以下、実施例に基づいて本発明の実施による態様を説明する。
◎実施例1
図1は、本実施例に係る清掃機構を適用するカラープリンタ(画像形成装置)100の断面概略図である。このカラープリンタ100は、大きく分けて、画像形成部、中間転写部、用紙搬送部、定着部に分類される。画像形成部としては、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色のトナー像を形成する画像形成ユニット1K、C、M、Yと露光装置2などを備えている。さらにその画像形成ユニットK、C、M、Y内にはそれぞれ感光体ドラム10K、C、M、Y、現像装置11K、C、M、Y、その他図示はしないが、感光体ドラム10K、C、M、Yの周囲にはそれぞれ帯電装置、クリーニング装置などを備えている。
中間転写部としては、無端状の中間転写ベルト30、駆動ロール31、従動ロール32、各感光体ドラム10K、C、M、Yと中間転写ベルト30を介して対峙する一次転写ロール33K、C、M、Y、従動ロール32と中間転写ベルト30を介して対峙する二次転写ロール44などを備えている。用紙搬送部としては、プリンタ100の下方に存在する用紙トレイ40、用紙トレイ40の上端部に存在するピックアップロール41、搬送ロール対42、レジストロール対43などを備えている。定着部としては、定着ロール対45などを備えている。また、この定着ロール内には熱源としてハロゲンランプを備えている。なお、用紙トレイ40から定着ロール対45にかけて記す一点鎖線は、用紙Sの搬送経路を示している。
かかるプリンタ100において、用紙S上にカラートナー画像を形成する動作を簡単に説明する。プリンタ100は、接続されるパーソナルコンピュータなどからのプリント命令を受信すると、その命令を解析し、必要な画像処理を施し、所定タイミングで露光装置2から各色に対応した露光ビームBm(K、C、M、Y)が各感光体ドラム10K、C、M、Yへと照射される。一方、感光体ドラム10K、C、M、Yは図中矢印の方向に回転しており、その回転と共にその表面は図示しない帯電装置により一様に帯電され、次いで露光ビームBm(K、C、M、Y)によりその表面に電位差による潜像が形成される。その潜像には、各現像装置11K、C、M、Yにより各色のトナー像が静電的に保持され、顕象化される。
各感光体ドラム10K、C、M、Y表面に形成された各色のトナー像は、感光体ドラム10K、C、M、Yの回転と共に一次転写ロール33K、C、M、Yとの対峙部分(一次転写部分)に達し、これらの一次転写ロール33K、C、M、Yにより図中矢印の方向に回転している中間転写ベルト30に次々と転写され、中間転写ベルト30上でフルカラートナー像となる。そのフルカラートナー像は、中間転写ベルト30の回転と共に二次転写ロール44との対峙部分(二次転写部分)に達する。他方、用紙トレイ40内に収容されている用紙Sは、ピックアップロール41により一枚ずつ分離されて取り出される。そして、その用紙Sは、搬送ロール対42により図中一点鎖線で示す用紙経路を搬送され、レジストロール対42に達し、中間転写ベルト30上のフルカラートナー像が二次転写部分に達するタイミングで用紙Sがその二次転写部分に達するようにレジストロール対42が回転を開始する。
このようにしてフルカラートナー像と用紙Sが二次転写部分に達するタイミングが同期され、二次転写ロール44により中間転写ベルト30上のフルカラートナー像は、用紙S上に二次転写される。その後、用紙Sは定着ロール対45のニップ部分を通過し、その際の熱と圧力との作用により表面に担持するフルカラートナー像を永久像として保持し、プリンタ100上部から排出される。
ところで、係るプリンタ100内部は経時的な使用により埃が蓄積されたり、トナーが飛散する環境下にある。これらの汚れが露光装置2から照射される露光ビームBmを遮ると、たちまち出力画像に白抜け等の画像欠陥が生じてしまう。特に、このプリンタ100のように、感光体ドラム10K、C、M、Yや中間転写ベルト30の下方に露光装置2が存在しているレイアウトでは、露光装置2の上部に汚れが付着しやすい。そこで、露光ビームBmを遮り、画像欠陥が発生するのを防止すために、このプリンタ100には案内板と清掃部材とからなる清掃機構が採用されている。
まず、この清掃機構の構造を図2〜図5を用いて説明する。
図2は、露光装置2とその上部に設置される案内板5とを互いに離して描いた斜視図である。露光装置2の上面には、各色に対応する露光ビームBm(K、C、M、Y)がそれぞれ透過して照射されるシールガラス(被清掃部材)20K、C、M、Yがそれぞれプリンタの手前から奥側に平行に備えられる。なお、このシールガラス20K、C、M、Yの長手方向長さをl(エル)とする。一方、案内板5には、露光装置2の上部に設置される状態で各シールガラス20K、C、M、Yする部分にガイドレール(ガイド部材)50を備えている。なお、このガイドレール50の長手方向長さをLとする。
図3は、設置状態における図2中の一のガイドレール50のA−A´断面を示すものである。各ガイドレール50K、C、M、Yは露光装置2のシールガラス20K、C、M、Yに対峙しており、その長手方向長さLは、シールガラス20K、C、M、Yの長手方向長さlよりも長く構成されている。また、一のガイドレール50には、その両サイドに断面L字形状の第一及び第二のサイドレール52a、bを備えており、それぞれ第一及び第二のサイドレール52a、bの凸形状51a、bは露光ビームBmの照射を妨げないように所定の空間を挟んで向き合っている。なお、シールガラス20上面から凸形状51a、b下面までの高さをH2とし、シールガラス20上面から凸形状51a、b上面までの高さをH1とし、サイドレール52a、bの(凸形状51a、bを含まない)間隔をWとする。
図4は、清掃部材6の斜視図である。この清掃部材6は、清掃ユニット本体66と柄部分65とから構成されており、清掃ユニット本体66は柄部分65に対して取り外し自在に構成されている。また清掃ユニット本体66は、ハウジング部材60とクリーニング部材64とを備えている。さらにハウジング部材60は、略ボックス形状であり、その上面両サイドには略直角のサイドエッジ61a、bを備え、両側面には凹形状の溝部分62a、bが形成されている。なお、図では省略して描いているが、柄部分65の長さはプリンタ100の外から挿入する清掃ユニット本体60がプリンタ100の奥に十分達することができる程度の長さで構成されている。
図5は、図4中の清掃ユニット66のB−B´断面を示すものである。同図に示すように、クリーニング部材64は弾性部材63を包み、ハウジング部材60に取り付けられている。ここでクリーニング部材64としては不織布を採用しており、弾性部材63としてはウレタンスポンジを採用している。また、クリーニング部材64の幅はw1、ハウジング部材60の幅はw2、クリーニング部材64の下面からハウジング部材60の溝部分62a、b上面までの高さはh1、クリーニング部材64の下面からハウジング部材60のサイドエッジ61a、b(ハウジング部材60上面)までの高さはh2である。ここで高さh1、h2はいずれもハウジング部材60(弾性部材63)に荷重が加わらない状態での高さであり、ハウジング部材60(弾性部材63)に上方から荷重が加われば弾性部材63が弾性変形することにより、この高さh1、h2は小さくなる。
次に、このような清掃機構の使用方法及び動作について図6〜図8を用いて説明する。
ユーザは、清掃部材6を各ガイドレール50K、C、M、Yに沿って挿入、取り出しを順に行うことにより、各シールガラス20K、C、M、Yの表面を順番に掃除する。
図6は、一のガイドレール50に清掃部材6を挿入する動作について説明するものである。同図に示すように、ガイドレール50の凸形状51a、bをそれぞれハウジング部材60の溝部分62a、bと嵌合させ、ガイドレール50が清掃ユニット本体66を保持している。図6(a)は、ガイドレール50の凸形状51a、bをそれぞれハウジング部材60の溝部分62a、bと嵌合させる際の様子を、図6(b)は、ガイドレール50が清掃ユニット本体66を保持している状態でプリンタ100の外側から内側へと(以下、この方向を「往路方向A」という)挿入する様子をそれぞれ示している。
図8(a)は、清掃ユニット本体66を往路方向Aに挿入する際の清掃ユニット本体66とシールガラス20との位置関係を説明するものである。同図に示すように、清掃ユニット本体66のクリーニング部材64とシールガラス20とは互いに接触していない。これは、シールガラス20上面からガイドレール50の凸形状51a、b上面までの高さH1(図3参照)と、クリーニング部材64の下面からハウジング部材60の溝部分62a、b上面までの高さh1(図5参照)との関係が、h1<H1となるように構成されているためである。なお、サイドレール52a、bの(凸形状51a、bを含まない)間隔W(図3参照)とハウジング部材60の幅w2(図5参照)とは略等しく構成されている。
一方、図7は一のガイドレール50に清掃部材6を引き出す動作について説明するものである。図6(b)に示したように清掃ユニット本体66はガイドレール50により保持されるが、ユーザが柄部分65を押し入れ清掃ユニット本体66をさらにプリンタ100内側に挿入するとガイドレール50の後端に達し、ガイドレール50の凸形状51a、bとハウジング部材60の溝部分62a、bとの嵌合が解除され、清掃ユニット本体66は露光装置2の上面であり、シールガラス20表面以外の部分に脱落する。図7(c)は、清掃ユニット本体66が露光装置2の上面に脱落した状態を示している。
次に、ユーザが柄部分65を引っ張ることにより、今度はガイドレール50の凸形状51a、bとハウジング部材60のサイドエッジ61a、bとが嵌合し、清掃ユニット本体66はガイドレール50に保持される。さらにユーザが柄部分65を引っ張ると、清掃ユニット本体66はガイドレール50に保持されたまま、プリンタ100の内側から外側へと(以下、この方向を「復路B方向」という)引き出される。図7(d)は、清掃ニット本体66が復路B方向に引き出されている様子を示すものである。
図8(b)は、清掃ユニット本体66が復路方向Bに引き出される際の清掃ユニット本体66とシールガラス20との位置関係を説明するものである。同図に示すように、清掃ユニット本体66のクリーニング部材64とシールガラス20とは互いに接触している。これは、シールガラス20上面からガイドレール50の凸形状51a、b下面までの高さH2(図3参照)と、クリーニング部材64の下面からハウジング部材60(サイドエッジ61a、b)上面までの高さh2(図5参照)との関係が、H2<h2となるように構成されているためである。
つまり、清掃ユニット本体66が復路方向Bに引き出される際には、清掃ユニット66の高さh2は、変軽量(h2−H2)だけ低くなっている。これは、ガイドレール50の凸形状51a、bによりハウジング部材60のサイドエッジ61a、bが押し圧され、清掃ユニット本体66の弾性部材63が弾性変形するためである。また、クリーニング部材64の幅w1(図5参照)は、シールガラス20の幅よりも若干広めに構成されている。そのため、クリーニング部材64はシールガラス20に対して略均等に当接している。本実施例では、その当接圧Pは、0.49〔N/cm2 〕≦P≦1.63〔N/cm2 〕の範囲となっている。言い換えれば、かかる範囲内の当接圧Pとなるように清掃ユニット本体66の高さh2、ガイドレール50の高さH2、弾性部材63の弾性係数等を設計している。
さて、このような使用方法、動作によりシールガラス20の清掃を行うため、清掃ユニット本体66は往路方向Aに挿入される際にはシールガラス20と接触せず、復路方向Bに引き出される際にのみシールガラス20と接触し、その表面の汚れを除去することができる。その結果、プリンタ100内に汚れをばらまいてしまうことが防止でき、不必要なクリーニング部材64の磨耗も防止することができる。さらに、その復路方向Bでクリーニング部材64がシールガラス20に接触する圧力を適切な範囲に規定しているため、操作感を損なうことなく十分なクリーニング効果を発揮することができる。
また、複数回このような清掃作業を繰り返すと、クリーニング部材64の表面に多くの汚れが付着し、クリーニング効果が低下してしまう。かかる場合には、清掃ユニット本体64を新しいものと交換することにより、所期のクリーニング効果を奏することができると共に、清掃部材6全体を交換する場合に比べて経済的、かつ省資源に資するものである。
なお、本実施例では清掃ユニット本体66は往路方向Aに挿入される際にはシールガラス20と接触せず、復路方向Bに引き出される際にのみシールガラス20と接触するものであるが、勿論これが逆の場合、つまり清掃ユニット本体66は往路方向Aに挿入される際にのみシールガラス20と接触し、復路方向Bに引き出される際にはシールガラス20と接触しないように使用してもよい。
○変形例1
本変形例は、実施例1にかかる清掃機構の改良であり、清掃ユニット本体66がガイドレール50から脱落してから、再びガイドレール50に保持されるまでの動作をより円滑に行うためのものである。図9は、露光装置2とその上部に設置される案内板5´とを互いに離して描いた斜視図である。案内板5´には、露光装置2の上部に設置される状態で各シールガラス20K、C、M、Yする部分にガイドレール(ガイド部材)50K、C、M、Yを備えている。そして、各ガイドレール50K、C、M、Yの後端側には、その幅が徐々に大きくなる案内形状51K、C、M、Yを備えている。図10は、清掃部材6´の斜視図である。この清掃部材6´のハウジング部材60のサイドエッジ61a、bの柄部分65側には、その幅が徐々に狭くなる被案内形状67a、bを備えている。
本変形例では、このような案内形状51K、C、M、Yと被案内形状67a、bとを備えているため、清掃ユニット本体66がガイドレール50から脱落してから、再びガイドレール50に保持されるまでの動作をより円滑に行うことができる。つまり、清掃ユニット本体66がガイドレール50の後端側に達すると、ガイドレール50の凸形状51a、bとハウジング部材60の溝部分62a、bとの嵌合が解除され、清掃ユニット本体66は露光装置2の上面に脱落する(図7(c)参照)。次に、ユーザが柄部分65を引っ張ることにより、今度はガイドレール50の凸形状51a、bとハウジング部材60のサイドエッジ61a、bとが案内形状51K、C、M、Yと被案内形状67a、bとに導かれて容易に嵌合し、清掃ユニット本体66はガイドレール50に保持される。
なお、本変形例では案内板5に案内形状51K、C、M、Yを、清掃部材6に被案内形状67a、bをそれぞれ設けるものであるが、いずれか一方を設ける場合でもある程度円滑に清掃ユニット本体66を再びガイドレール50に保持されることができる。
○変形例2
実施例1にかかる清掃機構の改良であり、清掃ユニット本体66に付着する汚れを除去してその劣化を防止すると共に、その除去した汚れが再びプリンタ100内を汚染しないようにするためのリフレッシュ機構を備えるものである。
図11は、本変形例に係る清掃機構の一部、露光装置2の上面にリフレッシュ機構を設けるものである。図11(a)に示すように、このリフレッシュ機構7は露光装置2上面のプリンタ装置外側(往路方向B側)側に設けられている。図11(b)は、図11(a)に示したリフレッシュ機構7の構成をより詳細に説明するものである。同図に示すように、上方に突出する爪形状(除去手段)70と、その爪形状70よりもプリンタ100外側に設けられる第一溝形状(保持手段)71と、爪形状70よりもプリンタ100内側に設けられる第二溝形状(保持手段)72とにより構成される。なお、これら爪形状70、第一及び第二の溝形状71、72の幅は、少なくともクリーニング部材64の幅w1よりも広く構成されている。
図12は、このリフレッシュ機構7の作用を説明するものである。図12(a)は清掃ユニット本体66がガイドレール50に保持され、往路方向Aへと挿入される様子を示している。この際、爪形状70によりクリーニング部材64の表面が摺擦され、前回の清掃作業によりクリーニング部材64に付着しているトナーや埃などの汚れGが除去される。そして汚れが除去された状態でクリーニング部材64は(復路方向Bにおいて)シールガラス20表面を清掃するため、クリーニング性能を長期間にわたり維持することができる。また、除去された汚れGは第一溝形状71に保持され、プリンタ100内のシールガラス20などを汚染することはない。
一方、図12(b)は清掃ユニット本体66がガイドレール50に保持され、復路方向Bへと引き出される様子を示している。この際、爪形状70によりクリーニング部材64の表面が摺擦され、今回の清掃作業によりクリーニング部材64に付着したトナーや埃などの汚れGが除去される。そして汚れが除去された状態でクリーニング部材64は(次回の清掃作業の復路方向Bにおいて)シールガラス20表面を清掃するため、クリーニング性能を長期間にわたり維持することができる。また、除去された汚れGは第二溝形状72に保持され、プリンタ100内のシールガラス20などを汚染することはない。
なお、本変形例ではこのリフレッシュ機構7をプリンタ100の外側、つまりシールガラス20よりも復路方向B側に設けるものであるが、これに限らずリフレッシュ機構7をプリンタ100の内側、つまりシールガラス20よりも往路方向A側に設けるものでもよいし、さらにその両方に設けるものでもよい。
○変形例3
本変形例は、実施例1にかかる清掃機構の改良であり、清掃ユニット本体66にガイドレール50の掃除機能を付与したものである。すなわち、露光装置2のシールガラス20に対して埃やトナー等の汚れGが付着するのと同様、かかるシールガラス20に対峙しているガイドレール50にも汚れが付着し易い。従って、図17(a)に示すようにガイドレール50に汚れが付着した状態で清掃ユニット本体66をガイドレール50に沿って滑らせると、図17(b)に示すように清掃ユニット本体66が通過した後にガイドレール50に付着していた汚れGがシールガラス20上に落下し、せっかくの清掃作業が台無しになる恐れがある。
このため、図18に示すように、本変形例では清掃ユニット本体66のハウジング部材60の両側面、サイドエッジ61a,b及び溝部分62a,bにも不織布からなるクリーニング部材64を設け、清掃部材6の挿入及び引き出しの動作に伴ってガイドレール50に付着した汚れGも拭い取るように構成している。図19(a)は清掃ユニット本体66を往路方向Aに挿入する際の該清掃ユニット本体66とガイドレール50との関係を示す断面図である。往路方向に挿入する際には、ハウジング部材60の両側面に設けられたクリーニング部材64がサイドレール52a,bの内側面の汚れを拭い取る一方、溝部分62a,bに設けられたクリーニング部材64がサイドレール52a,bの凸形状51a,bの下面側の汚れを拭い取るようになっている。また、図19(b)は清掃ユニット本体66を復路方向Bに引き出す際の該清掃ユニット本体66とガイドレール50との関係を示す断面図である。復路方向に引き出す際にも、ハウジング部材60の両側面に設けられたクリーニング部材64がサイドレール52a,bの内側面の汚れを拭い取る一方、サイドエッジ61a,bを覆うようにして設けられたクリーニング部材64がサイドレール52a,bの凸形状51a,bの下面側の汚れを拭い取るようになっている。
本変形例では、このように清掃ユニット本体66がガイドレール50に付着した汚れGを拭い取るクリーニング部材64を備えているため、清掃部材6を用いてシールガラス20の清掃を行った後は、ガイドレール50自体に付着した汚れGも掃除することができ、ガイドレール50に付着していた埃やトナーがシールガラス20上に落下して、感光体ドラムに対する露光の障害になるといった不測の事態を避けることが可能となる。特に、この変形例が適用される実施例1では、清掃ユニット本体66を装置内から引き出す復路においてシールガラス20の清掃を行っているので、清掃ユニット本体66を装置内に挿入する往路においてガイドレール50の汚れを掃除し、かかる掃除によってガイドレール50からシールガラス20上に落下した埃等を復路において拭い取ることができ、併せてこの復路において再度ガイドレール50の掃除が行われるので、清掃部材6の一回の往復動作でシールガラス20及びガイドレール50の双方を完全に掃除することができるものである。
○変形例4
本変形例は、実施例1にかかる清掃機構の改良であり、露光装置2のシールガラス20の周囲をも清掃する機能を上記清掃部材6に与え、かかるシールガラス20に対する埃やトナー等の汚れ付着の防止に万全を図ったものである。すなわち、露光装置2のシールガラス20に付着した汚れを上記清掃部材6によって拭い取る場合、かかる汚れのうち、清掃ユニット本体66のクリーニング部材64に絡め捕られるものは問題とならないが、図20(a)に示すように清掃ユニット本体66がシールガラス20上を移動しても、図20(b)に示すようにクリーニング部材64に絡め捕られることなくシールガラス20の周囲に移動してしまう汚れもあり、このようにシールガラス20の周囲に押し退けられてしまった埃等は、後にプリンタ100に対して振動が作用すると、再度シールガラス20の上に乗っかってきてしまう恐れがある。
このため、図21に示すように、本変形例ではシールガラス20の両側にその長手方向に沿って埃やトナー等の汚れの補集溝21を設け、清掃ユニット本体66がシールガラス20の表面の汚れを拭い取った際に、かかるシールガラス20から押し退けられた汚れが該シールガラス20の周囲に拡がることなく、上記補集溝21の内部に溜まるように構成している。また、図22に示すように、清掃ユニット本体66のハウジング部材60の下面側には上記補集溝21に対応する掻き取り部材22が設けられており、図23に示すように清掃ユニット本体66がシールガラス20に押しつけられた際に、かかる掻き取り部材22が露光装置2の上面に設けられた補集溝21に入り込むようになっている。この掻き取り部材22は補修溝21内に溜まった埃やトナー等の汚れを清掃ユニット本体66の移動に併せて掻き出してくるものであれば良く、例えば、一定の弾性力を備えた樹脂フィルムやブラシを用いることができる。
そして、このように構成された本変形例によれば、清掃ユニット本体66の移動によってシールガラス20上から押し退けられた埃等の塵芥を上記補修溝21によって受け止め、これら塵芥がシールガラス20の周囲に拡散してしまうのを防止することができ、また、清掃ユニット本体66がシールガラス20の汚れを拭い取る際には、上記補修溝21の内部に溜まった塵芥が上記掻き取り部材22によって清掃ユニット本体66の移動方向に掻き出され、シールガラス20及びその周囲を併せて掃除することができるものである。このため、清掃部材6を用いてシールガラス20を清掃したにもかかわらず、かかるシールガラス20の周囲の塵芥が再度シールガラス20に付着してしまうといったトラブルを回避することが可能となる。また、図11に示されるように、シールガラス20の長手方向の一端に溝形状72を設け、上記補集溝21をこの溝形状72と連通させておけば、掻き取り部材22によって補修溝21から掻き出した塵芥を溝形状72に受け止めて集めることができる。
◎実施例2
本実施例は、実施例1の変形例2において説明したリフレッシュ機構7を画像形成ユニットに取り付けられるクリーニング部材64´に適用するものである。
図1は、本実施例に係る清掃機構を適用するカラープリンタ(画像形成装置)100の断面概略図である。このカラープリンタ100は、大きく分けて、画像形成部、中間転写部、用紙搬送部、定着部に分類される。画像形成部としては、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色のトナー像を形成する画像形成ユニット1K、C、M、Yと露光装置2などを備えている。この各画像形成ユニット1K、C、M、Yは、いずれもプリンタ100内側から外側の方向(以下、「往路方向C」という)、外側から内側の方向(以下、「復路方向D」という)に引き出し、引き戻し自在に構成されている。なお、実施例1の構成と同一の構成については同一の符号を付し、その構成及び動作の説明は省略する。
この画像形成ユニット1の引き出し、引き戻しは、例えば感光体ドラム10K、C、M、Yの交換、記録シートのジャム処理、メインテナンスなどの際に行われる。そして、本実施例に係る清掃機構はこの画像形成ユニットの引き出し、引き戻し動作と同時に露光装置2のシールガラス20の汚れGを除去するものである。
図13〜図15はいずれも本実施例に係る清掃機構及びリフレッシュ機構7´の構成及びその動作を説明するものである。
この清掃機構として、各画像形成ユニット1K、C、M、Yの下部に、各シールガラス20K、C、M、Yを摺擦可能なクリーニング部材64´K、C、M、Yが取り付けられている。このクリーニング部材64´の幅はシールガラス20の全面を摺擦できる程度の幅である。なお、このクリーニング部材64´内部には弾性体の基材が存在する。一方、リフレッシュ機構7´として、露光装置2上面のプリンタ装置外側(往路方向C側)側に設けられている。より具体的には、上方に突出する爪形状(除去手段)70´と、その爪形状70よりもプリンタ100外側に設けられる第一溝形状(保持手段)71´と、爪形状70´よりもプリンタ100内側に設けられる第二溝形状(保持手段)72´とにより構成される。なお、これら爪形状70´、第一及び第二の溝形状71´、72´の幅は、少なくともクリーニング部材64´の幅よりも広く構成されている。
まず図13、図14を用いて清掃機構の動作を説明する。図13は、画像形成ユニット1が往路方向Cへ引き出される動作を示している。初期状態では図13(a)に示すように、画像形成ユニット1はプリンタ100の内側に設置されている。このような状態から、ユーザなどが感光体ドラム10の交換、記録シートのジャム処理、プリンタ100のメインテナンスなどのために、プリンタ100の外装パネル(図示せず)を開け、画像形成ユニット1を外側に引き出そうとする。図13(b)は、画像形成ユニット1が引き出されつつある状態を示している。同図に示すように、この状態ではクリーニング部材64´が画像形成ユニット1の往路方向Cへの動きと共にシールガラス20を摺擦し、その表面を掃除している。そして、図13(c)に示すように、画像形成ユニット1が完全に外側に引き出された状態では、既にシールガラス20の長手方向全面がクリーニング部材64´により掃除された状態となっている。
図14は、画像形成ユニット1が復路方向Dへ引き戻される動作を示している。図14(d)は、画像形成ユニット1がプリンタ100の外側に完全に引き出された状態である(図13(c)と同様)。このような状態から、感光体ドラム10の交換、記録シートのジャム処理、プリンタ100のメインテナンスなどが終了すると、ユーザなどが画像形成ユニット1を内側へ引き戻そうとする。図14(e)は、画像形成ユニット1が引き戻されつつある状態を示している。同図に示すように、この状態ではクリーニング部材64´が画像形成ユニット1の復路方向Dへの動きと共にシールガラス20を摺擦し、再びその表面を掃除している。そして、図14(f)に示すように、画像形成ユニット1が完全に内側に引き戻された状態では、シールガラス20の長手方向全面が再びクリーニング部材64´により掃除された状態となっている。
次に図15を用いてリフレッシュ機構7´の作用を説明する。図15(a)、図15(b)はいずれも画像形成ユニット1が往路方向Cへと引き出される際(図13(b)〜(c)参照)のリフレッシュ機構7´の作用を説明するものであり、図15(c)は画像形成ユニット1が復路方向Dへと引き戻される際(図14(d)〜(e)参照)のリフレッシュ機構7´の作用を説明するものである。
シールガラス20の表面を摺擦するクリーニング部材64´は、シールガラス20の外側端部に至るまでに大量の汚れをその表面部分及び進行方向(往路方向C)部分に保持している。クリーニング部材64´が第二溝形状72´に達すると、それらの汚れのうちクリーニング部材64´の進行方向部分に保持している汚れG1が第二溝形状72´へと収容される(図15(a)参照)。さらにクリーニング部材64´が画像形成ユニット1の動きと共に往路方向Cへと移動すると、クリーニング部材64´と爪形状70´とが接触し、クリーニング部材64´の表面に付着している汚れG2が爪形状70´により掻きとられ、第二溝形状72´へと収容される(図15(b)参照)。
逆に、クリーニング部材64´が画像形成ユニット1の動きと共に復路方向Dへ移動すると、クリーニング部材64´と爪形状70´とが再び接触し、クリーニング部材64´の表面に残留している僅かな汚れG3も爪形状70´により掻きとられ、第一溝形状71´へと収容される(図15(c)参照)。そして、これらの作用(図15(a)〜(c)参照)によりリフレッシュされたクリーニング部材64´がシールガラス20表面を掃除するため、往路において保持した汚れを復路においてシールガラス20に付着させることがない。
なお、本実施例ではこのリフレッシュ機構7´をプリンタ100の外側、つまりシールガラス20よりも往路方向C側に設けるものであるが、これに限らずリフレッシュ機構7´をプリンタ100の内側、つまりシールガラス20よりも復路方向D側に設けるものでもよいし、さらにその両方に設けるものでもよい。
◎実験例
本発明を完成させるまでに本発明者らは様々な実験を行ったが、ここではその一部として、(1)清掃部材が被清掃部材に対して往復接触する場合と一方接触する場合とのクリーニング効果の確認実験、(2)清掃部材が被清掃部材に接触する接触圧の好ましい範囲の確認実験について以下、説明する。
○実験1(往復vs一方)
まずこの実験の方法について説明する。クリーニング部材をシールガラスに対して往復させる実験では、(1)サンプル汚れをシールガラス上の所定位置に散布し、(2)シールガラスの外側端から内側端へクリーニング部材を所定当接圧でそのシールガラス上に当接させて移動させ、(3)さらにその内側端から外側端へクリーニング部材をシールガラス上に当接させて移動させ、(4)シールガラス上の汚れ具合を評価する。一方、クリーニング部材をシールガラスに対して一方方向のみ移動させる実験では、(1)サンプル汚れをシールガラス上の所定位置に散布し、(2)シールガラスの内側端から外側端へクリーニング部材を所定当接圧でそのシールガラス上に当接させて移動させ、(3)シールガラス上の汚れ具合を評価する。
ここで、サンプル汚れとしてトナー汚れと土埃汚れの二種類の汚れを用いた。トナー汚れとは、所定量のトナーをシールガラス上に落とすことにより、シールガラス表面を汚すものである。土埃汚れとは、JIS7種、8種に規定される土埃を混合したものである。なお、トナー汚れはシールガラスの内側へ、土埃汚れはシールガラスの外側へ散布した。また、クリーニング部材としてトレシーMCクロス(東レ(株)製、商品名)とTX604(テックスワイプ社製、商品名テクニクルー)の二種類のクリーニング部材を用いた。また、シールガラス上の汚れの評価は、「○」:シールガラス上に汚れが確認されない、「△」:シールガラス上の光路外に僅かな汚れが確認される、「×」:シールガラスの光路上に汚れが確認される、又は光路外でも多くの汚れが確認される、の三段階で評価した。なお、本実験ではクリーニング部材を取り替えることなくこのような評価を4回行った。
次にこの実験の結果を説明する。表1は、この実験結果をまとめたものである。表1に示すように、いずれのクリーニング部材、いずれの汚れ種類においても、クリーニング部材をシールガラスに対して往復させてクリーニングする場合には「△」評価、「×」評価が存在する一方、クリーニング部材をシールガラスに対して一方方向のみ移動させてクリーニングする場合には「△」評価、「×」評価が存在せず、良好なクリーニング性能を発揮することが確認される。これは、往路方向でクリーニング部材が保持する汚れを、復路において放してしまうためであると考えられる。すなわち、本発明者らはこの実験から、当該清掃部材が被清掃部材に一方向のみ接触する方が、往復方向で接触するよりもクリーニング効果が高いことを見出し、確認した。
○実験2(接触圧)
まずこの実験の方法を説明する。この実験は、(1)サンプル汚れをシールガラス上に散布し、(2)シールガラスの内側端から外側端へクリーニング部材を所定当接圧でそのシールガラス上に当接させて移動させ、(4)シールガラス上の汚れ具合を評価し、(5)シールガラス上に汚れが確認されるまで(クリーニング部材の交換なしに)(1)〜(4)を繰り返し、その回数を記録するものである。さらに、このような実験をクリーニング部材のシールガラスに対する当接圧を変更して複数回行い、その際のユーザの操作感についても評価を行った。
ここで、サンプル汚れとしてトナー汚れ、土埃汚れ、10%均一汚れの三種類の汚れを用いた。トナー汚れ、土埃汚れについては実験1において説明した。10%均一汚れとは、シールガラスに対する透過光量が10%低下するようなトナー汚れをシールガラスの全面に散布した汚れである。また、クリーニング部材のシールガラスに対する当接圧は、0.16〔N/cm2 〕から1.63〔N/cm2 〕の間で複数段階変更して実験を行った。
次にこの実験の結果を説明する。図16は、この実験結果をまとめた折れ線グラフである。このグラフにおいて、横軸はクリーニング部材に加わる荷重、すなわちシールガラスに対する当接圧を示しており、縦軸はシールガラス上に汚れが確認されるまでの実験回数を示している。また、同グラフ中の各折れ線のうち、黒塗り四角はトナー汚れを、黒塗り丸は土埃汚れを、白丸は10%均一汚れをそれぞれ示している。
このグラフから、いずれの汚れも当接圧が高くなればなる程、シールガラス上に汚れが確認されるまでの実験回数が多くなる、すなわち各汚れが除去されやすくなることが分かる。また、10%均一汚れが他の汚れ(トナー汚れ、土埃汚れ)に比べてシールガラス上に汚れが確認されるまでの実験回数が少ない、すなわち除去しにくい汚れであることが分かる。そこで本発明者らは、比較的除去しにくい汚れである10%均一汚れを基準として、クリーニング部材のシールガラスに対する当接圧の下限を決定することとした。そして、本発明者らは最低限必要なクリーニング回数を4回として、当接圧の下限、0.49〔N/cm2〕を得た。
また、上述のように当接圧が高くなればなる程、クリーニング性能は向上する。一方、あまりに当接圧が高いと(操作が重くなるため)ユーザの操作感を損なってしまう。そこで本発明者らは、ユーザの操作感を考慮して当接圧の上限を決定することとし、その値を1.63〔N/cm2 〕とした。
つまり、本発明者らはこの実験により、十分なクリーニング性能とクリーニングの際の操作感、シールガラス及び支え部の強度の問題等を両立する観点からは、清掃部材が被清掃部材に接触する場合の当接圧Pは、0.49〔N/cm2 〕≦P≦1.63〔N/cm2 〕であることが好ましいことを見出し、それを確認した。
本実施例に係る技術においては、感光体ユニットや帯電装置を出し入れする際に限りシールガラス表面を掃除するものであるため、シールガラスの汚れ具合によっては、感光体ユニットなどの出し入れをするまでに既に多くの汚れが付着しており画像欠陥が生じてしまう場合や、あまり汚れが付着していないにもかかわらず感光体ユニットなどの出し入れをすることにより清掃部材をいたずらに消耗させてしまうなどの問題がある。また、これら感光体ユニットや帯電装置を出し入れの動作に伴ってシールガラスを掃除するものであるため、その往路において多くの汚れを吸着した清掃部材が吸着した汚れの一部をその復路において再びシールガラスに付着させて、掃除効果が低減してしまい、場合によっては却って汚れを周囲にばらまいてしまうなどの問題もある。
一方、ユーザなどが掃除ブラシで掃除する場合には、シールガラスの表面の汚れ具合を確認してから適切な時期に掃除を行うことができるが、シールガラスの表面の汚れが画像形成装置内の周囲に飛び散り、場合によっては他の装置に悪影響を及ぼしかねない。
本実施例はこのような問題点に鑑みた実施例であり、画像形成装置内の部品交換時期に限らず適切な時期に掃除を行うことができ、しかもその掃除効果が高い画像形成装置の清掃機構を提供している。
また、本実施例では、画像形成装置内外に出し入れ可能な清掃部材を備え画像形成装置内の被清掃部材の表面を掃除する清掃機構において、清掃部材が被清掃部材に対して一方向のみから接触するもの、例えば、清掃部材を画像形成装置内に挿入する方向、又は画像形成装置内から引き出す方向のいずれか一方向のみ当該清掃部材が被清掃部材に接触するものである。
このように画像形成装置の清掃機構を構成することにより、画像形成装置内の何らかの部品(感光体ユニットや帯電装置など)との交換時期とは無関係に、被清掃部材の汚れ具合に応じた適切な時期に被清掃部材を掃除することができる。その結果、被清掃部材の汚れにより画像形成装置内に不具合が生じる前にその汚れを掃除することができるとともに、不必要な掃除を行うことがないため清掃部材の消耗を抑制することができる。
また、清掃部材を画像形成装置内に挿入する方向、又は画像形成装置内から引き出す方向のいずれか一方向のみ当該清掃部材が被清掃部材に接触するため、従来のもののように、挿入する方向において多くの汚れを吸着した清掃部材が、吸着した汚れの一部をその引き出す方向において再び被清掃部材に付着させてしまうことがなく、より高い掃除効果を発揮することができる。ここで、清掃部材が被清掃部材と接触するのは、清掃部材を画像形成装置内に挿入する方向、又は画像形成装置内から引き出す方向のいずれでもよいが、清掃部材を引き出す途中で(被清掃部材と接触しないまでも)吸着させた汚れの一部を保持しきれなくなる可能性を考慮すると、画像形成装置内から引き出す方向で清掃部材は被清掃部材と接触することが好ましい。
このような構成を実現するより具体的な構成としては、清掃部材が画像形成装置内に挿入される第一の経路と、画像形成装置内から引き出される第二の経路とが互いに異なる経路となるよう規制する経路規制手段を備えるものが挙げられる。また、経路規制手段の態様としては、(1)ガイド部材を2系統設けるもの、(2)清掃部材の被ガイド形状を2系統設けるものが挙げられる。
すなわち、ガイド部材を2系統設ける態様の具体的な構成は、上記経路規制手段は、画像形成装置に設けられ画像形成装置外から画像形成装置内にかけて被清掃部材との対峙部分を経路上に含む第一及び第二のガイド部材と、清掃部材に設けられこれら第一及び第二のガイド部材のうちいずれか一方と選択的に嵌合可能な被ガイド形状とを備え、当該経路上の対峙部分において当該被ガイド形状が第一のガイド部材と嵌合する場合には当該清掃部材と被清掃部材とが接触し、当該被ガイド形状が第二のガイド部材と嵌合する場合には清掃部材と被清掃部材とが非接触となるように構成されるものである。なお、第二のガイド部材の経路上には被清掃部材との対峙部分を含む必要は必ずしもない。
また、清掃部材の被ガイド形状を2系統設ける態様の具体的な構成は、上記経路規制手段は、画像形成装置に設けられ画像形成装置外から画像形成装置内にかけて被清掃部材との対峙部分を経路上に含むガイド部材と、清掃部材に設けられいずれか一方がこのガイド部材と嵌合可能な第一及び第二の被ガイド形状とを備え、当該経路上の対峙部分において当該第一の被ガイド形状がガイド部材と嵌合する場合には当該清掃部材と被清掃部材とが接触し、当該第二の被ガイド形状がガイド部材と嵌合する場合には清掃部材と被清掃部材とが非接触となるように構成されるものである。
さらにこの場合に、清掃部材の構成をより簡易にする観点からは、上記ガイド部材が凸形状を備え、上記第一の被ガイド形状がその凸形状により被清掃部材側に付勢される清掃部材の上面エッジであり、上記第二の被ガイド形状がその凸形状により被清掃部材に接触しないように保持される清掃部材の側面凹形状であることが好ましい。
このように、清掃部材を画像形成装置側に設けられたガイド部材に案内させて該装置の内外に出し入れするように構成した場合、シールガラス等の被清掃部材に対して埃やトナーが付着するのであれば、かかる被清掃部材と対峙するガイド部材にも同様に埃やトナーが付着してしまう筈であり、清掃部材を無造作に出し入れすると、ガイド部材に付着した埃やトナーが被清掃部材の上に落下してしまうといったことも考えられる。従って、かかる観点からすれば、清掃部材を画像形成装置内に挿入する際又は画像形成装置外へ引き出す際に、かかる清掃部材が上記ガイド部材をも掃除するように構成するのが好ましい。
また、上記清掃部材が画像形成装置に対する出し入れの際に被清掃部材を掃除するとしても、かかる清掃部材が接触しない被清掃部材の周囲には該清掃部材によって押し退けられた埃やトナーが溜まってしまう傾向にあり、例えば、画像形成装置の運搬時等に作用する振動等によってこれら埃やトナーが被清掃部材の上に乗ってしまうことも考えられる。このため、清掃部材によって押し退けられた埃等を被清掃部材の周囲からも積極的に取り除くという観点からすれば、かかる被清掃部材の両側には清掃部材の挿入方向に沿って一対の補集溝を形成する一方、上記清掃部材にはその挿入又は引き出しに伴って上記補集溝内を清掃する掻き取り部材を設けるのが好ましい。
ところで、本実施例ではいずれも清掃部材を画像形成装置内に挿入する方向、又は画像形成装置内から引き出す方向のいずれか一方向のみ当該清掃部材が被清掃部材に接触するものであるが、その接触する場合の当接圧Pが余りに低くては掃除の効果が十分に発揮されない。一方、当接圧Pが余りに高くてはユーザの掃除を行う際の操作感が損なわれる。本発明者らはかかる観点から、本実施例に係る適切な当接圧Pを見出した。すなわち、本実施例においては、上記清掃部材が被清掃部材に接触する場合の当接圧Pは、0.49〔N/cm2 〕≦P≦1.63〔N/cm2 〕としている。
なお、被清掃部材としては画像形成装置内の掃除が必要な部品であれば任意の部品よいが、例えば、露光装置から感光体に至る光路上に存在する透明体が挙げられる。さらに、埃やトナー等の汚れが付着しやすいため、露光装置が感光体の下方に存在する画像形成装置の透明体に本実施例に記載の清掃部材を適用することがより好ましい。他の被清掃部材としては、例えば各種の光学センサなどが挙げられる。
また、清掃部材はその使用により徐々に被清掃部材と接触する部分を中心に汚れてしまい、その掃除効果が低下するものである。一方、汚れた清掃部材のすべてを廃棄するのは不経済であるばかりか、省資源の観点からも問題がある。そこで、上記清掃部材は、被清掃部材と接触する部分と接触しない部分とが脱着可能であるものとすることが好ましい。清掃機構をこのように構成することにより、清掃部材が使用により汚れた場合でも、被清掃部材と接触しない部分は交換することなく使用しつづけることができ、経済的であると共に省資源の観点からも好ましい。
同様に、経済性、省資源性を考慮すれば、清掃部材はできるだけ多くの回数使用することが好ましい。そこで、上記被清掃部材よりも画像形成装置内側及び/又は画像形成装置外側に清掃部材に付着する汚れを除去する除去手段を備えることもできる。清掃機構をこのように構成することにより、清掃部材を画像形成装置内外に出し入れする度に、その清掃部材に付着する汚れは除去手段により除去されるため、清掃部材の掃除効果があまり低下せず、結果としてより多くの回数使用することができる。なお、この除去手段の具体的な構成としては、清掃部材側に突出する突起状のものや爪状のものが挙げられる。
さらに、除去手段により清掃部材から除去された汚れが再び画像形成装置内にばら撒かれるのを防止するために、上記除去手段よりも画像形成装置内側及び/又は上記除去手段よりも画像形成装置外側に除去される汚れを保持する保持手段を備えることが好ましい。清掃機構をこのように構成することにより、清掃部材が除去手段を通過するたびに除去される汚れは、保持手段により保持されるため、再び画像形成装置内にばら撒かれることがない。なお、この保持手段の具体的な構成としては、清掃部材とは逆側に形成される溝形状のものが挙げられる。
ところで、このような除去手段や保持手段が有効なのは、清掃部材を画像形成装置内に挿入する方向、又は画像形成装置内から引き出す方向のいずれか一方向のみ当該清掃部材が被清掃部材に接触する場合に限られない。
すなわち、画像形成装置内外に出し入れ可能な画像形成装置のユニットに設けられる清掃部材を備え、当該ユニットの出し入れと共に清掃部材が被清掃部材を摺擦し被清掃部材を掃除する清掃機構において、当該被清掃部材よりも画像形成装置内側及び/又は画像形成装置外側に清掃部材に付着する汚れを除去する除去手段を備えるものにも有効である。さらに上記被清掃部材よりも画像形成装置内側及び/又は画像形成装置外側に清掃部材に付着する汚れを除去する除去手段を備えるものでもよい。
このように清掃部材がユニットに設けられる場合においても、上記清掃部材が被清掃部材に摺擦する場合の当接圧Pは、0.49〔N/cm2 〕≦P≦1.63〔N/cm2 〕であることが好ましく、上記清掃部材は、被清掃部材と接触する部分と接触しない部分とが脱着可能であることが好ましい点は同様である。
100…カラープリンタ(画像形成装置)、1K、C、M、Y…画像形成ユニット、10K、C、M、Y…感光体ドラム、2…露光装置、20…シールガラス(被清掃部材)、Bm…露光ビーム、5…案内板、50…ガイドレール(ガイド部材)、52…サイドレール、51…凸形状、6…清掃部材、66…清掃ユニット本体66、65…柄部分、60…ハウジング部材、64…クリーニング部材、61…サイドエッジ(第二の被ガイド形状)、62…溝部分(第一の被ガイド形状)、63…弾性部材、7(7´)…リフレッシュ機構、70(70´)…爪形状(除去手段)、71(71´)…第一溝形状(保持手段)、72(72´)…第二溝形状(保持手段)