JP4398186B2 - 高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、水系の発泡に適用する高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物に関する。さらに詳しくは、生産工程や廃水処理工程の水系の発泡液に添加しても、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の凝集による消泡効果の低下がなく、良好な消泡効果を有する高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤は、抄紙工程をはじめとする各種製造工程や、廃水処理工程における発泡抑制剤として広く使用されてきた。この高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤は、優れた効果を示すものとしてよく知られている。高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤のエマルション粒子は、通常、負の荷電を有しており、水中に添加された場合、荷電の反発力により均一に分散して効果を発揮する。しかし、対象とする水系によっては、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤を添加すると、エマルション粒子が凝集しやすくなる場合がある。例えば、硫酸バンドを含有する水系である酸性抄紙工程の白水などに添加すると、エマルション粒子が凝集し、より良い効果が得られない場合がある。このような場合、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤の消泡効果が十分に発揮されないばかりか、エマルション粒子の凝集により紙質の低下を招く場合もある。そのために多大な経済的損失を来たす場合がある。また、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等を多く含む廃水系の発泡液の場合も、添加した高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤が広がらずに凝集して十分な消泡効果を得られない場合がある。
【０００３】
その対策として、従来より対象水系に添加した場合に速やかに水系ないに分散するように界面活性剤やシリコーンオイルを配合する方法等が行われてきたが十分ではなかった。また、微生物産生多糖類を配合した高級アルコール系エマルション消泡剤組成物（特許文献３参照）が提案されてきた。しかし、この方法では硫酸バンドを含む水系には有効であっても、その他の一般水系では、依然として、満足しうる効果を得るには至っていない。
【０００４】
そのため、発泡水系の如何によらず、発泡液中で高級アルコール系エマルション消泡剤組成物が速やかに広がり、エマルション粒子が凝集することなく、優れた消泡性能を発揮する高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤が強く望まれている。
【０００５】
【特許文献１】
特開昭４８−６２６８３号公報
【特許文献２】
特開昭６０−１５６５１６号公報
【特許文献３】
特開平８−１５５２１２号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、発泡水系、特に硫酸バンドやポリ塩化アルミニウム等の凝集剤やカルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン等の凝集性を有する多価金属イオンを含有する発泡水系、に添加しても高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物が凝集することなく、速やかに広がり、優れた消泡性能を発揮する高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物を提供することを目的とする。
【０００７】
本発明者は、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の発泡水系での広がりと消泡効果について鋭意研究を重ねた結果、アクリル酸と２−アクリルアミド２−メチルプロパンスルホン酸の共重合物および／又はその水溶性塩が、発泡水系での高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の拡展に有効であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【０００８】
すなわち、請求項１に係る発明は、水系の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物において、発泡水系での高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の拡展に有効である（Ａ）アクリル酸と２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン酸の共重合物および／又はその水溶性塩を含んでなることを特徴とする高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物である。
【０００９】
請求項２に係る発明は、請求項１記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物であり、（Ａ）共重合体が、モル比でアクリル酸と２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン酸を１：９〜７：３で含むことを特徴とする。
【００１０】
請求項３に係る発明は、請求項１又は２記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物であり、（Ａ）共重合体の分子量が３，０００〜５，０００，０００であることを特徴とする。
【００１１】
請求項４に係る発明は、請求項１乃至３のいずれか記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物であり、（Ｂ）炭素数１２〜３０の高級アルコール５〜３０重量％、（Ｃ）炭素数１０〜２２の脂肪酸と炭素数１〜２２のアルコールの脂肪酸エステル１〜３０重量％、（Ｄ）非イオン性界面活性剤及び／又はアニオン性界面活性剤０．０１〜１０重量％、（E）多糖類を０．０１〜０．２重量％を含んでなることを特徴とする。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【００１４】
本発明は、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物（以下、「エマルション消泡剤」とする。）にアクリル酸（ＡＡ）と２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン酸（ＡＭＰＳ）の共重合物（以下、「ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体」とする）および／又はその水溶性塩を配合することにより、当該高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物を発泡水系に添加した際にエマルションの凝集を起こすことなく、水系内に速やかに拡展・分散して消泡効果を発揮する高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物であり、特に硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム等の無機多価金属塩を含む水系での消泡効果の低下が生じない高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物である。
【００１５】
硫酸バンドは硫酸アルミニウムであり、その形態は固体の硫酸アルミニウムあるいは固体の含結晶水・硫酸アルミニウム、あるいはこれらの水溶液のいずれでも良く、通常、その濃度・量は硫酸アルミニウム量として表示されるよりもＡｌ２Ｏ３量として換算されて表示されることが多い。一般に硫酸バンドとしては、Ａｌ２Ｏ３として８重量％含有する水溶液が多用されている。同様にポリ塩化アルミニウムも通常、Ａｌ２Ｏ３量として換算されて表示されることが多く、Ａｌ２Ｏ３として１１重量％含有する水溶液が多用されている。
【００１６】
本発明における水系は、一般の工業用水系、工程水および排水水系で発泡している水系であり、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、カルシウムイオン等の多価金属イオンを含み、エマルション消泡剤の拡展・分散が不十分で、消泡効果の発揮が阻害される水系である。具体的には、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、カルシウムイオン等の多価金属イオンを５〜５０，０００（ｍｇ／Ｌ）で含む水系である。なかでも、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウムを０．００５〜５重量％（Ａｌ２Ｏ３として）／Ｌ含む製紙工程水系（抄紙工程水を含む）や排水処理水系に好適である。
【００１７】
本発明のエマルション消泡剤の（Ａ）アクリル酸（ＡＡ）と２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン酸（ＡＭＰＳ）のＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体および／またはその水溶性塩（以下、「Ａ成分」とする。）であり、水溶性塩がリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などである。当該Ａ成分をエマルション消泡剤に配合することにより、エマルション消泡剤を発泡している水系に添加したときに、該水系でのエマルション消泡剤の凝集を抑制し、エマルション消泡剤を拡展、分散させて消泡効果を発揮させる作用がある。
【００１８】
該ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体におけるＡＡとＡＭＰＳのモル比は、１：９〜７：３であり、好ましくは２：８〜６：４、より好ましくは３：７〜５：５である。ＡＡとＡＭＰＳのモル比が、１：９〜７：３の範囲外では十分な効果を得ることができない場合がある。
【００１９】
ＡＭＰＳを含む共重合体の分子量は、３、０００〜５，０００，０００であり、好ましくは１０，０００〜３，０００，０００である。
【００２０】
Ａ成分の配合量は、通常、該エマルション消泡剤全体量に対して、０．００５％〜０．５％であり、好ましくは０．０１％〜０．３％、さらに好ましくは０．０５〜０．２％である。Ａ成分が、０．００５％未満であると、発泡液に対する十分な分散性が得られない場合がある。また、０．５％を超えても、配合量の増加に見合った性能の向上は得られないほか、製品の粘度が高くなり取扱い性が低下する場合がある。
【００２１】
ＡＡとＡＭＰＳの共重合体の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常のラジカル重合により調製される。具体的には、水とＡＡとＡＭＰＳを反応容器に入れ、攪拌下、冷却しながら２０％水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加えてｐＨを７に調整し、次いでフラスコ内に窒素ガスを通気しつつ、溶液を５０℃に加温し、攪拌下、過硫酸アンモニウム０．５ｇを投入して反応を開始させ、６時間反応を続けた後、７０℃に加温してさらに２時間維持し、冷却してＡＡとＡＭＰＳの水溶性共重合体水溶液を得ることができる。ＡＡとＡＭＰＳの共重合体の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定できる。
【００２２】
本発明におけるエマルション消泡剤は、（Ｂ）１２〜３０の高級アルコール（以下、「Ｂ成分」とする）、（Ｃ）炭素数１０〜２２の脂肪酸と炭素数１〜２２のアルコールとの脂肪酸エステル（以下、「Ｃ成分」とする）と、（Ｄ）非イオン性界面活性剤及び／又はアニオン性界面活性剤（以下、「Ｄ成分」とする）と、（Ａ）ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合物および／又はその水溶性塩（Ａ成分）と、（Ｅ）多糖類（以下、「Ｅ成分」とする）を含んでなる高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物である。
【００２３】
本発明のエマルション消泡剤のＢ成分は、炭素数１２〜３０の直鎖あるいは分岐鎖、飽和あるいは不飽和の高級脂肪族アルコールである。具体的には、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレンを原料とする炭素数１２〜３０のチーグラーアルコール、オキソ法により得られる炭素数１２〜２０のオキソアルコール、天然の植物油脂や動物油脂を高圧還元又はケン化して得られる炭素数１２〜２２の高級アルコール等を挙げることができる。好ましくは炭素数１４〜２２のテトラデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレンを原料とする炭素数１２〜３０のチーグラーアルコール、天然の植物油脂や動物油脂を高圧還元又はケン化して得られる炭素数１６〜２２の高級アルコールであり、さらに好ましくは炭素数１６〜２０のヘキサデカノール、ステアリルアルコール、エチレンを原料とする炭素数１６〜２０のチーグラーアルコール、天然の植物油脂や動物油脂を高圧還元又はケン化して得られる炭素数１６〜２０の高級アルコールである。高級アルコールの炭素数が１２未満では、十分な消泡効果を発揮することができない場合がある。また、炭素数が３０を超えると、当該高級アルコールの入手が困難になり、実用的ではない場合がある。
【００２４】
Ｂ成分の配合量は、目的とするエマルション消泡剤の効果、物性によって適宜選択すれば良いが、通常、該エマルション消泡剤全体量に対して５重量％〜３０重量％であり、好ましくは１０〜２５重量％（以下、「重量％」を「％」とする）である。
【００２５】
本発明のエマルション消泡剤のＣ成分は、炭素数１〜２２の直鎖又は分岐鎖の１価〜多価アルコールと炭素数１０〜２２の直鎖又は分岐鎖、更には飽和又は不飽和の高級脂肪酸とのエステルおよび多価アルコールの一部の水酸基が残存した脂肪酸エステルである。１価〜多価アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ｎ−ブタノール、ｎ−オクタノール、２−エチルヘキシルアルコール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール等があり、炭素数１０〜２２の高級脂肪酸としてはデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、べヘニン酸、さらに牛油脂、トウモロコシ油、大豆油、パーム油、オリーブ油など天然油脂から得られる高級脂肪酸等も用いられる。
【００２６】
高級脂肪酸エステルの具体的な例としては、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ドデシル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ジステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ジステアリン酸ペンタエリスリトール、テトラステアリン酸ペンタエリスリトール、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、大豆油、牛脂、硬化牛脂などが挙げられ、これらの１種あるいは２種以上を用いることができる。好ましくは、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ジステアリン酸ペンタエリスリトール、トリステアリン酸ペンタエリスリトール、テトラステアリン酸ペンタエリスリトールである。
【００２７】
Ｃ成分の配合量は、目的とするエマルション消泡剤の効果、物性によって適宜選択すれば良いが、通常、エマルション消泡剤に対して５〜３０％、好ましくは１０〜２５％である。５％未満では消泡効果が十分発揮されない場合があり、３０％より多いと粘度が高くなり取り扱い性が低下するとともに配合量の増加の割には消泡効果の向上への寄与が少ない場合がある。
【００２８】
本発明のエマルション消泡剤のＤ成分は、Ｂ成分、Ｃ成分を乳化するための界面活性剤である非イオン性界面活性剤及び／又はアニオン性界面活性剤である。
【００２９】
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタンモノオレエートやソルビタンジオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートやポリオキシエチレンソルビタンジステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステルやポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオレイン酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルやポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオレイルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルやポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、多価アルコール脂肪酸エステル、Ｎ,Ｎ−ジ（ポリオキシエチレン）アルキルアミン、Ｎ,Ｎ−ジ（ポリオキシエチレン）アルキルアミドなどを挙げることができる。
【００３０】
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸アルカリ金属塩、アルキル（ポリオキシエチレン）硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、Ｎ−アシルアミノ酸塩、Ｎ−（２−スルホ）エチル−Ｎ−メチルアルカンアミド塩、２−スルホコハク酸ジアルキル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などを挙げることができる。これらの界面活性剤は、通常、ＨＬＢを１１〜１８を目安に単独あるいは組合せて用いられる。
【００３１】
C成分の配合量は、目的とするエマルション消泡剤の効果、物性によって適宜選択すれば良いが、通常、該エマルション消泡剤全体量に対して０．０１％〜１０％であり、好ましくは０．０５％〜５％である。
【００３２】
本発明のエマルション消泡剤のＥ成分は、微生物由来の多糖類であり、エマルション消泡剤のエマルションの維持および製品粘度の安定性に寄与する。具体的には、アルカシーガム（商品名、伯東株式会社製）、ラムザンガム、ザンサンガム（キサンタンガム）、サクシノグリカンなどを挙げることができる。これらの中では、好ましくはアルカシーガム、ラムザンガム、より好ましくはアルカシーガムが用いられる。
【００３３】
本発明の組成物において、微生物多糖類の配合量は通常、０．０１〜０．２％であり、好ましくは０．０４〜０．１％である。多糖類の含有量が０．０１％未満であると、エマルションの維持および製品粘度の安定性を維持することができない場合がある。一方、Ｅ成分の配合量が０．２％を超えると、エマルション消泡剤の粘度が高くなり、取扱いに支障を来たす場合がある。
【００３４】
本発明のエマルション消泡剤の調製は、特に限定されたものではなく、通常の方法を用いて調製される。具体的には、加熱容器１にＢ成分、Ｃ成分、Ｄ成分を入れて撹拌混合し、Ｂ成分、Ｃ成分を完全に溶解する温度に加熱して、均一とし油相液とする。他方、加熱容器２に水、Ａ成分、Ｅ成分を入れて撹拌混合し、約８０℃に加熱して水相液とする。油相液を撹拌下、水相液を加えてエマルションを調製し、さらに撹拌を継続して室温まで冷却して本発明のエマルション消泡剤が得られる。
【００３５】
本発明のエマルション消泡剤において、通常、エマルションの平均粒径は０．５〜３０μｍ、好ましくは１〜１５μｍである。エマルションの粒径は、一般的な方法、例えばレーザー回折式粒度分布計「ＬＰ−５００」（商品名、堀場製作所（株）製）を用いて測定される。
【００３６】
本発明のエマルション消泡剤は、発泡している液に直接添加したり、発泡が生じる箇所の手前の工程に添加して使用される。また、添加方法は、一般的にポンプを使って添加するが、最適な方法を検討して選択されるもので特に限定されるものではない。
【００３７】
本発明のエマルション消泡剤の添加量は、対象とする系の状況や消泡する必要度により異なるが、一般的には発泡する液に対して、１〜１００ｐｐｍが目安となる。
【００３８】
本発明の効果を損なわない範囲において、他の消泡効果を有するポリオキシアルキレン化合物系消泡成分や従来より使用されてきたシリコーン系消泡剤成分、従来より拡展性を向上させる目的で使用されているシリコーン系界面活性剤等、消泡剤組成物の腐敗防止に殺菌剤等を加えても良い。
【００３９】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【００４０】
（ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体）
Ａ−１：ＡＡ−ＡＭＰＳ（４：６）共重合体
５００ｍＬの５つ口フラスコに２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン酸２５．８ｇ（０．１２モル）、アクリル酸１３．０ｇ（０．１８モル）、水３００ｇを加え、攪拌下、冷却しながら２０％水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加え、ｐＨを７に調整した。フラスコ内に窒素ガスを通気しつつ、溶液を５０℃に加温し、攪拌下に過硫酸アンモニウム０．５ｇを投入し、反応を開始させた。６時間反応を続けた後、７０℃に加温してさらに２時間維持し、冷却して水溶性共重合体水溶液を得た。イオンクロマトグラフィーにより残存単量体濃度を測定した結果、未反応の単量体は存在せず、反応率は実質１００％であることを確認した。また、ゲル浸透クロマトグラフィーの結果、平均分子量は３，０００であった。同様にして、過硫酸アンモニウム量を調整して以下の分子量のＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体２〜７を得た。
Ａ−２：ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体〔ＡＡ：ＡＭＰＳ＝４０：６０、分子量１０，０００〕
Ａ−３：ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体〔ＡＡ：ＡＭＰＳ＝４０：６０、分子量１，０００，０００〕
Ａ−４：ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体〔ＡＡ：ＡＭＰＳ＝４０：６０、分子量５，０００，０００〕
Ａ−５：ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体〔ＡＡ：ＡＭＰＳ＝１０：９０、分子量１０，０００〕
Ａ−６：ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体〔ＡＡ：ＡＭＰＳ＝２０：８０、分子量１０，０００〕
Ａ−７：ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体〔ＡＡ：ＡＭＰＳ＝３０：７０、分子量１０，０００〕
Ａ−８：ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体〔ＡＡ：ＡＭＰＳ＝５０：５０、分子量１０，０００〕
【００４１】
（高級アルコール）
Ｂ−１：チーグラー合成高級アルコール〔「ＮＡＦＯＬ２０＋Ａ」（商品名）、サソール製〕
Ｂ−２：混合高級アルコール（Ｃ１６：４５重量％、Ｃ１８：５５重量％）〔花王（株）〕
【００４２】
（エステル）
Ｃ−１：ステアリン酸モノグリセライド（融点：５９−６２℃）〔花王（株）製〕
Ｃ−２：ステアリン酸ステアリル（融点５６−６６℃）〔花王（株）製〕
【００４３】
（界面活性剤）
Ｄ−１：ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル（ＨＬＢ１６）〔「アデカトールＮＰ−７６０」（商品名）、旭電化工業（株）製〕
Ｄ−２：ソルビタンモノオレエート（日本油脂（株）製）
Ｄ−３：ポリオキシソルビタンモノオレエート（日本油脂（株）製）
【００４４】
（多糖類）
Ｅ−１：多糖類「アルカシーラン」（商品名、伯東（株）製）
Ｅ−２：「キサンタンガム」（商品名）〔三昌（株）製〕
【００４５】
（その他）
Ｆ−１：ポリアクリル酸ナトリウム（分子量５，０００）
Ｆ−２：ポリアクリル酸ナトリウム（分子量３，０００，０００）
Ｆ−３：アクリル酸−アクリルアミド（ＡＭ）共重合物ナトリウム塩（ＡＡ：ＡＭ＝５０：５０、分子量３，０００，０００）
Ｆ−４：ポリＡＭＰＳナトリウム（分子量５，０００）
【００４６】
（高級アルコール系エマルション消泡剤の調製）
１０００ｍＬのステンレス製ビーカーに高級アルコール（Ｂ−１）２００ｇ、ステアリン酸モノグリセライド（Ｃ−１）５０ｇ、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル（Ｄ−１）５ｇ、ソルビタンモノオレエート（Ｄ−２）５ｇを加えて９０℃に加熱撹拌し、「油性混合液」とした。一方、２０００ｍＬのステンレス容器にアルカシーラン（Ｅ−１）０．２ｇ、アクリル酸−ＡＭＰＳ共重合体（Ａ−１）０．１ｇ、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート（Ｄ−３）１０ｇおよび水６７９．７ｇを入れ、３枚スクリュー羽根がある撹拌機で撹拌混合し、水溶液を調製し、「水性混合液」とした。次に水性混合液を８００ｒｐｍで強く撹拌しながら加温した油性混合液を加え、８０℃を維持しながら更に２時間、撹拌を続けた。その後、加熱を停止して、３０℃になるまで撹拌冷却を続けた。この間、レーザー回折式粒度分布計ＬＰ−５００（堀場製造所（株）製）でエマルション粒子径を測定し、粒子径５〜２０μになるように撹拌を継続し、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物を調製した。同様な方法で表１記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物を調製した。
【００４７】
【表１】
（消泡試験１）
中質紙を酸性抄造している抄紙工程より白水１〔ｐＨ：５．２、温度４５℃、硫酸バンド（２０００ｍｇ／L）を採取し供試液１として使用した。消泡試験装置（図１参照）へ４５℃に加温した供試液１を１，０００ｍＬ入れ、循環ポンプにて４．５ｍＬ／分で循環させた。泡高が１０ｃｍになった時、発泡液の上部より表１記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物１０ｍｇを添加し、循環開始より1分後、2分後、３分後に泡高を測定した。泡高は、供試液１を当初、消泡試験装置に入れた時の液面高さを基準として、測定した。初期破泡性は循環開始より１分後の泡高で評価し、泡高が低いほど初期破泡性が良好であり、消泡効果の持続性は循環開始２分後から３分後の泡高で評価し、泡高が低いほど良いとした。同様に上質紙の中性抄造工程より白水２（ｐH：７．２、温度５０℃）を採取して供試液２として使用し、消泡試験を行なった。結果を表２に示した。
【００４８】
（分散性試験１）
２００ｍLビーカーに上記の供試液１（４５℃）および中性抄紙工程の供試液２（５０℃）をそれぞれ１００ｍLとり、これに表１記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物５ｍｇを添加し、ガラス棒で緩やかに撹拌した後、1分間静置し、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の分散状態を以下のように目視評価した。乳濁し、分散している状態が好ましい。結果を表２に示した。
○：乳濁し、分散している状態。
△：細かい油滴状で分散し、あるいは一部が凝集したり、浮上している状態。
×：凝集物となっているか、油滴状で浮上している状態。
【００４９】
【表２】
本発明のエマルション消泡剤は、硫酸バンドを含む酸性抄紙白水、硫酸バンドを含まない中性抄紙白水のいずれに添加しても良好な分散性示し、凝集することが無いことが分かる。また、良好な消泡効果を発揮していることが分かる。
【００５０】
（消泡試験２）
公共下水処理場では、活性汚泥等による微生物処理を行い、その処理水（ｐＨ：７．１、水温３０℃）にポリ塩化アルミニウム（Ａｌ２Ｏ３として１１重量％含有の水溶液）２００ｍｇ／Ｌを添加して凝集沈殿処理をしていた。しかし、微生物処理後の処理水には微細な空気が混入し、ポリ塩化アルミニウムによる凝集沈澱処理を行っても十分な効果を発揮せず、多くの浮上物が生じて、適切な凝集沈澱処理が得られていなかった。そこで、微生物処理後の処理水に消泡剤を５０〜１００ｍｇ／処理水−Ｌ、添加しながらポリ塩化アルミニウム２００ｍｇ／Ｌを添加して、凝集沈殿処理を行っていたが、消泡剤が十分な効果を発揮できず、依然として凝集沈殿処理後に多くの浮上物が生じていた。そこで、微生物処理後の少量の活性汚泥を含む処理水（ｐＨ：７．１、水温３０℃）を採取し、供試液３として、消泡試験２および分散試験２を行った。
【００５１】
消泡試験は、１０００ｍＬ共栓付きメスシリンダーに試験液５００ｍＬを入れて、ポリ塩化アルミニウム（Ａｌ２Ｏ３として１１重量％含有の水溶液）２００ｍｇ／Ｌを添加して、次いで表１記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物を５ｍｇ添加して栓をした後、ゆっくりと５回上下に転倒し、静置した。静置１分後の浮上物の体積（ｍＬ）を測り、その体積の大小で消泡効果を比較した。浮上物の体積が小さいほど好ましい。結果を表３に示した。
【００５２】
（分散試験２）
供試液３を１００ｍLとり、ポリ塩化アルミニウム（Ａｌ２Ｏ３として１１重量％含有の水溶液）２００ｍｇ／Ｌを添加し撹拌した後、これに表１記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物５ｍｇを添加し、ガラス棒で緩やかに撹拌した後、1分間静置し、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の分散状態を以下のように目視評価した。乳濁し、分散している状態が好ましい。結果を表３に示した。
○：乳濁し、分散している状態。
△：細かい油滴状で分散し、あるいは一部が凝集したり、浮上している状態。
×：凝集物となっているか、油滴状で浮上している状態。
【００５３】
【表３】
本発明のエマルション消泡剤は、ポリ塩化アルミニウムを含む処理水に添加しても凝集することが無く良好な分散性示し、その結果、処理水中の懸濁した汚泥に付着した微細気泡の消泡に効果を発揮し、浮遊物量の減少に寄与していることが分かる。
【００５４】
【発明の効果】
本発明の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物は、発泡水系に添加後に速やかに広がり（拡展）、消泡効果を発揮する。特に硫酸バンドやポリ塩化アルミニウム等の凝集剤やカルシウムイオン、マグネシウムイオン等の凝集性を有する多価金属イオンを含有する発泡水系、例えば、抄紙工程や工場排水、都市下水・し尿処理場など排水処理工程の水系における発泡液中での高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の凝集を抑制し、広がり（拡展性）を維持することができ、消泡効果の向上に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図１】実施例で用いた消泡試験装置を示す概略図である。
【符号の説明】
１：循環ポンプ
２：発泡試験筒（アクリル製・全容量２０００ｍｌ）
３：循環ライン
４：発泡供試液
５：泡
【産業上の利用分野】
本発明は、水系の発泡に適用する高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物に関する。さらに詳しくは、生産工程や廃水処理工程の水系の発泡液に添加しても、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の凝集による消泡効果の低下がなく、良好な消泡効果を有する高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤は、抄紙工程をはじめとする各種製造工程や、廃水処理工程における発泡抑制剤として広く使用されてきた。この高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤は、優れた効果を示すものとしてよく知られている。高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤のエマルション粒子は、通常、負の荷電を有しており、水中に添加された場合、荷電の反発力により均一に分散して効果を発揮する。しかし、対象とする水系によっては、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤を添加すると、エマルション粒子が凝集しやすくなる場合がある。例えば、硫酸バンドを含有する水系である酸性抄紙工程の白水などに添加すると、エマルション粒子が凝集し、より良い効果が得られない場合がある。このような場合、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤の消泡効果が十分に発揮されないばかりか、エマルション粒子の凝集により紙質の低下を招く場合もある。そのために多大な経済的損失を来たす場合がある。また、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等を多く含む廃水系の発泡液の場合も、添加した高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤が広がらずに凝集して十分な消泡効果を得られない場合がある。
【０００３】
その対策として、従来より対象水系に添加した場合に速やかに水系ないに分散するように界面活性剤やシリコーンオイルを配合する方法等が行われてきたが十分ではなかった。また、微生物産生多糖類を配合した高級アルコール系エマルション消泡剤組成物（特許文献３参照）が提案されてきた。しかし、この方法では硫酸バンドを含む水系には有効であっても、その他の一般水系では、依然として、満足しうる効果を得るには至っていない。
【０００４】
そのため、発泡水系の如何によらず、発泡液中で高級アルコール系エマルション消泡剤組成物が速やかに広がり、エマルション粒子が凝集することなく、優れた消泡性能を発揮する高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤が強く望まれている。
【０００５】
【特許文献１】
特開昭４８−６２６８３号公報
【特許文献２】
特開昭６０−１５６５１６号公報
【特許文献３】
特開平８−１５５２１２号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、発泡水系、特に硫酸バンドやポリ塩化アルミニウム等の凝集剤やカルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン等の凝集性を有する多価金属イオンを含有する発泡水系、に添加しても高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物が凝集することなく、速やかに広がり、優れた消泡性能を発揮する高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物を提供することを目的とする。
【０００７】
本発明者は、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の発泡水系での広がりと消泡効果について鋭意研究を重ねた結果、アクリル酸と２−アクリルアミド２−メチルプロパンスルホン酸の共重合物および／又はその水溶性塩が、発泡水系での高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の拡展に有効であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【０００８】
すなわち、請求項１に係る発明は、水系の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物において、発泡水系での高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の拡展に有効である（Ａ）アクリル酸と２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン酸の共重合物および／又はその水溶性塩を含んでなることを特徴とする高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物である。
【０００９】
請求項２に係る発明は、請求項１記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物であり、（Ａ）共重合体が、モル比でアクリル酸と２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン酸を１：９〜７：３で含むことを特徴とする。
【００１０】
請求項３に係る発明は、請求項１又は２記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物であり、（Ａ）共重合体の分子量が３，０００〜５，０００，０００であることを特徴とする。
【００１１】
請求項４に係る発明は、請求項１乃至３のいずれか記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物であり、（Ｂ）炭素数１２〜３０の高級アルコール５〜３０重量％、（Ｃ）炭素数１０〜２２の脂肪酸と炭素数１〜２２のアルコールの脂肪酸エステル１〜３０重量％、（Ｄ）非イオン性界面活性剤及び／又はアニオン性界面活性剤０．０１〜１０重量％、（E）多糖類を０．０１〜０．２重量％を含んでなることを特徴とする。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【００１４】
本発明は、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物（以下、「エマルション消泡剤」とする。）にアクリル酸（ＡＡ）と２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン酸（ＡＭＰＳ）の共重合物（以下、「ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体」とする）および／又はその水溶性塩を配合することにより、当該高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物を発泡水系に添加した際にエマルションの凝集を起こすことなく、水系内に速やかに拡展・分散して消泡効果を発揮する高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物であり、特に硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム等の無機多価金属塩を含む水系での消泡効果の低下が生じない高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物である。
【００１５】
硫酸バンドは硫酸アルミニウムであり、その形態は固体の硫酸アルミニウムあるいは固体の含結晶水・硫酸アルミニウム、あるいはこれらの水溶液のいずれでも良く、通常、その濃度・量は硫酸アルミニウム量として表示されるよりもＡｌ２Ｏ３量として換算されて表示されることが多い。一般に硫酸バンドとしては、Ａｌ２Ｏ３として８重量％含有する水溶液が多用されている。同様にポリ塩化アルミニウムも通常、Ａｌ２Ｏ３量として換算されて表示されることが多く、Ａｌ２Ｏ３として１１重量％含有する水溶液が多用されている。
【００１６】
本発明における水系は、一般の工業用水系、工程水および排水水系で発泡している水系であり、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、カルシウムイオン等の多価金属イオンを含み、エマルション消泡剤の拡展・分散が不十分で、消泡効果の発揮が阻害される水系である。具体的には、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、カルシウムイオン等の多価金属イオンを５〜５０，０００（ｍｇ／Ｌ）で含む水系である。なかでも、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウムを０．００５〜５重量％（Ａｌ２Ｏ３として）／Ｌ含む製紙工程水系（抄紙工程水を含む）や排水処理水系に好適である。
【００１７】
本発明のエマルション消泡剤の（Ａ）アクリル酸（ＡＡ）と２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン酸（ＡＭＰＳ）のＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体および／またはその水溶性塩（以下、「Ａ成分」とする。）であり、水溶性塩がリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などである。当該Ａ成分をエマルション消泡剤に配合することにより、エマルション消泡剤を発泡している水系に添加したときに、該水系でのエマルション消泡剤の凝集を抑制し、エマルション消泡剤を拡展、分散させて消泡効果を発揮させる作用がある。
【００１８】
該ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体におけるＡＡとＡＭＰＳのモル比は、１：９〜７：３であり、好ましくは２：８〜６：４、より好ましくは３：７〜５：５である。ＡＡとＡＭＰＳのモル比が、１：９〜７：３の範囲外では十分な効果を得ることができない場合がある。
【００１９】
ＡＭＰＳを含む共重合体の分子量は、３、０００〜５，０００，０００であり、好ましくは１０，０００〜３，０００，０００である。
【００２０】
Ａ成分の配合量は、通常、該エマルション消泡剤全体量に対して、０．００５％〜０．５％であり、好ましくは０．０１％〜０．３％、さらに好ましくは０．０５〜０．２％である。Ａ成分が、０．００５％未満であると、発泡液に対する十分な分散性が得られない場合がある。また、０．５％を超えても、配合量の増加に見合った性能の向上は得られないほか、製品の粘度が高くなり取扱い性が低下する場合がある。
【００２１】
ＡＡとＡＭＰＳの共重合体の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常のラジカル重合により調製される。具体的には、水とＡＡとＡＭＰＳを反応容器に入れ、攪拌下、冷却しながら２０％水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加えてｐＨを７に調整し、次いでフラスコ内に窒素ガスを通気しつつ、溶液を５０℃に加温し、攪拌下、過硫酸アンモニウム０．５ｇを投入して反応を開始させ、６時間反応を続けた後、７０℃に加温してさらに２時間維持し、冷却してＡＡとＡＭＰＳの水溶性共重合体水溶液を得ることができる。ＡＡとＡＭＰＳの共重合体の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定できる。
【００２２】
本発明におけるエマルション消泡剤は、（Ｂ）１２〜３０の高級アルコール（以下、「Ｂ成分」とする）、（Ｃ）炭素数１０〜２２の脂肪酸と炭素数１〜２２のアルコールとの脂肪酸エステル（以下、「Ｃ成分」とする）と、（Ｄ）非イオン性界面活性剤及び／又はアニオン性界面活性剤（以下、「Ｄ成分」とする）と、（Ａ）ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合物および／又はその水溶性塩（Ａ成分）と、（Ｅ）多糖類（以下、「Ｅ成分」とする）を含んでなる高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物である。
【００２３】
本発明のエマルション消泡剤のＢ成分は、炭素数１２〜３０の直鎖あるいは分岐鎖、飽和あるいは不飽和の高級脂肪族アルコールである。具体的には、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレンを原料とする炭素数１２〜３０のチーグラーアルコール、オキソ法により得られる炭素数１２〜２０のオキソアルコール、天然の植物油脂や動物油脂を高圧還元又はケン化して得られる炭素数１２〜２２の高級アルコール等を挙げることができる。好ましくは炭素数１４〜２２のテトラデカノール、ヘキサデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレンを原料とする炭素数１２〜３０のチーグラーアルコール、天然の植物油脂や動物油脂を高圧還元又はケン化して得られる炭素数１６〜２２の高級アルコールであり、さらに好ましくは炭素数１６〜２０のヘキサデカノール、ステアリルアルコール、エチレンを原料とする炭素数１６〜２０のチーグラーアルコール、天然の植物油脂や動物油脂を高圧還元又はケン化して得られる炭素数１６〜２０の高級アルコールである。高級アルコールの炭素数が１２未満では、十分な消泡効果を発揮することができない場合がある。また、炭素数が３０を超えると、当該高級アルコールの入手が困難になり、実用的ではない場合がある。
【００２４】
Ｂ成分の配合量は、目的とするエマルション消泡剤の効果、物性によって適宜選択すれば良いが、通常、該エマルション消泡剤全体量に対して５重量％〜３０重量％であり、好ましくは１０〜２５重量％（以下、「重量％」を「％」とする）である。
【００２５】
本発明のエマルション消泡剤のＣ成分は、炭素数１〜２２の直鎖又は分岐鎖の１価〜多価アルコールと炭素数１０〜２２の直鎖又は分岐鎖、更には飽和又は不飽和の高級脂肪酸とのエステルおよび多価アルコールの一部の水酸基が残存した脂肪酸エステルである。１価〜多価アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ｎ−ブタノール、ｎ−オクタノール、２−エチルヘキシルアルコール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール等があり、炭素数１０〜２２の高級脂肪酸としてはデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、べヘニン酸、さらに牛油脂、トウモロコシ油、大豆油、パーム油、オリーブ油など天然油脂から得られる高級脂肪酸等も用いられる。
【００２６】
高級脂肪酸エステルの具体的な例としては、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ドデシル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ジステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ジステアリン酸ペンタエリスリトール、テトラステアリン酸ペンタエリスリトール、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、大豆油、牛脂、硬化牛脂などが挙げられ、これらの１種あるいは２種以上を用いることができる。好ましくは、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ジステアリン酸ペンタエリスリトール、トリステアリン酸ペンタエリスリトール、テトラステアリン酸ペンタエリスリトールである。
【００２７】
Ｃ成分の配合量は、目的とするエマルション消泡剤の効果、物性によって適宜選択すれば良いが、通常、エマルション消泡剤に対して５〜３０％、好ましくは１０〜２５％である。５％未満では消泡効果が十分発揮されない場合があり、３０％より多いと粘度が高くなり取り扱い性が低下するとともに配合量の増加の割には消泡効果の向上への寄与が少ない場合がある。
【００２８】
本発明のエマルション消泡剤のＤ成分は、Ｂ成分、Ｃ成分を乳化するための界面活性剤である非イオン性界面活性剤及び／又はアニオン性界面活性剤である。
【００２９】
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタンモノオレエートやソルビタンジオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートやポリオキシエチレンソルビタンジステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステルやポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオレイン酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルやポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオレイルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルやポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、多価アルコール脂肪酸エステル、Ｎ,Ｎ−ジ（ポリオキシエチレン）アルキルアミン、Ｎ,Ｎ−ジ（ポリオキシエチレン）アルキルアミドなどを挙げることができる。
【００３０】
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸アルカリ金属塩、アルキル（ポリオキシエチレン）硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、Ｎ−アシルアミノ酸塩、Ｎ−（２−スルホ）エチル−Ｎ−メチルアルカンアミド塩、２−スルホコハク酸ジアルキル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などを挙げることができる。これらの界面活性剤は、通常、ＨＬＢを１１〜１８を目安に単独あるいは組合せて用いられる。
【００３１】
C成分の配合量は、目的とするエマルション消泡剤の効果、物性によって適宜選択すれば良いが、通常、該エマルション消泡剤全体量に対して０．０１％〜１０％であり、好ましくは０．０５％〜５％である。
【００３２】
本発明のエマルション消泡剤のＥ成分は、微生物由来の多糖類であり、エマルション消泡剤のエマルションの維持および製品粘度の安定性に寄与する。具体的には、アルカシーガム（商品名、伯東株式会社製）、ラムザンガム、ザンサンガム（キサンタンガム）、サクシノグリカンなどを挙げることができる。これらの中では、好ましくはアルカシーガム、ラムザンガム、より好ましくはアルカシーガムが用いられる。
【００３３】
本発明の組成物において、微生物多糖類の配合量は通常、０．０１〜０．２％であり、好ましくは０．０４〜０．１％である。多糖類の含有量が０．０１％未満であると、エマルションの維持および製品粘度の安定性を維持することができない場合がある。一方、Ｅ成分の配合量が０．２％を超えると、エマルション消泡剤の粘度が高くなり、取扱いに支障を来たす場合がある。
【００３４】
本発明のエマルション消泡剤の調製は、特に限定されたものではなく、通常の方法を用いて調製される。具体的には、加熱容器１にＢ成分、Ｃ成分、Ｄ成分を入れて撹拌混合し、Ｂ成分、Ｃ成分を完全に溶解する温度に加熱して、均一とし油相液とする。他方、加熱容器２に水、Ａ成分、Ｅ成分を入れて撹拌混合し、約８０℃に加熱して水相液とする。油相液を撹拌下、水相液を加えてエマルションを調製し、さらに撹拌を継続して室温まで冷却して本発明のエマルション消泡剤が得られる。
【００３５】
本発明のエマルション消泡剤において、通常、エマルションの平均粒径は０．５〜３０μｍ、好ましくは１〜１５μｍである。エマルションの粒径は、一般的な方法、例えばレーザー回折式粒度分布計「ＬＰ−５００」（商品名、堀場製作所（株）製）を用いて測定される。
【００３６】
本発明のエマルション消泡剤は、発泡している液に直接添加したり、発泡が生じる箇所の手前の工程に添加して使用される。また、添加方法は、一般的にポンプを使って添加するが、最適な方法を検討して選択されるもので特に限定されるものではない。
【００３７】
本発明のエマルション消泡剤の添加量は、対象とする系の状況や消泡する必要度により異なるが、一般的には発泡する液に対して、１〜１００ｐｐｍが目安となる。
【００３８】
本発明の効果を損なわない範囲において、他の消泡効果を有するポリオキシアルキレン化合物系消泡成分や従来より使用されてきたシリコーン系消泡剤成分、従来より拡展性を向上させる目的で使用されているシリコーン系界面活性剤等、消泡剤組成物の腐敗防止に殺菌剤等を加えても良い。
【００３９】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【００４０】
（ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体）
Ａ−１：ＡＡ−ＡＭＰＳ（４：６）共重合体
５００ｍＬの５つ口フラスコに２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン酸２５．８ｇ（０．１２モル）、アクリル酸１３．０ｇ（０．１８モル）、水３００ｇを加え、攪拌下、冷却しながら２０％水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加え、ｐＨを７に調整した。フラスコ内に窒素ガスを通気しつつ、溶液を５０℃に加温し、攪拌下に過硫酸アンモニウム０．５ｇを投入し、反応を開始させた。６時間反応を続けた後、７０℃に加温してさらに２時間維持し、冷却して水溶性共重合体水溶液を得た。イオンクロマトグラフィーにより残存単量体濃度を測定した結果、未反応の単量体は存在せず、反応率は実質１００％であることを確認した。また、ゲル浸透クロマトグラフィーの結果、平均分子量は３，０００であった。同様にして、過硫酸アンモニウム量を調整して以下の分子量のＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体２〜７を得た。
Ａ−２：ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体〔ＡＡ：ＡＭＰＳ＝４０：６０、分子量１０，０００〕
Ａ−３：ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体〔ＡＡ：ＡＭＰＳ＝４０：６０、分子量１，０００，０００〕
Ａ−４：ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体〔ＡＡ：ＡＭＰＳ＝４０：６０、分子量５，０００，０００〕
Ａ−５：ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体〔ＡＡ：ＡＭＰＳ＝１０：９０、分子量１０，０００〕
Ａ−６：ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体〔ＡＡ：ＡＭＰＳ＝２０：８０、分子量１０，０００〕
Ａ−７：ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体〔ＡＡ：ＡＭＰＳ＝３０：７０、分子量１０，０００〕
Ａ−８：ＡＡ−ＡＭＰＳ共重合体〔ＡＡ：ＡＭＰＳ＝５０：５０、分子量１０，０００〕
【００４１】
（高級アルコール）
Ｂ−１：チーグラー合成高級アルコール〔「ＮＡＦＯＬ２０＋Ａ」（商品名）、サソール製〕
Ｂ−２：混合高級アルコール（Ｃ１６：４５重量％、Ｃ１８：５５重量％）〔花王（株）〕
【００４２】
（エステル）
Ｃ−１：ステアリン酸モノグリセライド（融点：５９−６２℃）〔花王（株）製〕
Ｃ−２：ステアリン酸ステアリル（融点５６−６６℃）〔花王（株）製〕
【００４３】
（界面活性剤）
Ｄ−１：ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル（ＨＬＢ１６）〔「アデカトールＮＰ−７６０」（商品名）、旭電化工業（株）製〕
Ｄ−２：ソルビタンモノオレエート（日本油脂（株）製）
Ｄ−３：ポリオキシソルビタンモノオレエート（日本油脂（株）製）
【００４４】
（多糖類）
Ｅ−１：多糖類「アルカシーラン」（商品名、伯東（株）製）
Ｅ−２：「キサンタンガム」（商品名）〔三昌（株）製〕
【００４５】
（その他）
Ｆ−１：ポリアクリル酸ナトリウム（分子量５，０００）
Ｆ−２：ポリアクリル酸ナトリウム（分子量３，０００，０００）
Ｆ−３：アクリル酸−アクリルアミド（ＡＭ）共重合物ナトリウム塩（ＡＡ：ＡＭ＝５０：５０、分子量３，０００，０００）
Ｆ−４：ポリＡＭＰＳナトリウム（分子量５，０００）
【００４６】
（高級アルコール系エマルション消泡剤の調製）
１０００ｍＬのステンレス製ビーカーに高級アルコール（Ｂ−１）２００ｇ、ステアリン酸モノグリセライド（Ｃ−１）５０ｇ、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル（Ｄ−１）５ｇ、ソルビタンモノオレエート（Ｄ−２）５ｇを加えて９０℃に加熱撹拌し、「油性混合液」とした。一方、２０００ｍＬのステンレス容器にアルカシーラン（Ｅ−１）０．２ｇ、アクリル酸−ＡＭＰＳ共重合体（Ａ−１）０．１ｇ、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート（Ｄ−３）１０ｇおよび水６７９．７ｇを入れ、３枚スクリュー羽根がある撹拌機で撹拌混合し、水溶液を調製し、「水性混合液」とした。次に水性混合液を８００ｒｐｍで強く撹拌しながら加温した油性混合液を加え、８０℃を維持しながら更に２時間、撹拌を続けた。その後、加熱を停止して、３０℃になるまで撹拌冷却を続けた。この間、レーザー回折式粒度分布計ＬＰ−５００（堀場製造所（株）製）でエマルション粒子径を測定し、粒子径５〜２０μになるように撹拌を継続し、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物を調製した。同様な方法で表１記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物を調製した。
【００４７】
【表１】
中質紙を酸性抄造している抄紙工程より白水１〔ｐＨ：５．２、温度４５℃、硫酸バンド（２０００ｍｇ／L）を採取し供試液１として使用した。消泡試験装置（図１参照）へ４５℃に加温した供試液１を１，０００ｍＬ入れ、循環ポンプにて４．５ｍＬ／分で循環させた。泡高が１０ｃｍになった時、発泡液の上部より表１記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物１０ｍｇを添加し、循環開始より1分後、2分後、３分後に泡高を測定した。泡高は、供試液１を当初、消泡試験装置に入れた時の液面高さを基準として、測定した。初期破泡性は循環開始より１分後の泡高で評価し、泡高が低いほど初期破泡性が良好であり、消泡効果の持続性は循環開始２分後から３分後の泡高で評価し、泡高が低いほど良いとした。同様に上質紙の中性抄造工程より白水２（ｐH：７．２、温度５０℃）を採取して供試液２として使用し、消泡試験を行なった。結果を表２に示した。
【００４８】
（分散性試験１）
２００ｍLビーカーに上記の供試液１（４５℃）および中性抄紙工程の供試液２（５０℃）をそれぞれ１００ｍLとり、これに表１記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物５ｍｇを添加し、ガラス棒で緩やかに撹拌した後、1分間静置し、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の分散状態を以下のように目視評価した。乳濁し、分散している状態が好ましい。結果を表２に示した。
○：乳濁し、分散している状態。
△：細かい油滴状で分散し、あるいは一部が凝集したり、浮上している状態。
×：凝集物となっているか、油滴状で浮上している状態。
【００４９】
【表２】
【００５０】
（消泡試験２）
公共下水処理場では、活性汚泥等による微生物処理を行い、その処理水（ｐＨ：７．１、水温３０℃）にポリ塩化アルミニウム（Ａｌ２Ｏ３として１１重量％含有の水溶液）２００ｍｇ／Ｌを添加して凝集沈殿処理をしていた。しかし、微生物処理後の処理水には微細な空気が混入し、ポリ塩化アルミニウムによる凝集沈澱処理を行っても十分な効果を発揮せず、多くの浮上物が生じて、適切な凝集沈澱処理が得られていなかった。そこで、微生物処理後の処理水に消泡剤を５０〜１００ｍｇ／処理水−Ｌ、添加しながらポリ塩化アルミニウム２００ｍｇ／Ｌを添加して、凝集沈殿処理を行っていたが、消泡剤が十分な効果を発揮できず、依然として凝集沈殿処理後に多くの浮上物が生じていた。そこで、微生物処理後の少量の活性汚泥を含む処理水（ｐＨ：７．１、水温３０℃）を採取し、供試液３として、消泡試験２および分散試験２を行った。
【００５１】
消泡試験は、１０００ｍＬ共栓付きメスシリンダーに試験液５００ｍＬを入れて、ポリ塩化アルミニウム（Ａｌ２Ｏ３として１１重量％含有の水溶液）２００ｍｇ／Ｌを添加して、次いで表１記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物を５ｍｇ添加して栓をした後、ゆっくりと５回上下に転倒し、静置した。静置１分後の浮上物の体積（ｍＬ）を測り、その体積の大小で消泡効果を比較した。浮上物の体積が小さいほど好ましい。結果を表３に示した。
【００５２】
（分散試験２）
供試液３を１００ｍLとり、ポリ塩化アルミニウム（Ａｌ２Ｏ３として１１重量％含有の水溶液）２００ｍｇ／Ｌを添加し撹拌した後、これに表１記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物５ｍｇを添加し、ガラス棒で緩やかに撹拌した後、1分間静置し、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の分散状態を以下のように目視評価した。乳濁し、分散している状態が好ましい。結果を表３に示した。
○：乳濁し、分散している状態。
△：細かい油滴状で分散し、あるいは一部が凝集したり、浮上している状態。
×：凝集物となっているか、油滴状で浮上している状態。
【００５３】
【表３】
【００５４】
【発明の効果】
本発明の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物は、発泡水系に添加後に速やかに広がり（拡展）、消泡効果を発揮する。特に硫酸バンドやポリ塩化アルミニウム等の凝集剤やカルシウムイオン、マグネシウムイオン等の凝集性を有する多価金属イオンを含有する発泡水系、例えば、抄紙工程や工場排水、都市下水・し尿処理場など排水処理工程の水系における発泡液中での高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の凝集を抑制し、広がり（拡展性）を維持することができ、消泡効果の向上に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図１】実施例で用いた消泡試験装置を示す概略図である。
【符号の説明】
１：循環ポンプ
２：発泡試験筒（アクリル製・全容量２０００ｍｌ）
３：循環ライン
４：発泡供試液
５：泡
Claims (4)
- 水系の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物において、発泡水系での高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の拡展に有効である（Ａ）アクリル酸と２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン酸の共重合物および／又はその水溶性塩を含んでなることを特徴とする高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物。
- （Ａ）アクリル酸と２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン酸の共重合物が、モル比でアクリル酸と２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン酸を１：９〜７：３である請求項１記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物。
- （Ａ）共重合体の分子量が３，０００〜５，０００，０００である請求項１又は２記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物。
- 高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物が、（Ｂ）炭素数１２〜３０の高級アルコール５〜３０重量％、（Ｃ）炭素数１０〜２２の脂肪酸と炭素数１〜２２のアルコールの脂肪酸エステル１〜３０重量％、（Ｄ）非イオン性界面活性剤及び／又はアニオン性界面活性剤０．０１〜１０重量％、（Ｅ）多糖類を０．０１〜０．２重量％を含んでなる請求項１乃至３のいずれか記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物。
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