JP4415560B2 - W/o/w型複合エマルション - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、W/O/W型複合エマルションに関し、更に詳しくは、内水相に配合した薬物、特に被還元性を有する薬物が経時的に外水相へ漏出するのを防止したことを特徴とするW/O/W型複合エマルションに関する。
【0002】
【従来の技術】
液剤は、生活者にとって非常に利便性のある剤型である。例えば、内服用の液剤は、嚥下能力が劣る老人や小児でも容易に服用することができる。そのため、医薬品や機能性食品などの分野で幅広く利用されている。
【0003】
しかしながら、内服用の液剤に、苦味、渋味、刺激味等の不快味を呈する薬物を配合すると服用性の悪化を招来する。そのため、甘味剤や香料が配合されて服用性の改善が図られるが、不快味の程度や配合される甘味剤等の量によっては必ずしも充分なマスキング効果が得られるわけではなかった。
【0004】
また、水溶液中では、薬物同士が相互作用しやすいため、反応性の高い薬物同士を配合した場合、含量値の低下等安定性に問題の生じることも少なくなかった。
【0005】
こうした問題に対して、W/O/W型複合エマルションを用いれば内水相に苦味等の不快味を呈する成分を封入することによって、完全なマスキングが可能であり、また、相互反応し易い成分を内水相と外水相に分配することにより、成分安定性の良好な液剤を提供することも可能である。
【0006】
そこで、粒子径が小さく、分散安定性に優れ、内水相への薬物封入率が高いW/O/W型複合エマルションが開発されてきた(特許文献1〜3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特願2000−362918
【特許文献2】
特願2001−287435
【特許文献3】
特願2002−094513
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、粒子径が小さく、内水相への薬物封入率が高いW/O/W型複合エマルションでは必然的に油相部分が薄くなり、内水相に封入した薬物の種類によっては経時的に外水相へ漏出するという現象が生じた。
【0009】
そして、この現象は、内水相に封入した薬物が被還元性を有する物質である場合により顕著であった。
【0010】
本発明は、内水相に薬物、特に被還元性を有する薬物を配合したW/O/W型複合エマルションにおいて、内水相に配合した薬物が外水相へ漏出するのを防止し、経時的に安定なW/O/W型複合エマルションを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために種々検討した結果、内水相に薬物を配合したW/O/W型複合エマルションの外水相に還元性のない糖または糖アルコールを配合することにより、内水相に配合した薬物が外水相へ漏出するのが抑制され、経時的に安定なW/O/W型複合エマルションが得られることを見出した。
【0012】
かかる知見に基づき完成した本発明の態様の一つは、内水相に薬物、外水相に非還元性物質を配合したことを特徴とするW/O/W型複合エマルションである。
【0013】
本発明の他の態様は、内水相に薬物を配合したW/O/W型複合エマルションにおいて、外水相に非還元性物質を配合し、内水相に配合した薬物が経時的に外水相へ漏出するのを防止したことを特徴とするW/O/W型複合エマルションである。
【0014】
本発明の他の態様は、内水相に薬物、油相に親油性乳化剤、外水相に水溶性高分子を配合したW/O/W型複合エマルションにおいて、外水相に非還元性物質を配合し、内水相に配合した薬物が経時的に外水相へ漏出するのを防止したことを特徴とするW/O/W型複合エマルションである。
【0015】
本発明の他の態様は、外水相に配合した非還元性物質が非還元性の糖(ただし、ショ糖を除く。)または糖アルコールである前記W/O/W型複合エマルションである。
【0016】
本発明の他の態様は、非還元性の糖がトレハロースである前記W/O/W型複合エマルションである。
【0017】
本発明の他の態様は、糖アルコールがマルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール及びラクチトールの少なくとも1種である前記W/O/W型複合エマルションである。
【0018】
本発明の他の態様は、内水相に配合した薬物が被還元性物質である前記W/O/W型複合エマルションである。
【0019】
本発明の他の態様は、被還元性物質が三価の鉄を含有する化合物である前記W/O/W型複合エマルションである。
【0020】
本発明の他の態様は、三価の鉄を含有する化合物が、クエン酸鉄アンモニウム、塩化第二鉄、乳酸鉄及びピロリン酸第二鉄の少なくとも1種である前記W/O/W型複合エマルションである。
【0021】
本発明の他の態様は、油相に配合した親油性乳化剤がポリグリセリン脂肪酸エステルである前記W/O/W型複合エマルションである。
【0022】
本発明の他の態様は、ポリグリセリン脂肪酸エステルが、HLB値が10以下のポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルである前記W/O/W型複合エマルションである。
【0023】
本発明の他の態様は、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルがポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである前記W/O/W型複合エマルションである。
【0024】
本発明の他の態様は、外水相に配合した水溶性高分子がポリビニルアルコールである前記W/O/W型複合エマルションである。
【0025】
本発明の他の態様は、平均粒子径が0.05μm〜1μmである前記W/O/W型複合エマルションである。
【0026】
本発明の他の態様は、液剤である前記W/O/W型複合エマルションである。
【0027】
本発明における「薬物」は、W/O/W型複合エマルションの内水相に配合した場合に経時的に外水相へ漏出してしまう薬物であれば特に限定はないが、好ましいのは、被還元性を有する物質であり、例えば、三価の鉄を含有する鉄化合物が該当する。三価の鉄イオンを含有する液剤では三価の鉄イオンが二価に還元されて鉄特有の錆味を生じ、服用性の悪化を招来することが知られており(特開2000−239155号公報参照)、外水相に非還元性物質を配合することが特に有効であると考えられる。
【0028】
内水相における薬物の配合量は内水相全体に対して0.01〜50質量%であり、好ましくは1〜20質量%である。本発明は、内水相の薬物封入率が高く、したがって、油相が薄く、薬物が外水相へ漏出し易い状況において、その漏出を防止することを特徴とするからである。
【0029】
本発明における外水相に配合した「非還元性物質」としては、例えば、非還元性の糖または糖アルコールが挙げられる。
【0030】
非還元性の糖としては、非還元性の二糖以上の糖が該当するが、内服液剤等の飲用に供する場合、服用性の点で最も好ましいのはトレハロースである。
【0031】
なお、ショ糖(砂糖)は非還元性の二糖であるが、酸性域ではグルコシド結合が切れてグルコースとフルクトースに分解し、還元性を生じるので好ましくない。
【0032】
糖アルコールとしては、例えば、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、ラクチトールが挙げられる。
【0033】
非還元性の糖または糖アルコールは、1種を用いるだけでなく、2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、W/O/W型複合エマルションを内服用の液剤に利用した場合、糖アルコールは多量に配合すると下痢等の副作用を生じることがあるので、甘味が不足するときには非還元性の糖と併用するのが好ましい。また、非還元性の糖のみではカロリー値が高いときには、糖アルコールと併用して糖の量を減らすことができる。
【0034】
非還元性の糖または糖アルコールの配合量は、内水相に配合した薬物の1質量部に対して7質量部以上であり、好ましくは10〜7000質量部、さらに好ましくは30〜3000質量部である。もっとも、甘味を付与する等の他の目的でこれを超える量を配合することは差し支えない。なお、糖アルコールには緩下作用があるので、内用の液剤とする場合には、1回服用量は1〜40gで最大無作用量以下に設定する必要がある。
【0035】
本発明における「平均粒子径」とは、W/O/W型複合エマルションにおけるW/O粒子の直径を指し、レーザー回折・散乱式粒度分布測定法により測定した平均粒子径が0.05μm〜1μmが好ましく、0.1μm〜0.7μmがさらに好ましい。W/O/W型複合エマルションにおいて内水相に封入した薬物の外水相への漏出は、平均粒子径が小さく、薬物封入率の高い、結果的に、油相が薄いW/O/W型複合エマルションの場合に特に顕著だからである。
【0036】
本発明において油相に配合する「親油性乳化剤」は特に限定はないが、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステルまたはショ糖脂肪酸エステルが挙げられ、各種の不飽和脂肪酸が広範に用いられる。中でも、炭素数16〜22の不飽和脂肪酸が使用され、具体的には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレイン酸、エルカ酸が挙げられる。さらに、不飽和脂肪酸の中でもヒドロキシ不飽和脂肪酸が好ましく、例えば、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルが挙げられる。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとしては、テトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ペンタグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、デカグリセリン縮合リシノレイン酸エステルなどがあるが、これらのいずれも用いることができ、これらは単独で、または2種以上を併用することもできる。これらの親油性乳化剤の添加量は、充分な乳化効果が得られる限り特に制限されないが、油相中の0.1〜70質量%程度である。
【0037】
本発明において「水溶性高分子」は、平均粒子径が小さく、分散安定性のよいW/O/W型複合エマルションにおいて、内水相への薬物封入率を上げるために配合される(特許文献1参照)。水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、カゼインナトリウムが挙げられる。好ましいのは、ポリビニルアルコールである。
【0038】
水溶性高分子の外水相への配合量は、外水相全体に対して0.05〜10質量%であり、好ましくは、0.1〜5質量%である。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明において、油相として用いられる油は特に制限されず、エマルション製造用に従来から用いられている天然または合成の油であればよい。例えば、動植物油、硬化動食物油、分別動食物油等の油性成分を適宜に用いることができる。これらの油性成分は、目的とするエマルションに付加しようとする特性により、硬化若しくは分別して用いることができる。また2種以上の油性成分を併用してもよい。さらに、本発明では油相に油溶性の薬剤を配合することもできる。これにより油溶性薬剤と水溶性薬剤を同時に配合し、摂取することができる製剤を提供することができる。
【0040】
また、外水相に添加する乳化剤についても、公知の親水性乳化剤を使用することができる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、レシチン、高分子乳化剤等が挙げられる。特に、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
【0041】
これらの親水性乳化剤のHLB(Hydrophlic Lipophilic Balance)は8.0以上であることが好ましく、10.0以上であることがより好ましい。これらの親水性乳化剤は、所望の乳化特性に応じて単独で、または2種以上混合して用いることができる。これらの親水性乳化剤の添加量についても、充分な乳化効果が得られる限り特に制限されないが、通常エマルション全体に対し0.001質量%以上、0.2質量%未満である。
【0042】
本発明において、W/O/W型複合エマルション中のW/Oエマルション濃度は、0.1〜30質量%が好ましい。
【0043】
本発明のW/O/W型複合エマルションは以下の様に製造することができる。
まず、油性成分と親油性乳化剤等の油相を容器に入れ、これを例えば真空乳化機のような攪拌機にセットし、攪拌しながら50〜90℃程度で加熱溶解させ均一にする。次に封入対象物質及び任意の添加物を含む所定量の水相を徐々に添加し、液温を50〜90℃程度で一定に維持しながら攪拌乳化し、その後、20〜40℃まで冷却しながら一定時間攪拌し、W/O型エマルションを調製する。このW/O型エマルションは、0.01μm〜0.5μm程度の平均水相粒子径を有するように製造されていることが望ましい。さらにこのW/O型エマルションを任意の添加物を含む所定量の外水相に分散させることにより、W/O/W型複合エマルションを製造することができる。このW/O/W型複合エマルションの製造方法としては、慣用されている方法を適宜用いることができる。例えば、高圧ホモジナイザー法、高速攪拌法、超音波乳化法、膜乳化法などが挙げられる。また、このW/O/W型複合エマルションを調製する際には、必要に応じて熱を加えることができる。このW/O/W型複合エマルションは、0.1μm〜1μm程度の平均粒子径を有するように製造されていることが望ましい。
【0044】
本発明のW/O/W型複合エマルションにおける内水相には、水溶性成分であれば種類や量を問わずに配合することができる。
【0045】
また、必要があれば外水相に本発明の効果を損なわない成分、防腐剤、pH調整剤、矯味剤、香料などを配合できる。
【0046】
本発明のW/O/W型複合エマルションにおいて、多量の還元性物質(例えば、還元糖)を配合すると内水相に封入した薬物が経時的に外水相に漏出するので好ましくないが、実質的に影響を及ぼさない程度の量を配合することは差し支えない。
【0047】
本発明のW/O/W型複合エマルションの用途は特に限定さず、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の用途に使用でき、製品の形態としては、液剤、乳液、クリーム等とすることができる。もっとも、本発明は、苦味等の不快な味を呈する成分、配合禁忌の成分を配合した内服液剤、飲用の食品等に利用した場合に最も有効である。
【0048】
【実施例】
以下に実施例及び比較例をあげて本発明を更に詳細に説明する。
【0049】
(参考例1)
後記製造例1に準拠し、10質量%クエン酸鉄アンモニウムと0.5質量% FITC-デキストラン(FLUORESCEIN ISOTHIOCYANNATE-DEXTRANS)を同時に配合したW/O/W型複合エマルションを調製した(pH5.0)。40℃保存時の処方を下表1に掲載した。
【0050】
なお、FACはクエン酸鉄アンモニウム、PGCRはポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(阪本薬品工業、CRS-75)、PVAはポリビニルアルコールを示す。
【0051】
【表1】
【0052】
40℃保管時における外水相へ漏出するFITC-デキストランと鉄を定量し、リーク量を求めた。FITC-デキストランの定量は、GPCカラム(TSKguardcolumn+TSKgel G5000PWXL)を用い、蛍光検出(Ex480nm,Em535nm)により行った。また、鉄の定量は原子吸光法により行った。封入率の変化を図1に示した。
【0053】
図1より、還元性のないFITC-デキストランを内水相に封入した場合は、外水相にショ糖を配合してもFITC-デキストランの封入率の低下、すなわち、FITC-デキストランの外水相への漏出は認められなかった。これにより、封入薬物の還元性の有無が外水相への漏出に影響すると考えられる。
【0054】
(製造例1)
[W/O型エマルションの調製]
組成
a:内水相 クエン酸鉄アンモニウム 3.4g
水 30.6g
b:油相 酢酸トコフェロール 15g
c:乳化剤 ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル 51g
【0055】
上記b及びc成分を70〜80℃に加温し、混合溶解した後、攪拌しながらa成分を徐々に添加し、液温を70〜80℃程度で一定に維持しながら攪拌乳化し、その後、20〜40℃まで冷却しながら一定時間攪拌し、W/O型エマルションを調製した。
【0056】
このとき、動的光散乱式粒度分布測定装置(NICOMP Model 370;HIAC/ROYCO社製)により、このW/O型エマルション平均粒子径を測定した結果、0.125μmであった。
【0057】
[W/O/W型複合エマルションの調製]
2.0質量%ポリビニルアルコール(EG05、日本合成化学工業製)、20質量%トレハロースを含む水溶液216gに、ホモジナイザーで攪拌しながら製造例1で調製したW/O型エマルション24gを添加し、粒子径の比較的大きい約20μmのW/O/W型複合エマルションを調製した。その後、多孔質膜を通過させることにより、平均粒子径が0.238μmの微細なW/O/W型複合エマルションを調製した。このときのW/O/W型複合エマルションの平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA-920)により測定した。
【0058】
(実施例1〜3)
[W/O/W型複合エマルションの調製]
製造例1で調製したW/Oエマルションを用い、製造例1と同様の方法で表2に示した各組成となるようにW/O/W型複合エマルションを調製した(pH5.0)。
【0059】
得られたW/O/W型複合エマルションについて、加熱滅菌(80℃25分)後の経時的な安定性を薬物封入率及びエマルションの平均粒子径、外観により評価した。
【0060】
[W/O/W型複合エマルションの平均粒子径測定]
W/O/W型複合エマルションの平均粒子径を測定レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA-920)により測定した。
【0061】
[薬物封入率の測定]
封入対象物質のW/O/W型複合エマルション中への封入率は次式により算出した。
【0062】
封入率(%)=(Wi−Wo×A)/Wi×100
Wi:W/O/W型複合エマルション中の封入対象物質量
Wo:外水相中の封入対象物質量
A :(外水相重量)/(W/O/W型複合エマルション重量)
【0063】
W/O/W型複合エマルション中の封入対象物質量はエマルションについて湿式灰化法等の前処理操作を行い、また外水相に含まれる封入対象物質量は複合エマルションを遠心分離によりエマルション粒子と外水相を分離する操作を行った後に、原子吸光法により測定した。
【0064】
また、40℃での鉄封入率の変化を図2に示した。
【0065】
[外観の評価]
下記の4段階の基準で外観を評価した。
A:変化なし
B:ほとんど変化なし
C:わずかに褐色に変化した
D:褐色に変化した
【0066】
(比較例1〜6)
[W/O/W型複合エマルションの調製]
製造例1で調製したW/Oエマルションを用い、製造例1と同様の方法で表2に示した各組成となるようにW/O/W型複合エマルションを調製した(pH5.0)。
【0067】
得られたW/O/W型複合エマルションについて、加熱滅菌(80℃25分)後の経時的な安定性を薬物封入率、エマルションの平均粒子径及び外観により評価した。
【0068】
[W/O/W型複合エマルションの平均粒子径測定]
W/O/W型複合エマルションの平均粒子径をレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA-920)により測定した。
【0069】
[薬物封入率の測定]
薬物封入率を前記方法により算出した。
【0070】
また、40℃での鉄封入率の変化を図2に示した。
【0071】
[外観の評価]
外観を前記基準により評価した。
【0072】
【表2】
【0073】
このように、0.2μm前後の微細なW/O/W型複合エマルションの外水相にトレハロース若しくはマルチトールを配合した場合(実施例1〜3)、経時的な薬物封入率が良好で、外水相への薬物漏出が抑えられたW/O/W型複合エマルションが得られた。また、外観の変化(着色)も認められなかった。 一方、外水相に砂糖や単糖類を配合した場合には外水相への薬物の漏出が著しく、良好なW/O/W型複合エマルションは得られなった(比較例1〜6)。
【0074】
(実施例4〜8及び比較例7〜9)
[W/O/W型複合エマルションの調製]
製造例1で調製したW/Oエマルションを用い、製造例1と同様の方法で表3に示した各組成となるようにW/O/W型複合エマルションを調製した(pH5.0)。
【0075】
得られたW/O/W型複合エマルションについて、加熱滅菌(80℃25分)後の経時的な安定性を薬物封入率、エマルションの平均粒子径及び外観により評価した。
【0076】
[W/O/W型複合エマルションの平均粒子径測定]
W/O/W型複合エマルションの平均粒子径をレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA-920)により測定した。
【0077】
[薬物封入率の測定]
薬物封入率を前記方法により算出した。
【0078】
また、40℃での鉄封入率の変化を図3に示した。
【0079】
[外観の評価]
外観を前記基準により評価した。
【0080】
【表3】
【0081】
このように、0.6μm前後の微細なW/O/W型複合エマルションの外水相にトレハロース若しくはマルチトールを配合した場合(実施例4〜8)、経時的に薬物封入率が良好で、外水相への薬物の漏出が抑えられたW/O/W型複合エマルションが得られた。また、外観の変化(着色)も認められなかった。一方、外水相に砂糖を配合した場合には外水相への薬物の漏出が著しく、良好なW/O/W型複合エマルションは得られなった(比較例7〜9)。
【0082】
【発明の効果】
本発明により、粒子径が小さく、薬物封入率が高く、内水相封入薬物の経時的な漏出が抑制されたW/O/W型複合エマルションが簡易に調製できるようになった。
【0083】
また、本発明を利用することによって、苦味等の不快な味を呈する薬物、相互反応しやすい薬物同士を配合しても、経時的に安定で、服用性良好な内服液剤を提供することが可能となった。
【0084】
【図面の簡単な説明】
【図1】 鉄とFITC-デキストランの封入率の変化を示すグラフである。
【図2】 平均粒子径0.2μmのW/O/Wエマルションにおける鉄封入率の変化を示すグラフである。
【図3】 平均粒子径0.6μmのW/O/Wエマルションにおける鉄封入率の変化を示すグラフである。
Claims (7)
- 内水相に三価の鉄を配合し、外水相にトレハロース又はマルチトールを配合し、ショ糖及び還元性物質を配合していないことを特徴とする経口用W/O/W型複合エマルション。
- 内水相に三価の鉄を配合した経口用W/O/W型複合エマルションにおいて、外水相にトレハロース又はマルチトールを配合し、ショ糖及び還元性物質を配合せず、内水相に配合した三価の鉄が経時的に外水相へ漏出するのを防止したことを特徴とする経口用W/O/W型複合エマルション。
- 内水相に三価の鉄、油相にポリグリセリン脂肪酸エステル、外水相にポリビニルアルコールを配合した経口用W/O/W型複合エマルションにおいて、外水相にトレハロース又はマルチトールを配合し、ショ糖及び還元性物質を配合せず、内水相に配合した三価の鉄が経時的に外水相へ漏出するのを防止したことを特徴とする経口用W/O/W型複合エマルション。
- ポリグリセリン脂肪酸エステルが、HLB値が10以下のポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルである請求項3に記載の経口用W/O/W型複合エマルション。
- ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルが、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルである請求項4に記載の経口用W/O/W型複合エマルション。
- 平均粒子径が0.05μm〜1μmである請求項1〜5の何れか1項に記載の経口用W/O/W型複合エマルション。
- 内服液剤である請求項1〜6の何れか1項に記載の経口用W/O/W型複合エマルション。
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