JP4421779B2 - 改善された生産性を有するFAPα−特異的抗体 - Google Patents

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAPα)に特異的に結合する抗体タンパク質に関する。本発明はまた、前記抗体の診断および治療目的の使用、および前記抗体の作製方法に関する。
発明の背景
上皮癌の侵襲性増殖は支持ストロマ中の多数の細胞および分子の変化を伴っている。多数の型の上皮癌の反応性ストロマの高度に一致した分子的特徴は線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(以下、FAPという)、最初にモノクローナル抗体F19で同定された反応性ストロマ線維芽細胞の表面分子の誘導である(Garin-Chesa P., Old L.J.とRetting W.J. (1990) ヒト上皮癌における、抗体の潜在的標的としての反応性ストロマ線維芽細胞の細胞表面糖タンパク質(Cell surface glycoprotein of reactive stromal fibroblasts as a potential antibody target in human epithelial cancers)、Proc. Natl. Acad. Sci.87:7235)。FAP抗原は位置および組織学的な型とは独立に上皮癌腫の類のストロマ中で選択的に発現されているため、FAP-標的化の概念は上皮癌およびある種の他の疾病の画像化、診断および治療のために発展してきた。この目的のため、FAPに特異的に結合するF19というモノクローナル抗体が開発され、米国特許5,059,523およびWO 93/05804に記載されている。これらの文献は引用により本明細書に含まれることとする。
【0002】
非-ヒト抗体をヒトにin vivoで適用するときに生じる一つの重要な問題は、それらが患者における抗体の効力を低下させ連続投与を損なうヒトの抗-非-ヒト応答を引き起こすことである。非-ヒト抗体のヒト化は一般に以下の2つの方法の一つにより達成される:(1)非-ヒト/ヒトキメラ抗体であって、非-ヒト可変領域がヒトの定常領域に結合しているキメラ抗体を作製することによる方法(Boulianne G.L., Hozumi N.とShulman, Mann、M. J. (1984) 、機能性マウス/ヒトキメラ抗体の作製(Production of functional chimeric mouse/human antibody) Nature 312: 643)または(2)非-ヒト可変領域の相補性決定領域(CDRs)をヒト可変領域に移植し、これらの「再構成されたヒト」可変領域をヒトの定常領域に結合することによる方法(Riechmann L., Clark M., Waldmann H.とWinter G. (1988) 治療のためのヒト抗体の再構成(Reshaping human antibodies for therapy) Nature 332: 323)。
【0003】
キメラ抗体は、マウス抗体よりはずっと優れているが、なおヒトに抗-マウス応答を引き起こし得る(LoBuglio A.F., Wheeler R.H., Trang J., Haynes A., Rogers K., Harvery E. B., Sun L., Ghrayeb J. およびKhazaeli M.B. (1989) ヒトにおけるマウス/ヒトキメラモノクローナル抗体:キネティクスおよび免疫応答(Mouse/human chimeric monoclonal antibody in man: Kinetics and immune response.) Proc. Natl. Acad. Sci. 86:4220)。CDR-移植または再構成されたヒト抗体はマウス抗体に由来すると同定され得るタンパク質配列をほとんどまたは全く含まない。CDR-移植によってヒト化された抗体は、天然のヒト抗体の場合にも見られるように、抗-アロタイプ応答または抗-イディオタイプ応答のようなある程度の免疫反応をなお引き起こすことができるかもしれないが、CDR-移植抗体はマウス抗体よりもかなり免疫原性が低く、従って、患者のより長い期間の治療を可能とする。
【0004】
抗体の診断、イメージングおよび治療のための商業的使用に関する重大な別の制限はそれらの大量生産性である。多くの事例で、細胞培養系における天然、キメラおよび/またはCDR-移植抗体組換え発現は僅かである。低い生産性に関与している要因には、リーダー配列の選択および生産のための宿主細胞の選択および不適切なフォールディングおよび分泌の低下が含まれるかもしれない。不適切なフォールディングは重鎖および軽鎖のアッセンブリの低さにつながり、または、鎖の一方または両方の分泌を阻害する輸送不可能コンフォメーションにつながる。一般に、L-鎖はアッセンブルされたタンパク質に分泌能を与えると認められている。ある例では、複数のあるいはたった一つの置換が増強された抗体生産性を生じさせ得る。
【0005】
ヒトにおける診断および治療のためのin vitroおよびin vivoにおける特定の疾病-関連抗原への特異的免疫的標的化は臨床的に非常に重要であるため、抗原特異性、低免疫原性および高生産性という特徴を合わせた抗体に対する要求が高まっている。
従って、本発明の基礎をなす問題はFAPに対する特異的結合、ヒトにおける低免疫原性および組換え系における高生産性の特性を合わせた抗体を提供することであった。
【0006】
発明の開示
技術的な問題は請求項中で特徴づけられる実施態様によって解決される。
本発明は、モノクローナル抗体F19(ATCCアクセッション番号HB8269)の相補性決定領域を有する新規な抗体タンパク質を提供する。前記抗体タンパク質は線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)に特異的に結合し、F19の可変領域と外来定常領域を有するキメラ抗体に比較して宿主細胞中で改善された生産性を生じさせる骨格改変を有していることを特徴とする。
【0007】
本明細書において、「抗体タンパク質」とは、モノクローナル抗体の抗原結合特異性を有するタンパク質を言う。
「モノクローナル抗体の相補性決定領域」はChothiaとLesk(Chothia とLesk (1987) J. Mol. Biol. 196: 901-917)との関連でKabat(Kabat E.A., Wu T.T., Perry H. M., Gottersman K.S.とFoeller C. (1991) 免疫学的に興味のあるタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest) 第5版、NIH Publication No.91-3242, U.S. Department of Health and Human Services, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.)による特異的抗原結合に関与するアミノ酸配列と解される。
【0008】
本明細書で使用する「骨格改変」とは、個々の相補性決定領域の周辺の可変領域における単一または複数のアミノ酸の交換、欠失または付加をいう。骨格改変は抗体タンパク質の免疫原性、生産性または結合特性に影響を与えることがある。
「線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)」はまた線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAPα)とも示され、セリンプロテアーゼ遺伝子ファミリーに属する膜結合糖タンパク質である(WO 97/34927)。FAPの放出あるいは分泌型は知られていない。FAPはモノクローナル抗体F19に結合することによって特徴づけられる(F19はATCCに寄託されているアクセッション番号HB8269のハイブリドーマ細胞株から入手可能である)。
抗体タンパク質の「線維芽細胞活性化タンパク質特異的結合」なる語は、本明細書においては、FAP-発現ヒト細胞を特異的に認識し、これに結合することができる能力によって定義される。本発明のタンパク質の結合特異性は実施例6、8および実施例12の例示的方法に記載されているような標準的な結合特異性評価方法によって決定することができる。
【0009】
用語「キメラ抗体」とは図17および18に記載されているような軽鎖および重鎖可変領域および外来定常領域を有する抗体タンパク質をいう。本明細書において、「外来定常領域」とは、F19の定常領域と異なる定常領域を言う。本発明の抗体タンパク質をキメラ抗体に対して比較するためには、そのようなキメラ抗体は前記抗体タンパク質と同じ定常領域を有していなければならないことは当然である。証明および比較のために図19〜22に記載したヒト定常重鎖および軽鎖単独を例示的に使用した。
本発明の抗体タンパク質を提供するため、F19と称されるマウス抗体の重鎖および軽鎖遺伝子の核酸配列をF19ハイブリドーマ細胞(ATCC アクセッション番号HB8269)から抽出したRNAから決定した。
【0010】
一つの実施態様において、本発明はモノクローナル抗体F19(ATCC アクセッション番号HB8269)の相補性決定領域を有する抗体タンパク質に関する。前記新規な抗体タンパク質は線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)に特異的に結合し、F19の可変領域および外来定常領域を有するキメラ抗体に比較して宿主細胞において改善された生産性を生じさせる骨格改変を有することを特徴とし、前記抗体タンパク質はF19と称するマウス抗体(ATCC アクセッション番号HB8269)から由来する抗体タンパク質である。
ヒト化FAP-特異的抗体タンパク質を生成するため、F19の軽鎖および重鎖の可変領域とそれぞれヒトの軽鎖および重鎖定常領域を有するキメラ抗体を構築した。マウス/ヒトキメラ抗体の構築および産生はよく知られており(Boulianneら、(1984)、上述)、実施例1および2において例示的に示されている。
【0011】
本発明の抗体タンパク質の可変領域は典型的には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域、の少なくとも一部に結合している。ヒト定常領域DNA配列はよく知られた手順により種々のヒト細胞から単離することができるが、好ましくは不死化B細胞(Kabatら、上述、およびWO 87/02671を参照せよ)から単離される。この故、本発明の抗体タンパク質は、それがFAP抗原に特異的結合性を示す限り定常領域の全部または一部のみを含んでいて良い。定常領域の型および長さの選択はエフェクター様補体結合あるいは抗体依存性細胞毒性のどちらを望むかに依存し、抗体タンパク質の所望の薬理学的目的に依存する。本発明の抗体タンパク質は典型的には、2つの軽鎖/重鎖対からなる4量体であろうが、二量体,すなわち、軽鎖/重鎖対、例えばFabまたはFv断片であってもよい。
【0012】
従って、更なる実施態様において、本発明は本発明の抗体タンパク質に関するものであり、それらのタンパク質が可変軽鎖領域および可変重鎖領域を有し、それぞれがヒト定常領域に結合していることを特徴とする。特に、軽鎖の可変領域はヒトκ定常領域に結合しており、重鎖の可変領域はヒトγ-1定常領域に結合している。ヒト化軽鎖および重鎖の他のヒト定常領域も当業者には容易に利用可能である。
従って、一つの特定の実施例において、本発明の抗体タンパク質はヒトκ定常領域を含んでいる。
また、他の特定の実施態様においては、本発明の抗体タンパク質はヒトγ-1定常領域を含んでいる。
特定の「キメラF19抗体」タンパク質(cF19)の一つは図17-22に記載した、軽鎖および重鎖の可変領域および定常領域からなっている。cF19はFAP抗原に対して特異的結合および高結合活性を示した。実施例2に示されているように、cF19のCOS細胞(アフリカミドリザルの腎臓に由来する細胞)における発現は非常に低く、約10〜60ng/mlの範囲であり、これはほとんどの抗体よりも少なくとも10倍低い。
【0013】
cF19の発現レベルを上げる試みにおいて、F19VL領域のリーダー配列がー9位置のプロリンをロイシンに変えることにより変更された。リーダー配列のアミノ酸のこの単一置換はCOS細胞中で産生されるキメラ抗体の量を少なくとも2倍にした。この特定のキメラ抗体のCOS細胞における発現のために、以下の変異軽鎖のリーダー配列:MDSQAQVLMLLLLWVSGTCG、および以下の重鎖リーダー配列:MGWSWVFLFLLSGTAGVLSが使用された。
本発明によれば、宿主細胞中の「改善された生産性」なる語は、上述した骨格改変を行わないキメラ抗体の発現レベルおよび/または抗体収率に比較して、発現レベルおよび/または精製抗体収率の実質的な向上をいう。改善された生産性を証明する2つの非限定的な例はCOS細胞発現系(実施例2および5)および、CHO細胞発現系(実施例10および11)について例示されている。
【0014】
リーダー配列の変異はキメラF19抗体の発現収量の倍化を導くだけだが、ここで定義する実質的な改善は少なくとも10のファクターで発現レベルおよび/または精製収率が改善されることを言う。
好ましい実施態様において、本発明は抗体タンパク質に言及し、ELISAにより決定した粗培地サンプル中での発現レベルおよび/または精製抗体収率が骨格改変を行わないキメラ抗体の発現レベルおよび/または精製収率を少なくとも10のファクターで越えることを特徴とする。
より好ましい実施態様において、本発明は抗体タンパク質に言及し、ELISAにより決定した粗培地サンプル中での発現レベルおよび/または精製抗体収率が骨格改変を行わないキメラ抗体の発現レベルおよび/または精製収率を少なくとも20のファクターで越えることを特徴とする。
最も好ましい実施態様において、本発明は抗体タンパク質に言及し、ELISAにより決定した粗培地サンプル中での発現レベルおよび/または精製抗体収率が骨格改変を行わないキメラ抗体の発現レベルおよび/または精製収率を少なくとも100のファクターで越えることを特徴とする。
【0015】
本発明の組換え抗体タンパク質改善された生産性はCOSおよびCHO(チャイニーズハムスター卵巣由来の細胞)真核細胞について示されたように(実施例5および11参照)、一般に真核生物細胞について証明することができる。さらなる実施態様において、本発明は、真核生物細胞における改善された生産性を示すことを特徴とする組換え抗体タンパク質に関する。
好ましい実施態様において、本発明は前記真核生物細胞がチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)である抗体タンパク質に関する。
軽鎖可変領域のある種の骨格改変本発明の抗体タンパク質の改善された生産性を決定することは思いがけなく発見されたものである。図1−6に記載した、A,、B、Cと名付けた、再構成軽鎖可変領域の3つの変異型(version)を調製した。
【0016】
軽鎖可変領域のA、BおよびC変異型はCHO細胞において実質的に改善された生産性を示した(実施例11を参照せよ)。軽鎖可変領域A変異型およびC変異型は軽鎖可変領域B変異型と2つの共通アミノ酸残基が異なるのみであるが、これらは更に大きな生産性改善を示した。また、ヒト再構成F19軽鎖B変異型とAまたはC変異型との間には抗体分泌レベルにおいて少なくとも10倍の相違がある。再構成ヒトF19軽鎖A変異型およびB変異型は位置36(TyrからPheへの変異)および位置87(TyrからAspへの変異)(Kabatによる番号付け)における2残基のアミノ酸配列において相違するだけである。軽鎖可変領域B変異型を含む抗体の分泌能に対する負の影響はTyrからAspおよびTyrからPhe変異が、個別または一緒に考えたときに、単にタンパク質の不適当なフォールディイングを生じさせるのであれば間接的なものである。しかし、この場合は違うようである。なぜならば、抗原結合アッセイはF19軽鎖可変領域B変異型を含む免疫グロブリンはF19軽鎖AおよびC変異型と対になるものと同様の結合活性を有していることを示し、このことはそれらは著しくフォールディングが誤っていないことを示唆するからである。
【0017】
ヒト再構成F19軽鎖B変異型の87番残基はA変異型、C変異型に比較した場合に特に分泌の低下に関与しているようである。
好ましい実施態様において、本発明は本発明による抗体タンパク質に関し、軽鎖領域のKabat位置87におけるアミノ酸がアスパラギンでない抗体タンパク質に関する。
より好ましい実施態様において、本発明は、本発明の抗体タンパク質であって、軽鎖領域のKabat位置87におけるアミノ酸が芳香族アミノ酸または脂肪族アミノ酸から選ばれる抗体タンパク質に関する。
最も好ましい実施態様において、本発明は、本発明による抗体タンパク質であって、軽鎖領域のKabat位置87における芳香族アミノ酸がチロシンまたはフェニルアラニンである抗体タンパク質に関する
更なる実施態様において、本発明は更に本発明による抗体タンパク質に関し、軽鎖領域のKabat位置36のアミノ酸が芳香族アミノ酸から選ばれる抗体タンパク質に関する。
特に一つの実施態様においては、本発明は、個別的に開示された軽鎖および重鎖の再構成可変領域から調製されてもよい特異的抗体タンパク質に関する。
【0018】
特に軽鎖可変領域AおよびC変異型は、それらの優れた生産性の一方で、完全なFAP-結合特異性を維持していることおよび低免疫原性であるゆえに本発明を実施するのに特に適切である。このことは、F19の可変領域および同じ定常領域を有するキメラ抗体と比較したときに特に真実であるが、軽鎖B変異型と比較した場合にも真実である。
従って、一つの実施態様において、本発明は配列番号2に記載した軽鎖の可変領域を含む抗体タンパク質に関する。
更なる実施態様において、本発明は、軽鎖の可変領域が配列番号1に記載のヌクレオチド配列によってコードされることを特徴とする抗体タンパク質に関する。
一つの実施態様において、本発明は配列番号6に記載の軽鎖可変領域を含む抗体タンパク質に関する。
更なる実施態様において、本発明は、軽鎖の可変領域が配列番号5に記載のヌクレオチド配列によってコードされることを特徴とする抗体タンパク質に関する。
【0019】
本発明は、軽鎖A変異型およびC変異型の可変領域と共に改善された生産性の点で特によく機能する幾つかの異なる重鎖可変領域を開示する。
一つの実施態様において、本発明は配列番号8、10、12,14のいずれか一つに記載の重鎖の可変領域を含む抗体タンパク質に関する。
別の実施態様において、本発明は重鎖の可変領域が配列番号7、9、11、13のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列によってコードされることを特徴とする、抗体タンパク質に関する。
特定の実施態様においては、本発明は配列番号2に記載の軽鎖の可変領域、および配列番号12に記載の重鎖の可変領域を含む抗体タンパク質に関する。最も好ましくは、この抗体タンパク質は更に配列番号20に記載の軽鎖の定常領域および配列番号22に記載の重鎖の定常領域を含む。
【0020】
このように、本発明の更なる側面は配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む抗体タンパク質である。より好ましくは、そのような抗体タンパク質はさらに配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む。より好ましくは、前記抗体タンパク質は更に配列番号20に記載のアミノ酸配列および配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む。本発明の更なる側面は、この段落で記載する、放射性同位元素、好ましくは、131I、125I、186Re、188Reまたは90Yに結合している抗体である。本発明の更なる側面はこの段落で記載した抗体タンパク質をコードするDNA分子である。本発明の更なる側面はそのようなDNA分子を保持する宿主細胞である。従って、本発明の更なる側面はこの段落で記載した抗体タンパク質を生産する方法であって、前記方法は、そのような宿主細胞を前記抗体タンパク質が前記宿主細胞中で発現する条件で培養する工程、および前記タンパク質を単離する工程を含む。本発明の更なる側面は本発明の抗体タンパク質および製薬的に許容できる担体を含む医薬組成物である。更に特定の実施態様において、本発明は軽鎖の可変領域が配列番号1に記載のヌクレオチド配列によってコードされ、重鎖の可変領域が配列番号11に記載のヌクレオチド配列によってコードされることを特徴とする抗体タンパク質に関する。
【0021】
更に特定の実施態様において、本発明は配列番号2に記載の軽鎖の可変領域および配列番号8に記載の重鎖の可変領域を含む抗体タンパク質に関する。
更に特定の実施態様においては、本発明は、軽鎖の可変領域が配列番号1に記載のヌクレオチド配列によってコードされ、重鎖の可変領域が配列番号7に記載のヌクレオチド配列によってコードされることを特徴とする抗体タンパク質に関する。
マウス抗体の可変領域のヒト化はこの技術で知られた方法を使用することによって達成することができる。EP 0239400はマウス可変領域CDRのヒト可変領域の骨格への移植を開示している。WO 90/07861はCDR-移植可変領域に更に骨格改変を加えることによる再構成方法を開示している。WO 92/11018はドナーCDRとドナー骨格に高度のホモロジーを有するアクセプター骨格とを組み合わせたヒト化Igの作製方法を開示している。WO 92/05274はマウス抗体から出発する骨格変異抗体の調製を開示している。マウスモノクローナル抗体のヒト化に関する更なる先行技術文献は、EP 0368684;EP 0438310またはWO 92/22653である。このように、当業者は公衆に入手可能なマウスモノクローナル抗体F19から出発し、この分野で知られた技術、例えば、WO 92/05274から知られる技術を使用して本発明の抗体を作製することができる。もちろん、本発明の抗体をコードするDNA分子も現在水準の合成方法、例えば、適当なオリゴヌクレオチドの化学合成とそれに続くライゲーションおよび増幅方法によって得ることができる(例えば、Frankら、(1987) Methods Enzymol. 154: 221-249を参照せよ)。
【0022】
更なる側面において、本発明は上述した本発明による抗体タンパク質のコード情報を含む核酸分子に関する。好ましくは、本発明の核酸分子は配列番号1、3、5、7、9、11、13または15から選ばれるヌクレオチド配列を含む核酸分子である。
本発明の更なる側面は上述の核酸のいずれかのヌクレオチド配列を含む組換えDNAベクター、特に前記ヌクレオチド配列が発現ベクター中にあるように発現制御配列に機能的に結合している場合の組換えDNAベクターである。好ましくは組換えDNAベクターであり、前記ベクターは発現ベクターである。
本発明の更なる側面は上述のベクター、特に発現ベクターを保持した宿主細胞である。そのような宿主細胞は原核細胞であっても真核細胞であっても良い。好ましくは、そのような宿主細胞は真核生物細胞、酵母細胞、あるいは哺乳動物細胞である。より好ましくは、前記宿主細胞はCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞またはCOS細胞である。
【0023】
従って、本発明のさらなる側面は本発明の抗体タンパク質の生産方法である。そのような方法は以下の工程を含む。
(a)上述の宿主細胞を前記抗体タンパク質が前記宿主細胞によって発現される条件下で培養する工程、および
(b)前記抗体タンパク質を単離する工程。
哺乳動物宿主細胞、好ましくはCHOまたはCOS細胞が好ましい。本発明の抗体タンパク質を生産するための宿主細胞は、軽鎖および重鎖の両方の発現ユニットを含む単一のベクターでトランスフェクションされてよい(たとえば、WO 94/11523参照)。一つの特定の実施態様においては、本発明の抗体タンパク質を生産するための方法は、それぞれ軽鎖および重鎖の発現ユニットを保持する2つのプラスミドでコトランスフェクションされた宿主細胞に関する(例えば、EP 0481790を参照せよ)
【0024】
本発明の抗体タンパク質はFAP抗原に対する標的化治療薬剤のための高度に特異的な手段を提供する。従って、更なる側面において、本発明は本発明による抗体タンパク質に治療薬剤が結合した抗体タンパク質に関する。この分野で既知の多くの治療薬剤のうち、放射性同位元素、毒素、トキソイド、炎症性薬剤、酵素、アンチセンス分子、ペプチド、サイトカインおよび化学療法剤からなる群より選ばれる治療剤が好ましい。放射性同位元素のうち、γ、βおよびα放射性の放射性同位元素が治療薬剤として使用されて良い。治療用放射性同位元素としてはβ放射性の放射性同位元素が好ましい。186レニウム、188レニウム、131ヨウ素および90イットリウムは、局所的照射を達成し悪性腫瘍細胞を破壊するためのβ放射同位元素として特に有用であることが分かっている。従って、186レニウム、188レニウム、131ヨウ素および90イットリウムからなる群より選ばれる放射性同位元素は本発明の抗体タンパク質に結合した治療薬剤として特に好ましい。例えば、本発明の抗体の放射ヨウ素化については、WO 93/05804に開示されたような方法を使用することができる。
【0025】
本発明の更なる側面は、標識されていることを特徴とする本発明の抗体タンパク質に関する。そのようなFAP-特異的標識抗体は、FAP抗原をin vitroおよび/またはin vivoにおける局在性確認および/または検出を可能とする。標識は直接または間接的に検出され得るマーカーとして定義される。間接的マーカーはそれ自体は検出できずその間接的マーカーに特異的な直接的に検出可能なマーカーを更に必要とするマーカーとして定義される。本発明を実施するために好ましい標識は検出可能なマーカーである。非常に多種の検出可能マーカーのうち、酵素、色素、放射性同位元素、ジゴキシゲニン、およびビオチンが最も好ましい。
本発明の更なる側面は、画像化可能な試薬に結合していることを特徴とする本発明の抗体に関する。非常に多種の画像化可能試薬、特に放射性同位元素が現在の技術水準から利用可能である。本発明の実施のために、γ放射同位元素がより好ましい。最も好ましいのは125ヨウ素である。
【0026】
本発明の一つの側面は、上述した本発明の抗体タンパク質および医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。そのような医薬組成物は腫瘍を治療するために有用であり、前記腫瘍は活性化ストロマ線維芽細胞と関連しているものである。相乗的に働くかもしれない抗腫瘍ストロマ免疫療法について2つの効果原理がある:(a)本発明の未修飾(非結合の、「裸の」)抗体は腫瘍ストロマに免疫破壊または炎症反応を誘導することがあり、一方、(b)治療薬剤、例えば、放射性同位元素または他の毒性基質のような治療薬剤を結合した抗体は、悪性腫瘍細胞に局所的照射および破壊をもたらすことがある。従って、本発明の更なる側面は上述の抗体の医薬組成物、特に腫瘍の治療のための医薬組成物の製造への使用である。
【0027】
更なる一つの実施態様は、上述した治療薬剤に結合した本発明の抗体タンパク質および腫瘍の治療に有用な医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物であって、前記腫瘍が活性化ストロマ線維芽細胞に関連するものである。他の実施態様は、上述したイメージング試薬に結合した本発明の抗体タンパク質およびヒト患者の傷治癒、炎症皮膚または腫瘍における活性化ストロマ線維芽細胞の存在を画像化するために有用な医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。最も好ましい実施態様は、上述した医薬組成物に関し、前記腫瘍が、結直腸癌、非-小細胞肺癌、乳癌、頭頚部癌、卵巣癌、肺癌、侵襲性膀胱癌、膵臓癌および能の転移性癌からなる癌群から選ばれる腫瘍である、医薬組成物である。
【0028】
動物またはヒトの身体において、上述した医薬組成物を静脈または他の経路で、例えば、全身的、胸部的または局所的に注目している組織又は器官に、治療すべき疾病又は問題、例えば癌の型および起源に依存して適用することが有利であることが検証できるであろう。例えば、全身性自己免疫疾患、またはアレルギー、または異種器官又は組織の移植、または拡散したあるいは場所を特定するのが困難な腫瘍におけるように、異なる器官または器官系を治療する必要がある場合、全身性の作用機序が望まれる。局所腫瘍のように、腫瘍性または免疫的作用の局所的徴候のみが予測される場合、局所的作用機序が考慮されるであろう。
本発明の抗体タンパク質は当業者に知られた種々の経路で適用されてよく、特に静脈注射または標的組織への直接注入によって適用されてよい。全身的適用に関しては、静脈内、血管内、筋肉内、動脈内、腹腔内経路、経口経路または鞘内経路が好ましい。より局所的な適用は、皮下、皮内、心臓内、小葉内、骨髄内、肺内または治療すべき組織(結合組織、骨組織、筋肉組織、神経組織、上皮組織)に直接またはその近くへ行なうことができる。治療の継続期間および効果に依存して、抗体医薬組成物は1回、または数回、また日を基礎として断続的に、例えば、数日、数週または数ヶ月にわたって種々の用量で投与して良い。
【0029】
上述した投与のための適切な抗体調製物を調製するために、当業者は既知の注射可能な、生理学的に許容できる滅菌溶液を使用してよい。非経口注入またはインフュージョンのための直ぐに使用できる溶液を調製するため、水性等張液、例えば生理食塩水または対応する血漿タンパク質溶液が容易に入手可能である。本医薬組成物は凍結乾燥品又は乾燥調製物として存在していてよく、これらは使用前に滅菌条件下で直接に注射可能な容器で再構成することができ、例えば、キットとして存在していてよい。本発明の抗体組成物の最終調製物は注射、インフュージョンまたは灌流のために、本発明の精製抗体を滅菌した生理学的に許容できる溶液と混合することによって調製され、これは既知の担体物質または/および添加物(例えば、血清アルブミン、デキストロース、硫酸ナトリウム、EDTA)で補足されていてよい。
適用される抗体の量は疾病の性質に依存する。癌患者において、「裸の」抗体の適用用量は各適用につき0.1〜100mg/m2であってよく、好ましくは5〜50mg/m2である。放射標識抗体、例えば、ヨウ素-131標識抗体については、治療設定が最大耐量(MTD)を越えないように決定されなければならない。癌患者への放射標識の適用は、MTDより低い用量の静脈内インフュージョンの繰り返し(月ごと、または週ごと)によって行なわれることがある(Weltら、1994、J. Clin. Oncol. 12:1193-1203)。
【0030】
更に、本発明の一つの側面は本発明の抗体タンパク質の癌治療のための使用に関する。好ましい実施態様において、本発明は、上述した癌治療のための治療薬剤に結合した本発明の抗体の使用に関する。別の好ましい実施態様においては、本発明は、活性化ストロマ線維芽細胞の画像化のための画像化可能試薬に結合した本発明の抗体タンパク質の使用に関する。更なる好ましい実施態様において、本発明は、標識された本発明の抗体の、サンプル中の活性化ストロマ線維芽細胞の存在を検出するための使用に関する。
本発明の一つの側面は、腫瘍の治療方法に関し、その腫瘍が、裸の/未修飾抗体、融合タンパク質のような修飾抗体タンパク質、または治療薬剤に結合した抗体タンパク質として存在する本発明の抗体タンパク質と特異的に複合体を形成し得る活性化ストロマ線維芽細胞と関係しており、腫瘍を前記抗体の効果的量と接触させることを含む前記治療方法に関する。好ましい実施態様において、本発明は上述した腫瘍治療方法に関し、その腫瘍が結直腸癌、非小細胞肺癌、乳癌、頭頸部癌、卵巣癌、肺癌、侵襲性膀胱癌、膵臓癌および脳の転移性癌からなる癌群より選ばれる癌細胞を有する腫瘍である、前記治療方法に関する。上述の腫瘍治療方法はin vitroで行なってもin vivoで行なってもよい。
【0031】
本発明の更なる側面は傷治癒、炎症、または腫瘍における活性化ストロマ線維芽細胞の存在を検出する方法に関し、以下の特徴を有する:
(a) 活性化ストロマ線維芽細胞を含む可能性のあるサンプルを本発明の抗体と、前記抗体と抗原が複合体を形成するのに適した条件で接触させ、
(b) 前記複合体の存在を検出し、それにより、傷治癒、炎症、または腫瘍中の活性化ストロマ線維芽細胞の存在を検出する。
好ましい実施態様において、本発明は腫瘍中の活性化ストロマ線維芽細胞の存在を検出する方法に関し、本方法において、腫瘍は結直腸癌、非小細胞肺癌、乳癌、頭頚部癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、膵臓癌および脳の転移制癌からなる癌群より選ばれる癌細胞を含む腫瘍である。本発明の最も好ましい抗体タンパク質は、上述のように標識された抗体タンパク質である。
【0032】
本発明の更なる側面は、ヒト患者における傷治癒、炎症組織(関節リウマチおよび肝硬変もまた陽性)または腫瘍におけるストロマ線維芽細胞の存在を画像化する方法に関し、以下を特徴とする:
(a) 画像化可能試薬に結合した本発明の抗体タンパク質を抗体−抗原複合体の形成に適した条件下でヒト患者に投与し、
(b) この方法で形成される一切の複合体を画像化し、
(c) これにより、ヒト患者における活性化ストロマ線維芽細胞の存在を画像化する。
【0033】
好ましい実施態様において、本発明は上述したように腫瘍中の活性化ストロマ線維芽細胞の存在を画像化する方法に関し、その方法において、腫瘍は結直腸癌、非小細胞肺癌、乳癌、頭頚部癌、卵巣癌、肺癌、膀胱癌、膵臓癌および脳の転移制癌からなる癌群より選ばれる癌細胞を含む腫瘍である。
本発明の更なる側面は、腫瘍-ストロマの検出方法に関し、以下を特徴とする:
(a)適切なサンプルを、抗体-抗原複合体を形成するのに適切な条件下で本発明の抗体と接触させ、
(b)形成された一切の複合体を検出し、
(c)前記複合体を腫瘍-ストロマと関連付ける。
本発明を実施するための抗体タンパク質は、好ましくは検出可能マーカーで標識されている。
【0034】
本発明の更なる側面は、ヒト患者において、腫瘍-ストロマを画像化する方法に関し、以下を含む:
(a)上述した画像化可能試薬に結合した本発明の抗体を、抗体-抗原複合体を形成するのに適した条件下で患者に投与すること、
(b)形成された複合体を画像化し、それによりヒト患者における腫瘍-ストロマを画像化すること。
【0035】
実施例
実施例1:マウス−ヒトキメラ遺伝子の構築
キメラF19(cF19)抗体は、それぞれヒトκおよびγ-1定常領域に結合したマウスF19 VLおよびVH領域を有するように設計した。PCRプライマー(表1)を使用して、マウスF19 VLおよびVH領域をコードするcDNA配列の側方の5'-および3'-配列を改変した。F19軽鎖V-領域に特異的なプライマーを設計した。次に、マウスF19可変領域に適合するものを、予めヒトκ定常領域(pKN100ベクター)またはγ-1定常領域(pG1D105ベクター)を含ませておいた哺乳動物発現ベクター中にサブクローニングした(図23)。これらのベクターはヒトサイトメガロウイルス(HCMV)プロモーター/エンハンサーを使用して、軽鎖および重鎖を効率的に転写する。このベクターはまた、SV40複製起点を含んでおり効率的なDNA複製を可能とし、従って、COS細胞中における効率的なタンパク質発現を可能とする。
【0036】
この発現ベクターは、HindIII-BamHI DNA断片として挿入された可変領域を有するように設計した。V-領域をコードするcDNAの5'末端および3'末端において各々HindIII、BamHIの制限酵素部位が導入されるようにPCRプライマーを設計した。加えて、PCRプライマーを設計して軽鎖および重鎖の両方の5'末端にコザック配列(GCCGCCACC)を導入して効率的な翻訳を可能とし(Kozakら、AUG開始コドンより前の少なくとも6つのヌクレオチドは哺乳動物細胞において翻訳を増強する(At least six nucleotides preceding the AUG initiator codon enhance translation in mammalian cells.) (1987) J. Mol. Biol. 196: 947)、可変領域が定常領域にスプライシングされるように軽鎖および重鎖の両方のcDNAの3'末端にスプライシングドナーを導入した。キメラF19軽鎖および重鎖の構築に使用したPCRプライマーは表1に示した。キメラF19軽鎖および重鎖の構築に使用するために適合したマウスF19VLおよびVH領域のDNAおよびアミノ酸配列は図24および図25に示した。真核生物発現ベクターpKN100およびpG1D105にクローニングしたマウスF19軽鎖および重鎖のDNA配列はそれぞれ図26および図27に示した。
【0037】
表1:キメラF19抗体の構築のためのPCRプライマー
A.軽鎖可変領域
1.5'末端の構築のためのプライマー(37mer)
Figure 0004421779
2.3'末端の構築のためのプライマー(35mer)
Figure 0004421779
【0038】
B.重鎖可変領域
1.5'末端の構築のためのプライマー(37mer)
Figure 0004421779
2.3'末端の構築のためのプライマー(35mer)
Figure 0004421779
【0039】
実施例2:キメラF19抗体の発現および結合活性
キメラF19軽鎖および重鎖をコードする2つのプラスミドDNA(実施例1参照)をCOS細胞に共トランスフェクションして以下に記載するようにキメラF19抗体の一過性発現を調べた。72時間のインキュベーション後,培地を回収し、遠心して細胞破砕物を除去し、ヒトIgG1-様抗体の産生についてELISAにより解析した。キメラF19抗体を含むCOS細胞上清をFAP抗原をその表面に発現しているHT1080細胞への結合能(実施例13参照)に関して解析した。
【0040】
エレクトロポレーションを用いた COS 細胞のトランスフェクション
それぞれキメラまたは再構成ヒト重鎖および軽鎖変異型を含む哺乳動物発現ベクターをF19抗体の一過性発現を調べるためにCOS細胞中でテストした。COS7細胞は、常法によりペニシリン(50IU/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)、L-グルタミンおよび10%加熱不活化した無γ免疫ブロブリンのウシ胎仔血清(FCS, Harlan Sera-Labkatarobubanngou カタログ番号D0001)を含むDMEM(Gibco BRLカタログ番号41966)中で調製した。Gene Pulsar装置(BioRad)を用いてエレクトロポレーションによってDNAをCOS細胞に導入した。DNA(各ベクター10μg)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、Ca2+およびMg2+フリー)中の1x107細胞/mlの0.8mlアリコットに加えた。1,900ボルト、25μFキャパシタンスでパルスを与えた。環境温度にて10分間の回復期間の後、エレクトロポレーションした細胞を5%FCSを含むDMEM8mlに添加した。37℃にて72時間のインキュベーション後、培地を回収し、遠心して細胞破砕物を除去し、滅菌条件下にて短期間の場合4℃に保存し、より長い期間の場合-20℃にて保存した。
【0041】
COS 細胞上清中のアッセンブルした IgG1/ κ抗体濃度を測定するための ELISA
トランスフェクションしたCOS細胞中で産生された抗体のサンプルをELISAでアッセイしてどのくらいのキメラあるいは再構成ヒト抗体が産生されたかを測定した。抗体の検出のために、プレートをヤギ抗-ヒトIgG(Fc γ断片特異的)抗体(Jackson Immuno Research Laboratories Inc., #109-005-098)でコーティングした。COS細胞からのサンプルを系列希釈し、各ウェルに加えた。37℃にて1時間のインキュベーション後、ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗-ヒトκ軽鎖(Sigma、A-7164)を添加した。37℃にて30分間のインキュベーションおよび洗浄後、K-blue基質(3,3',5,5'テトラメチルベンジジンおよび過酸化水素の混合物、Bionostics Limited, #KB175)を加え室温にて30分間放置した。反応をRed Stop溶液(Bionostics Limited, #RS20)で停止させ、光学密度を650nmにてマイクロプレート読取機で読んだ。既知の濃度の精製ヒトIgG1/κ抗体(Sigma, I-3889)を標準として使用した。
【0042】
COS細胞中のキメラF19抗体の発現は低く(表2)、10〜60ng/mlであり、これはほとんどの抗体よりも少なくとも10倍低い。
キメラF19抗体の発現レベルを上昇させるため、F19VL領域のリーダー配列を、位置-9のロイシンをプロリンに変えることによって改変した。リーダー配列中のこの単一のアミノ酸の変更はCOS細胞中で産生されるキメラ抗体の量を少なくとも2倍にした。
細胞結合結果は、キメラF19はFAP抗原に特異的に、かつ期待した結合性で結合することを示した。
【0043】
【表1】
表2:COS細胞上清中のキメラF19抗体濃度(これらは3つの独立のトランスフェクションの結果である)
Figure 0004421779
【0044】
実施例3:再構成F19軽鎖変異型A〜C(LA〜LB)の構築
再構成ヒトF19VL領域の最初の変異型(LA)の構築は、Daugherty B.L., DeMartino J.A., Law M.F., Kawka D.W., Singer I.I.およびMark G.E. (1991),「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)はクローニング、CDR-移植、および白血球インテグリンのCD18構成成分に対するマウスモノクローナル抗体の迅速発現を容易にする」(Polymerase chain reaction (PCR) facilitates the cloning, CDR-grafting, and rapid expression of a murine monoclonal antibody directed against the CD18 component of leukocyte integrins) Nucl. Acids Res. 19:2471)に記載されたものと同様な方法で構築した。5つのプライマー対からなる10本のオリゴヌクレオチド、APCR1-vla1, vla2-vla3、vla4-vla5、vla6-vla7、およびvla8-APCR4(表3および図28)を合成した。これらは隣接する対間で少なくとも21塩基の重なり配列を有する(図28)。APCR1およびAPCR4は側方のpUC19ベクター配列にハイブリダイズする。変異導入プライマーは、その5'末端がコドンの縮重位置に直ぐに続くように設計した。このストラテジーは、PCR中でDNAポリメラーゼによる変異導入プライマーの相補鎖の3'末端への1個のヌクレオチドの無償性付加を打ち消すために使用した(Sharrocks A.D.とShaw P.E.(1992) PCRベースの、部位特異的変異導入のための改良されたプライマー(Improved primer design for PCR-based, site-directed mutagenesis)、Nucl. Acids Res. 20:1147)。
【0045】
適切なプライマー対(それぞれ0.2μM)を10ngの再構成ヒトL25VL領域cDNAのB変異型、および、10mM Tris-HCl(pH8.3)、50mM KCl、200μM dNTPs、および1.5mM MgCl2を含む50μlのPCRバッファー中の1ユニットのAmpliTaq(Perkin Elmer Cetus)DNAポリメラーゼと合わせた。この上にミネラルオイルを上層し、PCRを25サイクル(各サイクルは94℃1分間の変性ステップ、55℃1分間のプライマーアニーリングステップ、72℃2分間の伸長ステップを含む)を行なった。その後、更に72℃、10分間の伸長ステップと、それに続く4℃への冷却からなる単一サイクルを行なった。プライマー-アニーリングと伸長ステップ間の傾斜部の時間は2.5分間とした。5つの反応(A、B、C、DおよびE)のPCR産物を次にゲル電気泳動とそれに続くWizard PCR preps(Promega)を用いた溶出によって精製した。PCR産物A、B、C、DおよびEをその相補性によって一つにアッセンブルした。第2のPCR反応の組において、PCR産物BとC、および、DとE(各50ng)を、それぞれ1ユニットのAmpliTaq(Perkin Elmer Cetus)DNAポリメラーゼを含む50μlのPCR反応(上述)に加えた。反応は上述のように20サイクル行なったが、但し、アニーリング温度を60℃に上げた。
【0046】
PCR反応の3番目の組では、PCR産物FおよびGを、1μlの先の各PCR反応液と適切なPCRプライマー対(vla2-vla5またはvla9-APCR4)を用いてPCR-増幅した。このPCR反応は、上述した50μlのPCR反応液中の1ユニットのAmpliTaq DNAポリメラーゼを含み、第1段階におけるように20サイクル増幅した。PCR反応の第4の組において、PCR産物Hを、先の各PCR反応液1μlとvla2-APCR4 PCRプライマー対を用いてPCR-増幅した。最後に、PCR産物AおよびHを、それら自身の相補性により、RSPおよびUPを終結プライマーとして用いて上述したのと類似の二段階PCR反応でアッセンブルした。リーダー配列を含む、再構成ヒトF19 VL全領域を表す完全にアセンブルされた断片をHindIIIおよびBamHIで消化し、シーケンシングのためpUC19にクローン化した。正しいDNA配列を有するクローンをreshF19Laと名付け(図29)、次に、真核生物発現ベクターpKN100にサブクローニングした。pKN100にクローニングされたreshF19LaのDNA配列を図30に示した。
【0047】
再構成ヒトF19 VL領域の第2の変異型(LB)は、Laについて記載したと同じ概略を用いて構築したが、vla4およびvla7プライマーはそれぞれvlb4およびvlbに置き換えた(表3)。LBのDNA配列を図29に示した。
再構成ヒトF19 VL領域の第3の変異型(LC)は、StratageneのQuikChangeTM部位特異的変異導入キットを用いて構築した。QuikChangeTM部位特異的変異導入法は業者の説明書に従って、pKN100ベクター中のreshF19Laを二本鎖DNAテンプレートとして用いて行なった。このプロトコルに使用する変異導入オリゴヌクレオチドプライマーF19Lc-センスおよびF19Lc-アンチセンス(表3)は、業者の説明書に従って設計した。簡単に言うと、両方の変異導入プライマーは所望の点変異(Kabat残基位置49(Phe)をTyrのコドンTATに変えた)を含み、pKN100ベクター中のLAの反対側の鎖上の同じ配列にアニーリングさせた。全VL領域をDNAシーケンシングすることによって点変異を確認した。LCのDNA配列を図29に示した。PCR反応の間にpKN100中にランダムな変異が生じる可能性を排除するため、VL領域をpKN100ベクターからHindIII/BamHI断片として切り出し、同じ二種の制限酵素で切断しておいた未修飾pKN100ベクター中に再度サブクローニングした。
【0048】
表3.再構成F19軽鎖可変領域の構築のためのPCRプライマー
1.A変異型の合成のためのプライマー
F19vla1 (36 mer):
5' GTCATCACAATGTCTCCGGAGGAACCTGGAACCCAG 3'
F19vla2 (29 mer):
5' CTCCGGAGACATTGTGATGACCCAATCTC 3'
F19vla3 (45 mer):
5' GAATATAAAAGGCTCTGACTGGACTTGCAGTTGATGGTGGCCCTC 3'
F19vla4 (72 mer):
5' CAGTCAGAGCCTTTTATATTCTAGAAATCAAAAGAACTACTTGGCCTGGTAT
CAGCAGAAACCAGGACAGCC 3'
F19vla5 (44 mer):
5' ACCCCAGATTCCCTAGTGCTAGCCCAAAAGATGAGGAGTTTGGG 3'
F19vla6 (67 mer):
5' TAGCACTAGGGAATCTGGGGTACCTGATAGGTTCAGTGGCAGTGGGTTTG
GGACAGACTTCACCCTC 3'
F19vla7 (53 mer):
5' GTCCCTTGTCCGAACGTGAGCGGATAGCTAAAATATTGCTGACAGTAATAAAC 3'
F19vla8 (33 mer):
5' GCTCACGTTCGGACAAGGGACCAAGGTGGAAAT 3'
2. B 変異型の合成のためのプライマー
F19vlb4 (72 mer):
5' CAGTCAGAGCCTTTTATATTCTAGAAATCAAAAGAACTACTTGGCCTGG
TTCCAGCAGAAACCAGGACAGCC 3'
F19vlb7 (57 mer):
5' GTCCCTTGTCCGAACGTGAGCGGATAGCTAAAATATTGCTGACAGTCATA
AACTGCC 3'
【0049】
3. C 変異型の合成のためのプライマー
F19Lc-センス (34 mer):
5' CCCAAACTCCTCATCTATTGGGCTAGCACTAGGG 3'
F19Lc-アンチセンス (34 mer):
5' CCCTAGTGCTAGCCCAATAGATGAGGAGTTTGGG 3'
4. pUC19 ベクター配列の両側にハイブリダイズするプライマー
APCR1 (17 mer、センスプライマー): 5' TACGCAAACCGCCTCTC 3'
APCR4 (18 mer、アンチセンスプライマー): 5' GAGTGCACCATATGCGGT 3'
RSP (-24) (16 mer、センスプライマー): 5' AACAGCTATGACCATG 3'
UP (-40) (17 mer、アンチセンスプライマー): 5' GTTTTCCCAGTCACGAC 3'

【0050】
実施例4:再構成ヒトF19重鎖変異型A〜E(HA〜HE)の構築
再構成ヒトF19 VH領域のA変異型(HA)は、再構成ヒトF19 VL領域(LA)の構築について記載したのと同じPCR法を用いて構築した(図31)。テンプレートDNAは再構成ヒト226VH(Leger O.J.P., Yednock T.A., Tanner L., Horner H.C., Hines D.K., Keen S., Saldanha J., Jones T., Fritz L. C.およびBending M. M.(1997) ヒトα-4インテグリンに対するマウス抗体のヒト化:多発性硬化症の治療のための潜在的治療剤(Humanization of a mouse antibody against human alpha-4 integrin: a potential therapeutic for the treatment of multiple sclerosis)、Hum. Antibod. 8:3) A変異型とした。再構成ヒトF19 VH領域のA変異型の構築のために6本のプライマーを設計し、合成した(表4)。APCR1-Vha1、Vha2-Vha3、Vha4-Vha5およびVha6-APCR4をPCRプライマー対として用いて、それぞれ、PCR産物A、B、CおよびDを得た。PCR条件は本質的に再構成ヒトF19 VL領域の構築について記載したものとした。正しいDNA配列を有するクローンをreshF19Haと名付け(図32)、次に真核生物発現ベクターpG1D105にサブクローニングした。pG1D105中にクローン化したreshF19HaのDNA配列を図33に示した。
【0051】
再構成ヒトF19VH領域の第3の変異型(HC)は、HAについて記載したと同じ概略で構築したが、Vha4プライマーをVhc4に置き換えた(表4)。HCのDNA配列を図32に示した。再構成ヒトF19 VH領域の第2(HB)および第4(HD)変異型は、Kammanら(Kammman M., Laufs J., Schell J.およびGronenborn B. (1989)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるDNAの高速挿入変異導入(Rapid insertional mutagenesis of DNA by polymerase chain reaction(PCR) Nucl. Acids. Res.17:5404)のPCR-変異導入法に基づいて構築した。HBおよびHDに関して、変異導入プライマーF19VHbd6(Tyr-91からPhe-91へ)をAPCR4と対にして、それぞれHAおよびHCをテンプレートDNAとしてPCR反応で使用した。PCR産物VHbおよびVHdをPstIおよびBamHIで制限酵素消化し、それぞれ予め同じ2種の制限酵素で消化しておいたreshF19HaおよびreshF19Hcにサブクローニングした。HBおよびHDのDNA配列を図32に示した。
【0052】
再構成ヒトF19 VH領域のE変異型(HE)、は上述のKammanら(1989)のPCR-変異導入法に基づいて構築した:
reshF19Heのために、変異導入プライマーF19MsclHe(表5)をプライマーF19VHHindIII(表5)と対にして、pg1d105哺乳動物発現ベクターにクローニングされたHcをテンプレートDNAとしてPCR反応で使用した。適切なプライマー対(各0.2μM)を、10mM KCl、10mM (NH4)2SO4、20mM Tris-HCl(pH8.8)、2mM MgSO4、10%TritonX-100および200μM dNTPsを含む100μlのPCRバッファー中で再構成ヒト226 VH領域のA変異型cDNA 10ngと合わせた。反応混合物にミネラルオイルを上層し、94℃に5分間保った。次に1ユニットのDeep Vent DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)を添加し(「ホットスタート」PCR;Chou Q., Russell M., Birch D., Raymond J.およびBloch W. (1992) 前-PCR誤プラミングおよびプライマー二量体化の防止は低コピー増幅を改善する(Prevention of pre-PCR mis-priming and primer dimerization improves low-copy-number amplifications) Nucl. Acids Res. 20:1717)、PCRをTRIO-サーマルサイクラー(Biometra、Gottingen, Germany)上で25サイクル行なった。各サイクルは、94℃1分間の変性ステップ、70℃1分間のプライマー-アニーリングステップ、72℃2分間の伸長ステップからなっている。この後に、72℃10分間の更なる伸長ステップとその後の4℃への冷却ステップが続く。
【0053】
次にPCR産物をTAE 1.4%標準アガロースゲルからQIAquickTMゲル抽出キットを用いて、業者の提供する方法に従って(QIAGEN Ltd., UK)、抽出及び精製した。次にPCR産物VHeをMscIおよびHindIIIで制限酵素消化し、予め同じ二種の制限酵素で消化しておいたpg1d105中にクローニングされたreshF19Hcにライゲーションした。MscI制限認識部位は全ての再構成ヒトF19 VH領域変異型において唯一つであり、pg1d105発現ベクター中には存在しない。HindIII制限部位はpg1d105中で唯一の部位であり、VH免疫グロブリン遺伝子のクローニングのための部位である。エレクトロポレーション-コンピテントXL-1Blue E.coli細胞を1μlのライゲーションしたDNAで形質転換し、アンピシリンを含むアガロースプレートにプレーティングした。pg1d105配列側方配列にハイブリダイズするプライマーHCMiおよびHucγ1(表5)を用いて、コロニーに対する直接PCR(Gussow D.とClackson T. (1989) ポリメラーゼ連鎖反応によるプラークおよびコロニーからの直接クローン解析(Direct characterization from plaques and colonies by the polymerase chain reaction),Nucl. Acids Res. 17:4000)によって、挿入物の存在と大きさについてスクリーニングした。
【0054】
陽性コロニーのDNAをPlasmid Midiキットを用いて業者の提供するプロトコル(QIAGEN Ltd.,UK)に従って調製した。DNAシーケンシングはジデオキシ連鎖停止法(Sanger F., Nicklen S.およびCoulson A. (1977) 連鎖停止阻害剤によるDNAシーケンシング(DNA sequencing with chain-terminationg inhibitors.)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 74:5463)により環状ベクターDNAから直接に通常の熱変性 (Andersen A., Pettersson A.およびKieldesen T. (1992) 熱変性を用いたシークエネースによるプラスミドDNAシーケンシングの為の迅速かつ簡単な技術(A fast and simple technique for sequencing plasmid DNA with wequenase using heat denaturation) Biotechniques 13: 678)およびSequenase 2.0(USB, Cleveland, OH) を用いて行った。reshF19HeのDNA配列を図32に示した。
【0055】
表4.再構成ヒトF19重鎖可変領域変異型A-Dの構築のためのPCRプライマー
1. A 変異型の合成のためのプライマー
F19vha1 (47mer):5' GTGTATTCAGTGAAGGTGTATCTACTAGTTTTACAGCTGACTTTCAC 3'
F19vha2 (53 mer):
5' TAGTAGATACACCTTCACTGAATACACCATACACTGGGTTAGACAGGCCCCTG 3'
F19vha3 (71 mer):
5' CCCTTGAACTTCTGGTTGTAGTTAGGAATACCATTGTTAGGATTAATACCTCCTATCCACTCCAGCCTTTG 3'
F19vha4 (71 mer):
5' TAACTACAACCAGAAGTTCAAGGGCCGGGCCACCTTGACCGTAGGCAAGTCTGCCAGCACCGCCTACATGG 3'
F19vha5 (63 mer):
5' GCATGGCCCTCGTCGTAACCATAGGCGATTCTTCTTCTGGCGCAGTAGTAGACTGCAGTGTCC 3'
F19vha6 (48 mer):
5' CTATGGTTACGACGAGGGCCATGCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAAC 3'
【0056】
2. C 変異型の合成のためのプライマー
F19vhc4 (71 mer):
5' TAACTACAACCAGAAGTTCAAGGGCCGGGTCACCATCACCGTAGACACCTCTGCCAGCACCGCCTACATGG 3'
3. B 変異型および D 変異型の合成のためのプライマー
F19vhbd6 (27 mer):
5' GGACACTGCAGTCTACTTCTGCGCCAG 3'
4.側方の pUC19 ベクター配列にハイブリダイズするプライマー
APCR1 (17 mer、センスプライマー): 5' TACGCAAACCGCCTCTC 3'
APCR4 (18 mer、アンチセンスプライマー): 5' GAGTGCACCATATGCGGT 3'

【0057】
表5.再構成ヒトF19重鎖可変領域変異型Eの構築のためのプライマー
1.変異型Eの合成のためのプライマー
F19MscIHe (65 mer, アンチセンス):
5' CCTTTGGCCAGGGGCCTGTCTAACCCAGTGTATGGTGTATTCAGTGAAGGTG
MscI
TATCCACTAGTTTCCACTAGTTT 3'
2.側方の哺乳動物発現ベクター pg1d105 配列にハイブリダイズするプライマー
HCMi (28 mer、センス): 5' GTCACCGTCCTTGACACGCGTCTCGGGA 3'
Huc1 (17 mer、アンチセンス): 5' TTGGAGGAGGGTGCCAG 3'

【0058】
実施例5:COS細胞上清中の再構成ヒトF19抗体濃度
COS細胞を一連の再構成ヒトF19抗体構築物の1組でトランスフェクションし、ヒト抗体濃度をIgG1/κELISAを用いて実施例2に記載したように測定した。
【0059】
【表2】
表6.COS細胞上清中の再構成ヒトF19抗体濃度
Figure 0004421779
【0060】
【表3】
表7.COS細胞上清中の再構成ヒトF19抗体濃度
Figure 0004421779
【0061】
RNA スプライシング事象は哺乳動物細胞中の免疫グロブリン遺伝子の発現に必要とされる
哺乳動物発現ベクターpKN100およびpg1d105のいずれも可変領域と定常領域の間にイントロンを有しており、遺伝子発現の際にこれは除去されメッセンジャーRNAを生じさせる。重鎖または軽鎖スプライシングドナー部位と免疫グロブリンスプライシングアクセプター部位間のDNA組換えからなるスプライシング事象を図34に記載した。
【0062】
実施例6:FAP-発現ヒト細胞に対するcF19およびLAHCの結合のフローサイトメトリー解析
組換えFAPおよび内在的に細胞表面に発現しているFAPに対するLAHCの結合能をテストした。
本実施例は細胞FAPに対するLAHCの結合を測定するために行なった。天然にFAPを発現しているMF-SHヒト腫瘍細胞(Shirasuma, K,ら、Cancer 1985, 55:2521-32)およびFAP-トランスフェクションヒト腫瘍細胞株の両方を細胞標的として使用した。LAHCは、直接的な標的細胞への結合を評価する細胞蛍光アッセイおよびマウスF19またはキメラcF19と抗-FAP抗体に対する阻害作用によって調べた。
【0063】
使用した抗体および細胞株は、F19(マウスモノクローナル抗-ヒトFAP抗体、IgG1サブクラス)、mIgG(マウス免疫グロブリン、IgGクラス)、cF19(キメラモノクローナル抗-ヒトFAP抗体、IgG1サブクラス)、LAHC(再構成モノクローナル抗-ヒトFAP抗体、IgG1サブクラス)、hIgG1(ヒト免疫グロブリン、IgG1サブクラス)、MF-SH(ヒト悪性線維性組織球腫細胞株)、HT-1080(ヒト線維肉腫細胞株)、HT-1080FAPクローン33(ヒトFAPをコードするcDNAでトランスフェクションしたHT-1080細胞株)である。抗体は実施例8および12に記載したようにビオチン化した。
【0064】
ヒト腫瘍細胞株の表面の FAP に対する L A H C の直接結合
研究中の腫瘍細胞株の細胞5x105個を示した濃度のテスト抗体または対照抗体と共に1%ウシ血清アルブミン(BSA)を添加した全量0.2mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で氷上にて30分間インキュベーションした。次に、細胞を2mlのPBSで2回洗浄し、1%BSAを添加した0.2mlのPBSに再懸濁し、1:20希釈のFITC-標識マウス抗-ヒトIgG[Dianova]を2次試薬として加え、更に氷上で30分間インキュベーションした。
あるいは、研究中の腫瘍細胞株の細胞5x105個を示した濃度のビオチン標識cF19と共に1%ウシ血清アルブミン(BSA)を添加した全量0.2mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で氷上にて30分間インキュベーションした。次に、細胞を2mlのPBSで2回洗浄し、1%BSAを添加した0.2mlのPBSに再懸濁し、1:40希釈のストレプトアビジン-FITC [Dianova]を2次試薬として加え、更に氷上で30分間インキュベーションした。
さらに細胞を2mlのPBSで洗浄し、1%のパラホルムアルデヒド(PFA)を添加した全量0.5mlのPBS中に再懸濁して氷上に維持した。単一細胞の蛍光を、EPICS XL(Coulter)蛍光活性化細胞解析装置にて488nmにおける細胞の緑色蛍光を解析することにより細胞蛍光法測定した。
【0065】
FAP 発現ヒト細胞株上の細胞表面 FAP へのビオチン化 cF19 の結合に対する L A H C の競合
研究中の腫瘍細胞株の細胞5x105個を、示した量の未標識テスト抗体または対照抗体および1μg/mlのビオチン標識cF19抗体を加えてインキュベーションした。続いて、細胞を2mlのPBSで2回洗浄し、1%のBSA、1:40希釈のストレプトアビジン-FITC(Dianova)を2次試薬として加えた0.2mlのPBSに再懸濁し氷上で30分間インキュベーションした。
次に、細胞を2mlのPBSで2回洗浄し、1%PFAを添加した全量0.5mlPBS中に再懸濁した。単一細胞の蛍光を、EPICS XL(Coulter)蛍光活性化細胞解析装置にて488nmにおける細胞の緑色蛍光を解析することにより細胞蛍光法測定した。
cF19およびLAHCはいずれもFAP-トランスフェクションHT-1080FAPクローン33ヒト腫瘍細胞に特異的に濃度依存性に結合する(表8)。FAP-陰性HT-1080細胞に対する結合は全く検出されなかった(表9)。cF19およびLAHCはどちらも内在性FAPを発現しているヒトMF-SH細胞に濃度依存性に結合した(表10)。
【0066】
ビオチン化cF19はヒトHT-1080FAPクローン33に濃度依存性に結合した(表11)。FAP-陰性HT1080細胞に対する結合は全く検出されなかった(表12)。
ビオチン化cF19のHT-1080FAPクローン33に対する結合は未標識cF19および未標識LAHCのいずれによっても阻害された(表13)。
キメラ抗-ヒトFAPモノクローナル抗体cF19および再構成ヒト抗-ヒトFAPモノクローナル抗体LAHC(実施例10)は、内在的にFAPを発現している細胞株でもまたはFAPをコードしているcDNAでトランスフェクションしたヒト細胞株のいずれでも、その上で発現しているFAPに直接結合することが示された。この結合は、濃度依存性であることが示された。ビオチン化cF19は未標識cF19および未標識LAHCのいずれによっても阻害された。
細胞蛍光技術を用いて、直接結合および特異的結合試薬結合の阻害により、キメラcF19および再構成LAHCヒトモノクローナル抗体の細胞表面に発現しているFAPに対する特異性が示された。
【0067】
【表4】
表8.HT-1080FAPクローン33細胞に対する抗-FAP抗体の結合
Figure 0004421779
【0068】
【表5】
表9.非トランスフェクションHT-1080細胞に対する抗-FAP抗体の結合
Figure 0004421779
【0069】
【表6】
表10.MF-SH細胞に対する抗-FAP抗体の結合
Figure 0004421779
n.d.: 測定せず
【0070】
【表7】
表11. HT-1080FAPクローン33細胞に対するビオチン化cF19抗体の結合
Figure 0004421779
【0071】
【表8】
表12.非トランスフェクションHT-1080細胞に対するビオチン化cF19抗体の結合
Figure 0004421779
【0072】
【表9】
表13.HT-1080FAP クローン33細胞に対するビオチン化cF19の結合と抗-FAP抗体の競合
Figure 0004421779
ビオチン化cF19は表13に示した全てのテストにおいて1μg/mlの濃度で使用した。
【0073】
実施例7.モノクローナル抗体LAHCのin vitro免疫エフェクター機能
本実験は、線維芽細胞活性化因子(FAP)に対する特異性を有するモノクローナル抗体(mAb)LAHCがヒト補体またはヒト単球白血球の存在下でFAP発現細胞を溶解する潜在能力をそれぞれ測定するために行なった。
特に、LAHCのHT-1080FAPクローン33細胞(その表面にヒトFAPを発現している)に対する細胞障害性効果を媒介する能力を調べた。細胞障害性は以下の方法でin vitroで測定した:51Cr-標識標的細胞を補体の供給源としてのヒト血清またはエフェクターとしてのヒトMNC(末梢血単球細胞)とLAHCの存在下でインキュベーションした。51Crの放出を標的細胞の溶解の測定値として測定した。
使用した抗体および細胞株は、LAHC(再構成ヒト抗-ヒトFAP IgG1抗体)、hIgG1(ヒトIgG1対照イソタイプ)、3S193(マウスモノクローナル抗-Lewisy IgG3抗体)、mIgG(マウスIgG対照)、HT-1080(ヒト線維肉腫)、HT-1080FAPクローン33(ヒトFAPをコードしているcDNAでトランスフェクションしたHT1080)、MCF-7(ヒト乳腺ガン細胞株)である。
【0074】
L A H C による標的細胞の補体 - 媒介溶解
腫瘍細胞を100μCi 51Cr(NEN)を含むRPMI1640培地中で1時間インキュベーションすることによって放射標識した。続いて、細胞を51Crフリーの培地で2回洗浄し、2x105細胞/mlの濃度で再懸濁した。
補体の供給源としてのヒト血清は異なる有志者の血液から新たに調製した。腕の血管に注射針を刺すことによって血液を採取し、1時間室温放置し凝固を起こさせ、一晩4℃にて維持した。遠心によって血清を調製し、沈殿から分離した。
保存溶液から調べる抗体をRPMI1640細胞培養培地で適当な濃度に希釈した。
示した細胞株の1x105個の放射標識腫瘍細胞を37℃にて、種々の濃度のテスト抗体、および対照抗体および補体の供給源としての25%(v/v)ヒト血清の存在下でインキュベータ(96%空気および5%CO2)中で2時間インキュベーションした。インキュベーションはU型96穴プレート中、全量200μlのRPMI1640で行ない、三重に行なった。インキュベーション期間後、プレートを遠心し、100μlの上清を取り出し、γ計測器で放射活性を計測した。取り込まれた放射活性の全量を104個の標的細胞を測定することによって決定した。自発放出は上述のインキュベーションの際に抗体および補体のいずれも存在しないときに標的細胞から放出される活性として定義した。
特異的溶解は以下のように計算した:
特異的溶解(%)={[サンプルの活性]-[自発放出の活性]}/{[最大活性]-[自発放出の活性]}x100
【0075】
L A H C の抗体依存性細胞障害性( ADCC
腫瘍細胞を100μCi 51Crを含むRPMI1640中で1時間インキュベーションすることによって放射標識した。続いて、細胞を51Crフリーの培地で2回洗浄し、2x105細胞/mlの濃度で再懸濁した。
MNC(末梢血単球細胞)を健康なヒト有志者の腕の血管に注射針を刺すことによって採取した末梢血から採取した。20%クエン酸バッファーを加えることにより凝固を防止した。4mlのこの血液調製物から遠心(室温にて、400G、30分間)によってMNCを3mllのリンパ球調製培地上(Boehringer Mannheim, Germany)で精製した。MNC(末梢血単球細胞)を勾配から取り出し、RPMI1640で3回洗浄し適当な濃度に再懸濁した。リンパ球活性化キラー(LAK)細胞を、100Uの組換えヒトインターロイキン-2(IL-2)の存在下で、初期濃度1.3x106細胞で95%大気、5%CO2インキュベーター中で37℃にて5日間インキュベーションすることによってMNC(末梢血単球細胞)から誘導した。研究中の抗体をRPMI1640細胞培養培地で保存溶液から適切な濃度に希釈した。
【0076】
示した細胞株の1x104個の腫瘍細胞を種々の濃度のテスト抗体および対照抗体およびMNCの存在下で37℃、5%CO2にて5時間インキュベーションした。MNCを示したエフェクター:標的細胞比となるように加えた。インキュベーションはU型96穴プレート中、全量200μlのRPMI1640で行ない、二重に行なった。
インキュベーション期間後、プレートを遠心し、100μlの上清を取り出し、放射活性をγ計測器で測定した。取り込まれた放射活性の全量を104個の標的細胞を測定することによって決定した。自発放出は上述のインキュベーションの際に抗体およびエフェクター細胞のいずれも存在しないときに標的細胞から放出される活性として定義した。
特異的溶解は以下のように計算した:
特異的溶解(%)={[サンプルの活性]-[自発放出の活性]}/{[最大活性]-[自発放出の活性]}x100
【0077】
腫瘍細胞の抗体 - 媒介補体溶解
50μg/mlまでのLAHCで処理したHT-1080FAPクローン33細胞において、(対照イソタイプで見られるより高い)LAHC特異的な抗体媒介溶解は観察されなかった(表14、表15a)。
補体の供給源として使用したヒト血清の溶解活性は、12.5μg/ml 3S193、補体活性化能を有することが知られているマウスモノクローナル抗−Lewisy抗体の存在下におけるMCF-7ヒト乳腺ガンの溶解によって示された(表15a)。
【0078】
腫瘍細胞の抗体 - 媒介細胞溶解
10μg/mlまでのLAHCの存在下では、ヒトMCH(表16)またはヒトLAK細胞(リンホカイン活性化キラー細胞、表17)に媒介されるLAHCのHT-1080クローン33に対するADCCは、溶解によって測定したところ、エフェクター:標的比50:1において対照イソタイプで見られるより高くは観察されなかった。
ヒト補体またはエフェクター機構としてのヒトMNCによる適切なin vitroアッセイにおいて、ヒト抗-FAPモノクローナル抗体LAHCはFAP-発現腫瘍細胞HT-1080FAPクローン33細胞に対して対照イソタイプよりも高い検出可能な細胞障害効果を示さなかった。
【0079】
【表10】
表14.LAHCに媒介されるHT-1080FAPクローン33標的腫瘍細胞の特異的補体溶解(%)
Figure 0004421779
インキュベーション:37℃にて2時間、 補体の供給源としてヒト有志者AまたはB由来の25%血清
【0080】
【表11】
表15a.ヒト抗-FAPモノクローナル抗体LAHCによって媒介される、HT-1080FAPクローン33標的腫瘍細胞の特異的補体溶解(%)
Figure 0004421779
インキュベーション:37℃にて2時間、 補体の供給源としてヒト有志者AまたはB由来の25%血清、
【0081】
【表12】
表15b.マウス抗Lewisyモノクローナル抗体3S193によって媒介されるMCF-7標的腫瘍細胞の特異的補体溶解(%)
Figure 0004421779
インキュベーション:37℃にて2時間、 補体の供給源としてヒト有志者A,
BまたはC由来の25%血清、
【0082】
【表13】
表16.LAHCによって媒介されるヒトMNC(末梢血単球細胞)によるHT-1080FAPクローン33標的細胞のADCC(抗体-依存性細胞障害性)(%特異的溶解)
Figure 0004421779
インキュベーション:37℃にて5時間、104個の標的細胞およびエフェクター:標的細胞比50:1

【0083】
【表14】
表17.LAHCによって媒介されるLAK細胞(リンホカイン活性化キラー細胞)によるHT-1080FAPクローン33標的細胞のADCC(抗体-依存性細胞障害性、%特異的溶解)
Figure 0004421779
インキュベーション:37℃にて5時間、104個の標的細胞およびエフェクター:標的細胞比50:1.
【0084】
実施例8.正常ヒト組織および腫瘍ヒト組織に対するモノクローナル抗体LAHCの免疫組織学的解析
この実験はヒト化mAb LAHCの正常ヒト組織および腫瘍ヒト組織への結合特性を決定するために行った。
以下の抗体を使用した:LAHC、cF19、および陰性対照hIgG1をこの技術水準の方法に従って、直接ビオチン化し、2%BSA/PBS(リン酸緩衝生理食塩水中のウシ血清アルブミン)中2.5〜0.25mg/mlの濃度で使用した。マウスmAb F19はF19ハイブリドーマの組織培養上清として、2%BSA/PBS中の1:5から1:10希釈で使用した。
以下の試薬を免疫化学アッセイに使用した:ストレプトアビジンペルオキシダーゼ複合体(Vector Labs, Burlingame, CA, USA)、アビジン−ビオチンペルオキシダーゼ複合体(Vactor Labs)、ビオチン化ウマ抗マウス(Vactor Labs)、DAB(ジアミノベンジジン、Sigma Chemical社、St.Louis, MO, USA)、ハリスヘマトキシリン。
【0085】
検査した新鮮な凍結組織サンプルには以下が含まれる:正常結腸、***、肺、胃、膵臓、皮膚、喉頭、膀胱、平滑筋および骨格筋。調べた腫瘍には以下がある:乳、結腸、肺、食道、子宮、卵巣、膵臓、胃および頭頚部の癌。
間接免疫ペルオキシダーゼ法を技術水準に従って(Gain-Chesa P, Old LJ, Rettig WJ:ヒト上皮癌における潜在的抗体標的としての反応性ストロマ線維芽細胞の細胞表面糖タンパク質(Cell surface glycoprotein of reactive stromal fibroblasts as a potential antibody target in human epithelial cancer.)Proc Natl Acad Sci USA (1990) 87:7235-7239)5マイクロメートルの厚さの新鮮な凍結切片に対して行った。DABを最終反応産物のための基質として使用した。切片をハリスヘマトキシリンでカウンター染色し、抗体発現について調べた。
【0086】
正常ヒト組織における L A H C 発現
調べた正常組織は正常膵臓を除いてLAHC発現について陰性であった。正常膵臓では、ランゲルハンス小島(A細胞)中の内分泌細胞のサブセットがLAHC、cF19およびF19によって同定された(表18)。陰性対照として用いたhIgG1(ヒト免疫グロブリンIgG1サブクラス)では免疫反応性は全く観察されなかった。
【0087】
腫瘍における L A H C 発現
腫瘍サンプルにおいて、LAHC、cF19およびF19は腫瘍ストロマ線維芽細胞において区別の付かない発現パターンを示した。調べた大部分の場合に強く均一な発現が見られ、特に乳、結腸、肺、膵臓および頭頚部の扁平上皮癌(SQCC)に由来する癌サンプルにおいて見られた(表19)。陰性対照として用いたhIgG1では免疫反応性は全く見られなかった。
LAHC、cF19およびF19は調べた上皮癌サンプル中の腫瘍ストロマ線維芽細胞と免疫反応性を示した。正常器官間充織の線維細胞または正常成人器官の実質細胞のいずれもLAHCまたはF19との免疫反応性を示さなかった。抗-FAP免疫反応性は膵臓小島中の内分泌細胞のサブセット、おそらくはグルカゴン産生A細胞、および、調べた9つの子宮サンプルのうちの4つにのみ見られ、これらの組織におけるストロマ線維芽細胞のサブセットを代表するものである。
正常ヒト組織およびFAP-発現ヒト癌腫におけるLAHCの免疫組織化学解析は、LAHC、cF19およびマウスmAB F19に対して区別できない結合パターンを示した。
【0088】
【表15】
表18.正常ヒト組織とmAb LAHC、cF19およびF19の免疫反応性
Figure 0004421779
【0089】
【表16】
表18つづき
Figure 0004421779
Figure 0004421779
【0090】
【表17】
表18つづき
Figure 0004421779
Figure 0004421779
アセトン固定凍結切片をアビジン-ビオチン複合体免疫ペルオキシダーゼ方によって調べた。
No. 調べた種々の固体からの組織サンプルの数
* A細胞の同定 小島内の形態及び位置に基づく
# 調べた9つのサンプルの内の4つにおけるストロマにおける陽性免疫反応。
陽性サンプルは初期(x2)および中間期(x2)増殖性子宮内膜を表す。
【0091】
実施例9.組織切片におけるLAHC結合の種特異性
この実験は、LAHCのマウス、ラット、ウサギおよびカニクイザルの組織との反応性を免疫組織学的方法によって評価するために行なった。
また、このテストでは、cF19およびヒトIgG1(hIgG1)を陰性対照として用いた。免疫組織化学に使用した試薬はストレプトアビジンペルオキシダーゼ複合体(Vector Labs., Burlingame, CA, USA)、DAB(Sigma Chemical Col, St.l Louis, MO, USA)およびハリスヘマトキシリンである。
マウス、ラット、ウサギおよびカニクイザルの以下の新鮮な凍結組織をテストした:脳,肝臓、肺、腎臓、胃、膵臓、腸、胸腺、皮膚、筋肉、心臓、脾臓、卵巣、子宮および精巣。陽性対照として、正常ヒト膵臓および乳癌サンプルの切片を各アッセイに含めた。
【0092】
免疫組織化学
5マイクロメートル厚の新鮮な凍結切片に対して技術水準に記載されるように(Garin-Chesa P, Old LJ< Rettig WJ: ヒト上皮癌における潜在的な抗体標的としての反応性線維芽細胞の細胞表層糖タンパク質(Cell surface glycoprotein of reactive stromal fibrobalsts as a potential antibody target in human epithelial cancer))間接免疫ペルオキシダーゼ法を行なった。抗体LAHC、cF19およびhIgG1(1μg/ml)を技術水準に従ってビオチン化し、ストレプトアビジンペルオキシダーゼ複合体で検出した。DABを最終反応生成物のための基質として使用した。切片をハリスヘマトキシリンでカウンター染色し、抗原発現について調べた。
調べた正常組織はこの実験においてLAHCまたはcF19のいずれとも反応しなかった(表1)。
陽性対照として用いた正常ヒト膵臓は、F19について前述したようにランゲルハンス小島中の内分泌細胞のサブセットにおいてLAHCおよびcF19結合性を示した。
マウス、ラット、ウサギおよびカニクイザルの正常組織の免疫組織化学的解析では、行った実験においてLAHCまたはcF19のいかなる結合も検出できなかった。
【0093】
【表18】
表20.免疫組織化学によって決定した非-ヒト種の組織切片に対するLAHCの結合
Figure 0004421779
nt:未テスト
【0094】
実施例10:キメラおよび再構成抗-FAPモノクローナル抗体を産生する細胞株
この実験の目的はCHO DG44細胞内で本発明のLAHC、LAHA、LBHB、LBHDおよびcF19を発現している安定な細胞株を示すことである。ヒト化抗体またはキメラF19抗体でトランスフェクションした安定な細胞株を作製し、それらをテンプレートとして各トランスフェクタントのゲノムDNAを用いて重鎖および軽鎖可変領域のPCR増幅によって確認した。
CHO DG44細胞は無血清条件下でSFM-II培地中で維持した。リポフェクチンおよびSFM-II無血清培地はGibco/BRLより入手した。ジェネティシンおよび全ての制限酵素はBoehringer Mannheimより入手した。PfuポリメラーゼはStratageneより入手した。
トランスフェクションのためのDNAはQiaFilter Maxi Cartridge(Qiagen)を用いて業者の指示に従ってE.coliから精製した。全てのDNA調製物は制限酵素消化によって調べた。それぞれの対応するベクター中のLAHC可変領域の配列はABI PRISM 310シーケンサー(Perkin-Elmer)を用いて確認した。
使用したベクターおよびDNA配列に関する更なる情報は前の実施例中で得られる。
【0095】
CHO DG44 細胞のトランスフェクション
対数増殖期の細胞を1mlの新鮮なSFM-II培地を6穴プレートに播いた。ヒト化またはキメラF19変異型の重鎖および軽鎖をリポソームトランスフェクションを用いてCHO GD44細胞に共トランスフェクションした。6μlリポフェクチン試薬および0.5μgの各ベクター(所望の重鎖について1つ、軽鎖について1つ)を用いて、LipofectAMINEトランスフェクションについて記載されているようにリポソームを調製したが、但し、SFM-II培地を全ての試薬の希釈に使用した。24時間後、細胞を300μg/mlのジェネティシンを含むSFM-II培地中に1:10に希釈した。
最初の細胞殺滅期(10〜14日)の終了後、ジェネティシンの濃度を200mg/mlに低下させ、メトトレキセートを最終濃度5nMで添加した。メトトレキセート濃度を10〜14日後に最終濃度20nMまで上昇させた。
【0096】
トランスフェクト DNA PCR 増幅
107個のCHO DG44細胞をエッペンドルフ微量遠心機で最高速度で短時間遠心し、PBSで1回洗浄し、再度ペレット化した。細胞ペレットのSDS溶解およびプロテイナーゼK処理後、エタノール沈殿によってゲノムDNAを調製した。
以下のプライマー対の一つ、dNTPs、バッファーおよびPfuポリメラーゼを含む混合物を、テンプレートとしてゲノムDNAを用いて重鎖または軽鎖可変領域を増幅するために使用した。得られたPCR産物を適切な制限酵素で消化して、アガロースゲル電気泳動により解析してその正体を確認した。
【0097】
軽鎖プライマーセット:
5'- GAG ACA TTG TGA CCC AAT CTC C - 3' PKN 1690
5'- GAC AGT CAT AAA CTG CCA CAT CTT C - 3' PKN.1930.R
重鎖プライマーセット:
5'- TTG ACA CGC GTC TCG GGA AGC TT - 3' PG 5863
5'- GGC GCA GAG GAT CCA CTC ACC T - 3' PG 6332.R

【0098】
未消化の重鎖PCR産物は469bpの予想される長さを有するが、軽鎖PCR産物は286bpの予想される大きさを有する。同一性の証明は、BstEII(重鎖)またはNlaIV(軽鎖)による制限酵素消化によって決定した。
CHO細胞株をLAHC、LAHA、LBHB、LBHDおよびcF19でトランスフェクションした。ジェネティシン耐性細胞を得て、これらの細胞を更にメトトレキセート耐性について選抜した。PCR増幅およびこれに続く軽鎖及び重鎖DNAの制限酵素切断は予測したバンドを生成し、LAHC、LBHB、LAHAおよびLBHDトランスフェクタントが確認された。
記載した細胞は常に無血清条件で維持し、トリプシンのような動物由来産物で処理しなかった。
モノクローナルLAHC、LAHA、LBHB、LBHDおよびcF19抗体産生細胞株を作製した。それらの同一性は、PCR増幅および得られた重鎖及び軽鎖可変領域の双方のPCR産物の制限酵素切断によって確認した。
【0099】
実施例11:チャイニーズハムスター卵巣DG44細胞における抗体タンパク質の発現およびその精製
この実験の目的は、LAHC、LAHA、LBHBおよびLBHD mAbを発現させ精製し、その特徴付けを可能とすることである。他の目的には、粗培地サンプルおよび精製Igサンプルの両方で抗体濃度を測定することができる定量的ELISAの確立および、このアッセイを用いて種々のヒト化F19構築物の相対的発現レベルを決定することが含まれる。
無血清CHO DG44細胞およびUSP-等級のメトトレキセートはBiothechnical Production Unit of the Dr. Karl Thomae GmbH, Biberach, Germany、から入手した。どちらの製品も商業的に入手可能である。細胞は常に無血清条件下で維持した。SFM-II無血清培地はGibco/BRLから入手した。プロテインAアガロースはPierce Chemical(Indianapolis, IN, USA)から入手した。ヒトIgG1標準品(カタログ番号I 3889)、p-ニトロフェニルホスフェート錠剤(N 2640)、ウシ血清アルブミン(BSA)(A 7906)、およびヤギ抗-ヒトκ鎖特異的アルカリホスファターゼ結合抗体(A 3813)はSigma Chemical(St. Louis, MO, USA)から入手した。ヤギ抗-ヒトγ鎖特異的アルカリホスファターゼ結合抗体はJackson Immunoresearch Laboratories(Stratech Scientific経由)から入手した。トリス緩衝生理食塩水(TBS)は150mM NaCl、50mM Tris、pH7.5からなる。
【0100】
抗体発現のための細胞培養条件
細胞はT-175フラスコにてSFM-II無血清培地中で撹拌せずに培養維持した。培地は抗生物質無しで、200μg/mlのジェネティシンと20nMのメトトレキセートを含めた。細胞を希釈により継代した。細胞は接着性でなく、小さなクラスターとして増殖させた。細胞が定常期に到達したとき、培地を回収し遠心して細胞を除去し必要になるまで-20℃にて凍結した。
【0101】
L A H C の精製
全ての精製ステップは4℃で行なった。C10/10カラム(Pharmacia Fine Chemicals)をプロテインAアガロース(総体積3ml)で充填した。カラムをTBSで洗浄し、0.1M クエン酸ナトリウムpH3.0で一度予備溶出し、緩く結合した物質がカラムに残っていないことを保証した。次にこのカラムを直ちにTBSで再平衡化し、4℃に保存した。消費培養上清を溶解し、次にプロテインAクロマトグラフィーに先立って、10,000xgで30分間遠心して残渣を除去し、等量のTBSで希釈した。この材料を0.5ml/分でP-1ペリスタポンプ(Pharmacia)を用いてプロテインAカラムにかけ、280nmにおける吸光度が検出されなくなるまでTBSで洗浄した。抗体の溶出は、0.1M クエン酸ナトリウムpH3.0で、およそ0.2ml/分で開始した。溶出を280nmにて監視し、溶出された物質の1ml画分を、クエン酸バッファーを中和するために充分な量のトリス塩基pH9.0を含む試験管に集めた。タンパク質を含む画分を集め、YM-30フィルターを備えたAmicon濾過装置を用いて濃縮し、PBSに対して透析した。カラムは直ちにTBSで再生させた。タンパク質色素-結合アッセイをBioRad(Hercules, Califonia)タンパク質検出キットで、ウシ血清アルブミンを標準として、業者の説明書に従って行なった。
【0102】
ヒト IgG (γ免疫グロブリン) ELISA
コーティングバッファー中の100μlのアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗-ヒトγ鎖特異的抗体0.4mg/mlで、ELISAプレートを4℃にて一晩コーティングした。コーティング抗体を除去し、プレートをPBS中の2%BSAで2時間ブロッキングした。以下の全てのステップは37℃で行なった。ブロッキングバッファーを希釈バッファーで系列的に200mlの容量で希釈した抗体サンプルまたはヒトIgG1標準品で置き換え、1時間インキュベーションした。希釈バッファーおよび/または非トランスフェクション細胞の培養培地を陰性対照に含めた。細胞を洗浄し、1:5000希釈の100μlアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗-ヒトκ鎖特異的抗体を添加し、1時間インキュベーションした。ウェルを洗浄し、100μlの反応バッファーを添加して30分間インキュベーションした。反応を1M NaOHの添加により停止させ、ELISAプレート読取機で405nmにて吸光度を読んだ。結果を四元反復曲線回帰(four-parameter iterative curve fitting)によって解析した。
技術水準において利用可能な方法によってアミノ酸解析を行なった。
モノクローナル抗体LAHCが生産され、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを用いて均一に精製された。ヒトIgG1を標準として用いたELISAアッセイはLAHC回収率が70%を越えることを示した。SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によれば、この物質の純度は90%より大きいと見積もられた。代表的な発現データおよび典型的な精製収率を表21に示した。
【0103】
【表19】
表21.CHO細胞におけるFAP抗体タンパク質の発現データおよび精製収率
Figure 0004421779
本研究で作製したそれぞれの抗-FAP抗体の代表的発現データを示した。プロテインAアガロースアフィニティークロマトグラフィー後の回収率は、BSAを標準に用いた精製Igのタンパク質色素結合測定に基づいている。
【0104】
実施例12:単離組換えヒトFAPに対するモノクローナル抗体LAHCの結合
本研究の目的は、単離組換えFAPに対するLAHCの結合の特性解析であった。
CD8-FAP ELISA
ELISAプレートをコーティングバッファー中の1:2000希釈マウス抗-ラット抗体(Sigma Chemical R0761)100μlで4℃にて一晩コーティングした。コーティング抗体を除去し、プレートをPBS中の2%BSAで1時間ブロッキングした。以下の全ての工程は室温で行なった。ブロッキングバッファーを1μg/mlラット抗-CD8抗体(Pharmingen 01041D)の100mlで置き換え、1時間インキュベーションした。プレートを洗浄し、100μLのCD8-FAP培養上清(実施例14参照)(PBS中1:2)を加え、1時間結合させた。プレートを洗浄し、抗体サンプルを体積で100μl加え(2倍系列希釈)1時間インキュベーションした。陰性対照にヒトIgGおよび/または非トランスフェクション細胞の培養培地を含めた。ウェルを洗浄し、希釈バッファーで1:500に希釈した100μlのホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)結合マウス抗-ヒトIgG1抗体(Zymed 05-3320)を加え1時間インキュベーションした。ウェルを洗浄し、100μl HRP基質(アジノ-ビス-(3-エチルベンズチアゾリン 6-スルホン酸、Sigma Chemical A9941)を加え60分間インキュベーションした。反応を1M NaOHの添加により停止させ、ELISAプレート読取機で405/490nmにて吸光度を読み取った。結果を四元反復曲線回帰で解析した。
あるいは、プレートを直接cF19でコーティングした。FAP(組換えヒトFAP、実施例13参照)をこのプレートに上述のように結合させ、次にビオチン化LAHC(〜1μg/ml)を添加した。抗体結合をHRP-ストレプトアビジン結合体で上述のように検出した。
【0105】
膜結合ヒト FAP の可溶化
FAP発現293FAP l/2細胞または対照293細胞をPBSで洗浄し、トリス緩衝生理食塩水中の1%Triton X-114で溶解した。核および残渣を10,000xgの遠心によって除去した。上清を膜タンパク質を濃縮するために相-分画した(Estreicher A, Wohlend A, Belin D, Scheuning WD Vasalli JD. ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子の細胞結合部位の特徴づけ(Characterization of the cellular binding site for the urokinase-type plasminogen activator)J. Biol. Chem. 264: 1180-1189)。変性剤相を回収し、Triton X-114の再凝集を防止するため1%エンピゲンBB(Calbiochem)を含むバッファーで希釈した。この材料をコンカナバリンAアガロースクロマトグラフィーにかけた(Rettig WJ, Garin-Chesa P, Healey JH, Su SL, Ozer HL, Schwab, M, Albino AP, Old LJ. 間葉細胞起源および神経外胚葉起源の正常およびトランスフェクション細胞における線維芽細胞活性化タンパク質の制御およびヘテロマー構造(Regulation and heteromeric structure of the fibroblast activation protein in normal and transformed cells of mesenchymal and neuroectodermal origin)(1993) Cancer Res 53:3327-3335)。
【0106】
L A H C のビオチン化
LAHC(1-2mg)を50mM炭酸水素バッファーに対して透析し、スルフォスクシンイミジル-6-ビオチンアミドヘキサノエート(NHS-LCビオチン、Pierce Chemical, Rockford, Illinois, USA)の10倍モル過剰量で室温にて2時間ビオチン化した。微量濃縮装置中で繰り返し微量透析して未反応産物を除去した。
【0107】
一過性トランスフェクション
COS-7細胞(American Type Tissue Culture Collection、参照番号CRL 1651)をエレクトロポレーションによって、LAHCをコードする重鎖および軽鎖ベクターで共トランスフェクションした。
抗-CD8モノクローナル抗体をマイクロタイタープレートに固定化した。CD8-FAPバキュロウイルスで感染させた昆虫細胞の培地からのCD8-FAPをこれらのプレートに結合させた。LAHCをコードする2つの別個のベクターで一過性にトランスフェクションしたCOS-7細胞培養の消費培地を系列的に希釈し固定化CD8-FAPを含むウェルに加えた。LAHCは単離固定化CD8-FAPタンパク質に結合した(図35)。偽トランスフェクションしたCOS-7細胞の培養上清は結合を示さなかった。
293FAP l/2細胞の変性剤抽出物からの組換え膜結合FAPまたは対照抽出物を系列希釈しマイクロタイタープレートに結合したキメラF19モノクローナル抗体によって固定化した。ビオチン化LAHCはcF19で固定化された組換えヒトFAPに濃度依存性様式で結合した(図36)。
【0108】
LAHCはマウスF19に対するエピトープを有する固定化単離組換えヒトFAPを認識した。LAHCは昆虫細胞内で作られたCD8-FAPおよび293FAP l/2中で作られたFAPタンパク質のいずれにも結合した。
LAHCをコードする重鎖および軽鎖ベクターまたはDNAなし(対照)でトランスフェクションしたCOS7細胞の培養上清をトランスフェクション3日後に回収した。CD8-FAPを抗-CD8抗体で本文に記載したように固定化した。COS7上清の系列希釈を固定化CD8-FAPに結合させ続いてHRP-結合抗-ヒトIgG1抗体で検出した。
FAP-発現293FAP l/2細胞または対照293細胞の変性剤抽出物を系列希釈し、cF19コーティングしたマイクロタイタープレートに加えた。ビオチン化LAHCを加え、ビオチン化LAHCの結合をHRP-結合ストレプトアビジンで検出した。
【0109】
実施例13:ヒトFAPのcDNAでトランスフェクションしたHT-1080線維芽細胞腫細胞および293ヒト胎児性腎臓細胞の特性解析
線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)はF19エピトープを有する細胞表面膜結合タンパク質であり、腫瘍ストロマ線維芽細胞上に発現している。組換えFAPタンパク質を発現している細胞株およびFAPを欠く対応対照細胞株を抗-FAPモノクローナル抗体の特性解析のために作製した。
使用した細胞はHT-1080細胞(参照番号CCL 121)および293ヒト胎児性腎臓細胞(参照番号CRL 1573)であり、American Type Culture Collection(Maryland, USA)から入手した。トランスフェクタム(Transfectam)はPromega(Madison, WI)より入手した。ジェネティシンおよび全ての制限酵素はBoehringer Mannheimから入手した。トランスフェクションのためのDNAはE.coli細胞からQiaFilter Maxi Cartrige(Qiagen)を用いて業者の指示に従って精製した。全てのDNA調製物は制限酵素消化によって調べた。ベクター配列はABI PRISM 310シーケンサーを用いて確認した。
使用したベクターおよびDNA配列に関する更なる情報は、Scanlan MJ, Raj BK, Calvo B, Garin-Chesa P, Sanz-Moncasi MP, Healey JH, Old LJ, Rettig WJ. 線維芽細胞活性化タンパク質α、上皮癌のストロマ線維芽細胞において選択的に発現しているセリンプロテアーゼファミリーのメンバーの分子クローニング(Molecular cloning of fibroblast actibation protein alpha, a member of the serine protease family selectively expressed in stromal fibroblasts of epithelial cancers) (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10832-10836)。FAP cDNA配列はGenbankに登録されている(アクセッション番号HS09287)。
【0110】
細胞培養およびイムノアッセイ
HT-1080細胞をトランスフェクタムを用いて、業者の説明に従って1mgのDNAでトランスフェクションした。ヒト胎児性腎臓293細胞をリン酸カルシウムトランスフェクション(Brann MR; Buckley NJ; Jones SVP; Bonner TI. A9 L細胞におけるクローン化ムスカリン性レセプターの発現(Expression of cloned muscarinic reseptor in A9 L cells)(1987) Mol. Pharmacol 32: 450-455)によって10mgのDNAでトランスフェクションした。24時間後、細胞を200mg/mlのジェネティシンを含む新鮮な培地で1:10希釈した。コロニーを拾い、Rettig WJ; Garin-Chesa P; Beresford HR; Oettgen HF; Melamed MR; Old LJ.「 ヒト肉腫の細胞表面糖タンパク質:正常組織および悪性組織および培養細胞における異なる発現」(Cell-surface glycoportein of human sarcomas: differential expression in normal and malignant tissue and cultured cells)(1988) Proc Natl Acad Sci USA 85:3110-3114、に記載されているようにFAP発現について免疫蛍光によって調べた。
cF19による免疫沈降をRettig WJ, Garin-Chesa P, Healey JH, Su SL, Ozer HL, Schwab,M, Albino AP, Old LJ.「間葉および神経外胚葉起源の正常および形質転換細胞における線維芽細胞活性化タンパク質の制御及びヘテロマー構造」(Regulation and heteromeric sturcture of the fibroblast activation protein in normal and transformed cells of mesenchymal and neuroectodermal origin) (1993) Cancer Res. 53:3327-3335 に記載されているように代謝的に標識した細胞で行なった。
【0111】
HT-1080および293細胞を抗-FAP抗体による免疫蛍光アッセイにおいてFAP抗原発現についてテストし、抗原陰性であることが分かった。これらの細胞のFAP.38ベクターによるトランスフェクションはジェネティシン耐性コロニーを生じさせた。分離したコロニーを取り、FAP発現について免疫蛍光により解析した。2つの細胞クローンを同定し、HT-1080FAPクローン33および293FAP l/2と名付けた。これらはcF19抗体で認識されるように、細胞表面結合FAPタンパク質を発現する。不浸透化したHT-1080FAPクローン33細胞および293FAP l/2のcF19抗体を用いた染色によりFAPタンパク質の細胞表面局在性が確認された。
35S-メチオニン標識HT-1080FAPクローン33細胞または293FAP l/2細胞からのcF19による放射標識したFAPタンパク質の免疫沈降は、オートラジオグラフィー後に93キロドルトンのバンドを出現させた。このバンドは親のHT-1080または293細胞抽出物の免疫沈降物には検出できない。
2種の安定にトランスフェクションされた細胞株、HT-1080FAPクローン33および293FAP l/2は抗-FAP mAbによる免疫学的アッセイにおける測定によれば細胞表面上にFAPを発現している。親のHT-1080細胞も親の293細胞も検出可能なレベルのFAPを発現しない。
【0112】
実施例14:CD8-FAP融合タンパク質
抗-FAP mAbの結合部位を含むLAHCの特徴付けのために、CD8-FAP融合タンパク質の形態でのヒトFAP(線維芽細胞活性化タンパク質)の可溶化型を昆虫細胞で生産させた。マウスCD8はタンパク質の分泌を可能とし追加のエピトープタグを提供させるために選択した。
CD8の細胞外領域をコードするcDNA(マウスCD8α(Genbank M12825)の最初の189アミノ酸からなる)を、本質的にLaneら(Lane P, Brocker T, Hubele S, Padovan E. Lazavecchia A, McConnell. 可溶化CD40リガンドはT細胞依存性活性化におけるB細胞に対する正常T細胞由来CD40リガンドシグナルに置き変わることができる(Soluble CD40 ligand can replace the normal T cell-derived CD40 ligand signal to B cells in T cell-dependent activation (1993) J. Exp. Med. 177: 1209-1213)に記載されたように、標準的なPCR法を用いてFAPの細胞外領域(アミノ酸27から760まで)のcDNAに接続した。全てのクローンの確実性はDNAシーケンシングによって確認した。得られたDNAをpVL1393ベクター(Invitrogen)に挿入し、このベクターでSf9細胞(Invitrogen)をトランスフェクションし、得られた組換えバキュロウイルスの増幅を記載されているように(バキュロウイルス発現ベクター。実験室マニュアル(Baculovirus Expression Vectors. A laboratory Manual.) O'Reilly DR, Miller LK, Luckow VA(編集), Oxford University Press: New York, 1994)行なった。組換えCD8-FAPバキュロウイルスで感染させたHigh FiveTM細胞(Invtrogen)の4日間の消費培地を集め超遠心で透明化した。
【0113】
CD8-FAP ELISA(酵素結合免疫固相アッセイ)は上述した(実施例12)。
CD8-FAPウイルスで感染させた昆虫培養細胞はF19エピトープを有する融合タンパク質を培地中に分泌し、抗-FAP抗体によって認識された(図19)。細胞培養培地単独およびCD8-CD40L融合タンパク質はいずれも抗-FAP抗体に結合しなかった。
F19エピトープを有する可溶化CD8-FAPタンパク質は感染昆虫培養細胞の培地中に分泌された。対照構築物で感染させた細胞の培養上清はF19エピトープを有する抗原を含んでいなかった。
FAP、CD8-FAPの可溶化型は昆虫細胞中で産生され、CD8-FAPはcF19によって認識されるエピトープを有することが示された。
CD8-FAPまたはCD8-CD40L融合タンパク質のいずれかをコードする組換バキュロウイルスで感染させた昆虫細胞の上清を感染4日後に集めた。細胞を含まない細胞培養培地を追加の対照(培地)として使用した。これらの材料の系列希釈物を抗-CD8抗体をコーティングしたマイクロタイタープレートに加え、結合させた。cF19(1mg/ml)を続いて添加し、結合させた。結合したcF19をホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗-ヒト抗体で検出した。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】 F19ヒト再構成軽鎖可変領域A変異型(hF19LA)のDNA配列、配列番号1である。
【図2】 F19ヒト再構成軽鎖可変領域A変異型(hF19LA)のアミノ酸配列、配列番号2である。
【図3】 F19ヒト再構成軽鎖可変領域B変異型(hF19LB)のDNA配列、配列番号3である。A変異型と異なるヌクレオチドは下線を引き太字で示した。
【図4】 F19ヒト再構成軽鎖可変領域B変異型(hF19LB)のアミノ酸配列、配列番号4である。A変異型と異なるアミノ酸は下線を引き太字で示した。
【図5】 F19ヒト再構成軽鎖可変領域C変異型(hF19LC)のDNA配列、配列番号5である。A変異型と異なるヌクレオチドは下線を引き太字で示した。
【図6】 F19ヒト再構成軽鎖可変領域C変異型(hF19LC)のアミノ酸配列、配列番号6である。A変異型と異なるアミノ酸は下線を引き太字で示した。
【図7】 F19ヒト再構成重鎖可変領域A変異型(hF19HA)のDNA配列、配列番号7である。
【図8】 F19ヒト再構成重鎖可変領域A変異型(hF19HA)のアミノ酸配列、配列番号8である。
【図9】 F19ヒト再構成重鎖可変領域B変異型(hF19HB)のDNA配列、配列番号9である。A変異型と異なるヌクレオチドは下線を引き太字で示した。
【図10】 F19ヒト再構成重鎖可変領域B変異型(hF19HB)のアミノ酸配列、配列番号10である。A変異型と異なるアミノ酸は下線を引き太字で示した。
【図11】 F19ヒト再構成重鎖可変領域C変異型(hF19HC)のDNA配列、配列番号11である。A変異型と異なるヌクレオチドは下線を引き太字で示した。
【図12】 F19ヒト再構成重鎖可変領域C変異型(hF19HC)のアミノ酸配列、配列番号12である。A変異型と異なるアミノ酸は下線を引き太字で示した。
【図13】 F19ヒト再構成重鎖可変領域D変異型(hF19HD)のDNA配列、配列番号13である。A変異型と異なるヌクレオチドは下線を引き太字で示した。
【図14】 F19ヒト再構成重鎖可変領域D変異型(hF19HD)のアミノ酸配列、配列番号14である。A変異型と異なるアミノ酸は下線を引き太字で示した。
【図15】 F19ヒト再構成重鎖可変領域E変異型(hF19HR)のDNA配列、配列番号15である。A変異型と異なるヌクレオチドは下線を引き太字で示した。
【図16】 F19ヒト再構成重鎖可変領域E変異型(hF19HE)のアミノ酸配列、配列番号16である。A変異型と異なるアミノ酸は下線を引き太字で示した。
【図17】 F19キメラ軽鎖可変領域(chF19LC)のアミノ酸配列。配列番号17である。
【図18】 F19キメラ重鎖可変領域(chF19HC)のアミノ酸配列。配列番号18である。
【図19】 ヒトκ軽鎖定常鎖のDNA配列、配列番号19である。
【図20】 ヒト軽鎖定常鎖のアミノ酸配列、配列番号20である。
【図21】 ヒト重鎖定常鎖のDNA配列、配列番号21である。
【図22】 ヒト重鎖定常鎖のアミノ酸配列、配列番号22である。
【図23A】 ヒトκ軽鎖およびヒトγ-1重鎖を有するキメラおよび再構成ヒト抗体を生産するために使用される哺乳動物発現ベクター。軽鎖発現ベクター:pKN100
【図23B】 ヒトκ軽鎖およびヒトγ-1重鎖を有するキメラおよび再構成ヒト抗体を生産するために使用される哺乳動物発現ベクター。重鎖発現ベクター:pG1D105
【図24】 キメラF19軽鎖の構築に使用するために改変されたマウスF19軽鎖可変領域のDNA配列及びアミノ酸配列。制限酵素部位は太字で示した。コザック配列、CDR1から3およびスプライシングドナー部位に下線を引いた。
【図25】 キメラF19重鎖の構築に使用するために改変されたマウスF19重鎖可変領域のDNAおよびアミノ酸配列。コザック配列、CDR1から3およびスプライシングドナー部位に下線を引いた。
【図26】 哺乳動物発現ベクターpKN100にクローン化されたF19キメラ抗体のDNA配列。制限酵素部位は太字で示し下線を引いた。CDR1から3およびスプライシングドナー部位に下線を引いた。これはpKN100真核生物発現ベクター内部のマウスF19軽鎖のDNA配列である。このベクターはヒトκ定常領域遺伝子(アロタイプKm(3))のcDNA版に強力な人工的終結配列でターミネーションされている。加えて、Neo選抜遺伝子もこの人工終結配列でターミネーションされており、κ軽鎖発現カセットと同じ方向にある。
pKN100真核生物発現ベクターの本質的構成要素は以下の通りである:
1−6 = EcoRI部位
7−1571 = HCMViプロモーター/エンハンサー
583−597 = TATAAボックス
610 = 転写開始点
728−736 = スプライシングドナー部位
731 = イントロン開始点
1557 = イントロン終了点
1544−1558 = スプライシングアクセプター部位
1590−1598 = コザック配列
1599−1658 = ペプチドリーダー配列
1659−1997 = マウスF19軽鎖
1996−2004 = スプライシングドナー部位
2011−2657 = ヒトκ定常領域(Km(3))遺伝子のcDNAコピー
2664−2880 = 人工spaC2終結配列
2887−7845 = 以下を含むpSV2neoベクターDNA断片
Amp-耐性遺伝子(反対方向)、
ColE1およびSV40複製開始点、および
Neo-耐性遺伝子(HCMVi-KCTカセットと同じ方向)
7852−8068 = 人工spaC2終結シグナル
この配列は配列の最初のEcoRI部位(位置1-6)の直ぐ上流で終わっている。ベクターとしては、このDNA配列は環状であろう。
【図27】 哺乳動物発現ベクターpg1d105にクローン化されたF19キメラ抗体のDNA配列。制限酵素部位は太字で示し下線を引いた。CDR1〜3およびスプライシングドナー部位は下線を引いた。これはマウスF19重鎖可変領域を含む真核生物発現ベクターpG1D105のDNA配列である。このベクターはヒトγ-1定常領域(Gm1(17)アロタイプとしても知られるアロタイプG1m(非-a、z、-x))のcDNA版を有している。
この構築物の本質的構成要素は以下の通りである:
1 −2501 = アンピシリン耐性遺伝子およびColE1複製起点+SV40複製起点、および不完全な(crippled)SV40初期プロモーターを含むpBR322ベースの配列
2502−3226 = dhfr遺伝子
3233−4037 = SV40ポリA配列、他
4074−4079 = ライゲーションしたBamHIおよびBglII部位(BstYI)
4080−4302 = SPA部位+C2終結シグナル
4303−5867 = HCMViプロモーター
5879−5885 = 免疫グロブリン可変遺伝子のクローニングのための唯一のHindIII制限酵素部位
5886−5894 =コザック配列
5895−5951 = シグナルペプチド
5952−6323 = マウスF19重鎖
6323−6330 = スプライシングドナー部位
6331−6336 = 免疫グロブリン可変遺伝子のクローニングのための唯一のBamHI制限酵素部位
6337−7388 = 62bpイントロンによって予測されるヒトγ-1定常領域のcDNAコピー
7389−7709 =Arenie終結配列
この構築に使用したヒトγ-1定常領域は、位置356のグルタミン酸残基(E)(Eu番号づけによる)、位置358のメチオニン残基(M) (Eu番号づけによる)、位置214のリジン残基(K) (Eu番号づけによる)によって定義される、Gm1(17)としても知られるG1m(非-a、z、-x)アロタイプを有している。これらの3つの残基は上記配列中に下線を引いた。
【図28】 ヒト再構成F19軽鎖のPCRベースの構築の方法。この図は、構築の概略を示したものである。点線はプライマー間の少なくとも21塩基の相補配列を示す。
【図29】 再構成ヒトF19軽鎖可変領域A変異型、B変異型およびC変異型のヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列。ヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列は整列させ、A変異型の配列と比較した。ダッシュはこの配列とのヌクレオチドの同一性を示し、ドットはアミノ酸同一性を示す。アミノ酸はKabatら(1991)に従って番号付けた。CDRの位置はボックス内に示した。
【図30】 哺乳動物発現ベクターpKN100にクローン化されたF19LA(ヒト再構成軽鎖A変異型)のDNA配列。制限酵素部位は太字で示し下線を引いた。CDR1-3およびスプライシングドナー部位に下線を引いた。これは、pKN100真核細胞発現ベクター中にクローン化された再構成F19軽鎖A変異型のDNA配列である。このベクターは強力な人工的終結配列によって終わっているヒトκ定常領域遺伝子(アロタイプKm(3))のcDNA版を有している。加えて、Neo選抜遺伝子もこの人工配列によって終止しており、κ軽鎖発現カセットと同じ方向に存在している。
このベクターの構成要素は以下の通りである:
7−1571 = HCMViプロモーター/エンハンサー
583−587 = TATAAボックス
610 = 転写開始点
728−736 = スプライシングドナー部位
731 = イントロンの開始
1557 = イントロンの終わり
1544−1558= スプライシングアクセプター部位
1590−1598= コザック配列
1599−1658= ペプチドリーダー配列
1659−1997= 再構成F19軽鎖A変異型
1996−2004= スプライシングドナー部位
2011−2657= ヒトκ定常領域(Km(3))遺伝子のcDNAコピー
2664−2880= 人工spaC2終結配列
2887−7845= Amp-耐性遺伝子(逆方向)、ColE1およびSV40複製起点
およびNeo-耐性遺伝子(MCMVi-KCTカセットと同方向)を含むpSV2neoベクターDNA断片である。
7852−8068= 人工spaC2終結配列
この配列は、以下の配列のはじまりのEcoRI部位(位置1-6)の直ぐ上流で終わっている。ベクターとしては、このDNAは環状であろう。
【図31】 ヒト再構成F19重鎖のPCRベースの構築方法。この図は、構築の概略図を提供するものである。点線はプライマー間の少なくとも21塩基の相補性配列を示す。
【図32】 再構成ヒトF19重鎖可変領域変異型AからEのヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列。ヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列を整列し、変異型Aと比較した。ダッシュはこの配列とのヌクレオチド同一性を示し、点線はアミノ酸配列の同一性を示す。アミノ酸はKabatら(1991)に従って、番号付けをした。CDRの位置はボックスで示してある。
【図33】 哺乳動物発現ベクターpg1d105にクローン化したF19Ha(ヒト再構成重鎖変異型a)のDNA配列。制限酵素部位は太字で示し、下線を引いた。CDR1-3およびスプライシングドナー部位は下線を引いた。これは、F19重鎖可変領域の再構成変異型Aを含む真核生物発現ベクターpG1D105のDNA配列である。このベクターはヒトγ-1定常領域(アロタイプG1m(非-a、z、-x)、Gm1(17)アロタイプとしても知られている)のcDNA版を含む。
この構築物の本質的構成要素は以下の通りである:
1−2501 = アンピシリン耐性遺伝子およびColE1起点+SV40起点および欠陥(crippled)SV40初期プロモーターを含む、pBR322に基づく配列。
2502−3226 = dhfr遺伝子
3233−4073 = SV40ポリA配列他
4080−4302 = SPA部位+C2終結シグナル
4303−5867 = HCMVi プロモーター/エンハンサー
5879−5885 = 免疫グロブリン可変遺伝子のクローニングのための唯一のHindIII制限酵素部位
5886−5894 = コザック配列
5895−5951 = シグナルペプチド
5952−6323 = 再構成F19重鎖変異型A
6323−6330 = スプライシングドナー部位
6331−6336 = 免疫グロブリン可変遺伝子をクローニングするための唯一のBamHI部位
6337−7388 = 62bpイントロンによって予測されるヒトγ-1定常領域のcDNAコピー
7389−7709 = Arnie終結配列
この構築で使用されるヒトγ-1定常領域は、位置356(Eu番号付けによる)のグルタミン酸(E)残基、位置358(Eu番号付けによる)におけるメチオニン(M)残基、位置214(Eu番号付けによる)におけるリジン(K)残基によって定義されるG1m(非-a、z、-x)アロタイプ(Gm1(17)としても知られる)を有している。これらの3つの残基は上述の配列中で下線を引いた。
【図34】 哺乳動物細胞における抗体F19発現の際に起こる重鎖(パネルA)および軽鎖(パネルB)RNAスプライシング事象−概略図。
A.重鎖RNAスプライシング
B.κ軽鎖RNAスプライシング
【図35】 CD8-FAPに対するLAHC上清結合の濃度依存性
【図36】 ヒトFAPに対するビオチン化LAHCの結合
【図37】 cF19検出によればCD8-FAPはF19エピトープを有している。

Claims (3)

  1. 以下の(i)〜(iii)のいずれかの抗体タンパク質をコードするDNA分子:
    (i)線維芽細胞活性化タンパク質に特異的に結合する、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む抗体タンパク質;
    (ii)更に配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む、(i)に記載の抗体タンパク質;または、
    (iii)更に配列番号20に記載のアミノ酸配列および配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む、(i)または(ii)に記載の抗体タンパク質。
  2. 請求項に記載のDNA分子を有する宿主細胞。
  3. (i)線維芽細胞活性化タンパク質に特異的に結合する、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む抗体タンパク質;
    (ii)更に配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む、(i)に記載の抗体タンパク質;または、
    (iii)に配列番号20に記載のアミノ酸配列および配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む、(i)または(ii)に記載の抗体タンパク質、
    のいずれかの抗体タンパク質を生産する方法であって、
    (a)請求項に記載の宿主細胞を、前記抗体タンパク質が前記宿主細胞によって発現される条件下で培養する工程、
    (b)前記抗体タンパク質を単離する工程、
    を含む前記方法:。
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