JP4423363B2 - D−プシコースを原料とするd−タリトールの新規な製造方法 - Google Patents

D−プシコースを原料とするd−タリトールの新規な製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、原料であるD-プシコースに微生物を作用させてD-タリトールに転換するD-タリトールの新規な製造方法に関するものである。
近年、天然界にわずかしか存在しない希少糖類が新たな機能性糖質素材あるいは生理活性能を有する物質として大きく脚光を浴びている。その用途としては、ノンカロリー甘味料、サプルメント食品素材、着色効果やフレーバー効果を持つ食品素材、腸内細菌の改善剤、賦形剤、抗酸化剤、臓器の虚血保護剤あるいは活性酸素産生抑制剤などが期待されている(非特許文献1)。
希少糖類の範疇に入る糖類としては還元力を有する単糖類、例えばD-プシコース、D-タガトース、D-アロースなど、また還元力のない糖アルコール類、例えばD-タリトール、D-マンニトール、D-グルシトールなどの単糖類が挙げられる(非特許文献2)。しかし、現在これらのうち商品化されて入手できるものはD-プシコース、D-タガトースなどきわめて限られており、さらにはこれらについても大量生産法が確立されていないため高価である。このため希少糖類については、基礎的研究そのものが著しく遅れているのが現状で、その実用的な用途の拡大を図るうえでも効率的生産方法がないことが大きな障害となっている。
最近、希少糖類の一つであるD-プシコースを、安価なD-フルクトースを出発原料とするバイオリアクターにより高効率で経済的、しかも高純度に生産できるシステムが開発され(非特許文献3)、D-プシコースの実用化にむけた動きが活発となってきている。しかし、D-プシコース以外の希少糖類についてはいまだ経済的な大量生産方式が提案されていない。希少糖の経済的な製造においては、出発原料が安価であることが重要である。この観点からすると安価に大量に生産できる方式が確立されたD-プシコースは、他の希少糖の出発原料とすることができ、新規な生産方法の展開が可能となってきている。
希少糖D-タリトールの製造方法については、化学的方法、生物学的方法が考えられる。このうち化学的製造方法では、D-プシコースを出発原料として高温高圧下で水素還元する一般的な化学的合成法などが適用できる(非特許文献1の第65〜74ページ)が、反応が過激で環境負荷が高いなどのプロセスとしての問題点、あるいは副反応がおこるという効率面及び純度面での欠点を指摘することができる。
生物学的な製造方法の一つとしては、D-タリトールを比較的多量に含む生物体、例えばある種の褐そう類(非特許文献4)のバイオマスから抽出、生産する方法が考えられる。しかし、この方法は原料の褐藻類を採取する点に大きな難点があり、かつ抽出、精製操作が煩雑であること、さらには収量に至っては極めて低く、効率的な大量製造法としては現段階では不適当である。
一方、生物の特有な酵素反応を利用する生物学的な方法としては、生物体より取り出された酵素を利用する酵素法及び酵素あるいは酵素系を含む生物体(バイオマス)を利用する方法が考えられる。このような生物学的製造方式では、一般的に反応に関与する酵素の高い基質特異性により高純度の生産物を穏和なプロセスで、容易にしかも高収率で製造できるという大きな利点があり、これからの製造方法として非常に注目すべきプロセスである。とりわけ、酵素を含む微生物などをそのまま反応触媒として使用する製造方法では、酵素を抽出、精製する煩雑な工程が不要で経済的な大量生産方式としては非常に有利な方法の一つである。
このような方法としては、D-タガトースを出発物質とするD-タリトールの生産方法として、オーレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)に含まれる酵素系を利用する方法が報告されている(非特許文献5)。しかしこの方法では、出発原料であるD-タガトースが高価であり、経済的な製造方法とはいいがたい。
また、大量生産方式が可能となり将来的に安価になると考えられる希少糖D-プシコースを出発原料としてD-タリトールを製造する有望な方法として、カンジダ・ファマタ(Candida famata)に含まれる酵素系を利用する方法が既知である(非特許文献6)。しかし、本法によるD-タリトールの製造方法では未だ充分満足のいく生産効率が達成されていない。以上の現状から、新たな生物体の酵素反応を利用するD-タリトールの生物学的製造方法の開発が強く要望されている。
平成12年度科学技術総合研究委託費地域先導研究―研究成果報告書、財団法人香川産業技術振興財団、平成13年3月 「ジャーナル・オブ・バイオサイエンス・アンド・バイオエンジニアリング(Journal of Bioscience and Bioengineering)」、第97巻、第89〜94ページ(2004年) 「ジャーナル・オブ・バイオサイエンス・アンド・バイオエンジニアリング(Journal of Bioscience and Bioengineering)」、第90巻、第453〜455ページ(2000年) 「ファイトケミストリー(Phytochemistry)」、第23巻、第1081〜1082ページ(1984年) 「ジャーナル・オブ・バイオサイエンス・アンド・バイオエンジニアリング(Journal of Bioscience and Bioengineering)」、第78巻、第346〜350ページ(1994年) 「ジャーナル・オブ・ファーメンテーション・アンド・バイオエンジニアリング(Journal of Fermentation and Bioengineering)」、第85巻、第84〜88ページ(1998年)
D-タリトールを効率よく安価に、さらにはエコフレンドリーなプロセスで生産するためには、大量供給可能な安価な原料より生産できる新たな生物学的製造法の開発が必要である。
本発明は、このような要件を満足する方法として、出発原料として経済的な大量生産法が確立されたD-プシコースを使用し、D-プシコースをD-タリトールに転換可能な酵素を含む新たな微生物を提供するとともに、この微生物に含まれる酵素を利用してD-タリトールを大量、安価に製造することを目的としてなされたものである。
本発明は、以下の(1)〜(7)のD-タリトールの製造方法を要旨とする。
(1)原料であるD-プシコースに微生物を接触させてD-タリトールに転換するD-タリトールの製造方法において、該微生物としてD-プシコースをD-タリトールに転換する能力を有する接合菌類の微生物であるリゾプス属、アブシヂア属、ムコール属、およびゴングロネラ属からなる群から選ばれる属の菌株を用いることを特徴とするD-タリトールの製造方法。
(2)上記微生物との接触が、上記微生物の菌体培養系にD-プシコースを添加して培養することにより行なう(1)のD-タリトールの製造方法。
(3)上記微生物との接触が、上記微生物を培養して得られた菌体にD-プシコースを添加してインキュベーションすることにより行なう(1)のD-タリトールの製造方法。
(4)上記リゾプス属に属する微生物が、リゾプス・オリザエ、リゾプス・アセトイヌス、リゾプス・オリゴスポルス、およびリゾプス・ストロニファからなる群から選ばれる種の菌株またはその変異株である(1)、(2)または(3)のD-タリトールの製造方法。
(5)上記アブシヂア属に属する微生物が、アブシヂア・コエルレア、およびアブシヂア・ラモサからなる群から選ばれる種の菌株またはその変異株である(1)、(2)または(3)のD-タリトールの製造方法。
(6)上記ムコール属に属する微生物が、ムコール・ルーキシアヌス、ムコール・ヒエマリス、ムコール・ジャバニクス、およびムコール・ラセモサスからなる群から選ばれる種の菌株またはその変異株である(1)、(2)または(3)のD-タリトールの製造方法。
(7)上記ゴングロネラ属に属する微生物が、ゴングロネラ・ブトレリに属する菌株またはその変異株であ(1)、(2)または(3)のD-タリトールの製造方法。
本発明に係わる製造法は、操作が容易でエコフレンドリーなプロセスによるもので、かつ効率的である。また、D-プシコースからD-タリトールへの転換反応は、菌体が保有している酵素が関与しているため非常に特異的で副産物の生成がほとんどみられないことも特徴である。本発明により安価で高純度のD-タリトールを大量に効率よく製造することができる。さらに詳しく言えば本発明はD-プシコースを直接的にほとんど摂取利用できないが、D-プシコースをD-タリトールに転換する能力を有する接合菌類の微生物であるリゾプス属微生物、アブシヂア属微生物、ムコール属微生物、ゴングロネラ属微生物の菌体培養系にD-プシコースを添加して培養を行なうか、もしくは培養により得られた菌体にD-プシコースを添加してインキュベーションすることによって、D-プシコースを原料としてD-タリトールを効率的に、かつ安価に生産することができる。
本発明者らは、前記目的を達成するための微生物の探索及びその微生物を利用するD-タリトールの製造方法について鋭意研究を重ねた結果、接合菌類に属するリゾプス属微生物、アブシヂア属微生物、ムコール属微生物、ゴングロネラ属微生物の菌体がD-プシコースを生育のための炭素源としてほとんど利用できないにもかかわらず、D-プシコースをD-タリトールに転換できることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明はこれらの微生物の培養系、もしくは培養によって得られた菌体そのものにD-プシコースを添加、接触せしめることによってD-プシコースをD-タリトールに転換せしめ、容易にかつ効率よくD-タリトールを生産する新規な製造法を提供するものである。
このような微生物としては 、例えばリゾプス属に属するリゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)、リゾプス・アセトイヌス(Rhizopus acetoinus)、リゾプス・オリゴスポルス(Rhizopus oligosporus)、リゾプス・ストロニファ(Rhizopus stolonifer)などの各種菌株、またはアブシヂア属に属するアブシヂア・コエルレア(Absidia coerulea)、アブシヂア・ラモサ(Absidia ramosa)などの各種菌株、またはムコール属に属するムコール・ルーキシアヌス(Mucor rouxianus)、ムコール・ヒエマリス(Mucor hiemalis)、ムコール・ジャバニクス(Mucor javanicus)、ムコール・ラセモサス(Mucor racemosus)などの各種菌株、またはゴングロネラ属に属するゴングロネラ・ブトレリ(Gongronella butleri)などの各種菌株、及びそれら各々の変異株を用いることが可能である。
実施例で用いた菌株は、いずれも公知菌株であり、リゾプス属に属するリゾプス・オリザエIAM6002,IFO4705,MYA-2483、リゾプス・アセトイヌスHUT1219、リゾプス・オリゴスポルスIFO8631、リゾプス・ストロニファIAM6021、アブシヂア属に属するアブシヂア・コエルレアHUT1034、アブシヂア・ラモサHUT1040、ムコール属に属するムコール・ルーキシアヌスIAM6131、ムコール・ヒエマリスf.ヒエマリスHUT1131、ムコール・ジャバニクスHUT1155、ムコール・ラセモサスf.ラセモサスHUT1189、ゴングロネラ属に属するゴングロネラ・ブトレリHUT1002であるがこれらに限定されることはない。
本発明ではまずこれらの微生物の胞子もしくは栄養菌糸体を、炭素源としては例えばD-グルコース、デンプン、廃糖蜜など、窒素源としては各種ペプトン類、コーンスティープリカー、硫安、尿素など、無機塩としては各種リン酸塩、マグネシウム塩、その他の微量金属塩類などを含有する、望ましくは微酸性ないし中性の液体培地に接種する。D-プシコースは、あらかじめ培地に添加しておくか、もしくは微生物の増殖中の適当な時期に、あるいは増殖の終わった時点で回収した菌体に添加することが可能である。
培養は微生物菌株により異なるが、生育の可能な温度、好ましくは15-40℃にて2−20日間行なう。培養でのインキュベーションの方法は、通気攪拌条件下あるいは静置条件下のいずれでもよい。D-プシコースの添加量は好ましくは5-200g/lとし、添加後1-14日間インキュベーションを継続することが望ましい。添加されたD-プシコースは効率的にD-タリトールに転換される。
また、培養して増殖せしめた菌体を使用して転換反応を行うこともできる。例えば、一般的な糸状菌の培養法で得られた菌体を、pH4-8の適当な緩衝液、例えばリン酸緩衝液あるいは酢酸緩衝液などに溶解したD-プシコース溶液(望ましくは5-200g/l)に添加して15-45℃で1-7日間インキュベーションを行なうことによってD-タリトールを生産することが可能である。いずれの生産方式においても、培養で使用する培地としては菌体が増殖するものであれば特に制約はない。
得られたD-タリトールを分離・精製するには活性炭処理などによる脱色、各種の陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂などによる脱塩処理およびクロマトグラフィー方式での分別精製操作、あるいは結晶分別操作などの一般的な生化学的精製方法により純度を高め、濃縮してシラップ状としたのち、結晶品としてあるいは凍結乾燥品としてのD-タリトール製品を得ることが可能である。この方法で製造されるD-タリトールは、原料のD-プシコースに対し4w/w%以上の収率で得られる。未転換の原料D-プシコースは、出発原料として再利用可能であり最終的に高収率とすることが可能である。この方法は、工業的製造法として好適で、食品工業、化粧品工業、医薬品工業をはじめとする各種産業における原料もしくは中間体などとして大量かつ安価な供給を容易にするものである。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
グルコース(2g/l)、硫酸アンモニウム(2g/l)、リン酸水素二カリウム(1g/l)、硫酸マグネシウム・七水塩(0.5g/l)、KCl(0.5g/l)、硫酸第一鉄・七水塩(10 mg/l)よりなる培地を1N NaOHにてpH6.0とし、その50 mlを500 ml容三角フラスコに分注しオートクレーブ滅菌した。この培地にリゾプス・オリザエMYA-2483株(ATCC保存株)の胞子を104/mlになるよう接種し、30℃で1日間振とう培養した。そののち、発芽した菌体を含む培養系に既報の方法[「ジャーナル・オブ・ファメンテーション・アンド・バイオエンジニアリング(J. Fermentation and Bioengineering)」 第80巻、第101〜103ページ(1995年)]により調製したD-プシコースを12 g/lになるように無菌的に添加し、同一の条件下で培養をさらに12日間継続した。
培養後、菌体をろ紙にて除き、ろ液を採取した。このろ液を常法により活性炭処理法により脱色し、次にH+型カチオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)及びCO3 2-型アニオン交換樹脂(三菱化学社製ダイアイオンPA308)にて脱イオン処理した。つぎに処理液を減圧濃縮し、Ca2+型カチオン交換樹脂(ダウケミカル社製ダウエックス50W-X4)にて残存する出発原料のD-プシコース画分を除き、その後D-タリトール画分を、鉛を配位子とする陽イオン交換樹脂を充填した分取用カラム(信和化工社製ウルトロンPS-80)を装着した高速液体クロマトグラフィーによって分取した。ついでこのD-タリトール画分の分取液を減圧濃縮操作によりシラップ状としたのち、凍結乾燥し約1680mgの高純度のD-タリトールをえた。出発原料であるD-プシコースに対する収率は固形物当り約14%であった。ここで得られた標品について、理化学的諸性質を調べ、既知の方法[「ジャーナル・オブ・ファーメンテーション・アンド・バイオエンジニアリング(J. Fermentation and Bioengineering)」第78巻、第346〜350頁(1994年)]により調製した標準品のD-タリトールと比較することによって同定を行った。
(1)比旋光度
本品の比旋光度の測定値は[α]D20=+3.7°であり、標準品のD-タリトールの測定値と一致した。
(2)高速液体クロマトグラフィーでの溶出位置
本品について、3種類の高速液体クロマトグラフィー用カラム(島津製作所社製シムパックSCR-101P、日立製作所社製ゲルパックGL-C611、及び信和化工社製ウルトロンPS-80P)での各々の溶出時間を標準品のD-タリトールの測定値と比較した。高速液体クロマトグラフィー装置は島津製作所社製LC-10ADを使用した。検出は島津製作所社製の示差屈折率検出計RID-10A型にて行った。シムパックSCR-101Pカラムによる高速液体クロマトグラフィーでは、80℃にて蒸留水を溶出液として毎分1mlの流量で通液した場合、その溶出時間は17.3分であった。これは標準品のD-タリトールの溶出時間と一致した。ゲルパックGL-C611カラムによる高速液体クロマトグラフィーでは60℃にて10-5Mの苛性ソーダを溶出液として毎分1mlの流量で通液した場合、その溶出時間は22.0分であった。これは標準品のD-タリトールの溶出時間と一致した。ウルトロンPS-80Pによる高速液体クロマトグラフィーでは、80℃にて蒸留水を溶出液として毎分1mlの流量で通液した場合、その溶出時間は15.9分であった。これは標準品のD-タリトールの溶出時間と一致した。
(3)H-NMR
本品及び標準品のD-タリトールの1H-NMRスペクトルを図1に示した。図1において、内部標準物質としては1,4-ジオキサンを使用した。本品の化学シフトは、標準品のD-タリトールのそれとよく一致した。
(4)13C-NMR
本品及び標準品のD-タリトールの13C-NMRスペクトルを図2に示した。図2において、内部標準物質としては1,4-ジオキサンを使用した。本品の化学シフトは、標準品のD-タリトールのそれとよく一致した。
(5)IR
KBr錠剤法で測定した本品及び標準品のD-タリトールの赤外線吸収スペクトルを図3に示した。本品の吸収スペクトルは標準品のD-タリトールのそれとよく一致した。
以上の理化学的諸性質を調べた結果より、本実施例で得た標品はD-タリトールであると同定される。
グルコース(10g/l)、L-ソルボース(10g/l)、ポリペプトン(5g/l)、酵母エキス(2g/l)、リン酸水素二カリウム(1g/l)、硫酸マグネシウム・七水塩(0.5 g/l)、KCl(0.5 g/l)、硫酸第二鉄・七水塩(10mg/l)よりなる培地を1N NaOHにてpH5.0とし、その50 mlを500 ml容三角フラスコに分注しオートクレーブ滅菌した。この培地にリゾプス・オリザエMYA-2483株の胞子を104/mlになるよう接種し、30℃で4日間振とう培養を行った。培養後、50mMリン酸緩衝液(pH7.0)にて菌体を洗浄ろ過し、洗浄菌体とした。D-プシコースを10g/lの濃度で溶解した50mlの50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に湿重量1gの洗浄菌体を添加し、30℃にて72時間インキュベーションしたのち、転換生成するD-タリトールを実施例1で記した高速液体クロマトグラフィー法(実施例1に示したシムパックSCR-101Pカラムを使用し、80℃にて蒸留水を溶出液として毎分1mlの流量で通液し、示差屈折率検出計にて検出した)により標準品のD-タリトールを用いて定量した。この実施例では、2090mg/lのD-タリトールが生産された。出発原料であるD-プシコースに対する収率は固形物当り20.9%であった。
可溶性デンプン(10g/l)、ポリペプトン(20g/l)、リン酸一カリウム(5g/l)、硫酸マグネシウム・七水塩(2.5 g/l)よりなる培地(pH5.8)50mlを500ml容三角フラスコに分注しオートクレーブ滅菌した。この培地にポテト・デキストロース寒天培地に生育したリゾプス属微生物、アブシヂア属微生物、ムコール属微生物、ゴングロネラ属微生物の菌糸あるいは胞子を適量接種し、振とう培養を行った。培養2日目にD-プシコースが12g/lになるように各フラスコ培養に添加し、培養を継続した。培養開始後、適当な期間培養を行い、生成するD-タリトールを実施例2と同様の方法で定量した。その結果を表1(各種菌株によるD-タリトールの生成)に示している。
Figure 0004423363
表1から、この実施例で試験した菌株は、560〜2940mg/lのD-タリトールを生成することが分る。
本発明により得られるD-タリトール及びその標準品の1H-NMRスペクトルを示す図である。 本発明により得られるD-タリトール及びその標準品の13C-NMRスペクトルを示す図である。 本発明により得られるD-タリトール及びその標準品の赤外線吸収スペクトルを示す図である。

Claims (7)

  1. 原料であるD-プシコースに微生物を接触させてD-タリトールに転換するD-タリトールの製造方法において、該微生物としてD-プシコースをD-タリトールに転換する能力を有する接合菌類の微生物であるリゾプス属、アブシヂア属、ムコール属、およびゴングロネラ属からなる群から選ばれる属の菌株を用いることを特徴とするD-タリトールの製造方法。
  2. 上記微生物との接触が、上記微生物の菌体培養系にD-プシコースを添加して培養することにより行なう請求項1のD-タリトールの製造方法。
  3. 上記微生物との接触が、上記微生物を培養して得られた菌体にD-プシコースを添加してインキュベーションすることにより行なう請求項1のD-タリトールの製造方法。
  4. 上記リゾプス属に属する微生物が、リゾプス・オリザエ、リゾプス・アセトイヌス、リゾプス・オリゴスポルス、およびリゾプス・ストロニファからなる群から選ばれる種の菌株またはその変異株である請求項1、2または3のD-タリトールの製造方法。
  5. 上記アブシヂア属に属する微生物が、アブシヂア・コエルレア、およびアブシヂア・ラモサからなる群から選ばれる種の菌株またはその変異株である請求項1、2または3のD-タリトールの製造方法。
  6. 上記ムコール属に属する微生物が、ムコール・ルーキシアヌス、ムコール・ヒエマリス、ムコール・ジャバニクス、およびムコール・ラセモサスからなる群から選ばれる種の菌株またはその変異株である請求項1、2または3のD-タリトールの製造方法。
  7. 上記ゴングロネラ属に属する微生物が、ゴングロネラ・ブトレリに属する菌株またはその変異株である請求項1、2または3のD-タリトールの製造方法。
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