JP4409395B2 - 伝搬路推定方法及び推定装置 - Google Patents
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Description
現在、デジタルTV/音声放送(日本、欧州)や無線LAN(IEEE802.11a)などの規格がマルチキャリア変調方式の一種である直交周波数分割多重(OFDM)伝送方式をベースとして標準化されている。また、次世代移動通信システムにおいてもOFDMベースの変調方式が提案されている。
OFDMベースの変調方式を用いた無線通信システムでは、伝送に用いる全てのサブキャリアの伝搬路特性(伝搬路情報)を推定する必要があり、その推定精度は他の同期検波を用いた無線通信システムと同様に伝送誤り率に大きな影響を与える。このため、OFDMベースの変調方式を用いた無線通信システムでは、伝送に用いるサブキャリアで既知シンボルを伝送し、サブキャリア毎の伝搬路情報を推定している。先に説明した様に、伝搬路推定精度は伝送誤り率に大きな影響を与えるため、既知シンボルを用いて推定した伝搬路推定値に含まれている背景雑音を抑圧する技術を施す場合が多い。例えば、第1従来技術として隣接するサブキャリア間の周波数平均化処理技術(非特許文献1)や、第2従来技術として推定された伝搬路のインパルス応答群の強制0置換技術(特許文献1)などがある。
新,安部田,佐和橋,"繰り返しチャネル推定を用いたときの下りブロードバンドパケットTD-OFCDMの特性,"信学技報RCS2000-186, 2001年1月(TECHNICAL REPORT OF IEICE. RCS2000-186(2001-01))
しかし、第1従来技術において、遅延スプレッドが大きくなるにつれ、隣り合うサブキャリアのチャネル変動量の相関が小さくなる。このため、周波数方向の平均化数を必要以上に大きくすると推定精度が劣化する問題がある。実際の遅延スプレッドは非常に変動が大きく、屋外において市街地で0.2−2.0μsとなり、山岳地で10−20μsとなる。このため、第1従来技術では遅延スプレッドを測定しながら最適な平均化数を選択する必要がある。また、最適な平均化数を選択できたとしても、山岳地などの遅延スプレッドが大きい環境では平均化を行えず背景雑音の抑圧がなされないという問題がある。
N個のデータをN個のサブキャリアf1〜fNの成分としてNポイントのIFFT処理を行なうと、周波数スペクトラムは図33の(A)に示すようになる。OFDMではIFFT処理した信号をアナログに変換し、該アナログ信号よりローパスフィルタによりf1〜fNのべースバンド信号成分を抽出し、無線周波数にアップコンバートして送信する。f1〜fNのべースバンド信号成分を選択するには急峻な遮断特性を有するローパスフィルタが必要になるが、そのようなフィルタの作成は難しい。そこで、図33の(B)に示すようにN個のサブキャリアf1〜fNの両側のキャリアをデータ伝送に使用せず、すなわち、Nc個 (Nc<N)のサブキャリアをデータ伝送に使用する。このように、データ伝送するサブキャリア数NcとIFFTサイズ(=N)が異なると、図34に示すように伝搬路応答はインパルスとならずsinc関数となり、メインローブのピーク値はNc/Nに減少する。このため、Nc=Nの場合において伝搬路応答が図35の(A)に示すようにインパルスになっていたものが、Nc<Nの場合には図35の(B)に示すようにsinc関数が重ね合わされた波形になる。第2従来技術は、閾値をメインローブから約13dB低い値に設定することによりsinc関数のサイドローブを有効なパス(インパルス)と判別しないようにして背景雑音を抑圧する。
第2従来技術において、sinc関数のサイドローブを削除し、メインローブのみを有効なパスと判断する。しかし、sinc関数の特徴からメインローブの振幅はNc/Nに減少しているため、第2従来技術の方法では固定的な推定誤差が含まれてしまうという問題がある。また、パス間隔が近い伝搬環境においては、sinc関数のサイドローブ間が干渉し合し、合成値が閾値以上となり、パスのないところをパス有りと誤判定する問題もある。
以上から本発明の目的は、遅延スプレッドやパス間隔等の伝搬環境によらず背景雑音を抑圧可能な伝搬路推定方法及び伝搬路推定装置を提供することである。
本発明の別の目的は、実環境におけるマルチパスの各パス位置がシステムで計測されるサンプル位置から外れる場合であっても、正しく伝搬路を推定してBER特性を向上することができる伝搬路推定方法及び伝搬路推定装置を提供することである。
本発明の第1の伝搬路推定方法は、伝搬路のインパルス応答群を推定するステップ、該伝搬路インパルス応答群のうち予め定めた閾値以上の伝搬路インパルス応答(CIR)を選択するステップ、該選択されたCIRを要素として含むCIR推定ベクトル
、OFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nと実際の伝送に用いるサブキャリア数Ncとにより決まる行列S、および伝搬路応答ベクトル
を用いて行列式を生成し、該行列式を解くことにより前記伝搬路応答ベクトルを求めるステップを有している。行列式は雑音電力ベクトルを考慮すると
また、前記行列Sは、前記IFFTのポイント数Nとサブキャリア数Ncとに基づいて決まるsinc関数行列であり、該S行列の逆行列を求め、該逆行列をCIR推定ベクトルに乗算して伝送路応答ベクトルを計算し、乗算により得られた伝送路応答ベクトルの要素のうち、閾値以下の要素をゼロとして伝搬路を推定する。あるいは、前記行列Sは、前記IFFTのポイント数Nとサブキャリア数Ncとに基づいて決まるsinc関数行列であり、該S行列、雑音の分散を用いて最小二乗平均誤差法(MMSE規範)に従ったウエイト行列を求め、該行列をCIR推定ベクトルに乗算して伝送路応答ベクトルを計算し、該伝送路応答ベクトルより前記伝搬路を推定する。
、OFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nと実際の伝送に用いるサブキャリア数Ncとにより決まる行列S、および伝搬路応答ベクトル
を用いて行列式を生成し、該行列式を解くことにより前記伝搬路応答ベクトルを求めて伝搬路を推定する。
また、本発明によれば、遅延スプレッドやパス間隔等の伝搬環境によらず背景雑音を抑圧可能である。
また、本発明によれば、実環境におけるマルチパスの各パス位置がシステムで計測されるサンプル位置から外れる場合であっても、オーバサンプリングすることにより、サンプル位置から外れることによる誤差を抑圧することができる。この結果、背景雑音を抑圧でき、抑圧後にダウンサンプリングすることにより該パスの伝搬路時間応答特性を正しく推定でき、BER特性を向上することができる。
Nポイントの高速逆フーリエ変換部(IFFT)14は、N個のサブキャリアのうち(N−Nc)のサブキャリア成分を0として、S/P変換器13から入力するNc個のサブキャリア成分(変調データ)に逆フーリエ変換処理(IFFT)を施してN個の時系列データを並列出力する。パラレルシリアル変換器(P/S変換器)15はIFFT処理により得られるN個の時系列データをシリアルに変換してOFDMシンボルとして出力する。ガードインターバル挿入部16はN個の時系列データよりなるOFDMシンボルにガードインターバルGIを挿入し、ディジタルアナログ変換器(D/A)17はガードインターバル挿入部から出力する信号をアナログ信号に変換し、ローパスフィルタ18はベースバンド信号成分を選択して出力し、無線部19はベースバンド信号を無線周波数にアップコンバートした後、増幅してアンテナATSより送信する。アンテナATSより送信された信号はマルチパス伝搬路(マルチパスフェージングチャネル)20を伝搬してOFDM受信機30に受信される。送信信号には伝搬中に加法性雑音AWGN (additive white Gaussian noise)が乗る。
図3はガードインターバル挿入説明図である。ガードインターバル挿入とは、例えばN個のサブキャリアサンプル(=1 OFDMシンボル)に応じたIFFT出力信号を1単位とするとき、その先頭部に末尾部分をコピーすることである。ガードインターバルGIを挿入することによりマルチパスによる符号間干渉ISI (Inter symbol interference)の影響を無くすことが可能になる。
を伝搬路推定部35と伝搬路補償部36に入力する。伝搬路推定部35は、パイロットシンボルを用いて後述する方法により、N個の時系列要素よりなる伝搬路応答ベクトル
を算出し、伝搬路補償部36は受信信号ベクトル
のN個の時系列データに伝搬路応答複素共役ベクトル
の各要素を乗算して伝搬路(チャネル)を補償する。
Nポイントのフーリエ変換部37は、伝搬路補償されたN個の時系列データにNポイントFFT処理を施してNc個のサブキャリア成分を出力し、P/S変換器38はNc個のサブキャリア成分を順番にシリアルに出力し、復調部39は入力信号を例えばQPSKにより復調し、復号部40はデインタリーブ後に入力データを復調して出力する。
図4は伝搬路推定部35の構成図であり、受信信号ベクトル
と既知のパイロット信号ベクトル
を用いて伝搬路のインパルス応答(チャネルインパルスレスポンス)CIRを推定してCIR推定ベクトル
を出力するCIR推定部51、CIR推定ベクトル
の各CIR要素と閾値TH1を比較してTH1以上のCIR要素を維持し、TH1以下のCIR要素をゼロにする(伝搬路応答がないものとする)有効インパルス判定部52、前記のNc、Nを用いて後述するS行列の列ベクトルを生成する列ベクトル生成部53、列ベクトルを用いてS行列を生成するS行列生成部54、S行列の逆行列S-1をウエイト行列Xとして算出するウエイト生成部55、CIR推定値にウエイトを乗算して伝搬路応答ベクトル
を出力する乗算部56を備えている。以下、各部の動作を、数式を用いて説明する。
OFDM伝送方式を利用した通信では、通常等電力を有するパイロット信号(パイロットシンボル)を周波数領域に配置し、当該パイロット信号を用いてCIRの推定を行っている。パイロット信号の周波数領域での信号ベクトル
および時間領域での信号ベクトル
をそれぞれ
の各要素の電力は0もしくは1を取る。すなわち、NはIFFTサイズであり、パイロット信号を伝送するNc個のサブキャリア信号の電力は1、パイロット信号を伝送しない(N−Nc)個のサブキャリア信号の電力は0である。
はサンプル数NのIFFT処理を示す。
と加法性雑音
を
はそれぞれのパスの伝搬路応答ベクトルであり、この伝搬路応答ベクトルはたとえば図5の(B)に示すようになる。簡単化のために符号間干渉がないものとし、このためにパイロット信号のガードインターバル(GI)をデータシンボル長以上として説明する。
時間領域での受信信号ベクトル
は次の様に表現することができる。
前述のようにパイロット信号のGIがデータシンボル長以上であればFFT Window内の受信信号は巡回畳み込みが保証されている。このことから、受信信号ベクトル
を次のように行列表現できる。この受信信号ベクトルが図4のCIR推定部51に入力される。
と既知のパイロット信号ベクトル
を用いてスライディング相関によりチャネルインパルスレスポンスCIRは次の様に推定できる。すなわち、CIR推定ベクトルは
を推定して有効インパルス判定部52に入力する。
以上では、時間領域でのCIR推定方法について説明したが、周波数領域においても同様の処理が可能である。すなわち、周波数領域においては、時間領域の(10)式の代わりに、
(12)式で与えられるCIR推定ベクトル
は次の様に表現でき、
はそれぞれFFT処理、IFFT処理を示す。この式は、
がパイロット信号の電力であるため
の各要素の情報を補償し、無送信サブキャリアは0、伝送に用いるサブキャリアは1となることを意味している。
の各要素の情報を補償したことにより、無送信サブキャリアが存在しない場合(
の各要素が全て1)、
はインパルスとなり、無送信サブキャリアが存在する場合(
の要素に0が含まれる)、
はN,Ncにより特定されるsinc関数となる。すなわち、端のサブキャリアを無送信サブキャリアにするため(データ送信に使用しないため)、周波数軸上で矩形関数になり、これをIFFTすると時間軸上でsinc関数になる。このことから、
は偶関数であるため次のように定義できる。
の各要素となる。また、k列目のベクトルは、
をkだけシフトしたベクトルとなり、結局
は図8に示すように、伝搬路応答ベクトル
の各要素の時間差分Δtだけ順次図7のsinc関数をシフトしたものとなる。
は次の様に表現できる。
に伝搬路応答ベクトル
を乗じたものに加法性雑音が加えられたものと考えられる。ここで、
はsinc関数の形状を有したベクトルにより形成されているため、メインローブのピーク値であるs(0)から離れるに従い急激に小さな値を取る。図9は
の情報(エネルギー)はメインローブからある特定の区間に分散されていることになる。
以上を考慮して、(11)式により計算されるCIR推定ベクトル
は図9に示す形状を有している。そこで、有効インパルス判定部52は、CIR推定ベクトルの各CIR要素(インパルス)と閾値TH1を比較してTH1以上のインパルスを選択し、TH1以下のインパルスをないものとする(ゼロにする)。たとえば、図9ではCIR要素hCIR(3)=0にし、伝搬路応答がないものとする。また、選択されたインパルスの最大ピーク値s(0)の前後の所定数m個(1≦m≦N)のサンプル以外を0に置き換える。閾値TH1は、CIRの最大ピーク値からOFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nと実際に伝送に用いるサブキャリア数Ncとから決定される値だけ下回る電力とする。あるいは、閾値TH1は何らかの方法で推定した背景雑音電力を予め決められた値だけ上回る電力とする。
をウエイト生成部55に出力するとともに、
を集合ベクトルに応じたサイズの縮退が施された
として出力する。ウエイト生成部55では、集合ベクトル
とmとから次に示す行列A
で表されるインデックスと、その前後(m−1)個である。乗算部56では、
とウエイト行列Xを掛け合わせることにより、選択されたインパルス応答の前後mサンプル以外を0に置き換えることになる。
の各CIR要素(インパルス)を独立に推定でき、閾値TH1以上のインパルスを選択すると共に所定数m個のサンプルで該インパルスを表現するようにしたため、エネルギーの減少を最小限に抑えられることから、従来技術で問題となっていた、メインローブの振幅がNc/Nであるため固定的な推定誤差が含まれてしまうという問題を解決できる。なお、前記サンプル数mは、IFFTのポイント数Nと実際に伝送に用いるサブキャリア数Ncとから決定される既知の値である。
(19)式からCIR推定ベクトル
にSの逆行列を乗じることにより、伝搬路応答ベクトル
を得ることができる。すなわち、次式
を生成し、S行列生成部54はこれら列ベクトルを用いてS行列を生成し、ウエイト生成部55は該S行列の逆行列S-1をウエイト行列として算出する。乗算部56は、(20)式に従って有効インパルス判定部52から出力するCIR推定ベクトル
にウエイトを乗算して伝搬路応答ベクトル
を出力する。なお、Nc、Nによりsinc関数が一意に決定されるから、列ベクトル生成部53は該sinc関数に基づいて列ベクトル
を生成することができる。この場合、列ベクトル生成部53は予めNc、Nに応じた列ベクトル
を演算して保存しておくことにより、一々これら列ベクトルを演算しないようにできる。また、列ベクトル生成部53は
とその共役転置行列
の行列演算により列ベクトル
を演算してS行列生成部54に入力することもできる。
から閾値(TH1)以上のインパルス応答を選択し、閾値以下のインパルス応答は存在しないものとして0にする。S行列生成部54は0にされたインパルス応答に応じた
行列要素を0としてS行列を作成することにより、そのサイズを縮小して演算を軽減することができる。
以上、第1の伝搬路推定部によれば、CIR推定ベクトル
の各CIR要素をパス毎に独立して推定することができるため、パス間が接近して各パスのチャネルインパルスレスポンスCIRのサイドローブが重なり合う場合にも、閾値TH1以下のCIRは存在しないものと正しく判定でき、これにより背景雑音を抑圧した伝搬路推定値を得ることができる。
また、閾値TH1以上のCIRを構成するサンプルのうち所定数のサンプルを用いてCIRを推定するため、第2従来技術で問題となったCIR推定誤差を減少でき、しかも、不要なサイドローブ部分をゼロにすることにより背景雑音を抑圧した伝搬路推定が可能となる。
図10は伝搬路推定部35の別の構成図であり、図4の構成と異なる点は再インパルス判定部57を設けた点である。
再インパルス判定部57は逆行列を乗算して得られた伝搬路応答ベクトル
を閾値TH2で再度閾値判定し、TH2以下の伝搬路応答ベクトル
の要素を0にして出力する。これは、有効インパルス判定部52で閾値判定により選択した
には図11の(A)の点線矢印で示すようにsinc関数のサイドローブ間の影響により閾値(TH1)を超えたインパルスが含まれる場合があり、該インパルスが(B)に示すように有効インパルス判定部52から有効インパルスとして出力されるからである。このインパルスは実際に存在しないものである。そこで、再インパルス判定部57は、(C)に示すようにサイドローブの影響を除去した後の伝搬路応答ベクトル
を再度閾値TH2で閾値判定し、(D)に示すように閾値TH2以下のインパルスを0に置き換える。これにより図10の伝搬路推定部によれば背景雑音を更に抑圧することが可能となる。なお、閾値TH2は既述の閾値TH1と同じ基準に従って決定する。
とパイロット信号ベクトル
を用いてチャネルインパルスレスポンスCIRを推定してCIR推定ベクトル
を出力する(ステップ101)。有効インパルス判定部52はCIR推定ベクトル
の各CIR要素と閾値TH1を比較してTH1以上のCIR推定ベクトルのCIR要素を維持し、TH1以下のCIR要素をゼロにする(ステップ102)。ついで、S行列生成部54はS行列を生成する(ステップ103)。ウエイト生成部55は集合行列
およびmから決定される行列、もしくは、S行列の逆行列S-1をウエイト行列として算出し(ステップ104)、乗算部56はCIR推定値にウエイトを乗算して伝搬路応答ベクトル
を推定し(ステップ105)、再インパルス判定部57は逆行列を乗算して得られた伝搬路応答ベクトル
を閾値TH2で再度閾値判定し、TH2以下の伝搬路応答ベクトル
の要素を0にして出力する(ステップ106)。
演算量削減のために、(19)式を集合ベクトル
に関係するインデックスのみに縮退し(S→S′)、その逆行列を解くことが可能である。例えば、有効インパルス判定部52で選択されたインパルスをブロック化できる場合、ブロック毎に逆行列を分割して生成する。ここでは、N=4の場合について説明する。推定されたCIR推定ベクトル
について(19)式より次式が成立する。
hCIR(0)とhCIR (1)であったとすると、以下のように行列
を縮退させた行列で表現できる。
の逆行列を乗じることにより,伝搬路応答ベクトル
を次のようにして得ることができる。
および行列生成部からのSを用いてS′を生成する。さらに、S′の逆行列を求めウエイト行列Xとして乗算部56に出力する。乗算部56では、
成分により構成される
とウエイト行列Xを掛け合わせることにより応答ベクトル
を求める。また、閾値以上のCIRが
のみだった場合や選択されたインパルス間が離れている場合では、(21)式は更に
を除算するだけで良く、演算量を削減できる。また、s(0)はNc/Nであるため、
ところで、CIR推定ベクトル
における閾値以上のCIR要素の数に応じて逆行列の演算量が大幅に変化する。そこで、CIRの状態に応じて演算量が少なくなる方法に従って伝搬路を推定する。
以上では、S行列の逆数よりウエイト演算してCIR推定ベクトル
を乗算して伝搬路応答ベクトル
を計算したが、加法性雑音の影響を軽減するためにMMSE(Minimum Mean Square Error)規範に基づきウエイトを求める方法も考えられる。以下、MMSE法に基づいてウエイトを算出する方法を説明する。
は、
は推定値、
は実際の伝搬路応答ベクトルである。(24a)式を解けば、ウエイトベクトル行列は
はベクトルの2乗ノルム, σ2は加法性雑音の分散、Iは単位行列をである。
無線受信部62はアンテナ61で受信した高周波信号をべースバンド信号に周波数変換すると共に直交復調し、ローパスフィルタ(LPF)63は不要帯域成分を除去してAD変換器64に入力する。AD変換器64は入力した直交復調信号をデジタルに変換し、パスサーチャ65は受信信号Rtよりマルチパスを構成するパスをサーチする。フィンガー部66a〜66nはマルチパスの各パスに対応して設けられ、図示しないがそれぞれ逆拡散部や遅延回路を備えている。タイミング発生部67は、各パスの遅延タイミングを逆拡散タイミングとして各フィンガー部66a〜66nの逆拡散部に入力すると共に、各逆拡散部から出力される逆拡散信号のタイミングを一致させるための遅延時間を各フィンガー部66a〜66nの遅延回路に入力する。RAKE合成部68は、各フィンガー部66a〜66nから出力する逆拡散信号を最大比合成して次段の図示しないチャネルコーデック部に出力する。
を計算し、パスをサーチする。異なる点は、S行列の列ベクトルの生成に際して、ベクトル
の代わりにローパスフィルタ63のインパルス応答を用いる点である。これは例えばCDMA方式の標準化(3GPP)で規定されているコサインルートオフフィルタのインパルス応答値を用いることで適用できる。
すなわち、WLPF、WCDMAによりsinc関数が一意に決定されるから、該sinc関数に基づいてS行列を作成する。
なお、前記全ての実施例において、推定された伝搬路のインパルス応答群のうち、予め定めた閾値以上のインパルス応答を選択し、選択されたインパルス応答における最大ピークの前後所定数のサンプル以外を0に置き換えたが、例えば、浮動小数点もしくは固定小数点演算においてLSBを1、残りを0とした値、もしくはヌルの状態等、実質的にゼロとして取り扱える値を用いればよい。
同様に、S行列の逆行列をCIR推定ベクトルに乗算して得られた伝搬路応答ベクトルの要素のうち、閾値以下の要素をゼロとして伝搬路推定したが、例えば、浮動小数点もしくは固定小数点演算においてLSBを1、残りを0とした値、もしくはヌルの状態等、実質的にゼロとして取り扱える値を用いればよい。
上記本発明の効果をシミュレーションにより、第2従来技術の場合と比較しながら明らかにする。
(a)第1のシミュレーション
第1のシミュレーションはマルチパスのパス数が少なく、かつ、パス間隔が広い場合である。第1のシミュレーションにおけるシミュレーションパラメータを図16に示す。伝送モデルにおいて、パス数は2、各パスの受信レベルは同一、パス間の遅延時間は1サンプル/300サンプル、フェージング周波数は960Hzである。また、閾値TH1はCIR内のピーク電力から−15dBとした。これは、Nc=896,N=1024から決定した値である。
図17に処理無し、従来技術、本発明のEb/N0対Mean Square Error(MSE)特性をそれぞれ示す。本発明は、(22)式により伝搬路応答ベクトル
を推定した場合である。図17において、曲線Aは背景雑音抑圧処理を行わない場合、曲線Bは従来技術を適用した場合、曲線Cは本発明を適用した場合の特性である。これらの特性より、従来技術では、Eb/N0が悪い環境において背景雑音抑圧能力が出ているもののEb/N0が良い環境において固定的な推定誤差を含んでいるため特性の改善が見られない。一方、本発明では、Eb/N0の増大に従い特性の改善が見られ、背景雑音の抑圧効果があることを示している。また、本シミュレーション条件は、パス間隔が非常に狭い場合や、正規化遅延スプレッドが大きな環境(約0.14)においても効果的である事を示している。
第2のシミュレーションはマルチパスのパス数が多く、パス間隔が狭い場合であり、パス間隔の近い伝搬環境においても本発明が効果的であることを示す。図18は第2シミュレーションのシミュレーションパラメータである。伝送モデルにおいて、パス数は12、各パスの受信レベルは遅延時間に応じて指数関数的に減少、パス間隔は1サンプル、フェージング周波数は80Hzである。また、本発明の閾値TH1はCIR内のピーク電力から−15dBとした。
図19に図3にRMS遅延スプレッド対BER=10-3を満足するEb/N0特性を示し、曲線Aは背景雑音抑圧処理を行わない場合の特性、曲線Bは伝搬路を既知(Perfect)とした場合の特性、曲線Cは従来技術の周波数平均化を隣接5サブキャリアに対して行った時の特性、曲線Dは(23)式により伝搬路応答ベクトル
を推定した本発明の特性、曲線Eは(20)式により伝搬路応答ベクトルを推定した本発明の特性である。
従来技術の特性から、該来技術のアルゴリズムが最適となる遅延スプレッドが存在することが分かる。今回の条件では、遅延スプレッド0.111usが最適値であり伝搬路カンニング(Perfect)との差は約0.3dBとなっている。しかし、その最適値から離れるに従い特性が劣化し、遅延スプレッド0.667usにおいては約4.5dBもの劣化となり、処理を行わないよりも特性劣化してしまう。一方、本願発明の特性Dは、遅延スプレッドが小さな条件において、隣接パスからの影響により伝搬路カンニングからの劣化が生じ約0.6dBの劣化となっているが、遅延スプレッドが大きい条件では、劣化が0.2dBとなっている。また、本願発明の特性Eは、遅延スプレッドに係わらず、常に約0.1dBの差となっており、理想的に背景雑音が抑圧できることが確認できた。
以上より、本発明によれば、データ伝送に使用しないサブキャリアが存在するOFDMベースの変調方式を用いた通信において、例えGI(ガードインターバル)を越えた遅延波が発生した場合においても伝搬路が既知の場合と同等レベルまで、背景雑音を抑圧した伝搬路推定値を得ることが可能である。
図21はOFDMフレームフォーマット例であり、複数のパイロットシンボルよりなるパイロット用OFDMシンボルPがデータ用OFDMシンボルD1〜Dmに時間多重されている。各OFDMシンボルの先頭にはガードインターバルGI挿入されている。なお、パイロットシンボルの配置は図21に限定されず任意の位置に配置することができる。さらには、周波数−時間の2次元に離散的に配置されたパイロット信号でも構わない。
図23は第4実施例の伝搬路推定部71のブロック構成図である。Nポイントのフーリエ変換部(FFT)81は時間領域のパイロット受信信号にNポイントフーリエ変換処理を施して周波数領域に変換し、図24に示すようにN個の出力端子0〜N−1のうち、両側Nc/2個の端子から出力する。受信側で既知であるパイロットシンボルを受信すると、インパルス応答測定部(ゼロフォーシングチャネル推定部)82はFFT出力信号を用いてゼロフォーシングにより伝搬路の周波数領域におけるインパルス応答hZF(0)〜hZF(N-1)を測定し、アップサンプリング部(オーバサンプリング部)83は図25に示すように該観測したインパルス応答hZF(0)〜hZF(N-1)をM倍オーバサンプリングする(Mは1以上の整数で例えば2)。M×Nポイントの逆フーリエ変換部(IFFT)84は該M倍オーバサンプリングしたインパルス応答を時間領域に変換し、有効インパルス判定部85は該時間領域のインパルス応答のうち予め定めた閾値TH以上のインパルス応答を選択してインパルス応答ベクトルを生成して出力すると共に、第1実施例と同様に集合ベクトル
を出力する。時間応答ベクトル生成部86はOFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nの整数倍M×Nと実際の伝送に用いるサブキャリア数Ncとに基づいた時間応答関数(第1実施例の場合はsinc関数)を用いて時間応答ベクトルを生成し、逆マトリクス作成部87は該時間応答ベクトルを用いて時間応答関数行列Sを作成し、ウエイト生成部88は第1実施例と同様に集合ベクトルとm(1≦m≦MN)を用いて(19a)式の行列A、もしくは時間応答関数行列Sを小行列化した縮退行列S′を作成し、該縮退行列S′の逆行列を求め、ウエイト行列Xとして出力する。
伝搬路推定部71において、各処理部は周波数領域(frequency- domain)もしくは時間領域(time-domain)のいずれかで行われる。ブロック構成上では、時間応答ベクトル生成部86の入力信号の一方がNからM×Nに変更される以外は中央の逆行列演算/推定ブロック(time-domainにおける処理)は第1実施例と同一である。しかし、この前処理でM倍にオーバーサンプルしているため、第1実施例の行列SのサイズがN×NからMN×MNに変更される。なお、M=1では第1実施例と同一となり、前後の周波数領域(frequency-domain)におけるアップサンプリング/ダウンサンプリング処理部は省かれる。
L本のマルチパス伝送路におけるチャネルインパルス応答(Channel impulse response, CIR)を
のパスの複素振幅およびパス位置を表す。さらにこの時、最大遅延パスは
で表され、本例ではCIRを
とする。尚、τmax>TGの場合でも(27) 式の表現が異なるだけで本発明の本質に何ら変更される部分はない。
上記CIR条件下では、伝搬路通過後の周波数領域のN次元受信信号ベクトル
は巡回畳み込み演算子、FFTNおよびIFFTNはそれぞれNポイントのFFTおよびIFFTを示し、次のように定義される。
(30)式から従来の伝搬路推定法であるZero forcing(Least Squares)法では、既知の送信シンボルを用いて次のように,伝搬路の周波数応答を推定する。
である。
まず、Zero forcing法により推定された伝搬路の周波数応答値
に対し、以下のM倍のオーバサンプリングを行う。
次に、周波数領域でオーバサンプリングされた周波数応答をM×NポイントのIFFTで時間領域へ変換する。この変換された信号
は次の様に表すことができる。
はM倍オーバサンプリングポイントでの真の時間応答ベクトル、Sは無送信サブキャリアを考慮した時間応答関数に従う行列であり,次の式で定義される。
の推定値を得ることができる。
で示される干渉成分を抑制でき、かつ演算量を少なくするために(35)式の縮退行列式を生成する。このため、(35)式で表わされる時間応答関数たとえばsinc関数に従う行列は、対角成分から離れるに従い急激に電力が小さくなる点に着目する。
というフィルタリングを施されたものと考えられるからである。そこで、
の成分の中で予め定めた閾値TH以下の成分を除去することにより行列式の縮退を以下の様に行う。まず、(34)式において、TH以下の成分をk番目のサンプル
とすると当該サンプル、およびこれに対応する右辺の
を削除する。
であるとする。まず、これに対応する右辺の
を削除する。次に、Sにおいてこれら削除されたサンプルに対応する行と列を削除すると、上記行列式は
を求めることが可能であり、S′のサイズはSに比べて非常に小さな値になり、次式
以外のサンプルに関しては0で置換する(Zero-padding)ことにより干渉成分の抑制を図ることが可能となる。
とすると、その周波数応答値は次式
第4実施例によれば、実際により近い伝搬路環境であっても特性劣化を発生させない。すなわち、物理的な現象として発生するマルチパス伝搬路は連続信号、つまりアナログ信号である。この時に発生する各パスの位置は常にシステムで計測されるサンプル位置、つまりサンプリング間隔とは限らず、その位置を外れることは実環境において煩雑に発生することが予想される。なお、サンプリング間隔にマッピングされたチャネルは"sample-spaced channel"と呼ばれる。
シミュレーションにおけるパスモデルでは、実環境を模擬すべくLパス指数関数モデルを定義する。図27に示すように、L本の各パスは
に位置し、
番目のパスは先行波に対して
減衰している。また、各パスの間隔は
で定義されるものとする。ここでサンプル位置にパスが1つでもないチャネルは、"non-sample-spaced channel"と呼ばれており、(26)式において
が整数とならないパスが1つ以上存在する場合が当てはまる。本チャネルモデルにおいて、時間領域でチャネル推定を行う本発明のような方式では特性が劣化することが知られている。ここでは、2つのチャネルモデルについて検討し、第4実施例の効果を明らかにする。
2)Channel B: τ0=Ts/2、Δτ=18[sample] ("non-sample-spaced channel")
ここで、Channel Bは全てのパスがサンプル位置に存在しない実環境であり、第4実施例にとっての最悪条件と定義することができる。また、シミュレーション条件を表1に示す。ここで、閾値THは最大電力を有するサンプルの-16dBとした。
(付記1) 直交周波数分割多重伝送方式(OFDM伝送方式)により通信するOFDM通信システムにおける受信機の伝搬路推定方法において、
伝搬路のインパルス応答群を推定し、
該インパルス応答群のうち予め定めた閾値以上のインパルス応答を選択し、
該選択されたインパルス応答における最大ピークの前後所定数のサンプル以外を所定値に置き換え、
前記置き換えにより得られたインパルス応答を用いて伝搬路を推定する、
ことを特徴とするOFDM伝搬路推定方法。
(付記2) 前記伝搬路インパルス応答(CIR)群を推定するステップにおいて、
受信信号ベクトルに既知パイロットシンボルの共役転置行列を乗算して、伝搬路毎に時系列の複数サンプルからなる伝搬路インパルス応答(CIR)を推定する、
ことを特徴とする付記1記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記3) 前記伝搬路を推定するステップにおいて、
OFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nと、実際の伝送に使用するサブキャリア数Ncとに基づいて決まるsinc関数行列(S行列)の逆行列を求め、
該逆行列をCIR推定ベクトルに乗算して伝送路応答ベクトルを計算し、
該伝送路応答ベクトルより前記伝搬路の特性を推定する、
ことを特徴とする付記1記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記4) 前記乗算により得られた伝送路応答ベクトルの要素のうち、閾値以下の要素を所定値として前記伝搬路を推定する、
ことを特徴とする付記3記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記5) OFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nと、実際の伝送に使用するサブキャリア数Ncとに基づいて、前記所定数を決定する、
ことを特徴とする付記1記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記6) 直交周波数分割多重伝送方式(OFDM伝送方式)により通信するOFDM通信システムにおける受信機の伝搬路推定方法において、
伝搬路のインパルス応答群を推定し、
該伝搬路インパルス応答群のうち予め定めた閾値以上の伝搬路インパルス応答(CIR)を選択し、
該選択されたCIRを要素とするCIR推定ベクトル
、OFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nと実際の伝送に用いるサブキャリア数Ncとに基づいて決まる行列S、および伝搬路応答ベクトル
を用いて行列式を生成し、
該行列式を解くことにより前記伝搬路応答ベクトルを求める、
ことを特徴とするOFDM伝搬路推定方法。
(付記7) 前記伝搬路インパルス応答(CIR)群を推定するステップにおいて、
受信信号ベクトルに既知パイロットシンボルの共役転置行列を乗算して、伝搬路毎に時系列の複数サンプルからなるCIR推定ベクトル
を推定する、
ことを特徴とする付記6記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記8) 前記行列Sは、前記IFFTのポイント数Nとサブキャリア数Ncとに基づいて決まるsinc関数行列である、
ことを特徴とする付記6記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記9) 前記行列式を生成するステップは、雑音電力ベクトル
を考慮して前記行列式を
ことを特徴とする付記6記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記10) 閾値以上の伝搬路インパルス応答(CIR)が複数のブロックに分割できる場合、ブロック毎に前記行列式を生成して前記伝搬路応答ベクトルを求める、
ことを特徴とする付記6記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記11) 前記ブロックに属している伝搬路インパルス応答(CIR)が1つだけである場合、行列式を生成せず、前記ポイント数Nとサブキャリア数Ncとから決定される固定値を前記CIR推定ベクトルに乗ずることにより前記伝搬路応答ベクトルを求める、
ことを特徴とする付記9記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記12) 前記伝搬路応答ベクトルを求めるステップにおいて、
前記IFFTのポイント数Nとサブキャリア数Ncとに基づいて決まるsinc関数行列である前記行列Sの逆行列を求め、
該逆行列をCIR推定ベクトルに乗算して伝送路応答ベクトルを求める、
ことを特徴とする付記6記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記13) 前記伝搬路応答ベクトルを求めるステップにおいて、
前記IFFTのポイント数Nとサブキャリア数Ncとに基づいて決まるsinc関数行列である前記行列S及び雑音の分散を用いて最小二乗平均誤差(MMSE)規範に従った行列を求め、
該行列をCIR推定ベクトルに乗算して伝送路応答ベクトルを求める、
ことを特徴とする付記6記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記14) 前記乗算により得られた伝送路応答ベクトルの要素のうち、閾値以下の要素を所定値として伝搬路を推定する、
ことを特徴とする付記12又は13記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記15) 前記閾値は、CIRの最大ピーク電力からOFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nと実際の伝送に用いるサブキャリア数Ncとから決定される値だけ下回る電力とし、あるいは、推定した背景雑音電力を予め決められた値だけ上回る電力とする、
付記6または14記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記16) 直交周波数分割多重伝送方式(OFDM伝送方式)により通信するOFDM通信システムにおける受信機の伝搬路推定装置において、
伝搬路のインパルス応答(CIR)群を推定するCIR推定部、
該インパルス応答群のうち予め定めた閾値以上のインパルス応答を選択し、該選択されたインパルス応答における最大ピークの前後所定数のサンプル以外を所定値に置き換える有効インパルス判定部、
前記の有効インパルス応答を用いて伝搬路を推定する伝搬路推定部、
を有することを特徴とする伝搬路推定装置。
(付記17) 前記CIR推定部は、受信信号ベクトルに既知シンボルの共役転置行列を乗算して、伝搬路毎に時系列の複数サンプルからなる伝搬路インパルス応答(CIR)を推定する手段を備えた、
ことを特徴とする付記16記載の伝搬路推定装置。
(付記18) 前記伝搬路推定部は、
OFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nと、実際の伝送に使用するサブキャリア数Ncとに基づいて決まるsinc関数行列(S行列)及びその逆行列を取得する手段、
該逆行列を前記CIR推定ベクトルに乗算して伝送路応答ベクトルを計算する手段、
を備えたことを特徴とする付記16記載の伝搬路推定装置。
(付記19) 前記伝搬路推定部は、さらに前記乗算により得られた伝送路応答ベクトルの要素のうち、閾値以下の要素を所定値として前記伝搬路を推定する手段、
を備えたことを特徴とする付記18記載の伝搬路推定装置。
(付記20) 直交周波数分割多重伝送方式(OFDM伝送方式)により通信するOFDM通信システムにおける受信機の伝搬路推定装置において、
伝搬路のインパルス応答(CIR)群を推定するCIR推定部、
該伝搬路インパルス応答群のうち予め定めた閾値以上の伝搬路インパルス応答(CIR)を選択する有効インパルス判定部、
前記選択されたCIRを用いて伝搬路を推定する伝搬路推定部を備え、
該伝搬路推定部は、前記選択されたCIRを要素として含むCIR推定ベクトル
、OFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nと実際の伝送に用いるサブキャリア数Ncとに基づいて決まる行列S、および伝搬路応答ベクトル
を用いて行列式を生成し、該行列式を解くことにより前記伝搬路応答ベクトルを求めて伝搬路を推定する、
ことを特徴とする伝搬路推定装置。
(付記21) 前記CIR推定部は、受信信号ベクトルに既知パイロットシンボルの共役転置行列を乗算して、伝搬路毎に時系列の複数サンプルからなるCIR推定ベクトル
を推定する手段を、
有することを特徴とする付記20記載の伝搬路推定装置。
(付記22) 前記伝搬路推定部は、
前記IFFTのポイント数Nとサブキャリア数Ncとに基づいて決まるsinc関数行列である前記行列Sの逆行列を計算する手段、
該逆行列を前記CIR推定ベクトルに乗算して伝送路応答ベクトルを求める手段、
を備えたことを特徴とする付記20記載の伝搬路推定装置。
(付記23) 前記伝搬路推定部は、
前記IFFTのポイント数Nとサブキャリア数Ncとに基づいて決まるsinc関数行列である前記行列S及び雑音の分散を用いて最小二乗平均誤差法(MMSE規範)に従った行列を求める手段、
該行列を前記CIR推定ベクトルに乗算して伝送路応答ベクトルを求める手段、
を備えたことを特徴とする付記20記載の伝搬路推定装置。
(付記24) 前記伝搬路推定部は、更に
前記乗算により得られた伝送路応答ベクトルの要素のうち、閾値以下の要素を所定値として前記伝搬路を推定する手段、
を備えたことを特徴とする付記22又は23記載の伝搬路推定装置。
(付記25) CDMA通信システムにおけるレーク受信機のパスサーチャにおいて、
伝搬路のインパルス応答(CIR)群を推定するCIR推定部、
該伝搬路インパルス応答群のうち予め定めた閾値以上の伝搬路インパルス応答(CIR)を選択する有効インパルス判定部、
該CIRを用いて伝搬路を推定する伝搬路推定部を備え、
該伝搬路推定部は、前記選択されたCIRを要素として含むCIR推定ベクトル
、ローパスフィルタのインパルス応答により決まる行列S、および伝搬路応答ベクトル
を用いて行列式を生成し、該行列式を解くことにより前記伝搬路応答ベクトルを求めて伝搬路をサーチする、
ことを特徴とするパスサーチャ。
(付記26) 直交周波数分割多重伝送方式(OFDM伝送方式)により通信するOFDM通信システムにおける受信機の伝搬路推定方法において、
伝搬路の周波数領域におけるインパルス応答を推定し、
該推定したインパルス応答をM倍オーバサンプリングし(Mは1以上の整数)、
該M倍オーバサンプリングしたインパルス応答を時間領域に変換し、
該時間領域のインパルス応答のうち予め定めた閾値以上のインパルス応答を選択し、
該選択されたインパルス応答における最大ピークの前後所定数のサンプル以外を所定値に置き換え、
前記置き換えにより得られたインパルス応答を用いて伝搬路の時間応答を推定し、
該推定した時間応答を周波数領域に変換した後、M倍ダウンサンプリングして伝搬路を推定する、
ことを特徴とするOFDM伝搬路推定方法。
(付記27) 直交周波数分割多重伝送方式(OFDM伝送方式)により通信するOFDM通信システムにおける受信機の伝搬路推定方法において、
伝搬路の周波数領域におけるインパルス応答を推定し、
該推定したインパルス応答をM倍オーバサンプリングし(Mは1以上の整数)、
該M倍オーバサンプリングしたインパルス応答を時間領域に変換し、
該時間領域のインパルス応答のうち予め定めた閾値以上のインパルス応答を選択してインパルス応答ベクトルを生成し、
OFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nの整数倍M×Nと実際の伝送に用いるサブキャリア数Ncとに基づいた時間応答関数に従う時間応答関数行列を作成し、その逆行列を前記インパルス応答ベクトルに乗算して伝搬路の時間応答を推定し、
該推定した時間応答を周波数領域に変換した後、M倍ダウンサンプリングして伝搬路を推定する、
ことを特徴とするOFDM伝搬路推定方法。
(付記28) 前記時間応答関数における最大ピークの前後所定数のサンプル以外を所定値に置き換えて前記時間応答関数行列を作成する、
ことを特徴とする付記27記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記29) 時間領域のパイロット受信信号にNポイントフーリエ変換処理を施して周波数領域に変換し、
該周波数領域信号を用いて周波数領域における伝搬路のインパルス応答を推定する、
ことを特徴とする付記27または28記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記30) 前記M倍オーバサンプリングしたインパルス応答をM×Nポイントの逆フーリエ変換により時間領域のインパルス応答に変換し、
前記伝搬路時間応答をM×Nポイントのフーリエ変換により周波数領域の伝搬路時間応答に変換する、
ことを特徴とする付記26または27記載のOFDM伝搬路推定方法。
(付記31) 直交周波数分割多重伝送方式(OFDM伝送方式)により通信するOFDM通信システムにおける受信機の伝搬路推定装置において、
伝搬路の周波数領域におけるインパルス応答を推定するインパルス応答推定部、
該推定したインパルス応答をM倍オーバサンプリング(Mは1以上の整数)するオーバサンプリング部、
該M倍オーバサンプリングしたインパルス応答を時間領域に変換する逆フーリエ変換部、
該時間領域のインパルス応答のうち予め定めた閾値以上のインパルス応答を選択する有効インパルス判定部、
該選択されたインパルス応答における最大ピークの前後所定数のサンプル以外を所定値に置き換えて伝搬路の時間応答を推定する推定部、
該推定した伝搬路の時間応答を周波数領域に変換する逆フーリエ変換部、
該周波数領域の時間応答をM倍ダウンサンプリングして伝搬路を推定する伝搬路推定部、
を備えたことを特徴とする伝搬路推定装置。
(付記32) 直交周波数分割多重伝送方式(OFDM伝送方式)により通信するOFDM通信システムにおける受信機の伝搬路推定装置において、
伝搬路の周波数領域におけるインパルス応答を推定するインパルス応答推定部、
該推定したインパルス応答をM倍オーバサンプリング(Mは1以上の整数)するオーバサンプリング部、
該M倍オーバサンプリングしたインパルス応答を時間領域に変換する逆フーリエ変換部、
該時間領域のインパルス応答のうち予め定めた閾値以上のインパルス応答を選択してインパルス応答ベクトルを生成する有効インパルス判定部、
OFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nの整数倍M×Nと実際の伝送に用いるサブキャリア数Ncとに基づいた時間応答関数を用いて時間応答関数行列を作成し、その逆行列を前記インパルス応答ベクトルに乗算して伝搬路の時間応答を推定する伝搬路時間応答推定部、
該推定した伝搬路時間応答を周波数領域に変換するフーリエ変換部、
該周波数領域の伝搬路時間応答をM倍ダウンサンプリングして伝搬路を推定する手段、
を備えたことを特徴とする伝搬路推定装置。
(付記33) 前記伝搬路時間応答推定部は、前記選択されたインパルス応答における最大ピークの前後所定数のサンプル以外の値を所定値にするように前記時間応答関数行列を作成する、
ことを特徴とする付記32記載の伝搬路推定装置。
(付記34) 時間領域のパイロット受信信号にNポイントフーリエ変換処理を施して周波数領域に変換するフーリエ変換部、
を備え、前記インパルス応答推定部は、該周波数領域信号を用いて伝搬路の周波数領域における伝搬路のインパルス応答を推定する、
ことを特徴とする付記31または32記載の伝搬路推定装置。
51 CIR推定部
52 有効インパルス判定部
53 列ベクトル生成部
54 S行列生成部
55 ウエイト生成部
56 乗算部
Claims (6)
- 直交周波数分割多重伝送方式(OFDM伝送方式)により通信するOFDM通信システムにおける受信機の伝搬路推定装置において、
伝搬路のパルス応答(CIR)群を推定するCIR推定部、
該伝搬路インパルス応答群のうち予め定めた閾値以上の伝搬路インパルス応答(CIR)を選択する有効インパルス判定部、
前記選択されたCIRを用いて伝搬路を推定する伝搬路推定部を備え、
該伝搬路推定部は、前記選択されたCIRを要素として含むCIR推定ベクトル
、OFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nと実際の伝送に用いるサブキャリア数Ncとに基づいて決まる行列S、および伝搬路応答ベクトル
を用いて行列式を生成し、該行列式を解くことにより前記伝搬路応答ベクトルを求めて伝搬路を推定する、
ことを特徴とする伝搬路推定装置。 - 直交周波数分割多重伝送方式(OFDM伝送方式)により通信するOFDM通信システムにおける受信機の伝搬路推定方法において、
伝搬路の周波数領域におけるインパルス応答を推定し、
該推定したインパルス応答をM倍オーバサンプリングし(Mは1以上の整数)、
該M倍オーバサンプリングしたインパルス応答を時間領域に変換し、
該時間領域のインパルス応答のうち予め定めた閾値以上のインパルス応答を選択してインパルス応答ベクトルを生成し、
OFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nの整数倍M×Nと実際の伝送に用いるサブキャリア数Ncとに基づいた時間応答関数に従う時間応答関数行列を作成し、その逆行列を前記インパルス応答ベクトルに乗算して伝搬路の時間応答を推定し、
該推定した時間応答を周波数領域に変換した後、M倍ダウンサンプリングして伝搬路を推定する、
ことを特徴とするOFDM伝搬路推定方法。 - 直交周波数分割多重伝送方式(OFDM伝送方式)により通信するOFDM通信システムにおける受信機の伝搬路推定装置において、
伝搬路の周波数領域におけるインパルス応答を推定するインパルス応答推定部、
該推定したインパルス応答をM倍オーバサンプリング(Mは1以上の整数)するオーバサンプリング部、
該M倍オーバサンプリングしたインパルス応答を時間領域に変換する逆フーリエ変換部、
該時間領域のインパルス応答のうち予め定めた閾値以上のインパルス応答を選択してインパルス応答ベクトルを生成する有効インパルス判定部、
OFDM変調に用いるIFFTのポイント数Nの整数倍M×Nと実際の伝送に用いるサブキャリア数Ncとに基づいた時間応答関数を用いて時間応答関数行列を作成し、その逆行列を前記インパルス応答ベクトルに乗算して伝搬路の時間応答を推定する伝搬路時間応答推定部、
該推定した伝搬路時間応答を周波数領域に変換するフーリエ変換部、
該周波数領域の伝搬路時間応答をM倍ダウンサンプリングして伝搬路を推定する手段、
を備えたことを特徴とする伝搬路推定装置。
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