JP4402268B2 - 撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は撮像装置に関し、特にCCD等の撮像素子を用いて被写体像を撮像する撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、広ダイナミックレンジの撮像画像を得るために特殊な撮像を行う試みが、種々提案されている。このような特殊撮像の一つには、2つのCCDを用意し且つその一方に減光用のNDフィルタ等を配置することによって被写体感度(輝度レンジ)を互いに異ならせ、それら2つのCCDによる同時撮像によって得られる2枚の画像を合成するという方法が知られている。また1個のCCDによって露出量を変えながら2回の撮像を時分割で行い、それによって得られた2枚の画像を合成するという方法もある。
【0003】
しかし、前者は2重の撮像系が必要となるためそれ自体大がかりな構成となり、装置規模の増大を招くことになる。よって、いわゆるディジタルカメラとしての実現には不向きである。一方後者は、装置規模の増大は防止できるものの、2画像の撮影の間に被写体が動いた場合には処理の破綻が生じるなどの制限があり、一般被写体の撮影への応用には実際上困難である。このため特殊撮像ではなくではなく、あくまで通常の撮像でダイナミックレンジを拡大できるようにするための仕組みの実現が望まれている。
【0004】
ところで、従来より、ディジタルカメラにおいては、露出補正によってもなお十分な感度が得られないような低照度被写体の撮像のために、ゲインアップという感度向上技術が用いられている。これはCCDの出力信号を増幅して輝度レンジを相対的に高めるというものであり、S/Nの低下は招くもののそれと引き換えに低照度の被写体を撮影することが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来ではゲインアップによって得られた撮像信号と標準ゲインで得られた撮像信号のどちらに対しても常に同特性の階調変換(γ)が施されるのが通常であり、ダイナミックレンジの拡大という観点からは、ゲインアップ時の階調変換(γ)特性に対して何ら特別な工夫は行われていなかった。以下、この点について詳述する。
【0006】
すなわち、標準ゲインを使用する通常撮像の場合にはS/Nの良い画像を得るためにゲインを上げることはできないので、通常撮像で使用される標準露光量は平均的(代表的)被写体からの光量を比較的増やした状態に設定されるのが通常である。このため、上記平均的(代表的)被写体の露光量からCCDの飽和レベル(飽和露光量=撮像レンジの上限)までの余裕が小さい、換言すれば、高輝度側の撮像レンジにはもともと余裕が無いのが現状である。飽和レベル以上の情報を得ることはもとより不可能であるから、このような状態においては、CCDの撮像レンジはもはやそれ以上拡大することはできない。
【0007】
一方、ゲインアップ時においては、露光量を標準露光よりも低く設定することができるので、CCDによって撮像可能な被写体の高輝度側の撮像レンジが相対的に拡大され、その撮像信号には標準ゲイン時には得られない高輝度側の被写体の信号成分も十分に含めることができる。
【0008】
しかし従来ではゲインアップ時においても標準ゲイン時と同じ階調変換(γ)特性が用いられており、また階調変換回路に入力される入力輝度レベルの有効最大入力値は標準ゲイン時における高輝度側の撮像レンジ限界を基準に決められていた。このため、階調変換可能な被写体の高輝度側の撮像レンジが制限されてしまい、ゲインアップによって生じる高輝度側の撮像レンジの拡大効果を画像に反映させることができなかった。
【0009】
すなわち、従来の撮像装置においては、ゲインアップ時にも通常撮像時と同じ特性の画像を得る(やむを得ないSNの劣化を別にすれば、ゲインアップによって画質が変化してはならない)ことが自然な要請であったから、この点では同一の階調変換(γ)特性を利用することは有効でありまた当然でもあったが、視点を変えれば、ゲインアップ時にはそれによって生じるCCDの撮像レンジの拡大効果が無駄となっていたことになる。
【0010】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、ゲインアップと階調変換特性の変更とを併せて行うことにより被写体の高輝度側の再現域を拡大できるようにし、容易に広ダイナミックレンジの画像を得ることが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明の撮像装置は、撮像素子と、前記撮像素子の出力信号に基いた画像信号を第1のゲインとこれよりも高い第2のゲインで増幅することが可能なゲイン可変手段と、前記ゲイン可変手段の出力信号に基いて前記第1のゲインに対応した第1の階調変換特性および前記第2のゲインに対応した第2の階調変換特性で画像信号を生成可能な階調変換手段とを具備し、前記第2の階調変換特性の有効最大入力値は前記第1の階調変換特性の有効最大入力値に前記第2のゲインと前記第1のゲインの比を乗じた値に設定されたものであることを特徴とする。
【0012】
このように高ゲイン時には階調変換特性の有効最大入力値を、前記第1の階調変換特性の有効最大入力値に前記第2のゲインと前記第1のゲインの比を乗じた値に設定することにより、ゲインの比率に対応する分だけ高輝度側の再現域を広げることが可能となる。
【0014】
また、前記第1および第2の階調変換特性は、少なくとも出力値が所定値(ただし最大有効出力値の1/2以上の値)未満までは同特性で、それ以上の領域では前記第2の階調変換特性の階調圧縮度合が前記第1の階調変換特性の階調圧縮度合よりも高く設定したものを使用することが好ましい。これにより、画像の特性をほぼ揃えたまま、第2のゲイン使用時におけるダイナミックレンジの拡大を図ることができるので、第2のゲイン使用時においては、主要被写体に対しては第1のゲイン使用時とほとんど変わらない画像が得られると共に、白飛びの発生等を防止することが可能となる。
【0015】
また、前記ゲイン可変手段としてはアナログ可変ゲインアンプを使用し、前記階調変換手段としてはディジタル階調変換手段を使用する構成が好適である。
【0017】
この撮像装置においては、ゲインアップと階調変換の双方を階調変換特性によって併せて行う構成であり、所定の出力値を基準にしてそれ未満までは同じ出力値に対する第2の階調変換特性の対応入力値が第1の階調変換特性の対応入力値の1/k倍の関係とし、それ以上では第2の階調変換特性の対応入力値が第1の階調変換特性の対応入力値の1/k倍よりも大きくなるように設定することにより、結果的にゲインアップに併せて階調変換特性を変更する事ができるようになり、第2の階調変換特性の使用時におけるダイナミックレンジの拡大を図ることが可能となる。その際、主要被写体に対しては階調特性がほとんど変わらない状態で、白飛びの発生等を防止することが可能となる。このような階調変換手段としてはディジタル階調変換手段が好適であり、これにより回路構成の簡単化を図ることが可能となる。
【0018】
また、本発明の撮像装置は、前記階調変換手段における画像信号の生成に際して、前記第1の階調変換特性を使用する第1の撮像モードと前記第2の階調変換特性を使用する第2の撮像モードとを切換えるモード切換え手段を有することが望ましい。これにより、SNをより重視した撮像とDレンジ(階調レンジ)をより重視した撮影とを、必要に応じて容易に使い分けることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係わる撮像装置の構成が示されている。ここでは、ディジタルカメラとして実現した場合を例示して説明することにする。
【0020】
図中101は各種レンズからなる撮像レンズ系、102はレンズ系101を駆動するためのレンズ駆動機構、103はレンズ系101の絞りを制御するための露出制御機構、104はローパスおよび赤外カット用の光学フィルタ、105はベイヤ配列のカラーフィルタを備えたCCDカラー撮像素子、106は撮像素子105を駆動するためのCCDドライバ、107はアナログゲインコントロールアンプ(GCA)107a,A/D変換器107b等を含むプリプロセス回路、108は階調変換のためのγ回路108aなどの各種のディジタル信号処理を行うための回路を含むディジタルプロセス回路、109はカードインターフェース、110はメモリカード、111はLCD画像表示系を示している。
【0021】
また、図中の112は各部を統括的に制御するためのシステムコントローラ(CPU)、113は各種スイッチからなる操作スイッチ系、114は操作状態及びモード状態等を表示するための操作表示系、115はレンズ駆動機構102を制御するためのレンズドライバ、116は発光手段としてのストロボ、117は露出制御機構103およびストロボ116を制御するための露出制御ドライバ、118は各種設定情報等を記憶するための不揮発性メモリ(EEPROM)を示している。
【0022】
本実施形態のディジタルカメラにおいては、システムコントローラ112が全ての制御を統括的に行っており、CCDドライバ106によるCCD撮像素子105の駆動を制御して露光(電荷蓄積)及び信号の読み出しを行い、それをプリプロセス回路107を介してディジタルプロセス回路108に取込んで記録用の画像信号を生成した後にカードインターフェース109を介してメモリカード110に記録するようになっている。
【0023】
本実施形態のディジタルカメラに於いては、S/Nを考慮して低感度の標準ゲインを用いる「標準撮影モード」に加え、「ゲインアップモード」と「広ダイナミックレンジモード」というゲインアップを用いた2つの撮影モードが用意されている。これら「ゲインアップモード」および「広ダイナミックレンジモード」は操作スイッチ113の操作によってデフォルトの「標準撮影モード」から適宜切り替えることができる。
【0024】
「ゲインアップモード」は従来公知のゲインアップ技術に相当するモードであって、CCD105の出力に対するゲインアップは行うが、「標準撮影モード」と同じ階調変換特性を用いてγ補正を行うものであり、主に低照度の被写体撮影に利用される。一方、「広ダイナミックレンジモード」はゲインアップに併せて階調変換特性も変更する撮影モードであり、例えば輝度変化の大きい被写体などを白飛びを起こすことなく撮影するといった広ダイナミックレンジでの撮影に使用される。
【0025】
(ゲインおよび階調変換特性)
次に、図2を参照して、ゲインと階調変換特性との関係について説明する。
【0026】
図2は、被写体の相対的な輝度レベルとCCD出力(素子出力)との関係と、素子出力とゲインアンプ出力(γ入力)との関係、さらにゲインアンプ出力とγ出力との関係を併せて示したものである。
【0027】
ここで相対的な被写体輝度レベルとは、被写体の絶対輝度では無く、輝度の相対的分布に対応する概念であって、通常の反射被写体における反射率(透過被写体であれば透過率)に相当するものである。被写体照度が変化した場合、被写体の絶対輝度は変化するが、輝度は反射率に比例するから、照明が一様であれば照度が変化しても輝度の相対関係(比率)は変化しない。以下、誤解を生じるおそれが無い場合、このような相対的な被写体輝度レベルのことを単に輝度レベルと呼ぶ。
【0028】
図2の右下に示されているように、素子出力が飽和レベルに達するまでは被写体の輝度レベルと素子出力は比例し、その特性は直線で与えられる。この直線の傾きは、撮像時における被写体照度および露出量によって決定される。
【0029】
「標準露光」は被写体照度が充分ある場合(露出制御系の正常=追従制御=動作が可能な範囲の照度:以下これを標準照度と呼ぶ)において、「標準撮影モード」で使用される通常の露出制御によって得られる特性を示している。すなわち標準照度下では露出制御系は正常動作可能であるから、被写体の平均輝度レベル(平均反射率)が所定の像面露光量(すなわち所定の素子出力値)に対応するように露出制御が行われ、照度の値によらず、一つの直線となる。この場合、CCD105の飽和レベル(CCD105自体の飽和レベルで規定される場合の他、GCAやA/D変換器など回路の飽和レベルで規定される場合もある)によって撮像可能な被写体の最大輝度レベルが決まるので、その最大輝度レベルまでが「標準撮影モード」で撮像可能な被写体の撮像レンジ「通常Dレンジ」となる。
【0030】
一方、「ゲインアップ時露光」は2倍のゲインアップ(=+6dB)を行う場合に通常使用される露出量を示しており、自動露出制御機能を有するカメラの場合にはゲインアップ時にはこのように自動的に露出量が低下される(標準露光の1/2)。すなわち、上述の「ゲインアップモード」および「広ダイナミックレンジモード」で2倍のゲインアップを行う場合には、マニュアル露出による特別な露出制御を行わない限り、「ゲインアップ時露光」が使用されることになる。この場合、CCD105によって撮像可能な被写体の撮像レンジは「拡大Dレンジ」として示されているように、「標準露光」の場合よりも高輝度側に拡大される。
【0031】
図2の右上のグラフは素子出力とゲインアンプ出力(γ入力)との関係を示している。アナログゲインコントロールアンプ(GCA)107aはリニアな変換特性を有しており、そのゲインアンプ107aのゲイン特性は図示のように直線で表すことができる。「標準ゲイン」は「標準撮影モード」で使用されるゲイン特性を示している。また「ゲインアップ」として記されているゲイン特性は、「ゲインアップモード」および「広ダイナミックレンジモード」それぞれにおいて2倍のゲインアップを行った場合のゲイン特性である。
【0032】
図2の左上のグラフはゲインアンプ出力(γ入力)とγ出力との関係、つまりγ回路108aによる階調変換特性(γ)を示している。「標準撮影モード」および「ゲインアップモード」では、「標準γ特性」が用いられる。この場合、「標準γ特性」で変換可能な有効最大入力レベル(γ出力が飽和する入力レベル)はAである。この有効最大入力レベルAは、上記CCD105の飽和レベル(「標準撮影モード」における最大輝度レベルに対応する)に「標準ゲイン」の値を乗じた値(ゲインアンプ出力対応値の意)で規定されている。
【0033】
よって、「標準撮影モード」と同じ「標準γ特性」を使用する「ゲインアップモード」においては、最終的な画像の階調特性は「標準撮影モード」と全く同じになるものの、従ってまた当然ながら、最終的な画像に反映される被写体の撮像レンジは「標準撮影モード」と同じ「通常Dレンジ」の範囲に制限されることになる。
【0034】
もちろん、この場合も、上記したとおり、標準露光の1/2の露光量であるから、例えば標準照度下での撮影時には露出値(EV値=TV+AV)を1段上げることができる(例えば同じ絞り値なら露光時間1/2の高速シャッタを使用できる)し、また、上記標準照度の下限のさらに1/2の低照度条件においては、(露出制御が追従不可能のため、モードに関わらず露光量は標準の1/2に低下してしまうから)標準撮影モードでは充分な出力レベルを得ることができないところ、この「ゲインアップモード」での撮像を行えば低照度の被写体を標準照度下におけると同じく明るく撮影することが可能となるという従来公知の効果は得られている。
【0035】
一方、「広ダイナミックレンジモード」では、図示のように、「広Dレンジ時γ特性」が用いられる。「広Dレンジ時γ特性」の有効最大入力レベルBは「標準γ特性」の有効最大入力レベルAよりも大きく設定されている(ゲインアップが2倍の場合には、有効最大入力レベルBはAの2倍)。よって、「拡大Dレンジ」の範囲内の全ての輝度レベルを用いた階調変換が可能となり、ゲインアップによるCCD105の輝度レンジの拡大効果を階調変換を経た最終的な画像に反映することができる。よって、被写体の高輝度側の再現域を広げることが可能となる。
【0036】
また、「広Dレンジ時γ特性」は、図示のように、γ出力値において飽和値の1/2以上の値未満、好ましくは75%までの低輝度側の領域までは「標準γ特性」と同特性となっており、それ以上では「標準γ特性」よりも階調の圧縮度合いが高くなるように設定されている。これにより、人間の視覚特性上重要となる低〜中輝度領域については「標準撮影モード」の場合と同じ画像特性となるので、主要被写体に対しては「標準撮影モード」とほとんど変わらない画像が得られると共に、白飛びの発生等を防止することが可能となる。
【0037】
(信号処理#1)
次に、図3および図4を参照して、本実施形態における具体的な信号処理の第1の例について説明する。
【0038】
本例は、図3に示すように、CCD105からの出力信号をアナログゲインコントロールアンプ(GCA)107aによって増幅した後にA/D変換器107bによってディジタル信号に変換し、そのディジタル信号に対してγ回路108bによるディジタル階調変換処理を施す構成である。A/D変換器107bとしては例えば10bit出力のものが用いられる。
【0039】
γ回路108bにおいては、「標準撮影モード」(標準ゲイン)および「ゲインアップモード」(ゲインアップ)では、有効入力9bit/出力8bitのディジタル階調変換が「標準γ特性」に従って実行される。一方、ゲインアップが行われる「広ダイナミックレンジモード」では、有効入力10bit/出力8bitのディジタル階調変換が「広Dレンジ時γ特性」に従って実行される。γ回路108bにおける階調変換特性を図4に示す。(図3、図4には顕には示していないが、「有効入力9bit」の場合には、9bit以上に相当する入力については、クリップされて9bitの最大値511として扱われることを前提としている。以下同様である。)
出力8bitで表現可能な最大出力値255の75%である出力値192に対応する入力値288までは、「標準γ特性」と「広Dレンジ時γ特性」はどちらも同特性である。「標準γ特性」では入力9bitで表現可能な最大入力値511の時に最大出力値255が得られるが、「広Dレンジ時γ特性」では出力値192以上の範囲においては階調が圧縮されるような特性を持っており、入力10bitで表現可能な最大入力値1023の時に最大出力値255が得られるような特性となっている。
【0040】
(信号処理#2)
次に、図5および図6を参照して、本実施形態における具体的な信号処理の第2の例について説明する。
【0041】
本例は、アナログゲインコントロールアンプ(GCA)107aを用いずに、γ回路108bによるディジタル階調変換処理でゲインアップと階調変換を併せて行う方式であり、図5に示すように、CCD105からの出力信号をA/D変換器107bによってディジタル信号に変換した後、γ回路108bによるディジタル階調変換処理が施される。A/D変換器107bとしては例えば10bit出力のものが用いられる。
【0042】
γ回路108bによって実行される階調変換の特性を図6に示す。γ回路108bでは、「標準撮影モード」(標準ゲイン)では「標準γ特性」が、およびゲインアップが行われる「広ダイナミックレンジモード」では「広Dレンジ時γ特性」がそれぞれ用いられ、どちらにおいても有効入力10bit/出力8bitのディジタル階調変換が行われる。これに対して「ゲインアップモード」において使用されるγ特性(破線部以外は「広Dレンジ時γ特性」と共通)は、511を越えるデータはクリップされる(入力511と同じく出力255を生じる)から、実質的には有効入力9bitとして処理されており、この変換特性は先の信号処理#1の例(図4参照)における標準γ特性(有効入力9bit用の標準γ特性)と同じものである。
【0043】
そして本例の「標準γ特性」は、出力値の全範囲に渡って、同じ出力値に対する対応入力値が「ゲインアップモード」時に使用する特性(有効入力9bit用の標準γ特性)の対応入力値の2倍となっている。換言すれば、「ゲインアップモード」時の特性は、同じ出力値に対する対応入力値が「標準γ特性」の対応入力値の1/2倍となっており、入力値511で最大出力値255が得られる。
【0044】
一方「広Dレンジ時γ特性」を「標準γ特性」と比較すれば、出力8bitで表現可能な最大出力値255の75%となる出力値192の範囲までは、同じ出力値に対する「広Dレンジ時γ特性」の対応入力値は「標準γ特性」の対応入力値の1/2倍となっており、「広Dレンジ時γ特性」の使用時には「ゲインアップモード」時と同じく「標準γ特性」使用時の半分の入力値で同一の出力値が得られる。出力値192以上の範囲では、同じ出力値に対する「広Dレンジ時γ特性」の対応入力値は「標準γ特性」の対応入力値の1/2倍よりも大きくなっており、「広Dレンジ時γ特性」および「標準γ特性」のどちらも最大出力値255に対応する入力値は1023となっている。
【0045】
なお本例の場合、実際には「標準撮影モード」(標準ゲイン)時においては、内部的には一旦ビットシフトによる9bit化処理(数値演算としては1/2倍に相当)を施した後に、「ゲインアップモード」時と同じ特性(有効入力9bit用の標準γ特性)の変換を施すようにしても良い。(図5の添え書きはこのような処理を想定したものである。)このような処理により「ゲインアップモード」の場合と特性データを共通化でき、例えばルックアップテーブル参照方式におけるテーブルデータ量を少なくできるという効果が得られる。なお、同様の効果を得るためには、上記とは逆に、「ゲインアップモード」時において、内部的には上記実質有効入力9bitを一旦ビットシフトにより10bit化(数値演算としては2倍に相当)して後に図6の(すなわち有効入力10bit用の)標準γ特性の変換を施すようにしても良い。
【0046】
(各階調変換特性の詳細)
次に、上述の各階調変換特性を数式によって具体的に説明する。なお、以下の説明では次のことを前提条件とする。
【0047】
・γ回路108bのデジタル出力値DY=255y(yは正規化出力:0≦y≦1)とし、またデジタル入力値をDXと記す。
・基準となる正規化γ特性(正規化入力x: 0≦x≦1に対する出力yの関数関係)をγ0とする。すなわち、
y=γ0(x)
ここで、γ0は任意の変換特性を使用し得るが、本例ではディジタル(スチル)カメラの標準規格である、JEIDA DCF規格(その中で引用されているExif規格(Ver2.1))に従って、
γ0(x)=1.099x0.45−0.099
(ただし、x<0.018の時に限りγ0(x)=4.5x)
を採用している。
【0048】
・ゲインアップ量は2倍(+6dB)である。
【0049】
以下、各階調変換特性について個別に説明する。
図7において「γ1」は、前述の第1の例(アナログゲイン可変+デジタル階調変換)における標準ゲイン対応の階調変換特性(すなわち有効入力9bit用の標準γ特性)である。
【0050】
(基本的には第1の例の標準ゲイン時は撮像素子など前系の飽和によりDX>511の入力は無い筈だが、システム上そのような入力も想定する。)
図7の「γ2」は、第2の例(全デジタル処理)における標準ゲイン対応の階調変換特性(すなわち有効入力10bit用の標準γ特性)である。
【0051】
y=γ2(DX)=γ0(DX/1023)
図7の「γ3」は第1、第2の例共通に使用される「ゲインアップに連動して高輝度レンジを広くした」、つまり「広ダイナミックレンジモード」の階調変換特性(「広Dレンジ時γ特性」)である。
【0052】
出力値192(255の75%)未満ではγ1と同一の特性であるが、この点をknee(ニー)ポイントとしてこれ以上の領域では図示のようにknee部の特性となる。
【0053】
ここで、knee関数y=γknee(DX)はy≧0.75で定義され次式(一般式)
γknee−1(y)=
γ1−1(y)・{1−{(y−kp)/(1−kp)}N}
+γ2−1(y)・{(y−kp)/(1−kp)}N
を充たす特性である。ただし記号−1は逆関数を意味し、kpはkneeポイントに対応する正規化出力値(本例では0.75)である。またNは、kneeポイントと最大値を滑らかにつなぐために、γ1上の点とγ2上の点(同一のyに対応する2点)の加重内分点(入力値の増加に応じて内分比率を可変)を求める際に、比率係数に乗じる乗数となっている。1以上の任意の実数を適当に選ぶことで高輝度域の圧縮の度合を変えることができ、特に1.5以上4以下程度でより自然な好ましい特性を得ることができるが、本例では値として2を採用した。
【0054】
kp=0.75、N=2を代入した式を改めて書き下して示せば
γknee−1(y)=
γ1−1(y)・{1−16(y−0.75)2}
+γ2−1(y)・16(y−0.75)2
となる。
【0055】
すなわち、knee部の特性としては、
・第1の例における標準γであるγ1の特性よりも階調がより圧縮されている。
【0056】
・第2の例においては、同一出力に対する入力値の関係は、標準γであるγ2の入力値の1/2よりもγ3のknee部の方が大きい。
【0057】
となっている。
【0058】
なお、ゲイン設定に連動して露出量は自動的に切り替えられる(ゲインk倍に対応して1/kにする。本実施形態ではゲインが2倍だから露出量は1/2にしている)。
【0059】
また、撮像レンジについて補足すれば、通常の意味の撮像Dレンジは、低輝度側がノイズで決まり、高輝度側は飽和で決まる。すなわちノイズに対する許容基準を固定的に考えた場合のDレンジは本発明によっても増大し得ないが、一方「ゲインアップした状態」は、ノイズに対する許容基準を緩めることによって、実用上の(階調特性としての)撮像レンジを低輝度側に拡大していることに相当する。この意味で撮像Dレンジが拡大したことに相当しているから、本発明のようにカメラ全体の入出力特性を考慮してゲインに対応した階調制御を行なった場合には(ゲインに対応した適切な露出レベルが与えられるならば)拡大したレンジを被写体の高輝度部分に割り当てて有効利用することが可能になるものである。
【0060】
なお、この他にも様々な実施形態が考えられる。すなわち、
・例えばゲイン2倍のとき、撮像レンジを2倍拡大しなくても良い。(例えば1.5倍でも良い。)
・ゲイン2倍とか、所定値75%、A/Dビット数などは例示値であり、設定は任意である。従って75%というニーポイントの値は少なくとも最大値の50%以上の値であれば任意の値を採用し得る。(ただしニーポイント設定における、最大出力値の75%という値は、人の視覚特性を前提にした写真表現を考慮した場合に特に効果的な数値であることも同時に指摘しておく。)
・「ゲインアップモード」時や「広ダイナミックレンジモード」時に、ゲインに合わせて階調変換特性を切り替える。
【0061】
などの態様が考えられる。
【0062】
・ディジタルスチルカメラ、ディジタル(ムービー)ビデオカメラのどらちにも適用可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ゲインアップと階調変換特性の変更とを併せて行うことにより被写体の高輝度側の再現域を拡大できるようになり、容易に広ダイナミックレンジの画像を得ることが可能となる。特に、高ゲイン時には階調変換特性の有効最大入力値を、前記第1の階調変換特性の有効最大入力値に前記第2のゲインと前記第1のゲインの比を乗じた値に設定することにより、ゲインの比率に対応する分だけ高輝度側の再現域を広げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態で用いられるゲインと階調変換特性との関係を示す図。
【図3】同実施形態においてアナログゲイン可変とデジタル階調変換を用いた場合の信号処理動作を説明するための図。
【図4】図3のデジタル階調変換で用いられる階調変換特性を説明するための図。
【図5】同実施形態において全デジタル処理を用いた場合の信号処理動作を説明するための図。
【図6】図5の全デジタル処理で用いられる階調変換特性を説明するための図。
【図7】同実施形態で用いられる各階調変換特性の具体例を説明するための図。
【符号の説明】
101…レンズ
103…露出制御機構
105…CCD
107…プリプロセス回路
107a…アナログゲインコントロールアンプ
107b…A/D変換器
108…ディジタルプロセス回路
108a…γ回路
112…システムコントローラ
Claims (4)
- 撮像素子と、前記撮像素子の出力信号に基いた画像信号を第1のゲインとこれよりも高い第2のゲインで増幅することが可能なゲイン可変手段と、前記ゲイン可変手段の出力信号に基いて前記第1のゲインに対応した第1の階調変換特性および前記第2のゲインに対応した第2の階調変換特性で画像信号を生成可能な階調変換手段とを具備し、前記第2の階調変換特性の有効最大入力値は前記第1の階調変換特性の有効最大入力値に前記第2のゲインと前記第1のゲインの比を乗じた値に設定されたものであることを特徴とする撮像装置。
- 前記第1および第2の階調変換特性は、少なくとも出力値が所定値(ただし最大有効出力値の1/2以上の値)未満までは同特性で、それ以上の領域では前記第2の階調変換特性の階調圧縮度合が前記第1の階調変換特性の階調圧縮度合よりも高く設定したものであることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
- 前記ゲイン可変手段はアナログ可変ゲインアンプであり、前記階調変換手段はディジタル階調変換手段であることを特徴とする請求項1または2記載の撮像装置。
- 前記階調変換手段における画像信号の生成に際して、前記第1の階調変換特性を使用する第1の撮像モードおよび前記第2の階調変換特性を使用する第2の撮像モードとをそれぞれ有し、前記第1の撮像モードと前記第2の撮像モードとを切換えるモード切換え手段を有したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の撮像装置。
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