JP4408828B2 - ガラス流出パイプ、ガラス成形体の製造方法および光学素子の製造方法 - Google Patents

ガラス流出パイプ、ガラス成形体の製造方法および光学素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熔融ガラスを流出させるためのパイプ、熔融ガラスを流出させて成形するガ
ラス成形体の製造方法およびガラス成形体を用いて光学素子を製造する方法に関する。
光学ガラスなどの極めて高品質なガラスを量産する方法として、ガラス原料を加熱、熔
融し、均質かつ泡を含まない熔融ガラスを作製した後、これをパイプから流出させ、鋳型
などにキャストして成形する方法が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
特公昭45-19987号公報
光学機器の発達に伴い、近年、低分散特性を備えたガラスや、固体撮像素子の色補正用
フィルターガラス、あるいは屈折率が高い新種系のガラスの需要が高まっている。これら
のガラスはいずれもパイプから流出する際のガラスの粘度が低いが、粘度を高めるために
流出温度を下げると、ガラスが結晶化して、失透してしまうため、低粘性のガラスを流出
させざるを得ない。このような低粘性ガラスを従来より使用してきたパイプから流出させると流出量が著しく増加する。
熔融ガラスは、脱泡に必要な時間、清澄工程に付され、その後パイプから流出させられるが、ガラスの流出量(引き上げ量)が著しく増加すると、熔融装置が当初の設計から外れた状態で操業されることになる。その結果、ガラスの泡切れが不十分になったり、熔融容器(熔融ガラスを蓄積する容器)を構成する白金合金などがガラスに溶け込んでガラスが着色してしまったりする。
さらに、光学ガラスには極めて高い精度の屈折率などの光学特性が付与されているが、
熔融ガラスの各工程における滞在時間が設計どおりにならないと所望の光学特性から外れ
たガラスができてしまうという問題もおきる。
このような不具合を解消するためには、ガラスの流出時の粘度が低下しても、ガラスの流出量が適正範囲を超えて増加しないようにする。具体的にはパイプの内径を小さくするが、単にパイプの内径を小さくすると、内径公差は従来のパイプと同等で内径のみが小さくなるため、内径に対する内径公差の比率が大きくなり(内径精度が低下し)、その影響がガラス流出量の設定値からのズレとなって現れる。このようなズレは温度制御のもとにパイプの温度を調整し、ガラスの粘度を変化させることにより解消することも考えられるが、上記ガラスは流出温度付近で温度を変化させたときの粘度の変化量が少ないため、ガラス流出量を適正な範囲に制御することが難しい。
そうすると、ガラスの流出量を適正な範囲にコントロールすることができなくなってしまい、前述のようにガラスの泡切れが不十分になったり、白金合金などの溶け込みによるガラスの着色や、設定値からの屈折率のズレ、得られるガラス成形体への脈理発生などの不具合が生じてしまう。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、高品質なガラス成形体を製造
するためのガラス流出パイプ、高品質なガラス成形体を安定して製造するためのガラス成
形体の製造方法、ならびに高品質なガラス製の光学素子を安定して製造する光学素子の製
造方法を提供することを目的とする。
本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、熔融ガラスを流出させるガラス流出パイプにおい
て、内径φが6mm以下、内径の最大値φmaxと最小値φminの差が0.20mm以
内である場合に、上記目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成
するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 熔融ガラスをパイプから流出させて成形するガラス成形体の製造方法において、
ガラス流出パイプとして、内径φがmm以下、内径の最大値φmaxと最小値φminの差が0.20mm以内、長さが0.3m以上、パイプの肉厚tに対する内径φの比率φ/tが0.25〜4であるガラス流出パイプを用い、
粘度が10dPa・s以下の熔融ガラスを、通電加熱した上記ガラス流出パイプのガラス流出口から連続して鋳型に流し込んで成形し、成形したガラス成形体を鋳型から引き出すことを特徴とするガラス成形体の製造方法、
(2)熔融ガラスが、液相温度における粘度と前記液相温度より50℃高い温度における粘度の差が10dPa・s以下の粘性特性を有する上記(1)に記載のガラス成形体の製造方法、
(3)ガラス流出パイプが、 白金または白金合金からなる上記(1)または(2)に記載のガラス成形体の製造方法、
(4)ガラス流出パイプが、通電加熱用の電極を備える上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法、
(5)ガラス成形体が、光学ガラスまたは光学フィルター用ガラスからなる上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法、
(6)ガラス成形体が、屈折率(nd)が1.7以上の光学ガラスからなる上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法、
(7)ガラス成形体が、リン酸ガラスまたはフツリン酸ガラスから選ばれるガラスからなる上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法、
(8) ガラス素材を加熱し、プレス成形する光学素子の製造方法において、
上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の製造方法によりガラス成形体を作製し、該ガラス成形体をガラス素材として使用することを特徴とする光学素子の製造方法、および
(9)ガラス成形体を加工する光学素子の製造方法において、
上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の製造方法によりガラス成形体を作製し、該ガラス成形体を加工することを特徴とする光学素子の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、流出粘性が低いガラスや、流出温度の変化に対する流出粘度の変化が
小さいガラスを使用しても、安定した流出量で熔融ガラスを流出させることができるガラ
ス流出パイプを提供することができる。
また、上記ガラスを上記ガラス流出パイプから流出させて、高品質なガラス成形体を安
定して製造することができるガラス成形体の製造方法を提供することができる。
さらに、上記ガラス成形体を使用して高品質なガラス製の光学素子を安定して製造する
ことができる光学素子の製造方法を提供することもできる。
以下、本発明のガラス流出パイプ、ガラス成形体の製造方法、光学素子の製造方法に順
に説明する。
[ガラス流出パイプ]
本発明のガラス流出パイプは、熔融ガラスを流出させるガラス流出パイプであって、内
径φが6mm以下、内径の最大値φmaxと最小値φminの差が0.20mm以内であ
ることを特徴とする。
先に説明した低粘性ガラスは、流出時の粘度(流出粘度という)が10dPa・s以下
であったり、液相温度を有し、液相温度における粘度と前記液相温度より50℃高い温度
における粘度の差が10dPa・s以下の粘性特性を有するものである。このようなガラ
スを適正な流出量で安定して流出するために、パイプの内径を6mm以下とする。パイプの内径がこれよりも大きいとガラスの流出量が増大し、泡切れ不足などの不具合が生じやすくなる。
なお、上記観点からパイプ内径は0.5〜6mmが好ましく、0.5〜4mmがより好ましく、0.5〜3.5mmがさらに好ましく、1.0〜3.5mmが特に好ましい。
安定したガラスの流出を可能にするには、上記パイプ内径の制限に加えてパイプ内径の
最大値と最小値の差を0.20mm以内とする。ここで、パイプ全長にわたり内径が最大
になっている箇所における内径の値を内径の最大値、内径が最小になっている箇所におけ
る内径の値を内径の最小値とする。パイプ内径の最大値と最小値の差を0.20mm以内
にすることによって、ガラスの流出量を所定の値にすることができ、安定したガラスの流
出が可能になる。
パイプ内径の最大値と最小値の差が0.20mmを上回ると、パイプ内を流れる熔融ガ
ラスの流れに乱れが生じて、得られるガラス成形体に脈理が生じ、ガラス成形体の品質を
著しく低下させてしまう。また、ガラス流出量を安定化することが難しくなり、ガラス流
出量を目標値に近づけるために、パイプの温度を変化させると、流出したガラスが失透し
たり、着色したり、あるいは脈理が生じたり、ガラスの泡切れが不十分になったり、ガラ
ス中に熔融容器から白金微粒子(白金ブツ)が混入したりする。
パイプ内径の最大値と最小値の差は、0.10mm以内が好ましく、0.08mm以内がより好ましく、0.06mm以内がさらに好ましく、0.04mm以内が特に好ましい。
なお、パイプ内径の最大値、最小値の測定は、例えばパイプを等間隔に3ヶ所以上の箇
所でパイプ中心軸に垂直に切断し、切断箇所および切断前のパイプ両端の内径を測定し、
測定値の最大値を上記パイプ内径の最大値、測定値の最小値を上記パイプ内径の最小値と
みなすことができる。切断箇所の数を増やすほど、最大値と最小値の測定精度は向上する
が、パイプを等間隔で3ヶ所切断して測定を行えば、測定精度としては十分な精度が得ら
れる。ただし、パイプの長さが300mmを超える場合は、100mm間隔で切断して内
径の最大値と最小値の測定を行うことが望ましい。
ガラス流出パイプの内面は滑らかに仕上げることが望ましい。前記内面にシワや傷があ
るとガラス流出の際に抵抗となる。しかもパイプ内面のシワや傷といった不確定な要因に
よってガラス流出の抵抗が左右されることになり、ガラスの流出を不安定にする原因とな
る。このような状態を解消する上からパイプ内面の平均粗さRaを5μm以下とすること
が好ましく、1μm以下とすることがより好ましく、0.5μm以下とすることがさらに
好ましく、0.1μm以下とすることがより一層好ましい。このようにガラスの管内抵抗を小さくすることは熔融ガラス流断面における屈折率分布の低減にも効果的である。
パイプ内面の平均粗さRaは、パイプの長さ方向(パイプの中心軸に平行な方向)に沿
って測定した値である。例えば、パイプを上記中心軸を含む面で切断し、市販の触針式表
面粗さ測定装置を使用してパイプ内面に探針先端をあて、探針に対してパイプを長さ方向
(前記パイプの中心軸に平行な方向)に動かして測定するなどの方法を用いればよい。
パイプ内を流れる熔融ガラスの温度がパイプ内で極端に変わることがないよう、任意の
位置におけるパイプの内周面および外周面の断面形状(上記中心軸に対して垂直な断面に
おける形状)が真円に近いことが望ましく、偏肉がなく、内周面と外周面とが同心円にな
っていることが望ましい。
本発明のガラス流出パイプは、パイプの肉厚tに対する内径φの比率φ/tが0.25
〜12の範囲にあることが好ましい。上記比率φ/tが0.25未満になるとパイプの内
径を高精度に加工することが難しくなる。上記比率φ/tが12を超えると十分な強度を
有するパイプが得にくくなる。
また、パイプは内部を流れるガラスの温度が低下して失透しないように加熱することが
好ましいが、パイプの加熱方法としては、パイプに通電してジュール熱によりパイプ自体
を発熱させる通電加熱法が好ましい。パイプはその内周面においてガラスと熱交換する。φ/tが大きくなると、パイプ単位長さあたりのパイプとガラスが接触する面積に対するパイプの体積の比(パイプの体積/パイプとガラスが接触する面積)が減少する。すなわち、パイプ単位長さあたりのパイプとガラスが熱交換する面積に対するパイプの熱容量の比(パイプの熱容量/パイプとガラスが熱交換する面積)が減少するため、電流を増加してパイプの発熱量を増加させないと内部を流れるガラスの温度を適正に維持できなくなってしまう。肉薄のパイプに大きな電流を流すと電流密度が過大になって、パイプ自体が融けてしまう。このような不具合を防止するにはφ/tを12以下にすることが好ましい。なお、パイプの体積とは、単位長さあたりのパイプの材料の体積に相当するものであり、パイプの外径で規定される円柱の体積からパイプの内径φで規定される空孔の体積を差し引いたものである。
このようにパイプを通電加熱するという観点からも、比率φ/tを0.25〜12とするのが好ましい。十分な耐久性を得つつ、良好なパイプの加熱を行う上から、比率φ/tは0.25〜4とすることがより好ましく、0.5〜4とすることがさらに好ましく、0.7〜2.7とすることが特に好ましい。
上記通電加熱は周知の方法により行うことができ、通電加熱以外にも、例えば、高周波
誘導加熱によって加熱することもできる。
パイプ外径もパイプ内径と同様、パイプの長さ方向に沿って一定とすることが望ましい
。これは、パイプの一端を熔融容器に取り付け、他端あるいはその近傍に通電加熱のため
の電極を取り付けた場合に、パイプは両端またはその近傍を固定した状態で使用すること
になるが、この状態でパイプを加熱すると、パイプが熱膨張により延びるので、パイプの
一部に外径が細い部分があるとそこに応力が集中して発生し、パイプが変形してガラスの
流出に支障をきたすためである。
パイプを構成する材料としては、白金、白金合金、金などを例示することができる。
本発明のガラス流出パイプは、通電加熱用の電極を備えたものであることが好ましい。
電極は、通電加熱しようとするガラス流出パイプの所望の部分を通電加熱ゾーンとして定
めた後、該通電加熱ゾーンの上端と下端に熔接などによって取り付けることができる。通
電加熱ゾーンを複数に分けて、各ゾーン毎に温度制御を行う場合には各ゾーンの上端と下
端に電極を取り付ける。電極には交流電源が接続され、交流電圧が印加されるようにする
電極を備えたパイプとしては、パイプの上端とパイプ下端(すなわちガラス流出口が設
けられた端部)に電極を設けたものや、パイプの上端とパイプ下端よりも上部(パイプの
上端と下端の間)に電極を設けたものが挙げられる。前者はパイプ全域を通電加熱するも
の、後者はパイプの上部(ガラス流出口から遠ざかる方向)を通電加熱し、前記2つの電
極よりも下部(2つの電極よりもガラス流出口に近い部分)を高周波誘導加熱するパイプ
として好適である。なお、高周波誘導加熱は、パイプの加熱しようとする部分の周りに高
周波コイルを配し、これに高周波電流を流すことによって行うことができる。なお、通電
加熱する部分の一部を、パイプの周りにヒータを配置して発熱させ、加熱する方法に置き
換えてもよいし、両方の加熱を同時に行ってもよい。
パイプの長さはガラス流出時の操作性を考え、0.3〜3.5mとするのが好ましく、
0.3〜2.5mとするのがより好ましく、0.5〜2.5mとするのがさらに好ましく、0.5〜2mとするのが特に好ましい。
パイプの直進性はパイプ両端の断面におけるそれぞれの中心を結ぶ仮想的な直線(パイ
プの中心軸)を基準にし、パイプ各部における断面の中心が前記パイプの中心軸から1m
m以内の距離にあることが好ましい。
なお、上記ガラス流出パイプは円柱状のパイプ材料の中心にドリルを用いて所定径の貫
通孔を開けて作製することができる。ドリルは円柱底面に対して正確に垂直になるように
した状態で直進させ、円柱軸に正確に一致するように加工する。ドリルは貫通孔内面が滑
らかになるように適宜選択し、削孔条件も適宜選択する。一つの円柱材料では十分な長さ
のパイプが得られない場合は、同一形状の貫通孔が形成されたパイプを熔接して必要な長
さのパイプを得る。なお、上記パイプの作製方法は一例であって、他の方法によって高精
度な内径を有するパイプを作製してもよい。
上述の構成を有する、本発明のガラス流出パイプによればガラスを安定して流出させる
ことができる。本発明のガラス流出パイプは、特に粘度が10dPa・s以下の熔融ガラ
スを流出させるパイプとして、液相温度における粘度と前記液相温度よりも50℃高い温
度における粘度との差が10dPa・s以下の粘性特性を有する熔融ガラスを流出させる
パイプとして、光学ガラスまたは光学フィルター用ガラスからなるガラス成形体を得るた
めの熔融ガラスを流出させるパイプとして、好適である。
ガラス流出パイプを熔融容器に接続して使用することを考えると、ガラス流出パイプの
ガラス流出口と反対の端部にフランジを一体に設けることが好ましい。ガラス流出パイプ
を上記容器に取り付ける際は、それぞれ室温状態にあるパイプならびに熔融容器を用いる
が、熔融ガラス流出時のパイプや熔融容器は極めて高温になり、パイプが膨張して熔融容
器を押し上げることになるため、熔融容器とパイプの接続部には大きな力が集中的に加わ
り、破損しやすくなったり、熔融容器やパイプの寿命が短くなってしまう。上記のように
、パイプの熔融容器への取り付け側にフランジを設け、フランジを熔融容器に取り付ける
ことにより、パイプの膨張に伴って発生する力を分散し、熔融容器やパイプの破損を防止
するとともにそれぞれの寿命を延ばすことができる。フランジは前記フランジを取り付け
る部分のパイプと同一ないし類似の材質からなるものが好ましく、白金、白金合金、強化
白金のいずれかからなるものが好ましい。フランジは、フランジの強度を高める上から切
削加工により作製されたものが好ましい。フランジとパイプの接合、フランジと上記容器
の接合はそれぞれ熔接により行うことが好ましい。
[ガラス成形体の製造方法]
次に、本発明のガラス成形体の製造方法ならびに上記ガラス流出パイプの用途について
説明する。
本発明のガラス成形体の製造方法の第1の形態(以下、成形体の製法1という)は、熔
融ガラスをパイプから流出させて成形するガラス成形体の製造方法であって、粘度が10
dPa・s以下の熔融ガラスを上記本発明のガラス流出パイプから流出させることを特徴
とするものである。
上記のようにガラスの流出粘度が10dPa・s以下の場合であっても上記本発明のガ
ラス流出パイプを使用して熔融ガラスを流出させることにより、ガラスの流出を安定化し
、脈理、泡切れ不足、光学ガラスとして不適当なレベルの着色などのない高品質なガラス成形体を高い生産性のもとに製造することができる。
なお、成形体の製法1は流出粘度が5dPa・s以下のガラスに好適であり、4dPa
・s以下のガラスにより好適であり、3dPa・s以下のガラスにさらに好適である。
本発明のガラス成形体の製造方法の第2の形態(以下、成形体の製法2という)は、熔
融ガラスをパイプから流出して成形するガラス成形体の製造方法であって、液相温度にお
ける粘度と前記液相温度より50℃高い温度における粘度の差が10dPa・s以下の粘
性特性を有する熔融ガラスを上記本発明のガラス流出パイプから流出させることを特徴と
するものである。
なお、成形体の製法2は上記粘度の差が5dPa・s以下のガラスに好適であり、4d
Pa・s以下のガラスにより好適であり、3dPa・s以下のガラスにさらに好適である
流出粘度が低かったり、温度変化に対する粘度変化量が小さかったりするガラスは、ガ
ラスを安定して流出させることが難しいことから、本発明のガラス成形体の製法1または
2を好ましく適用することができ、また、このような観点から上記成形体の製法1と成形
体の製法2を組み合わせた方法がより望ましい。
以下、成形体の製法1および成形体の製法2(以下、両製法をまとめて本発明の成形体
の製法という)に共通する事項について説明する。
本発明の成形体の製法において、熔融ガラスは公知の方法により用意することができる
。例えば、粉体状の化合物原料あるいはカレット原料を目的のガラス組成に対応して秤量
、調合し、白金合金製の熔融容器内に供給した後、これを加熱、熔融する。上記原料を完
全に熔融してガラス化した後、この熔融ガラスの温度を上昇させて清澄を行う。清澄した
熔融ガラスを攪拌器による攪拌によって均質化し、上記ガラス流出パイプに連続供給する
。原料を加熱、熔融する容器と清澄を行う容器、あるいは均質化を行う容器は一つの容器
であってもよいし、個別の容器として白金合金製の各容器を連結パイプなどによって連結
し、熔融槽、清澄槽、攪拌槽の順にガラスが所定の時間をかけて流れるようにしてもよい
。前者の場合は熔融容器の底部にガラス流出パイプを取り付け、後者の場合は攪拌槽の底
部にガラス流出パイプを取り付ける。ガラス流出パイプの取り付けは熔接などにより行う
ことができる。
図1は、本発明の成形体の製法の1例を模式的に示した図であり、本発明の成形体の製
法に使用する装置を真横から見たものである。白金合金製の熔融容器1の内部には図示し
ない清澄、均質化した熔融ガラスが加熱、蓄積されている。熔融容器1の底部には白金合
金製のガラス流出パイプ2が熔接により取り付けられ、容器1内の熔融ガラスがパイプ2
の中を流れ、パイプ2の下端のガラス流出口2-1から流出している。パイプ2の上端と
下端ならびにその間に図示しない白金合金製の電極が熔接されており、全体が保温材で包
まれている。パイプ下端の電極はガラスの流出を妨げないよう取り付けられている。これ
ら電極に交流電圧を印加してパイプ2を通電加熱し、パイプ2の温度を適正な温度に維持
する。パイプ2の下方には流出した熔融ガラス4をキャスト成形するための鋳型3が水平
に配置されている。図1ではガラスの鋳込まれる状態がわかるように、パイプ2の位置で
の垂直断面によって鋳型3を描いている。鋳型3の一方の側面(図1の右側)は開口して
おり、鋳型に鋳込まれて一定の厚みを有する板状に成形されたガラスは上記鋳型3の開口
部から水平方向(図1の右側)へと連続して引き出される。板状ガラス成形体5の引き出
しはベルトコンベア6によって行う。ベルトコンベア6の引き出し速度を一定にしてガラ
ス成形体の板厚が一定になるように引き出すことにより、所定の厚み、板幅のガラス成形
体を得ることができる。なお、板幅は図示しない鋳型3の対向する一対の側壁(図1の手
前側と奥側)により規定される。このようにして成形されたガラス成形体5はベルトコン
ベア6によりアニール炉(図示せず)へと搬送され、徐冷される。
以上の例によれば、ガラス流出が安定して行われるため、ガラス成形体に脈理が発生す
ることを防止することができるとともに、一定の板厚を有するガラス成形体を得ることが
できる。このように一定の板厚を有するガラス成形体はプレス成形用のガラス素材を作る
ためのガラス母材として好ましい。上記ガラス素材は、ガラス成形体を板厚方向に切断あ
るいは割断し、必要に応じて研磨加工を施したり、バレル研磨を施して作製するが、ガラ
ス成形体の板厚が所定の厚みになっていれば、切断あるいは割断を等間隔に行うことによ
りガラス素材の重量を容易に均等にすることができる。なお、ガラス成形体の板厚をより
高精度に一定にするには、鋳型3内の熔融ガラス液位をモニターし(図示せず)、前記液
位が一定になるようにベルトコンベア6によるガラス成形体の引き出し速度を制御すれば
よい。
以上の態様(以下、態様Iという)は、板状のガラス成形体を製造するものであるが、
別の態様(以下、態様IIという)によれば、鋳型3の代わりに円筒状の鋳型をパイプ2の
下方に配置し、鋳型内にガラスを鋳込んで円柱状のガラス成形体を成形することもできる
。この方法ではパイプ2の中心軸が鋳型の軸と同一直線上に並ぶように位置調整を行う。
鋳込まれたガラスは鋳型円筒内部に均一に広がるため、鋳型内においてもガラスの流れに
対して垂直方向断面での屈折率分布を小さくすることができ、より一層の脈理防止、低減
効果を得ることができる。鋳型内で成形されたガラス成形体は鋳型底部の開口部から一定
の速度で鉛直下方に引き出される。引き出し速度は鋳型内での熔融ガラス液位が一定にな
るように行えばよい。
さらに別の態様(以下、態様IIIという)によれば、流出するガラスから直接、プレス
成形用のガラス素材を製造することもできる。例えば、図1において鋳型3の代わりに、
円形のターンテーブルの円周上に複数個の成形型を等間隔に配置した成形機を設置する。
ガラス素材の製造は、ターンテーブルをインデックス回転することにより行われるが、成
形型の停留位置の一つを成形型に熔融ガラスを供給する位置(キャスト位置という)とし
て熔融ガラスを供給し、供給した熔融ガラスをガラス成形体に成形した後、キャスト位置
とは異なる所定の成形型の停留位置(テイクアウト位置)からガラス成形体を取り出す。
テイクアウト位置をどの停留位置にするかは、ターンテーブルの回転速度、ガラスの冷却
速度などを考慮して定めればよい。キャスト位置における成形型への熔融ガラスの供給は
、パイプ2のガラス流出口2-1から熔融ガラスを滴下し、ガラス滴を上記成形型で受け
る方法、キャスト位置に停留する成形型をガラス流出口2-1に近づけて流出する熔融ガ
ラス流の下端部を支持し、ガラス流の途中にくびれを作り、所定のタイミングで成形型を
鉛直方向に急降下することによりくびれより下の熔融ガラスを分離して成形型上に受ける
方法、流出する熔融ガラス流を切断刃で切断し、分離した熔融ガラス塊をキャスト位置に
停留する成形型で受ける方法などにより行うことができる。
成形型上でのガラスの成形は公知の方法を用いればよい。中でも成形型から上向きにガ
スを噴出してガラス塊に上向きの風圧を加え、ガラスを浮上させながら成形すると、ガラ
ス成形体の表面にシワができたり、成形型との接触によってガラス成形体にカン割れが発
生するのを防止することができる。
ガラス成形体の形状は、成形型形状の選択や上記ガスの噴出の仕方により、球状、回転
楕円体状、回転対象軸を1つ有し、該回転対象軸の軸方向を向いた2つの面が共に外側に
凸状である形状等にすることができる。これらの形状はレンズなどの光学素子をプレス成
形するためのガラス素材に好適である。このようにして得られたガラス成形体はそのまま
、あるいは表面を研磨あるいはバレル研磨してプレス成形用のガラス素材にすることがで
きる。
さらに別の態様(以下、態様IVという)によれば、上記態様IIIにおいて、ターンテー
ブル上に成形型としてプレス成形型の下型を配置し、キャスト位置で下型上に熔融ガラス
塊を順次受け、別の停留位置において下型と、前記下型に対向する上型を用いて軟化温度
以上にあるガラスをプレス成形してもよい。プレス成形後、下型上で冷却されたガラス成
形体はテイクアウト位置において下型から取り出される。ガラス成形体をレンズなどの光
学素子に近似する形状にすることにより、光学素子ブランクとすることができ、該光学素
子ブランクに研削、研磨加工を施して所望の光学素子に仕上げることができる。
なお、上記各態様において、パイプ2の加熱は通電加熱に限定されるものではない。例
えば、パイプ2の下端(ガラス流出口2-1)より上に下部電極を取り付けて、該下部電
極から上を通電加熱し、該下部電極より下の部分を高周波誘導加熱してもよいし、パイプ
2全体を高周波誘導加熱してもよい。本発明の好ましい態様によれば、上記のようにパイ
プ2の内径φと肉厚tの比率φ/tが所定の範囲になっているので、十分な通電加熱を行
うことができる。また、パイプの加熱は前述のようにパイプの周りにヒータを配置して発
熱させ、加熱する方法を用いてもよい。
本発明の成形体の製法は、光学ガラスからなるガラス成形体の製造に好適である。光学
ガラスは、屈折率などの光学特性が高精度に定められている。光学特性は概ねガラスの組
成によって決まるが、ガラスの熔解、成形のプロセスによっても変化する。この変化量は
僅かな量ではあるが、高精度な光学特性が要求される光学ガラスでは場合によって特性の
ズレのため不良品になってしまう。ガラスの成形プロセスにおける光学特性変動の主要因
の一つとして、ガラス流出量が設計値からずれることが挙げられる。本発明の成形体の製
法によれば、上記本発明のガラス流出パイプを使用するため、ガラス流出量を設計どおり
にしかも安定維持することができるので、所望の光学特性を有する光学ガラスからなるガ
ラス成形体を安定して製造することができる。
さらに、上述したように流出時のガラスの流速を低減できるため、脈理を防止、低減す
ることができる。また、パイプから流出する熔融ガラス流の断面における屈折率分布を一
定に近づけることができるので、より一層の脈理防止、低減効果を得ることができる。
なお、本発明の成形体の製法によれば、好ましくは屈折率(nd)の変動を±0.00
10/時以内に抑えることができる。
次に本発明の成形体の製法において好適に用いられるガラスについて説明する。このよ
うなガラスとしては、屈折率(nd)が1.7以上の光学ガラスが挙げられる。屈折率(
nd)が1.7以上のガラスは、ガラスのネットワーク形成成分に比べて屈折率を高める
成分の含有割合が大きい。このため、屈折率(nd)が1.7以上の光学ガラスは、ガラ
スのネットワーク形成成分の含有割合が相対的に小さくなって、屈折率が低いガラスより
も、高温領域におけるガラスの安定性が低い傾向にある。ガラスの安定性が低下すると、
熔融ガラスを流出させ、成形する際に、ガラスが結晶化し易くなるため、より高温でガラ
スの流出を行わなければならなくなる。ガラスの粘度は温度が上昇するにつれて低下する
ため、屈折率(nd)が1.7以上の光学ガラスは、流出粘度が10dPa・s以下、あ
るいは5dPa・s以下、さらには4dPa・s以下、場合によっては3dPa・s以下
と極めて低粘性にならざるを得ない。また、流出温度を調整してガラス流出量を制御しよ
うとしても、温度変化に対するガラスの粘度変化量(絶対値)が小さいので、温度調整に
よって粘度を適正に合わせることが難しい。さらに、ガラスの流出温度と液相温度の差が
小さいため、流出粘度を増加させるために流出温度を低下させると、流出温度が液相温度
に近づき過ぎてガラスが結晶化してしまうという問題がおきる。本発明の成形体の製法に
おいては、本発明のガラス流出パイプを使用することにより、ガラス流出パイプの温度制
御を行わなくても、屈折率(nd)が1.7以上であるガラスを安定して流出させること
ができ、高品質の光学ガラスからなるガラス成形体を安定して供給することができる。こ
のような屈折率が1.7以上の光学ガラスとしては、屈折率(nd)が1.7以上かつア
ッベ数(νd)が50以上のガラス、屈折率(nd)が1.74以上かつアッベ数(νd
)が50未満のガラス、中でも屈折率(nd)が1.8以上のガラス、あるいは屈折率(
nd)が1.83以上のガラス、特に屈折率(nd)が1.87以上のガラスを挙げるこ
とができる。組成の面から上記屈折率が1.7以上の光学ガラスを例示すると、B23及びLa23を含有するガラス、リン酸ガラス、Nb25、TiO2およびWO3から選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有するリン酸ガラス、SiO2及びTiO2を含有するガラスなどを示すことができる。
また、本発明の成形体の製法は、光学フィルター用ガラスからなるガラス成形体の製造
にも好適である。光学フィルター用のガラスとしては、後述する銅含有フツリン酸ガラス
などが挙げられる。
他の例は、リン酸ガラス、フツリン酸ガラスである。リン酸ガラス、フツリン酸ガラス
も流出粘度が低いため、本発明の成形体の製法において好ましく適用することができる。
フツリン酸ガラスは、低分散光学ガラス、特にアッベ数(νd)が80以上のガラスや、
銅含有フツリン酸ガラスなどの用途に用いられる光学機器用ガラスとして有用なガラスで
あって、いずれの用途においても脈理を防止し、または低減することができるガラス成形
体の製造方法が必要とされている。なお、銅含有ガラスは、銅イオンの光吸収特性を利用
した前記光学フィルター用ガラスとして好適なものであるが、中でも近赤外線吸収特性を
活かしたCCDなどの半導体撮像素子の色補正用フィルターガラスとしての利用価値が高
いものである。
[光学素子の製造方法]
次に本発明の光学素子の製造方法について説明する。本発明の光学素子の製造方法の第
1の形態は、ガラス素材を加熱し、プレス成形する光学素子の製造方法であって、上記成
形体の製法により作製したガラス成形体をガラス素材として使用することを特徴とするも
のである。
上記本発明の成形体の製法の態様Iにより作製した板状のガラス成形体をガラス素材と
して使用する場合、ガラス成形体を所望の寸法に切断あるいは割断し、カットーピースと
呼ばれるガラス片を作製し、次いでカットピースをバレル研磨して所定重量のプレス成形
用のガラス素材に仕上げることができる。ガラス素材表面全体に窒化ホウ素などの粉末状
離型剤を均一に塗布した後、加熱、軟化してプレス成形型を用いてプレス成形する。プレ
ス成形品の形状は目的とする光学素子の形状に研削、研磨代を見込んだ形状とし、前記成
形品を研削、研磨してレンズなどの所望の光学素子に仕上げる。
上記工程でカットピースの表面に研磨を施して表面が滑らかなガラス素材に仕上げ、こ
のガラス素材を加熱し、精密プレス成形(モールドオプティクス成形とも呼ぶ)して非球
面レンズなどの光学素子を製造することもできる。
本発明の成形体の製法の態様IIで作製したガラス成形体については、成形体の円柱軸に
垂直にスライス加工を施した後、上記態様Iで作製したガラス成形体から光学素子を得る
方法と同様の方法で、バレル研磨、プレス成形、プレス成形品の研削、研磨を行って、光
学素子を製造することができる。
本発明の成形体の製法の態様IIIで作製したガラス成形体については、そのままプレス
成形用のガラス素材とすることもできるし、バレル研磨を施してプレス成形用のガラス素
材とすることもできる。前者のガラス素材は、加熱し、精密プレス成形することによって
、非球面レンズなどの光学素子に成形することができる。後者のガラス素材は、粉末状離
型剤を全表面に均一に塗布した後、加熱、軟化してプレス成形し、光学素子に近似する形
状にした後、研削、研磨してレンズなどの光学素子に加工することができる。
本発明の成形体の製法の態様IVで作製したガラス成形体については、ガラス成形体の作
製時にガラスの加熱とプレス成形処理が既に行われており、ガラス成形体の形状が目的と
する光学素子の形状に近似した形状に成形されているため、ガラス成形体を研削、研磨す
ることによって、レンズなどの光学素子を作製することができる。なお上記態様IVにより
プレス成形用ガラス素材あるいは得ようとするガラス素材に近似する形状のガラス素材を
作製し、これらを加熱し、プレス成形して、光学素子を製造することもできる。
本発明の光学素子の製造方法の第2の形態は、ガラス成形体を加工する光学素子の製造
方法であって、上記本発明の成形体の製法により作製したガラス成形体を加工することを
特徴とするものである。
例えば、本発明の成形体の製法の態様Iにより銅含有フツリン酸ガラスの板状ガラス成
形体を作製し、このガラス成形体を板厚方向にスライス加工して、スライスした両面を光
学研磨して所定の厚みのガラスフィルターにすることができる。このフィルターは近赤外
線吸収機能を備えているため、CCDなどの半導体撮像素子の色補正用フィルターとして
好適である。
また、本発明の成形体の製法の態様IIにより光学ガラスからなる円柱状のガラス成形体
を作製し、円柱軸に垂直にスライス加工した後、表面を研削、研磨してレンズなどの光学
素子にすることもできる。
以上の方法によれば、従来、高品質な光学素子を得ることが難しかったガラスを用いて
、高い品質のガラス製光学素子を高い生産性のもとに量産することができる。
なお、各光学素子の表面には必要に応じて反射防止膜などの光学多層膜を設けることも
できる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって
何等限定されるものではない。
実施例1
純白金に金を5重量%加えた白金と金の合金からなる白金合金材と、純白金からなる白
金材を使用して、表1-1および表1-2にA1〜A12、B-1〜B-12、C-1〜C-1
2、D-1〜D-8、E-1〜E-4で示される48種類のガラス流出パイプを作製した。
まず、各パイプにおいて、内径φとパイプの肉厚tの2倍の寸法とを加えた値がパイプ
の外径になるので、得られる各パイプの外径に対応した直径を有する、長さ275mmの
白金合金円柱、及び長さ25mmの白金円柱をそれぞれ作製する。白金合金円柱及び白金
円柱の底面および上面は平坦かつ互いに平行に鏡面に仕上げておく。
そして、両材料の円柱の中心軸にドリルの中心が精密に一致するように前記円柱に貫通
孔を開ける。ドリルの径はパイプの内径に対応するものを適宜選択すればよい。このよう
にして作製したパイプを等間隔に3ヶ所でパイプの中心軸に対して垂直に切断し、切断箇
所ならびに切断前のパイプ両端において内径を測定したところ、内径の最大値と最小値の
差(絶対値)は0.034〜0.039mmであって、全てのパイプにおいて0.20m
m以内におさまっていた。また、パイプの中心軸に沿って切断し、パイプ内周面のパイプ
の長さ方向に沿った平均粗さRaを測定したところ、平均粗さRaは、全てのパイプにお
いて0.1μm以下であった。
次に白金合金製パイプと白金製パイプを中心軸が精密に一致するように熔接してつなげ
、一端が白金合金製、他端が白金製のガラス流出パイプを作製し、白金合金製の端部をガ
ラス流出口とした。
長さが0.3mを超えるパイプを作製する場合は、このようにして作製したパイプの上
記白金製の端部に上記方法と同様にして作製した内径及び外径がともに等しい白金製パイ
プを互いの中心軸が精密に一致するように熔接してつなげた。
なお、本実施例では白金合金製パイプに白金製パイプを接合してガラス流出パイプを作
製したが、白金製パイプの代わりに強化白金製パイプを使用してもよい。
いずれの場合もパイプ内の熔融ガラスの流れを極力乱さないため、パイプの作製にあた
っては、パイプ内径を精密に一定とするともに外径も一定とし、パイプ内周面と外周面を
ともに極力、真円に近づけるとともにパイプの偏肉を極力低減するよう、十分注意を払う
べきである。
なお、上記48種類のパイプにおいて、その一部を構成する、白金と5重量%の金から
なる白金合金製パイプを白金と10重量%のロジウムからなる白金合金製パイプに置き換
えたものも別途作製した。
このようにして作製された、白金と金からなる白金合金製パイプと白金製パイプとが接
合したパイプ48種類と、白金とロジウムからなる白金合金製パイプと白金製パイプとが
接合したパイプ48種類について、実施例2に示すガラスの流出を行った。
なお、上記各パイプのガラス流出口の反対側の端部(熔融容器に接続する側の端部)に
白金あるいは白金合金製の切削加工で作製したフランジを熔接して一体に取り付けたもの
を用いることもできる。この場合、パイプならびに上記容器の寿命を延ばすことができる
Figure 0004408828
Figure 0004408828
実施例2
次に、実施例1で作製した各ガラス流出パイプを用いて、表2に示す光学ガラスからな
るガラス成形体を作製した。
なお、表2に示すガラスの特性は次のようにして測定した。
〔屈折率(nd)およびアッベ数(νd)〕
徐冷降温速度を−30℃/時にして得られた光学ガラスについて屈折率(nd)および
アッベ数(νd)を測定した。
〔液相温度〕
白金ルツボにガラス試料を約50g入れ、加熱、熔融して得られたガラス融液を、10
℃刻みに加熱、保持されるように温度が設定された試験炉内に2時間保持してから室温ま
で冷却し、結晶析出の有無を顕微鏡により観察し、結晶の認められない最低温度を液相温
度とした。
〔ガラスの粘度〕
JIS規格Z8803、共軸二重円筒型回転粘度計による粘度測定方法により、ガラス
の粘度を測定した。
(1)態様IによるガラスUからなる成形体の製造
(i)まず、表2にガラスUで示したB23およびLa23含有ガラスの原料を、図1に
示す熔融容器1に供給し、加熱、清澄、均質化して熔融ガラスを熔融容器1に蓄積し、実
施例1で作製したパイプA-1〜12、パイプB-1〜12、パイプC-1〜12、パイプ
D-1〜8の各パイプをそれぞれ熔融容器1の底部に取り付けてガラス流出口から一定流
量で連続して鋳型3に流し込み、一定の板厚、板幅のガラスUからなるガラス板を作製し
た。各パイプの上端及び下端ならびにその間には白金合金製の電極を熔接により取り付け
、電極間に交流電圧を印加してパイプ全体を通電加熱し、ガラスの流出粘度が表2に示さ
れる値に一定に維持されるように温度制御した。ガラス流出パイプの熔融容器1への取り
付けは熔接で行った。またフランジ付きガラス流出パイプの熔融容器1への取り付けも熔
接で行えばよい。
このようにして脈理や着色のない高品質なガラスUの成形体を得た。得られた成形体の
屈折率、アッベ数は表2に示すように目標値に精密に一致するものであった。
(ii)上記パイプに代え、パイプE-1〜4の各パイプを取り付けた以外は(i)と同様
にして熔融ガラスを流出させ、成形したところ、着色のないガラスUの成形体を得ること
ができたが、上記パイプA-1〜12、パイプB-1〜12、パイプC-1〜12、パイプ
D-1〜8の各パイプを使用した場合に比べ、ガラス成形体の一部に脈理が発生したため
、脈理を含む部分は機械加工によって除去した。得られた成形体の屈折率、アッベ数は表
2に示すように目標値に精密に一致するものであった。
(2)態様IIによるガラスUからなる成形体の製造
(i)態様IIに相当する円筒状の鋳型を使用した以外は上記(1)(i)と同様にしてパ
イプA-1〜12、パイプB-1〜12、パイプC-1〜12、パイプD-1〜8の各パイプ
を用いて熔融ガラスの成形を行ったところ、上記(1)(i)と同様、目標とする光学特
性を有し、脈理や着色のない円柱状のガラスUからなる成形体を得た。
(ii)態様IIに相当する円筒状の鋳型を使用した以外は上記(1)(ii)と同様にしてパ
イプE-1〜4を用いて熔融ガラスの成形を行ったところ、着色のない円柱状のガラスU
からなる成形体を得ることができたが、上記パイプA-1〜12、パイプB-1〜12、パ
イプC-1〜12、パイプD-1〜8の各パイプを使用した場合に比べ、ガラス成形体の一
部に脈理が発生したため、脈理を含む部分は機械加工によって除去した。得られたガラス
成形体の屈折率、アッベ数は表2に示すように目標値に精密に一致するものであった。
(3)態様IIIによるガラスWからなる成形体の製造
(i)ガラス原料として、表2にガラスWで示したB23およびLa23含有ガラスの原
料を用い、成形機を態様IIIに相当するものに代え、さらに、パイプの上端、パイプのガ
ラス流出口よりも上部、およびそれらの間に白金合金製の電極を取り付けてパイプを通電
加熱するとともに、パイプのガラス流出口近傍(通電加熱されているゾーンよりも下の部
分)をパイプの周りに配した高周波コイルに高周波電流を流すことによって高周波誘導加
熱を行った以外は、上記(1)(i)と同様にしてパイプA-1〜12、パイプB-1〜1
2、パイプC-1〜12、パイプD-1〜8の各パイプを用いてガラス成形体を製造した。
ガラス成形体は、成形型上でガスによって浮上させながら製造し、重量公差が1%以内の球状のガラス成形体を得た。
ガラスWはガラス転移温度(Tg)が560℃と低いので精密プレス成形用の光学ガラ
スとして適しており、得られたガラス成形体は脈理や着色はなく、表面も滑らかであり、
そのまま、精密プレス成形用のガラス素材すなわちガラスプリフォームとして使用できる
ものであった。
(4)態様IによるガラスX,Yからなる成形体の製造
(i)ガラス原料として、表2にガラスXで示したフツリン酸ガラスの原料、ガラスYで
示したフツリン酸ガラスの原料を用いた以外は、上記(1)(i)と同様にしてパイプA
-1〜12、パイプB-1〜12、パイプC-1〜12、パイプD-1〜8の各パイプを用い
て熔融ガラスの成形を行って、板状のガラス成形体を得た。
得られた成形体の板厚、板幅は一定であり、脈理や着色も認められないものであった。
また、ガラス成形体の光学特性を評価したところ、表2に示す値に正確に一致していた。
(ii)ガラス原料として、表2にガラスXで示したフツリン酸ガラスの原料、ガラスYで
示したフツリン酸ガラスの原料を用いた以外は、上記(1)(ii)と同様にしてパイプE
-1〜4を用いて熔融ガラスの成形を行ったところ、何れも着色のない板状のガラス成形
体を得ることができたが、上記パイプA-1〜12、パイプB-1〜12、パイプC-1〜
12、パイプD-1〜8の各パイプを使用した場合に比べ、ガラス成形体の一部に脈理が
発生したため、脈理を含む部分は機械加工によって除去した。得られた成形体の屈折率、
アッベ数は表2に示すように目標値に精密に一致するものであった。
(5)態様IによるガラスZからなる成形体の製造
(i)ガラス原料として、表2にガラスZで示した銅含有フツリン酸ガラスの原料を用い
た以外は、上記(1)(i)と同様にしてパイプA-1〜12、パイプB-1〜12、パイ
プC-1〜12、パイプD-1〜8の各パイプを用いて熔融ガラスの成形を行って、板状の
ガラス成形体を得た。
得られた成形体の板厚、板幅は一定であり、脈理は認められなかった。
(ii)ガラス原料として、表2にガラスZで示した銅含有フツリン酸ガラスの原料を用い
た以外は、上記(1)(ii)と同様にしてパイプE-1〜4を用いて熔融ガラスの成形を
行ったところ、着色のない板状のガラス成形体を得ることができたが、パイプA-1〜1
2、パイプB-1〜12、パイプC-1〜12、パイプD-1〜8の各パイプを使用した場
合に比べ、ガラス成形体の一部に脈理が発生したため、脈理を含む部分は機械加工によっ
て除去した。
(6)態様IVによるガラスU,X,Yからなる成形体の製造
(i)ガラス原料として、表2にガラスUで示したB23およびLa23含有ガラスの原
料、ガラスXで示したフツリン酸ガラスの原料、ガラスYで示したフツリン酸ガラスの原
料を用い、成形機を態様IVに相当するものに代えた以外は、上記(1)(i)と同様にし
てパイプA-1〜12、パイプB-1〜12、パイプC-1〜12、パイプD-1〜8の各パ
イプを用いて熔融ガラスの成形を行って、レンズ形状に近似するガラス成形体を得た。
得られたガラス成形品には脈理や着色は認められず、光学特性も表2に示す値に正確に
一致していた。
(ii)ガラス原料として、表2にガラスUで示したB23およびLa23含有ガラスの原
料、ガラスXで示したフツリン酸ガラスの原料、ガラスYで示したフツリン酸ガラスの原
料を用い、成形機を態様IVに相当するものに代えた以外は、上記(1)(ii)と同様にし
てパイプE-1〜4を用いて熔融ガラスの成形を行って、レンズ形状に近似するガラス成
形体を得た。
得られたガラス成形体は、パイプA-1〜12、パイプB-1〜12、パイプC-1〜1
2、パイプD-1〜8の各パイプを使用した場合に比べ、ガラス成形体の一部に脈理が発
生したため、脈理を含む部分は機械加工によって除去した。
Figure 0004408828
比較例1
次に、実施例1と同様の方法、同様の材料を使用して表3に示す仕様の2本のガラス流
出パイプを作製した。
Figure 0004408828
パイプFは内径φが7.0mmであって本発明のガラス流出パイプの内径範囲(6mm
以内)から逸脱しており、パイプGは内径の最大値と最小値の差が0.35mmであって
本発明のガラス流出パイプの内径の最大値と最小値の差の範囲(0.20mm以内)から
逸脱している。
パイプFを使用して表2にガラスUで示したB23およびLa23含有ガラス、表2にガラスWで示したB23およびLa23含有ガラスを流出させたところ、何れも目標の流出量を著しく上回り、ガラスの成形ができない状態になったので、パイプの温度を低下させたところ、白金製熔融容器におけるガラスの滞在時間が設計値よりも長くなり、白金の熔解によると見られるガラスの着色が発生し、ついにはガラスが失透してしまった。
また、パイプFを使用して同様にして表2にガラスXで示したフツリン酸ガラス、ガラ
スYで示したフツリン酸ガラスを流出させたところ、何れも目標の流出量を著しく上回り
、ガラス中の泡切れが不十分となり、成形したガラスに著しい脈理が発生したので、パイ
プの温度を低下させたところ、白金製熔融容器中におけるガラスの滞在時間が設計値より
も長くなり、白金の熔解によると見られる白金ブツが発生し、ついには失透してしまった

さらに、パイプFを使用して同様にして表2に銅含有フツリン酸ガラスで示したガラス
Zを流出させたところ、十分な泡切れ、脈理防止、失透防止を同時に達成することができ
なかった。
パイプGを使用してガラスU、Wを流出させたところ、パイプ内径の最大値と最小値の
差が大きいため、目標のガラス流出量で安定した流出を行うことができなかった。そこで
、パイプの温度制御により流出量を安定化しようとしたが、パイプの温度を低下させると
ガラスが失透してしまい、パイプの温度を上昇するとガラスの流れに乱れが生じて、成形
したガラスに脈理が発生してしまった。
次に、ガラスX、Yを流出させたところ、目標のガラス流出量で安定した流出を行うこ
とができなかった。そこで、パイプの温度制御により流出量を安定化しようとしたが、パ
イプの温度を上昇すると流出量が目標値を上回り、ガラス中の泡切れが不十分となり、成
形したガラスに著しい脈理が発生したので、パイプの温度を低下させたところ、白金製熔
融容器中におけるガラスの滞在時間が設計値よりも長くなり、白金の熔解によると見られ
る白金ブツが発生し、ついには失透してしまった。
ガラスZも同様に十分な泡切れ、脈理防止、失透防止を同時に達成することができなか
った。また、上記各ガラスからなるガラス成形体にパイプ内の熔融ガラスの流れの乱れに
よると思われる著しい脈理が発生してしまった。
実施例3(光学素子の製造)
次に実施例2で作製したガラス成形体を使用して光学素子を作製した。
(1)態様Iにより作製したガラスUからなる板状ガラス成形体を使用した光学素子の製

ガラスUからなる板状ガラス成形体を一定の寸法に切断し、互いに等しい重量のカット
ピースを複数個作製し、これらをバレル研磨してプレス成形用のガラス素材にした。ガラ
ス素材全表面には粉末状離型剤として窒化ホウ素を均一に塗布し、大気中にて加熱、軟化
、プレス成形型でプレス成形してレンズの近似形状に成形した。
次にアニールして歪を低減した後、表面に研削、研磨加工を施して球面レンズを作製し
た。得られたレンズの光学特性は表2に示す値に正確に一致しており、着色や脈理などの
欠陥はなく高品質なものであった。
(2)態様IIにより作製したガラスUからなる円柱状ガラス成形体を使用した光学素子の
製造
ガラスUからなる円柱状ガラス成形体を円柱軸に対して垂直にスライス加工し、面取り
加工を行った後、上記と同様、大気中で加熱、軟化し、プレス成形してレンズの近似形状
に成形した。
次にアニールして歪を低減した後、表面に研削、研磨加工を施して球面レンズを作製し
た。得られたレンズの光学特性は表2に示す値に正確に一致しており、着色や脈理などの
欠陥はなく高品質なものであった。
(3)態様IIにより作製したガラスUからなる円柱状ガラス成形体を使用した光学素子の
製造(プレス成形なし)
ガラスUからなる円柱状ガラス成形体を円柱軸に対して垂直にスライス加工し、さらに
研削、研磨加工を施してレンズを作製した。得られたレンズの光学特性は表2に示す値に
正確に一致しており、着色や脈理などの欠陥はなく高品質なものであった。
(4)態様IIIにより作製したガラスWからなる球状のガラス成形体を使用した光学素子
の製造
ガラスWからなる球状のガラス成形体の表面を炭素含有膜で被覆した後、窒素と水素の
混合ガス雰囲気中で加熱し、精密プレス成形して非球面レンズを作製した。
なお、レンズ表面に残存する炭素含有膜は大気中でアニールすることにより酸化され、
除去される。得られたレンズの光学特性は表2に示す値に正確に一致しており、着色や脈
理などの欠陥はなく高品質なものであった。
(5)態様Iにより作製したガラスXまたはYからなる板状ガラス成形体を使用した光学
素子の製造
ガラスXあるいはYからなる板状ガラス成形体を一定の寸法に切断し、互いに等しい重
量のカットピースを複数個作製し、これらをバレル研磨してプレス成形用のガラス素材と
した。ガラス素材全表面には粉末状離型剤として窒化ホウ素を均一に塗布し、大気中にて
加熱、軟化し、プレス成形型でプレス成形してレンズの近似形状に成形した。
次にアニールして歪を低減した後、表面に研削、研磨加工を施して球面レンズを作製し
た。得られたレンズの光学特性は表2に示す値に正確に一致しており、着色や脈理などの
欠陥はなく高品質なものであった。
(6)態様Iにより作製したガラスZからなる板状ガラス成形体を使用した光学素子(ガ
ラスフィルター)の製造
ガラスZからなる板状のガラス成形体を板厚方向に所定に厚みでスライス加工し、スラ
イスした面が互いに平行になるように光学研磨を施してCCDなどの半導体撮像素子の色
補正用ガラスフィルターを作製した。得られたフィルターの品質は高いものであり、近赤
外線吸収機能により撮像素子の色補正を良好に行うことができた。
(7)態様IVにより作製したガラスU,X,Yからなるガラス成形体を使用した光学素子
の製造
次に、実施例2で作製したガラスU、X、Yのそれぞれからなるプレス成形されたガラ
ス成形体の表面を研削、研磨してレンズを作製した。得られたレンズの光学特性は表2に
示す値に正確に一致しており、着色や脈理などの欠陥はなく高品質なものであった。
なお、本発明においては、表2に示したガラスに限られず、他のガラス、例えば、リン
酸ガラスやSiO2及びTiO2含有ガラスなどの種々の光学ガラスや高品質のガラスから
なるガラス成形体の製造ならびに前記ガラスからなる光学素子の製造も可能である。
本発明によれば、高品質なガラス成形体を製造するためのガラス流出パイプ、高品質な
ガラス成形体を安定して製造するためのガラス成形体の製造方法および高品質なガラス製
の光学素子を安定して製造する光学素子の製造方法を提供することができる。
本発明のガラス成形体の製造方法の1例を示す模式図である。
符号の説明
1 熔融容器
2 ガラス流出パイプ
2-1 ガラス流出口
3 鋳型
4 熔融ガラス
5 板状ガラス成形体
6 ベルトコンベア

Claims (9)

  1. 熔融ガラスをパイプから流出させて成形するガラス成形体の製造方法において、
    ガラス流出パイプとして、内径φがmm以下、内径の最大値φmaxと最小値φminの差が0.20mm以内、長さが0.3m以上、パイプの肉厚tに対する内径φの比率φ/tが0.25〜4であるガラス流出パイプを用い、
    粘度が10dPa・s以下の熔融ガラスを、通電加熱した上記ガラス流出パイプのガラス流出口から連続して鋳型に流し込んで成形し、成形したガラス成形体を鋳型から引き出すことを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  2. 熔融ガラスが、液相温度における粘度と前記液相温度より50℃高い温度における粘度の差が10dPa・s以下の粘性特性を有する請求項1に記載のガラス成形体の製造方法。
  3. ガラス流出パイプが、 白金または白金合金からなる請求項1または2に記載のガラス成形体の製造方法。
  4. ガラス流出パイプが、通電加熱用の電極を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
  5. ガラス成形体が、光学ガラスまたは光学フィルター用ガラスからなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
  6. ガラス成形体が、屈折率(nd)が1.7以上の光学ガラスからなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
  7. ガラス成形体が、リン酸ガラスまたはフツリン酸ガラスから選ばれるガラスからなる請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
  8. ガラス素材を加熱し、プレス成形する光学素子の製造方法において、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法によりガラス成形体を作製し、該ガラス成形体をガラス素材として使用することを特徴とする光学素子の製造方法。
  9. ガラス成形体を加工する光学素子の製造方法において、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法によりガラス成形体を作製し、該ガラス成形体を加工することを特徴とする光学素子の製造方法。
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