JP4412218B2 - 内燃機関の制御装置及び内燃機関の排気温度推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、排気温度の推定値を算出するとともに同推定値を用いて機関制御を行う内燃機関の制御装置、及び排気温度を推定する内燃機関の排気温度推定方法に関する。
上記内燃機関の制御装置としては、例えば、ディーゼルエンジンにおいて粒子状物質を浄化する制御(PM再生制御)を行う制御装置が知られている。同制御装置は、排気温度の推定値に基づいて触媒装置やPMフィルタの温度を推定するとともに、この推定した温度を用いてPM再生制御を実行する。なお、PM再生制御を実行する制御装置としては、例えば特許文献1に記載の制御装置が知られている。
特開2004−143988号公報
ところで、上記制御装置においては、PMの再生不良等の問題を回避するために、出力排気温度を精度良く推定することが要求される。
そこで、本発明者は、排気と排気系との熱交換を模擬した熱交換モデルを構築するとともに、機関本体での排気温度の推定値を同熱交換モデルへ適用して排気温度の推定を行うことで、排気温度の推定精度の向上を図るようにした。
しかし、上記熱交換モデルを通じて算出した推定値と実際の排気温度との比較を行ったところ、推定値と計測値とが大きく乖離する場合があることが確認された。なお、排気温度の推定値を用いて機関制御を行う内燃機関の制御装置であれば、上記ディーゼルエンジンの制御装置と同様に排気温度の推定精度を高めることが要求される。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、排気温度を精度良く推定することのできる内燃機関の制御装置及び内燃機関の排気温度推定方法を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
<請求項1>
請求項1に記載の発明は、排気温度をパラメータとして機関制御を行う機関制御手段と、機関本体での排気温度または該温度に相当する排気温度を入力排気温度として該入力排気温度の推定値を算出する入力温度推定手段と、前記機関制御に用いられる排気温度を出力排気温度として該出力排気温度の推定値を前記入力排気温度の推定値に基づいて算出する出力温度推定手段とを備えた内燃機関の制御装置において、燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方に基づいてなまし値を設定し、この設定したなまし値を用いて前記入力排気温度の推定値を算出する推定手段を備えたことを要旨としている。
本発明者は、試験を通じて、入力排気温度が次のように変化することを確認した。
(a)運転状態を運転状態Aから運転状態Bへ切り替えるとともに運転状態Bを長期間にわたって継続したとき、入力排気温度はある程度の遅れをもって運転状態Bに適合した入力排気温度(定常排気温度)へ収束する。
(b)入力排気温度が定常排気温度へ収束するまでの時間は燃料噴射量や吸入空気量と相関を有する。
そこで、請求項1に記載の発明のように、燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方に基づいて設定したなまし値を用いて入力排気温度の推定値を算出することで、入力排気温度の推定精度の向上が図られる。これにより、排気温度を精度良く推定することができるようになる。
<請求項2>
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記推定手段は、次の計算式から前記入力排気温度の推定値を算出するものである

Y ← Y(n−1)+{Z(n)−Y(n−1)}/X

(A)前記「Y」は今回制御周期における前記入力排気温度の推定値
(B)前記「Y(n−1)」は前回制御周期にて算出した前記入力排気温度の推定値
(C)前記「Z(n)」は今回制御周期の機関運転状態に基づいて算出した前記入力排気温度の推定値の基準値
(D)前記「X」は燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方に基づいて設定したなまし値

ことを要旨としている。
<請求項3>
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、前記推定手段は、前記燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方と前記なまし値との関係を予め設定した演算モデルから前記「X」を算出するものであることを要旨としている。
<請求項4>
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の内燃機関の制御装置において、前記推定手段は、機関運転状態と前記入力排気温度との関係を予め設定した演算モデルから前記「Z(n)」を算出するものであることを要旨としている。
<請求項5>
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記推定手段は、燃料噴射量が大きくなるにつれて前記なまし値を大きくするものであることを要旨としている。
本発明者は、試験を通じて、入力排気温度の変化について次のことを確認した。即ち、燃料噴射量が大きくなるにつれて、入力排気温度が定常排気温度へ収束する時間は長くなる(入力排気温度は定常排気温度へ収束しにくくなる)。
そこで、請求項5に記載の発明のように、燃料噴射量が大きくなるにつれてなまし値を大きくすることで、入力排気温度の推定値ひいては出力排気温度の推定値をより精度良く算出することができるようになる。
<請求項6>
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記推定手段は、吸入空気量が大きくなるにつれて前記なまし値を小さくするものであることを要旨としている。
本発明者は、試験を通じて、入力排気温度の変化について次のことを確認した。即ち、吸入空気量が大きくなるにつれて、入力排気温度が定常排気温度へ収束する時間は短くなる(入力排気温度は定常排気温度へ収束しやすくなる)。
そこで、請求項6に記載の発明のように、吸入空気量が大きくなるにつれてなまし値を小さくすることで、入力排気温度の推定値ひいては出力排気温度の推定値をより精度良く算出することができるようになる。
<請求項7>
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、前記出力温度推定手段は、排気と排気系との熱交換を模擬した熱交換モデルへ前記入力排気温度の推定値を適用することで前記出力排気温度の推定値を算出するものであることを要旨としている。
<請求項8>
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、当該内燃機関は、排気中へ添加剤を供給する添加剤供給手段と、排気中の窒素酸化物を吸蔵する触媒装置とを備えるものであり、当該制御装置は、前記触媒装置に吸蔵されている窒素酸化物を還元するための条件が成立しているとき、前記添加剤供給手段による添加剤の供給を通じて前記窒素酸化物を還元する処理を行うとともに、前記触媒装置の温度の推定値が前記添加剤による窒素酸化物の還元反応を起こすことのできる還元温度以上であることを少なくとも前記条件に含むものであり、さらに前記出力排気温度の推定値に基づいて前記触媒装置の温度の推定値を算出するものであることを要旨としている。
窒素酸化物の還元を行う内燃機関においては、触媒装置の実際の温度が還元温度未満であるにもかかわらず排気中への添加剤の供給が行われたとき、触媒装置において添加剤の酸化反応が十分に生じないことに起因して種々の問題をまねくおそれがある。従って、同内燃機関の制御装置においては、こうした問題をまねきにくくするために、触媒装置の温度を精度良く推定することが要求される。
請求項8に記載の発明によれば、入力排気温度の推定値に基づいて出力排気温度の推定値が算出されるとともに、同推定値に基づいて触媒装置の温度の推定値が算出されるため、触媒装置の温度の推定精度を向上させることができるようになる。
<請求項9>
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、当該内燃機関は、排気中へ添加剤を供給する添加剤供給手段と、排気中の窒素酸化物を吸蔵する触媒装置とを備えるものであり、当該制御装置は、前記触媒装置に吸蔵されている硫黄酸化物を還元するための条件が成立しているとき、前記添加剤供給手段による添加剤の供給を通じて前記硫黄酸化物を還元する処理を行うとともに前記触媒装置の温度の推定値と前記触媒装置の温度の目標値とに基づいて前記添加剤の供給量を設定するものであり、さらに前記出力排気温度の推定値に基づいて前記触媒装置の温度の推定値を算出するものであることを要旨としている。
硫黄酸化物の還元を行う内燃機関においては、硫黄酸化物を還元する処理の実行中に添加剤の供給量が適正値を大きく下回っている場合、硫黄酸化物が十分に還元されないことにより窒素酸化物の吸蔵能力の低下をまねくおそれがある。一方で、添加剤の供給量が適正値を大きく上回っている場合、触媒装置の温度が過度に高くなることにより同装置の損傷をまねくおそれがある。従って、同内燃機関の制御装置においては、こうした問題をまねきにくくするために、触媒装置の温度を精度良く推定することが要求される。
請求項9に記載の発明によれば、入力排気温度の推定値に基づいて出力排気温度の推定値が算出されるとともに、同推定値に基づいて触媒装置の温度の推定値が算出されるため、触媒装置の温度の推定精度を向上させることができるようになる。
<請求項10>
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、当該内燃機関は、排気中へ添加剤を供給する添加剤供給手段と、前記添加剤の酸化反応を促進させる触媒装置と、該触媒装置の下流に配置されるとともに粒子状物質を捕捉する排気フィルタとを備えるものであり、当該制御装置は、前記排気フィルタに捕捉されている粒子状物質を浄化するための条件が成立しているとき、前記添加剤供給手段による添加剤の供給を通じて前記粒子状物質を浄化する処理を行うとともに前記排気フィルタの温度の推定値と前記排気フィルタの温度の目標値とに基づいて前記添加剤の供給量を設定するものであり、さらに前記出力排気温度の推定値に基づいて前記排気フィルタの温度の推定値を算出するものであることを要旨としている。
粒子状物質の浄化を行う内燃機関においては、粒子状物質を浄化する処理の実行中に添加剤の供給量が適正値を大きく下回っている場合、粒子状物質が十分に浄化されないことにより排気フィルタの詰まりをまねくおそれがある。一方で、添加剤の供給量が適正値を大きく上回っている場合、排気フィルタの温度が過度に高くなることにより同フィルタの損傷をまねくおそれがある。従って、同内燃機関の制御装置においては、こうした問題をまねきにくくするために、排気フィルタの温度を精度良く推定することが要求される。
請求項10に記載の発明によれば、入力排気温度の推定値に基づいて出力排気温度の推定値が算出されるとともに、同推定値に基づいて排気フィルタの温度の推定値が算出されるため、排気フィルタの温度の推定精度を向上させることができるようになる。
<請求項11>
請求項11に記載の発明は、排気温度の推定値を用いて機関制御を行う内燃機関の制御装置において、燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方に基づいて設定したなまし値を用いて前記排気温度の推定値を算出する推定手段を備えたことを要旨としている。
請求項11に記載の発明のように、燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方に基づいて設定したなまし値を用いて排気温度の推定値を算出することによっても、請求項1に記載の発明の作用効果に準じた作用効果を奏することができるようになる。
<請求項12>
請求項12に記載の発明は、機関本体での排気温度または該温度に相当する排気温度を入力排気温度とするとともに機関制御に用いられる排気温度を出力排気温度として、前記入力排気温度の推定値を算出した後に該推定値に基づいて前記出力排気温度の推定値を算出する内燃機関の排気温度推定方法において、燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方に基づいてなまし値を設定し、この設定したなまし値を用いて前記入力排気温度の推定値を算出することを要旨としている。
請求項12に記載の発明のように、燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方に基づいて設定したなまし値を用いて入力排気温度の推定値を算出することで、入力排気温度の推定精度の向上が図られる。これにより、排気系での排気温度を精度良く推定することができるようになる。
<請求項13>
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の内燃機関の排気温度推定方法において、前記入力排気温度の推定値を次の計算式から算出する

Y ← Y(n−1)+{Z(n)−Y(n−1)}/X

(A)前記「Y」は今回推定周期における前記入力排気温度の推定値
(B)前記「Y(n−1)」は前回推定周期にて算出した前記入力排気温度の推定値
(C)前記「Z(n)」は今回推定周期の機関運転状態に基づいて算出した前記入力排気温度の推定値の基準値
(D)前記「X」は燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方に基づいて設定したなまし値

ことを要旨としている。
<請求項14>
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の内燃機関の排気温度推定方法において、前記「X」の算出に際して前記燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方と前記なまし値との関係を予め設定した演算モデルを用いることを要旨としている。
<請求項15>
請求項15に記載の発明は、請求項13または14に記載の内燃機関の排気温度推定方法において、前記「Z(n)」の算出に際して機関運転状態と前記入力排気温度との関係を予め設定した演算モデルを用いることを要旨としている。
<請求項16>
請求項16に記載の発明は、請求項12〜15のいずれか一項に記載の内燃機関の排気温度推定方法において、燃料噴射量が大きくなるにつれて前記なまし値を大きくすることを要旨としている。
請求項16に記載の発明のように、燃料噴射量が大きくなるにつれてなまし値を大きくすることで、入力排気温度の推定値ひいては出力排気温度の推定値をより精度良く算出することができるようになる。
<請求項17>
請求項17に記載の発明は、請求項12〜16のいずれか一項に記載の内燃機関の排気温度推定方法において、吸入空気量が大きくなるにつれて前記なまし値を小さくすることを要旨としている。
請求項17に記載の発明のように、吸入空気量が大きくなるにつれてなまし値を小さくすることで、入力排気温度の推定値ひいては出力排気温度の推定値をより精度良く算出することができるようになる。
本発明の実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
本実施形態では、ディーゼルエンジンの制御装置として本発明を具体化した場合を想定している。
<ディーゼルエンジンの構造>
図1に、本発明が適用されたディーゼルエンジンの概略構造を示す。
ディーゼルエンジン1は、エンジン本体11、ターボチャージャ4、コモンレール式燃料供給装置5、排気再循環装置6及び排気浄化装置7を備えて構成されている。また、電子制御装置9を通じて各種装置が制御される。
エンジン本体11には、複数のシリンダ12が備えられている。
シリンダ12内には、空気と燃料との混合気を燃焼させるための燃焼室13が形成されている。
ディーゼルエンジン1においては、エンジン本体11のインテークポートとインテークマニホールド21とインテークパイプ22とにより、外部の空気を燃焼室13内へ流通させる吸気通路23が構成されている。
吸気通路23には、空気の流れ方向の上流側から順に、エアクリーナ24、ターボチャージャ4のコンプレッサーホイール41、インタークーラ25及びスロットルバルブ26が配置されている。
ディーゼルエンジン1においては、エンジン本体11のエキゾーストポートとエキゾーストマニホールド31とエキゾーストパイプ32とにより、燃焼室13内のガスを外部へ流通させる排気通路33が構成されている。
排気通路33には、排気の流れ方向の上流側から順に、排気浄化装置7の燃料添加弁71、ターボチャージャ4のタービンホイール42並びに排気浄化装置7のNOx触媒コンバータ72及び触媒担持型PMフィルタ73が配置されている。なお、本実施形態においては、燃料添加弁71が添加剤供給手段に相当する。また、NOx触媒コンバータ72が触媒装置に相当する。また、触媒担持型PMフィルタ73が排気フィルタに相当する。
〔1〕「ターボチャージャの構造」
ターボチャージャ4は、排気のエネルギーを利用してインテークパイプ22内の空気を圧縮することで、燃焼室13内へ供給される空気の量を増加させる。
ターボチャージャ4は、吸気通路23に配置されたコンプレッサーホイール41と排気通路33に配置されたタービンホイール42とこれら各ホイール41,42を接続するローターシャフト43とを備えて構成されている。そして、排気のエネルギーを通じてタービンホイール42とともにコンプレッサーホイール41を回転させることで吸入空気の圧縮を行う。
〔2〕「コモンレール式燃料供給装置の構造」
コモンレール式燃料供給装置5は、高圧の燃料を燃焼室13内へ噴射することにより、燃焼室13にて燃料を燃焼させる。
コモンレール式燃料供給装置5は、燃料噴射弁51、燃料タンク52、燃料ポンプ53及びコモンレール54を備えて構成されている。
燃料噴射弁51は、対応するシリンダ12の燃焼室に燃料を噴射する。
燃料ポンプ53は、燃料タンク52内の燃料を吸引するとともに、吸引した燃料を所定の圧力まで加圧してコモンレール54へ供給する。
コモンレール54は、燃料ポンプ53から供給された燃料を高圧の状態に維持する。コモンレール54内の燃料は、各燃料噴射弁51の開弁にともない燃料噴射弁51からシリンダ12の燃焼室へ噴射される。
〔3〕「排気再循環装置の構造」
排気再循環装置6は、インテークパイプ22内に排気の一部を供給することで、混合気の燃焼温度を低下させて窒素酸化物(NOx)の発生量を低減させる。
排気再循環装置6は、連通管61、EGRクーラ62及びEGRバルブ63を備えて構成されている。
連通管61は、タービンホイール42よりも上流の排気通路33とスロットルバルブ26よりも下流の吸気通路23とを連通する。また、連通管61には、排気の流れ方向の上流側から順に、EGRクーラ62及びEGRバルブ63が配置されている。
EGRクーラ62は、連通管61を介してインテークパイプ22へ供給される排気を冷却する。
EGRバルブ63は、連通管61を介してインテークパイプ22へ供給される排気の流量を調整する。
〔4〕「排気浄化装置の構造」
排気浄化装置7は、排気中の粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)の浄化を行う。
排気浄化装置7は、燃料添加弁71、NOx触媒コンバータ72及び触媒担持型PMフィルタ73を備えて構成されている。
NOx触媒コンバータ72は、吸蔵還元型のNOx触媒が担持された触媒担体を備えて構成されている。
NOx触媒コンバータ72においては、次のようにNOxの浄化が行われる。
(a)排気が酸化雰囲気(リーン)の状態にあるとき、排気中のNOxがNOx触媒に吸蔵される。
(b)排気が還元雰囲気(ストイキあるいはリッチ)の状態にあるとき、NOx触媒に吸蔵されているNOxが一酸化窒素(NO)として離脱し、HCやCOにより還元される。
なお、「ストイキ」は排気の空燃比が理論空燃比に相当する状態を、「リーン」は排気の空燃比が理論空燃比よりも大きい状態を、「リッチ」は排気の空燃比が理論空燃比よりも小さい状態をそれぞれ示す。
触媒担持型PMフィルタ73は、排気中のPMを捕捉することのできる多孔質セラミック構造体(PMフィルタ)を備えて構成されている。また、PMフィルタには、吸蔵還元型のNOx触媒が担持されている。
触媒担持型PMフィルタ73においては、次のようにPMの捕捉及び浄化が行われる。
(a)排気が多孔質セラミック構造体の壁を通過する際、排気中のPMが同セラミック構造体の壁に捕捉される。
(b)排気が高温のとき、捕捉されているPMが排気中の酸素により酸化される。
(c)NOxの吸蔵時や放出時に生成される活性酸素により、捕捉されているPMが酸化される。
また、触媒担持型PMフィルタ73においては、NOx触媒コンバータ72と同様の態様をもってNOxの浄化が行われる。
燃料添加弁71は、燃料(添加剤)の噴射を通じて排気中へ燃料を添加する。燃料添加弁71には、コモンレール54へ供給される燃料よりも圧力の低い燃料が燃料ポンプ53を通じて供給される。
燃料添加弁71から噴射された燃料は、排気とともにNOx触媒コンバータ72や触媒担持型PMフィルタ73へ供給される。なお、ディーゼルエンジン1においては、NOx触媒コンバータ72や触媒担持型PMフィルタ73に対して燃料を供給することを目的として、燃料添加弁71による燃料の噴射(燃料添加)が行われる。こうした燃料添加弁71による燃料添加態様の詳細については後述する。
〔5〕「制御系の構造」
電子制御装置9は、エンジン制御にかかる演算処理を実行する中央演算処理装置、エンジン制御に必要なプログラムやマップが予め記憶された読み出し専用メモリ、中央演算処理装置の計算結果等を一時的に記憶するランダムアクセスメモリ、外部の信号を入力するための入力ポート、及び外部へ信号を出力するための出力ポート等を備えて構成されている。
電子制御装置9の入力ポートには、エンジン運転状態を検出するための回転速度センサ91、冷却水温度センサ92、エアフローメータ93、吸気温度センサ94及び大気圧センサ95等が接続されている。
回転速度センサ91は、クランクシャフトの近傍に設けられており、クランクシャフトの回転速度(エンジン回転速度NE)に応じた電気信号を出力する。回転速度センサ91の出力信号は、電子制御装置9へ入力された後、エンジン回転速度計測値NEMとして各種制御に用いられる。
冷却水温度センサ92は、シリンダ12の周囲に設けられており、ウォータージャケット内の冷却水の温度(冷却水温度THW)に応じた電気信号を出力する。冷却水温度センサ92の出力信号は、電子制御装置9へ入力された後、冷却水温度計測値THWMとして各種制御に用いられる。
エアフローメータ93は、エアクリーナ16の下流且つコンプレッサーホイール41の上流の吸気通路23に設けられており、インテークパイプ22内を流れる空気の流量(吸入空気量GA)に応じた電気信号を出力する。エアフローメータ93の出力信号は、電子制御装置9へ入力された後、吸入空気量計測値GAMとして各種制御に用いられる。
吸気温度センサ94は、エアクリーナ16の下流且つコンプレッサーホイール41の上流の吸気通路23に設けられており、インテークパイプ22内を流れる空気の温度(吸気温度THA)に応じた電気信号を出力する。吸気温度センサ94の出力信号は、電子制御装置9へ入力された後、吸気温度計測値THAMとして各種制御に用いられる。
大気圧センサ95は、エアクリーナ16の近傍の吸気通路23に設けられており、大気の圧力(大気圧FPA)に応じた電気信号を出力する。大気圧センサ95の出力信号は、電子制御装置9へ入力された後、大気圧計測値FPAMとして各種制御に用いられる。
電子制御装置9の出力ポートには、スロットルバルブ26、EGRバルブ63、燃料ポンプ53、燃料噴射弁51及び燃料添加弁71等の駆動回路が接続されている。
電子制御装置9は、上記各センサの検出信号から把握されるエンジン運転状態に基づいて、各制御パラメータの要求値(例えば燃料噴射弁51による燃料の噴射量(燃料噴射量FI)や燃料添加弁71による燃料の添加量(燃料添加量FA))を設定する。そして、出力ポートに接続された各機器類の駆動回路に対して、上記要求値に対応した指令信号を出力する。
電子制御装置9は、こうした駆動回路の制御を通じて、スロットルバルブ26の開度を調整するスロットル制御、EGRバルブ63の開度を調整するEGR制御、燃料ポンプ53の吐出圧力を調整する吐出圧力制御、燃料噴射弁51から燃料を噴射させる燃料噴射制御、並びに燃料添加弁71から燃料を噴射させる燃料添加制御等の各種制御を行う。なお、制御手段は、電子制御装置9を含めて構成されている。
<排気浄化制御>
本実施形態では、排気を浄化するための制御として、触媒担持型PMフィルタ73上のPMを燃焼させる「PM再生制御」、NOx触媒に吸蔵されている硫黄酸化物(SOx)を還元して放出させる「S被毒回復制御」、及びNOx触媒に吸蔵されているNOxを還元して放出させる「NOx還元制御」が行われる。
PMを燃焼させるPM再生やSOxを還元・放出させるS被毒回復を行うには、NOx触媒コンバータ72や触媒担持型PMフィルタ73の温度(触媒床温)を十分に高温化する必要がある。そこで、PM再生制御やS被毒回復制御においては、触媒床温をPM再生やS被毒回復に必要な温度(例えば600〜700℃)まで上昇させる昇温制御が行われる。
昇温制御では、燃料添加弁71による排気への燃料添加を比較的短い間隔で継続的に繰り返すことで、NOx触媒(NOx触媒コンバータ72や触媒担持型PMフィルタ73)に対する燃料の供給量を増大させるようにしている。これにより、排気中や触媒上での燃料の酸化反応にともなう発熱により触媒床温の高温化が図られるようになる。
〔1〕「PM再生制御」
排気浄化装置7においては、触媒担持型PMフィルタ73に捕捉されているPMの量が多くなるにつれて、同PMフィルタ73での圧力損失が増大する。従って、エンジン運転状態の悪化をまねく程度まで圧力損失が増大する前に、フィルタ上に堆積しているPMを浄化する必要がある。
そこで、電子制御装置9は、触媒担持型PMフィルタ73に堆積しているPMの量が限界値に達したと推定されるとき、PM再生制御を通じて昇温制御を行う。
そして、NOx触媒コンバータ72での燃料の酸化反応により高温の排気が触媒担持型PMフィルタ73へ供給されるため、触媒担持型PMフィルタ73の高温化を通じてPMが燃焼される。また、NOx触媒コンバータ72を通過した燃料が触媒担持型PMフィルタ73で酸化されるため、酸化反応にともなう発熱を通じてPMが燃焼される。
〔2〕「S被毒回復制御」
NOx触媒コンバータ72や触媒担持型PMフィルタ73のNOx触媒は、燃料や潤滑油に由来する硫黄分から生成されるSOxをNOxとともに吸収する性質がある。一方で、NOx触媒の吸蔵量には限界があるため、SOx吸蔵量が過度に多くなった場合にはNOx吸蔵能力の低下(S被毒)をまねくようになる。従って、排気浄化装置7においては、SOx吸蔵量の増加に起因してNOxの吸蔵に支障をきたす前に、NOx触媒に吸蔵されているSOxを還元する必要がある。
そこで、電子制御装置9は、NOx触媒に吸蔵されているSOxの量が限界値に達したと推定されるとき、S被毒回復制御を通じて昇温制御とSOx還元制御とを行う。
これにより、昇温制御を通じてNOx触媒コンバータ72や触媒担持型PMフィルタ73が高温化された後、SOx還元制御を通じて排気の空燃比がリッチとされるため、NOx触媒コンバータ72や触媒担持型PMフィルタ73の周囲が高温の還元雰囲気に維持される。そして、NOx触媒に吸蔵されているSOxが還元された後にNOx触媒から放出される。
〔3〕「NOx還元制御」
排気浄化装置7においては、NOx触媒コンバータ72や触媒担持型PMフィルタ73のNOx吸蔵量が限界に達する前に、NOx触媒に吸蔵されているNOxを還元して放出させる必要がある。
そこで、電子制御装置9は、NOx触媒に吸蔵されているNOxの量が限界値に達したと推定されるとき、NOx還元制御を通じて燃料添加弁71による間欠的な燃料添加を行う。
これにより、NOx触媒周囲の排気の空燃比が一時的にストイキまたはリッチの状態とされるため、NOx触媒コンバータ72や触媒担持型PMフィルタ73のNOxが還元される。なお、NOx還元制御時、触媒床温は比較的低温(例えば250〜500℃)に維持される。
なお、上記PM再生制御やS被毒回復制御の実行時における昇温制御の実行中、必要に応じて燃料噴射弁51によるアフター噴射を行うこともできる。このアフター噴射は、パイロット噴射及びメイン噴射がなされた後の圧縮行程中や排気行程中に実行される燃料の噴射であり、パイロット噴射やメイン噴射のような燃焼室13での燃焼に供される燃料の噴射とは別の燃料の噴射となっている。これにより、アフター噴射において噴射された燃料の多くは、燃焼室13内で燃焼されることなく排気系に排出されるため、排気中の燃料が増量されて触媒床温の高温化が図られる。
<PM再生制御処理>
図2を参照して、「PM再生制御処理」について説明する。本処理は、電子制御装置9により一定の時間毎に繰り返し実行される。また、本処理が機関制御手段を通じて実行される処理に相当する。なお、以降の説明において、コンバータ触媒床温TCはNOx触媒コンバータ72の触媒床温を、フィルタ触媒床温TFは触媒担持型PMフィルタ73の触媒床温を、目標触媒床温TFTは昇温制御におけるフィルタ触媒床温TFの目標値をそれぞれ示す。
[ステップS110]フィルタ触媒床温TFを目標触媒床温TFTまで昇温させるための「昇温制御処理」(図3)が実行されているか否かを判定する。
・「昇温制御処理」が実行されていないとき、ステップS120の処理を行う。
・「昇温制御処理」が実行されているとき、ステップS130の処理を行う。
[ステップS120]PM再生制御の実行条件(PMを浄化するための条件)が成立しているか否かを判定する。
・実行条件が成立しているとき、ステップS122の処理を行う。
・実行条件が成立していないとき、「PM再生制御処理」を一旦終了する。
ステップS120の処理においては、例えば、次の[a]及び[b]の条件が成立していることをもってPM再生制御の実行条件が成立していると判断することができる。
[a]触媒担持型PMフィルタ73に堆積しているPM量(PM堆積量)が限界値に達している。
[b]コンバータ触媒床温TCの推定値(推定コンバータ触媒床温TCE)が、燃料の酸化反応を起こすために必要となる下限温度TClmt以上である。なお、推定コンバータ触媒床温TCEは、「排気温度推定処理」(図4及び図5)を通じて算出される。また、NOx触媒コンバータ72の触媒床温を代表する値として算出される。
ステップS120の処理においては、例えば、次の[c]及び[d]の条件のいずれかが成立していることをもってPM堆積量が限界値に達していると判断することができる。
[c]ディーゼルエンジン1の運転履歴(吸入空気量や燃料噴射量)に基づいて推定されたPM堆積量が所定値以上である。
[d]触媒担持型PMフィルタ73上流の圧力の計測値と下流の圧力の計測値との乖離度合いが所定の度合いよりも大きい。
[ステップS122]「昇温制御処理」(図3)を開始する。これにより、「PM再生制御処理」の次回の制御周期においては、ステップS110の処理からステップS130の処理へ移行するようになる。
[ステップS130]PM再生制御の終了条件が成立しているか否かを判定する。
・終了条件が成立しているとき、ステップS132の処理を行う。
・終了条件が成立していないとき、「PM再生制御処理」を一旦終了する。
ステップS130の処理においては、例えば、次の[a]及び[b]の条件のいずれかが成立していることをもってPM再生制御の終了条件が成立していると判断することができる。
[a]ディーゼルエンジン1の運転履歴(吸入空気量や燃料噴射量)に基づいて推定されたPM堆積量が初期値以下である。
[b]触媒担持型PMフィルタ73上流の圧力の計測値と下流の圧力の計測値との乖離度合いが所定の度合いよりも小さい。
本実施形態の排気浄化装置7においては、PM再生制御の実行条件の成立からPM再生制御の終了条件の成立までの期間がPM再生制御の実行中に相当する。即ち、同期間がPM再生制御の1サイクルに相当する。
[ステップS132]「昇温制御処理」(図3)を終了する。なお、PM再生制御の実行条件や終了条件については、上記にて例示した内容に限られず適宜変更することができる。
<昇温制御処理>
図3を参照して、「昇温制御処理」について説明する。本処理は、PM再生制御の実行条件が成立してからPM再生制御の終了条件が成立するまでの間、電子制御装置9により一定の時間毎に繰り返し実行される。
[ステップS210]「PM再生制御処理」を通じて「昇温制御処理」が開始された後に目標触媒床温TFTの設定が行われたか否かを判定する。
・目標触媒床温TFTの設定が行われていないとき、ステップS212の処理を行う。
・目標触媒床温TFTの設定が行われているとき、ステップS214の処理を行う。
[ステップS212]エンジン運転状態(例えば、エンジン回転速度計測値NEM及び燃料噴射量FI)に基づいて、目標触媒床温TFTを算出する。ここでは、エンジン運転状態と目標触媒床温TFTとの関係が予め設定されたマップから目標触媒床温TFTを算出する。
目標触媒床温TFTは、NOx触媒コンバータ72の正常時に触媒担持型PMフィルタ73上のPMを燃焼させるために最低限必要とされる触媒床温よりも高い温度として設定されている。従って、NOx触媒コンバータ72の正常時、「昇温制御処理」を通じてフィルタ触媒床温TFが目標触媒床温TFTに維持されることにより、堆積しているPMが十分に燃焼されるようになる。
[ステップS214]目標触媒床温TFTに基づいて、燃料添加弁71による排気への燃料の添加量(燃料添加量FA)を設定する。ここでは、目標触媒床温TFTとフィルタ触媒床温TFの推定値(推定フィルタ触媒床温TFE)との差に基づいて、フィルタ触媒床温TFを目標触媒床温TFTに維持するために必要となる燃料添加量FAを算出する。なお、推定フィルタ触媒床温TFEは、「排気温度推定処理」(図4及び図5)を通じて算出される。また、触媒担持型PMフィルタ73の触媒床温を代表する値として算出される。
電子制御装置9において別途実行されている燃料添加制御では、このステップS214を通じて燃料添加量FAが設定される毎に同添加量FAの燃料を燃料添加弁71から噴射させるべく同添加弁71を制御する。こうして、燃料添加弁71による燃料添加が繰り返して実行されることにより、フィルタ触媒床温TFが目標触媒床温TFT(または近傍の温度)に維持されるようになる。
<排気温度推定処理>
本処理は、次の「第1推定処理」、「第2推定処理」及び「第3推定処理」を含めて構成されている。
(a)「第1推定処理」では、エンジン本体11での排気温度(第1排気温度TEA(入力排気温度))を推定する。なお、入力排気温度として、エンジン本体11での排気温度に相当する排気温度(例えば、排気系にて熱交換が行われる前の排気温度)を採用することもできる。
(b)「第2推定処理」では、ターボチャージャ4の下流且つNOx触媒コンバータ72の上流の排気通路33において排気系との熱交換が行われた後の排気温度(第2排気温度TEB(出力排気温度))を推定する。
(c)「第3推定処理」では、NOx触媒コンバータ72の下流且つ触媒担持型PMフィルタ73の上流の排気通路33において排気系との熱交換が行われた後の排気温度(第3排気温度TEC(出力排気温度))を推定する。
以降では、本処理を通じて算出される上記各排気温度の推定値をそれぞれ次のように示す。
・第1排気温度TEAの推定値を第1排気温度推定値eTEAとする。
・第2排気温度TEBの推定値を第2排気温度推定値eTEBとする。
・第3排気温度TECの推定値を第3排気温度推定値eTECとする。
図4及び図5を参照して、「排気温度推定処理」の詳細な処理手順について説明する。本処理は、電子制御装置9により一定の時間毎に繰り返し実行される。なお、「排気温度推定処理」は、入力温度推定手段を通じて実行される処理、出力温度推定手段を通じて実行される処理及び推定手段を通じて実行される処理を含めて構成されている。
本処理において、ステップS312の処理は「第1推定処理」に、ステップS320の処理は「第2推定処理」に、ステップS330の処理は「第3推定処理」にそれぞれ相当する。
[ステップS302]今回制御周期のエンジン運転状態(燃料噴射量FI及び吸入空気量GA)に基づいて定常排気温度TEAbaseを算出する。ここでは、燃料噴射量FI及び吸入空気量計測値GAMを定常排気温度算出マップ(図6)に適用して定常排気温度TEAbase(入力排気温度の推定値の基準値)を算出する。
ディーゼルエンジン1においては、「PM再生制御」や「S被毒回復制御」等の実行に応じて燃料供給形態が切り替えられる。混合気の燃焼状態は、それぞれの燃料供給形態により異なるため、電子制御装置9には燃料供給形態毎に定常排気温度算出マップが設定されている。そして、ステップS302の処理における定常排気温度TEAbaseの算出に際しては、今回制御周期の燃料供給形態に応じたマップが選択される。
定常排気温度TEAbaseは、定常運転状態(同一の燃料噴射量FI及び吸入空気量GAのもとで長期間にわたってディーゼルエンジン1を運転させた状態)のもとで得られる第1排気温度TEAに相当する。即ち、ステップS302の処理を通じて、燃料噴射量FI及び吸入空気量GAを今回制御周期の燃料噴射量FI及び吸入空気量GAに保持してディーゼルエンジン1を長期間にわたって運転させたときの第1排気温度TEAとして定常排気温度TEAbaseが算出される。
定常排気温度算出マップ(図6)は、試験により燃料噴射量FI及び吸入空気量GAと定常排気温度TEAbaseとの関係を予め把握してマップ化することにより構成されている。各パラメータと定常排気温度TEAbaseとの関係を次の(a)及び(b)に示す。
(a)定常排気温度TEAbaseは、燃料噴射量FIに応じて変化する傾向を示すとともに、基本的には燃料噴射量FIが増加するにつれて高温側へ変化する。上記マップにおいては、こうした定常排気温度TEAbaseの変化傾向に即して燃料噴射量FIと定常排気温度TEAbaseとの関係が設定されている。
(b)定常排気温度TEAbaseは、吸入空気量GAに応じて変化する傾向を示すとともに、基本的には吸入空気量GAが増加するにつれて高温側へ変化する。上記マップにおいては、こうした定常排気温度TEAbaseの変化傾向に即して吸入空気量GAと定常排気温度TEAbaseとの関係が設定されている。なお、本実施形態では、定常排気温度TEAbaseを算出するためのパラメータとして吸入空気量GAを採用しているが、吸入空気量GAの指標値としてエンジン回転速度NEを採用することもできる。
[ステップS304]エアフローメータ93の計測値(吸入空気量計測値GAM)と燃焼室13へ供給される吸入空気量(供給吸入空気量GAR)とのずれに応じて定常排気温度TEAbaseを補正するための吸気補正係数GMを算出する。
ステップS304の処理では、吸入空気量計測値GAMと供給吸入空気量GARとの比(吸気比率GN)を算出する。そして、吸気比率GNと吸気補正係数GMとの関係が予め設定されたマップから吸気補正係数GMを算出する。なお、供給吸入空気量GARは、例えば次のように算出することができる。即ち、吸入空気量計測値GAMに対して、EGRガスの流量やターボチャージャ4による過給度合い等を加味した補正を適用し、補正後の値を供給吸入空気量GARとすることができる。
[ステップS306]基準のエンジン運転環境と実際のエンジン運転環境との違いによる定常排気温度TEAbaseと実際の第1排気温度TEAとのずれを補正するための各種補正量を算出する。ここでは、次の(A)〜(C)の補正量を算出する。なお、基準のエンジン運転環境は、定常排気温度算出マップ(図6)を構築したときのエンジン運転環境に相当する。
(A)「水温補正量TEthw」
水温補正量TEthwは、基準のエンジン運転環境における冷却水温度THWと実際の冷却水温度THWとの違いによる定常排気温度TEAbaseと実際の第1排気温度TEAとのずれを補正する値として算出される。
ステップS306の処理では、冷却水温度THWと水温補正量TEthwとの関係が予め設定されたマップに冷却水温度計測値THWMを適用して水温補正量TEthwを算出する。ちなみに、第1排気温度TEAは、冷却水温度THWに応じて変化する傾向を示すとともに、基本的には冷却水温度THWが低下するにつれて低温側へ変化する。上記マップにおいては、こうした第1排気温度TEAの変化傾向に即して冷却水温度THWと水温補正量TEthwとの関係が設定されている。
(B)「吸気温補正量TEtha」
吸気温補正量TEthaは、基準のエンジン運転環境における吸気温度THAと実際の吸気温度THAとの違いによる定常排気温度TEAbaseと実際の第1排気温度TEAとのずれを補正する値として算出される。
ステップS306の処理では、吸気温度THAと吸気温補正量TEthaとの関係が予め設定されたマップに吸気温度計測値THAMを適用して吸気温補正量TEthaを算出する。ちなみに、第1排気温度TEAは、吸気温度THAに応じて変化する傾向を示すとともに、基本的には吸気温度THAが低下するにつれて低温側へ変化する。上記マップにおいては、こうした第1排気温度TEAの変化傾向に即して吸気温度THAと吸気温補正量TEthaとの関係が設定されている。
(C)「大気圧補正量TEfpa」
大気圧補正量TEfpaは、基準のエンジン運転環境における大気圧FPAと実際の大気圧FPAとの違いによる定常排気温度TEAbaseと実際の第1排気温度TEAとのずれを補正する値として算出される。
ステップS306の処理では、大気圧FPAと大気圧補正量TEfpaとの関係が予め設定されたマップに大気圧計測値FPAMを適用して大気圧補正量TEfpaを算出する。ちなみに、第1排気温度TEAは、大気圧FPAに応じて変化する傾向を示すとともに、基本的には大気圧FPAが低下するにつれて高温側へ変化する。上記マップにおいては、こうした第1排気温度TEAの変化傾向に即して大気圧FPAと大気圧補正量TEfpaとの関係が設定されている。
[ステップS308]吸気補正係数GM及び上記各補正量を通じて定常排気温度TEAbaseを補正するとともに、補正後の値を環境補正排気温度TEengとして設定する。即ち、次の[式1]により環境補正排気温度TEengを算出する。

[式1]

TEeng ←

(TEAbase − THAM) × GM

+ THAM + TEthw + TEtha + TEfpa

なお、上記[式1]においては、エンジン運転環境に応じた補正量として水温補正量TEthw、吸気温補正量TEtha及び大気圧補正量TEfpaを用いるようにしているが、さらに別の補正量(例えばエンジンの背圧に応じて設定した背圧補正量)を用いて環境補正排気温度TEengを算出することもできる。
[ステップS310]燃料噴射量FI及び吸入空気量GAに基づいてなまし値SMを設定する。ここでは、なまし値算出マップ(図7)に燃料噴射量FI及び吸入空気量計測値GAMを適用してなまし値SMを算出する。
本実施形態においては、本発明者による試験を通じて確認された第1排気温度TEAの変化態様に基づいて、なまし値算出マップが設定されている。以下の〔1〕「第1排気温度TEAの変化態様」において、なまし値算出マップの設定に際しての基礎とされる事項について説明する。また、以下の〔2〕「なまし値算出マップの設定態様」において、同〔1〕の事項に基づいたなまし値算出マップの設定態様について説明する。
〔1〕「第1排気温度TEAの変化態様」
本発明者は、試験を通じて、エンジン運転状態の変化にともなう第1排気温度TEAの変化態様について次の(A)〜(D)の事項を確認した。
(A)吸入空気量GAを一定にして燃料噴射量FIを前回燃料噴射量FIAから今回燃料噴射量FIBへ変化させたとき、第1排気温度TEAはある程度の応答遅れをもって前回燃料噴射量FIAに適合した定常排気温度TEAbase(前回定常温度TEAbaseA)から今回燃料噴射量FIBに適合した定常排気温度TEAbase(今回定常温度TEAbaseB)へ推移する。
なお、前回定常温度TEAbaseAは、前回燃料噴射量FIA及び吸入空気量GAを定常排気温度算出マップへ適用することにより得られる定常排気温度TEAbaseに相当する。また、今回定常温度TEAbaseBは、今回燃料噴射量FIA及び吸入空気量GAを定常排気温度算出マップへ適用することにより得られる定常排気温度TEAbaseに相当する。
(B)上記(A)の状況において、第1排気温度TEAの応答遅れの度合い(第1排気温度TEAが前回定常温度TEAbaseAから今回定常温度TEAbaseBへ到達するまでの時間(遅れ時間))は、燃料噴射量FIと相関を有する。
(C)燃料噴射量FIを一定にして吸入空気量GAを前回吸入空気量GACから今回吸入空気量GADへ変化させたとき、第1排気温度TEAはある程度の応答遅れをもって前回吸入空気量GACに適合した定常排気温度TEAbase(前回定常温度TEAbaseC)から今回吸入空気量GADに適合した定常排気温度TEAbase(今回定常温度TEAbaseD)へ推移する。
なお、前回定常温度TEAbaseCは、前回吸入空気量GAC及び燃料噴射量FIを定常排気温度算出マップへ適用することにより得られる定常排気温度TEAbaseに相当する。また、今回定常温度TEAbaseDは、今回吸入空気量GAD及び燃料噴射量FIを定常排気温度算出マップへ適用することにより得られる定常排気温度TEAbaseに相当する。
(D)上記(C)の状況において、第1排気温度TEAの応答遅れの度合い(第1排気温度TEAが前回定常温度TEAbaseCから今回定常温度TEAbaseDへ到達するまでの時間(遅れ時間))は、吸入空気量GAと相関を有する。
〔2〕「なまし値算出マップの設定態様」
吸入空気量GAが一定の状態において燃料噴射量FIが変化したときの上記遅れ時間は、燃料噴射量FIが増加するにつれて長くなる傾向を示す。なまし値算出マップにおいては、こうした第1排気温度TEAの応答遅れの度合いに即して燃料噴射量FIとなまし値SMとの関係が設定されている。即ち、燃料噴射量FIが増量側へ変化するにつれてなまし値SMが大きくなるようにマップが構成されている。
燃料噴射量FIが一定の状態において吸入空気量GAが変化したときの上記遅れ時間は、吸入空気量GAが増加するにつれて短くなる傾向を示す。なまし値算出マップにおいては、こうした第1排気温度TEAの応答遅れの度合いに即して吸入空気量GAとなまし値SMとの関係が設定されている。即ち、吸入空気量GAが増量側へ変化するにつれてなまし値SMが小さくなるようにマップが構成されている。
[ステップS312]前回制御周期にて算出した第1排気温度推定値eTEAと今回制御周期にて算出した環境補正排気温度TEengとの差及びなまし値SMに基づいて、前回制御周期からの第1排気温度TEAの上昇量を算出する。そして、この温度上昇量を前回制御周期の第1排気温度推定値eTEAに加えることで今回制御周期の第1排気温度推定値eTEAを算出する。即ち、次の[式2]により第1排気温度推定値eTEAを算出する。

[式2]

eTEA ← eTEA(n−1)

+ {TEeng(n) − eTEA(n−1)} / SM

上記[式2]において、各項はそれぞれ次の値を示す。
・「TEeng(n)」 :今回制御周期の環境補正排気温度。
・「eTEA(n−1)」 :前回制御周期の第1排気温度推定値。
[ステップS320]第1排気温度推定値eTEAを熱交換モデルに入力して第2排気温度推定値eTEBを算出する。
熱交換モデルでは、排気系の熱容量や放熱特性に基づいて排気系と排気との熱交換を模擬することができる。本実施形態においては、エキゾーストマニホールド31、エキゾーストパイプ32、ターボチャージャ4、排気再循環装置6及び排気浄化装置7により構成される排気系に基づいて、熱交換モデルが構築されている。即ち、エンジン本体11のエキゾーストポートを排気系に含めないかたちで同モデルが構築されている。
[ステップS322]第2排気温度推定値eTEBに基づいてNOx触媒コンバータ72の触媒床温の推定値(推定コンバータ触媒床温TCE)を算出する。ここでは、排気流量、NOx触媒コンバータ72の熱容量及び燃料添加量FA等を加味して第2排気温度推定値eTEBを補正することで推定コンバータ触媒床温TCEを算出する。
[ステップS330]第1排気温度推定値eTEAを熱交換モデルに入力して第3排気温度推定値eTECを算出する。
[ステップS332]第3排気温度推定値eTECに基づいて触媒担持型PMフィルタ73の触媒床温の推定値(推定フィルタ触媒床温TFE)を算出する。ここでは、排気流量、触媒担持型PMフィルタ73の熱容量及び燃料添加量FA等を加味して第3排気温度推定値eTECを補正することで推定フィルタ触媒床温TFEを算出する。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この実施形態にかかる内燃機関の制御装置によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
(1)本実施形態の内燃機関の制御装置では、燃料噴射量FI及び吸入空気量GAに基づいて設定したなまし値SMを用いて第1排気温度推定値eTEAを算出するようにしている。これにより、第1排気温度TEAの推定精度の向上が図られるため、第2排気温度TEBを精度良く推定することができるようになる。
(2)ディーゼルエンジン1においては、コンバータ触媒床温TCが下限温度TClmt未満であるにもかかわらず排気中への燃料の添加が行われたとき、NOx触媒コンバータ72において燃料の酸化反応が十分に生じないことに起因して種々の問題(例えば、燃料がNOx触媒コンバータ72に付着することによりコンバータの詰まりが生じる等)をまねくおそれがある。
本実施形態の内燃機関の制御装置では、第1排気温度推定値eTEAに基づいて第2排気温度推定値eTEBを算出するとともに、第2排気温度推定値eTEBに基づいて推定コンバータ触媒床温TCEを算出するようにしているため、コンバータ触媒床温TCの推定精度の向上が図られるようになる。これにより、適切な判定結果に基づいて燃料添加弁71による燃料添加が実行されるため、上記問題が生じることを抑制することができるようになる。
(3)ディーゼルエンジン1においては、PM再生制御の実行中に燃料添加量FAが適正値を大きく下回っている場合、PMが十分に浄化されないことにより触媒担持型PMフィルタ73の詰まりをまねくおそれがある。一方で、燃料添加量FAが適正値を大きく上回っている場合、フィルタ触媒床温TFが過度に高くなることにより触媒担持型PMフィルタ73の損傷をまねくおそれがある。
本実施形態の内燃機関の制御装置では、第1排気温度推定値eTEAに基づいて第3排気温度推定値eTECを算出するとともに、第3排気温度推定値eTECに基づいて推定フィルタ触媒床温TFEを算出するようにしているため、フィルタ触媒床温TFの推定精度の向上が図られるようになる。これにより、燃料添加量FAが適正値を大きく下回るあるいは上回るといった状態が生じにくくなるため、上記問題が生じることを抑制することができるようになる。
<変更例>
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記実施形態において、次のような構成を採用することもできる。即ち、第3排気温度推定値eTECに基づいて推定コンバータ触媒床温TCEの算出を行うとともに、S被毒回復制御においてこの推定コンバータ触媒床温TCEを用いて燃料添加量FAを設定することもできる。
ちなみに、ディーゼルエンジン1においては、S被毒回復制御の実行中に燃料添加量FAが適正値を大きく下回っている場合、SOxが十分に還元されないことによりNOxの吸蔵能力の低下をまねくおそれがある。一方で、燃料添加量FAが適正値を大きく上回っている場合、コンバータ触媒床温TCやフィルタ触媒床温TFが過度に高くなることによりNOx触媒コンバータ72や触媒担持型PMフィルタ73の損傷をまねくこともある。
この点、上記構成を採用した場合には、燃料添加量FAが適正値を大きく下回るあるいは上回るといった状態が生じにくくなるため、上記問題が生じることを抑制することができるようになる。
・上記実施形態において、次のような構成を採用することもできる。即ち、第2排気温度推定値eTEBに基づいて推定コンバータ触媒床温TCEの算出を行うとともに、NOx還元制御において同触媒床温TCEに基づいてコンバータ触媒床温TCが下限温度TClmt未満であるか否かを判定することもできる。
ちなみに、ディーゼルエンジン1においては、コンバータ触媒床温TCが下限温度TClmt未満であるにもかかわらず排気中への燃料の添加が行われたとき、NOx触媒コンバータ72において燃料の酸化反応が十分に生じないことに起因して種々の問題をまねくおそれがある。
この点、上記構成を採用した場合には、適切な判定結果に基づいて燃料添加弁71による燃料添加が実行されるため、上記問題が生じることを抑制することができるようになる。
・上記実施形態では、ディーゼルエンジンの制御装置として本発明を具体化したが、排気温度をパラメータとして機関制御を行う内燃機関の制御装置であれば、適宜の制御装置に対して本発明を適用することができる。また、そうした場合にあっても、上記実施形態の作用効果に準じた作用効果が奏せられるようになる。
本発明にかかる内燃機関の制御装置を具体化した実施形態について、同制御装置が搭載されたディーゼルエンジンの全体構成を示す構成図。 同実施形態において電子制御装置により実行される「PM再生制御処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において電子制御装置により実行される「床温制御処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において電子制御装置により実行される「排気温度推定処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態において電子制御装置により実行される「排気温度推定処理」の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態の「排気温度推定処理」にて用いられる定常排気温度算出マップを示す図。 同実施形態の「排気温度推定処理」にて用いられるなまし値算出マップを示す図。
符号の説明
1…ディーゼルエンジン、11…エンジン本体、12…シリンダ、13…燃焼室。
21…インテークマニホールド、22…インテークパイプ、23…吸気通路、24…エアクリーナ、25…インタークーラ、26…スロットルバルブ。
31…エキゾーストマニホールド、32…エキゾーストパイプ、33…排気通路。
4…ターボチャージャ、41…コンプレッサーホイール、42…タービンホイール、43…ローターシャフト。
5…コモンレール式燃料供給装置、51…燃料噴射弁、52…燃料タンク、53…燃料ポンプ、54…コモンレール。
6…排気再循環装置、61…連通管、62…EGRクーラ、63…EGRバルブ。
7…排気浄化装置、71…燃料添加弁、72…NOx触媒コンバータ、73…触媒担持型PMフィルタ。
9…電子制御装置、91…回転速度センサ、92…冷却水温度センサ、93…エアフローメータ、94…吸気温度センサ、95…大気圧センサ。

Claims (17)

  1. 排気温度をパラメータとして機関制御を行う機関制御手段と、
    機関本体での排気温度または該温度に相当する排気温度を入力排気温度として該入力排気温度の推定値を算出する入力温度推定手段と、
    前記機関制御に用いられる排気温度を出力排気温度として該出力排気温度の推定値を前記入力排気温度の推定値に基づいて算出する出力温度推定手段とを備えた内燃機関の制御装置において、
    燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方に基づいてなまし値を設定し、この設定したなまし値を用いて前記入力排気温度の推定値を算出する推定手段を備えた
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記推定手段は、次の計算式から前記入力排気温度の推定値を算出するものである

    Y ← Y(n−1)+{Z(n)−Y(n−1)}/X

    (A)前記「Y」は今回制御周期における前記入力排気温度の推定値
    (B)前記「Y(n−1)」は前回制御周期にて算出した前記入力排気温度の推定値
    (C)前記「Z(n)」は今回制御周期の機関運転状態に基づいて算出した前記入力排気温度の推定値の基準値
    (D)前記「X」は燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方に基づいて設定したなまし値

    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記推定手段は、前記燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方と前記なまし値との関係を予め設定した演算モデルから前記「X」を算出するものである
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  4. 請求項2または3に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記推定手段は、機関運転状態と前記入力排気温度との関係を予め設定した演算モデルから前記「Z(n)」を算出するものである
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記推定手段は、燃料噴射量が大きくなるにつれて前記なまし値を大きくするものである
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記推定手段は、吸入空気量が大きくなるにつれて前記なまし値を小さくするものである
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記出力温度推定手段は、排気と排気系との熱交換を模擬した熱交換モデルへ前記入力排気温度の推定値を適用することで前記出力排気温度の推定値を算出するものである
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
    当該内燃機関は、排気中へ添加剤を供給する添加剤供給手段と、排気中の窒素酸化物を吸蔵する触媒装置とを備えるものであり、
    当該制御装置は、前記触媒装置に吸蔵されている窒素酸化物を還元するための条件が成立しているとき、前記添加剤供給手段による添加剤の供給を通じて前記窒素酸化物を還元する処理を行うとともに、前記触媒装置の温度の推定値が前記添加剤による窒素酸化物の還元反応を起こすことのできる還元温度以上であることを少なくとも前記条件に含むものであり、さらに前記出力排気温度の推定値に基づいて前記触媒装置の温度の推定値を算出するものである
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
    当該内燃機関は、排気中へ添加剤を供給する添加剤供給手段と、排気中の窒素酸化物を吸蔵する触媒装置とを備えるものであり、
    当該制御装置は、前記触媒装置に吸蔵されている硫黄酸化物を還元するための条件が成立しているとき、前記添加剤供給手段による添加剤の供給を通じて前記硫黄酸化物を還元する処理を行うとともに前記触媒装置の温度の推定値と前記触媒装置の温度の目標値とに基づいて前記添加剤の供給量を設定するものであり、さらに前記出力排気温度の推定値に基づいて前記触媒装置の温度の推定値を算出するものである
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
    当該内燃機関は、排気中へ添加剤を供給する添加剤供給手段と、前記添加剤の酸化反応を促進させる触媒装置と、該触媒装置の下流に配置されるとともに粒子状物質を捕捉する排気フィルタとを備えるものであり、
    当該制御装置は、前記排気フィルタに捕捉されている粒子状物質を浄化するための条件が成立しているとき、前記添加剤供給手段による添加剤の供給を通じて前記粒子状物質を浄化する処理を行うとともに前記排気フィルタの温度の推定値と前記排気フィルタの温度の目標値とに基づいて前記添加剤の供給量を設定するものであり、さらに前記出力排気温度の推定値に基づいて前記排気フィルタの温度の推定値を算出するものである
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  11. 排気温度の推定値を用いて機関制御を行う内燃機関の制御装置において、
    燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方に基づいて設定したなまし値を用いて前記排気温度の推定値を算出する推定手段を備えた
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  12. 機関本体での排気温度または該温度に相当する排気温度を入力排気温度とするとともに機関制御に用いられる排気温度を出力排気温度として、前記入力排気温度の推定値を算出した後に該推定値に基づいて前記出力排気温度の推定値を算出する内燃機関の排気温度推定方法において、
    燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方に基づいてなまし値を設定し、この設定したなまし値を用いて前記入力排気温度の推定値を算出する
    ことを特徴とする内燃機関の排気温度推定方法。
  13. 請求項12に記載の内燃機関の排気温度推定方法において、
    前記入力排気温度の推定値を次の計算式から算出する

    Y ← Y(n−1)+{Z(n)−Y(n−1)}/X

    (A)前記「Y」は今回推定周期における前記入力排気温度の推定値
    (B)前記「Y(n−1)」は前回推定周期にて算出した前記入力排気温度の推定値
    (C)前記「Z(n)」は今回推定周期の機関運転状態に基づいて算出した前記入力排気温度の推定値の基準値
    (D)前記「X」は燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方に基づいて設定したなまし値

    ことを特徴とする内燃機関の排気温度推定方法。
  14. 請求項13に記載の内燃機関の排気温度推定方法において、
    前記「X」の算出に際して前記燃料噴射量及び吸入空気量の少なくとも一方と前記なまし値との関係を予め設定した演算モデルを用いる
    ことを特徴とする内燃機関の排気温度推定方法。
  15. 請求項13または14に記載の内燃機関の排気温度推定方法において、
    前記「Z(n)」の算出に際して機関運転状態と前記入力排気温度との関係を予め設定した演算モデルを用いる
    ことを特徴とする内燃機関の排気温度推定方法。
  16. 請求項12〜15のいずれか一項に記載の内燃機関の排気温度推定方法において、
    燃料噴射量が大きくなるにつれて前記なまし値を大きくする
    ことを特徴とする内燃機関の排気温度推定方法。
  17. 請求項12〜16のいずれか一項に記載の内燃機関の排気温度推定方法において、
    吸入空気量が大きくなるにつれて前記なまし値を小さくする
    ことを特徴とする内燃機関の排気温度推定方法。
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