より大きいか確かめるステップ、および（８）ステップ（６）で記録された２つの位置とステップ（２）で確立された深さの最小と最大の位置によって設定されたゾーンでステップ（ｅ）〜（ｈ）を実施するステップ。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下では***の検査に関して記載するが、記載された方法はＸ線の様々な減衰係数を有する様々な性質の組織からなる他の任意の器官にも応用できる。
【００１０】
本発明方法の***撮影への応用において、検査される***は周知のように脂肪組織と腺組織（乳腺）で構成される。
【００１１】
Ｘ線撮影法の検査では、検査される***の部位が腺組織で構成されるので、関心の部位すなわち腺組織に最も適合する***のＸ線の露光量のパラメータを確立できることが特別な関心事である。
【００１２】
パラメータの自動最適化テーブル、***の所与の論理的構成および***の放射線医学的な予測厚さから予露光のパラメータを確立後、少ないけれども、***組織のうちの腺組織の区別に良好な予露光画像を得るのに十分なＸ線量をうるために、ディジタル像Ｘ線装置は、その検出器で読取りできる最小の基準信号レベルと最大の基準信号レベルに変換される***の所定の機械的厚さからＸ線放射の最小の線量レベルと最大の線量レベルが確立される。
【００１３】
ビームのパラメータには、知られているように特にＸ線管に印加される電圧（ｋＶ）、露光中に増加する陽極電流の生成（ｍＡｓ）、焦点のある使用進路、フィルタ、ビームの位置決めがある。
【００１４】
***の理論的構成は、***に対するアプリオリな構成、例えば脂肪組織５０％と腺組織５０％である。
【００１５】
***の理論的構成が選択されると、***の機械的厚さに***の理論的構成に対するＸ線の減衰係数を掛けた値に対応する、***の予測された放射線医学的厚さが決定でき、例えば上記の選択では指定放射線医学的厚さは０．９３ｘ機械的厚さとなる。
【００１６】
少ない露光線量を維持するため、ｍＡは低く、例えば１〜４の値に選択される。
【００１７】
***への予露光後、図１に示すように、カラムｊを含む多くのセルによる画像１が予露光の範囲の関心のあるゾーンに作り出され、各セルは胸壁を表す参照点２に対して指定される。各セルは検出器の所定数の画素の、予め確立した最小基準レベルと最大基準信号レベル間の信号レベルの対数平均を表す。従って、１６ｃｍ×１５ｃｍの大きさの方形の多数のセルの画像では、１ｃｍ×１ｃｍのセルが選択できる。
【００１８】
次に最小信号レベルを表す各カラム内のセルの参照点２に対する位置はカラム毎に決定され、１組の保持されたセルを決める。
【００１９】
次に１組の保持されたセルから参照点２から最も離れたセルが選択される。これにより胸壁近くの胸筋による混乱が防止される。
【００２０】
幅が参照点２に対する距離に比例する、参照点を含む行に平行なバンドは図２に示すように、保持されたセルの両側に決定され、絶対最小信号レベルをもつセルがこのバンド内で探される。この絶対最小信号レベルは、***の検査のための露光のパラメータを確立するのに使用される。
【００２１】
***の放射線医学的検査の場合、図３に示すように、方形フレームの一般形状をもつ知られた圧縮パッド２によって***が圧縮されるので、検査するべき関心のあるゾーンを構成する***の圧縮ゾーン３と非圧縮ゾーン４および５が形成される。
【００２２】
実施形態によって提供される***の腺組織の自動検出方法では、次にパッドの存在が検出され、その影響及び***の非圧縮ゾーンによる影響が排除されなければならない。圧縮パッドのエッジは***組織が圧縮されてもされなくても、信号レベルを***組織よりも極めて顕著な範囲に減衰させる。この影響を抑制するため、各カラム内の最小信号レベルのセルの位置の決定後、最初に確立された最小基準信号レベルより下の信号レベルを有する全てのセルを排除するステップが実施される。
【００２３】
他方では、***の非圧縮ゾーン４、５が***の圧縮ゾーン３より厚く、非圧縮ゾーン４、５がＸ線ビームをより強く減衰し、従って信号レベルはこれらの非圧縮ゾーン４、５でより弱くなる。より正確には図３を参照すると、非圧縮ゾーン４、５で信号レベルは圧縮パッドのエッジまで増加し、ここで急激に落ちて再び圧縮ゾーン３と同じ程度に急激に上がる。上記効果は圧縮パッド２の存在を検出し、***の圧縮ゾーン３に画像の範囲を制限するために使用される。そのため、最小基準レベルと最大基準レベルの間の値の十分な数の画素を含まないセルの全てを排除した後、参照点に対するパッドの最小深さ（Ｐｍｉｎ）と最大深さ（Ｐｍａｘ）の位置が確立され（これらの位置は一般にＰｍｉｎ＝３ｃｍ、Ｐｍａｘ＝４ｃｍ）、例えば基準因子にセルについて決められた最低の最小平均信号値を掛けた値に相当する基準値が確立される（基準因子は一般に３である）。
【００２４】
次に位置ＰｍｉｎとＰｍａｘ間に位置している線が確立され、線に沿う２つの連続的なセル間の信号レベル（図３の信号レベルカーブから引き出す）および線に沿うセル全ての変化が基準値と比較される。信号レベルの変化が基準よりも大きい値から基準の反対（−基準値）よりも低い値に変化する２つの位置が記録される。これらの２つの位置はおそらく圧縮パッドの幅Ｌ１とＬ２の位置に相当する。
【００２５】
次に操作者は２つの記録された位置Ｌ１とＬ２間の距離が所定の値（一般に４ｃｍ）より大きいかを検査して調べ、その条件が満たされた場合、圧縮パッドが存在することになる。次いで操作者は上記のように進めるが、記録位置Ｌ１、Ｌ２、ＰｍｉｎとＰｍａｘ間のセルに関し、参照点（胸壁）から最も離れた位置をもつ最小信号レベルのセルを選択し、保持されたセルを含む参照点を含む行に平行なバンドおよび参照点に対してそのセルの距離に比例する幅を決定し、絶対最小信号レベルをもつセルをこのバンド内で探す。次いでこの信号レベルを使用してＸ線への露光のパラメータを確立する。このバンドの幅は参照点に対して保持されたセルの位置によることが好ましい。実際、参照点の近くに位置している保持されたセルは小さい容積の***を示し、従って決められたバンドは狭くなる（その中に胸筋の部分を含むのを防ぐため）。これと反対に、保持されたセルが参照点から遠くに位置している場合、***は容積がより大きく、その中に胸筋を含む恐れなしにバンドをより広くすることができる。
【００２６】
本発明の範囲から逸脱することなく開示した実施形態に対する様々な構造、機能および／またはステップの変形を業者が行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 一実施形態の方法による多くのセルによる画像の概略説明図である。
【図２】 この方法によって確立された所定の性質をもつ組織のゾーンの概略説明図である。
【図３】 検査対象器官部分の画像の捕捉に関して検査対象器官部分の圧縮用の装置の使用の効果を示す概略説明図である。
【符号の説明】
１ 画像
２ 参照点、圧縮パッド
３ 圧縮ゾーン
４、５ 非圧縮ゾーン
Ｌ１、Ｌ２ 位置

Claims (5)

1. ディジタルＸ線写真で検査される検査対象器官の所定の性質の組織の自動検出の方法であって、
   ａ）パラメータの自動最適化のテーブル、検査対象器官の所与の論理的構成および放射線医学的な予測厚さから予露光のパラメータ、並びに少ないが、前記検査対象器官の組織の区別に十分良質な予露光画像を得るために十分であるＸ線量を確立するステップ、
   ｂ）前記検査対象器官の所定の機械的厚さから最小の線量レベルと最大の線量レベルを確立し、検出器で読取りできる最小の基準信号レベルと最大の基準信号レベルにこれらの線量レベルを変換するステップ、
   ｃ）前記検査対象器官を予露光することにより得られた予露光画像に基づいて、前記予露光画像の範囲の関心のあるゾーン内に、参照点に対して指定された各セルが検出器の画素の所定数の最小基準レベルと最大基準レベル間の信号レベルの対数平均を表すカラム内の多くのセルによる画像を作り出すステップ、
   ｄ）参照点に対して、１組の保持されたセルを得るために最小信号レベルを有するセルの位置を各カラム内で決定するステップ、
   ｅ）前記１組の保持されたセルから位置が参照点から最も離れたセルを選択するステップ、
   ｆ）幅が参照点に対して前記選択されたセルの距離に比例する、前記選択されたセルを含む前記参照点を含む行に平行なバンドを決定し、絶対最小信号レベルをもつセルをこのバンド内で調べるステップ、および
   ｇ）絶対最小信号レベルを使用して前記検査対象器官の露光のパラメータを確立するステップを含む方法。
2. （１）所定の信号レベルより下の信号レベルをもつ全てのセルを排除するステップ、
   （２）前記検査対象器官を圧縮する圧縮装置の、参照点から決定される深さの最小位置と最大位置を確立するステップ、
   （３）基準値を確立するステップ、
   （４）前記圧縮装置の深さの最小と最大の位置間に位置し、参照点を含む行に平行な線を確立するステップ、
   （５）前記線に沿う２つの連続したセル間の信号レベル、および線上の全てのセルについての変化を基準値と比較するステップ、
   （６）信号レベルの変化が基準値より大きい値から基準値の反対よりも小さい値に変化する前記線に沿う２つの位置を、それらが存在する場合に記録するステップ、
   （７）２つの記録位置が存在する場合、圧縮装置の存在を決定するためにその間の距離が、所定値より大きいか確かめるステップ、および
   （８）ステップ（６）で記録された２つの位置とステップ（２）で確立された深さの最小と最大の位置によって設定されたゾーンでステップ（ｄ）〜（ｇ）を実施するステップをさらに含む請求項１に記載の方法。
3. 前記検査対象器官が***である請求項１または請求項２に記載の方法。
4. 関心のあるゾーンが***の腺組織からなる請求項３に記載の方法。
5. 参照点が胸壁である請求項３または請求項４に記載の方法。

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