JP2008240828A - 転がり軸受のグリース溜り部品およびグリース溜り付き転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受のグリース溜り部品およびグリース溜り付き転がり軸受 Download PDF

Info

Publication number
JP2008240828A
JP2008240828A JP2007079976A JP2007079976A JP2008240828A JP 2008240828 A JP2008240828 A JP 2008240828A JP 2007079976 A JP2007079976 A JP 2007079976A JP 2007079976 A JP2007079976 A JP 2007079976A JP 2008240828 A JP2008240828 A JP 2008240828A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
grease
bearing
raceway
grease reservoir
ring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007079976A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Takiuchi
博志 瀧内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP2007079976A priority Critical patent/JP2008240828A/ja
Priority to PCT/JP2008/000524 priority patent/WO2008117518A1/ja
Priority to TW097110098A priority patent/TW200902871A/zh
Publication of JP2008240828A publication Critical patent/JP2008240828A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

【課題】 転がり軸受から分離した形で取り扱いが可能な転がり軸受のグリース溜り部品と、このグリース溜り部品を組み込んだグリース溜り付き転がり軸受を提供する。
【解決手段】 このグリース溜り部品6は、内輪1、外輪2、およびこれら内外輪1,2の軌道面1a,2a間に介在した複数の転動体3を有する転がり軸受20に対して、軌道輪である内輪1および外輪2のうち、回転しない固定側軌道輪2に隣接して配置される。グリース溜り部品6は、内部がグリース溜り12となる環状の容器部10と、この容器部10から突出して前記固定側軌道輪2の軌道面2aが形成された周面に沿って前記軌道面2aの近傍まで挿入される環状の軸受内挿入部11とを有する。この軸受内挿入部11は、内部がグリース7の流路14となり、先端11aに円周方向に延びるスリット状のグリース基油滲み出し口15を有する。このグリース基油滲み出し口15は、取り外し自在な封止部材18で封止する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、グリース潤滑とされる転がり軸受のグリース溜り部品、および転がり軸受とグリース溜り部品の組み合わせ、並びに上記グリース溜り部品を組み込んだグリース溜り付き転がり軸受に関する。
工作機械主軸軸受の潤滑方法として、メンテナンスフリーで使用可能なグリース潤滑、搬送エアに潤滑オイルを混合してオイルをノズルより軸受内に噴射するエアオイル潤滑、軸受内に潤滑油を直接に噴射するジェット潤滑等の方法がある。最近の工作機械は、加工能率を上げるために、ますます高速化の傾向にあり、主軸軸受の潤滑も比較的安価で簡単に高速化が可能なエアオイル潤滑が多く用いられてきている。しかし、このエアオイル潤滑法は、付帯設備としてエアオイル供給装置が必要であることと、多量のエアを必要とすることから、コスト、騒音、省エネ、省資源の観点から問題がある。また、オイルの飛散によって環境を悪化させる問題もある。これらの問題点を回避するため、最近ではグリース潤滑による高速化が注目され始め、要望も多くなってきている。
グリース潤滑は、軸受組立時に封入されたグリースのみで潤滑するため、高速運転すると、軸受発熱によるグリースの劣化や、軌道面、特に内輪での油膜切れのため、早期焼き付きに至ってしまうことが考えられる。特に、dn値が100万(軸受内径mm×回転数rpm )を超えるような高速回転領域では、グリース寿命を保証するのは困難である。
グリース寿命を延長させる手段として、新しい提案も紹介されている。その一つは、内部にグリース溜りを形成したグリース溜り部品を固定側軌道輪(例えば外輪)に接して設けると共に、このグリース溜り部品から固定側軌道輪の軌道面の付近まで延びて、固定側軌道輪との間に隙間を形成する隙間形成片を設け、前記グリース溜りと固定側軌道輪の軌道面との間を前記隙間を介して連通させるようにしたものである(例えば特許文献1,2)。
この転がり軸受によると、軸受の停止時には、グリース中の増稠剤および前記隙間の毛細管現象によりグリースの基油が隙間に移動する。軸受を運転すると、隙間に貯油されていた基油は、運転で生じる固定側軌道輪の温度上昇による体積膨張と、転動体の公転・自転で生じる空気流とにより隙間から吐出されて、固定側軌道輪の軌道面に付着しながら移動して転動体接触部に連続的に補給される。
特開2005−180629号公報 特開2006−132765号公報
上記構成の場合、グリース溜りの空間にグリースを100%封入したグリース溜り部品と転がり軸受を分離して取り扱うと、グリース溜り部品において封入したグリースの一部が露出してしまうので、封入グリース量の管理等が不安定になる。そこで、この場合、転がり軸受と別体のグリース溜り部品とを、外輪幅方向押さえ等の別部材で組付け状態に固定することで、一体品として取り扱っている。
グリース溜り部品を転がり軸受に一体に組み込んで一体品とする構成も可能であるが、一体品にすると製造が容易でなく、包装等の取り扱いも困難になり、さらには客先での組立作業も困難になるという問題がある。
この発明の目的は、これらの課題を解消することを目的としたものであり、転がり軸受から分離した形で取り扱いが可能な転がり軸受のグリース溜り部品と、このグリース溜り部品および転がり軸受の組み合わせと、このグリース溜り部品を組み込んだグリース溜り付き転がり軸受を提供することである。
この発明の転がり軸受のグリース溜り部品は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受に対して、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に隣接して配置されるグリース溜り部品であって、内部がグリース溜りとなる環状の容器部と、この容器部から突出して前記固定側軌道輪の軌道面が形成された周面に沿って前記軌道面の近傍まで挿入される環状の軸受内挿入部とを有し、この軸受内挿入部は、内部がグリースの流路となり、先端に円周方向に延びるスリット状のグリース基油滲み出し口を有し、このグリース基油滲み出し口を、取り外し自在な封止部材で封止したものである。
この構成によると、グリース基油滲み出し口を取り外し自在な封止部材で封止したため、グリース溜り部品を別体品として取り扱ってもグリースが露出せず、グリース封入量の管理等に不安を与えることなく容易に取り扱うことができ、製品の信頼性を向上させることができる。
この発明の転がり軸受およびグリース溜り部品の組み合わせは、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受と、この転がり軸受に対して、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に隣接して配置されるグリース溜り部品との組み合わせであって、前記グリース溜り部品は、内部がグリース溜りとなる環状の容器部と、この容器部から突出して前記固定側軌道輪の軌道面が形成された周面に沿って前記軌道面の近傍まで挿入される環状の軸受内挿入部とを有し、この軸受内挿入部は、内部がグリースの流路となり、先端に円周方向に延びるスリット状のグリース基油滲み出し口を有し、このグリース基油滲み出し口を、取り外し自在な封止部材で封止したものとする。
この組み合わせによると、グリース溜り部品は、封止部材を取り外して転がり軸受に装着する。グリース溜り部品は、単独で取り扱うときは、上記のように封止部材で封止したため、グリース溜り部品を別体品として取り扱ってもグリースが露出せず、グリース封入量の管理等に不安を与えることなく容易に取り扱うことができ、製品の信頼性を向上させることができる。グリース溜り部品を転がり軸受に装着した状態では、転がり軸受の運転停止と運転再開の繰り返しに伴うグリース溜りでのヒートサイクルによる圧力変動で、グリースから分離した基油が軸受内挿入部のグリース基油滲み出し口から固定側軌道輪の軌道面に吐出され、潤滑油の供給が確実に行われる。これにより、軸受内に封入したグリースだけを使用して高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成できる。
この発明の転がり軸受およびグリース溜り部品の組み合わせにおいて、前記固定側軌道輪が外輪であり、外輪間座とこの外輪間座の内周に取付けられたグリース溜り部品本体とで転がり軸受のグリース溜り部品が構成されるものであっても良い。
固定側軌道輪が外輪である場合、グリース溜り部品の軸受内挿入部は、外輪の内周面に沿って設けられるが、グリース封入状態で軸受を回転させたときに、封入グリースが遠心力で外輪内周部に飛散するため、前記軸受内挿入部のグリース滲み出し口と軌道面との間のグリース基油の繋がりが確実となる。
この発明の転がり軸受およびグリース溜り部品の組み合わせにおいて、前記固定側軌道輪は、軌道面に続く段差面が転動体から離れる方向に設けられたものであり、前記軸受内挿入部は、前記固定側軌道輪の軌道面が形成された周面に沿って軸受内に挿入され、その先端面が、前記固定側軌道輪の前記段差面との間に、グリース基油の滲み出し用の隙間を形成するものであっても良い。
この発明のグリース溜り付き転がり軸受は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受と、この転がり軸受に対して、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に隣接して配置されるグリース溜り部品とでなり、このグリース溜り部品は、内部がグリース溜りとなる環状の容器部と、この容器部から突出して前記固定側軌道輪の軌道面が形成された周面に沿って前記軌道面の近傍まで挿入される環状の軸受内挿入部とを有し、この軸受内挿入部は、内部がグリースの流路となり、先端に円周方向に延びるスリット状のグリース基油滲み出し口を有するものである。
この構成のグリース溜り付き転がり軸受によると、グリース溜り部品のグリース溜りにグリースが封入されると共に、軸受内部に初期潤滑油としてのグリースを封入して使用される。転がり軸受の運転停止と運転再開の繰り返しに伴うグリース溜りでのヒートサイクルによる圧力変動で、グリースから分離した基油が軸受内挿入部のグリース基油滲み出し口から固定側軌道輪の軌道面に吐出されるので、潤滑油の供給が確実に行われる。これにより、軸受内に封入したグリースだけを使用して高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成できる。
この発明の転がり軸受のグリース溜り部品は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受に対して、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に隣接して配置されるグリース溜り部品であって、内部がグリース溜りとなる環状の容器部と、この容器部から突出して前記固定側軌道輪の軌道面が形成された周面に沿って前記軌道面の近傍まで挿入される環状の軸受内挿入部とを有し、この軸受内挿入部は、内部がグリースの流路となり、先端に円周方向に延びるスリット状のグリース基油滲み出し口を有し、このグリース基油滲み出し口を、取り外し自在な封止部材で封止したため、転がり軸受から分離した形でグリース溜り部品の取り扱いが可能となる。
この発明の転がり軸受およびグリース溜り部品の組み合わせは、上記構成のグリース溜り部品と転がり軸受とを組み合わせたものであるため、グリース溜り部品を転がり軸受に装着した状態では、軸受内に封入したグリースだけを使用して高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成でき、グリース溜り部品を転がり軸受への未装着時に単独で取り扱うときは、グリース基油滲み出し口が封止部材で封止されているため、グリースの漏れの問題を生じることなく、グリース溜り部品の運搬等の取扱が行え、転がり軸受への使用時の信頼性が向上する。
この発明のグリース溜り付き転がり軸受は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受と、この転がり軸受に対して、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に隣接して配置されるグリース溜り部品とでなり、このグリース溜り部品は、内部がグリース溜りとなる環状の容器部と、この容器部から突出して前記固定側軌道輪の軌道面が形成された周面に沿って前記軌道面の近傍まで挿入される環状の軸受内挿入部とを有し、この軸受内挿入部は、内部がグリースの流路となり、先端に円周方向に延びるスリット状のグリース基油滲み出し口を有するものとしたため、軸受内に封入したグリースだけを使用して高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成できる。
この発明の一実施形態を図1ないし図3と共に説明する。図1はこの実施形態のグリース溜り部品6の断面図を示し、図2はそのグリース溜り部品6を組み付けたグリース溜り付き転がり軸受20の断面図を示す。
転がり軸受20は、内輪1、外輪2、および内外輪1,2の軌道面1a,2a間に介在した複数の転動体3を有し、外輪2に隣接してグリース溜り部品6が配置される。複数の転動体3は、保持器4に保持され、内外輪1,2間の軸受空間の一端は、シール5によって密封されている。この転がり軸受20はアンギュラ玉軸受であり、シール5は軸受背面側の端部に設けられ、グリース溜り部品6は軸受正面側に設けられる。軸受正面側ではグリース溜り部品6がシールを兼ねており、軸受正面側からのグリース漏れが防止される。図において、交差したハッチングで示す部分は、グリース7の充填された部分を示す。転がり軸受20の内輪1は、図示しない主軸に嵌合して回転可能とされ、外輪2はスピンドルユニットにおける図示しないハウジングの内周に嵌合状態で固定支持される。
固定側軌道輪となる外輪2には、その軌道面2aに続く段差面2bが、転動体3から離れる外輪正面側、つまり軌道面2aにおける接触角が生じる方向と反対側の縁部に続いて設けられている。この段差面2bは、軌道面2aから外径側に延びて外輪正面側に対面する面である。
グリース溜り部品6は転がり軸受20とは別体の部品として構成され、外輪間座8と、この外輪間座8の内周に取付けられたグリース溜り部品本体9とでなる。前記外輪間座8が外輪2の正面側の幅面に接して設けられることで、内輪位置決め間座26の外径側にグリース溜り部品6が配置される。グリース溜り部品本体9は、内部がグリース溜り12となる環状の容器部10と、この容器部10から突出して外輪2の内周面2cに沿って軌道面2aの近傍まで挿入される環状の軸受内挿入部11とでなる。具体的には、軸受内挿入部11は外輪2の内周面2cに沿って軸受内に挿入され、図3に拡大して示すように、軸受内挿入部11の先端面が、外輪2の前記段差面2bとの間に、グリース基油の滲み出し用の隙間13を形成する。この軸受内挿入部11は、内部がグリース12の流路14となり、先端11aに円周方向に延びるスリット状のグリース基油滲み出し口15を有する。また、軸受内挿入部11の先端外周面とこれに対面する外輪2の内周面2cとの間には、前記グリース基油滲み出し口15と隙間13とを繋ぐ流路16が形成される。これにより、容器部10の内部のグリース溜り12は、流路14、グリース基油滲み出し口15、流路16を介して隙間13に連通する。
グリース溜り部品6には、その外輪間座8における外輪接面側の端面と、軸受内挿入部11の外周面との交差部の全周にわたってOリング等の弾性密封部材17が設けられる。外輪間座8を外輪2の正面側の幅面に接して設けた状態で、外輪2と外輪間座8の接触部に前記弾性密封部材17が介在することにより、その接触部の密封が図られグリースの漏出が防止される。
グリース溜り部品6は、転がり軸受20に組み付ける前の別体品の状態では、図1のように、軸受内挿入部11のグリース基油滲み出し口15に達するまでグリース溜り12内にグリース7を100%封入後、そのグリース基油滲み出し口15が取り外し自在なシールテープ等の封止部材18で封止される。封止部材18は、シールテープの他に、プラスチック製やゴム製のリング状等のキャップとしても良い。この封止部材18は、グリース溜り部品6を転がり軸受20に組み付けるとき取り外される。
このように、このグリース溜り部品6は、転がり軸受20の固定側駆動輪である外輪2に隣接して配置される部品であって、内部がグリース溜り12となる環状の容器部10と、この容器部10から突出して外輪2の軌道面2aが形成された内周面2cに沿って軌道面2aの近傍まで挿入される環状の軸受内挿入部11とを有し、この軸受内挿入部11は、内部がグリース7の流路14となり、先端11aに円周方向に延びるスリット状のグリース基油滲み出し口15を有し、転がり軸受20に組み付ける前の別体品の状態では、前記グリース基油滲み出し口15を取り外し自在な封止部材18で封止しているので、別体品として取り扱ってもグリース7が露出せず、グリース封入量の管理等に不安を与えることなく容易に取り扱うことができ、製品の信頼性を向上させることができる。
このグリース溜り部品6を図2のように組み付けたグリース溜り付き転がり軸受20の作用は以下の通りである。主軸などへ軸受を組み込んだ時、グリース溜り部品6のグリース溜り12、流路14,16および隙間13にはグリース7が充填されており、軸受内へは初期潤滑用としてのグリースが封入されている。
軸受を運転すると、密閉されたグリース溜り12に溜められたグリース7において、運転時の温度上昇により膨張率の異なる基油と増稠剤とが分離する。同時に、密閉されたグリース溜り12の内部圧力が上昇する。この内部圧力により、分離された基油が流路14、グリース基油滲み出し口15、流路16を経て、隙間13から外輪2の軌道面2aに向けて吐出される。温度が上昇して定常状態になると、内部圧力の上昇要因が消滅するので、基油の吐出と並行して内部圧力が徐々に減じ、単位時間当たりの基油吐出量も減少していく。その後、運転が中止されると、グリース溜り12の温度も下降し、グリース溜り12の内部圧力がほぼ大気圧となる。このとき、圧力による基油の吐出はなく、隙間13には基油が満たされる。したがって、運転停止状態では、グリース溜り12は密閉された状態にある。
その後、運転が再開されると、グリース溜り12の内部圧力が再度上昇する。このような温度上昇と下降のヒートサイクルによって、グリース溜り12内での圧力変動が繰り返され、グリース7から分離した基油が確実に隙間13に移動して、外輪2の軌道面2aに繰り返し供給される。
また、上記ヒートサイクルによる基油吐出作用とは別に、以下に示す毛細管現象による基油吐出作用も加わる。すなわち、軸受の停止時には、グリース7中の増稠剤および前記隙間13の毛細管現象により、グリース7の基油が流路14,16から隙間13に移動し、この毛細管現象と油の表面張力とが相まって隙間13に基油が油状で保持される。軸受を運転すると、隙間13に貯油されていた基油は、運転で生じる外輪2の温度上昇による体積膨張と、転動体3の公転・自転で生じる空気流とにより隙間13から吐出されて、外輪2の軌道面2aに付着しながら移動して転動体接触部に連続的に補給される。
このように、このグリース溜り付き転がり軸受20では、運転停止と運転再開の繰り返しに伴うグリース溜り12でのヒートサイクルによる圧力変動で、グリース7から分離した基油が前記隙間13を経て外輪2の軌道面2aに吐出されるので、潤滑油の供給が確実に行われる。加えて、前記隙間13での上記した毛細管現象によっても基油が外輪2の軌道面2aに吐出されるので、潤滑が一層確実なものとなる。
これにより、軸受内に封入したグリースだけを使用して高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成できる。
また、この実施形態では、固定側軌道輪が外輪2であり、この外輪2に前記段差面2bが設けられるが、グリース封入状態で転がり軸受20を回転させたときに、封入グリースが遠心力で外輪内径部に飛散するため、前記隙間13と軌道面2aとの間の基油の繋がりが確実となる。そのため、転動体接触部で潤滑油として消費される分の基油が、グリース溜り12から隙間13を経て軌道面2aに補給される作用が高められ、より安定した潤滑油の補給が行われる。
また、この実施形態では、転がり軸受20がアンギュラ玉軸受であり、前記段差面2bが、軌道面2aにおける接触角が生じる方向と反対側の縁部に続いて形成されているので、段差面2bをより転動体3の直下に配置し易くなる。これにより、転動体3の中心付近に段差面2bを近づけることができ、隙間13から軌道面2aへの潤滑油の補給がより効率良く行える。
なお、上記した実施形態では、グリース溜り部品6における軸受内挿入部11の先端11aを外輪2の内周の段差面2bに対向させて、軸受内挿入部11の先端11aと外輪2との間にグリース溜り12に連通する流路16と隙間13とを形成する構成例の場合について説明したが、これに限らず、図4に示すように、テーパ面とした外輪2の正面側内周面2cに沿って前記軸受内挿入部11を配置して、軸受内挿入部11の外周と外輪2の内周面2cとの間にグリース溜り12に連通する隙間13を形成する構成例に適用しても良い。
図5は、図1〜図3に示した実施形態のグリース溜り付き転がり軸受20を用いた工作機械用スピンドル装置の例を示す。この工作機械用スピンドル装置では、上記転がり軸受20の2個を、背面合わせとして用いている。2個の転がり軸受20A,20Bは、ハウジング22内で主軸21の両端を回転自在に支持する。各転がり軸受20A,20Bの内輪1は、内輪位置決め間座26および内輪間座27により位置決めされ、内輪固定ナット29により主軸21に締め付け固定されている。外輪2は、外輪間座8,30および外輪押え蓋31,32によりハウジング22内に位置決め固定されている。ハウジング22は、ハウジング内筒22Aとハウジング外筒22Bとを嵌合させたものであり、その嵌合部に、冷却のための通油溝33が設けられている。
主軸21は、その前側の端部21aに工具またはワーク(図示せず)を着脱自在に取付けるチャック(図示せず)が設けられ、後ろ側の端部21bは、モータ等の駆動源が回転伝達機構(図示せず)を介して連結される。モータは、ハウジング22に内蔵しても良い。このスピンドル装置は、例えばマシニングセンタ、旋盤、フライス盤、研削盤等の各種の工作機械に適用できる。
この構成のスピンドル装置によると、この実施形態のグリース溜り付き転がり軸受20A,20Bにおける潤滑油の安定供給、高速化、長寿命化、メンテナンスフリー化の作用が、効果的に発揮される。
この発明の一実施形態にかかるグリース溜り部品の一部の断面図である。 同グリース溜り部品を組み付けたグリース溜り付き転がり軸受の一部の断面図である。 図2の部分拡大断面図である。 この発明の他の実施形態にかかるグリース溜り付き転がり軸受の一部の断面図である。 図2のグリース溜り付き転がり軸受を用いた工作機械用スピンドル装置の断面図である。
符号の説明
1…内輪
2…外輪
1a,2a…軌道面
2b…段差面
3…転動体
6…グリース溜り部品
8…外輪間座
9…グリース溜り部品本体
10…容器部
11…軸受内挿入部
12…グリース溜り
13…隙間
14…流路
15…グリース基油滲み出し口
18…封止部材
20…グリース溜り付き転がり軸受

Claims (5)

  1. 内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受に対して、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に隣接して配置されるグリース溜り部品であって、内部がグリース溜りとなる環状の容器部と、この容器部から突出して前記固定側軌道輪の軌道面が形成された周面に沿って前記軌道面の近傍まで挿入される環状の軸受内挿入部とを有し、この軸受内挿入部は、内部がグリースの流路となり、先端に円周方向に延びるスリット状のグリース基油滲み出し口を有し、このグリース基油滲み出し口を、取り外し自在な封止部材で封止した転がり軸受のグリース溜り部品。
  2. 内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受と、この転がり軸受に対して、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に隣接して配置されるグリース溜り部品との組み合わせであって、前記グリース溜り部品は、内部がグリース溜りとなる環状の容器部と、この容器部から突出して前記固定側軌道輪の軌道面が形成された周面に沿って前記軌道面の近傍まで挿入される環状の軸受内挿入部とを有し、この軸受内挿入部は、内部がグリースの流路となり、先端に円周方向に延びるスリット状のグリース基油滲み出し口を有し、このグリース基油滲み出し口を、取り外し自在な封止部材で封止した転がり軸受およびグリース溜り部品の組み合わせ。
  3. 請求項2において、前記固定側軌道輪が外輪であり、外輪間座とこの外輪間座の内周に取付けられたグリース溜り部品本体とでなる転がり軸受およびグリース溜り部品の組み合わせ。
  4. 請求項2または請求項3において、前記固定側軌道輪は、軌道面に続く段差面が転動体から離れる方向に設けられたものであり、前記軸受内挿入部は、前記固定側軌道輪の軌道面が形成された周面に沿って軸受内に挿入され、その先端面が、前記固定側軌道輪の前記段差面との間に、グリース基油の滲み出し用の隙間を形成するものである転がり軸受およびグリース溜り部品の組み合わせ。
  5. 内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受と、この転がり軸受に対して、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に隣接して配置されるグリース溜り部品とでなり、このグリース溜り部品は、内部がグリース溜りとなる環状の容器部と、この容器部から突出して前記固定側軌道輪の軌道面が形成された周面に沿って前記軌道面の近傍まで挿入される環状の軸受内挿入部とを有し、この軸受内挿入部は、内部がグリースの流路となり、先端に円周方向に延びるスリット状のグリース基油滲み出し口を有するグリース溜り付き転がり軸受。
JP2007079976A 2007-03-26 2007-03-26 転がり軸受のグリース溜り部品およびグリース溜り付き転がり軸受 Pending JP2008240828A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007079976A JP2008240828A (ja) 2007-03-26 2007-03-26 転がり軸受のグリース溜り部品およびグリース溜り付き転がり軸受
PCT/JP2008/000524 WO2008117518A1 (ja) 2007-03-26 2008-03-11 転がり軸受のグリース溜り部品およびグリース溜り付き転がり軸受
TW097110098A TW200902871A (en) 2007-03-26 2008-03-21 Grease reservoir forming component for rolling bearing assembly and grease reservoir incorporated rolling bearing assembly

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007079976A JP2008240828A (ja) 2007-03-26 2007-03-26 転がり軸受のグリース溜り部品およびグリース溜り付き転がり軸受

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008240828A true JP2008240828A (ja) 2008-10-09

Family

ID=39912436

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007079976A Pending JP2008240828A (ja) 2007-03-26 2007-03-26 転がり軸受のグリース溜り部品およびグリース溜り付き転がり軸受

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008240828A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010156376A (ja) * 2008-12-26 2010-07-15 Ntn Corp 転がり軸受装置
KR20170061166A (ko) 2014-10-29 2017-06-02 닛본 세이고 가부시끼가이샤 베어링 장치 및 주축 장치
KR20170066533A (ko) 2014-10-29 2017-06-14 닛본 세이고 가부시끼가이샤 구름 베어링

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0680999U (ja) * 1989-12-25 1994-11-15 日本グリース株式会社 グリース容器用のアダプタおよびアダプタ付きグリース容器
JP2005106245A (ja) * 2003-10-01 2005-04-21 Ntn Corp 潤滑機構付き軸受およびそれを用いた工作機械用スピンドル装置
JP2006132765A (ja) * 2004-10-08 2006-05-25 Ntn Corp 転がり軸受
JP2006272902A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Fuji Photo Film Co Ltd インクタンク及びインクジェット記録装置
JP2006275196A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Ntn Corp 転がり軸受

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0680999U (ja) * 1989-12-25 1994-11-15 日本グリース株式会社 グリース容器用のアダプタおよびアダプタ付きグリース容器
JP2005106245A (ja) * 2003-10-01 2005-04-21 Ntn Corp 潤滑機構付き軸受およびそれを用いた工作機械用スピンドル装置
JP2006132765A (ja) * 2004-10-08 2006-05-25 Ntn Corp 転がり軸受
JP2006272902A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Fuji Photo Film Co Ltd インクタンク及びインクジェット記録装置
JP2006275196A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Ntn Corp 転がり軸受

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010156376A (ja) * 2008-12-26 2010-07-15 Ntn Corp 転がり軸受装置
KR20170061166A (ko) 2014-10-29 2017-06-02 닛본 세이고 가부시끼가이샤 베어링 장치 및 주축 장치
KR20170066533A (ko) 2014-10-29 2017-06-14 닛본 세이고 가부시끼가이샤 구름 베어링
CN107002758A (zh) * 2014-10-29 2017-08-01 日本精工株式会社 轴承装置和主轴装置
EP3214327A4 (en) * 2014-10-29 2017-11-29 NSK Ltd. Bearing device and spindle device
CN107002758B (zh) * 2014-10-29 2019-05-31 日本精工株式会社 轴承装置和主轴装置
KR101989257B1 (ko) * 2014-10-29 2019-06-13 닛본 세이고 가부시끼가이샤 베어링 장치 및 주축 장치

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4727704B2 (ja) 転がり軸受
JP5137719B2 (ja) 転がり軸受装置
JP4234127B2 (ja) 転がり軸受
JP4256391B2 (ja) 転がり軸受
WO2007077706A1 (ja) 転がり軸受
JP2008240828A (ja) 転がり軸受のグリース溜り部品およびグリース溜り付き転がり軸受
JP5803099B2 (ja) 円筒ころ軸受及び工作機械用主軸装置
JP2005180629A (ja) 転がり軸受
JP2006226427A (ja) 転がり軸受
JP2006234072A (ja) 転がり軸受
JP2011058520A (ja) 転がり軸受装置
JP2005221042A (ja) 転がり軸受
JP6354148B2 (ja) 軸受装置及びスピンドル装置
JP2010156376A (ja) 転がり軸受装置
JP2009097553A (ja) 転がり軸受
JP2011069456A (ja) 転がり軸受
JP2006022952A (ja) 転がり軸受の潤滑構造
JP2008240829A (ja) グリース溜り付き転がり軸受
JP2005299757A (ja) 転がり軸受
JP6221687B2 (ja) 軸受装置及びスピンドル装置
JP2010144889A (ja) グリース溜まり付き転がり軸受
JP2005201346A (ja) 転がり軸受の潤滑構造
WO2009107340A1 (ja) 転がり軸受、およびそれを用いた主軸装置
JP2007192288A (ja) 転がり軸受
JP2009287759A (ja) 転がり軸受装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120522

A02 Decision of refusal

Effective date: 20121002

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02