JP4420486B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」とも称する。)に関する。さらに詳しくは、民生用および工業用の表示機器(ディスプレイ)あるいはプリンターヘッドの光源等に用いて好適な有機EL素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の有機EL素子の一例が、文献1:「低駆動電圧厚膜有機EL素子」、谷口彬雄著、M&BE Vol.10,No.1(1999)に開示されている。この文献1に開示された有機EL素子40は、図4に示されるように、陰極層42と透明電極である陽極層44との間に、陰極層42から順次に電子輸送層46、有機発光層48が設けられている。そして、有機発光層48には、低電圧駆動を目的として、トリフェニルアミン単位を含むポリカーボネート樹脂に、アクセプター性ドーパントを0.1〜30重量%程度の配合量でドープしてある。このアクセプター性ドーパントとしては、ヨウ素、塩化アンチモン、クロラニル、TCNQ、TNE、TBPAH、CEBTFB等が使用されている。
【0003】
また、図5に示すように、従来の有機EL素子の他例が、文献2:「特開平4−297076号公報」に開示されている。この文献2に開示された有機EL素子60は、陰極層58と透明電極である陽極層50との間に、三層の有機膜52,54および56を挟んだ有機膜積層体を有している。そして、低い駆動電圧において、高い発光輝度(発光効率)を得ることを目的として、陰極層58と接する第1の有機膜52には、ドナー性不純物がドープされており、一方、陽極層50と接する第2の有機膜54にはアクセプタ不純物がドープされている。このアクセプタ不純物としては、CN置換化合物およびキノン化合物(例えばクロラニル)が使用されている。そして、第1の有機膜52と第2の有機膜とに挟まれた第3の有機膜を発光層56としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、文献1に開示された有機EL素子40は、有機発光材料であるポリカーボネート樹脂が高分子材料であって、アクセプター性ドーパントを均一に分散できないためと思われるが、TCNQ、クロラニル、CEBTFB等を用いた場合に、これらが結晶化して、有機EL素子を実質的に作製することが出来ないという問題が見られた。
【0005】
また、文献2に開示された第2の有機膜54は、正孔注入層としての機能を発揮しているが、この第2の有機膜54において、アクセプタ不純物として用いているCN置換化合物やキノン化合物は、アクセプター性が強く、その電子親和力は3.7eV以上と高い値である。したがって、これらのアクセプタ不純物は、低イオン化ポテンシャルである発光材料と反応して、電荷移動錯体または励起錯体(エキシプレックス)を形成しやすい傾向がある。そのため、有機EL素子の発光輝度が低下したり、寿命が短いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の発明者らは上記問題を鋭意検討したところ、有機発光媒体に低分子有機発光物質を用いることにより、凝集力の強い酸化性ドーパントを用いた場合であっても結晶化を効率的に防止することができることを見出した。すなわち、酸化性ドーパント等を用いて、陽極層との界面付近の低分子有機発光物質を部分的に酸化させることにより、低分子有機発光物質が陽極層と直接接触する場合と比較して正孔注入性を向上させることができる。よって、本発明は、正孔注入層を設けることなく、駆動電圧が低く、発光輝度が高い有機EL素子およびこのような有機EL素子が効率的に得られる製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の有機EL素子の態様によれば、少なくとも陽極層、有機発光媒体、および陰極層からなる構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、有機発光媒体が低分子有機発光物質からなり、陽極層との界面付近の低分子有機発光物質が酸化してあることを特徴とする。
このように構成すると、陽極層と、酸化した低分子有機発光物質とが接触することになり、正孔の注入性が良好となるため、有機EL素子の低電圧駆動が容易となる。また、有機発光媒体に低分子有機発光物質を用いているため、容易に酸化しやすいという利点も得られる。なお、有機発光媒体が正孔注入機能や正孔輸送機能を有する層を含む場合には、これらの層の界面を酸化させることにする。
【0008】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、有機発光媒体が低分子有機発光物質および酸化性ドーパントを含むことを特徴としている。
このように構成すると、酸化性ドーパントにより低分子有機発光物質が強制的に酸化されるため、正孔の注入性が良好となり、有機EL素子の低電圧駆動が容易となる。また、低分子有機発光物質を用いているため、酸化性ドーパントを均一に混合することができ、酸化性ドーパントの結晶化を有効に防止することができる。
【0009】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、酸化性ドーパントを陽極層と有機発光媒体との界面付近における低分子有機発光物質中に局在させて含むことが好ましい。
このように構成すると、酸化性ドーパントの使用量を可及的に少なくすることができ、正孔の注入性の良好さを維持したままで、酸化性ドーパントの結晶化による影響を有効に防止することができる。
なお、陽極層と有機発光媒体との界面付近とは、好ましくは、有機発光媒体の界面から、例えば厚さ1〜200Åの範囲内の領域を意味する。
【0010】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、酸化性ドーパントが、キノン誘導体、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、ハロゲン化金属塩、ルイス酸塩、フラーレン類、および有機酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることが好ましい。
これらの酸化性ドーパントであれば、適当な酸化力を有するとともに、低分子有機発光物質と混合されることにより、自身の結晶化を有効に防止することができる。
【0011】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、低分子有機発光物質の平均分子量を2000以下の値とすることが好ましい。
このような低分子有機発光物質を用いれば、酸化性ドーパントをより均一に混合することができ、酸化性ドーパントの結晶化を有効に防止することができるとともに、酸化性ドーパントにより容易に自身が酸化されて、正孔の注入性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、有機発光媒体に、下記一般式(1)〜(3)で表されるいずれか一つのスチリル基を有する低分子有機発光物質を含むことが好ましい。
【0013】
【化4】
Figure 0004420486
【0014】
[一般式(1)中、Ar1は、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar2、Ar3、およびAr4は、それぞれ水素原子または炭素数が6〜40の芳香族基であって、少なくとも一つは芳香族基であり、縮合数nは、1〜6の整数である。]
【0015】
【化5】
Figure 0004420486
【0016】
[一般式(2)中、Ar5は、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar6およびAr7は、それぞれ水素原子または炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar5、Ar6およびAr7の少なくとも一つはスチリル基で置換されており、縮合数mは、1〜6の整数である。]
【0017】
【化6】
Figure 0004420486
【0018】
[一般式(3)中、Ar9〜Ar13は、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar8およびAr14は、それぞれ水素原子または炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar8〜Ar14の少なくとも一つはスチリル基で置換されており、縮合数p、q、r、sは、それぞれ0または1である。]
【0019】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、有機発光媒体における電子移動度をμe、正孔移動度をμhとしたときに、下記条件を満足することが好ましい。
μh>μe>μh/1000
このように構成することにより、有機発光媒体において電子と、正孔とを効率的に再結合させることができ、低電圧の電圧印加であっても高い発光輝度を得ることができる。なお、有機発光材料における電子移動度(μe)および正孔移動度(μh)は、タイムオブフライト(TOF)法を用いて、1×104〜1×106V/cm・sの直流電圧を印加した条件で測定することができる。
【0020】
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であり、陽極層との界面付近における有機発光媒体の低分子有機発光物質を酸化する工程を含むことを特徴とする。
このように製造方法を実施すると、陽極層との界面付近における低分子有機発光物質が酸化されて、正孔の注入性が良好となるため、有機EL素子の低電圧駆動が容易となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、参照する図面は、この発明が理解できる程度に各構成成分の大きさ、形状および配置関係を概略的に示してあるに過ぎない。したがって、この発明は図示例にのみ限定されるものではない。また、図面では、断面を表すハッチングを省略する場合がある。
【0022】
[第1の実施形態]
まず、図1を参照して、本発明の有機EL素子における第1の実施形態について説明する。図1は、有機EL素子100の断面図であり、陽極層10、有機発光媒体12、陰極層16を、基板上(図示せず。)に順次に積層した構造を有していることを表している。そして、第1の実施形態では、有機発光媒体12を低分子有機発光物質および酸化性ドーパントから構成している。
以下、第1の実施形態における特徴的な部分である有機発光媒体12について中心に説明する。したがって、その他の構成部分、例えば、陽極層10や陰極層16の構成や製法については、一般的な構成を採ることができるため、簡単に説明するものとする。
【0023】
(1)有機発光媒体
(低分子有機発光物質)
有機発光媒体の構成材料として使用する低分子有機発光物質は、以下の3つの機能を併せ持つことが好ましい。
(a)電荷の注入機能:電界印加時に陽極あるいは正孔注入層から正孔を注入することができる一方、陰極層あるいは電子注入域から電子を注入することができる機能
(b)輸送機能:注入された正孔および電子を電界の力で移動させる機能
(c)発光機能:電子と正孔の再結合の場を提供し、これらを発光につなげる機能
ただし、上記(a)〜(c)の各機能全てを併せもつことは、必ずしも必要ではなく、例えば正孔の注入輸送性が電子の注入輸送性より大きく優れているものの中にも有機発光材料として好適なものがある。
【0024】
したがって、本発明においては、有機発光媒体に上述した一般式(1)〜(3)で表されるスチリル基を有する低分子有機発光物質(芳香族環化合物と称する場合がある。)を使用することが好ましい。なお、スチリル基としては、下記一般式(4)で表されるスチリル基が好ましい。
【0025】
【化7】
Figure 0004420486
【0026】
[一般式(4)中、Ar15Ar16、およびAr17は、それぞれ水素原子または炭素数が6〜40の芳香族基である。]
【0027】
また、一般式(1)〜(3)で表される低分子有機発光物質において、炭素数が6〜40の芳香族基のうち、好ましい核原子数5〜40のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラニル、フェナンスリル、ピレニル、クリセニル、コロニル、ビフェニル、ターフェニル、ピローリル、フラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、オキサジアゾリル、ジフェニルアントラニル、インドリル、カルバゾリル、ピリジル、ベンゾキノリル等が挙げられる。
なお、炭素数が6〜40の芳香族基は、さらに置換基により置換されているのも良く、好ましい置換基として、炭素数1〜6のアルキル基(エチル基、メチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(エトキシ基、メトキシ基、i−プロポキシ基、n−プロポキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、核原子数5〜40のアリール基、核原子数5〜40のアリール基で置換されたアミノ基、核原子数5〜40のアリール基を有するエステル基、炭素数1〜6のアルキル基を有するエステル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子が挙げられる。
また、一般式(1)〜(3)で表される低分子有機発光物質において、好ましい核原子数5〜40のアリーレン基としては、フェニレン、ナフチレン、アントラニレン、フェナンスリレン、ピレニレン、クリセニレン、コロニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ピローリレン、フラニレン、チオフェニレン、ベンゾチオフェニレン、オキサジアゾリレン、ジフェニルアントラニレン、インドリレン、カルバゾリレン、ピリジレン、ベンゾキノリレン等が挙げられる。
【0028】
また、有機発光媒体に、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤や、スチリルベンゼン系化合物、8−キノリノール誘導体を配位子とする金属錯体を併用することも好ましい。
また、ジスチリルアリーレン骨格の有機発光材料、例えば4,4'一ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル)等をホストとし、当該ホストに青色から赤色までの強い蛍光色素、例えばクマリン系あるいはホストと同様の蛍光色素をドープした材料を併用することも好適である。
【0029】
また、優れた密着性が得られ、有機発光媒体にスムーズに電子が移動できるとともに、機械的強度を向上させることができる観点から、陰極と有機発光媒体との間に電子注入域、あるいは陽極と有機発光媒体との間に正孔注入域を設けてもよい。この時、この電子注入域あるいは正孔注入域の構成材料と有機発光媒体の構成材料とを部分的に一致させることが好ましい。すなわち、有機発光媒体と電子注入域あるいは有機発光媒体と正孔注入域とに、上述した一般式(1)〜(3)で表される芳香族環化合物をそれぞれ使用することが好ましい。
なお、有機発光媒体に電子注入域を設けた場合には、同一種類の芳香族環化合物を使用することが好ましい。例えば、有機発光媒体において、同一種類の芳香族環化合物を50重量%以上使用することが好ましく、60重量%以上使用することがより好ましい。
【0030】
(酸化性ドーパント)
有機発光媒体に添加する酸化性ドーパント(アクセプター性ドーパントと称する場合がある。)としては、有機発光媒体を部分的にでも酸化可能な化合物であれば使用可能であるが、好ましくは、キノン誘導体、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、ハロゲン化金属塩、ルイス酸塩、および有機酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの化合物である。これらの化合物は、適当な酸化力を有するとともに、低分子有機発光物質の結晶化を増長させることが少ないためである。
より具体的には、好ましい酸化性ドーパントとして、塩化アンチモン(SbCl3)、C6O(フラーレン)、チオケトン、TCNQ(7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン)、TCNE(テトラシアノエチレン)、キノン誘導体、弗化ホウ素、トリフェニルボラン等が挙げられる。
すなわち、本発明では、凝集力が強い酸化性ドーパント、例えばTCNQを用いた場合でも、低分子有機発光物質と均一に混合するため、酸化性ドーパントの結晶化を有効に防止することができる。
【0031】
また、酸化性ドーパントの添加量を、有機発光媒体を構成する材料全体を100重量%としたときに、0.01〜50重量%の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、酸化性ドーパントの添加量が、0.01重量%未満となると、酸化が不十分となり、有機EL素子の低電圧駆動が困難となったり、あるいは発光輝度が低下したりする場合があるためである。一方、酸化性ドーパントの添加量が50重量%を超えると、逆に、発光輝度が低下したり、寿命が短くなる場合があるためである。
したがって、発光輝度等のバランスがより良好となる観点から、酸化性ドーパントの添加量を0.2〜30重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0032】
また、酸化性ドーパントの添加量に関して、低分子有機発光物質と酸化性ドーパントとの添加比率を1:1〜20:1(モル比)の範囲内の値とすることが好ましい。低分子有機発光物質と酸化性ドーパントとの添加比率がこれらの範囲外となると、有機EL素子の発光輝度が低下したり、寿命が短くなる傾向がある。したがって、低分子有機発光物質と酸化性ドーパントとの添加比率を1:1〜10:1(モル比)の範囲内の値とすることがより好ましく、1:1〜5:1の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0033】
また、酸化性ドーパントは、有機発光媒体中に均一に分散している必要は必ずしもなく、むしろ酸化性ドーパントを陽極層との界面付近に局在させて含むことが好ましい。このように構成すると、同一の酸化効果を得るためには、酸化性ドーパントの使用量を可及的に少なくすることができる。したがって、正孔の注入性の良好さを維持したままで、低分子有機発光物質の結晶化を有効に防止することができる。なお、酸化性ドーパントを陽極層との界面付近に局在させた場合、同一の酸化程度を得るために、酸化性ドーパントの使用量を少なくすることができる。
【0034】
(形成方法)
次に、有機発光媒体を形成する方法について説明する。例えば、蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法を適用することができる。
また、上述したように、正孔注入域と有機発光媒体とは、同一方法で形成することが好ましく、例えば、正孔注入域を蒸着法で製膜する場合には、有機発光媒体も蒸着法で製膜することが好ましい。
【0035】
また、有機発光媒体は、気相状態の材料化合物から沈着されて形成された薄膜や、溶液状態または液相状態の材料化合物から固体化されて形成された膜である、分子堆積膜とすることが好ましい。通常、この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは、凝集構造や高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。さらには、樹脂等の結着剤と有機発光材料とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても、有機発光媒体を形成することができる。
【0036】
(有機発光媒体の膜厚)
このようにして形成された有機発光媒体の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、5nm〜5μmの範囲内の値であることが好ましい。この理由は、有機発光媒体の膜厚が5nm未満となると、発光輝度が低下する場合があるためであり、一方、有機発光媒体の膜厚が5μmを超えると、印加電圧の値が高くなる傾向がある。したがって、有機発光媒体の膜厚を10nm〜3μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20nm〜1μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0037】
(3)電極
(陽極層)
陽極層としては、仕事関数の大きい(例えば、4.0eV以上)金属、合金、電気電導性化合物またはこれらの混合物を使用することが好ましい。具体的には、インジウムチンオキサイド(ITO)、インジウムジンクオキサイド、スズ、酸化亜鉛、金、白金、パラジウム等の1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、陽極層の厚さも特に制限されるものではないが、10〜1000nmの範囲内の値とするのが好ましく、10〜200nmの範囲内の値とするのがより好ましい。
さらに、陽極層に関しては、有機発光媒体から発射された光を外部に有効に取り出すことが出来るように、実質的に透明、より具体的には、光透過率が10%以上の値であることが好ましい。
【0038】
(陰極層)
一方、陰極層には、仕事関数の小さい(例えば、4.0eV未満)金属、合金、電気伝導性化合物またはこれらの混合物を使用することが好ましい。具体的には、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、銀等の1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また陰極層の厚さも特に制限されるものではないが、10〜1000nmの範囲内の値とするのが好ましく、10〜200nmの範囲内の値とするのがより好ましい。
【0039】
[第2の実施形態]
第2の実施形態における有機EL素子は、第1の実施形態における有機EL素子と同様に、図1に示す構成を有している。そして、第2の実施形態における有機EL素子100は、電子注入域14に、電子輸送性化合物と、還元性ドーパントとを含んで構成してある。
以下、第2の実施形態における特徴的な部分である電子注入域14について説明するものとし、その他の構成部分、例えば、陽極層10や陰極層16等の構成や製法については第1の実施形態と同様の構成とすることができる。
【0040】
(1)電子注入域
(電子輸送性化合物)
電子輸送性化合物としては、陰極から注入された電子を有機発光媒体に伝達する機能を有している化合物であれば、広く使用することができる。具体的に、例えば、窒素原子を含まない芳香族環からなる芳香族環化合物(単に、非窒素複素環化合物と称する場合がある。)や、含窒素複素環化合物を含有する有機化合物(単に、含窒素複素環化合物と称する場合がある。)を挙げることができる。
【0041】
▲1▼非窒素複素環化合物
非窒素複素環化合物は、すなわち、炭素(C)および水素(H)からなる芳香族環を含む化合物、または、炭素(C)、水素(H)および酸素(O)からなる芳香族環を含む化合物と定義される。ただし、芳香族環以外の分子中に窒素原子を含むことは差し支えなく、窒素原子を含まない芳香族環同士を、例えば窒素原子により結合することはむしろ好ましい。また、炭素および水素からなる芳香族環の化合物と、炭素、水素および酸素からなる芳香族環の化合物とは、それぞれ単独で使用しても良いし、あるいは組み合わせて使用しても良い。
このように非窒素複素環化合物を後述する還元性ドーパントと併用することにより、優れた電子注入性が得られるとともに、隣接する発光域の構成材料と反応することを抑制することができる。すなわち、非窒素複素環化合物は、炭素および水素からなる芳香族環、または炭素、水素および酸素からなる芳香族環から構成されており、窒素含有芳香族環や電気吸引基(例えば−CN基、−NO2基、アミド基、イミド基)といった窒素含有基を含んでいない。したがって、電子注入域と発光域との界面に、発光効率の低い電荷移動錯体またはエキシプレックスが発生することを効率的に抑制することができる。
【0042】
好ましい非窒素複素環化合物として、アントラセン、フルオレン、ペリレン、ピレン、フェナントレン、クリセン、テトラセン、ルブレン、ターフェニレン、クォーターフェニレン、セクシフェニレン、トリフェニレン、ピセン、コロネル、ジフェニルアントラセン、ベンツ[a]アントラセンおよびビナフタレンからなる群から選択される少なくとも一つの芳香族環を含む芳香族環化合物が挙げられる。
また、非窒素複素環化合物は、スチリル基置換された芳香族環、ジスチリル基置換された芳香族環またはトリススチリル基置換された芳香族環を有するとさらに良い。このようにスチリル基置換(ジスチリル基置換およびトリスチリル基置換を含む。以下、同様である。)された芳香族環を有することにより、有機EL素子の発光輝度や寿命をより向上させることができる。
このようにスチリル基置換された基を含む芳香族環化合物としては、例えば、有機発光媒体に使用される一般式(1)〜(3)で表される芳香族環化合物と同様の芳香族環化合物が挙げられる。
【0043】
▲2▼含窒素複素環化合物
また、電子輸送性化合物として、含窒素複素環化合物を挙げることができる。このように含窒素複素環化合物を用いた場合であっても、後述する還元性ドーパントのうち、仕事関数が2.9eV以下の還元性ドーパントを使用することにより、有機発光媒体材料と反応することを効率的に抑制して、高い発光輝度を得ることができる。
【0044】
このような含窒素複素環化合物は、窒素原子を有する複素環を有する化合物と定義されるが、具体的に、含窒素錯体や含窒素環化合物が挙げられる。好ましい含窒素錯体として、8−キノリノール誘導体を配位子とする金属錯体やフタロシアニン誘導体が挙げられる。また、好ましい含窒素環化合物としては、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、キノキサリン誘導体およびキノリン誘導体等を挙げることができる。さらに、含窒素複素環化合物として、アントロン誘導体、フレオレニリメタン誘導体、カルボジイミド、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物を使用することも好ましい。
【0045】
(還元性ドーパント)
第2の実施形態における電子注入域は、電子輸送性化合物とともに、還元性ドーパントを含有していることを特徴とする。
【0046】
▲1▼種類
還元性ドーパントとは、電子輸送性化合物が酸化された場合に、それを還元できる物質と定義される。したがって、還元性ドーパントの種類は、一定の還元性を有するものであれば特に制限されるものではないが、具体的に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物または希土類金属のハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも一つの物質であることが好ましい。
【0047】
また、好ましいアルカリ金属としては、例えば、Li(リチウム、仕事関数:2.93eV)、Na(ナトリウム、仕事関数:2.36eV)、K(カリウム、仕事関数:2.3eV)、Rb(ルビジウム、仕事関数:2.16eV)およびCs(セシウム、仕事関数:1.95eV)が挙げられる。なお、括弧内の仕事関数の値は、化学便覧(基礎編II,P493,日本化学会編)に記載されたものであり、以下同様である。
また、好ましいアルカリ土類金属としては、例えば、Ca(カルシウム、仕事関数:2.9eV)、Mg(マグネシウム、仕事関数:3.66eV)、Ba(バリウム、仕事関数:2.52eV)、およびSr(ストロンチウム、仕事関数:2.0〜2.5eV)が挙げられる。なお、ストロンチウムの仕事関数の値は、フィジィックス オブ セミコンダクターデバイス(N.Y.ワイロー1969年,P366)に記載されたものである。
また、好ましい希土類金属としては、例えば、Yb(イッテルビウム、仕事関数:2.6eV)、Eu(ユーロビウム、仕事関数:2.5eV)、Gd(ガドニウム、仕事関数:3.1eV)およびEn(エルビウム、仕事関数:2.5eV)があげられる。
【0048】
また、好ましいアルカリ金属酸化物としては、例えば、Li2O、LiOおよびNaOがあげられる。また、好ましいアルカリ土類金属酸化物としては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeOおよびMgOがあげられる。
また、好ましいアルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、LiF、NaFおよびKFといったフッ化物のほかに、LiCl、KClおよびNaClが挙げられる。また、好ましいアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF2、BaF2、SrF2、MgF2およびBeF2といったフッ化物や、フッ化物以外のハロゲン化物が挙げられる。
【0049】
また、好ましい還元性ドーパントとして、アルカリ金属が配位した芳香族化合物も挙げられる。このアルカリ金属が配位した芳香族化合物は、例えば、下記一般式(5)で表される。
+Ar20-・・・(5)
ただし、一般式(5)中のAは、アルカリ金属を表す。また、Ar20は、炭素数10〜40の芳香族化合物である。この(5)式で表される芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、ナフタレン、ジフェニルアントラセン、ターフェニル、クォーターフェニル、キンクフェニル、セクシフェニルおよびこれらの誘導体があげられる。
【0050】
▲2▼添加量
電子注入域における還元性ドーパントの添加量を、電子注入域を構成する材料全体を100重量%としたときに、0.01〜50重量%の範囲内の値とすることが好ましい。還元性ドーパントの添加量が、0.01重量%未満となると、有機EL素子の発光輝度が低下したり、寿命が短くなる傾向がある。一方、還元性ドーパントの添加量が50重量%を超えると、逆に、発光輝度が低下したり、寿命が短くなる傾向がある。したがって、発光輝度や寿命のバランスがより良好となる観点から、還元性ドーパントの添加量を0.2〜20重量%の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0051】
また、還元性ドーパントの添加量に関して、電子輸送性化合物と還元性ドーパントとの添加比率を1:20〜20:1(モル比)の範囲内の値とすることが好ましい。電子輸送性化合物と還元性ドーパントとの添加比率がこれらの範囲外となると、有機EL素子の発光輝度が低下したり、寿命が短くなる傾向がある。
したがって、電子輸送性化合物と還元性ドーパントとの添加比率を1:10〜10:1(モル比)の範囲内の値とすることがより好ましく、1:5〜5:1の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0052】
(電子親和力)
また、第2実施形態における電子注入域の電子親和力を1.8〜3.6eVの範囲内の値とすることが好ましい。電子親和力の値が1.8eV未満となると、電子注入性が低下し、駆動電圧の上昇,発光効率の低下をまねく傾向があり、一方で、電子親和力の値が3.6eVを超えると、発光効率の低い錯体が発生しやすくなったり、ブロッキング接合の発生を効率的に抑制することができる。
したがって、電子注入域の電子親和力を、1.9〜3.0eVの範囲内の値とすることがより好ましく、2.0〜2.5eVの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、電子注入域と有機発光媒体との電子親和力の差を1.2eV以下の値とすることが好ましく、0.5eV以下の値とすることがより好ましい。この電子親和力の差が小さいほど、電子注入域から有機発光媒体への電子注入が容易となり、高速応答可能な有機EL素子とすることができる。
【0053】
(ガラス転移点)
また、第2実施形態における電子注入域のガラス転移点(ガラス転移温度)を、100℃以上の値とするのが好ましく、より好ましくは、105〜200℃の範囲内の値とすることである。
このように電子注入域のガラス転移点を制限することにより、有機EL素子100の耐熱温度を容易に85℃以上とすることができる。したがって、発光時に、電流注入層から有機発光媒体へ電流が注入されてジュール熱が発生したとしても、電子注入域が短時間で破壊される傾向が少なくなり、有機EL素子の長寿命化を図ることができる。
なお、電子注入域のガラス転移点は、電子注入域を構成する成分について、示差熱走査型熱量計(DSC)を用い、窒素気流中、昇温速度10℃/分の条件で加熱した場合に得られる比熱変化曲線から、比熱の変化点として求めることができる。この点、他の実施形態や実施例においても同様である。
【0054】
(エネルギーギャップ)
また、第2実施形態における電子注入域のエネルギーギャップ(バンドギャップエネルギー)を2.7eV以上の値とすることが好ましく、3.0eV以上の値とすることがより好ましい。
このように、エネルギーギャップの値を所定値以上、例えば2.7eV以上と大きくしておけば、正孔が有機発光媒体を超えて電子注入域に移動することが少なくなる。したがって、正孔と電子との再結合の効率が向上し、有機EL素子の発光輝度が高まるとともに、電子注入域自体が発光することを回避することができる。
【0055】
(電子注入域の構造)
また、第2実施形態における電子注入域の構造についても、特に制限されるものではなく、一層構造に限らず、例えば、二層構造または三層構造であっても良い。また、電子注入域の厚さについて特に制限されるものではないが、例えば0.1nm〜1μmの範囲内の値とするのが好ましく、1〜50nmの範囲内の値とするのがより好ましい。
【0056】
(電子注入域の形成方法)
次に、電子注入域を形成する方法について説明する。電子注入域の形成方法については、均一な厚さを有する薄膜層として形成出来れば特に制限されるものではないが、例えば、蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法を適用することができる。
なお、窒素原子を含まない芳香族環化合物と、還元性ドーパントとは同時蒸着することが好ましいが、この蒸着法については、第3の実施形態において詳述する。
【0057】
また、電子注入域と、有機発光媒体の形成方法を一致させることが好ましい。例えば、有機発光媒体を蒸着法で形成する場合には、電子注入域も蒸着法で形成するのが好ましい。このように同一方法で製膜すると、電子注入域と有機発光媒体とを連続的に製膜できるので、設備の簡略化や精算時間の短縮を図る上で有利である。また、電子注入域と有機発光媒体とが酸化される機会が少なくなるので、有機EL素子における発光輝度を向上させることも可能となる。
【0058】
[第3の実施形態]
次に、図2および図3を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、有機発光媒体等が大面積であっても構成材料の組成比を均一とし、有機EL素子の駆動電圧のばらつきを低下させ、寿命の均一化を図ることができるとともに、省スペース可が可能な有機EL素子の製造方法を提供するものである。なお、第3の実施形態において、陽極層10との界面付近の低分子有機発光物質を酸化する工程を含んでいることは言うまでもない。
【0059】
すなわち、図2および図3に示すような真空蒸着装置201を一例として用い、基板203に対向して配置した複数の蒸着源212A〜212Fから、異なる蒸着材料を同時に蒸発させて製膜を行う有機EL素子用薄膜層の蒸着方法であって、基板203に、当該基板203を自転させるための回転軸線213Aを設定し、蒸着源212A〜212Fをそれぞれ基板203の回転軸線213Aから離れた位置に配設し、基板203を自転させながら蒸着を行うことを特徴とする。
【0060】
ここで、図2および図3に示す真空蒸着装置201は、真空槽210と、この真空槽210内の上部に設置された、基板203を固定するための基板ホルダ211と、この基板ホルダ211の下方に対向配置された、蒸着材料を充填するための複数(6個)の蒸着源212A〜212Fとを含んで構成されている。この真空槽210は、排気手段(図示せず。)により、内部を所定の減圧状態に維持できるようになっている。なお、蒸着源の数は、図面上6つ示されているが、これに限定されるものではなく、5つ以下であってもよく、あるいは7つ以上であってもよい。
【0061】
また、基板ホルダ211は、基板203の周縁部を支持する保持部212を備え、真空槽210内で、基板203を水平に保持するように構成されている。この基板ホルダ211の上面の中央部分には、基板203を回転(自転)させるための回転軸部213が垂直方向に立設されている。この回転軸部213には、回転騒動手段であるモータ214が接続され、モータ214の回転動作により、基板ホルダ211に保持された基板203が、当該基板ホルダ211とともに回転軸部213を回転中心として自転するようになっている。すなわち、基板203の中心には、回転軸部213による回転軸線213Aが垂直方向に設定されている。
【0062】
次に、このように構成された真空蒸着装置201を用いて、有機発光媒体12および電子注入域14を基板203上に製膜する方法について、具体的に説明する。まず、図2に示すような平面正方形状の基板203を用意し、この基板203を基板ホルダ211の保持部212に係止して水平な状態とする。この点、図2に示す基板203が水平状態に保持されているのは、このことを示している。
【0063】
ここで、仮想円221上で、隣接する二つの蒸着源212B、212C、および212Dに、電子輸送性化合物と、還元性ドーパントと、酸化性ドーパントをそれぞれ充填した後、排気手段により真空槽210内を所定の真空度、例えば1.0×10-4Torrになるまで減圧する。なお、有機発光媒体12等を形成するにあたり、二種類以上の電子輸送性化合物を蒸着することも好ましく、あるいは、正孔輸送性化合物と電子輸送性化合物とを組み合わせて均一に蒸着したり、さらには、正孔輸送性化合物に対して、陰極に近い程電子輸送性化合物の濃度を高めることも好ましい。
【0064】
次いで、蒸着源212B〜212Dをそれぞれ加熱して、有機発光媒体12を形成する際には、電子輸送性化合物と酸化性ドーパントとを蒸着させ、電子注入域14を形成する際には、電子輸送性化合物と還元性ドーパントとを蒸着させるとともに、モータ214を回転騒動させて、基板203を回転軸線213Aに沿って所定速度、例えば1〜100rpmで回転させる。このようにして、基板203を自転させながら電子輸送性化合物および還元性ドーパント等を同時蒸着して有機発光媒体12あるいは電子注入域14を製膜する。
【0065】
このとき、有機発光媒体12を形成するにあたり、陽極層10からの正孔の注入性を向上させるために、有機発光媒体12における陽極層10と接する部分を酸化させることになる。この酸化方法は特に制限されるものではないが、例えば、以下に示す第1〜第4の方法をそれぞれ独立、あるいは適宜組み合わせて実施することが好ましい。
【0066】
▲1▼第1の方法
電子輸送性化合物および酸化性ドーパントの蒸着速度の合計値を一定速度に保持したまま、陽極層10との界面付近では酸化性ドーパントの蒸着速度を電子輸送性化合物の蒸着速度よりも早くし、その後は、酸化性ドーパントの蒸着速度を徐々に遅くする一方、電子輸送性化合物の蒸着速度を早くすることにより、陽極層10との界面付近での電子輸送性化合物を部分酸化することができる。
【0067】
▲2▼第2の方法
陽極層10上に予め酸化性ドーパントを存在(塗布)しておき、その状態で、電子輸送性化合物を蒸着することにより、陽極層10との界面付近での電子輸送性化合物を選択的に部分酸化することができる。
【0068】
▲3▼第3の方法
電子輸送性化合物の蒸着開始時には、大気圧状態、すなわち、酸素が比較的多い酸化雰囲気とし、その後は、減圧状態、すなわち、酸素が比較的少ない非酸化状態とすることにより、陽極層10との界面付近での電子輸送性化合物の部分酸化を達成することができる。
【0069】
▲4▼第4の方法
電子輸送性化合物の蒸着開始時には、基板温度を高温、すなわち、比較的酸化雰囲気とし、その後は、基板温度を低温、すなわち、比較的非酸化状態とすることにより、陽極層10との界面付近での電子輸送性化合物の部分酸化を達成することができる。
【0070】
また、図3に示すように、蒸着源212Bおよび212Cは、基板203の回転軸線213Aから、水平方向に所定距離Mだけずれた位置に設けられているので、基板203の回転により、電子輸送性化合物および還元性ドーパントの基板203への入射角度を規則的に変化させることができる。
したがって、蒸着材料を基板203に対して一様に付着させることができ、電子注入域14の膜面内で、蒸着材料の組成比が均一、例えば、濃度ムラが±10%(モル換算)である薄膜層を確実に製膜することができる。
また、このように蒸着を実施することにより、基板203を公転させなくてもよいので、そのスペースや設備が不要になり、最小限のスペースで経済的に製膜を行うことができる。なお、基板を公転させるとは、基板以外に存在する回転軸の周りを回転させることをいい、自転させる場合よりも広い空間が必要となる。
【0071】
また、第3の実施形態の製造方法を実施するにあたり、基板203の形状は特に限定されないが、例えば、図2に示すように、基板203が短形平板状である場合、この基板203の回転軸線213Aを中心とする仮想円221の円周上に沿って複数の蒸着源212A〜212Fを配設し、仮想円221の半径をM、基板203の一辺の長さをLとしたときに、M>(1/2)×Lを満足することが望ましい。なお、基板203の辺の長さがそれぞれ同一でなく、異なる場合には、最も長い辺の長さをLとする。
このように構成することにより、複数の蒸着源212A〜212Fから、基板203に対する蒸着材料の入射角度を互いに同一にできるので、蒸着材料の組成比をより容易に制御することができる。
また、このように構成することにより、蒸発材料が、基板203に対して一定の入射角度を以て蒸発されるため、垂直に入射することがなくなり、膜面内における組成比の均一性を一層向上させることができる。
【0072】
また、第3の実施形態の製造方法を実施するにあたり、図2に示すように、複数の蒸着源212A〜212Fを、基板203の回転軸線213Aを中心とする仮想円221の円周上に配設し、複数の蒸着源212A〜212Fの配設数(個数)をnとしたときに、各蒸着源212A〜212Fを、仮想円221の中心から360°/nの角度で配設することが好ましい。例えば、蒸着源212を6個配設する場合には、仮想円221の中心から60°の角度で配設することが好適である。
このように配置すると、基板203の各部分に対して、複数の蒸着材料を順次重ねるように製膜できるので、膜の厚さ方向において、組成比が規則的に異なる薄膜層を容易に製膜することができる。
【0073】
以上、説明した実施形態においては、この発明を特定の条件で構成した例について説明したが、この実施形態は、種々の変更を行うことができる。例えば、上述した実施形態においては、有機発光媒体と電子注入域とを個別に設けたが、有機発光媒体と電子注入域とを併せて一つの層としても良い。また、陰極層と陽極層との間に、任意好適な層、例えば、有機半導体層や無機半導体層、あるいは付着改善層を挿入しても良い。
【0074】
【実施例】
[実施例1]
(1)有機EL素子の製造準備
実施例1の有機EL素子を製造するにあたっては、まず、厚さ1.1mm、縦200mm、横200mmの透明なガラス基板上に、陽極層としてITOの透明電極膜を形成した。次いで、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、さらに、N2(窒素ガス)雰囲気中で乾燥させた後、UV(紫外線)およびオゾンを用いてさらに10分間洗浄した。以下、このガラス基板と陽極層とを併せて基板とする。次いで、洗浄した基板を、真空蒸着装置(日本真空技術(株)製)における真空槽の基板ホルダに装着するとともに、界面付近の有機発光媒体材料(DPVTPおよびDDQ)、発光媒体材料(DPVTPおよびDPAVBi)、電子注入域用材料(Alq)、陰極層材料(アルミニウムおよびリチウム)をそれぞれ各蒸着源に充填した。なお、DPVTP、DDQおよびDPAVBiの構造式を下記式(6)、下記式(7)および下記式(8)にそれぞれ示す。
【0075】
【化8】
Figure 0004420486
【0076】
【化9】
Figure 0004420486
【0077】
【化10】
Figure 0004420486
【0078】
(2)有機EL素子の製造
次いで、真空槽内を、1×10-6Torrの真空度になるまで減圧した後、基板の陽極層上に、厚さ100Åの界面付近の層、厚さ400Åの発光媒体、厚さ200Åの電子注入域、および厚さ2000Åの陰極層を順次に積層して有機EL素子を得た。
また、有機発光媒体を形成する際には、第3の実施形態に示す方法にしたがいDPVTPおよびDDQを同時蒸着し、DPVTPの蒸着速度を50Å/秒とし、DDQの蒸着速度を10Å/秒とした。また、電子輸送域を形成する際にも、DPVTPおよびDPAVBiを同時蒸着し、DPVTPの蒸着速度を50Å/秒とし、DPAVBiの蒸着速度を1Å/秒とした。また、Alqの蒸着速度を2Å/秒とした。さらに、陰極層を形成するする際にも、アルミニウムおよびリチウムを同時蒸着し、アルミニウムの蒸着速度を10Å/秒とし、リチウムの蒸着速度を0.1Å/秒とした。
なお、有機発光媒体の形成から陰極層の形成までの間は、一度も真空状態を破ることなく有機EL素子を作製した。
【0079】
(3)有機EL素子の評価
得られた有機EL素子における陰極層をマイナス(−)電極、陽極層をプラス(+)電極として、両電極間に6Vの直流電圧を印加した。このときの電流密度は1.5mA/cm2であり、そのときの発光輝度は64cd/m2であり、発光色は青色であった。
【0080】
[実施例2]
実施例2では、実施例1の界面付近の有機発光媒体材料として、下記式(9)で表されるTPDおよびDDQを用い、次いで、正孔輸送性材料であるTPD(厚さ100Å)を単独で用いた後、実施例1と同様の発光媒体材料を用いたほかは、実施例1と同様に有機EL素子を作製し、6Vの直流電圧を印加して発光状態を評価した。その結果、電流密度は2.1mA/cm2であり、そのときの発光輝度は65cd/m2であり、発光色は青色であった。
【0081】
【化11】
Figure 0004420486
【0082】
[実施例3]
実施例3では、実施例1の界面付近の有機発光媒体材料および発光媒体材料の両方におけるDPVTPの代わりに、下記式(10)で表されるSA−1を用いたほかは、実施例1と同様に有機EL素子を作製し、6Vの直流電圧を印加して発光状態を評価した。その結果、電流密度は1.6mA/cm2であり、そのときの発光輝度は59cd/m2であり、発光色は青色であった。
【0083】
【化12】
Figure 0004420486
【0084】
[実施例4]
実施例4では、実施例1の界面付近の有機発光媒体材料および発光媒体材料の両方におけるDPVTPの代わりに、下記式(11)で表されるSA−2を用いたほかは、実施例1と同様に有機EL素子を作製し、6Vの直流電圧を印加して発光状態を評価した。その結果、電流密度は1.6mA/cm2であり、そのときの発光輝度は59cd/m2であり、発光色は青色であった。
【0085】
【化13】
Figure 0004420486
【0086】
[実施例5]
実施例5では、実施例1の有機発光媒体におけるDPAVBiを用いなかったほかは、実施例1と同様に有機EL素子を作製し、6Vの直流電圧を印加して発光状態を評価した。その結果、電流密度は1.1mA/cm2であり、そのときの発光輝度は24cd/m2であり、発光色は青色であった。
【0087】
[実施例6]
実施例6では、実施例1の有機発光媒体におけるDPVTPおよびDPAVBiの代わりに、DPVTPおよびAlqを同時蒸着したほかは、実施例1と同様に有機EL素子を作製し、6Vの直流電圧を印加して発光状態を評価した。なお、DPVTPおよびAlqの蒸着速度をそれぞれ25Å/秒とした。
その結果、電流密度は1.1mA/cm2であり、そのときの発光輝度は22cd/m2であり、発光色は緑色であった。
【0088】
[実施例7]
実施例7では、実施例1の有機発光媒体におけるDPVTPおよびDPAVBiを一定蒸着速度で同時蒸着する代わりに、DPVTPおよびAlqの蒸着速度の合計値を50Å/秒に保持しながら、DPVTPの蒸着速度を徐々に遅くするとともに、Alqの蒸着速度は徐々に速くしたほかは、実施例1と同様に有機EL素子を作製した。すなわち、有機発光媒体の形成開始時には、DPVTPのみを50Å/秒で蒸着し、DPVTPの蒸着速度を徐々に遅くする一方、Alqの同時蒸着を開始し、有機発光媒体の厚がさ400Åになった時点で、Alqの蒸着速度が50Å/秒となるように調節して蒸着した。
そして、実施例1と同様に6Vの直流電圧を印加して発光状態を評価した。その結果、電流密度は1.2mA/cm2であり、そのときの発光輝度は25cd/m2であり、発光色は緑色であった。
【0089】
[実施例8]
実施例8では、実施例1の電子注入域用材料におけるAlqの代わりに、DPVTPおよびCsを同時蒸着したほかは、実施例1と同様に有機EL素子を作製した。この時のDPVTPの蒸着速度は50Å/秒で、Csの蒸着速度は10Å/秒であった。
そして、実施例1と同様に6Vの直流電圧を印加して発光状態を評価した。その結果、電流密度は1.4mA/cmであり、そのときの発光輝度は31cd/mであり、発光色は青色であった。
【0090】
[比較例1]
比較例1では、実施例1の有機発光媒体におけるDDQを同時蒸着せずに、DPVTPを酸化しなかったほかは、実施例1と同様に有機EL素子を作製し、6Vの直流電圧を印加して発光状態を評価した。
その結果、電流密度は0.3mA/cm2と著しく低くなり、そのときの発光輝度は11cd/m2であり、発光色は青色であった。
【0091】
[比較例2]
比較例2では、実施例1の有機発光媒体におけるDPVTPおよびDDQの代わりに、TPDのみを用いたほかは、実施例1と同様に有機EL素子を作製し、6Vの直流電圧を印加して発光状態を評価した。
その結果、電流密度は0.8mA/cm2と著しく低くなり、そのときの発光輝度は30cd/m2であり、発光色は青色であった。
【0092】
[比較例3]
比較例3では、実施例1の有機発光媒体におけるDDQおよび電子輸送域におけるDPAVBiを用いなかったほかは、実施例1と同様に有機EL素子を作製し、6Vの直流電圧を印加して発光状態を評価した。
その結果、電流密度は0.3mA/cm2と著しく低くなり、そのときの発光輝度は7cd/m2であり、発光色は青色であった。
【0093】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の有機EL素子によれば、陽極層との界面付近の低分子有機発光物質を、酸化性ドーパント等を用いて酸化することにより、低電圧駆動(一例として、直流電圧7V以下)において、発光効率の向上(一例として、発光輝度30cd/m2以上)を図ることができようになった。
【0094】
また、本発明の有機EL素子の製造方法によれば、陽極層との界面付近の低分子有機発光物質を酸化する工程を含むことにより、低電圧駆動(一例として、直流電圧7V以下)において、高い発光効率(一例として、発光輝度30cd/m2以上)を有する有機EL素子を効率的に提供することができようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1〜第2の実施形態における有機EL素子の断面図である。
【図2】第3の実施形態における真空蒸着装置の斜視図である。
【図3】第3の実施形態における真空蒸着装置の断面図である。
【図4】従来の有機EL素子の断面図である(その1)。
【図5】従来の有機EL素子の断面図である(その2)。
【符号の説明】
10 陽極層
12 有機発光媒体
14 電子注入域
16 陰極層
18 正孔注入輸送層
20 透光性基板(ガラス基板)
30 基板
100、102、104 有機EL素子
201 真空蒸着装置
203 基板
210 真空槽
211 基板ホルダ
212 保持部
212A〜212F 蒸着源
213 回転軸部
213A 回転軸線
214 モータ
221 仮想円

Claims (7)

  1. 少なくとも陽極層、有機発光媒体、および陰極層からなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記有機発光媒体が低分子有機発光物質からなり、陽極層との界面付近の低分子有機発光物質が酸化してあり、
    前記有機発光媒体が酸化性ドーパントを含み、
    前記酸化性ドーパントが、キノン誘導体、塩化アンチモン、フッ化ホウ素、ルイス酸、有機酸、ルイス酸塩、有機酸塩、およびフラーレン類からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記酸化性ドーパントが、キノン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記酸化性ドーパントを、前記陽極層との界面付近の低分子有機発光物質中に局在させて含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記低分子有機発光物質の平均分子量を2000以下の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記低分子有機発光物質が、下記一般式(1)〜(3)で表されるいずれか一つのスチリル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜4の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0004420486
    [一般式(1)中、Ar1は、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar2、Ar3、およびAr4は、それぞれ水素原子または炭素数が6〜40の芳香族基であって、少なくとも一つは芳香族基であり、縮合数nは、1〜6の整数である。]
    Figure 0004420486
    [一般式(2)中、Ar5は、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar6およびAr7は、それぞれ水素原子または炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar5、Ar6およびAr7の少なくとも一つはスチリル基で置換されており、縮合数mは、1〜6の整数である。]
    Figure 0004420486
    [一般式(3)中、Ar9〜Ar13は、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar8およびAr14は、それぞれ水素原子または炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar8〜Ar14の少なくとも一つはスチリル基で置換されており、縮合数p、q、r、sは、それぞれ0または1である。]
  6. 前記有機発光媒体における電子移動度をμe、正孔移動度をμhとしたときに、下記条件を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    μh>μe>μh/1000
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、前記陽極層との界面付近の低分子有機発光物質を酸化する工程を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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