JP4396037B2 - 転がり軸受用潤滑装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明の転がり軸受用潤滑装置は、工作機械の主軸等、高速で回転する軸を支承する為の転がり軸受を潤滑する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械の主軸は、使用時に高速回転する。従って、この様な主軸は、転がり軸受により回転自在に支持すると共に、主軸の回転時にはこの転がり軸受の内部に、十分な量の潤滑油を供給する必要がある。この様な、主軸をハウジングの内側に回転自在に支持する転がり軸受に潤滑油を送り込む為の装置として、特開平10−299784号公報には、図23に示す様な構造の転がり軸受用潤滑装置が記載されている。この転がり軸受用潤滑装置は、転がり軸受1内に、外輪間座2内に設けた潤滑油通路3を通じて潤滑油を送り込み自在としたものである。上記転がり軸受1を構成する内輪4は、その外周面に内輪軌道5を有し、使用時に高速回転する上記主軸(図示せず)に外嵌固定する。又、上記転がり軸受1を構成する外輪6は、その内周面に外輪軌道7を有し、上記ハウジング(図示せず)に内嵌支持する。又、上記内輪軌道5と外輪軌道7との間には複数個の転動体8を、保持器9により保持した状態で転動自在に設けている。
【0003】
又、上記主軸の周囲には上記内輪4に隣接した状態で第一、第二の内輪間座10、11を、この内輪4の側から順に設けている。一方、上記ハウジングの内側には、上記外輪6に隣接した状態で、上記外輪間座2を設けている。この外輪間座2の内側には上記潤滑油通路3を設けており、この潤滑油通路3内に送り込まれた潤滑油(オイルエア或はオイルミスト)を、上記内輪4の外周面と上記外輪6の内周面との間で上記複数の転動体8を設置した軸受内部空間15内に、供給自在としている。即ち、上記潤滑油通路3内に送り込まれた潤滑油を、上記外輪間座2に設けたノズル孔13から吹き出し、この外輪間座2の内周面と上記第一の内輪間座10の外周面との間に設けた給油隙間14の端部開口から、上記転がり軸受1の内部で上記転動体8を設けた軸受内部空間15内に吐出する。上記給油隙間14の端部開口は、上記転がり軸受1を構成する外輪6の内周面の軸方向中間部の直径方向内側に存在する。従って、上記ノズル孔13から吹き出した潤滑油は、高速回転時に上記軸受内部空間15の両端開口部に形成されるエアカーテンに拘らず、上記各転動体8の転動面に効率良く付着する。
【0004】
上述した図23に示す様な従来構造の場合、潤滑油であるオイルエア或はオイルミストを軸受内部空間15に、必要とする分だけ継続して送り込める為、高速運転時に於ける耐焼き付き性を高くできる。又、上記軸受内部空間15内に必要以上の潤滑油を滞留させる必要がないので、この潤滑油の攪拌抵抗並びに温度上昇を低く抑えて、転がり軸受により回転自在に支持された、工作機械の主軸等の回転抵抗を低く且つ安定させる事ができる。この為、この主軸を設けた工作機械等の性能を良好にできる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図23に示した従来構造の場合、単に潤滑性のみを考慮すれば十分な性能を得られるが、低騒音性や対環境性を考慮した場合には問題がある。このうちの低騒音性は、ノズル孔13から噴出する潤滑油による気流騒音で悪化する。即ち、このノズル孔13からは、空気中に微量の潤滑剤を混入させたオイルエア或はオイルミストが、絶え間なく且つ勢い良く噴出する。この為、上記ノズル孔13部分で気流騒音が発生し、この気流騒音を低減する為の消音機構等が必要になり、転がり軸受用潤滑装置全体としての構造が複雑になる。
【0006】
又、耐環境性は、軸受内部空間15内に上記オイルエア或はオイルミストを、絶え間なく且つ勢い良く送り込む事により悪化する。即ち、上記軸受内部空間15内の圧力は、上記オイルエア或はオイルミストの送り込みにより陽圧になる為、何らかの対策を施さないと、このオイルエア或はオイルミストが外部に漏洩して作業環境を汚染する。一方、高速回転する主軸に関して、接触式のシールにより上記オイルエア或はオイルミストが外部に漏洩するのを防止する事は難しい。この為、非接触式のラビリンスシールにより、上記オイルエア或はオイルミストの漏洩防止を図るが、余程複雑で且つ大型のラビリンスシールを使用しない限り、確実な漏洩防止を図る事は難しい。
【0007】
これに対して、転がり軸受の潤滑を、この転がり軸受内に予め充填したグリースにより行なえば、上述の様な低騒音性や対環境性に関する問題をなくせる。ところが、単に転がり軸受内にグリースを充填しただけでは、主軸の様に高速で回転する部材を支承する転がり軸受の潤滑を、長期間に亙って十分に図る事は難しい。グリースの充填量を多くすれば、或る程度の耐久性向上を図れるが、その代わりに攪拌抵抗が増大し、回転速度が不安定になるだけでなく、温度上昇も著しくなってグリースの劣化も進み易くなる為、その効果は限られたものとなる。
本発明は、この様な問題を何れも解消できる転がり軸受用潤滑装置を実現すべく考えたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の転がり軸受用潤滑装置は、従来から知られている転がり軸受用潤滑装置と同様に、外周面に内輪軌道を有し、ハウジングの内側で回転する軸に外嵌支持する内輪と、内周面に外輪軌道を有し、このハウジングに内嵌支持する外輪と、この外輪に隣接して上記ハウジングに内嵌支持する外輪間座と、上記内輪軌道と外輪軌道との間に設けた複数の転動体とを備えた転がり軸受のうち、上記内輪の外周面と上記外輪の内周面との間で上記複数の転動体を設置した軸受内部空間内に潤滑油を供給するものである。
【0009】
特に、本発明の転がり軸受用潤滑装置に於いては、上記外輪間座内に設けられ、内部に固形油を保持した保油空間と、この保油空間と上記軸受内部空間とを連通させる給油通路と、この給油通路内に上記潤滑油である上記固形油中の油脂を押し出す為の圧力流体を、上記保油空間内に導入する為の圧力導入路とを備える。
上記給油通路は、ノズル孔と給油隙間とにより構成している。このうちの給油隙間を構成する為に、上記内輪又はこの内輪に隣接した状態で上記軸に外嵌支持する内輪間座の外周面に、ガイド傾斜面を設けている。このガイド傾斜面は、上記内輪軌道から離れるに従って直径が小さくなる方向に傾斜し、その小径側端部が上記外輪の端面よりも軸方向外方に突出して上記外輪間座の内径側に進入している。そして、この外輪間座の端部内周面と上記ガイド傾斜面との間に、上記油脂が流通自在な、上記給油隙間を存在させている。又、上記ノズル孔は、上記外輪間座の内周面に開口しており、上記保油空間内の油脂を上記ガイド傾斜面に向けて吐出する。
又、上記保油空間は、上記保油空間の、上記外輪間座の軸方向に関する幅寸法又は内径寸法が、上記外輪間座の内径側に向かうに従って小さくなっている。そして、上記保油空間のうちで上記外輪間座の径方向内端面である奥面と上記固形油との間に隙間を形成している。
【0010】
【作用】
上述の様に構成する本発明の転がり軸受用潤滑装置の場合には、圧力導入路を通じて保油空間内に圧力流体を導入する事で、この保油空間内に保持した、潤滑油である固形油中の油脂を、給油通路を介して軸受内部空間に供給できる。この様にして軸受内部空間内に供給する油脂は、上記圧力流体の圧力や量を変える事により、調節自在である。従って、上記保油空間内に適正圧力の圧力流体を適正量ずつ、間欠的又は連続的に送り込めば、上記軸受内部空間に常に適正量の油脂を存在させる事ができる。上記保油空間の容積は、上記軸受内部空間の容積に比べて大きいので、この軸受内部空間への油脂の供給を長期間に亙って行なう事ができる。
しかも、本発明の転がり軸受用潤滑装置の場合には、保油空間の、外輪間座の軸方向に関する幅寸法又は内径寸法を、外輪間座の内径側に向かうに従って小さくすると共に、上記保油空間の奥面と上記固形油との間に隙間を形成している。この為、上記圧力導入路を通じて上記固形油の外径側に圧力を導入した場合に、この固形油に対し効率良く圧縮方向の力を付与して、この固形油中の油脂をノズル孔に向け効率良く供給できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に関する参考例の第1例を示している。尚、本参考例の特徴は、転がり軸受1aを構成する外輪6の内周面と内輪4aの外周面との間で、転動体8を設置した軸受内部空間15内に潤滑油を送り込む為の潤滑装置の構造にある。その他、転がり軸受部分の構造に就いては、前述の図23に示した従来構造の場合と同様であるから、同等部分に関する説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本参考例の特徴部分を中心に説明する。
【0012】
本参考例の場合には、上記内輪4aの片半部(図1の右半部)に延長部16を形成し、この延長部16の外周面をガイド傾斜面17としている。このガイド傾斜面17の途中には、段差や油溝、或はエッヂ等、傾斜方向及び傾斜角度が急に変化する部分、言い換えればその断面形状を表す線に関して微分不能になる部分が存在しない。又、上記ガイド傾斜面17は、全体を、表面粗さが0.8μmRa以下の平滑面としている。尚、このガイド傾斜面17の傾斜角度θは、このガイド傾斜面17に付着した潤滑油が、遠心力に基づいて上記内輪4aの外周面に設けた内輪軌道5に向け効率良く送られる様に、3度以上にする。但し、上記傾斜角度θを大きくし過ぎると、上記内輪4aの径方向(図1の上下方向)に関する厚さ寸法が大きくなり過ぎ、転がり軸受1aのPCD(ピッチ円直径)を小さくする事ができなくなる。そこで、上記傾斜角度θの最大値を30度とする(3度≦θ≦30度)。図1に示した例では、θ=15度としている。この様な内輪4aは、小径側端面(図1の右端面)に第二の内輪間座11の一端面(図1の左端面)を突き当てた状態で、図示しない主軸に外嵌固定する。
【0013】
一方、前記外輪6に隣接して配置した外輪間座2aは、円筒状の外周面と、円すい状凹面18及び円筒面19を組み合わせて成る内周面とを有する。このうちの円すい状凹面18は、転がり軸受用潤滑装置を組み立てた状態で、上記延長部16の直径方向外方に位置するもので、上記内輪4aの中間部外周面に形成した内輪軌道5に近づく程、直径方向外方に向かう方向に傾斜している。又、上記円筒面19は、上記第二の内輪間座11の直径方向外方に位置する。
【0014】
上述の様な外輪間座2aの内周面の直径は、上記内輪4a及び第二の内輪間座11の外周面の直径よりも、軸方向に対応する部分(軸方向の位相が同じ部分)で少しだけ大きい。従って、上記延長部16の外周面を構成するガイド傾斜面17と、上記外輪間座2aの内周面を構成する円すい状凹面18との間には、潤滑油が流通自在な給油隙間20が形成される。この給油隙間20は、上記内輪軌道5に近付く程直径方向外方に向かう方向に傾斜している。この給油隙間20の厚さT20の大きさは任意であるが、上記ガイド傾斜面17に沿って行なう、前記転がり軸受1a内への潤滑油の供給を円滑に行なわせる為には、上記厚さT20を、0.1〜2mm程度と、小さく抑える事が好ましい。尚、上記外輪間座2aの内周面を構成する円筒面19と、上記第二の内輪間座11の外周面との間にも円筒状の隙間が存在するが、この隙間は、上記外輪間座2aと第二の内輪間座11との干渉を防止する為にのみ必要であって、潤滑の面からは不要である。従って、上記隙間の厚さ寸法は、できる限り小さくする事が好ましい。
【0015】
更に、上記外輪間座2aの内側には、上記給油隙間20に送り込む潤滑油を保持しておく為の保油空間21を設けている。この保油空間21の形状は任意であるが、潤滑油の保持量を多くすべく容積を大きくする為には、上記外輪間座2aの全周に亙って設ける事が好ましい。そして、この保油空間21内に、多孔質の合成樹脂中に潤滑油(油脂)を保持した固形油、又は、大きな粘性を有し、それ自体では流動性が乏しいグリースを保持している。この様な固形油又はグリースは、上記外輪間座2aをハウジング22内に内嵌するのに先立って、上記保油空間21内に設置(充填)する。
【0016】
又、上記外輪間座2aの外周面で、上記保油空間21の外径側開口を軸方向両側から挟む位置に、1対の係止溝23、23を形成し、これら各係止溝23、23内に、それぞれOリング24、24を係止している。上記外輪間座2aを上記ハウジング22に内嵌した状態では、これら両Oリング24、24がこのハウジング22の内周面に全周に亙り当接して、上記外輪間座2aの外周面と上記ハウジング22の内周面との間をシールする。
【0017】
又、転がり軸受用潤滑装置を組み立てた状態で、上記外輪間座2aの外周面に存在する、上記保油空間21の基端部(図1の上端部)開口は、上記ハウジング22の支持孔25の内周面に開口した圧力導入路26の下流端開口に整合する。又、上記保油空間21の先端部(図1の左下端部)に設けたノズル孔27の先端開口は、上記ガイド傾斜面17の中間部に対向する。前記転がり軸受1aの軸受内部空間15内に給油する際には、上記保油空間21からノズル孔27を通じて上記ガイド傾斜面17の中間部に潤滑油を吐出させる。尚、このノズル孔27は、上記ガイド傾斜面17の大径側に向け傾斜している。従って、このノズル孔27から吐出された潤滑油は、その吐出の勢いによっても、上記ガイド傾斜面17の大径側に向け移動する傾向になる。
【0018】
上述の様に構成する本参考例の転がり軸受用潤滑装置により、上記転がり軸受1aを潤滑する場合には、上記圧力導入路26を通じて上記保油空間21内に、圧縮空気等の圧力流体を導入し、この保油空間21内の圧力を上昇させる。この様にして上記保油空間21内の圧力を上昇させると、この保油空間21内に保持した固形油中の油脂又はグリースが、給油通路を構成する上記ノズル孔27を通じて、このノズル孔27と共にこの給油通路を構成する、前記給油隙間20内に送り込まれる。即ち、上記ノズル孔27から吐出した潤滑油が、前記ガイド傾斜面17に吹き付けられ、このガイド傾斜面17に付着する。
【0019】
この様にしてガイド傾斜面17に付着した潤滑油は、上記主軸に外嵌固定した前記内輪4aの回転に伴う遠心力と表面張力との釣り合いにより、上記ガイド傾斜面17に沿ってこのガイド傾斜面17の大径側に送られる。即ち、上記遠心力によって上記潤滑油には径方向外方に向く力が作用するが、この潤滑油には、表面張力により、上記ガイド傾斜面17に付着したままになろうとする力も加わる。そして、これら両力の釣り合いにより、上記ガイド傾斜面17に付着した潤滑油が、このガイド傾斜面17に付着した状態のまま、このガイド傾斜面17の大径側に送られ、前記内輪4aの外周面に設けた内輪軌道5にまで達する。そして、この様にして内輪軌道5にまで達した潤滑油は、そのままこの内輪軌道5から前記各転動体8の転動面に付着し、これら各転動体8の転動面と上記内輪軌道5及び前記外輪6の内周面に設けた外輪軌道7との転がり接触部を潤滑する。
【0020】
本参考例の場合、上記ガイド傾斜面17は、その小径側端部から上記内輪軌道5に隣接した大径側端部までの間に、段差や油溝、或はエッヂ等、傾斜方向及び傾斜角度が急に変化する部分が存在しない。この為、上記ガイド傾斜面17に付着した潤滑油は、上記主軸の回転に伴って発生する遠心力に拘らず、このガイド傾斜面17の途中でこのガイド傾斜面17から離脱する事なく、このガイド傾斜面17の大径側端部に存在する上記内輪軌道5にまで達する。この様にして、このガイド傾斜面17を通じて潤滑油を転がり接触部に送り込む作用は、上記主軸の高速回転時に転がり軸受1aの両端開口部に形成されるエアカーテンに妨げられる事なく、効率良く行なわれる。従って、上記主軸の回転速度が速くなっても、前記ノズル孔27から吐出する潤滑油の殆どが、上記内輪軌道5に達し、上記転がり接触部の潤滑に供される。
【0021】
上述の様にして前記軸受内部空間15内に供給する油脂又はグリース等の潤滑油は、前記圧力導入路26から前記保油空間21内に導入する圧力流体の圧力や量を変える事により、調節自在である。従って、上記保油空間21内に適正圧力の圧力流体を適正量ずつ、連続的又は間欠的に送り込めば、上記軸受内部空間15に常に適正量の油脂又はグリースを存在させる事ができる。即ち、一度上記軸受内部空間15内に、(オイルミストやオイルエアとは異なる)液状の潤滑油を送り込めば、その後潤滑油の送り込みを停止しても、相当時間に亙り主軸等の回転部材の高速回転を継続的に行なえる。そこで、上記保油空間21内への圧力流体の導入を、連続的又は一定時間毎、或は回転部材が所定回数回転する毎に行なえば、転がり軸受の潤滑を十分に行なえる。
【0022】
上記保油空間21から上記軸受内部空間15への給油は、間欠的にしか行なわれないか、連続的に行なうにしても、給油量は僅かずつである。従って、何れにしても、給油時に、オイルエアやオイルミストを勢い良く噴出させる場合の様な気流騒音が発生する事はない。又、余剰の潤滑油が上記軸受内部空間からラビリンスシールを通過して周囲に漏れ出す事も殆どない。この為、低騒音化と油脂分の漏洩防止による周囲空間の清浄化とにより、作業環境を良好にできる。
【0023】
又、上記保油空間21の容積は、上記軸受内部空間15の容積に比べて大きい。しかも、この保油空間21内に存在する潤滑油の量がいくら多くても、前記転がり軸受1aの攪拌抵抗が増大する事はなく、この転がり軸受1aの動トルクが増大したり、変動したり、運転時の温度上昇が著しくなる事はない。従って、上記保油空間21内に十分に多量の潤滑油を保持して、上記軸受内部空間15内への油脂又はグリースの供給を長期間に亙って行なう事ができる。尚、上記保油空間21内に導入する圧力流体は、圧縮空気に限らず、圧力を加えた作動油とする事もできる。但し、作動油とする場合には、この作動油の成分を、上記保油空間21内に予め充填しておく、固形油中の油脂又はグリースの成分と同等のものにする。又、上記転がり軸受1a内には、運転開始前に予め少量の潤滑油(グリース等)を注入しておく事が好ましいが、主軸等の起動前に上記保油空間21内に圧力流体を導入すれば、必ずしも注入しておく必要はない。
【0024】
次に、図2は、本発明に関する参考例の第2例を示している。本参考例の場合には、転がり軸受1bとして、転動体8aが円筒ころである円筒ころ軸受を使用している。従って、内輪4bの外周面に設ける内輪軌道5a及び外輪6aの内周面に設ける外輪軌道7aは、それぞれ円筒面としている。又、上記内輪4bの軸方向寸法を、外輪6aの軸方向寸法に比べて小さくすると共に、上記内輪4bに隣接させて第一の内輪間座10aを配置し、更にこの第一の内輪間座10aに隣接させて、第二の内輪間座11を配置している。そして、上記内輪4bの軸方向一端面(図2の右端面)を、上記外輪6aの軸方向一端面よりも、この外輪6aの軸方向中央部に寄った位置に存在させている。このうちの第一の内輪間座10aは、内周面を円筒状に形成すると共に、外周面を円すい凸面状のガイド傾斜面17としている。
その他の構成及び作用は、前述した参考例の第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0025】
次に、図3は、本発明に関する参考例の第3例を示している。本参考例の場合には、保油空間21aが、外輪間座2aの外周面に開口する状態で全周に亙って形成した凹溝である。この様な保油空間21aの、上記外輪間座2aの中心軸を含む仮想平面に関する断面形状は台形であり、この保油空間21aの両内側面は、上記外輪間座2aの軸方向(図3の左右方向)に関するこの保油空間21aの幅が、この外輪間座2aの内径側(図3の下側)に向かうに従って狭くなる方向に傾斜している。そして、この様な保油空間21a内に、潤滑剤含有ポリマー、或は潤滑剤含有多孔質材等である、固形油28を充填している。この固形油28は、材料物質を上記保油空間21a内に充填した状態で加熱成形し、この保油空間21a内で冷却固化させる。従って、上記固形油28の断面形状も、上記保油空間21aと同様の台形である。
【0026】
この様に、保油空間21a及び固形油28の断面形状を、上記外輪間座2aの内径側に向かう程幅(厚さ)が狭くなる台形に形成する事により、圧力導入路26を通じての圧力導入時に、上記固形油28中の油脂成分をノズル孔27に向け、効率良く押し出せる様にしている。この様に、上記各部の断面形状を台形にする事により、油脂成分の押し出しを効率良く行なえる理由に就いて、以下に説明する。
【0027】
上記保油空間21a内で加熱成形した固形油28が冷却固化する際、この固形油28及び前記外輪間座2aが熱収縮するが、この収縮量は、合成樹脂を主成分とする固形油28の方が、金属製の外輪間座2aよりも多くなる。この為、前述の図1〜2に示した第1〜2例の様に、保油空間21の断面形状が単なる矩形の場合には、冷却固化後の固形油28の外面と上記保油空間21の内面との間に隙間が生じる。この様な隙間が生じると、上記圧力導入路26から上記保油空間21内に導入された圧縮気体の全部又は一部が、固形油を押す事なく、そのまま上記隙間を通ってノズル孔27に達する可能性がある。この様な場合には、固形油内の油脂がこのノズル孔27から効率良く送り出されなくなる。
【0028】
これに対して本参考例の場合には、上記保油空間21a内で加熱成形した固形油28が冷却固化しても、これら固形油28の外面と保油空間21aの内面との間に隙間が生じにくい。即ち、この固形油28は、加熱成形後の冷却固化に伴って、その軸方向に関する厚さが小さくなると同時に直径が縮まる。この為、上記固形油28の熱収縮に伴う体積減少分が、この固形油28の外面と上記保油空間21aの外面との間の隙間増大にそのまま結び付く事はなくなる。この様に本参考例の場合には、固形油28の外面と保油空間21aの内面との間の隙間を減少若しくはなくせる為、前記圧力導入路26からこの保油空間21a内に導入した圧力を、上記固形油28中の油脂を前記ノズル孔27に向け押し出す為に有効に利用できて、この固形油28の熱収縮に伴って潤滑不良が発生する事を防止できる。
【0029】
又、本参考例の場合には、潤滑用の油脂が枯渇した用済の固形油28を取り出す作業を、容易に行なえる。即ち、前記外輪間座2aをハウジング22から抜き取った状態で、用済の固形油28の円周方向1乃至複数個所を切断してこの固形油28の直径を広げれば、この固形油28を上記保油空間21aから、その両側面とこの保油空間21aの両内側面とを擦れ合わせたり干渉させたりする事なく、容易に抜き取る事ができる。この様にして用済の固形油28を抜き取った後に上記外輪間座2aは、その保油空間21aに新たな固形油28を充填してから、上記ハウジング22内にセットする。
【0030】
次に、図4は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の場合には、保油空間21aの奥面30と固形油28の内径面31との間に隙間29を、全周に亙って形成している。本例の場合、この様な隙間29を形成する事により、圧力導入路26を通じて上記固形油28の外径側に圧力を導入した場合に、この固形油28に対し効率良く圧縮方向の力を付与して、この固形油28中の油脂をノズル孔27に向け効率良く供給できる。この理由に就いて、図5を参照しつつ、以下に説明する。
【0031】
上記圧力導入路26から上記固形油28の外径側に導入された圧力は、図5に示す様にF1 なる力で、この固形油28にその内径を縮める方向に作用する。この結果、この固形油28は上記保油空間21aに楔状に食い込む傾向になって、この保油空間21aの両内側面からF2 なる力を受ける。これら両内側面の傾斜角度をαとすれば、このF2 は、次式で表される。
2 =F1 /(2・sinα)
従って、上記傾斜角度αを小さくすれば、上記固形油28を軸方向両側から挟持する力F2 を十分に大きくして、この固形油28を強く圧縮し、この固形油28中の油脂成分を上記ノズル孔27に向け、効率良く送り出せる。
【0032】
次に、図6は、本発明に関する参考例の第4例を示している。本参考例の場合には、前述の図2に示した参考例の第2例の場合と同様に、転がり軸受1bとして、転動体8aが円筒ころである円筒ころ軸受を使用している。この転がり軸受1bと第一の内輪間座10a部分の構造に関しては前述の参考例の第2例の場合と同様であり、保油空間21a部分の構造に就いては前述した参考例の第3例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0033】
次に、図7〜8は、本発明に関する参考例の第5例を示している。本参考例の場合には、複数の保油空間21b、21bが、それぞれが外輪間座2aの外周面に開口する状態で形成された、断面円形の複数の凹孔である。これら凹孔である上記各保油空間21b、21bは、その内径が上記外輪間座2aの内径側に向かうに従って小さくなる方向に傾斜したテーパ孔である。そして、上記各保油空間21b、21b内に、それぞれが円すい台状に形成された固形油28a、28aを押し込んでいる。又、上記外輪間座2aの外周面で上記各保油空間21b、21bの端部開口に整合する部分には凹溝32を、全周に亙って形成している。ハウジング22に設けた圧力導入路26は、この凹溝32を介して、上記各保油空間21b、21bに通じている。
【0034】
この様な本参考例の場合も、これら各保油空間21b、21bの内周面と上記各固形油28a、28aの外周面との間の隙間を、減少若しくはなくせる。この為、上記圧力導入路26と上記凹溝32とを通じて上記各保油空間21b、21b内に圧力流体を送り込めば、上記固形油28a、28aを有効に加圧して、これら各固形油28a、28a中の油脂を、上記各保油空間21b、21bの奥端部に設けたノズル孔27を通じて転がり軸受1a内に、効率良く送り込める。
【0035】
更に、本参考例の構造によれば、上記各固形油28a、28aをカートリッジ化できて、寿命に達した固形油28a、28aを取り外して新たな固形油28a、28aを装着する作業の容易化を図れる。又、異なるサイズの転がり軸受1aの潤滑を行なうべく、直径が異なる外輪間座2aに装着する固形油28a、28aの共通化を図れて、コストダウンに寄与する事もできる。尚、上記各固形油28a、28aが上記各保油空間21、21から抜け出るのを防止する為には、上記凹溝32部分にOリングや環状のコイルばね等の抑え部材を装着し、上記各固形油28a、28aの基端面(大径側端面)を抑え付ければ良い。
【0036】
次に、図9は、請求項1、3に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合は、各保油空間21bの奥面30aと各固形油28aの先端面33との間に隙間29aを介在させて、圧力導入路26を通じての圧力導入時に、上記各固形油28aに対し圧縮方向の力を、効率良く加えられる様にしている。又、転がり軸受1bとして、転動体8aが円筒ころである円筒ころ軸受を使用している。この転がり軸受1bと第一の内輪間座10a部分との構造に関しては前述の参考例の第2例の場合と同様であり、保油空間21b部分の構造に就いては、上記隙間29aを設けた点を除き、上述した参考例の第5例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0037】
次に、図10は、本発明に関する参考例の第6例を示している。本参考例の場合には、外輪間座2aの外周面に開口する状態で形成した保油空間21a内に保持した固形油28の表面で上記外輪間座2aの外径側(図10の上側)部分を、この固形油28の油脂成分を浸透させない、弾力性を有する合成樹脂製の薄膜34により覆っている。本参考例の場合には、この様な薄膜34を設ける事により、圧力導入路26からの圧力導入に伴って上記固形油28から押し出された油脂成分を、ノズル孔27に向け効率良く供給自在としている。この様な作用を発揮する理由に就いて、以下に述べる。
【0038】
圧力導入路26からの圧力導入に伴って上記固形油28から油脂成分が、この固形油28の表面全体から押し出される。このうち、この固形油28の外周面から押し出された油脂成分は、上記ノズル孔27に供給されにくく、そのまま無駄になる可能性がある。これに対して本参考例の場合には、上記薄膜34を設ける事により、上記固形油28の外周面から油脂成分が押し出されない様にして、この固形油28内に含浸された油脂成分を上記ノズル孔27に向け、効率良く送れる様にしている。この為、この油脂成分の有効利用により、上記固形油28の寿命延長を図れる。
【0039】
次に、図11は、請求項1、3、5に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例は、前述の図9に示した第2例の構造に、薄膜34aを付加したものである。この薄膜34aの機能に就いては上述した参考例の第6例の場合と同様であり、転がり軸受1bと第一の内輪間座10a部分の構造に関しては前述の参考例の第2例の場合と同様であり、保油空間21b部分の構造に就いては、上記参考例の第5例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0040】
次に、図12は、請求項1、4に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、外輪間座2bを、主体35と蓋体36とを軸方向(図12の左右方向)に重ね合わせる事により構成している。このうちの主体35は、互いに同心に設けた外径側円筒部37と内径側円筒部38との基端縁(図12の右端縁)同士を円輪部39で連続させる事により、側方が開口した断面略コ字形で全体を円環状としている。尚、上記外径側円筒部37の軸方向長さは、上記内径側円筒部38の軸方向長さよりも長くしている。従って、上記外径側円筒部37の先端縁(図12の左端縁)は、上記内径側円筒部38の先端縁よりも軸方向に(図12の左方に)僅かに突出している。
【0041】
又、上記円輪部39の内側面(図12の左側面)は、内径側に向かう程上記各円筒部37、38の先端縁に向かう方向に傾斜している。従って、上記円輪部39と上記蓋体36との間に存在する保油空間21cの軸方向の幅は、内径側程小さくなる。更に、上記外径側円筒部37の外周面中間部には凹溝40を、全周に亙って形成しており、この凹溝40部分に於いて上記外径側円筒部37に、通孔41を形成している。上記外輪間座2bをハウジング22内に組み付けた状態で上記保油空間21cは、上記通孔41と凹溝40とを通じて、上記ハウジング22に設けた圧力導入路26に通じる。尚、図示の例では、上記内径側円筒部38の基端部及び上記円輪部39の外側面内径側端部にかけて凹部45を、全周に亙って形成し、上記主体35と隣接する転がり軸受1aの内輪4aとが干渉しない様にしている。尚、図示の例では、2組設けた転がり軸受1a、1aに潤滑油を供給する為の圧力導入路26、26を互いに独立させて、上記各転がり軸受1a、1aに送り込む潤滑油の量を変えられる様にしている。但し、これら両転がり軸受1a、1aに送り込む潤滑油の量を互いに独立して変える必要がなければ、上記圧力導入路26、26を独立させず、上記両転がり軸受1a、1aに潤滑油を供給する為の保油空間21c、21c内に、同じ圧力を加える様に構成しても良い。
【0042】
上述の様な主体35と、円輪状の蓋体36とを軸方向に重ね合わせて前記外輪間座2bを構成した状態で、この蓋体36の片面(図12の右面)内径寄り部分と上記内径側円筒部38の先端縁との間には、スリット状の給油通路42(請求項1に記載したノズル孔)が、全周に亙って形成される。又、上記保油空間21c内には固形油28bを設置している。この固形油28bの径方向の厚さは、この保油空間21cの径方向の厚さよりも小さく、新しい固形油28bをこの保油空間21c内に設置した状態では、この固形油28bの内周面と上記内径側円筒部38の外周面との間に隙間43が存在する。
【0043】
上述の様に構成する本例の場合は、前記圧力導入路26を通じて上記保油空間21cの外径寄り部分に、圧縮空気等の圧力流体を導入し、上記固形油28bの直径を弾性的に縮める事により、この固形油28b中の油脂成分を上記給油通路42に向け送り出す。この給油通路42は、前記外輪間座2bの内周面に全周に亙って開口しているので、上記油脂成分は転がり軸受1aを構成する内輪4aの延長部16の外周面にまんべんなく付着して、この転がり軸受1a内に効率良く送り込まれる。
【0044】
特に、本例の場合には、前述した参考例の第1〜6例及び実施の形態の第1〜3例の場合に比べて、次の様な、より優れた作用・効果を得られる。先ず第一に、上記固形油28bの容積を十分に確保できる構造で、しかも、上記外輪間座2bの軸方向の剛性を確保できる。即ち、前述の図1〜6に示した参考例の第1〜4例及び実施の形態の第1例の場合、保油空間21、21aを外輪間座2aの全周に亙って形成している為、この保油空間21、21a内に充填若しくは設置するグリース若しくは固形油の容積を多くできる反面、上記外輪間座2aの軸方向に関する剛性が低下する。この為、転がり軸受により支持される主軸が、ドリルによる孔加工やバイトによる端面加工に基づいて発生する大きなスラスト荷重を支承する場合には、上記外輪間座2aの剛性が不足する可能性がある。これに対して本例の場合には、上記外輪間座2bのうち、外輪6の端面が突き当てられた外径側端部の軸方向剛性を十分に確保できる。
【0045】
又、上記固形油28bの容積を十分に確保できる構造で、しかも、この固形油28bを前記保油空間21cに設置する作業を容易に行なえる。即ち、前述の図3〜6に示した参考例の第3〜4例及び実施の形態の第1例の場合、保油空間21a内に固形油28を設置するのに、射出成形を行なったり、或はこの固形油28の一部に切り割りを形成したりする必要がある。これに対して本例の場合には、前記蓋体36を取り外した状態で上記保油空間21c内に上記固形油28bを、軸方向から着脱できる。この為、この固形油28bの設置作業や交換作業を容易に行なえる。
【0046】
次に、図12に示した実施の形態の第4例の構造で、前記給油通路42から固形油28b中の油脂成分が吐出される状態を確認する為に行なった実験に就いて説明する。この実験では、図13に示す様に、上記給油通路42の下流端開口部に脱脂綿44を設置し、圧縮空気によって上記固形油28bの外周面に、294KPa(3kg/cm2 )の圧力を加え続ける事により、この固形油28b中の油脂成分を上記給油通路42を通じて上記脱脂綿44に向け吐出させた。雰囲気温度は50℃とし、上記給油通路42の幅W42は0.1mmとした。そして、上記固形油28bの重量減少分と、この脱脂綿44の重量増大分とを、時間の経過と共に測定した。その結果を、図14〜15に示す。
【0047】
このうちの図14に示した曲線aは、上記脱脂綿44の重量増大分を、同じく曲線bは上記固形油28bの重量減少分を、それぞれ表している。これら曲線a、bを比較すれば明らかな通り、上記固形油28bの重量減少分のうちの凡そ80%が、上記脱脂綿44の重量増大分となっている。又、この脱脂綿44の重量増大は、1時間当たり凡そ0.5mg程度の微小量で、しかも時間の経過に対して非常に安定して増加する。この事は、上記固形油28bから送り出されて上記給油通路42から吐出した油脂成分が、前記延長部16(図12参照)の外周面に効率良く付着する事を示している。
【0048】
又、図15は、上記固形油28bの重量の減少率を表している。この固形油28bの重量は、1400時間経過した時点で、凡そ7%減少したが、この固形油中の油脂成分は凡そ70%である。従って、一度前記保油空間21c内に固形油28bを設置すれば、非常に長期間に亙って転がり軸受1a内に油脂成分を供給し続けられる事が分かる。
【0049】
次に、本発明を実施する場合に好適な、固形油28、28a、28bの具体例に就いて説明する。
本発明の実施に使用する固形油28、28a、28bのうちの第一の種類としては、ポリマー中に潤滑剤を含有させた、所謂潤滑剤含有ポリマーがある。このうちのポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン等の、基本的に同じ化学構造を有するポリオレフィン系樹脂の群から選定された合成樹脂が使用可能である。又、上記潤滑剤としては、ポリαオレフィン油の様なパラフィン系炭化水素油、ナフテン系炭化水素油、鉱油、ジアルキルジフェニルエーテル油の様なエーテル油、フタル酸エステルの様なエステル油等を、何れか単独若しくは混合油の形で混ぜて調整したものを使用できる。上記潤滑剤含有ポリマーを造る場合には、上記ポリマーの原料と潤滑剤とを混合したものを、ポリマーである合成樹脂の融点以上で加熱して可塑化し、その後冷却・固化する事で、所望の形状及び寸法を有する、上記固形油28、28a、28bとする。尚、上記潤滑剤中に、予め酸化防止剤、防錆剤、摩耗防止剤、消泡剤、極圧剤等の各種添加剤を加える事もできる。
本発明を実施する場合、上記固形油28、28a、28bにはあまり強度を要求しない為、上述した材料を、保油性能を確保する面から選択使用して、上記固形油28、28a、28bを得る。
【0050】
又、本発明の実施に使用する固形油28、28a、28bのうちの第二の種類としては、多孔質材中に潤滑剤を含浸させたものがある。このうちの多孔質材としては、多孔質高分子材、多孔質金属燒結体、多孔質セラミック燒結体がある。このうちの多孔質高分子材としては、軟質ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、フェノール樹脂フォーム、尿素樹脂フォーム、ポリビニルアルコールフォーム、ビスコーススポンジ、ラバーフォーム、シンタクチックフォーム等の、連続気泡を有する多孔質高分子材が挙げられる。又、上記多孔質金属燒結体としては、鉄系材料、銅系材料、ステンレス系材料、ニッケル系材料、クロム系材料等の燒結体を使用できる。又、上記多孔質セラミック燒結体としては、アルミナ、ジルコニア等を使用できる。更に、潤滑剤としては、転がり軸受の潤滑に適当で上記多孔質材中に含浸させる事が可能な、あらゆる材料を使用でき、例えば、鉱油、ポリαオレフィン油、アルキルポリフェニルエーテル、エステル油等の炭化水素系潤滑油、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコン系潤滑油、パーフルオロポリフェニルエーテル等のフッ素系潤滑油等が使用可能である。
【0051】
次に、図16〜17は、本発明に関する参考例の第7例を示している。本参考例の場合には、複数の保油空間21d、21dが、それぞれが外輪間座2aの外周面に開口する状態で形成された、断面円形の複数の凹孔である。これら凹孔である上記各保油空間21d、21dは、その内径が上記外輪間座2aの径方向に変化しない円孔である。そして、これら各保油空間21d、21d内に、栓状部材46とグリース47とを、それぞれこれら各保油空間21d、21dの奥から順に、これら各保油空間21d、21dの断面を塞ぐ状態で設けている。このうちの栓状部材46は、例えば上述した様な多孔質材製で、内部に互いに連続する微細流路を有する。
【0052】
この様な栓状部材46は、上記各保油空間21d、21dのうち、給油通路の上流端部を構成するノズル孔27寄りの下流側部分に、上述の様に上記各保油空間21d、21dの断面を塞ぐ状態で設けている。そして、これら各保油空間21d、21dの上流側部分に存在する流体が、上記栓状部材46内の微細流路を通過してから、上記ノズル孔27に達する様にしている。そして、上記各保油空間21d、21d内の上流側部分、即ち、上記栓状部材46よりも上流側に位置する部分にグリース47を、上記各保油空間21d、21dの断面を塞ぐ状態で充填している。又、本参考例の場合も、ハウジング22に設けた圧力導入路26と上記外輪間座2aの外周面に形成した凹溝32とを通じて上記各保油空間21d、21d内に圧力流体を送り込み自在としている。
【0053】
上述の様に構成する本参考例の転がり軸受用潤滑装置により、転がり軸受1aを潤滑する場合には、上記圧力導入路26を通じて上記各保油空間21d、21d内に、圧縮空気等の圧力流体を導入し、これら各保油空間21d、21d内の圧力を上昇させる。この様にしてこれら各保油空間21d、21d内の圧力を上昇させると、これら各保油空間21d、21d内の上流側部分に充填したグリースが、上記栓状部材46内の微細流路内に押し込まれ、この微細流路を通じて上記各保油空間21d、21dの下流側部分に送られる。そして、これら各保油空間21d、21d内に送られたグリースが、上記ノズル孔27を通じて、このノズル孔27と共にこの給油通路を構成する給油隙間20内に送り込まれ、内輪4aの片半部に形成した延長部16の外周面であるガイド傾斜面17に付着する。この様にしてガイド傾斜面17に付着した潤滑油は、前述した参考例の第1例の場合と同様にして、上記内輪4aの外周面に設けた内輪軌道5にまで達し、各転動体8の転動面と内輪軌道5及び外輪6の内周面に設けた外輪軌道7との転がり接触部を潤滑する。
【0054】
本参考例の場合も、軸受内部空間15内に供給するグリースは、上記圧力導入路26から上記各保油空間21d、21d内に導入する圧力流体の圧力や量を変える事により、調節自在である。例えば、前記栓状部材46を通過して上記ノズル孔27に送られるグリースの量は、この栓状部材46の空隙率(内部に存在する微細流路の大きさ)、この栓状部材46の断面積や軸方向長さ、或は上記各保油空間21d、21d内に送り込む圧力流体の圧力、更には上記ノズル孔27の内径や長さを変える事により任意に調節できる。従って、上記栓状部材46の性状に応じて上記各保油空間21d、21d内に適正圧力の圧力流体を適正量ずつ、連続的又は間欠的に送り込めば、上記軸受内部空間15に常に適正量グリースを存在させる事ができる。
【0055】
即ち、一度上記軸受内部空間15内にグリースを送り込めば、その後グリースの送り込みを停止しても、相当時間に亙り主軸等の回転部材の高速回転を継続的に行なえる。そこで、上記各保油空間21d、21d内への圧力流体の導入を、連続的又は一定時間毎、或は回転部材が所定回数回転する毎に行なえば、転がり軸受の潤滑を十分に行なえる。圧力流体の導入を間欠的に行なう場合に導入の時期としては、例えば工作機械等の起動毎が考えられる。一般的に工作機械の起動時には、運転動作の異状の有無や各計測機器のチェックを兼ねて、低速からの暖機運転を行なう。この様な状態でグリースを転がり軸受1a内に送り込めば、送り込まれた直後で未だこの転がり軸受1a内に広がっていないグリースが攪拌されて発熱する事を抑えられるので、グリースの供給時期としては好ましい。そこで、上記工作機械の制御器に、起動時に上記各保油空間21d、21d内に圧力流体を送り込む動作を行なわせる機能を組み込めば、上記転がり軸受1a内へのグリースの供給を効果的に行なえる。何れにしても、上記各保油空間21d、21d内に充填可能なグリースの量は、上記軸受内部空間15内に充填可能なグリースの量に比べて遥かに(例えば数十倍〜数百倍)多い為、上記各保油空間21d、21d内へのグリースの補給を長期間行なわなくても、前記転がり軸受1aの潤滑を、長期間に亙って十分に行なえる。
【0056】
又、本参考例の場合には、上記各保油空間21d、21d内に充填したグリースを、多孔質の栓状部材46を通じて前記ノズル孔27に送る為、上記圧力流体の圧力が多少変動しても、上記グリースの供給を安定して行なえる。即ち、工作機械の主軸を支持する為の転がり軸受1aの潤滑を考慮した場合、上記圧力流体として、例えば圧力(ゲージ圧)が(1〜3)×103 hPa(≒1〜3kg/cm2)程度の圧縮空気を使用する事が、一般的に考えられる。この様な圧縮空気によりグリースの押し出しを行なう場合、上記栓状部材46を使用しないと、上記ノズル孔27を余程小径(例えば内径を1mm程度)にしても、前記ガイド傾斜面17に過剰なグリースが付着する事になる。これに対して、上記栓状部材46を使用する事により、このグリースの流れに対する抵抗を大きくできるので、上記ガイド傾斜面17に付着するグリースの量を適正にできる。
【0057】
しかも、上記栓状部材46を設ける事により、上記圧縮空気の圧力が多少変動しても、上記ノズル孔27から上記ガイド傾斜面17に吐出されるグリースの量を安定させる事もできる。即ち、上記圧縮空気の圧力は、レギュレータを設けた場合でも、(1〜3)×102 hPa(≒0.1〜0.3kg/cm2)程度変動する。一方、本例の場合には、上記栓状部材46による圧力損失効果に基づき、上記各保油空間21d、21dの上流側部分に導入する圧縮空気の圧力を高くできる。この為、上記変動分の割合を小さくして、この圧縮空気の圧力が多少変動した場合でも、上記ガイド傾斜面17へのグリースの吐出量が、潤滑性能に影響を及ぼすほど変動する事を防止できる。
【0058】
尚、上記栓状部材46に必要な抵抗を持たせる為には、この栓状部材46内の微細流路の断面積を或る程度確保して、その代わりに、この栓状部材46の軸方向長さを大きくする事が好ましい。この理由は、上記微細流路の断面積を大きくする事で、上記グリース内に混入した異物がこの微細流路内に詰まりにくくする為である。但し、図示の例では、上記各保油空間21d、21dを複数個、円周方向等間隔に設けている為、何れかの保油空間21d内の栓状部材46が詰まった場合でも、他の保油空間21dからのグリース供給は継続して行なわれる。従って、前記転がり軸受1aへのグリース供給が停止する事はない。
【0059】
次に、図18は、本発明に関する参考例の第8例を示している。本参考例の場合には、前述の図2に示した参考例の第2例の場合と同様に、転がり軸受1bとして、転動体8aが円筒ころである円筒ころ軸受を使用している。この転がり軸受1bの構造及び第一の内輪間座10aを設ける点に関しては上記参考例の第2例の場合と同様であり、保油空間21d内のグリース47を栓状部材46を介してノズル孔27に送る点に就いては上述した参考例の第7例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0060】
次に、図19〜20は、本発明に関する参考例の第9例を示している。本参考例の場合には、前述の図7〜8に示した参考例の第5例の場合と同様に、複数の保油空間21e、21eを、それぞれが外輪間座2aの外周面に開口する状態で形成された、断面円形でその内径がこの外輪間座2aの内径側に向かうに従って小さくなる方向に傾斜したテーパ孔としている。そして、上記各保油空間21e、21e内に、それぞれが円すい台状に形成された栓状部材46aを押し込んでいる。そして、上記外輪間座2aの径方向に関してこの栓状部材46aよりも外径側に位置する、上記各保油空間21e、21e内の上流側部分に、グリース47を充填している。
【0061】
上述の様に構成する本参考例の場合には、上記栓状部材46aの外周面と上記各保油空間21e、21eの内周面とを楔状に当接させて、この栓状部材46aがこれら各保油空間21e、21eの奥端部にまで入り込まない様にできる。この為、円環状ではない、ピース状の栓状部材46aを使用する構造でも、上記各保油空間21e、21eの奥端面と上記栓状部材46aの先端面との間に隙間48を介在させて、この栓状部材46aを通過してノズル孔27に送られるグリース47の流路を確保できる。
その他の構成及び作用は、前述の図16〜17に示した参考例の第7例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0062】
次に、図21は、本発明に関する参考例の第10例を示している。本参考例の場合には、前述の図2に示した参考例の第2例の場合と同様に、転がり軸受1bとして、転動体8aが円筒ころである円筒ころ軸受を使用している。この転がり軸受1bの構造及び第一の内輪間座10aを設ける点に関しては上記参考例の第2例の場合と同様であり、保油空間21e内のグリース47を栓状部材46aを介してノズル孔27に送る点に就いては上述した参考例の第9例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0063】
次に、図22は、本発明に関する参考例の第11例を示している。本参考例の場合には、前述の図12に示した実施の形態の第4例の場合と同様に、ハウジング22の内側に、それぞれが前述の図19〜20に示した参考例の第9例とほぼ同様の構造を有する転がり軸受用潤滑装置を、2組設けている。更に本参考例の場合には、各保油空間21e、21e内だけでなく、これら各保油空間21e、21eの圧縮空気を導入する為の圧力導入路26、26の下流端部分にも、グリース47、47を充填して、このグリース47、47の充填量をより多くしている。転がり軸受用潤滑装置の構造及び作用に関しては、上記参考例の第9例の場合とほぼ同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
【0064】
尚、本発明の潤滑装置により潤滑油を供給する転がり軸受は、図示の様なアンギュラ型玉軸受、円筒ころ軸受に限らず、深溝型玉軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受等、他の型式の転がり軸受であっても良い。
【0065】
【発明の効果】
本発明の転がり軸受用潤滑装置は、以上に述べた通り構成され作用するので、作業環境の改善を図りつつ、長期間に亙り良好な潤滑性能を維持できる。この為、作業環境が良好で、しかもメンテナンスが容易な工作機械等の実現に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に関する参考例の第1例を示す部分断面図。
【図2】 同第2例を示す部分断面図。
【図3】 同第3例を示す部分断面図。
【図4】 本発明の実施の形態の第1例を示す部分断面図。
【図5】 この第1例の機能を説明する為の模式図。
【図6】 本発明に関する参考例の第4例を示す部分断面図。
【図7】 同第5例を示す部分断面図。
【図8】 この第5例に組み込む外輪間座を外周側から見た図。
【図9】 本発明の実施の形態の第2例を示す部分断面図。
【図10】 本発明に関する参考例の第6例を示す部分断面図。
【図11】 本発明の実施の形態の第3例を示す部分断面図。
【図12】 同第4例を示す部分断面図。
【図13】 本発明の効果を確認する為に行なった実験の実施状態を示す部分断面図。
【図14】 この実験の結果のうち、固形油の重量減少及び脱脂綿の重量増大を、時間の経過との関係で示す線図。
【図15】 同じく固形油の重量が減少する割合を、時間の経過との関係で示す線図。
【図16】 本発明に関する参考例の第7例を示す部分断面図。
【図17】 この第7例に組み込む外輪間座を外周側から見た図。
【図18】 本発明に関する参考例の第8例を示す部分断面図。
【図19】 同第9例を示す部分断面図。
【図20】 この第9例に組み込む外輪間座を外周側から見た図。
【図21】 本発明に関する参考例の第10例を示す部分断面図。
【図22】 同第11例を示す部分断面図。
【図23】 従来構造の1例を示す半部断面図。
【符号の説明】
1、1a、1b 転がり軸受
2、2a、2b 外輪間座
3 潤滑油通路
4、4a、4b 内輪
5、5a 内輪軌道
6、6a 外輪
7、7a 外輪軌道
8、8a 転動体
9 保持器
10、10a 第一の内輪間座
11 第二の内輪間座
13 ノズル孔
14 給油隙間
15 軸受内部空間
16 延長部
17 ガイド傾斜面
18 円すい状凹面
19 円筒面
20 給油隙間
21、21a、21b、21c、21d、21e 保油空間
22 ハウジング
23 係止溝
24 Oリング
25 支持孔
26 圧力導入路
27 ノズル孔
28、28a、28b 固形油
29、29a 隙間
30、30a 奥面
31 内径面
32 凹溝
33 先端面
34、34a 薄膜
35 主体
36 蓋体
37 外径側円筒部
38 内径側円筒部
39 円輪部
40 凹溝
41 通孔
42 給油通路
43 隙間
44 脱脂綿
45 凹部
46、46a 栓状部材
47 グリース
48 隙間

Claims (5)

  1. 外周面に内輪軌道を有し、ハウジングの内側で回転する軸に外嵌支持する内輪と、内周面に外輪軌道を有し、このハウジングに内嵌支持する外輪と、この外輪に隣接して上記ハウジングに内嵌支持する外輪間座と、上記内輪軌道と外輪軌道との間に設けた複数の転動体とを備えた転がり軸受のうち、上記内輪の外周面と上記外輪の内周面との間で上記複数の転動体を設置した軸受内部空間内に潤滑油を供給する転がり軸受用潤滑装置に於いて、上記外輪間座内に設けられ、内部に固形油を保持した保油空間と、この保油空間と上記軸受内部空間とを連通させる給油通路と、この給油通路内に上記潤滑油である上記固形油中の油脂を押し出す為の圧力流体を、上記保油空間内に導入する為の圧力導入路とを備え、上記内輪又はこの内輪に隣接した状態で上記軸に外嵌支持する内輪間座の外周面にガイド傾斜面が設けられており、このガイド傾斜面は、上記内輪軌道から離れるに従って直径が小さくなる方向に傾斜し、その小径側端部が上記外輪の端面よりも軸方向外方に突出して上記外輪間座の内径側に進入しており、この外輪間座の端部内周面と上記ガイド傾斜面との間に、上記油脂が流通自在な給油隙間が存在しており、上記外輪間座の内周面に、上記保油空間内の油脂を上記ガイド傾斜面に向けて吐出するノズル孔が開口しており、このノズル孔と上記給油隙間とが上記給油通路を構成しており、上記保油空間の、上記外輪間座の軸方向に関する幅寸法又は内径寸法は、上記外輪間座の内径側に向かうに従って小さくなっており、上記保油空間のうちで上記外輪間座の径方向内端面である奥面と上記固形油との間に隙間を形成している事を特徴とする転がり軸受用潤滑装置。
  2. 保油空間は、外輪間座の外周面に開口する状態で全周に亙って形成された凹溝であり、この凹溝の外輪間座の軸方向に関する幅は、この外輪間座の内径側に向かうに従って狭くなる、請求項1に記載した転がり軸受用潤滑装置。
  3. 保油空間は、それぞれが外輪間座の外周面に開口する状態で形成された、断面円形の複数の凹孔であり、これら各凹孔の内径は、上記外輪間座の内径側に向かうに従って小さくなる、請求項1に記載した転がり軸受用潤滑装置。
  4. 外輪間座は、側方が開口した断面略コ字形で円環状の主体と、この主体の側方開口を塞ぐ円輪状の蓋体とを重ね合わせて内部に保油空間を設けたものであり、給油通路は、上記主体と蓋体との内径側端部のうちで少なくとも円周方向の一部を突き合わせずに形成した隙間を含んで構成されるものであり、上記主体と蓋体との外径側端部同士は互いに突き合わされており、圧力導入路は、この主体の外径側端部の円周方向の一部に設けられており、上記保油空間の、外輪間座の軸方向に関する幅は、この外輪間座の内径側に向かうに従って狭くなっている、請求項1に記載した転がり軸受用潤滑装置。
  5. 保油空間内に保持した固形油の表面で外輪間座の外径側部分を、この固形油中の油脂成分を浸透させない弾力性を有する薄膜により覆った、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した転がり軸受用潤滑装置。
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