JP4394268B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気圧縮機、真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スクロール式流体機械は、電動モータを内蔵するケーシングと、該ケーシングに設けられた固定スクロールと、前記ケーシング内で電動モータの回転軸に旋回可能に設けられ該固定スクロールとの間に複数の圧縮室を画成する旋回スクロールとを備えたものが知られている。
【0003】
この種の従来技術によるスクロール式流体機械では、電動モータによって回転軸を回転駆動し、旋回スクロールを固定スクロールに対し一定の偏心寸法をもって旋回運動させることにより、固定スクロールの外周側に設けた吸込口から空気等の流体を吸込みつつ、この流体を固定スクロールと旋回スクロールとの間の各圧縮室内で順次圧縮し、固定スクロールの中心部に設けた吐出口から圧縮流体を外部に向けて吐出する。
【0004】
また、他の従来技術では、ケーシングの外部に位置して回転軸に冷却ファンを設け、この冷却ファンを回転軸と一体に回転させることにより、冷却風を固定スクロールの背面側から電動モータの外周側等に向けて送風し、これらの固定スクロール、電動モータ等を冷却する構成としたものも知られている(例えば、特開平9−53589号公報等)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術によるスクロール式流体機械では、冷却風を固定スクロールの背面側に導き、固定スクロールを冷却した後に、この冷却風を、ケーシング内に設けられた旋回スクロール側、電動モータ側へと導き、旋回スクロール、電動モータ等を順次冷却する構成としている。
【0006】
しかし、圧縮運転時には、通常、固定スクロールは圧縮室内の圧縮熱により電動モータ等に比較して高温状態におかれる傾向にある。このため、前述の如く固定スクロール側から旋回スクロール側、電動モータ側に向けて冷却風を送風すると、これらの旋回スクロール、電動モータには、固定スクロールを冷却した後の高温の冷却風が導かれることになり、該旋回スクロール、電動モータの冷却効率が低下するという問題がある。
【0007】
特に、冷却ファンからの冷却風の風量が少ない場合、あるいは圧縮室内の圧縮熱が非常に高温になった場合は、固定スクロール側で冷却風の温度が著しく上昇してしまい、この高温の冷却風により耐熱性の低い電動モータが加熱され、その耐久性、寿命等が低下する虞れがあるという問題がある。
【0008】
また、前述した従来技術とは逆に、即ち冷却風を電動モータ側から固定スクロール側へと送風する構成とすることも可能である。しかし、この場合でも冷却ファンによる冷却風だけを用いる構成であるため、流体機械全体の冷却効率を必ずしも十分に高めることができないという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、冷却ファンによる冷却風に加えて油液により旋回スクロール等を冷却でき、冷却効率を十分に高めることができると共に、耐久性、寿命等を向上できるようにしたスクロール式流体機械を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明によるスクロール式流体機械は、電動モータを内蔵し、下部側が冷却用の油液を溜める油槽となったケーシングと、該ケーシングに設けられた固定スクロールと、前記ケーシング内で前記電動モータの回転軸に旋回可能に設けられ、該固定スクロールとの間に複数の圧縮室を画成する旋回スクロールと、前記ケーシングの外部に位置して前記電動モータの回転軸に設けられ、前記電動モータの回転によって冷却風を発生させる冷却ファンと、該冷却ファンを外側から覆うように設けられ、前記冷却風の流入口を有したファン側ダクトと、前記ケーシングの上側に位置して前記ファン側ダクトに接続され、前記冷却ファンからの冷却風により前記電動モータを外側から冷却する上側ダクトと、前記ケーシングの下側に位置して前記ファン側ダクトに接続され、前記冷却ファンからの冷却風により前記油槽を外側から冷却する下側ダクトと、前記固定スクロールの背面側に位置して前記上側ダクトと下側ダクトとを互いに接続するように設けられ、前記冷却風により前記固定スクロールを背面側から冷却し前記冷却風の流出口を有したスクロール側ダクトとを備えている。
【0011】
このように構成したことにより、圧縮運転時には冷却ファンが回転して冷却風を発生させ、この冷却風は流入口からファン側ダクトを通じて上側ダクトに導かれ、電動モータを外側から冷却する。そして、上側ダクト内を流れる冷却風はスクロール側ダクトへと導かれ、固定スクロールを外側から冷却した後に、流出口から外部へと流出される。このように、冷却ファンからの冷却風により固定スクロールに比較して低い温度の電動モータを先に冷却した後に固定スクロールを冷却することができる。
【0012】
また、冷却ファンからの冷却風はファン側ダクトから下側ダクトにも導かれ、ケーシング下部側の油槽を冷却すると共に、この冷却風は下側ダクトからスクロール側ダクトへと導かれ、固定スクロールを外側から冷却した後に、流出口から外部へと流出される。さらに、この圧縮運転時には、ケーシングの油槽内に溜った油液を旋回スクロールに供給することにより該旋回スクロールの冷却も行うことができる。
【0013】
また、請求項2の発明は、油槽内の油液を旋回スクロールの鏡板背面側に供給する油液供給手段を設ける構成としている。これにより、圧縮運転時には油槽内の油液を油液供給手段により旋回スクロールの鏡板背面側に強制的に供給することができ、旋回スクロールの冷却効率をより高めることができる。
【0014】
さらに、請求項3の発明は、前記固定スクロールには前記圧縮室内で圧縮された圧縮流体を外部に吐出するための吐出口を前記スクロール側ダクトを貫通して設け、前記流出口は該吐出口よりも下側に位置して前記スクロール側ダクトに開口する構成としている。
【0015】
これにより、冷却風の流出口は吐出口から離れた位置に配置できるから、上側ダクトからの冷却風と下側ダクトからの冷却風とがスクロール側ダクト内に導かれて流出口側で合流するときに、例えこの流出口側で冷却風の流れに淀みが生じたとしても、このような冷却風の淀みが固定スクロールの背面中央側、即ち吐出口の周囲で生じる事態を避けることができ、冷却風を固定スクロールの背面中央側で一方向に向けて円滑に流すことができる。
【0016】
しかも、冷却風の流出口は吐出口よりも下側に配置されるから、固定スクロールの背面中央側には、上側ダクトと下側ダクトのうち上側ダクトからの冷却風をより積極的に導くことができる。そして、通常、旋回スクロール等を冷却する油液が溜められた油槽の温度に比較して電動モータは低い温度状態におかれるため、上側ダクト内の冷却風の温度は下側ダクト内の冷却風よりも低く抑えられる。従って、この上側ダクト内の低温の冷却風を前述の如く固定スクロールの背面中央側に導くことにより、固定スクロールの冷却効率をさらに高めることができる。
【0017】
さらに、請求項4の発明は、固定スクロールには圧縮室内で圧縮された圧縮流体を外部に吐出するための吐出口を設け、前記固定スクロールの背面側には前記吐出口からの吐出流体の熱が固定スクロール側に伝わるのを遮断するため前記吐出口を周囲から取囲む断熱用の環状溝を設ける構成としている。
【0018】
このように構成したことにより、運転時には環状溝により吐出口からの吐出流体の熱が固定スクロール側に直接伝わるのを遮断でき、固定スクロールの温度を低く保つことができる。
【0019】
一方、請求項5の発明は、固定スクロールの背面側には、スクロール側ダクトの流出口を横切る方向に延び、上側ダクトからスクロール側ダクト内に向けて流通する冷却風と下側ダクトからスクロール側ダクト内に向けて流通する冷却風とを別々に前記流出口から流出させる仕切壁を設ける構成としている。
【0020】
このように構成したことにより、圧縮運転時には、上側ダクトからスクロール側ダクト内に向けて流通する冷却風と、下側ダクトからスクロール側ダクト内に向けて流通する冷却風とを、固定スクロールの背面側に設けた仕切壁により流出口から外部へと別々に流出させることができ、これらの冷却風がスクロール側ダクト内で直接合流(衝突)して淀みが発生するのを防止することができる。
【0021】
また、請求項6の発明は、固定スクロールの背面側にはスクロール側ダクト内を冷却風の流れ方向に沿って互いに平行に延びる複数の放熱フィンを設け、仕切壁はスクロール側ダクト内を該各放熱フィンと互いに交差して延びる他の放熱フィンを兼用する構成としている。
【0022】
これにより、スクロール側ダクト内の冷却風を、固定スクロールの背面側に設けた複数の放熱フィン間に向けて流通させることができ、圧縮室から固定スクロールに伝わる圧縮熱等を、該各放熱フィンからスクロール側ダクト内の冷却風中に効率よく放熱できる。しかも、仕切壁は前記複数の放熱フィンと交差して配置される他の放熱フィンを兼用しているため、これら各放熱フィン間を流通する冷却風を、仕切壁の側面に積極的に当てることができ、固定スクロールの冷却効率を一層高めることができる。
【0023】
また、請求項7の発明は、仕切壁は基端側から先端側に向けて板厚が漸次薄くなる板状突起として形成している。これにより、板状突起からなる仕切壁の基端側を、先端側に向けて例えば凹湾曲状をなす円弧面として形成でき、スクロール側ダクト内を流れる冷却風が仕切壁に当たったときには、この冷却風を前記円弧面により流出口側へと円滑に導くことができる。
【0024】
また、請求項8の発明は、仕切壁は、スクロール側ダクト内を左,右方向に横切って延び、中間部が最大板厚となり左,右方向に向けて漸次板厚が薄くなる板状突起として形成している。これにより、板状突起からなる仕切壁は、その左,右の長さ方向の中間部が最大板厚となるから、仕切壁からの放熱量を該仕切壁の中間部側で増やし、固定スクロールの中央側を効率的に冷却することができる。
【0025】
さらに、請求項9の発明のように、仕切壁を吐出口よりも下側に配置する構成とした場合、固定スクロールの背面中央側には、上側ダクトと下側ダクトのうち上側ダクトからの低温の冷却風のみを、仕切壁によって固定スクロールの背面中央側へと吐出口の周囲に導くことができ、固定スクロールの冷却性をより一層高めることができる。
【0026】
さらに、請求項10の発明のように、仕切壁を吐出口と接する位置に配置する構成とした場合には、圧縮流体が吐出される吐出口側の高温の熱を仕切壁からスクロール側ダクト内の冷却風中に効率よく放熱できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0028】
ここで、図1、図2は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1はスクロール式空気圧縮機の外枠を形成する有底筒状のケーシングで、該ケーシング1は、軸線が水平状態となるように横置きに配置されている。そして、このケーシング1は、モータケース2と、後述の油槽3およびスラスト受け5によって構成され、モータケース2内には後述の電動モータ7が内蔵されている。
【0029】
また、モータケース2は、図2に示す如く、前,後方向(水平方向)に延び、前端側に環状の底部2Aが一体形成された筒部2Bと、該筒部2Bの後端側に設けられ、この筒部2Bを施蓋する環状の蓋部2Cとによって構成され、前記底部2Aの外縁側には径方向外側にフランジ部2Dが突設されている。
【0030】
さらに、モータケース2の筒部2B外周側には、周方向に離間して前,後方向に延びる複数の放熱フィン2E,2E,…が設けられ、該各放熱フィン2Eは、後述する電動モータ7の固定子8等からモータケース2に伝わる熱を外気または上側ダクト26内へと効率よく放熱するものである。
【0031】
3はモータケース2の下部側に位置してケーシングに設けられた油槽で、該油槽3は、モータケース2の筒部2B後端から下方に延びた後板3Aと、該後板3Aの下端から前方へとケーシング1の長さ方向(軸方向)に延びた底板3Bと、該底板3Bとモータケース2の筒部2Bとの間に位置して後板3Aの左,右両端から前方に延びた左,右の側板3C(一方のみ図示)と、後述するスラスト受け5の一部等とによって有底の箱体として形成され、その内部には油液4が溜められている。
【0032】
5はケーシング1のモータケース2前端側に設けられた環状のスラスト受けで、該スラスト受け5は、モータケース2のフランジ部2D、油槽3の底板3B前端に一体に取付けられている。そして、スラスト受け5の内周側には、前側に向けて環状凹部5Aが形成され、該環状凹部5A内には、後述する旋回スクロール14の鏡板14Aが配設されている。そして、スラスト受け5の環状凹部5Aには、前記鏡板14Aと摺接する環状の摺接面5Bが形成され、該摺接面5Bは、旋回スクロール14に作用するスラスト荷重を鏡板14Aとの間で受承する構成となっている。
【0033】
6はケーシング1のスラスト受け5前側に設けられた固定スクロールで、該固定スクロール6は、略円板状に形成され中心が後述する回転軸10の軸線と一致するように配設された鏡板6Aと、該鏡板6Aの表面に立設された渦巻状のラップ部6Bと、前記鏡板6Aの外周側からラップ部6Bを取囲むように軸方向に突出した筒部6Cと、該筒部6Cの外周側から径方向外側に突出し、スラスト受け5に衝合して取付けられたフランジ部6Dとから構成されている。
【0034】
また、固定スクロール6の鏡板6A背面側には、例えば上,下方向に平行に延びる放熱フィン6E,6E,6F,6Fが設けられ、これらの放熱フィン6E,6Fは、後述の圧縮室16から鏡板6Aに伝わる圧縮熱をスクロール側ダクト28内に効率よく放熱するものである。
【0035】
7はケーシング1のモータケース2に設けられた電動モータで、該電動モータ7は、モータケース2の筒部2B内周側に固定して設けられた固定子8と、該固定子8の内周側に回転可能に配置された回転子9と、後述の回転軸10とによって構成され、前記回転子9は回転軸10の外周側に固定して取付けられている。そして、電動モータ7は、外部からの給電によって回転子9が固定子8に対して回転することにより、回転軸10を駆動するものである。
【0036】
10は電動モータ7の回転軸で、該回転軸10は、基端側(後端側)がモータケース2の底部2Aに軸受11を介して支持され、先端側(前端側)は蓋部2Cに軸受12を介して支持されている。そして、この回転軸10の先端側は、モータケース2の底部2Aから突出してクランク10Aとなり、該クランク10Aは、その軸線が回転軸10の軸線に対して一定寸法だけ偏心している。また、回転軸10にはバランスウェイト13が設けられ、このバランスウェイト13は、旋回スクロール14に対して回転軸10の回転バランスをとるものである。
【0037】
14はケーシング1内で電動モータ7の回転軸10に旋回可能に設けられた旋回スクロールで、該旋回スクロール14は、円板状に形成された鏡板14Aと、該鏡板14Aの表面側から軸方向に立設された渦巻状のラップ部14Bとによって大略構成されている。また、旋回スクロール14の鏡板14Aには、その背面側の中央にボス部14Cが突設され、該ボス部14Cは旋回軸受15によって回転軸10のクランク10Aに回転可能に取付けられている。そして、鏡板14Aは、その前面側が固定スクロール6のフランジ部6Dに摺接すると共に、背面側(裏面側)はスラスト受け5に摺接する摺接面14Dとなっている。
【0038】
そして、旋回スクロール14は、固定スクロール6のラップ部6Bに対し例えば180度だけずらして重なり合うように配設され、両者のラップ部6B,14B間には、複数の圧縮室16,16,…が画成される。そして、スクロール式空気圧縮機の運転時には、固定スクロール6の外周側に設けた吸込口(図示せず)から外周側の圧縮室16内に空気を吸込みつつ、この空気を旋回スクロール14が旋回運動する間に各圧縮室16内で順次圧縮し、最後に中心側の圧縮室16から固定スクロール6の中心に設けた吐出開口17、吐出パイプ30を介して外部に圧縮空気を吐出する。
【0039】
18はスラスト受け5と旋回スクロール14との間に摺動可能に設けられたオルダムリングで、該オルダムリング18は、旋回スクロール14が旋回運動するときに、旋回スクロール14の背面側で互いに直交する2軸方向に摺動し、この旋回スクロール14の自転を防止するものである。
【0040】
19は油槽3内の油液4を旋回スクロール14の鏡板14A背面側に供給する油液供給機構で、該油液供給機構19は、油槽3内に位置してケーシング1に設けられた給油ポンプ20と、スラスト受け5の内部に設けられ、一端側が該給油ポンプ20に連通し他端側がスラスト受け5の摺接面5Bに開口した第1の給油通路21と、旋回スクロール14の鏡板14Aに設けられ、一端側が摺接面14Dに開口して該給油通路21と連通し他端側がボス部14C内に開口した第2の給油通路22とによって構成されている。
【0041】
そして、油液供給機構19は、外部の駆動源(図示せず)によって給油ポンプ20を駆動することにより、油槽3内の油液4を吸込んで給油通路21に吐出する構成となっている。このため、油液4は、給油通路21からスラスト受け5と旋回スクロール14との摺接面5B,14D間に供給され、該摺接面5B,14Dを冷却、潤滑すると共に、給油通路22を通じて旋回軸受15およびオルダムリング18等に供給され、これらを冷却、潤滑した後に油槽3内に戻される。
【0042】
23はケーシング1の外部に位置して回転軸10の基端側(後端側)に設けられた冷却ファンを示し、該冷却ファン23は、回転軸10と一体に回転することにより冷却風を発生させ、この冷却風を後述のファン側ダクト24から上側ダクト26、下側ダクト27およびスクロール側ダクト28に向けて送風するものである。
【0043】
24は冷却ファン23を外側から覆うように設けられたファン側ダクトで、該ファン側ダクト24は、上面部24A、下面部24B、後面部24Cおよび左,右の側面部24D,24Eによって冷却ファン23を外側から取囲む箱形状のカバーとして形成されている。また、ファン側ダクト24の後面部24Cには冷却風の流入口25が設けられ、該流入口25は、冷却ファン23の回転によりファン側ダクト24内に外気を冷却風として流入させるものである。
【0044】
26はケーシング1の上側に設けられた上側ダクトで、該上側ダクト26は、上面部26A、前面部26Bおよび左,右の側面部26C,26Dにより、ケーシング1(モータケース2、スラスト受け5)の外周側および固定スクロール6の外周側を前,後方向(軸方向)に沿って延びる細長の箱体(枠体)として形成ている。また、上側ダクト26は、その基端側となる後端側26Eがファン側ダクト24に接続され、先端側となる前端側26Fはスクロール側ダクト28に接続されている。
【0045】
そして、上側ダクト26は、冷却ファン23からの冷却風をモータケース2の外周側、スラスト受け5の外周側等に導き、モータケース2、電動モータ7、スラスト受け5等を外側から冷却するものである。
【0046】
27はケーシング1の下側に設けられた下側ダクトで、該下側ダクト27は、下面部27A、前面部27Bおよび左,右の側面部27C,27Dにより、油槽3の外周側、スラスト受け5の外周側を前,後方向(軸方向)に沿って延びる細長の箱体(枠体)として形成されている。また、下側ダクト27は、その基端側となる後端側27Eがファン側ダクト24に接続され、先端側となる前端側27Fは、スクロール側ダクト28に接続されている。
【0047】
そして、下側ダクト27は、冷却ファン23からの冷却風を油槽3の外周側、スラスト受け5の外周側等に導き、これらの油槽3、スラスト受け5を外側から冷却するものである。
【0048】
28は固定スクロール6の背面側に設けられたスクロール側ダクトで、該スクロール側ダクト28は、前面部28Aおよび左,右の側面部28B,28Cにより、固定スクロール6の背面側を上,下方向に細長く延びる枠体として形成され、その上,下両端はそれぞれ上側ダクト26の前端側26F,下側ダクト27の前端側27Fに接続されている。そして、このスクロール側ダクト28は、上側ダクト26からの冷却風と下側ダクト27からの冷却風を固定スクロール6の鏡板6A背面側に導き、この固定スクロール6を背面側から冷却するものである。
【0049】
29はスクロール側ダクト28の前面部28Aに穿設された冷却風の流出口で、該流出口29は、固定スクロール6の鏡板6A中央部に設けられた吐出開口17とほぼ対応する位置に開口した円形穴として形成されている。そして、この流出口29は、上側ダクト26からスクロール側ダクト28へと流れる冷却風と下側ダクト27からスクロール側ダクト28へと流れる冷却風を一緒に外部へと流出させるものである。
【0050】
30は基端側が吐出開口17に接続された吐出パイプで、該吐出パイプ30は、先端側が流出口29を介してスクロール側ダクト28を貫通し、外部に突出している。そして、吐出パイプ30は、吐出開口17と共に吐出口を構成し、圧縮室16内の圧縮空気を外部に吐出して空気タンク(図示せず)等に貯留するものである。
【0051】
本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、次にその圧縮動作について説明する。
【0052】
まず、電動モータ7により回転軸10を回転させると、旋回スクロール14は回転軸10を中心として一定の旋回半径をもった円運動(旋回運動)を行い、固定スクロール6のラップ部6Bと旋回スクロール14のラップ部14Bとの間に画成された圧縮室16,16,…が連続的に縮小する。これにより、固定スクロール6の吸込口から吸込んだ外気を各圧縮室16で順次圧縮しつつ、この圧縮空気を固定スクロール6の吐出開口17から吐出パイプ30等を介して外部の空気タンク等に貯留させる。
【0053】
次に、前述した圧縮運転時における当該スクロール式空気圧縮機の冷却作用について説明する。
【0054】
まず、冷却ファン23が回転軸10と一体に回転することにより、図2に示すように、冷却風は流入口25からファン側ダクト24を通じて矢示A方向へと上側ダクト26内を流れ、この間に電動モータ7等を外側から冷却する。また、この冷却ファン23からの冷却風は、ファン側ダクト24から下側ダクト27内へと図2中に示す矢示B方向にも流れ、この間に油槽3等を外側から冷却する。
【0055】
そして、上側ダクト26内の冷却風と下側ダクト27内の冷却風は、それぞれ図2中に示す矢示C,D方向へとスクロール側ダクト28内を流れ、この間に固定スクロール6の背面側を冷却すると共に、これらの冷却風は吐出パイプ30側の位置で合流し、流出口29を通じて外部に流出される。
【0056】
一方、この圧縮運転時には外部からの駆動源によって油液供給機構19の給油ポンプ20を作動することにより、油槽3内の油液4を吸込んで給油通路21に吐出する。これにより油液4は給油通路21からスラスト受け5と旋回スクロール14との摺接面5B,14D間に供給され、該摺接面5B,14Dを冷却、潤滑すると共に、給油通路22を通じて旋回軸受15およびオルダムリング18等に供給され、これらを冷却、潤滑した後に油槽3内に戻される。
【0057】
ところで、圧縮運転時には圧縮室16内の圧縮熱が固定スクロール6、旋回スクロール14に直接伝わるから、通常、これらの固定スクロール6、旋回スクロール14は、電動モータ7に比較して高温状態におかれる傾向にある。
【0058】
そこで、本実施の形態では、前述の如く冷却ファン23で発生する最も冷えた冷却風を、ファン側ダクト24から上側ダクト26に向けて直接送風することができるから、この冷却風により電動モータ7を効率よく冷却でき、該電動モータ7の耐久性、寿命等を高めることができる。
【0059】
そして、前述の如く電動モータ7は固定スクロール6側よりも低温状態におかれるから、上側ダクト26を通過した後の冷却風についても、比較的低い温度に保つことができ、この冷却風をスクロール側ダクト28に導くことによって固定スクロール6側も効率的に冷却することができる。また、スクロール側ダクト28には下側ダクト27からの冷却風も導くことができるから、この冷却風により固定スクロール6の冷却をさらに促進することが可能となる。
【0060】
また、油槽3内の油液4は下側ダクト27内を流れる冷却風により常に冷却することができる。そして、この油槽3内で冷却された油液4は給油ポンプ20によりスラスト受け5と旋回スクロール14との摺接面5B,14D間に安定して供給できるから、これらのスラスト受け5、旋回スクロール14についても、固定スクロール6、電動モータ7と共に十分に冷却を行うことができる。
【0061】
また、油槽3はケーシング1の長さ方向に延びる有底の箱形状として形成したので、油槽3をケーシング1の長さ方向に大型化でき、油槽3の容量を増して該油槽3内に収容される油液4の全体量を増やすことができる。これにより、油液4が旋回軸受15等から油槽3内に戻されるときに、この油液4の熱を油槽3内の油液4中に効果的に放出でき、油槽3内の油液4をさらに低い温度に保つことができる。
【0062】
さらに、流出口29は吐出パイプ30と対応した位置でスクロール側ダクト28内に開口させ、該吐出パイプ30を流出口29からスクロール側ダクト28の外部に突出させる構成としたから、スクロール側ダクト28には、吐出パイプ30を貫通させるための穴を流出口29とは別個に穿設する必要がなくなり、スクロール側ダクト28の加工性等を高めることができる。
【0063】
次に、図3、図4は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、冷却風の流出口を吐出口よりも下側に離してスクロール側ダクトに開口させる構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0064】
図中、41は本実施の形態に用いるスクロール側ダクトで、該スクロール側ダクト41は、第1の実施の形態で述べたスクロール側ダクト28とほぼ同様に、前面部41Aおよび左,右の側面部41B,41Cにより形成されるものの、このスクロール側ダクト41の前面部41Aには、第1の実施の形態で述べた流出口29に替えて吐出パイプ30が挿通される挿通孔41Dが穿設されている。そして、この挿通孔41Dは、吐出パイプ30とほぼ対応した穴径をもって形成されている。
【0065】
このため、吐出パイプ30と貫通孔41Dとの間の隙間は最小限に小さく抑えられ、スクロール側ダクト41内の冷却風が吐出パイプ30と挿通孔41Dとの間から外部に流出するのを防止している。
【0066】
42は吐出口(吐出開口17、吐出パイプ30)よりも下側に離間してスクロール側ダクト41の前面部41Aに設けられた冷却風の流出口で、該流出口42は、スクロール側ダクト41の前面部41A下端側で左,右方向に延びる略長方形状の角穴として形成されている。そして、この流出口42は下側ダクト27の前端側27F寄りの位置でスクロール側ダクト41内に開口している。
【0067】
このため、上側ダクト26からの冷却風は、図4中に示す矢示Cの如くスクロール側ダクト41内を固定スクロール6の背面上部側から背面中央の吐出開口17(吐出パイプ30)側に向けて導かれると共に、この吐出開口17側からさらに固定スクロール6の背面下部側へと導かれる。そして、この冷却風はスクロール側ダクト41内の下端側で下側ダクト27からの冷却風と合流して流出口42から外部に流出するようになる。
【0068】
かくして、本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる上に、特に本実施の形態では、下記のような作用効果を得ることができる。
【0069】
即ち、固定スクロール6は、圧縮空気が吐出される吐出開口17側となる中央側が外周側に比べて特に高温となるため、この固定スクロール6の中央側を効率よく冷却する必要がある。
【0070】
そこで、本実施の形態では、冷却風の流出口42を、吐出パイプ30から下側に離れた位置に配置する構成としたので、図4に示すように固定スクロール6の背面中央側には、上側ダクト26からの冷却風を矢示C方向へとスクロール側ダクト41を通じて導くことができる。そして、通常、電動モータ7は、旋回スクロール14等を冷却する油液が溜められる油槽3に比較して低い温度状態におかれるため、上側ダクト26内を通過した後の冷却風は、下側ダクト27内を通過した後の冷却風よりも低い温度に抑えることができる。
【0071】
従って、上側ダクト26と下側ダクト27のうち上側ダクト26からの冷たい冷却風のみを、前述の如く固定スクロール6の背面中央側に導くことができ、固定スクロール6の冷却効率をさらに高めることができる。
【0072】
しかも、上側ダクト26からの冷却風と下側ダクト27からの冷却風とがスクロール側ダクト41内に導かれて流出口42側で合流するときに、この流出口42側で例え冷却風の流れに淀みが生じたとしても、このような冷却風の淀みが固定スクロール6の背面中央側で生じる事態を避けることができる。
【0073】
これにより、スクロール側ダクト41内には上側ダクト26からの冷却風を、図4中に示す矢示C方向へと固定スクロール6の背面中央側に向けて一方向(下向き)に円滑に流すことができ、固定スクロール6の背面中央側から熱を効率よく奪い、固定スクロール6の冷却効率を一層高めることができる。
【0074】
次に、図5ないし図8は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、固定スクロールの背面側には、スクロール側ダクト内を冷却風の流れ方向(上,下方向)に沿って略平行に延びる複数の放熱フィンと、スクロール側ダクト内を該各放熱フィンと交差して左,右方向に延びる他の放熱フィンとを設け、該他の放熱フィンは、上側ダクトからスクロール側ダクト内に向けて流通する冷却風と下側ダクトからスクロール側ダクト内に向けて流通する冷却風とを、別々に流出口から流出させる構成としたことにある。
【0075】
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0076】
図中、51は本実施の形態に用いる固定スクロールで、該固定スクロール51は、第1の実施の形態で述べた固定スクロール6とほぼ同様に、鏡板51A、ラップ部51B、筒部51Cおよびフランジ部51Dによって構成されている。また、鏡板51Aの背面中央側には筒状の吐出開口52が突設され、該吐出開口52は、吐出パイプ30と共に圧縮室16内の圧縮空気を外部に吐出する吐出口を構成している。
【0077】
さらに、固定スクロール51の鏡板51A背面側には、スクロールダクト28内に位置して複数の放熱フィン53A,53A,53B,53Bが立設され、該放熱フィン53A,53Bは、スクロールダクト28内を冷却風の流れ方向(上,下方向)に沿って延びる細長の板状体として形成され、その先端はスクロール側ダクト28の前面部28Aに当接している。そして、これら各放熱フィン53A,53Bは、圧縮室16から固定スクロール51に伝わる圧縮熱等を、後述する上側冷却風通路55内、下側冷却風通路56内の冷却風中に放熱するものである。
【0078】
54はスクロール側ダクト28内に位置して、固定スクロール51の鏡板51A背面側に立設された仕切壁としての1個の他の放熱フィンで、該放熱フィン54は、放熱フィン53Aと交差して左,右方向(水平方向)にほぼ一定の板厚をもって延びる細長の板状体として形成され、その両端側は放熱フィン53Bと一体化されている。また、放熱フィン54は、基端側から先端側に向け放熱フィン53A,53Bとほぼ同等の高さもって突出する板状突起として形成され、高さ方向に対してもほぼ一定の板厚を有している。
【0079】
さらに、この放熱フィン54は、吐出開口52の下部側に接する位置に配置され、その長さ方向の中間部は吐出開口52と一体化されている。そして、放熱フィン54は、放熱フィン53A,53Bと一緒に固定スクロール51を背面側から冷却フィンを構成している。
【0080】
また、放熱フィン54は、流出口57を左,右方向に横切るように配置され、上側冷却風通路55内を流れる冷却風と下側冷却風通路56を流れる冷却風とを、図8中に示す矢示C2 ,D2 方向へと流出口57からそれぞれ別々に流出させるものである。
【0081】
55,55,…は放熱フィン54の上側に位置して、スクロール側ダクト28と放熱フィン53A,53Bとの間に形成された3個の上側冷却風通路で、該上側冷却風通路55は、上側ダクト26からの冷却風を図7、図8中に示す矢示C1 方向へと下向きに流通させるものである。
【0082】
56,56,…は放熱フィン54の下側に位置して、スクロール側ダクト28と放熱フィン53A,53Bとの間に形成された3個の下側冷却風通路で、該下側冷却風通路56は、下側ダクト27からの冷却風を図7、図8中に示す矢示D1 方向へと上向きに流通させるものである。ここで、前述の如く放熱フィン54は、吐出開口52よりも下側に配置されるため、上側冷却風通路55は下側冷却風通路56よりも長く形成されている。
【0083】
57は第1の実施の形態で述べた流出口29に替えて、スクロール側ダクト28の前面部28Aに穿設された本実施の形態に用いる冷却風の流出口で、該流出口57は、放熱フィン54と対応する位置でスクロール側ダクト28内に開口する略長方形状の角穴として形成されている。そして、流出口57は、上側冷却風通路55内を流れる冷却風が流出する上側流出口57Aと下側冷却風通路56内を流れる冷却風が流出する下側流出口57Bとからなっている。そして、吐出開口52は上側流出口57A側に位置している。
【0084】
なお、58,58は一対の吸込フィルタで、該吸込フィルタ58は、固定スクロール51の外周側に設けた吸込口(図示せず)を外側から覆うように取付けられるものである。
【0085】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0086】
特に本実施の形態では、固定スクロール51の背面側には、放熱フィン53A,53Bの他に該放熱フィン53A,53Bと直交して延びる他の放熱フィン54を追加して設けることにより、スクロール側ダクト28内に上側冷却風通路55と下側冷却風通路56とを形成している。
【0087】
このため、図7に示すように上側ダクト26からの冷却風は上側冷却風通路55内を矢示C1 方向へと下向きに流通し、この間に固定スクロール51を放熱フィン53A,53Bによって背面側から冷却する。そして、図8に示すように上側冷却風通路55内の冷却風は放熱フィン54の側面に当たることにより、矢示C2 方向へと流出口57の上側流出口57A側に導かれ、外部に流出される。
【0088】
また、下側ダクト27からの冷却風についても下側冷却風通路56内を矢示D1 方向へと上向きに流通し、この間に固定スクロール51を背面側から冷却する。そして、下側冷却風通路56内の冷却風は放熱フィン54の側面に当たることにより矢示D2 方向へと流出口57の下側流出口57B側に導かれ、上側冷却風通路55内の冷却風と一緒に外部に流出される。
【0089】
従って、本実施の形態によれば、放熱フィン54により上側冷却風通路55内の冷却風と下側冷却風通路56内の冷却風とが、流出口57側で直接合流(衝突)して圧力に変換される等の不具合をなくすことができる。これにより、流出口57側で冷却風の流れに淀みが生じるのを抑えることができ、上側冷却風通路55内、下側冷却風通路56内での冷却風の流れを円滑化させ、固定スクロール51の冷却効率をより一層高めることができる。
【0090】
また、放熱フィン54は放熱フィン53A,53Bと直交する方向に配置したので、上側冷却風通路55、下側冷却風通路56を流れる冷却風を、放熱フィン54の側面に積極的に当てることができ、放熱フィン54からの放熱量を増やして固定スクロール51をさらに効率的に冷却することができる。
【0091】
さらに、放熱フィン54を固定スクロール51の鏡板51A中央側に位置する吐出開口52よりも下側に配置する構成としたので、上側冷却風通路55を下側冷却風通路56よりも上,下に長く形成できる。これにより上側ダクト26と下側ダクト27のうち上側ダクト26からの低温の冷却風を、固定スクロール51のうち最も高温となる中央側(吐出開口52側)に導くことができ、固定スクロール51の冷却をさらに効率的に行なうことができる。
【0092】
しかも、放熱フィン54を吐出開口52と一体化する構成としたので、固定スクロール51の中央側の高温の熱を放熱フィン54を通じて固定スクロール51の外周側に移動させ、上側冷却風通路55内および下側冷却風通路56内の冷却風中に効率よく放熱でき、固定スクロール51の冷却性をより高めることができる。そして、固定スクロール51の温度分布を均一化でき、旋回スクロール14と固定スクロール51とのラップ部14B,51B同士の熱変形による接触を防止して、当該空気圧縮機の性能、信頼性等を向上することができる。
【0093】
さらに、固定スクロール51の背面側には放熱フィン53A,53Bと放熱フィン54とを互いに直交する方向に配置したので、これらの放熱フィン53A,53B,54を固定スクロール51の補強梁として機能させることができ、固定スクロール51の剛性を高めることができ、当該空気圧縮機の寿命、信頼性を高めることができる。
【0094】
次に、図9は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、仕切板としての他の放熱フィンの板厚を該放熱フィンの基端側から先端側に向けて漸次小さく形成することにより、この他の放熱フィンの基端側を、先端側に向けて凹湾曲状をなして延びる円弧面として形成したことにある。
【0095】
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0096】
図中、61は本実施の形態に用いる固定スクロールで、該固定スクロール61は、鏡板61A、ラップ部61Bおよび筒部61Cによって大略構成され、鏡板61Aの背面側中央には吐出開口62が突設されている。また、固定スクロール61の鏡板61A背面側には、4個の放熱フィン63,63,…(2個のみ図示)および後述の放熱フィン64が立設されている。
【0097】
64はスクロール側ダクト28内に位置して固定スクロール61の鏡板61A背面側に立設された仕切壁としての1個の他の放熱フィンで、該放熱フィン64についても、第3の実施の形態による放熱フィン54とほぼ同様に、スクロール側ダクト28内を放熱フィン63と交差して左,右方向に延びている。そして、この放熱フィン64は吐出開口62の下部側に接する位置に配置され、該吐出開口62と一体化されている。
【0098】
しかし、この放熱フィン64の板厚は、その基端側から先端側に向けて漸次板厚が薄くなる板状突起として形成されている点で、第3の実施の形態のものとは異なっている。このため、放熱フィン64の基端側には、先端側に向けて円弧状(凹湾曲状)に湾曲して延びる円弧面64A,64Aが形成されている。
【0099】
また、放熱フィン64は、スクロール側ダクト28と放熱フィン63との間に、3個の上側冷却風通路65と3個の下側冷却風通路66(いずれも1個のみ図示)とを形成している。
【0100】
67はスクロール側ダクト28に穿設された冷却風の流出口で、該流出口67は、放熱フィン64と対応する位置でスクロール側ダクト28内に開口する略長方形状の角穴として形成され、放熱フィン64により上側流出口67Aと下側流出口67Bとに画成されている。
【0101】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、放熱フィン64の基端側には、先端側に向けて凹湾曲状に延びる円弧面64Aを形成している。
【0102】
このため、図9に示すように上側冷却風通路65内、下側冷却風通路66内を矢示C1 ,D1 方向に向けて流れる冷却風が放熱フィン64に当たったときには、この冷却風を放熱フィン64の各円弧面64Aに沿って矢示C2 ,D2 方向へと流出口67に向けて円滑に導くことができ、流出口67側で冷却風の流れに淀みが生じるのをさらに防止でき、固定スクロール61の冷却性をより高めることができる。
【0103】
次に、図10、図11は本発明の第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、仕切壁となる他の放熱フィンの板厚を、該放熱フィンの長さ方向の中間部で最大とし、左,右方向に向けて漸次薄く形成したことにある。
【0104】
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0105】
図中、71は本実施の形態に用いる固定スクロールで、該固定スクロール71は、鏡板71A、ラップ部71B、筒部71Cおよびフランジ部71Dを有し、鏡板71Aの背面側中央には吐出開口72が突設されている。さらに、固定スクロール71の鏡板71A背面側には、複数の放熱フィン73A,73A,73B,73Bおよび後述の放熱フィン74が立設されている。
【0106】
74はスクロール側ダクト28内に位置して固定スクロール71の鏡板71A背面側に立設された仕切壁としての1個の他の放熱フィンで、該放熱フィン74についても、第3の実施の形態による放熱フィン54とほぼ同様に、スクロール側ダクト28内を放熱フィン73Aと交差してほぼ水平方向に延びる板状突起として形成され、その両端側は放熱フィン73Bと一体化されている。また、この放熱フィン74は、吐出開口72の下部側に接する位置に配置され、該吐出開口72と一体化されている。
【0107】
しかし、放熱フィン74は、その長さ方向の中間部74Aで肉厚が最大となり、左,右方向に向けて板厚が漸次薄くなっている。そして、放熱フィン74の左,右の端部74B,74Bは板厚が最小となっている。このため、放熱フィン74からの放熱量は、端部74Bから中間部74Aに向かうに従って徐々に増え、中間部74Aで最大となっている。
【0108】
また、放熱フィン74は、スクロール側ダクト28と放熱フィン73A,73Bとの間に、3個の上側冷却風通路75,75,…と、3個の下側冷却風通路76,76,…とを形成している。
【0109】
77はスクロール側ダクト28に穿設された冷却風の流出口で、該流出口77は、放熱フィン74と対応する位置でスクロール側ダクト28内に開口する略長方形状の角穴として形成され、放熱フィン74により上側流出口77Aと下側流出口77Bとに画成されている。なお、78,78,…は固定スクロール71の吸込口(図示せず)に取付けられた吸込フィルタである。
【0110】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第3の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、放熱フィン74の板厚を中間部74Aで最大としたので、放熱フィン74からの放熱量を中間部74A側で最大に設定することができ、固定スクロール71のうち最も高温状態におかれる中央側(吐出開口72側)の熱を放熱フィン74によってさらに効率よく放熱でき、固定スクロール71の冷却性をより一層高めることができる。
【0111】
次に、図12ないし図15は本発明の第6の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、固定スクロールの背面側には、吐出開口を周囲から取囲む断熱用の環状溝を設ける構成としたことにある。
【0112】
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0113】
81は本実施の形態に係わるケーシングで、該ケーシング81は、第1の実施の形態で述べたケーシング1とほぼ同様に、底部82A等を有するモータケース82、油槽83およびスラスト受け84によって大略構成されている。また、スラスト受け84は、図14に示すように環状凹部84Aおよび摺接面84Bを有している。
【0114】
85は本実施の形態に用いる固定スクロールで、該固定スクロール85は、第4の実施の形態による固定スクロール61とほぼ同様に、鏡板85A、ラップ部85B、筒部85Cおよびフランジ部85Dによって大略構成されている。また、固定スクロール85は、後述の旋回スクロール91が摺接する端面が摺接面85Eとなっている。また、鏡板85Aの背面側中央には吐出開口86が設けられ、該吐出開口86は吐出パイプ30と共に吐出口を構成している。
【0115】
さらに、固定スクロール85の鏡板85A背面側には、上,下方向に延びる複数の放熱フィン87,87,…と、該各放熱フィン87と交差して左,右方向に延びる仕切壁としての2個の他の放熱フィン88とが立設されている。
【0116】
そして、この放熱フィン88は、図15に示すように第4の実施の形態による放熱フィン63とほぼ同様に、基端側から先端側に向けて漸次板厚が薄くなる板状突起として形成され、吐出開口86よりも下側に配置されている。また、放熱フィン88は、スクロール側ダクト28と放熱フィン87との間に、複数の上側冷却風通路89と複数の下側冷却風通路90とを画成している。
【0117】
ここで、固定スクロール85の鏡板85A背面側中央には吐出開口86の外周側に位置して肉盛り部85Fが一体形成されている。そして、この肉盛り部85Fの周面は、径方向外側から内側へと前方に向けて円弧状に縮径した円錐面85F1となっている。
【0118】
91は本実施の形態に用いる旋回スクロールで、該旋回スクロール91は、第1の実施の形態で述べた旋回スクロール14とほぼ同様に、鏡板91A、ラップ部91B、ボス部91Cおよび摺接面91D等を有している。そして、旋回スクロール91は、鏡板91Aが固定スクロール85に摺接すると共に、ラップ部91Bと固定スクロール85のラップ部85Bとの間に複数の圧縮室92を画成し、該圧縮室92内で圧縮した空気を吐出開口86、吐出パイプ30を介して外部に吐出する。
【0119】
93は本実施の形態に用いる油液供給機構で、該油液供給機構93は、スラスト受け84と旋回スクロール91との摺接面84B,91D間に設けられた給油ポンプ94と、スラスト受け84に設けられた吸込通路95と、旋回スクロール14に設けられた給油通路96とによって構成されている。
【0120】
また、給油ポンプ94は、例えば本出願人が先に出願した特開2000−227081号公報等に記載した給油ポンプとほぼ同様に、スラスト受け84の摺接面84B側に設けられた旋回子収容凹部94Aと、旋回スクロール91の摺接面91D側に設けられた旋回子94Bによって大略構成されている。
【0121】
そして、油液供給機構93は、旋回スクロール14の動きに追従して旋回子94Bが旋回子収容凹部94A内で旋回運動を行うことにより、油槽83内の油液4を吸込通路95を通じて給油ポンプ94内に吸込み、吸込んだ油液4を給油通路96を通じて摺接面84B、91D、旋回軸受15等に供給し、これらを潤滑、冷却するものである。また、吸込通路95の途中にはストレーナ97が設けられ、該ストレーナ97は、吸込通路95内に吸込まれた油液4に混入した異物を除去するものである。
【0122】
98は吐出開口86の周囲に位置して固定スクロール85の背面側中央に設けられた断熱用の環状溝で、該環状溝98は、固定スクロール85の肉盛り部85Fに吐出開口86と同心円状をなした円環状の凹溝として形成されている。
【0123】
そして、この環状溝98は、吐出開口86を周囲から取囲んで配置され、吐出開口86からの吐出空気の高温の熱が固定スクロール85の鏡板85A、ラップ部85Bおよび筒部85C等に直接伝わるのを遮断する構成となっている。
【0124】
なお、99は固定スクロール85の筒部85C開口端側に設けられたフェイスシールで、該フェイスシール99は、固定スクロール85の摺接面85Eと旋回スクロール91との間に配置され、圧縮室92内から圧縮空気が外部に漏洩するのを防止すると共に、圧縮室92内に油液4が浸入するのを阻止するものである。
【0125】
また、100は旋回スクロール91の鏡板91A外周側に設けられたリップシールで、該リップシール100は、固定スクロール85の摺接面85Eに摺接し、油液3が圧縮室92内に浸入するのをフェイスシール99と共に阻止するものである。
【0126】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第4の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、固定スクロール85の背面側中央には、吐出開口86を周囲から取囲む環状溝98を設ける構成としたので、運転時には吐出開口86からの吐出空気の高温の熱が固定スクロール85の鏡板85A、ラップ部85Bおよび筒部85C等に直接伝わるのを遮断することができる。
【0127】
このため、固定スクロール85全体を低い温度状態に保つことができ、固定スクロール85に装着されるフェイスシール99、固定スクロール85に摺接するリップシール100等の各摺動材の耐久性、寿命等を高めることができる。また、固定スクロール85の温度を低くできることにより、旋回スクロール91の内部を流通する油液4の温度も低く保つことができ、油液4により摺接面84B,91D、旋回軸受15等の冷却効果も高めることができ、当該空気圧縮機の性能、信頼性を一層高めることができる。
【0128】
また、固定スクロール85の背面側中央には円錐面85F1を有する肉盛り部85Fを形成したので、上側冷却風通路89内、下側冷却風通路90内を図14中の矢示C3,D3方向に向けて流れる冷却風を、円錐面85F1に沿って矢示C4,D4方向へと流出口29に向けて円滑に導くことができ、これによっても固定スクロール85の冷却効率を高めることができる。
【0129】
なお、第1の実施の形態では、吐出口を、吐出開口17と吐出パイプ30により構成し、吐出パイプ30の基端側を吐出開口17に接続して設ける場合を例示したが、これに替えて、例えば図16に示す第1の変形例のように、吐出口111を1個のパイプ材により構成し、この吐出口111の基端側を旋回スクロール14の鏡板14A背面側に一体形成する構成としてもよい。このことは、第2,第3,第4,第5,第6の実施の形態についても同様である。
【0130】
また、第6の実施の形態では、固定スクロール85の背面側中央に肉盛り部85Fを設け、この肉盛り部85Fに環状溝98を設ける構成とした場合を例に挙げて説明したが、これに替えて、例えば図17に示す第2の変形例のように環状溝98を-廃止してもよい。そして、この場合でも、肉盛り部85Fに設けた円錐面85F1により上側冷却風通路89、下側冷却風通路90内を流れる冷却風を流出口29に向けて円滑に導くことができるため、固定スクロール85の冷却効率を十分に高めることができる。
【0131】
また、第1,第2,第3,第4,第5の実施の形態では、旋回スクロール14に油液4を供給する油液供給機構19を、外部からの駆動源によって作動する給油ポンプ20により構成する場合を例示したが、これに替えて、例えば回転軸10の先端側(クランク10A側)等に油槽3内に向けて延びる油掻きを突設し、この油掻きにより油液供給手段を構成してもよい。そして、この場合には油掻きを回転軸10と一体に回転させることにより、油槽3内の油液4を掻き上げて旋回スクロール14の背面側に供給することができる。
【0132】
また、第2の実施の形態では、冷却風の流出口29を吐出パイプ30よりも下側に配置する構成として述べたが、本発明はこれに限らず、例えば流出口を吐出パイプ30よりも上側に配置してもよい。そして、この場合でも、第2の実施の形態で述べたように、上側ダクト26からの冷却風と下側ダクト27からの冷却風とがスクロール側ダクト41内で合流して淀みが生じたとしても、このような冷却風の淀みが固定スクロール6の背面中央側で生じる事態を避けることができ、固定スクロール6を効率よく冷却することができる。
【0133】
さらに、第4の実施の形態では、放熱フィン64の両側面にはほぼ一定の曲率をもった円弧面64Aを形成した場合を例に挙げて説明したが、これに替えて、第2放熱フィンの両側面には例えば一定の傾斜角をもって直線状に延びるテーパ面を形成してもよい。
【0134】
さらに、第5の実施の形態では、固定スクロール71に立設された放熱フィン74を、高さ方向に一定の板厚をもって形成する場合を例に挙げて説明したが、これに替えて、放熱フィンを、第4の実施の形態による放熱フィン64と同様に、基端側から先端側に向けて徐々に薄肉に形成することにより、この放熱フィンの両側面に円弧面を設ける構成としてもよい。
【0135】
一方、各実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール空気圧縮機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば真空ポンプ、冷媒圧縮機等にも広く適用できる。
【0136】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1に記載の発明では、ケーシングの上側には、ファン側ダクトに接続され電動モータを外側から冷却する上側ダクトを設け、ケーシングの下側には、ファン側ダクトに接続され油槽を外側から冷却する下側ダクトを設けると共に、固定スクロールの背面側には上側ダクトと下側ダクトとを互いに接続するスクロール側ダクトを設ける構成としている。そして、ファン側ダクトに冷却風の流入口を設け、スクロール側ダクトには冷却風の流出口を設ける構成としたので、冷却ファンからの最も冷えた冷却風をファン側ダクトから上側ダクトに向けて直接送風することができ、この冷却風により電動モータの冷却を効率よく行うことができ、該電動モータの耐久性、寿命等を高めることができる。そして、電動モータ側は固定スクロール側よりも温度が低いため、上側ダクトを通過した後の冷却風を低温のままの状態に保つことができ、この冷却風を上側ダクトからスクロール側ダクトに導くことによって固定スクロール側の冷却効率も高めることができる。
【0137】
また、下側ダクト内にも冷却ファンからの最も冷えた冷却風を直接送風することができるから、油槽内の油液を効率的に冷却することができる。そして、この油槽内の油液を旋回スクロールに供給することにより、旋回スクロールの冷却を効果的に行うことができる。さらに、この下側ダクトからの冷却風をスクロール側ダクトに導くことにより、固定スクロールの冷却をさらに促進することが可能となる。
【0138】
また、請求項2の発明のように、油液供給手段によって油液を旋回スクロールの鏡板背面側に供給する構成とした場合は、この油液供給手段により油液を旋回スクロール側に安定して供給し続けることができ、旋回スクロールの冷却効率を一層高めることができる。
【0139】
さらに、請求項3の発明は、冷却風の流出口は、吐出パイプから下側に離れた位置に配置する構成としたので、上側ダクトからの冷却風と下側ダクトからの冷却風とがスクロール側ダクト内に導かれて流出口側で合流するときに、例え冷却風の流れに淀みが生じたとしても、このような冷却風の淀みが固定スクロールの背面中央側で生じる事態を避けることができ、冷却風を固定スクロールの背面中央側で一方向に円滑に流すことができ、固定スクロールの背面中央側から熱を効率よく奪い、固定スクロールの冷却効率を一層高めることができる。
【0140】
しかも、固定スクロールの背面中央側には、上側ダクトと下側ダクトのうち上側ダクトからの冷却風をスクロール側ダクトを通じて導くことができる。そして、通常、電動モータは旋回スクロール側を冷却する油液が溜められる油槽の温度に比較して低い温度状態におかれるため、上側ダクト内の冷却風の温度は下側ダクト内の冷却風よりも低く抑えられる。これにより、この上側ダクト内の低温の冷却風を前述の如く固定スクロールの背面中央側に導くことにより、固定スクロールの冷却効率をさらに高めることができる。
【0141】
さらに、請求項4の発明は、固定スクロールの背面側には吐出口を周囲から取囲む断熱用の環状溝を設ける構成としたので、運転時には環状溝により固定スクロール全体を低い温度状態に保つことができ、例えば固定スクロールに装着されるシール材等の摺動材の耐久性、寿命を向上でき、当該スクロール式流体機械の性能、信頼性を一層高めることができる。
【0142】
一方、請求項5の発明は、固定スクロールの背面側には、上側ダクトからスクロール側ダクト内に向けて流通する冷却風と下側ダクトからスクロール側ダクト内に向けて流通する冷却風とを、流出口から別々に流出させる仕切壁を設ける構成としたので、仕切壁により上側ダクトからの冷却風と下側ダクトからの冷却風とが流出口で直接合流(衝突)するのを防止することができる。
【0143】
これにより、流出口側で冷却風の流れに淀みが生じることがなくなり、スクロール側ダクト内の冷却風を流出口から外部に向けて円滑に流出させることができ、固定スクロール等の冷却効率をより一層高めることができる。
【0144】
また、請求項6の発明は、固定スクロールの背面側には冷却風の流れ方向に沿って延びる複数の放熱フィンを設けると共に、仕切壁は該各放熱フィンと交差して延びる他の放熱フィンを兼用する構成としたので、複数の放熱フィン間を流れる冷却風を仕切壁の側面に積極的に当てることができ、これら複数の放熱フィンと仕切壁によって固定スクロールを効率よく冷却できると共に、固定スクロールを補強して剛性を高めることができる。
【0145】
また、請求項7の発明は、板状突起からなる仕切壁の板厚を、該仕切壁の基端側から先端側に向けて漸次薄く形成したので、仕切壁の基端側を、先端側に向けて例えば凹湾曲状をなす円弧面として形成でき、スクロール側ダクト内を流れる冷却風が仕切壁の側面に当たったときには、この冷却風を前記円弧面により流出口側へと円滑に導くことができ、流出口側で冷却風の流れに淀みが生じるのをさらに防止できる。
【0146】
また、請求項8の発明は、板状突起からなる仕切壁の板厚を、仕切壁の左,右の長さ方向の中間部で最大としたので、仕切壁からの放熱量を、仕切壁の中間部側でより増やすことができ、固定スクロールの冷却性をさらに高めることができる。
【0147】
さらに、請求項9の発明のように、仕切壁を吐出口よりも下側に配置する構成とした場合、固定スクロールの背面中央側には、上側ダクトと下側ダクトのうち上側ダクトからの低温の冷却風のみを、仕切壁によって固定スクロールの背面中央側へと吐出口の周囲に導くことができ、固定スクロールの冷却性をより一層高めることができる。
【0148】
さらに、請求項10の発明のように、仕切壁を吐出口と接する位置に配置する構成とした場合には、圧縮流体が吐出される吐出口側の高温の熱を、仕切壁からスクロール側ダクト内の冷却風中に効率よく放熱でき、これによっても固定スクロールの冷却性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す斜視図である。
【図2】図1中の矢示II−II方向からみた縦断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す斜視図である。
【図4】図3中の矢示IV−IV方向からみた縦断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す斜視図である。
【図6】図5中の矢示VI−VI方向からみた縦断面図である。
【図7】固定スクロール、放熱フィンおよびスクロール側ダクト等を図6中の矢示 VII−VII 方向からみた横断面図である。
【図8】図6中の放熱フィンおよび流出口等を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を図8と同様位置からみた部分拡大断面図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を図7と同様位置からみた横断面図である。
【図11】第5の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を図8と同様位置からみた部分拡大断面図である。
【図12】第6の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。
【図13】固定スクロール、放熱フィン等をスクロール側ダクト等を取外した状態で図12中の矢示XIII−XIII方向からみた横断面図である。
【図14】図12中の固定スクロール、旋回スクロール、吐出パイプおよび環状溝等を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図15】第6の実施の形態による固定スクロールを単体で示す一部破断の斜視図である。
【図16】本発明の第1の変形例によるスクロール式空気圧縮機の吐出口等を拡大して示す要部縦断面図である。
【図17】本発明の第2の変形例によるスクロール式空気圧縮機の固定スクロール、旋回スクロールおよび吐出パイプ等を拡大して示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1,81 ケーシング
3,83 油槽
4 油液
6,51,61,71,85 固定スクロール
7 電動モータ
10 回転軸
14,91 旋回スクロール
16,92 圧縮室
17,52,62,72,86 吐出開口(吐出口)
19,93 油液供給機構(油液供給手段)
23 冷却ファン
24 ファン側ダクト
25 流入口
26 上側ダクト
27 下側ダクト
28,41 スクロール側ダクト
29,42,57,67,77 流出口
30 吐出パイプ(吐出口)
2E,6E,6F,53A,53B,63,73A,73B,87 放熱フィン
54,64,74,88 他の放熱フィン(仕切壁)
64A 円弧面
74A 中間部
98 環状溝
111 吐出口

Claims (10)

  1. 電動モータを内蔵し、下部側が冷却用の油液を溜める油槽となったケーシングと、
    該ケーシングに設けられた固定スクロールと、
    前記ケーシング内で前記電動モータの回転軸に旋回可能に設けられ、該固定スクロールとの間に複数の圧縮室を画成する旋回スクロールと、
    前記ケーシングの外部に位置して前記電動モータの回転軸に設けられ、前記電動モータの回転によって冷却風を発生させる冷却ファンと、
    該冷却ファンを外側から覆うように設けられ、前記冷却風の流入口を有したファン側ダクトと、
    前記ケーシングの上側に位置して前記ファン側ダクトに接続され、前記冷却ファンからの冷却風により前記電動モータを外側から冷却する上側ダクトと、
    前記ケーシングの下側に位置して前記ファン側ダクトに接続され、前記冷却ファンからの冷却風により前記油槽を外側から冷却する下側ダクトと、
    前記固定スクロールの背面側に位置して前記上側ダクトと下側ダクトとを互いに接続するように設けられ、前記冷却風により前記固定スクロールを背面側から冷却し前記冷却風の流出口を有したスクロール側ダクトとを備えてなるスクロール式流体機械。
  2. 前記油槽内の油液を前記旋回スクロールの鏡板背面側に供給する油液供給手段を備えてなる請求項1に記載のスクロール式流体機械。
  3. 前記固定スクロールには前記圧縮室内で圧縮された圧縮流体を外部に吐出するための吐出口を前記スクロール側ダクトを貫通して設け、前記流出口は該吐出口よりも下側に位置して前記スクロール側ダクトに開口する構成としてなる請求項1または2に記載のスクロール式流体機械。
  4. 前記固定スクロールには前記圧縮室内で圧縮された圧縮流体を外部に吐出するための吐出口を設け、前記固定スクロールの背面側には前記吐出口からの吐出流体の熱が固定スクロール側に伝わるのを遮断するため前記吐出口を周囲から取囲む断熱用の環状溝を設ける構成としてなる請求項1または2に記載のスクロール式流体機械。
  5. 前記固定スクロールの背面側には、前記スクロール側ダクトの流出口を横切る方向に延び、前記上側ダクトからスクロール側ダクト内に向けて流通する冷却風と前記下側ダクトからスクロール側ダクト内に向けて流通する冷却風とを別々に前記流出口から流出させる仕切壁を設けてなる請求項1,2,3または4に記載のスクロール式流体機械。
  6. 前記固定スクロールの背面側には前記スクロール側ダクト内を冷却風の流れ方向に沿って互いに平行に延びる複数の放熱フィンを設け、前記仕切壁はスクロール側ダクト内を該各放熱フィンと互いに交差して延びる他の放熱フィンを兼用してなる請求項5に記載のスクロール式流体機械。
  7. 前記仕切壁は基端側から先端側に向けて板厚が漸次薄くなる板状突起として形成してなる請求項5または6に記載のスクロール式流体機械。
  8. 前記仕切壁は、前記スクロール側ダクト内を左,右方向に横切って延び、中間部が最大板厚となり左,右方向に向けて漸次板厚が薄くなる板状突起として形成してなる請求項5,6または7に記載のスクロール式流体機械。
  9. 前記仕切壁は前記吐出口よりも下側に配置してなる請求項5,6,7または8に記載のスクロール式流体機械。
  10. 前記仕切壁は前記吐出口と接する位置に配置してなる請求項5,6,7,8または9に記載のスクロール式流体機械。
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