JP4392214B2 - 記録ヘッド - Google Patents

Description

本発明は、発熱素子、発光素子、圧電素子等の記録素子を用いて印画記録等の行う記録ヘッドに関するものである。

従来、記録ヘッドとしてサーマルヘッド、ＬＥＤヘッド、インクジェッドヘッド等が幅広く用いられている。

記録ヘッドとしては、例えばサーマルヘッドの場合、上面に直線状に配列した複数の発熱素子及び発熱素子の発熱を制御するドライバーＩＣが取着されたヘッド基板と、該ヘッド基板に対して接続されるフレキシブル配線板とが接続されている。

このようなサーマルヘッドは、発熱素子の上に感熱紙等の記録媒体を搬送しながら、プリンタ側からの印画データをフレキシブル配線板を介してドライバーＩＣに供給するとともに、該供給された印画データに基づいて発熱素子を個々に選択的にジュール発熱させるとともに、該熱を記録媒体に伝達させることによって所定の印画が形成される。

尚、上述したヘッド基板の上面には、発熱素子、ドライバーＩＣの他に、Ａｌ（アルミニウム）から成る複数の回路導体が設けられており、これら回路導体の中には、図４に示す如く、ドライバーＩＣの出力端子に接続される電極パッドと、入力端子に接続される接続パッドと、フレキシブル配線板の配線パッドに接続される接続パッドとが複数存在している。

これらの電極パッドや接続パッドは、発熱素子に対応するようにヘッド基板上に直線状又は千鳥状に設けられており、通常、電極パッド及び接続パッドの記録素子に対する対応順序は、連続的に設定されている。すなわち、一端の発熱素子は、一端の電極パッドや接続パッドに電気的に接続され、一端よりＭ番目（Ｍは２以上の自然数）の発熱素子は、一端よりＭ番目の電極パッドや接続パッドに電気的に接続されているのが一般的である。
特開平５−２２９１５９号公報

ところで、上述のサーマルヘッドは銀行のキャッシュディスペンサーにおいて預金残高、振込金額等の情報を紙に記録する場合など、秘密性の高い情報を印画するのに用いられるケースが存在する。

しかしながら、上述のサーマルヘッドはプリンタ側からの印画データがフレキシブル配線板を介してドライバーＩＣに供給される際、フレキシブル配線板において印画データがノイズとして外部に漏洩してしまうことがある。漏洩した印画データのノイズを第三者が傍受し、これをプロットすると、個人情報等の印画データを簡単に盗むことができる問題があった。特にフレキシブル配線板の長さが５０ｃｍを超える場合、ノイズが外部に漏れ易いため、特に問題であり、かかる問題点を解決する手段が求められていた。

本発明は、上記問題点に鑑み案出されたもので、その目的は、漏洩した印画データを第三者が傍受しても、正確な印画データを第三者が把握することが困難な記録ヘッドを提供することにある。

本発明の記録ヘッドは、所定の方向に配列記録されている複数の記録素子と、該記録素子の駆動を制御するドライバーＩＣと、該ドライバーＩＣの出力端子に電気的に接続されており、前記複数の記録素子に対応するように設けられている複数の電極パッドとを備えており、前記ドライバーＩＣに供給される印画データに基づいて印画を行う記録ヘッドにおいて、前記複数の電極パッドの前記複数の記録素子に対する対応順序が一部不規則になっていることを特徴とする。

また、本発明の記録ヘッドは、前記複数の記録素子及び前記複数の電極パッドを複数のグループに区分するとともに、各グループ内における複数の電極パッドの複数の記録素子に対する対応順序が不規則になっていることを特徴とする。

更に、本発明の記録ヘッドは、前記記録素子との対応順序が不規則になっている電極パッドが、前記記録素子に電気的に接続されている電極パッドの全体に対して２５％〜４０％であることを特徴とする。

また更に、本発明の記録ヘッドは、前記複数の記録素子と、前記複数の電極パッドと、前記ドライバーＩＣとがヘッド基板上に設けられており、該ヘッド基板に外部配線基板が接続されていることを特徴とする。

本発明の記録ヘッドによれば、所定の方向に配列されている複数の記録素子と、該記録素子の駆動を制御するドライバーＩＣと、該ドライバーＩＣの出力端子に電気的に接続されており、前記複数の記録素子に対応するように設けられている複数の電極パッドとを備えており、前記ドライバーＩＣに供給される印画データに基づいて印画を行う記録ヘッドにおいて、前記複数の電極パッドの前記複数の記録素子に対する対応順序が一部不規則になっていることから、かかる不規則部分に対応させて一部のデータを入れ替えた印画データをドライバーＩＣに供給することができる。それ故、プリンタより外部配線基板を介してドライバーＩＣに供給される印画データがノイズとして外部に漏洩し、それを第三者が傍受したとしても、傍受したデータ自体が本来の形から一部入れ替わったデータとなっているため、第三者は正確な印画データを把握することが困難となる。従って、印画データの情報漏洩を良好に防止できる信頼性の高い記録ヘッドを提供することができる。

以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。図１は本発明をサーマルヘッドに適用した場合の一実施形態を示す平面図、図１のサーマルヘッドに使用されるヘッド基板の電極パッドの配列を示す平面図であり、図１に示すサーマルヘッドは、大略、ヘッド基板１と、フレキシブル配線板１１と、で構成されている。

ヘッド基板１は、グレーズドアルミナセラミックス等から成るベースプレート２の上面に、Ｎ個（Ｎは２以上の自然数、本実施形態においては３８４個）の記録素子としての発熱素子３、複数個のドライバーＩＣ４、複数個の回路導体５，６等を取着させた構造を有している。

ベースプレート２は、その上面で発熱素子３、ドライバーＩＣ４、回路導体５，６等を支持するための支持母材として機能するものであり、グレーズドアルミナセラミックスから成る場合、まずアルミナ、シリカ、マグネシア等のセラミックス原料粉末に適当な有機溶剤を添加、混合する等してセラミックグリーンシートを形成するとともに、該シートを所定形状に打ち抜いて高温で焼結させることによってアルミナ基板を形成して、得られたアルミナ基板の上面に従来周知のスクリーン印刷等によってガラスペーストを印刷、塗布して、これを高温で焼き付けてグレーズ層を形成することによって製作される。

尚、上述したグレーズドアルミナセラミックス基板のグレーズ層は、印画に際して後述する発熱素子３の発する熱の一部を蓄積して、発熱素子３の温度を短時間で印画に必要な所定の温度まで上昇させるための蓄熱層として機能するものである。

また、ベースプレート２の上の発熱素子３は、例えば２００ｄｐｉ（dot per inch）の密度で主走査方向に直線状に被着、配列されており、各々がＴａＳｉＯ、ＴｉＳｉＯ、ＴｉＣＳｉＯ等の電気抵抗材料により形成されているため、回路導体５，６、後述するフレキシブル配線板１１の配線導体１２等を介して電源電力が供給されるとジュール発熱を生じさせて、感熱紙等の記録媒体に印画を形成するのに必要な所定の温度となる。

これら複数の発熱素子３は、例えば、上述の電気抵抗材料を従来周知のスパッタリング等によってベースプレート２の上面に所定厚みに被着させて、これらを従来周知のフォトリソグラフィー技術及びエッチング技術を採用して、所定パターンに加工することによって形成される。

また、ベースプレート２の上のドライバーＩＣ４は、発熱素子３のジュール発熱を外部からの画像データに基づいて個々に制御するためのものであり、かかるドライバーＩＣ４としては、Ｓｉ（シリコン）から成るベースの下面にシフトレジスタＳ、ラッチ、スイッチングトランジスタ等の電子回路を高密度に集積したフリップチップ型の半導体素子が用いられ、この下面には複数の出力端子、入力端子も共に設けられる。

このドライバーＩＣ４の内のシフトレジスタＳは、複数のグループ（本実施形態においては４グループ）Ｇ１〜Ｇ４に区分されており、各グループのシフトレジスタＳが担当する発熱素子３及び後述する電極パッド５ａが同じグループとなるようにＮ個の発熱素子３、後述するＮ個の電極パッドが複数グループＧ１〜Ｇ４に区分されており、同じグループ同士のシフトレジスタＳ、発熱素子３、電極パッド５ａが電気的に接続されている。

ドライバーＩＣ４は、従来周知のフェースダウンボンディング、即ち、ドライバーＩＣ４の下面に設けたＮ個の出力端子を対応する電極パッド５ａに、複数の入力端子を対応する接続パッド６ａにそれぞれ半田接合させることによって、ベースプレート２の上面に搭載され、これによってドライバーＩＣ４の出力端子が回路導体５を介して対応する発熱素子３に、また、入力端子が回路導体６を介して対応するフレキシブル配線板１１に電気的に接続される。

また、回路導体５，６は、発熱素子３、ドライバーＩＣ４に電力、電気信号を供給する給電線又は信号線として機能するものであり、Ａｌを主成分とする金属により所定パターンをなすように形成される。

これら回路導体５，６の一部上面、具体的には、ドライバーＩＣ４、及びフレキシブル配線板１１との接続部には、電極パッド５ａ、接続パッド６ａ，６ｂが設けられている。

電極パッド５ａは、発熱素子３と１対１に対応するようにベースプレート２の上面に千鳥状に配列されており、各々が半田等の導電材７を介してドライバーＩＣ４の出力端子に接続されている。

この電極パッド５ａは、発熱素子３に対する対応順序が一部不規則になっている。ここでいう不規則とは、電極パッド５ａの配列の一端側よりＭ番目（Ｍは０＜Ｍ＜Ｎの自然数）に位置する電極パッド５ａは発熱素子３の配列の一端側よりＭ番目に位置する発熱素子３に接続されているのではなく、Ｍ番目とは異なる発熱素子３、例えば一端側よりＭ＋１，Ｍ＋２，Ｍ−１番目等の発熱素子３に接続されているＭが存在することをいい、不規則とするために回路導体５のパターンを蛇行させている。この不規則部分は第三者の傍受を困難とすべく、各グループＧ１〜Ｇ４において少なくとも８箇所ずつ、電極パッド５ａの発熱素子３に対する対応順序が不規則になっている。

このため、かかる不規則部分に対応させた形で一部のデータが入れ替わった印画データをドライバーＩＣ４に供給することができる。従って、プリンタよりフレキシブル配線板１１を介してドライバーＩＣ４のシフトレジスタＳに供給される印画データが途中でノイズとして外部に漏洩し、それを第三者が傍受したとしても、傍受したデータ自体が本来の形から一部入れ替わったデータとなっているため、第三者は正確な印画データを把握することが困難となる。従って、印画データの情報漏洩を良好に防止できる信頼性の高いサーマルヘッドを提供することができる。

尚、第三者の印画データの把握を困難なものとするためには、発熱素子３に対する対応順序が不規則な電極パッド５ａが、発熱素子３に電気的に接続される電極パッド５ａの全体に対して２５％〜４０％に設定することが好ましい。その理由は、発熱素子３に対する対応順序が不規則な電極パッド５ａが、発熱素子３に電気的に接続される電極パッド５ａ全体に対して２５％よりも小さいと、順序が入れ替わった印画データの数が少ないため、第三者が正確な印画データを把握する可能性がやや高く、一方、４０％よりも大きいと、回路導体５のパターンが複雑化しすぎて、サーマルヘッドの生産性が低下するおそれがあるからである。

また、接続パッド６ａは、ドライバーＩＣ４の入力端子に対応するようにベースプレート２の上面に配列されており、各々が半田等の導電材８を介してドライバーＩＣ４の入力端子に接続される。一方、接続パッド６ｂは、フレキシブル配線板１１に設けられる配線パッド１２ａに対応するようにベースプレート２の上面に配列されており、各々が半田等の導電材９を介して配線パッド１２ａに接続される。

これらの電極パッド５ａ、接続パッド６ａ，６ｂは、半田によって他の部材に電気的に接続される場合、半田濡れ性を良好となすためのＮｉメッキ層が被着されており、これらのＮｉメッキ層を介して回路導体５，６をドライバーＩＣ４の入出力端子、フレキシブル配線板１１の配線導体１２に対して半田接合させて回路導体５，６をドライバーＩＣ４、フレキシブル配線板１１に電気的に接続させている。

尚、回路導体５，６は、例えばＡｌを従来周知のスパッタリング等によってベースプレート２の上に所定厚みに被着させ、これを従来周知のフォトリソグラフィー技術及びエッチング技術を採用して、所定パターンに加工することによって形成され、また、回路導体の上面の電極パッド５ａ、接続パッド６ａ，６ｂは、まず、従来周知の置換めっき法を採用して、一部を露出させた回路導体５，６が被着されたベースプレート２を硫酸亜鉛溶液に所定時間、浸漬することによって回路導体５，６を形成するＡｌの一部をＺｎで置換して、しかる後に、このＺｎを触媒とした無電解Ｎｉめっきを行うことによって形成される。

また一方、フレキシブル配線板１１は、ヘッド基板１の上の回路導体６等に電気的に接続される複数個の配線導体１２を有し、これをポリイミド樹脂等から成るフィルム１４ａ，１４ｂで両側より挟持した構造を成している。

このフレキシブル配線板１１は、記録動作時、外部からの電力、電気信号を配線導体１２を介してヘッド基板１の上の発熱素子３、ドライバーＩＣ４に供給するためのものであり、サーマルヘッドをプリンタの本体に組み込む際に、配線導体１２をフレキシブル配線板１１の一端に取着される図示しないコネクタ部材を介してプリンタの本体に接続させておくことにより、外部からの電力、電気信号がサーマルヘッドに供給可能な状態となる。

尚、フレキシブル配線板１１は、例えばポリイミド樹脂製のベースフィルム１４ａに銅箔を貼り付けて、この銅箔を従来周知のフォトリソグラフィー及びエッチング技術にて所定パターンに加工することで複数個の配線導体１２を形成するとともに、ベースフィルム１４ａと同様の材質から成るカバーフィルム１４ｂを貼り付けて、しかる後に、該カバーフィルム１４ｂの一部を切り欠いて配線導体１２を露出させることにより製造される。この配線導体１２の露出部は、ヘッド基板１の接続パッド６ｂに半田等を介して接続される配線パッド１２ａとなる。

また、フレキシブル配線板１１とヘッド基板１との接続は、例えば、配線パッド１２ａが設けられているフレキシブル配線板１１の一端部を、配線導体１２が対応する接続パッド６ｂと対向するようにしてヘッド基板１の一部上面に重畳させて、しかる後に、接続パッド６ｂと配線パッド１２ａとの間に介在させた半田を、ヒーターバー等を用いて加熱、溶融させて両者を半田接合することによって行なわれる。

かくして、上述したサーマルヘッドは、ヘッド基板１の発熱素子３の上に感熱紙等の記録媒体を搬送しながら、複数の発熱素子３を外部からの印画データに基づいて個々に選択的にジュール発熱させるとともに、該熱を記録媒体に伝導させて、所定の印画を形成することによってサーマルヘッドとして機能する。

尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。

例えば、上述の実施形態においては、本発明をサーマルヘッドに適用した例について説明したが、本発明をＬＥＤヘッド、インクジェットヘッド等の他の記録ヘッドに適用可能であることは言うまでもない。

また、上述の実施形態において、電極パッド５ａ、接続パッド６ａ，６ｂの上面にＡｕめっき層を被着させておいても良く、この場合、各パッド５ａ，６ａ，６ｂの表面の酸化がＡｕめっき層でもって有効に防止されるため、半田接合部の接続強度が更に向上される利点もある。

更に、上述の実施形態において、発熱素子３、回路導体５，６をＳｉＯＮ、ＳｉＮ等から成る保護膜で被覆したり、ドライバーＩＣをエポキシ樹脂等からなる封止材で被覆したりするようにしても良いことは勿論である。

本発明をサーマルヘッドに適用した場合の一実施形態に係る平面図である。 図１のサーマルヘッドの断面図である。 図１のサーマルヘッドに使用されるヘッド基板の電極パッドの配列を示す平面図である。

１・・・ヘッド基板
２・・・ベースプレート
３・・・発熱素子
４・・・ドライバーＩＣ
５，６・・・回路導体
５ａ・・・電極パッド
６ａ，６ｂ・・・接続パッド
７，８，９・・・導電材
１１・・・フレキシブル配線板
１２・・・配線導体
１２ａ・・・配線パッド
１４ａ・・・ベースフィル
１４ｂ・・・カバーフィルム

Claims (4)

1. 所定の方向に配列されている複数の記録素子と、該記録素子の駆動を制御するドライバーＩＣと、該ドライバーＩＣの出力端子に電気的に接続されており、前記複数の記録素子に対応するように設けられている複数の電極パッドとを備えており、
   前記ドライバーＩＣに供給される印画データに基づいて印画を行う記録ヘッドにおいて、
   前記複数の電極パッドの前記複数の記録素子に対する対応順序が一部不規則になっていることを特徴とする記録ヘッド。
2. 前記複数の記録素子及び前記複数の電極パッドを複数のグループに区分するとともに、各グループ内における複数の電極パッドの複数の記録素子に対する対応順序が不規則になっていることを特徴とする請求項１に記載の記録ヘッド。
3. 前記記録素子との対応順序が不規則になっている電極パッドが、前記記録素子に電気的に接続されている電極パッドの全体に対して２５％〜４０％であることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の記録ヘッド。
4. 前記複数の記録素子と、前記複数の電極パッドと、前記ドライバーＩＣとがヘッド基板上に設けられており、該ヘッド基板に外部配線基板が接続されていることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の記録ヘッド。

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