JP4420551B2 - 電子写真用記録シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐水性、耐久性を要求される屋外、冷凍食品関連での宣伝用ポスター、看板、標識、花ラベル、タグや、使用方法や注意書きを記した製造管理用カードに適した電子写真用記録シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、屋外宣伝用ポスター、冷凍食品関連のタグなどに使用されるシートとしては、コート紙、耐水紙などが用いられていたが、耐水性、耐久性が乏しいという問題があった。このため近年では、耐水性や耐久性が良好な熱可塑性樹脂フィルム、なかでもポリオレフィン系合成紙が使用されるようになってきている。この様な樹脂フィルムの詳細については、例えば特公昭46−40794号、特公昭49−1782号、特開昭56−118437号、特開昭57−12642号および特開昭57−56224号の各公報等を参照することができる。
しかしながら、この様なポリオレフィン系合成紙は、ヒートロール定着式カラー電子写真プリンターの記録モードのうち普通紙用モード、ラベル用モードやOHP用モード、あるいは厚紙用モードで記録するとトナーの転写率が低く記録濃度が出なかったり、目的以外の場所にトナーが飛散し、色相の再現が普通紙やコート紙に対して劣ることがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、これらの従来技術の問題点を解決することを課題とした。
すなわち本発明は、耐水性、耐久性に優れ、屋外、冷凍食品関連での宣伝用ポスター、看板、標識、花ラベル、タグや、使用方法や注意書きを記した製造管理用カードに適した電子写真用記録シートを提供することを解決すべき課題とした。特に本発明は、ヒートロール定着式のカラー電子写真プリンターで記録した場合に十分な記録濃度が得られ、かつ、走行性が良好な電子写真用記録シートを提供することを解決すべき課題とした。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決するために鋭意検討した結果、積層樹脂シートの静電容量および厚みを特定の範囲内に調整することにより、記録濃度が高く、走行性が良好となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、静電容量が5〜1100pF/cm2 となるように静電容量改質剤を含有し、且つ空孔率が0〜5%である熱可塑性樹脂シート(A)の少なくとも片面に、機能性付与樹脂シート(B)を設けてなる積層樹脂シートであって、積層樹脂シートがその静電容量が5〜100pF/cm 2 であり、且つ厚みが60〜1000μmであることを特徴とする電子写真用記録シートを提供する。
本発明の好ましい実施態様では、積層樹脂シートが、静電容量が5〜100pF/cm2 であり、厚みが60〜1000μmであることが好ましい。
なお、本明細書において、「〜」はその前後に記載される数値を最小値および最大値として含む範囲である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の電子写真用記録シートについて詳細に説明する。
本発明の電子写真用記録シートは、熱可塑性樹脂シート(A)と機能性付与樹脂シート(B)を設けてなる積層樹脂シートを必須の構成要素として含むものである。すなわち本発明の電子写真用記録シートは、熱可塑性樹脂の積層樹脂シートであってもよいし、積層樹脂シートにさらに表面処理層等を形成したものであってもよい。
【0006】
本発明の熱可塑性樹脂シート(A)に使用する熱可塑性樹脂の種類は特に制限はない。例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、あるいはプロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。更に、ポリオレフィン系樹脂の中でも、コスト面、耐水性、耐薬品性の面からプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
【0007】
かかるプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体であってアイソタクティックないしはシンジオタクティックおよび種々の立体規則性を示すポリプロピレン、プロピレンを主成分とし、これとエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1,4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンとの共重合体が使用される。この共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
本発明の電子写真用記録シートに用いられる積層樹脂シートは、静電容量が5〜100pF/cm2 であることを特徴とする。静電容量は、前述の熱可塑性樹脂シート(A)の構成成分として静電容量改質剤を用いることにより静電容量を5〜1100pF/cm2 に調整することが好ましい。
【0008】
本発明に用いる静電容量改質剤は、静電容量を制御するための物質で有れば制限はないが、代表的には、熱可塑性樹脂シートを形成する熱可塑性樹脂より誘電率が大きい熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂シートを形成する熱可塑性樹脂に分散可能なモノマーおよびオリゴマー、および無機フィラーなどが用いられる。
熱可塑性樹脂シート(A)の静電容量改質剤として用いられる熱可塑性樹脂としては、前述の熱可塑性樹脂シート(A)を形成する熱可塑性樹脂より大きな誘電率を有するものであって、例えば、オレフィン類、カルボン酸ビニル類、ハロゲン化ビニル類、ビニルエーテル類、アクリル酸類等であり、これらは単独重合体及び/又は2種以上の共重合体であるビニル系共重合体、さらに、シアン化ビニリデン単独/共重合体、ポリオール系共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0009】
より具体的な例としてのオレフィン類には、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
カルボン酸ビニル類には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、、ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等が挙げられる。
ハロゲン化ビニル類には、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
ビニルエーテル類には、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等が挙げられ、またその共重合体等も挙げられる。
【0010】
アクリル酸類には、アクリル酸、メタクリル酸、エチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メタロール(メタ)アクリルアミド、アクリルニトリルなどが挙げられる。
【0011】
ポリオール類には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等が挙げられる。
ポリエステル樹脂類には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリブチンナフタレート等が挙げられる。
ポリアミド樹脂類には、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等が挙げられる。
【0012】
熱可塑性樹脂シート(A)の静電容量改質剤に用いられる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂に分散可能なモノマーおよびオリゴマーとしては、例えば、高級アルコール、多価アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アンモニウム塩(好ましくは4級アンモニウム塩)、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル、リン酸エステル化物、多価アルコールの部分エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジアタノールアミド、ポリアルキレングリコール誘導体などが挙げられる。
【0013】
静電容量改質剤として用いられる無機フィラーとしては、例えば、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントラライト、サポナイト、ヘクスライト、ソーコナイト、ヘクタイト、表面処理された重質炭酸カルシウム等の誘電体、ロッシェル塩、リン酸二水素カリウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸塩、ニオブ酸リチウム、PZT(Pb(Ti,Zr)O3 )、GASH(C(NH2 )3 Al(SO4 )2 ・6H2 O)、DSP(Ca2 Sr(C2 H3 CO2 )6 )、亜硝酸ナトリウム、硫ヨウ化アンチモン、等の強誘電体、鉄、銅、カーボン、アルミ、コバルト、ニッケル等の導電体が挙げられる。これらの中でも、表面処理された重質炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸塩が好ましい。
これらの静電容量改質剤は、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの静電容量改質剤の種類と使用量を適宜調節することによって、熱可塑性樹脂シート(A)の静電容量を5〜1100pF/cm2 に調整でき、本発明の積層樹脂シートである電子写真用記録シートの静電容量を5〜100pF/cm2 とすることができる。
熱可塑性樹脂シート(A)の静電容量は、より好ましくは5〜400pF/cm2 であり、さらに好ましくは5〜250pF/cm2 である。
また、積層シートのより好ましい静電容量は、8〜95pF/cm2 であり、さらに好ましくは10〜90pF/cm2 である。
なお、熱可塑性樹脂シート(A)に配合される静電容量改質剤の配合量は、1〜70重量%が好ましく、さらに好ましくは2〜65重量%である。
【0014】
熱可塑性樹脂シート(A)の静電容量が5pF/cm2 未満であり、積層樹脂シートの静電容量が5pF/cm2 に満たないシートを電子写真式プリンターで印字するとトナーが十分に転写されず目的とする画像が得られない。また、熱可塑性樹脂シート(A)の静電容量が1100pF/cm2 を越え、積層樹脂シートの静電容量が100pF/cm2 を越えると本発明のシート表面の電気抵抗値が低すぎ、電写真式プリンターで印字する際トナーが目的とする場所に転写されず、浮遊し満足な画像が得られない。
本発明の電子写真用記録シートに用いられる熱可塑性樹脂シート(A)は、無機微細粉末及び/又は有機微細粉末を含有してもよい。無機微細粉末としては、例えば、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ等を挙げることができる。その平均粒径は0.01〜15μmのものを使用するのが好ましい。
【0015】
有機微細粉末としては、熱可塑性樹脂シート(A)の主要成分樹脂の融点より高い融点ないしはガラス転移温度を有するものが使用できる。熱可塑性樹脂シートの主要成分がオレフィン系樹脂である場合、使用される有機微細粉末としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、環状オレフィンの単独重合体や環状オレフィンとエチレンとの共重合体等で融点が120〜300℃、ないしはガラス転移温度が120〜280℃を有するものを挙げることができる。
【0016】
本発明の電子写真用記録シートに用いられる熱可塑性樹脂シート(A)の構造は、単層、ベース層と表面層の2層構造、ベース層の表裏面に表面層が存在する3層構造等の多層構造のいずれでもよい。
熱可塑性樹脂シート(A)は、熱可塑性樹脂を35〜99重量%、および無機微細粉末及び/又は有機微細粉末を1〜65重量%を含有するものであることが好ましい。より好ましくは、オレフィン系樹脂を50〜97重量%、無機微細粉末及び/又は有機微細粉末を3〜50重量%含有するものである。
比較的柔軟性のある熱可塑性樹脂シートを得る為には無機微細粉末及び/又は有機微細粉末は、単層構造、または多層構造のベース層中の含有量が65重量%以下であることが好ましい。
【0017】
本発明の電子写真用記録シートに用いられる熱可塑性樹脂シート(A)は、必要に応じて、さらに、安定剤、光安定剤、分散剤、滑剤等を含有してもよい。例えば安定剤として、立体障害フェノール系、リン系、アミン系等の安定剤を0.001〜1重量%、光安定剤として、立体障害アミンやベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系などの光安定剤を0.001〜1重量%、無機微細粉末の分散剤として、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸等を0.01〜4重量%配合してもよい。
本発明の電子写真記録シートに用いられる熱可塑性樹脂シート(A)は、空隙率が10%未満であれば、無延伸シートまたは少なくとも一軸方向に延伸成形された延伸シートであっても構わない。
本発明で用いる熱可塑性樹脂シート(A)の空孔率は高すぎると目標とする静電容量が得られにくいため、以下の式(1)で表される空孔率が10%未満であることが好ましく、さらには0〜5%であることがより好ましい。
【0018】
【数1】
式(1)中のρ0 はシートの真密度を表わし、ρ1 はシートの密度(JIS−P−8118)を表す。成形前のシートを構成する各成分が多量の空気を含有するものでない限り、真密度はシートを構成する各成分の密度に各成分の配合割合を乗じたものの和にほぼ等しい。
【0019】
本発明の機能性付与樹脂シート(B)に使用する熱可塑性樹脂の種類は特に制限はない。例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、あるいはプロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。これらの中で、コスト面、耐水性、耐薬品性の面からプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレンを選定することが好ましい。また、耐熱性、剛性面からポリエステル系樹脂シートが用いられ、フィルム成形性からポリエチレンテレフタレートを選定することが好ましい。
【0020】
本発明に用いられる機能性付与樹脂シート(B)は熱可塑性樹脂であり、トナーの密着性向上、および帯電防止のために、表面処理を施すことが好ましい。表面処理の方法としては、表面酸化処理や表面処理剤による処理を挙げることができる。特に、表面酸化と表面処理剤による処理は組み合わせて行ことが好ましい。
電子写真用記録シートとしての積層樹脂シートの厚みは60〜1000μmであり、好ましくは100〜1000μmである。さらに好ましくは150〜800μmである。厚みが60μm未満であると腰が弱くヒートロール式電子写真式プリンターで印字するとトナー定着時のヒートロールの温度で変形しヒートロールに巻き付く可能性がある。また、厚みが1000μmを越えるシートは重く、さらに厚いためプリンターの機構上通紙できない可能性がある。
【0021】
[静電容量測定]
静電容量は、室温23℃、相対湿度50%で市販のLCRメータ等で測定することができる。静電容量の測定は、試料を印可電極とガード電極の間に挟み込み、5V程度の電圧を試料に印可し、測定周波数が10Hz〜1MHzの測定周波数が任意に選定できる物が好ましい。周波数を変更することにより、測定対象物の周波数依存性がつかめる。
【0022】
測定装置の具体例として、横河電機(株)社製の横河ヒューレットパッカード「LCRメータ4274A」、HELETT PACKARD社製の「4192A LF IMPEDANCE ANALYZER」、日置電機(株)社製の「HIOKI 3522 LCRハイテスター」などが挙げられる。
本発明の静電容量測定の一例として、HELETT PACKARD社の「4192A LF IMPEDANCE ANALYZER」を使用し、直径38φの電極に電極直径より大きい試料を挟み込み5Vの電圧を印可して、周波数l0Hz〜1MHzの静電容量を測定する。
【0023】
[印字性評価]
得られた積層樹脂シートをA4サイズ(210mm幅方向×297mm流れ方向)に断裁し、23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内で1日間放置後、市販のヒートロール定着式カラー電子写真プリンター(Phaser 740J、SONY TEKTRONIX(株)製、商品名)にて印字面を上にした通紙経路で印字を行った。印字テストモデル図は、重色、単色が混合する絵柄の物を選択し、印字して、印字品質を目視にて評価し、市販のPPC用パルプ紙に印字したものと比較して同等であれば、問題なし(○)、印字の太りや変形、地汚れ、印字濃度不足等が目立てば不良(×)とした。
【0024】
【実施例】
以下に示す実施例などによって、本発明を更に具体的に説明する。これら実施例などにおいて使用した原料素材及び評価方法は、以下に示すものを採用した。また、成分配合比における「部」は、「重量部」を示す。
〔静電容量改質剤の製造〕
〈参考例〉
還流冷却器、温度計、滴下ロート、攪拌装置及びガス導入管を備えた反応器にジアリルアミン塩酸塩(60重量%)500重量部とアクリルアミド(40重量%)21重量部および水90重量部を入れ、窒素ガスを流入させながら系内温度を80℃に昇温した。攪拌下で重合開始剤、過硫酸アンモニウム(25重量%)30部を4時間にわたり滴下した。同温度で1時間反応を行って粘稠な淡黄色液状物を得た。
これを50g採り、500mlのアセトン中に注ぐと白色の沈殿を生じた。沈殿を濾別し、更に2回、100mlのアセトンでよく洗浄した後、真空乾燥して白色固体状の陽イオン性重合体表面処理剤を得た(収率95%)。得られた重合体の1Nの塩化ナトリウム水溶液中、25℃での極限粘度は0.33dl/g、GPCより求めた重合平均分子量は55000であった。
【0025】
〈製造例〉
静電容量改質剤として、重質炭酸カルシウム(平均粒子径0.8μm)40重量%と水60重量%を充分攪拌混合してスラリー状とし、更に参考例にて製造した処理剤を重質炭酸カルシウム100重量部あたり0.1重量部加えて混合攪拌し、次いでアンステックスSAS(主成分は炭素数14のアルカンスルホン酸ナトリウムと炭素数16のアルカンスルホン酸ナトリウムの混合物、東邦化学工業(株)製)の2重量%水溶液、50重量部(重質炭酸カルシウム100重量部あたりの固形分添加量2.5重量部)を添加し、攪拌を行ったスラリーを(株)奈良機械製作所製MSD−200媒体流動乾燥機で乾燥して表面処理された重質炭酸カルシウムを得た(以下「処理炭カル」とする)。
尚、本明細書の実施例に使用した炭酸カルシウムの粒子径は、レーザー回折式粒子計測装置「マイクロトラック」(株式会社日機装製、商品名)により測定した累積50%粒径である。
【0026】
(実施例1)
〔熱可塑性樹脂シート(A)の製造〕
プロピレン単独重合体(商品名:ノバテックポリプロFY6C;MFR:2.4G/10分(230℃、2.16kg);日本ポリケム(株)製)40重量%に静電容量改質剤として、製造例で得た処理炭カルを60重量%を配合した組成物を口径115mmの押出機を用いて230℃の温度で溶融混練し、幅1200mmのTダイから押出し、ロールで冷却して厚み288μmの熱可塑性樹脂シート(A)を得た。このシートの空孔率をJIS−P−8118に基づき測定した結果は0%であった。また、静電容量をHELETT PACKARD社の「4192A LF IMPEDANCE ANALYZER」を使用し、直径38φの電極に電極直径より大きい試料を挟み込み5Vの電圧を印可して、周波数100Hzで測定した結果60pF/cm2 であった。
【0027】
〔積層樹脂シートの製造〕
前記Tダイより押し出し軟化状態の熱可塑性樹脂シート(A)の片面に、積層樹脂シートの表面耐熱性向上のための機能性付与樹脂シート(B)として、表面にトナー密着性を向上させる塗工剤を施し、熱可塑性樹脂フィルム(A)との接着性を向上させるための塗工層を設けた2軸延伸された12μmの厚みのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:G100;三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)をサーマルラミネートすることにより厚み300μmの積層樹脂シートを得た。このシートをHELETT PACKARD社の「4192A LF IMPEDANCE ANALYZER」を使用し、直径38φの電極に電極直径より大きい試料を挟み込み5Vの電圧を印可して、周波数100Hzで静電容量を測定した結果31pF/cm2 であった。
【0028】
<印字性評価>
得られた積層樹脂シートをA4サイズ(210mm幅方向×297mm流れ方向)に断裁し、23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内で1日間放置後、市販のヒートロール定着式カラー電子写真プリンター(商品名:Phaser・740J;SONY TEKTRONIX(株)製)にて印字面を上にした通紙経路で印字を行った。印字テストモデル図は、重色、単色が混合する絵柄の物を選択し、印字して、印字品質を目視にて評価し、市販のPPC用パルプ紙に印字したものと比較して同等であったので、評価結果は問題なし(○)とした。
熱可塑性樹脂シート(A)及び積層樹脂シートの評価結果を表1に示した。
【0029】
(実施例2)
熱可塑性樹脂シート(A)の両面に、機能性樹脂シート(B)をサーマルラミネートした以外は実施例1と同じ操作を行い厚み300μmの積層樹脂シートを得た。
そのときの熱可塑性樹脂シート(A)は空孔率は0%で厚みは276μmであり、静電容量は62pF/cm2 であった。
また、両面に機能性樹脂シートを積層したシートの静電容量は22pF/cm2 であり、印字性は問題なく(○)であった。評価結果を表1に示した。
【0030】
(比較例1)
熱可塑性樹脂シート(A)の厚みを16μmにした以外は実施例2と同様の操作を行い40μmの積層樹脂シートを得た。厚み16μmの熱可塑性樹脂シート(A)は空孔率0%であり、静電容量は1077pF/cm2 であった。また、積層樹脂シートの静電容量は32pF/cm2 であった。
なお、印字性評価をするためにヒートロール定着式カラー電子写真プリンター(商品名:Phaser・740J;SONY TEKTRONIX(株)製)通紙を行ったところプリンター内で詰まり印字できなかった。評価結果を表1に示した。
【0031】
(実施例3)
機能性付与樹脂シートとして複層合成紙TPGー60(商品名ユポ;王子油化合成紙(株)製)を両面にサーマルラミネートした以外は実施例2と同様の操作を行い300μmの積層樹脂シートを得た。厚み180μmの熱可塑性樹脂シート(A)の空孔率は0%であり、静電容量は96pF/cm2 であった。また、300μmの積層樹脂シートの静電容量は6pF/cm2 であり、印字性は問題なかった。
【0032】
(実施例4)
実施例2で使用した熱可塑性樹脂シート(A)の静電容量改質剤の処理炭カルの替わりに四級アンモニウム塩(商品名:Cyastat.sp;Am.Syanamid社製)を3重量%添加し、実施例2で使用した機能性樹脂シートの厚みを25μmにした以外は実施例2と同様の操作を行い300μmの積層樹脂シートを得た。
四級アンモニウム塩を使った厚み250μmの熱可塑性樹脂シートの空孔率は0%であり、静電容量は40pF/cm2 であった。また、300μmの積層樹脂シートの静電容量は37pF/cm2 であり、印字性は問題なかった。評価結果を表1に示した。
【0033】
(実施例5)
実施例4で使用した熱可塑性樹脂シート(A)の静電容量改質剤の四級アンモニウム塩の替わりにポリエステルポリオール(商品名:PX3043Q;第1工業製薬社製)を30重量%添加した以外は実施例4と同様の操作を行い300μmの積層樹脂シートを得た。
ポリエステルポリオールを使った厚み250μmの熱可塑性樹脂シートの空孔率は0%であり、静電容量は33pF/cm2 であった。また、300μmの積層樹脂シートの静電容量は31pF/cm2 であり、印字性は問題なかった。評価結果を表1に示した。
【0034】
(実施例6)
実施例4で使用した熱可塑性樹脂シート(A)で静電容量改質剤として使用した四級アンモニウム塩の替わりに実施例2と同様の処理炭カルを60%添加して、熱可塑性樹脂シート(A)の厚みを450μmにし、積層樹脂シートの厚み500μmにした以外は実施例4と同じ操作をおこなった。
このときの厚み450μmの熱可塑性樹脂シート(A)の空孔率は0%であり、静電容量は38pF/cm2 であった。また、500μmの積層樹脂シートの静電容量は12pF/cm2 であり、印字性は問題なかった。評価結果を表1に示した。
【0035】
(実施例7)
熱可塑性樹脂シート(A)の厚みを250μmにした以外は実施例6と同様の操作を行って厚み300μmの積層樹脂シートを得た。
このときの熱可塑性樹脂シート(A)の空孔率は0%であり、静電容量は69pF/cm2 であった。また、積層樹脂シートの静電容量は14pF/cm2 であり、印字性は問題なかった。評価結果を表1に示した。
【0036】
(比較例2)
熱可塑性樹脂シート(A)に処理炭カルは添加せず、平均粒径1.3μmの炭酸カルシウムを10重量%添加した以外は実施例7と同様の操作を行い厚み300μmの積層樹脂シートを得た。
このときの熱可塑性樹脂シート(A)の空孔率は0%であり、静電容量は3pF/cm2 であった。また、積層樹脂シートの静電容量は3pF/cm2 であり、印字性は市販のPPCの印字濃度には及ばなかった。評価結果を表1に示した。
【0037】
(比較例3)
実施例6で使用した機能性樹脂シートの厚みを120μmにした以外は実施例6と同様の操作を行い500μmの積層樹脂シートを得た。
このときの熱可塑性樹脂シートの空孔率は0%であり、静電容量は66pF/cm2 であった。また、500μmの積層樹脂シートの静電容量は4pF/cm2 であり、印字性は市販のPPCの印字濃度には及ばなかった。評価結果を表1に示した。
【0038】
(比較例4)
実施例7で使用した機能性樹脂シートの厚みを120μmにした以外は実施例6と同様の操作を行い300μmの積層樹脂シートを得た。
このときの熱可塑性樹脂シートの空孔率は0%であり、静電容量は287pF/cm2 であった。また、300μmの積層樹脂シートの静電容量は4pF/cm2 であり、印字性は市販のPPCの印字濃度には及ばなかった。評価結果を表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
本発明により、ヒートロール定着式のカラー電子写真プリンターで記録した場合に十分な記録濃度が得られ、かつ、走行性が良好な電子写真用記録シートが得られた。
Claims (4)
- 静電容量が5〜1100pF/cm2 となるように静電容量改質剤を含有し、且つ空孔率が0〜5%である熱可塑性樹脂シート(A)の少なくとも片面に、機能性付与樹脂シート(B)を設けてなる積層樹脂シートであって、積層樹脂シートがその静電容量が5〜100pF/cm 2 であり、且つ厚みが60〜1000μmであることを特徴とする電子写真用記録シート。
- 熱可塑性樹脂シート(A)が、熱可塑性樹脂を35〜99重量%及び無機微細粉末及び/又は有機微細粉末を65〜1重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用記録シート。
- 熱可塑性樹脂シート(A)が、オレフィン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真用記録シート。
- 機能性付与樹脂シート(B)が、熱可塑性樹脂シートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用記録シート。
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