JP4390441B2 - 抗癌剤 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンギオテンシンII拮抗作用(AII拮抗作用)を有する化合物またはその塩、またはプロドラッグを有効成分として含有するホルモン非依存性癌の治療・予防剤、ホルモン非依存性癌細胞増殖抑制剤、癌細胞のアポトーシス誘導剤などに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、ホルモン系薬剤による薬物的去勢が広く癌治療に使用されているが、ホルモン系薬剤に反応しない癌(ホルモン非依存性癌)もあり、またホルモン療法に効果を示すホルモン依存性癌においても、治療を続けていると、ホルモン非依存性癌が増殖することにより、ホルモン非依存性癌へ変化することが知られている(非特許文献1:ラボラトリー・インベスチゲーション(Laboratory Investigation)67, 540, 1992年)。
従って、癌(特に前立腺癌、乳癌など)に対する治療では、ホルモン療法に反応する癌およびホルモン療法に不応の癌など患者個々人の癌疾患のタイプや病期、年齢などに応じて、薬剤を使い分けることが理想的であるが、これまでにホルモン非依存性癌を効果的に治療する方法は知られていなかった。
アポトーシスとは、例えば、細胞縮小、クロマチン凝縮、核濃縮、細胞表面微絨毛消失、大小突起の出現(blebbing)、アポトーシス小体形成、細胞縮小に伴う周辺細胞との間隙、隣接細胞による貪食除去などをいう(非特許文献2:日本臨床,第54巻,第7号(1996))。アポトーシスまたはプログラム細胞死は個体発生、生体の恒常性維持などにおいて重要な役割を演じている。そしてアポトーシスの異常により、癌、自己免疫疾患、神経性疾患などの病気を引き起こすことがしだいに明らかになってきている。
AII拮抗作用を有するベンズイミダゾール誘導体は、高血圧症、心臓病(心肥大、心不全、心筋梗塞など)、脳卒中、腎炎などの循環器系疾患治療剤として知られており(特許文献1:特開平4−364171号など)、強い血管収縮作用を有する AII が AII受容体へ作用するのを阻害することにより、持続的な降圧作用を発現することが知られている。
また、癌細胞の発生、増殖にはアンギオテンシンII受容体(AT1レセプター)が関与していることが報告されている(非特許文献3:FEBS Letters 495(2001)197-200;非特許文献4:British Journal of Cancer, 1997, 75(9),1279-1283;非特許文献5:The Journal of Urology, vol.151, 208-213, 1994;非特許文献6:Cancer Letters 110(1996)19-27)。
しかしながら、AII拮抗作用を有する化合物がホルモン非依存性癌の治療・予防効果、ホルモン非依存性癌細胞増殖抑制効果および癌細胞のアポトーシス誘導効果を示すことを示唆する報告はない。
また、AII拮抗作用を有するベンズイミダゾール誘導体を含有する徐放性製剤については、特許文献2:WO99/44590号公報、特許文献3:WO01/60410号公報に開示がなされているが、該徐放性製剤がホルモン非依存性癌の治療・予防効果、ホルモン非依存性癌細胞増殖抑制効果、癌細胞のアポトーシス誘導効果および血管新生を必要としない癌の治療・予防効果についての記載はない。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−364171号
【特許文献2】
WO99/44590号
【特許文献3】
WO01/60410号
【非特許文献1】
ラボラトリー・インベスチゲーション(Laboratory Investigation)67, 540, 1992年
【非特許文献2】
日本臨床,第54巻,第7号(1996)
【非特許文献3】
FEBS Letters 495(2001)197-200
【非特許文献4】
British Journal of Cancer, 1997, 75(9),1279-1283
【非特許文献5】
The Journal of Urology, vol.151, 208-213, 1994
【非特許文献6】
Cancer Letters 110(1996)19-27
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ホルモン系薬剤による治療に不応の癌患者や、ホルモン系薬剤の使用によりホルモン非依存性癌細胞の増殖が引き起こされ、ホルモン系薬剤の癌治療効果が持続しない癌患者が多く存在する。
ホルモン非依存性癌またはその転移巣、再発(再燃)癌の治療・予防効果などに優れ、かつ副作用が見られない抗癌剤の開発が切望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記したような事情に鑑み、ホルモン非依存性癌、再発(再燃)癌の治療・予防効果を有する薬剤について鋭意研究した結果、アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物またはその塩が、癌細胞膜上のアンギオテンシンII受容体へのアンギオテンシンIIの結合を競合的、または非競合的に阻害し、増殖因子(例えば、EGFなど)などによる細胞内情報を遮断、あるいは、STAT3やMAP kinaseなどの細胞内情報伝達タンパク質の作用を抑制することにより、癌細胞、特にホルモン非依存性癌細胞の増殖を抑制し、かつ、アポトーシスを誘導するので、ホルモン非依存性癌細胞またはその癌転移巣や再発(再燃)癌の治療・予防に極めて有効であることを見出した。
癌の増殖は細胞増殖とアポトーシスのバランスにより決定されている。増殖因子による刺激は、細胞の増殖を促進しアポトーシスを抑制するため、このバランスを増殖側にシフトさせ、癌にとっては非常に重要である。増殖因子によるアポトーシス抑制の受容体のメカニズムは、増殖因子受容体のチロシンキナーゼ活性による細胞内のアポトーシス抵抗因子Aktなどの活性化によるとされている。したがって、増殖因子受容体から発せられる情報を遮断することができれば、細胞の増殖が抑制されるだけでなく、アポトーシス抑制因子の活性を抑制することにより、癌細胞をアポトーシスに導くことが出来る。本発明者らは、これらの知見に基づいて更に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩を含有してなるホルモン非依存性癌の治療・予防剤、
(2)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物が非ペプチド性化合物である前記(1)記載の剤、
(3)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物が分子内に酸素原子を有する化合物である前記(1)記載の剤、
(4)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物が分子内にエーテル結合またはカルボニル基を有する化合物である前記(1)記載の剤、
(5)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物が式(I):
【化2】
Figure 0004390441
(式中、Rは陰イオンを形成しうる基またはそれに変じうる基を示し、Xはフェニレン基とフェニル基が直接または原子鎖2以下のスペーサーを介して結合していることを示し、nは1または2を示し、環Aはさらに置換基を有していてもよいベンゼン環を示し、Rは陰イオンを形成しうる基またはそれに変じうる基を示し、Rはヘテロ原子を介して結合していてもよく、置換基を有していてもよい炭化水素残基を示す)で表される化合物である前記(1)記載の剤、
(6)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物またはその塩がロサルタン、ロサルタンカリウム、エプロサルタン、カンデサルタン シレキセチル、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、オルメサルタン メドキソミルまたはタソサルタンである前記(1)記載の剤、
(7)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物が2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸である前記(1)記載の剤、
(8)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物が1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートである前記(1)記載の剤、
(9)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物が2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸である前記(1)記載の剤、
(10)癌が前立腺癌または乳癌である前記(1)記載の剤、
(11)癌が前立腺癌または乳癌のホルモン非依存性癌転移巣である前記(1)記載の剤、
(12)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩およびLH−RHアゴニストまたはアンタゴニストを組み合わせてなるホルモン非依存性癌の治療・予防剤、
(13)LH−RHアゴニストがリュープロレリンまたはその塩である前記(12)記載の剤、
(14)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩を含有してなるホルモン非依存性癌細胞増殖抑制剤、
(15)癌細胞がアンギオテンシンII受容体発現癌細胞である前記(14)記載の剤、
(16)癌が前立腺癌または乳癌である前記(14)記載の剤、
(17)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩を含有してなる癌細胞のアポトーシス誘導剤、
(18)癌細胞がアンギオテンシンII受容体発現癌細胞である前記(17)記載の剤、
(19)癌が前立腺癌または乳癌である前記(17)記載の剤、
(20)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩を含有してなる、血管新生を必要としない癌の治療・予防剤、
(21)血管新生を必要としない癌が前立腺癌または乳癌の転移癌である前記(20)記載の剤、
(22)癌が骨転移癌である前記(20)記載の剤、
(23)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩を含有してなる、細胞増殖因子による細胞内シグナル伝達抑制剤、
(24)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩を含有してなる、チロシンリン酸化抑制剤、
(25)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とするホルモン非依存性癌の治療・予防方法、
(26)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩およびLH−RHアゴニストまたはアンタゴニストの有効量を組み合わせて哺乳動物に投与することを特徴とするホルモン非依存性癌の治療・予防方法、
(27)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とするホルモン非依存性癌細胞の増殖抑制方法、
(28)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする癌細胞のアポトーシス誘導方法、
(29)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする血管新生を必要としない癌の治療・予防方法、
(30)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、細胞増殖因子による細胞内シグナル伝達抑制方法、
(31)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、チロシンリン酸化抑制方法、
(32)ホルモン非依存性癌の治療・予防剤を製造するためのアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩の使用、
(33)ホルモン非依存性癌の治療・予防剤を製造するためのアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩およびLH−RHアゴニストまたはアンタゴニストの使用、
(34)ホルモン非依存性癌細胞増殖抑制剤を製造するためのアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩の使用、
(35)癌細胞のアポトーシス誘導剤を製造するためのアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩の使用、
(36)血管新生を必要としない癌の治療・予防剤を製造するためのアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩の使用、
(37)細胞増殖因子による細胞内シグナル伝達抑制剤を製造するためのアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩の使用、
(38)チロシンリン酸化抑制剤を製造するためのアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩の使用などに関する。
さらに、
(39)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩を含有してなる再燃癌の予防・治療剤、
(40)再燃癌が前立腺癌または乳癌である前記(39)記載の剤、
(41)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩およびLH−RHアゴニストまたはアンタゴニストを組み合わせてなる再燃癌の治療・予防剤、
(42)LH−RHアゴニストがリュープロレリンまたはその塩である前記(41)記載の剤、
(43)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする再燃癌の予防・治療方法、
(44)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩およびLH−RHアゴニストまたはアンタゴニストの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする再燃癌の予防・治療方法、
(45)再燃癌の予防・治療剤を製造するためのアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩の使用、および
(46)再燃癌の予防・治療剤を製造するためのアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩およびLH−RHアゴニストまたはアンタゴニストの使用などに関する。
【0006】
ホルモン依存性癌としては、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、乳癌等の癌細胞表面にホルモンの受容体を有し、腫瘍の発生および増殖にホルモンが関与している癌を意味する。ホルモン受容体が陽性と診断された癌患者にはホルモン系薬剤の投与によるホルモン療法がしばしば適用される。
一方、ホルモン非依存性癌とは、ホルモン系薬剤に反応しない癌(例えば、前立腺癌、卵巣癌、子宮頚癌、乳癌等であってホルモン系薬剤に反応しない癌)、および上記のホルモン依存性癌においても、ホルモン療法を長期間継続した結果、ホルモン系薬剤に反応しなくなった癌(例、リュープリンなどのLH−RHアゴニスト耐性癌、抗アンドロゲン剤耐性癌など)のことをいい、上記ホルモン依存性癌の再燃・再発癌であってホルモン系薬剤に反応しなくなった癌や、前立腺癌や乳癌などのホルモン非依存性癌転移巣(例えば前立腺癌や乳癌などに由来するリンパ節転移、骨髄転移や骨盤、骨、腰椎、胸椎などの骨転移巣など)を含む。
用語「ホルモン依存性癌」および「ホルモン非依存性癌」中の「癌」とは、個々の癌細胞のみならず、癌組織全体をも意味するが、本発明においては、「ホルモン非依存性癌」にはホルモン依存性からホルモン非依存性への移行期あるいはホルモン非依存性癌細胞の増殖期における癌組織や癌転移巣も含む。
さらに、ホルモン非依存性癌は、血管新生を伴いこれを必要とする癌のみならず、血管新生を必要としない癌(例、骨髄転移癌などの造血器転移腫瘍)も含む。
【0007】
本発明におけるアンギオテンシンII拮抗作用とは、細胞膜上のアンギオテンシンII受容体へのアンギオテンシンIIの結合を競合的、または非競合的に阻害する。
かかるアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物は、アンギオテンシンIIにより誘導される強い血管収縮作用や血管平滑筋増殖作用を減弱し、高血圧の症状を緩和させる作用を有していることが知られている。
本発明で用いられるアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物はペプチド性でも非ペプチド性でもよいが、例えば作用時間が長い利点がある、非ペプチド性の拮抗作用を有する化合物などが好ましい。アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物としては、分子内に酸素原子を有する化合物が好ましく、なかでもエーテル結合またはカルボニル基(該カルボニル基は、共鳴して水酸基を形成していてもよい)を有する化合物などであることが好ましく、エーテル結合を有する化合物またはケトン誘導体などがさらに好ましく、とりわけエーテル誘導体などが好ましい。
非ペプチド性のアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物としては、イミダゾール誘導体が特開昭56−71073号公報、特開昭56−71074号公報、特開昭57−98270号公報、特開昭58−157768号公報、USP4,355,040およびUSP4,340,598等に開示され、またEP−253310、EP−291969、EP−324377、EP−403158、WO−9100277、特開昭63−23868号公報および特開平1−117876号公報等には改良されたイミダゾール誘導体が開示され、また、USP5,183,899、EP−323841、EP−409332および特開平1−287071号公報等にはピロール、ピラゾールおよびトリアゾール誘導体が開示され、また、USP4,880,804、EP−0392317、EP−0399732、EP−0400835、EP−425921、EP−459136および特開平3−63264号公報等にはベンズイミダゾール誘導体が開示され、EP−399731等にはアザインデン誘導体が開示され、EP−407342等にはピリミドン誘導体が開示され、EP−411766等にはキナゾリン誘導体が開示され、EP−430300等にはキサンチン誘導体が開示され、EP−434038等には縮合イミダゾール誘導体が開示され、EP−442473等にはピリミジンジオン誘導体が開示され、EP−443568等にはチエノピリドン誘導体が開示され、さらに、EP−445811、EP−483683、EP−518033、EP−520423、EP−588299、EP−603712等には複素環化合物が開示されている。また、ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry、39巻、3号、625−656頁、1996年)には、これらのうちの代表的な化合物が記載されている。非ペプチド性のアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物としては、前記した公知文献に記載の化合物の他、アンギオテンシンII拮抗作用を有する非ペプチド性化合物であれば、何れを用いてよいが、なかでも、ロサルタン(Losartan (DuP753))、ロサルタンカリウム、エプロサルタン(Eprosartan (SK&F108566))、カンデサルタン シレキセチル(Candesartan cilexetil (TCV−116))、バルサルタン(Valsartan (CGP−48933))、テルミサルタン(Telmisartan (BIBR277))、イルベサルタン(Irbesartan (SR47436))、タソサルタン(Tasosartan (ANA−756))、オルメサルタン メドキソミルおよびこれらの代謝活性物質(カンデサルタン、オルメサルタンなど)等が好ましく用いられる。
【0008】
また、アンギオテンシンII拮抗作用を有する非ペプチド性化合物としては、例えば、
式(I):
【化3】
Figure 0004390441
(式中、Rは陰イオンを形成しうる基またはそれに変じうる基を示し、Xはフェニレン基とフェニル基が直接または原子鎖2以下のスペーサーを介して結合していることを示し、nは1または2の整数を示し、環Aはさらに置換基を有していてもよいベンゼン環を示し、Rは陰イオンを形成しうる基またはそれに変じうる基を示し、Rはヘテロ原子を介して結合していてもよく、置換基を有していてもよい炭化水素残基(好ましくは、置換基を有していてもよく、酸素原子を介して結合する炭化水素残基)を示す)で表されるベンズイミダゾール誘導体またはその塩などが好ましく用いられる。
前記式(I)中、Rとしての陰イオンを形成しうる基(プロトンとして遊離しうる水素原子を有する基)としては、例えば、(1)カルボキシル基、(2)テトラゾリル基、(3)トリフルオロメタンスルホン酸アミド基(−NHSOCF)、(4)リン酸基、(5)スルホン酸基、(6)N,S,Oのうちの1個または2個以上を含む5〜7員(好ましくは5〜6員)の単環状の置換されていてもよい複素環残基などが挙げられる。
【0009】
前記した「N,S,Oのうちの1個または2個以上を含む5〜7員(好ましくは5〜6員)の単環状の置換されていてもよい複素環残基」としては、例えば、
【化4】
Figure 0004390441
【化5】
Figure 0004390441
などが挙げられ、また、Rで表される複素環残基と該複素環残基が結合するフェニル基との結合は、前記式中gが−NH−などを示す場合、前記したような炭素−炭素結合だけでなく、複数個存在する窒素原子の1つを介して結合していてもよい。例えば、R
【化6】
Figure 0004390441
前記式中、gは−CH−,−NH−,−O−または−S(O)m−を示し、>=Z,>=Z’および>=Z’’はそれぞれカルボニル基,チオカルボニル基または酸化されていてもよい硫黄原子(例、S,S(O),S(O)など)(好ましくはカルボニルまたはチオカルボニル基、さらに好ましくはカルボニル基)を示し、mは0,1または2の整数を示す。
【0010】
で表される複素環残基としては、例えば、オキサジアゾロン環、オキサジアゾロチオン環またはチアジアゾロン環のようなプロトンドナーとしての−NH−や−OH基とプロトンアクセプターとしてのカルボニル基、チオカルボニル基またはスルフィニル基などを同時に有する基などが好ましい。また、Rで示される複素環残基は、環状の置換基が結合して縮合環を形成していてもよいが、Rで表される複素環残基としては、5ないし6員環さらに5員環残基が好ましい。
で表される複素環残基としては、式:
【化7】
Figure 0004390441
〔式中、iは−O−または−S−を示し、jは>=O,>=Sまたは>=S(O)mを示し、mは前記と同意義を示す〕で表される基(なかでも、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、2,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル、とりわけ、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)が好ましい。
【0011】
また、前記複素環残基(R)は以下に示すように互変異性体が存在する。例えば、
【化8】
Figure 0004390441
のようなa’,b’およびc’の3つの互変異性体が存在するが式:
【化9】
Figure 0004390441
で示される複素環残基は前記のa’,b’およびc’のすべてを含むものである。
【0012】
としての陰イオンを形成しうる基は、置換可能な位置において、置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル基またはアシル基(例、低級(C2−5)アルカノイル,ベンゾイルなど)などで保護されていてもよい。
置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル基としては、例えば、(1)ハロゲン原子、ニトロ、低級(C1−4)アルキル、低級(C1−4)アルコキシなどを有していてもよいフェニル基1ないし3個で置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル基(例、メチル,トリフェニルメチル,p−メトキシベンジル,p−ニトロベンジルなど)、(2)低級(C1−4)アルコキシ―低級(C1−4)アルキル基(例、メトキシメチル,エトキシメチルなど)、(3)式−CH(R)−OCOR〔式中、Rは(a)水素、(b)炭素数1−6の直鎖もしくは分枝状の低級アルキル基(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルなど)、(c)炭素数2−6の直鎖もしくは分枝状の低級アルケニル基または(d)炭素数3−8のシクロアルキル基(例、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど)を示し、Rは(a)炭素数1−6の直鎖もしくは分枝状の低級アルキル基(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルなど)、(b)炭素数2−6の直鎖もしくは分枝状の低級アルケニル基、(c)炭素数3−8のシクロアルキル基(例、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど)もしくは置換されていてもよいアリール基(例、ハロゲン原子、ニトロ、低級(C1−4)アルキル、低級(C1−4)アルコキシなどを有していてもよいフェニルまたはナフチル基など)で置換された炭素数1−3の低級アルキル基(例、ベンジル、p−クロロベンジル、フェネチル、シクロペンチル メチル、シクロヘキシルメチルなど)、(d)炭素数3−8のシクロアルキルもしくは置換されていてもよいアリール基(例、ハロゲン原子、ニトロ、低級(C1−4)アルキル、低級(C1−4)アルコキシなどを有していてもよいフェニルまたはナフチル基など)で置換された炭素数2−3の低級アルケニル基(例、シンナミル等のビニル、プロペニル、アリル、イソプロペニルなどのアルケニル部を持つものなど)、(e)置換されていてもよいアリール基(例、フェニル、p−トリル、ナフチル等のハロゲン原子、ニトロ、低級(C1−4)アルキル、低級(C1−4)アルコキシなどを有していてもよいフェニルまたはナフチル基など)、(f)炭素数1−6の直鎖もしくは分枝状の低級アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシなど)、(g)炭素数2−8の直鎖もしくは分枝状の低級アルケニロキシ基(例、アリロキシ、イソブテニロキシなど)、(h)炭素数3−8のシクロアルキルオキシ基(例、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシなど)、(i)炭素数3−8のシクロアルキル(例、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど)もしくは置換されていてもよいアリール基(例、ハロゲン原子、ニトロ、低級(C1−4)アルキル、低級(C1−4)アルコキシなどを有していてもよいフェニルまたはナフチル基など)で置換された炭素数1−3の低級アルコキシ基(例、ベンジロキシ、フェネチロキシ、シクロペンチルメトキシ、シクロヘキシルメトキシなどのメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシなどのアルコキシ部を持つものなど)、(j)炭素数3−8のシクロアルキル(例、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど)もしくは置換されていてもよいアリール基(例、ハロゲン原子、ニトロ、低級(C1−4)アルキル、低級(C1−4)アルコキシなどを有していてもよいフェニルまたはナフチル基など)で置換された炭素数2−3の低級アルケニロキシ基(例、シンナミロキシ等のビニロキシ、プロペニロキシ、アリロキシ、イソプロペニロキシなどのアルケニロキシ部を持つものなど)または(k)置換されていてもよいアリールオキシ基(例、フェノキシ、p−ニトロフェノキシ、ナフトキシ等のハロゲン原子、ニトロ、低級(C1−4)アルキル、低級(C1−4)アルコキシなどを有していてもよいフェノキシまたはナフトキシ基など)を示す〕で表される基などが挙げられる。
また、Rとしての陰イオンを形成しうる基は、前記した置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル基またはアシル基(例、低級(C2−5)アルカノイル,ベンゾイルなど)などの保護基以外に、置換可能な位置において、置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル基(前記したRとしての陰イオンを形成しうる基の保護基として例示された「置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル基」と同様なものが挙げられる)、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ、低級(C1−4)アルコキシ、1ないし2個の低級(C1−4)アルキルで置換されていてもよいアミノなどの置換基を有していてもよい。
【0013】
前記式中、Rとしての陰イオンを形成しうる基(プロトンとして遊離しうる水素原子を有する基)に変じうる基は、生物学的すなわち生理的条件下(例えば、生体内酵素などによる酸化、還元あるいは加水分解などの生体内反応など)で陰イオンを形成しうる基に変じうる基(いわゆるプロドラッグ)であってもよく、また、シアノ、N−ヒドロキシカルバムイミドイル基(−C(=N−OH)−NH2)、あるいは置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル基またはアシル基でそれぞれ保護された(1)カルボキシル基、(2)テトラゾリル基、(3)トリフルオロメタンスルホン酸アミド基(−NHSOCF)、(4)リン酸基、(5)スルホン酸基、(6)N,S,Oのうちの1個または2個以上を含む5〜7員(好ましくは5〜6員)の単環状の置換されていてもよい複素環残基のように、化学的な反応により、Rで表される陰イオンを形成しうる基に変じうる基(いわゆる合成中間体)であってもよい。
【0014】
としては、置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル(例、メチル,トリフェニルメチル,メトキシメチル,エトキシメチル,p−メトキシベンジル,p−ニトロベンジルなど)もしくはアシル基(例、低級(C2−5)アルカノイル,ベンゾイルなど)で保護されていてもよいカルボキシル、テトラゾリルあるいは2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル(好ましくは、テトラゾリル)またはシアノ、N−ヒドロキシカルバムイミドイル(好ましくはシアノ)が好ましく、とりわけシアノが好ましく用いられる。
【0015】
前記式中、Xは隣接するフェニレン基とフェニル基が直接または原子鎖2以下のスペーサーを介して結合していること(好ましくは直接結合)を示し、原子鎖2以下のスペーサーとしては、直鎖部分を構成する原子数が1または2である2価の鎖であればいずれでもよく、側鎖を有していてもよい。具体的には直鎖部分を構成する原子数が1または2である低級(C1−4)アルキレン、−CO−,−O−,−S−,−NH−,−CO−NH−,−O−CH−,−S−CH−,−CH=CH−などが挙げられる。
前記式中、nは1または2(好ましくは1)の整数を示す。
【0016】
前記式中、環Aは置換基R以外にさらに置換基を有していてもよいベンゼン環を示し、該置換基としては、例えば、(1)ハロゲン(例、F,Cl,Brなど),(2)シアノ,(3)ニトロ,(4)置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル,(5)低級(C1−4)アルコキシ,(6)置換されていてもよいアミノ基(例、アミノ,N−低級(C1−4)アルキルアミノ(例,メチルアミノなど),N,N−ジ低級(C1−4)アルキルアミノ(例,ジメチルアミノなど),N−アリールアミノ(例、フェニルアミノなど)、脂環式アミノ(例、モルホリノ、ピベリジノ、ピペラジノ、N−フェニルピペラジノなど)など)、(7)式−CO−D′〔式中、D′は水酸基またはアルキル部分が水酸基,低級(C1−4)アルコキシ,低級(C2−6)アルカノイルオキシ(例、アセトキシ,ピバロイルオキシなど)、低級(C1−6)アルコキシカルボニルオキシ(例、メトキシカルボニルオキシ,エトキシカルボニルオキシなど)あるいは低級(C3−6)シクロアルコキシカルボニルオキシ(例、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシなど)で置換されていてもよい低級(C1−4)アルコキシを示す〕で表わされる基,または(8)置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル(前記したRとしての陰イオンを形成しうる基の保護基として例示された「置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル基」と同様なものが挙げられる)もしくはアシル(例、低級(C2−5)アルカノイル、ベンゾイルなど)で保護されていてもよいテトラゾリル、トリフルオロメタンスルホン酸アミド基、リン酸基あるいはスルホン酸基などが挙げられる。
これらの置換基は、ベンゼン環上の置換可能な位置に1〜2個同時に置換されていてもよいが、置換基R以外に環Aがさらに有する置換基としては、置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル(例、水酸基、カルボキシル基,ハロゲンなどで置換されていてもよい低級(C1−4)アルキルなど),ハロゲンなどが好ましく、置換基R以外に環Aが置換基を有さないことがより好ましい。
【0017】
前記式中、Rとしての陰イオンを形成しうる基(プロトンとして遊離しうる水素原子を有する基)としては、例えば、(1)エステル化またはアミド化されていてもよいカルボキシル基、(2)テトラゾリル基、(3)トリフルオロメタンスルホン酸アミド基(−NHSOCF)、(4)リン酸基、(5)スルホン酸基などが挙げられ、これらの基は置換されていてもよい低級アルキル基(前記したRとしての陰イオンを形成しうる基の保護基として例示された「置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル基」と同様なものが挙げられる)もしくはアシル基(例、低級(C2−5)アルカノイル、ベンゾイルなど)で保護されていてもよく、生物学的すなわち生理的条件下(例えば、生体内酵素などによる酸化、還元あるいは加水分解などの生体内反応など)で、または化学的に陰イオンを形成しうる基またはそれに変じうる基であればいずれでもよい。
【0018】
としてのエステル化またはアミド化されていてもよいカルボキシルとしては、例えば式−CO−D〔式中、Dは(1)水酸基、(2)置換されていてもよいアミノ(例えば、アミノ、N−低級(C1−4)アルキルアミノ、N,N−ジ低級(C1−4)アルキルアミノなど)または(3)置換されていてもよいアルコキシ{例、(i)アルキル部分が水酸基,置換されていてもよいアミノ(例、アミノ、N−低級(C1−4)アルキルアミノ、N,N−ジ低級(C1−4)アルキルアミノ、ピペリジノ、モルホリノなど),ハロゲン,低級(C1−6)アルコキシ、低級(C1−6)アルキルチオ、低級(C3−8)シクロアルコキシあるいは置換されていてもよいジオキソレニル(例、5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イルなど)で置換されていてもよい低級(C1−6)アルコキシ基、または(ii)式−O−CH(R)−OCOR〔式中、Rは(a)水素、(b)炭素数1−6の直鎖もしくは分枝状の低級アルキル基(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルなど)、(c)炭素数2−6の直鎖もしくは分枝状の低級アルケニル基または(d)炭素数3−8のシクロアルキル基(例、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど)を示し、Rは(a)炭素数1−6の直鎖もしくは分枝状の低級アルキル基(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルなど)、(b)炭素数2−6の直鎖もしくは分枝状の低級アルケニル基、(c)炭素数3−8のシクロアルキル基(例、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど)もしくは置換されていてもよいアリール基(例、ハロゲン原子、ニトロ、低級(C1−4)アルキル、低級(C1−4)アルコキシなどを有していてもよいフェニルまたはナフチル基など)で置換された炭素数1−3の低級アルキル基(例、ベンジル、p−クロロベンジル、フェネチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルなど)、(d)炭素数3−8のシクロアルキルもしくは置換されていてもよいアリール基(例、ハロゲン原子、ニトロ、低級(C1−4)アルキル、低級(C1−4)アルコキシなどを有していてもよいフェニルまたはナフチル基など)で置換された炭素数2−3の低級アルケニル基(例、シンナミル等のビニル、プロペニル、アリル、イソプロペニルなどのアルケニル部を持つものなど)、(e)置換されていてもよいアリール基(例、フェニル、p−トリル、ナフチル等のハロゲン原子、ニトロ、低級(C1−4)アルキル、低級(C1−4)アルコキシなどを有していてもよいフェニルまたはナフチル基など)、(f)炭素数1−6の直鎖もしくは分枝状の低級アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシなど)、(g)炭素数2−8の直鎖もしくは分枝状の低級アルケニロキシ基(例、アリロキシ、イソブテニロキシなど)、(h)炭素数3−8のシクロアルキルオキシ基(例、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシなど)、(i)炭素数3−8のシクロアルキル(例、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど)もしくは置換されていてもよいアリール基(例、ハロゲン原子、ニトロ、低級(C1−4)アルキル、低級(C1−4)アルコキシなどを有していてもよいフェニルまたはナフチル基など)で置換された炭素数1−3の低級アルコキシ基(例、ベンジロキシ、フェネチロキシ、シクロペンチルメトキシ、シクロヘキシルメトキシなどのメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシなどのアルコキシ部を持つものなど)、(j)炭素数3−8のシクロアルキル(例、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど)もしくは置換されていてもよいアリール基(例、ハロゲン原子、ニトロ、低級(C1−4)アルキル、低級(C1−4)アルコキシなどを有していてもよいフェニルまたはナフチル基など)で置換された炭素数2−3の低級アルケニロキシ基(例、シンナミロキシ等のビニロキシ、プロペニロキシ、アリロキシ、イソプロペニロキシなどのアルケニロキシ部を持つものなど)または(k)置換されていてもよいアリールオキシ基(例、フェノキシ、p−ニトロフェノキシ、ナフトキシ等のハロゲン原子、ニトロ、低級(C1−4)アルキル、低級(C1−4)アルコキシなどを有していてもよいフェノキシまたはナフトキシ基など)を示す〕で表される基など}を示す〕で表される基などが挙げられる。
【0019】
としては、エステル化されていてもよいカルボキシルが好ましく、その具体例としては、例えば、−COOH及びその塩、−COOMe、−COOEt、−COOtBu、−COOPr、ピバロイルオキシメトキシカルボニル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エトキシカルボニル、5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イルメトキシカルボニル、アセトキシメトキシカルボニル、プロピオニロキシメトキシカルボニル、n−ブチリロキシメトキシカルボニル、イソブチリロキシメトキシカルボニル、1−(エトキシカルボニロキシ)エトキシカルボニル、1−(アセトキシ)エトキシカルボニル、1−(イソブチリロキシ)エトキシカルボニル、シクロヘキシルカルボニルオキシメトキシカルボニル、ベンゾイルオキシメトキシカルボニル、シンナミロキシカルボニル、シクロペンチルカルボニロキシメトキシカルボニルなどが挙げられ、生物学的すなわち生理的条件下(例えば、生体内酵素による酸化・還元あるいは加水分解などの生体内反応など)で、または化学的に陰イオン(例、COO、その誘導体など)を形成しうる基またはそれに変じうる基であればいずれであってもよく、カルボキシル基、またはそのプロドラッグ体であってもよい。
【0020】
前記Rとしては、式−CO−D〔式中、Dは(1)水酸基または(2)アルキル部分が水酸基、アミノ、ハロゲン、低級(C2−6)アルカノイルオキシ(例、アセトオキシ,ピバロイルオキシなど)、低級(C3−8)シクロアルカノイルオキシ、低級(C1−6)アルコキシカルボニルオキシ(例、メトキシカルボニルオキシ,エトキシカルボニルオキシなど)、低級(C3−8)シクロアルコキシカルボニロキシ(例、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシなど)、低級(C1−4)アルコキシまたは低級(C3−8)シクロアルコキシで置換されていてもよい低級(C1−4)アルコキシを示す〕で表わされる基が好ましく、なかでも低級(C1−4)アルキル(好ましくは、メチルまたはエチル)でエステル化されたカルボキシルが好ましい。
【0021】
前記式中、Rで表される「ヘテロ原子を介して結合していてもよく、置換基を有して炭化水素残基」における「炭化水素残基」としては、例えば、(1)アルキル基、(2)アルケニル基、(3)アルキニル基、(4)シクロアルキル基、(5)アリール基、(6)アラルキル基などが挙げられるが、なかでもアルキル基、アルケニル基およびシクロアルキル基が好ましい。
前記(1)のアルキル基としては、炭素数1〜8程度の低級アルキル基で直鎖状、分枝状のいずれでもよく、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、i−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどが挙げられる。
前記(2)のアルケニル基としては、炭素数2〜8程度の低級アルケニル基で直鎖状、分枝状のいずれでもよく、例えばビニル、プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、2−オクテニルなどが挙げられる。
前記(3)のアルキニル基としては、炭素数2〜8程度の低級アルキニル基で直鎖状、分枝状のいずれでもよく、例えばエチニル、2−プロピニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、2−オクチニルなどが挙げられる。
前記(4)のシクロアルキル基としては、炭素数3〜6程度の低級シクロアルキルが挙げられ、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
前記したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキル基は水酸基、置換されていてもよいアミノ基(例、アミノ、N−低級(C1−4)アルキルアミノ,N,N−ジ低級(C1−4)アルキルアミノなど)、ハロゲン、低級(C1−4)アルコキシ基,低級(C1−4)アルキルチオ基などで置換されていてもよい。
前記(5)のアラルキル基としては、例えばベンジル、フェネチルなどのフェニル−低級(C1−4)アルキルなどが挙げられ、前記(6)のアリール基としては、例えばフェニルなどが挙げられる。
【0022】
前記したアラルキル基またはアリール基は、そのベンゼン環上の任意の位置に、例えばハロゲン(例、F,Cl,Brなど)、ニトロ、置換されていてもよいアミノ基(例、アミノ,N−低級(C1−4)アルキルアミノ,N,N−ジ低級(C1−4)アルキルアミノなど)、低級(C1−4)アルコキシ(例、メトキシ、エトキシなど)、低級(C1−4)アルキルチオ(例、メチルチオ,エチルチオなど)、低級(C1−4)アルキル(例、メチル、エチルなど)などを有していてもよい。
前記したなかでも、Rで表される「ヘテロ原子を介して結合していてもよく、置換基を有して炭化水素残基」における「炭化水素残基」としては、置換されていてもよいアルキルまたはアルケニル基(例、水酸基、アミノ基、ハロゲンまたは低級(C1−4)アルコキシ基で置換されていてもよい低級(C1−5)アルキルまたは低級(C2−5)アルケニル基など)が好ましく、とりわけ、低級(C1−5)アルキル(より好ましくは、エチル)が好ましい。
で表される「ヘテロ原子を介して結合していてもよく、置換基を有して炭化水素残基」における「ヘテロ原子」としては、−O−、−S(O)m−[mは0ないし2の整数を示す]、−NR’−[R’は水素原子または低級(C1−4)アルキルを示す]などが挙げられ、なかでも−O−が好ましく用いられる。
前記したなかでも、Rとしては、−O−、−S(O)m−[mは0ないし2の整数を示す]または−NR’−[R’は水素原子または低級(C1−4)アルキルを示す]を介して結合していてもよく、水酸基、アミノ基、ハロゲンおよび低級(C1−4)アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい低級(C1−5)アルキルまたは低級(C2−5)アルケニル基などが好ましく、とりわけ、低級(C1−5)アルキルまたは低級(C1−5)アルコキシ(より好ましくは、エトキシ)が好ましい。
【0023】
式(I)で表されるアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物のなかでも、式(I'):
【化10】
Figure 0004390441
(式中、Rは(1)カルボキシル基、(2)テトラゾリル基または(3)式:
【化11】
Figure 0004390441
〔式中、iは−O−または−S−を示し、jは>=O,>=Sまたは>=S(O)mを示し、mは前記と同意義を示す〕で表される基を示し、環Aは置換基R以外に置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル(例、水酸基、カルボキシル基,ハロゲンなどで置換されていてもよい低級(C1−4)アルキルなど)またはハロゲンで置換されていてもよいベンゼン環(好ましくは、置換基R以外に置換基を有さないベンゼン環)を示し、Rは式−CO−D〔式中、Dは(1)水酸基または(2)アルキル部分が水酸基、アミノ、ハロゲン、低級(C2−6)アルカノイルオキシ(例、アセトオキシ,ピバロイルオキシなど)、低級(C3−8)シクロアルカノイルオキシ、低級(C1−6)アルコキシカルボニルオキシ(例、メトキシカルボニルオキシ,エトキシカルボニルオキシなど)、低級(C3−8)シクロアルコキシカルボニロキシ(例、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシなど)、低級(C1−4)アルコキシまたは低級(C3−8)シクロアルコキシで置換されていてもよい低級(C1−4)アルコキシを示す〕で表わされる基を示し、
は−O−、−S(O)−[mは0ないし2の整数を示す]または−NR’−[R’は水素原子または低級(C1−4)アルキルを示す]を介して結合していてもよく、水酸基、アミノ基、ハロゲンおよび低級(C1−4)アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい低級(C1−5)アルキルまたは低級(C2−5)アルケニル基(好ましくは、低級(C1−5)アルキルまたは低級(C1−5)アルコキシ;より好ましくは、エトキシ)を示す。〕で表されるベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体またはその薬理学的に許容されうる塩などが好ましく、とりわけ、2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸〔Candesartan〕、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラート〔Candesartan cilexetil〕、ピバロイルオキシメチル 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラート、2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸またはその塩などが好ましい。
前記したベンズイミダゾール誘導体は、例えば、EP−425921、EP−459136、EP−553879、EP−578125、EP−520423、EP−668272などに記載の公知の方法又はそれに準じた方法などにより合成することが可能である。また、Candesartan cilexetil を用いる場合には、EP−459136に記載された安定なC型結晶を用いるのがよい。
【0024】
本発明で用いられるアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物またはそのプロドラッグはそれ自身であっても、薬理学的に許容される塩であってもよい。このような塩としては、該アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物がカルボキシル基等の酸性基を有する場合、無機塩基(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、鉄、銅等の遷移金属等)や有機塩基(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどの有機アミン類、アルギニン、リジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸類等)などとの塩が挙げられる。
アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物がアミノ基等の塩基性基を有する場合、無機酸や有機酸(例、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、炭酸、重炭酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)、アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸等との塩が挙げられる。
【0025】
本発明で用いられるアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物[以下、AII拮抗化合物と称することがある。]のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応によりAII拮抗化合物に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こしてAII拮抗化合物に変化する化合物、胃酸等により加水分解などを起こしてAII拮抗化合物に変化する化合物をいう。AII拮抗化合物のプロドラッグとしては、AII拮抗化合物のアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例、AII拮抗化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物など);AII拮抗化合物の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例、AII拮抗化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など);AII拮抗化合物のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例、AII拮抗化合物)のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など);等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によってAII拮抗化合物から製造することができる。
また、AII拮抗化合物のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件でAII拮抗化合物に変化するものであってもよい。
また、AII拮抗化合物は水和物および非水和物のいずれであってもよい。
【0026】
アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはそれらの薬学的に許容される塩は、細胞増殖因子(例、EGFなど)や細胞増殖の情報伝達において中心的な役割を果している、MAPキナーゼSTAT3などによる細胞内シグナル伝達を抑制し、さらに、細胞内タンパク質のチロシンリン酸化を抑制することができる。したがって、アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはそれらの薬学的に許容される塩は、毒性も低く、そのまま、あるいは薬学的に許容される担体と混合して医薬組成物とすることにより、哺乳動物(例、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して、ホルモン非依存性癌の治療・予防剤、ホルモン非依存性癌細胞増殖抑制剤、癌細胞のアポトーシス誘導剤、さらに、血管新生を伴いこれを必要とする癌のみならず、血管新生を必要としない癌(例、骨髄転移癌などの造血器転移腫瘍)の治療・予防剤または再発・再燃癌(特に、ホルモン系薬剤に反応しなくなったホルモン依存性癌の再発・再燃癌など)の治療・予防剤などの抗癌剤として用いることができる。
ここにおいて、薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、例えばα化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、生理的食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、ブドウ糖などが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。
【0027】
防腐剤の好適な例としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられる。
着色剤の好適な例としては、例えば水溶性食用タール色素(例、食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号などの食用色素)、水不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩など)、天然色素(例、β−カロチン、クロロフィル、ベンガラなど)などが挙げられる。
甘味剤の好適な例としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどが挙げられる。
【0028】
医薬組成物の剤形としては、例えば錠剤、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、散剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などの経口剤;および注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、硝子体内注射剤など)、点滴剤、外用剤(例、経鼻投与製剤、経皮製剤、軟膏剤など)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤など)、ペレット、点滴剤、徐放性製剤等の非経口剤が挙げられ、これらはそれぞれ経口的あるいは非経口的に安全に投与できる。
医薬組成物は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。以下に、製剤の具体的な製造法について詳述する。
【0029】
例えば、経口剤は、有効成分に、例えば賦形剤(例、乳糖,白糖,デンプン,D−マンニトールなど)、崩壊剤(例、カルボキシメチルセルロースカルシウムなど)、結合剤(例、α化デンプン,アラビアゴム,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ポリビニルピロリドンなど)または滑沢剤(例、タルク,ステアリン酸マグネシウム,ポリエチレングリコール6000など)などを添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性を目的として、コーティング基剤を用いて自体公知の方法でコーティングすることにより製造される。
該コーティング基剤としては、例えば糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げられる。
糖衣基剤としては、白糖が用いられ、さらに、タルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナバロウなどから選ばれる1種または2種以上を併用してもよい。
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系高分子;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE〔オイドラギットE(商品名)、ロームファルマ社〕、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子;プルランなどの多糖類などが挙げられる。
【0030】
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース アセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース系高分子;メタアクリル酸コポリマーL〔オイドラギットL(商品名)、ロームファルマ社〕、メタアクリル酸コポリマーLD〔オイドラギットL−30D55(商品名)、ロームファルマ社〕、メタアクリル酸コポリマーS〔オイドラギットS(商品名)、ロームファルマ社〕などのアクリル酸系高分子;セラックなどの天然物などが挙げられる。
徐放性フィルムコーティング基剤としては、例えばエチルセルロースなどのセルロース系高分子;アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS〔オイドラギットRS(商品名)、ロームファルマ社〕、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル共重合体懸濁液〔オイドラギットNE(商品名)、ロームファルマ社〕などのアクリル酸系高分子などが挙げられる。
上記したコーティング基剤は、その2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、コーティングの際に、例えば酸化チタン、三二酸化鉄等のような遮光剤を用いてもよい。
【0031】
注射剤は、有効成分を分散剤(例、ポリソルベート80,ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60など),ポリエチレングリコール,カルボキシメチルセルロース,アルギン酸ナトリウムなど)、保存剤(例、メチルパラベン,プロピルパラベン,ベンジルアルコール,クロロブタノール,フェノールなど)、等張化剤(例、塩化ナトリウム,グリセリン,D−マンニトール,D−ソルビトール,ブドウ糖など)などと共に水性溶剤(例、蒸留水,生理的食塩水,リンゲル液等)あるいは油性溶剤(例、オリーブ油,ゴマ油,綿実油,トウモロコシ油などの植物油、プロピレングリコール等)などに溶解、懸濁あるいは乳化することにより製造される。この際、所望により溶解補助剤(例、サリチル酸ナトリウム,酢酸ナトリウム等)、安定剤(例、ヒト血清アルブミン等)、無痛化剤(例、ベンジルアルコール等)等の添加物を用いてもよい。
さらに、アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはそれらの薬学的に許容される塩は、生体内分解性ポリマーとともに徐放性製剤としてホルモン非依存性癌の治療・予防剤、ホルモン非依存性癌細胞増殖抑制剤、癌細胞のアポトーシス誘導剤、さらに、血管新生を伴いこれを必要とする癌のみならず、血管新生を必要としない癌(例、骨髄転移癌などの造血器転移腫瘍)の治療・予防剤や再発・再燃癌の治療・予防剤などの抗癌剤に適用してもよく、かかる徐放性製剤は自体公知の製造法に従って製造することができる。
【0032】
かかる徐放性製剤としては例えば、
〔1〕式(I)で表される化合物またはその塩、および生体内分解性ポリマーを含有してなる徐放性製剤、
〔2〕生体内分解性ポリマーがα−ヒドロキシカルボン酸重合体である〔1〕記載の徐放性製剤、
〔3〕α−ヒドロキシカルボン酸重合体が乳酸−グリコール酸重合体である〔1〕記載の徐放性製剤、
〔4〕乳酸とグリコール酸の組成モル比が100/0〜40/60である〔3〕記載の徐放性製剤、
〔5〕重合体の重量平均分子量が3,000〜50,000である〔2〕記載の徐放性製剤、
〔6〕注射用である〔1〕記載の徐放性製剤、
〔7〕多価金属を含有してなる〔1〕記載の徐放性製剤、
〔8〕多価金属が亜鉛である〔7〕記載の徐放性製剤、または
〔9〕式(I)で表される化合物またはその塩、生体内分解性ポリマーおよび多価金属を含有してなる徐放性製剤が挙げられる。
かかる徐放性製剤はWO99/44590号公報に記載の方法に準じて製造、使用される。
【0033】
さらに別の態様の徐放性製剤としては
〔1〕式(I)で表される化合物またはその塩、水に難溶性の多価金属化合物を水処理して得られる成分および生体内分解性ポリマーを含有してなる徐放性製剤、
〔2〕生体内分解性ポリマーがα−ヒドロキシカルボン酸重合体である〔1〕記載の徐放性製剤、
〔3〕α−ヒドロキシカルボン酸重合体が乳酸−グリコール酸重合体である〔2〕記載の徐放性製剤、
〔4〕乳酸とグリコール酸の組成モル比が100/0〜40/60である〔3〕記載の徐放性製剤、
〔5〕重合体の重量平均分子量が3,000〜50,000である〔2〕記載の徐放性製剤、
〔6〕注射用である〔1〕記載の徐放性製剤、
〔7〕多価金属が亜鉛である〔1〕記載の徐放性製剤、
〔8〕多価金属化合物が酸化亜鉛である〔1〕記載の徐放性製剤、
〔9〕さらに多価金属を含有してなる〔1〕記載の徐放性製剤、または
〔10〕多価金属が亜鉛である〔9〕記載の徐放性製剤が挙げられる。
かかる徐放性製剤はWO 01/60410号公報に記載の方法に準じて製造、使用される。
【0034】
アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはそれらの薬学的に許容される塩の投与量は、投与対象、投与ルート、疾患の症状などによっても異なるが、例えば哺乳動物、特に成人(体重50kg)に経口投与する場合、有効成分であるアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはそれらの薬学的に許容される塩を通常1回量として約0.001〜500mg、好ましくは0.1〜100mgであり、この量を1日1回〜3回投与するのが望ましい。
本発明の徐放性製剤は、そのまま、またはこれらを原料物質として種々の剤形に製剤化し、筋肉内、皮下、臓器などへの注射剤または埋め込み剤、鼻腔、直腸、子宮などへの経粘膜剤、経口剤(例、カプセル剤(例、硬カプセル剤、軟カプセル剤等)、顆粒剤、散剤等の固形製剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の液剤等)などとして投与することができる。また、針なし注射器によっても投与することができる。
例えば、本発明の徐放性製剤を注射剤とするには、これらを分散剤(例、ツイーン(Tween)80,HCO-60等の界面活性剤、ヒアルロン酸ナトリウム,カルボキシメチルセルロース,アルギン酸ナトリウム等の多糖類など)、保存剤(例、メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、等張化剤(例、塩化ナトリウム,マンニトール,ソルビトール,ブドウ糖,プロリンなど)等と共に水性懸濁剤とするか、ゴマ油、コーン油などの植物油と共に分散して油性懸濁剤として実際に使用できる徐放性注射剤とすることができる。
本発明の徐放性製剤の粒子径は、懸濁注射剤として使用する場合には、その分散度、通針性を満足する範囲であればよく、例えば、平均粒子径として約0.1〜300μm、好ましくは約0.5〜150μmの範囲、さらに好ましくは約1から100μmの範囲である。
本発明の徐放性製剤を無菌製剤にするには、製造全工程を無菌にする方法、ガンマ線で滅菌する方法、防腐剤を添加する方法等が挙げられるが、特に限定されない。
本発明の徐放性製剤は、低毒性であるので、哺乳動物(例、ヒト、牛、豚、犬、ネコ、マウス、ラット、ウサギ等)に対して安全な医薬などとして用いることができる。
本発明の徐放性製剤の投与量は、主薬であるAII拮抗作用を有する化合物の種類と含量、剤形、AII拮抗作用を有する化合物の放出の持続時間、疾病の症状、対象動物などによって種々異なるが、AII拮抗作用を有する化合物の有効量であればよい。主薬であるAII拮抗作用を有する化合物の1回当たりの投与量としては、例えば、徐放性製剤が1か月製剤である場合、好ましくは、成人1人当たり約0.01mg〜10mg/kg体重の範囲,さらに好ましくは約0.05mg〜5mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。
1回当たりの徐放性製剤の投与量は、成人1人当たり好ましくは、約0.05mg〜50mg/kg体重の範囲、さらに好ましくは約0.1mg〜30mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。
投与回数は、数週間に1回、1か月に1回、または数か月(例、3か月、4か月、6か月など)に1回等、主薬であるAII拮抗作用を有する化合物の種類と含量、剤形、AII拮抗作用を有する化合物の放出の持続時間、疾病の症状、対象動物などによって適宜選ぶことができる。
本発明の徐放性製剤は、ホルモン非依存性癌の治療・予防剤、ホルモン非依存性癌細胞増殖抑制剤、癌細胞のアポトーシス誘導剤、さらに、血管新生を伴いこれを必要とする癌のみならず、血管新生を必要としない癌の治療・予防剤や再発・再燃癌の治療・予防剤などの抗癌剤として有利に使用することが可能であり、一定の血液中濃度を昼夜問わず、維持することが可能なため、経口剤で投与する場合に比較して、投与量・回数の低減が可能であり、しかも、血中薬物濃度の変動が少ないことから安定した薬効が期待できる。また、服用の中断などによる病状の変化が起きないため、治療効果がより明確になることも期待される。
【0035】
本発明のホルモン非依存性癌の治療・予防剤、ホルモン非依存性癌細胞増殖抑制剤、癌細胞のアポトーシス誘導剤、さらに、血管新生を伴いこれを必要とする癌のみならず、血管新生を必要としない癌の治療・予防剤や再発・再燃癌の治療・予防剤(以下、本発明の剤と略称する場合がある)は、ホルモン系薬剤によるホルモン療法と併せて治療に用いられてよい。
すなわち、本発明は、アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩およびホルモン系薬剤を組み合わせてなるホルモン非依存性癌の治療・予防剤や再発・再燃癌の治療・予防剤等を含む。
アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩およびホルモン系薬剤を組み合わせて用いる場合、各薬物を別々にあるいは同時に、薬理学的に許容されうる担体などと混合して製剤化し、医薬組成物として経口的にまたは非経口的に投与することができる。薬物を別々に製剤化した場合、別々に製剤化したものを使用時に希釈剤などを用いて混合して投与することができるが、別々に製剤化した個々の製剤を、同時に、あるいは時間差をおいて別々に、同一対象に投与してもよい。
ホルモン系薬剤としては、薬理学的に有用なホルモン系薬剤であれば特に限定を受けないが、例えば、分子量約300〜約40,000、好ましくは約400〜約30,000、さらに好ましくは約500〜約20,000のホルモン系薬剤などが好適である。
具体的には、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)、エストロゲン製剤、エストロゲン拮抗製剤(タモキシフェンなど)、アンドロゲン製剤、アンドロゲン拮抗製剤(フルタミド、ビカルタミド、シプロテロン酢酸塩(Cyproterone acetate))、アロマターゼ阻害薬、5α−リダクターゼ阻害薬、リアーゼ阻害薬、インスリン、ソマトスタチン、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン(GH−RH)、男性ホルモン低下剤、女性ホルモン低下剤、プロラクチン、エリスロポイエチン、副腎皮質ホルモン、メラノサイト刺激ホルモン、甲状腺ホルモン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、黄体ホルモン、卵胞刺激ホルモン、バソプレシン、オキシトシン、カルシトニン、ガストリン、セクレチン、パンクレオザイミン、コレシストキニン、アンジオテンシン、ヒト胎盤ラクトーゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、エンケファリン、エンドルフィン、キョウトルフィン、タフトシン、サイモポイエチン、サイモシン、サイモチムリン、胸腺液性因子、血中胸腺因子、腫瘍壊死因子、コロニー誘導因子、モチリン、デイノルフィン、ボンベシン、ニューロテンシン、セルレイン、ブラジキニン、心房性ナトリウム***増加因子、神経成長因子、神経栄養因子、エンドセリン拮抗作用を有するペプチド類など、およびこれらの誘導体(例、アゴニスト、アンタゴニストなど)、さらにはこれらのフラグメントまたはフラグメントの誘導体などがあげられる。
該ホルモン系薬剤は薬理学的に許容される塩であってもよい。このような塩としては、該ホルモン系薬剤がアミノ基等の塩基性基を有する場合、無機酸(例、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸等)、有機酸(例、炭酸、重炭酸、コハク酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等)などとの塩があげられる。
該ホルモン系薬剤がカルボキシル基等の酸性基を有する場合、無機塩基(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属など)や有機塩基(例、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類等)などとの塩があげられる。また、該ホルモン系薬剤は金属錯体化合物(例、銅錯体、亜鉛錯体等)を形成していてもよい。
上記したホルモン系薬剤の好ましい例としては、細胞増殖因子受容体が発現している癌種に対して有効なものが好ましく、具体的には、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、乳癌等の性ホルモン依存性の癌(特に、前立腺癌、乳癌)に有効なLH−RH誘導体(例、LH−RHアゴニストまたはアンタゴニストなど)やアンドロゲン拮抗製剤(ビカルタミドなど)が好適である。
【0036】
LH−RH誘導体の具体例としては、例えば、トリートメント ウイズ GnRH アナログ:コントラバーシス アンド パースペクテイブ(Treatment with GnRH analogs: Controversies and perspectives)〔パルテノン バブリッシング グループ(株)(The Parthenon Publishing Group Ltd.)発行1996年〕、特許第936349号、特表平3−503165号公報、特開平3−101695号、同7−97334号および同8−259460号公報などに記載されているペプチド類があげられる。
該LH−RH誘導体は薬理学的に許容される塩であっていてもよく、このような塩としては、上記のホルモン系薬剤の薬理学的に許容される塩などがあげられる。
【0037】
LH−RH誘導体としては、LH−RHアゴニストまたはLH−RHアンタゴニストがあげられるが、LH−RHアンタゴニストとしては、例えば、一般式〔I〕
X-D2Nal-D4ClPhe-D3Pal-Ser-A-B-Leu-C-Pro-DAla-NH2
〔式中、XはN(4H2-furoyl)GlyまたはNAcを、AはNMeTyr、Tyr、Aph(Atz)、NMeAph(Atz)から選ばれる残基を、BはDLys(Nic)、DCit、DLys(AzaglyNic)、DLys(AzaglyFur)、DhArg(Et2)、DAph(Atz)およびDhCi から選ばれる残基を、CはLys(Nisp)、ArgまたはhArg(Et2)をそれぞれ示す〕で表わされるペプチドまたはその塩などが用いられる。
LH−RHアゴニストとしては、例えば、一般式〔II〕
5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z
〔式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2NalおよびDHis(ImBzl)から選ばれる残基を、ZはNH-C2H5またはGly-NH2をそれぞれ示す〕で表わされるペプチドまたはその塩などが用いられる。特に、YがDLeuで、ZがNH-C2H5であるペプチド(リュープロレリン)またはその塩(例、酢酸塩など)(5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5またはその酢酸塩)が好適である。
これらのペプチドは、前記文献あるいは公報記載の方法あるいはこれに準じる方法で製造することができる。
LH−RHアゴニストとして、上記のリュープロレリン(酢酸リュープロレリン)の他に好ましい具体例としては、例えば、
(1)ゴセレリン(Goserelin)
【化12】
Figure 0004390441
(米国特開第4100274号,特開昭52−136172号)、
(2)ブセレリン(Buserelin)
【化13】
Figure 0004390441
(米国特許No.4,024,248、ドイツ特許第2438352号,特開昭和51−41359号)、
(3)トリプトレリン(Triptorelin)
【化14】
Figure 0004390441
(米国特開第4010125号,特開昭52−31073号)、
(4)ナファレリン(Nafarelin)
【化15】
Figure 0004390441
(米国特開第4234571号,特開昭55−164663号,同昭63−264498号,同昭64−25794号)、
(5)ヒストレリン(Histrelin)
【化16】
Figure 0004390441
(6)デスロレリン(Deslorelin)
【化17】
Figure 0004390441
(米国特開第4569967号,同4218439号)、
(7)メテレリン(Meterelin)
【化18】
Figure 0004390441
(PCT WO 91/18016)、
(8)ゴナドレリン(Gonadrelin)
【化19】
Figure 0004390441
(ドイツ特許第2213737号)など、またはそれらの塩などがあげられる。さらに、ホルモン系薬剤としては、エストロゲン製剤(ホスフェストロールなど)、エストロゲン拮抗製剤(タモキシフェンなど)、アンドロゲン製剤、アンドロゲン拮抗製剤(フルタミド、ビカルタミド、シプロテロン酢酸塩(Cyproterone acetate)など)、アロマターゼ阻害薬、5α−リダクターゼ阻害薬、男性ホルモン低下剤、女性ホルモン低下剤、黄体ホルモンなどが好適である。
【0038】
さらに、本発明の剤は、細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤と併用してもよい。すなわち、本発明は、
(1)(i)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩および(ii)細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤を組み合わせてなるホルモン非依存性癌の治療・予防剤、さらに、血管新生を伴いこれを必要とする癌のみならず、血管新生を必要としない癌の治療・予防剤または再発・再燃癌の治療・予防剤、および
(2)(i)アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩、(ii)ホルモン系薬剤および(iii) 細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤を組み合わせてなるホルモン非依存性癌の治療・予防剤、さらに、血管新生を伴いこれを必要とする癌のみならず、血管新生を必要としない癌の治療・予防剤または再発・再燃癌の治療・予防剤などを含む。
細胞増殖因子(growth factors)とは、細胞の増殖を促進する物質であればどのようなものでもよいが、通常、分子量が20,000以下の低分子ペプチドで、受容体との結合により、低濃度で作用が発揮される。
細胞増殖因子としては、
▲1▼EGF(epidermal growth factor)またはそれと実質的に同一の活性を有する物質(例えば、EGF、ハレグリン(HER2リガンド)など)、
▲2▼インシュリンまたはそれと実質的に同一の活性を有する物質(例えば、インシュリン、IGF(insulin-like growth factor)−1、IGF−2など)、
▲3▼FGF(fibroblast growth factor)またはそれと実質的に同一の活性を有する物質(例えば、aFGF、bFGF、KGF(Keratindcyte Growth Factor)、HGF(Hepatocyte Growth Factor)、FGF-10など)、
▲4▼その他の細胞増殖因子(例えば、CSF(colony stimulating factor)、EPO(erythropoietin)、IL−2(interleukin-2)、IL−6(interleukin-6)、NGF(nerve growth factor)、PDGF(platelet-derived growth factor)、TGFβ(transforming growth factorβ)などがあげられる。
該細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤は薬理学的に許容される塩であってもよい。このような塩としては、該細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤がアミノ基等の塩基性基を有する場合、無機酸(例、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸等)、有機酸(例、炭酸、重炭酸、コハク酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等)などとの塩があげられる。
該細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤がカルボキシル基等の酸性基を有する場合、無機塩基(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属など)や有機塩基(例、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類等)などとの塩があげられる。また、該細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤は金属錯体化合物(例、銅錯体、亜鉛錯体等)を形成していてもよい。
【0039】
細胞増殖因子の受容体としては、上記の細胞増殖因子と結合能を有する受容体であれば、いかなるものであってもよいが、具体的には、EGF受容体、ハレグリン受容体(HER2)、インシュリン受容体−1、インシュリン受容体−2、 IGF受容体、FGF受容体−1またはFGF受容体−2などがあげられる。
細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤としては、例えば、ハービマイシン、PD153035(Science 265 (5175) p1093, (1994))などがあげられる。
また、細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤としてHER2阻害剤やグリベック(メシル酸イマチニブ)、イレッサ(ゲフィチニブ、ZD1839)などのチロシンキナーゼ阻害薬もあげられる。HER2阻害剤としては、HER2の活性(例、リン酸化活性)を阻害する物質であれば、抗体(例、ハーセプチン)、低分子化合物(合成化合物、天然物)、アンチセンス、HER2リガンド、ハレグリンまたはこれらの構造を一部修飾、改変したものの何れであってもよい。また、HER2レセプター抗体のようにHER2レセプターを阻害することによって、間接的にHER2活性を阻害する物質であってもよい。
HER2阻害作用を有する低分子化合物としては、例えば、WO98/03505号に記載の化合物、具体的には、
1−[3−[4−[2−[(E)−2−フェニルエテニル]−4−オキサゾリルメトキシ]フェニル]プロピル]−1,2,4−トリアゾールや、WO 01/77107記載の化合物、すなわち式
【化20】
Figure 0004390441
〔式中、mは1または2、Rはハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−2アルキル基、RおよびRの一方は水素原子、他方は式
【化21】
Figure 0004390441
(式中、nは3または4、Rは1〜2個のヒドロキシ基で置換されたC1−4アルキル基を示す)で表される基を示す〕で表される化合物またはその塩、好ましくは1−(4−{4−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}ブチル)−1H−1,2,3−トリアゾール、
1−(3−{3−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}プロピル)−1H−1,2,3−トリアゾール、
3−(1−{4−[4−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオールまたはそれらの塩などが挙げられる。
【0040】
ホルモン系薬剤および/または細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤を組み合わせて用いる場合、各薬物を別々にあるいは同時に、薬理学的に許容されうる担体などと混合して製剤化し、医薬組成物として経口的にまたは非経口的に投与することができる。薬物を別々に製剤化した場合、別々に製剤化したものを使用時に希釈剤などを用いて混合して投与することができるが、別々に製剤化した個々の製剤を、同時に、あるいは時間差をおいて別々に、同一対象に投与してもよい。別々に製剤化したものを使用時に希釈剤などを用いて混合して投与するためのキット製品(例えば、粉末状の個々の薬物を含有するアンプルと2種以上の薬物を用時に混合して溶解するための希釈剤などを含有する注射用キットなど)、別々に製剤化した個々の製剤を、同時に、あるいは時間差をおいて別々に、同一対象に投与するためのキット製品(例えば、個々の薬物を含有する錠剤を同一または別々の袋に入れ、必要に応じ、薬物を投与する時間の記載欄を設けた、2種以上の錠剤を同時にあるいは時間差をおいて別々に投与するための錠剤用キットなど)なども本発明に含まれる。
ホルモン系薬剤および/または細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤と併用する場合には、それぞれの薬剤の投与量、投与時期、投与頻度、投与間隔などは一般的に許容される範囲内で好ましく用いられる。
例えば、本発明の細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤は、ホルモン系薬剤の投与後であって、例えば、ホルモン系薬剤の有効血中濃度が約50%以下に減少した時点、あるいはホルモン系薬剤の投与により細胞増殖因子の受容体が発現し始めた頃に投与するのが好ましい。また、必要に応じて、投与開始時期を早めてもよい。
ホルモン系薬剤および/または細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤は、ホルモン系薬剤および必要により細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤に薬学的に許容される担体を配合し、錠剤、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、散剤、坐剤などの固形製剤;またはシロップ剤、注射剤などの液状製剤、徐放剤として経口または非経口的に投与することができる。また、ホルモン系薬剤と細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤とを別々に製剤化することもできる。
薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用されている各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
【0041】
賦形剤の好適な例としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などがあげられる。
滑沢剤の好適な例としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどがあげられる。
結合剤の好適な例としては、例えば、結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどがあげられる。
崩壊剤の好適な例としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどがあげられる。
溶剤の好適な例としては、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などがあげられる。
溶解補助剤の好適な例としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどがあげられる。
懸濁化剤の好適な例としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などがあげられる。
等張化剤の好適な例としては、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトールなどがあげられる。
緩衝剤の好適な例としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などがあげられる。
無痛化剤の好適な例としては、例えば、ベンジルアルコールなどがあげられる。
防腐剤の好適な例としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などがあげられる。
抗酸化剤の好適な例としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸などがあげられる。
【0042】
ホルモン系薬剤を含有する製剤中におけるホルモン系薬剤(活性成分)の含有量は、剤型、投与方法、担体等により異なるが、製剤全量に対して通常約0.1〜30%(w/w)、好ましくは約1〜20%(w/w)、より好ましくは約5〜10%(w/w)である。
細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤(特に低分子化合物の場合)を含有する製剤中における細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤(活性成分)の含有量は剤型、投与方法、担体等により異なるが、製剤全量に対して通常約0.1〜90%(w/w)である。
各種製剤添加剤の含有量は、製剤全量に対して通常約0.1〜99.9%(w/w)、好ましくは約10〜99.9%(w/w)、より好ましくは約20〜90%(w/w)である。
ホルモン系薬剤および/または細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤の投与量は、AII拮抗作用を有する化合物の種類、ホルモン系薬剤の種類、細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤の種類、投与ルート、症状等によって異なるが、例えば、乳癌や前立腺癌を持つ患者(体重40ないし80kg)に抗癌剤としてLH−RH誘導体を皮下投与している場合、細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤が低分子化合物である時は、化合物として、好ましくは1日に約1.0〜100mg/kg体重、より好ましくは約5.0〜50mg/kg体重である。この量を1日1回または2〜3回に分けて投与することができる。また、LH−RH誘導体については、例えば、乳癌や前立腺癌を持つ患者(体重40ないし80kg)に化合物として、好ましくは1日に約1.0〜100mg/kg体重、より好ましくは約1.0〜50mg/kg体重である。また、細胞増殖因子またはその受容体の作用を阻害する薬剤が抗体である時は、通常約1〜2,000mg/kg/週、好ましくは約5〜1,000mg/kg/週の用量を連日または間欠的に、静脈、皮下、腫瘍局所などに投与することができる。
【0043】
ホルモン系薬剤として好適に用いられるLH−RHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、式 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表されるぺプチドまたはその塩)、より好ましくは酢酸リュープロレリンは、好ましくは徐放性注射剤として投与される。また、徐放性製剤が徐放型マイクロカプセルである場合、2カ月以上にわたってLH−RHアゴニストあるいはアンタゴニストを放出する長期徐放型マイクロカプセルであることが好ましい。かかるLH−RHアゴニストまたはアンタゴニストを含有してなる徐放性製剤(特に徐放型マイクロカプセル)は、自体公知の方法、例えば、特開昭60−100516号、特開昭62−201816号、特開平4−321622号、特開平6−192068号、特開平9−132524号、特開平9−221417号、特開平11−279054号、WO 99/360099号公報などに記載の方法に従って製造することができる。
上記の徐放性製剤の中でも、特に特開平4−321622号に記載されている「2カ月以上にわたって生理活性物質をゼロ次放出する長期徐放型マイクロカプセル」が好ましく用いられる。
【0044】
LH−RHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を含有してなる徐放性製剤(徐放型マイクロカプセルを含有してなる剤)を注射剤として投与する場合には、徐放型マイクロカプセルの薬物徐放期間によって、投与量が異なり、例えば、約1ヶ月に一回の投与を行う場合には、例えば成人の前立腺癌患者(体重60kgに対し)において、一回につきLH−RHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を通常約0.01から20mg程度、好ましくは約0.1から10mg程度、より好ましくは約0.1から5mg程度を皮下あるいは筋肉内に投与すればよく、例えば、約3ヶ月に一回の投与を行う場合には、例えば成人の前立腺癌患者(体重60kgに対し)において、一回につきLH−RHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を通常約0.1から30mg程度、好ましくは約0.1から20mg程度、より好ましくは約1から15mg程度を皮下あるいは筋肉内に投与すればよい。
他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
また、ホルモン系薬剤としてLH−RHアゴニストまたはアンタゴニストを用いる場合は前立腺癌、乳癌などの予防・治療のため抗エストロゲン剤(例、Tamoxifenなど)と併用して投与することも可能である。
【0045】
LH−RHアゴニストや抗アンドロゲン剤のようなホルモン系薬剤を用いたホルモン療法は、ホルモン依存性癌(前立腺癌など)患者に上記したような使用方法で投与されるが、長期間投与を続けているとやがてホルモン非依存性癌細胞もしくはホルモン非依存性転移癌細胞が増殖することにより癌組織や転移巣がホルモン非依存性へと変化していくことがある。
このような変化期にはホルモン系薬剤を上記したような通常の使用方法で使用を続けながら、本発明のAII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩を含有してなるホルモン非依存性癌の治療・予防剤を非依存化傾向が現れる時期に併用して用いることにより効果的に癌の治療が行なえる。
[1]例えば前立腺癌の治療に際しては癌患者の症状、病期ステージ、年齢などに応じて、例えば前立腺特異抗原(PSA)や癌細胞の分化度などを指標に最適な薬剤の組み合わせ、投与量、投与時期が選択される。
血中PSA濃度は、臨床用のPSA測定キット(マーキットMPAなど)を用いて測定できる。
日本泌尿器科学会が用いている規約によれば前立腺癌の病期ステージは大きく分けると、癌が、1. 前立腺内に限局している場合、2. 前立腺周囲に拡がっているが転移がない場合、3. リンパ節転移がある場合、4. 遠隔転移がある場合の4つに分けられる(国立がんセンターHPより)。
病期A:がんではなく、良性病変の診断のもとに手術を受けて、切除された組織内に偶然発見されたがん(偶発がん)。
A1:前立腺内に限局した1.0cm以下の病変で高分化のがん。
A2:前立腺内にびまん性(1ヶ所にとどまらず、拡がった状態)に拡がったがん、もしくは中または低分化のがん(高分化に比べ悪性度の高いがん)。
以下の病期は臨床的に前立腺がんを疑って、吸引細胞診または針生検により組織学的にがんと診断された病期である。
病期B:前立腺内に限局するがん。
B1:前立腺を左右に分けると、その片側に病変が限局している1.5cm以下のがんをいう。
B2:前立腺内の1.5cmを超えるがん、またはびまん性や結節性(かたまりとして発育する状態)に拡がるがんをいう。
病期C:前立腺被膜を越えて拡がっているが、転移がみられないがんをいう。前立腺に隣接する精嚢(せいのう)、膀胱頸部への拡がるがんも含む。
病期D:臨床的に明かな転移巣がみられるがん(前立腺内でのがんの大きさは規定されていない)。
D1:規約に定められている骨盤内のリンパ節転移がみられるがん。
D2:D1より広い範囲のリンパ節や骨、肺、肝臓などの離れた部位の転移がみられるがん。
ホルモン療法は、望ましくはステージB以上の患者に実施される。
これらの患者に対し、リュープリンの1ケ月徐放製剤の場合は4週に一度、3ヶ月製剤の場合は12週に一度、4ヶ月製剤の場合は16週に一度、6ヶ月製剤の場合は24週に一度、注射投与するのが好ましい。これに抗アンドロゲン剤などを適当な用法用量で併用することが好ましい。
かかるホルモン療法実施を継続後、ホルモン非依存性となった患者(上記ステージD以上の患者)に対し、AII拮抗作用を有する化合物(好ましくはカンデサルタン シレキセチル、カンデサルタン)をPSA値の上昇が認められた時期、または必要に応じてそれ以前に適当な用法用量で投与するのが好ましい。
PSAが上記治療により測定キットの検出限界以下に低下したことが確認されても、本発明のAII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩を含有してなるホルモン非依存性癌の治療・予防剤の投与および/またはホルモン療法を継続することが好ましいが、中止もしくは中断してよい。
しかしながら、治療により低下していたPSAが再び上昇したり、リンパ節または他臓器に転移や新病変がみられた時(すなわち、上記ステージDの病態時)または外科療法(例、前立腺摘除など)処置後、前立腺摘除部位にがんの増殖がみられた時など、所謂癌の再発・再燃が確認された場合は上記と同様にして本発明の剤を適用してよい。
[2]例えば乳癌の治療に際しては癌患者の症状、病期ステージ、年齢などに応じて、例えばエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、EGF受容体またはHER2などの発現量や癌細胞の分化度などを指標に最適な薬剤の組み合わせ、投与量、投与時期が選択される。
閉経前の患者の場合、リュープリンの1ケ月徐放製剤の場合は4週に一度、3ヶ月製剤の場合は12週に一度、4ヶ月製剤の場合は16週に一度、6ヶ月製剤の場合は24週に一度、注射投与するのが好ましい。これに抗エストロゲン剤などを適当な用法用量で併用することが好ましい。
かかるホルモン療法実施を継続後、ホルモン非依存性となった患者に対し、AII拮抗作用を有する化合物(好ましくはカンデサルタン徐放性製剤)を再発・再燃が認められた時期(すなわち、上記ステージDの病態時)、または必要に応じてそれ以前に適当な用法用量で投与するのが好ましい。
閉経前の患者の場合、抗エストロゲン剤またはエストロゲン合成阻害薬などを適当な用法用量で併用することが好ましい。
かかるホルモン療法実施を継続後、ホルモン非依存性となった患者に対し、AII拮抗作用を有する化合物(好ましくはカンデサルタン シレキセチル、カンデサルタン)を再発・再燃が認められた時期(すなわち、上記ステージDの病態時)、または必要に応じてそれ以前に適当な用法用量で投与するのが好ましい。
上記治療により腫瘍の消失が確認されても、本発明のAII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはその塩を含有してなるホルモン非依存性癌の治療・予防剤の投与および/またはホルモン療法を継続することが好ましいが、中止もしくは中断してよい。
しかしながら、リンパ節または他臓器に転移や新病変がみられた時(すなわち、上記ステージDの病態時)または外科療法後、原発部位または別の部位に腫瘍がみられた時など、所謂癌の再発・再燃が確認された場合は上記と同様にして本発明の剤を適用してよい。
【0046】
さらに、本発明の剤は、癌患者の症状、全身状態、病期、年齢、がん細胞の性質(分化度)などに応じてその他の活性成分、例えば、化学療法剤または免疫療法剤を配合もしくは併用することもできる。さらに癌の放射線療法や外科療法を組み合わせてもよい。
化学療法剤としては、例えば、アルキル化剤(例えばサイクロフォスファミド、イフォスファミド、リン酸エストラムスチンナトリウム)、代謝拮抗剤(例えば、メソトレキセート、5−フルオロウラシル)、抗癌性抗生物質(例えばマイトマイシン、アドリアマイシン)、植物由来抗癌剤(例えば、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポキシドなどが用いられる。
免疫療法剤としては、例えば、微生物または菌体成分(例えば、ムラミルジペプチド誘導体、ピシバニール)、免疫増強活性のある多糖類(例えば、レンチナン、シゾフィラン、クレスチン)、遺伝子工学的手法で得られるサイトカイン(例えば、インターフェロン、インターロイキン)などが用いられる。
【0047】
また、血管拡張薬、高脂血漿治療薬、高血圧治療薬、慢性心不全治療薬、ネフローゼ症候群治療薬、慢性腎不全治療薬、胃・十二指腸潰瘍治療薬治療薬、胆道疾患治療薬、抗腫瘍剤、感染症治療薬、血栓形成治療薬または抗炎症薬を含む他の医薬成分と共に使用されてもよく、この場合、これらの化合物は経口製剤として投与されてもよく、また必要により直腸製剤として坐薬の形態で投与されてもよい。この場合の可能な組み合わせ成分は、例えばβ受容体遮断薬類〔例、プロプラノロール、ニプラジロール、アテノロール、カルベジロール等〕、α受容体調節薬類〔例、プラゾシン、クロニジン等〕、亜硝酸薬〔例、ニトログリセリン、イソソルビドジナイトレート等〕、利尿剤〔例、スピロノラクトン、フロセミド、クロロサイアザイド等〕、エンドセリン拮抗薬が挙げられる。
また、以下の各種治療薬との組み合わせも可能である。
血管拡張薬:ニフェジピン,ジルチアゼム,ニコラジル,唖硝酸剤など;
高血圧治療薬:ACE阻害薬〔例、マレイン酸エナラプリル等〕、Ca 拮抗薬〔例、マニジピン、アムロジピン等〕など;
高脂血漿治療薬;HMG-CoA還元酵素阻害薬〔例、アトロバスタチン、セリバスタチン等〕、フィブラート系薬剤〔例、クロフィブラート、ベザフィブラート等〕、スクワレン合成酵素阻害薬など:
慢性心不全治療薬:強心薬〔例、強心配糖体(ジゴキシン等)、PDE阻害薬等〕,ACE阻害薬、〔例、マレイン酸エナラプリル等〕、Ca 拮抗薬〔例、アムロジピン等〕およびβ受容体遮断薬など;
慢性腎不全治療薬:降圧薬〔例、ACE阻害薬(マレイン酸エナラプリル等)及びCa 拮抗薬(マニジピン等)、α受容体遮断薬等〕など;
胃・十二指腸潰瘍治療薬治療薬:制酸剤〔例、ヒスタミンH2拮抗薬(シメチジン等)、プロトンポンプ阻害薬(ランソプラゾール等)など〕;
胆道疾患治療薬:催胆薬〔例、デヒドロコール酸等〕、排胆剤〔例、硫酸マグネシウム等〕など;
抗腫瘍薬:アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍性抗生物質製剤、抗腫瘍性植物成分製剤およびその他の抗腫瘍薬など;
感染症治療薬:[例、抗生物質製剤(塩酸セファチアム、塩酸セフォゾプラン、アンピシリン等)、化学療法剤(サルファ剤、合成抗菌剤、抗ウイルス剤等)、生物学的製剤(ワクチン類、免疫グロブリン等の血液製剤類)等]など;
血栓形成治療薬:血液凝固阻止薬〔例、ヘパリンナトリウム,ヘパリンカルシウム,ワルファリンカルシウム,血液凝固因子Xa阻害薬ならびに凝固線溶系のバランス是正機能を有する薬剤等〕,血栓溶解薬〔例、tPA,ウロキナーゼ〕,抗血小板薬〔例、アスピリン,スルフィンピラゾロ,ジピリダモール,チクロピジン(パナルジン),シロスタゾール,GPIIb/IIIa拮抗薬等〕など;
抗炎症薬:アスピリン、アセトアミノフェン、非ステロイド抗炎症剤〔例、インドメタシン等〕、ステロイド剤〔例、デキサメタゾン等〕など;
これらの各種薬剤とは、同時にまたは時間をおいて併用することができる。
これらの薬剤を組み合わせて用いる場合、各薬物を別々にあるいは同時に、薬理学的に許容されうる担体、賦形剤、結合剤、希釈剤などと混合して製剤化し、医薬組成物として経口的にまたは非経口的に投与することができる。薬物を別々に製剤化した場合、別々に製剤化したものを使用時に希釈剤などを用いて混合して投与することができるが、別々に製剤化した個々の製剤を、同時に、あるいは時間差をおいて別々に、同一対象に投与してもよい。別々に製剤化したものを使用時に希釈剤などを用いて混合して投与するためのキット製品(例えば、粉末状の個々の薬物を含有するアンプルと2種以上の薬物を用時に混合して溶解するための希釈剤などを含有する注射用キットなど)、別々に製剤化した個々の製剤を、同時に、あるいは時間差をおいて別々に、同一対象に投与するためのキット製品(例えば、個々の薬物を含有する錠剤を同一または別々の袋に入れ、必要に応じ、薬物を投与する時間の記載欄を設けた、2種以上の錠剤を同時にあるいは時間差をおいて別々に投与するための錠剤用キットなど)なども本発明の医薬に含まれる。
【0048】
本明細書中で使用される略号の意味は次のとおりである。
Figure 0004390441
Figure 0004390441
【0049】
その他アミノ酸に関し、略号で表示する場合、IUPAC-IUBコミッション・オブ・バイオケミカル・ノーメンクレーチュアー(Commission on Biochemical Nomenclature) (ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Europian Journal of Biochemistry)第138巻、9〜37頁(1984年))による略号または該当分野における慣用略号に基づくものとし、また、アミノ酸に関して光学異性体がありうる場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
【発明の実態の形態】
以下に参考例および実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0050】
【実施例】
本発明におけるAII拮抗作用を有する化合物またはその塩を有効成分として含有するホルモン非依存性癌の治療・予防剤、ホルモン非依存性癌細胞増殖抑制剤あるいは癌細胞のアポトーシス誘導剤などの抗癌剤は、例えば次のような処方によって製造することができる。
参考例1
2−エトキシ−1−[[2’−(4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸(以下、化合物Aと略記する)0.25gと乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25(モル%)、重量平均分子量10,700、数平均分子量6,100、末端基定量による数平均分子量3,770、和光純薬工業製)2.25gとをジクロロメタン3.5mlとメタノール1.5mlとの混液に溶解し、予め18℃に調節しておいた0.1% (w/w) ポリビニルアルコール水溶液500ml中に注入し、タービン型ホモミキサーを用い、7,000rpmでO/Wエマルションとした。このO/Wエマルションを室温で3時間撹拌してジクロロメタンとメタノールを揮散させ、油相を固化させた後、遠心分離機を用いて2,000rpmで捕集した。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行い、遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルは少量の蒸留水を加えて再分散後、凍結乾燥して粉末として得られた。回収率は69%、マイクロカプセル中への化合物Aの封入率は92%で、マイクロカプセル中の化合物A含量は9.2%であった。
【0051】
参考例2
化合物Aの2ナトリウム塩0.25gを0.4mlの蒸留水に溶解した溶液を、乳酸−グリコール酸共重合体(参考例1に同じ)2.25gをジクロロメタン4mlで溶解した溶液と混合しホモジナイザーで乳化し、W/Oエマルションを形成した。次いでこのW/Oエマルションを、予め18℃に調節しておいた0.1% (w/w) ポリビニルアルコール水溶液500ml中に注入し、タービン型ホモミキサーを用い、7,000rpmでW/O/Wエマルションとした。このW/O/Wエマルションを室温で3時間撹拌してジクロロメタンを揮散させ、油相を固化させた後、遠心分離機を用いて2,000rpmで捕集した。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行い、遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルは少量の蒸留水を加えて再分散後、凍結乾燥して粉末として得られた。回収率は50%、マイクロカプセル中への化合物Aの封入率は37%で、マイクロカプセル中の化合物A含量は3.7%であった。
【0052】
参考例3
化合物A0.4gと乳酸重合体エチルエステル体(乳酸重合体の末端カルボキシ基をエチルエステル化した生体内分解性ポリマー、重量平均分子量10,200、数平均分子量5,680、和光純薬工業製)1.6gとをジクロロメタン3.5mlとメタノール2.5mlとの混液に溶解し、予め18℃に調節しておいた5%マンニトール含有0.1% (w/w) ポリビニルアルコール水溶液800ml中に注入し、タービン型ホモミキサーを用い、7,000rpmでO/Wエマルションとした。このO/Wエマルションを室温で3時間撹拌してジクロロメタンとメタノールを揮散させ、油相を固化させた後、遠心分離機を用いて2,000rpmで捕集した。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行い、遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルは少量の蒸留水を加えて再分散後、凍結乾燥して粉末として得られた。回収率は83%、マイクロカプセル中への化合物Aの封入率は86%で、マイクロカプセル中の化合物A含量は17.1%であった。
【0053】
参考例4
2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸(以下、化合物Bと略記する)0.6 g と粒径 0.02 μmの酸化亜鉛 0.09 g とを乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸 75/25(モル%)、重量平均分子量 14,000、数平均分子量 4,200、末端基定量による数平均分子量 4,090、和光純薬工業製)2.4 g をジクロロメタン 4.5 ml とエタノール 1 ml とに溶解した溶液に添加し、12 時間室温で振とう撹拌して軽度に白濁した溶液を得た。この溶液を予め 15℃に調節しておいた 0.1 重量% ポリビニルアルコール水溶液 400 ml 中に注入し、タービン型ホモミキサーを用い、7,000 rpmでO/Wエマルションとした。このO/Wエマルションを室温で3時間撹拌してジクロロメタンとエタノールを揮散させ、油相を固化させた後、遠心分離機を用いて2,000 rpmで捕集した。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行い、遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルは少量のマンニトールを溶解した蒸留水を加えて再分散後、凍結乾燥して粉末として得られた。マイクロカプセル中への化合物Bの封入率は97%で、マイクロカプセル中の化合物B含量は18.8%であった。
【0054】
参考例5
酸化亜鉛量を 0.057 g に変更した以外、参考例1と同様にしてマイクロカプセルを得た。マイクロカプセル中への化合物Bの封入率は97%で、マイクロカプセル中の化合物B含量は19.0%であった。
【0055】
参考例6
化合物B量、酸化亜鉛量および乳酸−グリコール酸共重合体量をそれぞれ 0.9 g、2.1 g、0.12 g にそれぞれ変更した以外、実施例1と同様にしてマイクロカプセルを得た。マイクロカプセル中への化合物Bの封入率は96%で、マイクロカプセル中の化合物B含量は27.8%であった。
【0056】
参考例7
酸化亜鉛量を 0.18 g に変更した以外、参考例3と同様にしてマイクロカプセルを得た。マイクロカプセル中への化合物Bの封入率は92%で、マイクロカプセル中の化合物B含量は26.2%であった。
【0057】
参考例8
化合物B 1.8 g と粒径 0.02 μmの酸化亜鉛 0.3 g とを乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸 75/25(モル%)、重量平均分子量 14,000、数平均分子量 4,200、末端基定量による数平均分子量 4,090、和光純薬工業製)4.2 g をジクロロメタン 9 mlとエタノール 1.5 ml とに溶解した溶液に添加し、12時間室温で振とう撹拌して軽度に白濁した溶液を得た。この溶液を予め15℃に調節しておいた 0.1 重量% ポリビニルアルコール水溶液 800 ml 中に注入し、タービン型ホモミキサーを用い、7,000 rpmでO/Wエマルションとした。このO/Wエマルションを室温で3時間撹拌してジクロロメタンとエタノールを揮散させ、油相を固化させた後、遠心分離機を用いて2,000 rpmで捕集した。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行い、遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルは少量のマンニトールを溶解した蒸留水を加えて再分散後、凍結乾燥して粉末として得られた。マイクロカプセル中への化合物Bの封入率は94%で、マイクロカプセル中の化合物B含量は26.8%であった。
【0058】
参考例9
化合物A 0.3 g と粒径 0.02 μmの酸化亜鉛 0.05 g とを乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸 75/25(モル%)、重量平均分子量 14,000、数平均分子量 4,200、末端基定量による数平均分子量 4,090、和光純薬工業製)0.7 g をジクロロメタン 1.5 ml とメタノール 1 ml とに溶解した溶液に添加し、12 時間室温で振とう撹拌して軽度に白濁した溶液を得た。この溶液を予め 15℃に調節しておいた 0.1 重量% ポリビニルアルコール水溶液 300 ml 中に注入し、タービン型ホモミキサーを用い、6,500 rpmでO/Wエマルションとした。このO/Wエマルションを室温で3時間撹拌してジクロロメタンとメタノールを揮散させ、油相を固化させた後、遠心分離機を用いて2,000 rpmで捕集した。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行い、遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルは少量のマンニトールを溶解した蒸留水を加えて再分散後、凍結乾燥して粉末として得られた。マイクロカプセル中への化合物Aの封入率は91%で、マイクロカプセル中の化合物A含量は25.9%であった。
【0059】
参考例10
化合物B 1 g と粒径 0.02 μmの酸化亜鉛 0.18 g とを乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸 75/25(モル%)、重量平均分子量 14,000、数平均分子量 4,200、末端基定量による数平均分子量 4,090、和光純薬工業製)1.8 g をジクロロメタン 5 mlに溶解した溶液に添加し、小型ホモジナイザーで 60秒間乳化混合して白濁した分散液を得た。この分散液を予め15℃に調節しておいた 0.1 重量% ポリビニルアルコール水溶液 400 ml 中に注入し、タービン型ホモミキサーを用い、8,000 rpmでO/Wエマルションとした。このO/Wエマルションを室温で3時間撹拌してジクロロメタンを揮散させ、油相を固化させた後、遠心分離機を用いて2,000 rpmで捕集した。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行い、遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルは少量のマンニトールを溶解した蒸留水を加えて再分散後、凍結乾燥して粉末として得られた。マイクロカプセル中への化合物Bの封入率は96%で、マイクロカプセル中の化合物B含量は32.0%であった。
【0060】
参考例11
0.8 ml のエタノールをジクロロメタンに添加し、12 時間室温で振とう撹拌して得た軽度に白濁した溶液を用いた以外実施例7と同様にしてマイクロカプセルを得た。マイクロカプセル中への化合物Bの封入率は95%で、マイクロカプセル中の化合物B含量は32.0%であった。
【0061】
参考例12
1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラート(以下、化合物Cと略記する) 0.9 g と乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸 75/25(モル%)、重量平均分子量 14,000、数平均分子量 4,200、末端基定量による数平均分子量 4,090、和光純薬工業製)2.1 g とをジクロロメタン 4.5 ml とエタノール 0.7 mlの混合溶媒に溶解した。この溶液に粒径 0.02 μm の酸化亜鉛 0.15 g を添加し、12 時間室温で振とう撹拌して軽度に白濁した溶液を得た。この溶液を予め15℃に調節しておいた 0.1 重量% ポリビニルアルコール水溶液 400 ml 中に注入し、タービン型ホモミキサーを用い、7,500 rpmでO/Wエマルションとした。このO/Wエマルションを室温で3時間撹拌してジクロロメタンとエタノールを揮散させ、油相を固化させた後、遠心分離機を用いて2,000 rpmで捕集した。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行い、遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルは少量のマンニトールを溶解した蒸留水を加えて再分散後、凍結乾燥して粉末として得られた。マイクロカプセル中への化合物Cの封入率は96%で、マイクロカプセル中の化合物C含量は27.4%であった。
【0062】
参考例13
酸化亜鉛を添加しなかった以外、参考例12と同様にしてマイクロカプセルを調製した。マイクロカプセル中への化合物Cの封入率は98%で、マイクロカプセル中の化合物C含量は30.0%であった。
【0063】
参考例14
化合物C 1.2 g と乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸 75/25(モル%)、重量平均分子量 14,000、数平均分子量 4,200、末端基定量による数平均分子量 4,090、和光純薬工業製)1.8 g とをジクロロメタン 5 ml に溶解した。この溶液に粒径 0.02 μm の酸化亜鉛 0.18 g を添加し、1 時間室温で振とう撹拌して軽度に白濁した溶液を得た。この溶液を予め15℃に調節しておいた 0.1 重量% ポリビニルアルコール水溶液 400 ml 中に注入し、タービン型ホモミキサーを用い、8,000 rpmでO/Wエマルションとした。このO/Wエマルションを室温で3時間撹拌してジクロロメタンを揮散させ、油相を固化させた後、遠心分離機を用いて2,000 rpmで捕集した。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行い、遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルは少量のマンニトールを溶解した蒸留水を加えて再分散後、凍結乾燥して粉末として得られた。マイクロカプセル中への化合物Cの封入率は95%で、マイクロカプセル中の化合物C含量は35.9%であった。
【0064】
参考例15
酸化亜鉛を添加しなかった以外実施例4と同様にしてマイクロカプセルを調製した。マイクロカプセル中への化合物Bの封入率は99%で、マイクロカプセル中の化合物B含量は19.8%であった。
【0065】
参考例16
酸化亜鉛を添加しなかった以外参考例9と同様にしてマイクロカプセルを調製した。マイクロカプセル中への化合物Aの封入率は95%で、マイクロカプセル中の化合物A含量は28.4%であった。
【0066】
参考例17
2−エトキシ−1−[[2'−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸(化合物B)2 g と酸化亜鉛(TYPE V、和光純薬工業製) 0.36 g とを乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸 75/25(モル%)、重量平均分子量 14,000、数平均分子量 4,200、末端基定量による数平均分子量 4,090、和光純薬工業製)3.6 g をジクロロメタン 11 ml とエタノール 0.4 ml とに溶解した溶液に添加し、14 時間室温で振とう撹拌して白濁した溶液を得た。この溶液を予め 15℃ に調節しておいた 0.1 重量% ポリビニルアルコール水溶液 800 ml 中に注入し、タービン型ホモミキサーを用い、8,500 rpmでO/Wエマルションとした。このO/Wエマルションを室温で3時間撹拌してジクロロメタンとエタノールを揮散させ、油相を固化させた後、遠心分離機を用いて2,000 rpmで捕集した。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行い、遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルは少量のマンニトールを溶解した蒸留水を加えて再分散後、凍結乾燥して粉末として得られた。マイクロカプセル中への化合物Bの封入率は98%で、マイクロカプセル中の化合物B含量は33.0%であった。
【0067】
参考例18
蒸留水0.4 ml を添加し、14時間の振とう攪拌を固体(化合物Bおよび酸化亜鉛)と共に同回転数、1分間のホモジナイザーによる分散(乳化)混合に変更した以外、参考例17と同様にしてマイクロカプセルを得た。マイクロカプセル中への化合物Bの封入率は97%で、マイクロカプセル中の化合物B含量は32.6%であった。
【0068】
参考例19
添加蒸留水量を 0.08 ml に変更した以外、参考例17と同様にしてマイクロカプセルを得た。マイクロカプセル中への化合物Bの封入率は97%で、マイクロカプセル中の化合物B含量は32.5%であった。
【0069】
参考例20
化合物B 4 gと酸化亜鉛(TYPE V、和光純薬工業製)0.72 gとを、乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸 75/25(モル%)、重量平均分子量 10,600)7.2 gをジクロロメタン 22 mlとエタノール0.8 ml とに溶解した溶液に添加し、そこに蒸留水0.16 mlを加えた後、直ちに参考例18と同様の条件でホモジナイザーによる分散(乳化)混合を行い、白濁した溶液を得た。これを平板上に半径約5 cmの円形に流延し、室温で15時間減圧乾燥して乾燥物を得た。この乾燥物を孔径250 μmの篩上で粗粉砕、篩過して得た乾燥物のうちの5 gとマンニトール0.4 gとを混合した後、ジェットミル装置(A-OJET、セイシン企業製)を用い、空気圧2 kg/cmで気体粉砕して平均粒子径21 μmの微粒子を得た。微粒子中の化合物B含量は31.0%であった。
【0070】
参考例21
参考例20と同処方・操作で分散(乳化)混合して得た白濁した溶液を以下の条件でスプレードライ(Mobile Minor、ニロジャパン製)してサイクロン下乾燥物として平均粒子径32 μmの微粒子を得た。
噴霧方式: 二流体ノズル(ノズル径 1.2 mm)
空気圧力: 1 kg/cm2
乾燥室入口温度: 90℃
乾燥室出口温度: 40−43℃
得られた微粒子中の化合物B含量は28.1%であった。
【0071】
参考例22
Figure 0004390441
(1)、(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
【0072】
参考例23
Figure 0004390441
(1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)の1/2を混和した後、顆粒化する。残りの(4)および(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。
【0073】
実施例1
前立腺癌細胞のDU−145(androgen receptor negative cell line derived from metastasis of prostate cancer)を6well dishに1x10個ずつまき、24時間serum freeで培養した。その後、EGFと2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸(化合物B)を添加し、5日後に細胞数をhematocytometerでカウントした[図1]。
各系列は3dishずつで、EGF刺激で増殖するが化合物Bの添加で増殖抑制が認められた。特に化合物B 10−6M刺激でEGF単独刺激に比べ約12%の減少が見られた。
【0074】
実施例2
前立腺癌細胞のLNCaP(androgen receptor positive cell line derived from metastasis of prostate cancer)を1x10個をdishにまき、24時間serum freeで培養した。その後、EGFと化合物Bを添加し、5日後に細胞数をカウントした[図2]。
各系列は3dishずつで、EGF刺激で増殖するが化合物Bの添加で増殖抑制が認められた。特に化合物Bの10−6M刺激ではEGF単独刺激に比べ約22%の減少を認めた。
前立腺癌細胞のLNCaP cellsとDU145 cellsはともにアンギオテンシンIIレセプター(AT1)を有する(mRNA levelで確認済み)。両細胞は、成長因子であるEGF刺激で細胞数の増加が認められるが、アンギオテンシンIIレセプターAT1のブロッカーである化合物Bでその増殖は抑制される。このことは、化合物BがEGFの細胞内シグナル伝達に抑制的な作用を及ぼし、結果的に細胞増殖の抑制がかかるものと考えられる。LNCaP cellsはアンドロゲン依存性細胞であり、またDU145 cellsはアンドロゲン非依存性細胞であることから、化合物Bはアンドロゲン依存と関係なく前立腺癌細胞の増殖抑制効果があることが推察される。
【0075】
実施例3
EGFなどの増殖刺激を細胞に加えた際、細胞内情報伝達系が活性化されることにより、細胞内の蛋白のリン酸化が誘導されることは既に知られている。そこで、アンギオテンシンIIの前立腺癌に対する効果を明らかにするために、前立腺癌細胞のLNCaPを血清刺激を加えない状態で24時間培養した後、アンギオテンシンII(1x10-6M)または既に増殖作用があることが知られているEGF(1ng/ml)によって刺激し、5分後に細胞を採取した。全細胞溶解物をSDS-PAGEにより分離した後、PDGF膜に移し、抗phospho-tyrosine抗体( Upstate社 10 Old Barn Road Lake Placid, NY 12946 U.S.A.)を用い、Western blotting法により細胞内蛋白のチロシンリン酸化を観察した[図3]。細胞内の幾つかの蛋白質は、刺激を加える前の状態と比較して、EGFの刺激によりチロシンリン酸化が誘導された。同時に、矢印で示したようにアンギオテンシンIIの刺激でもEGFの刺激時と同一の蛋白のチロシンリン酸化が認められた。すなわち、前立腺癌細胞に対し、アンギオテンシンIIの刺激が、増殖作用を持つEGFの刺激と同様もしくは類似の作用を持つと考えられる。このことから、アンギオテンシンIIの刺激を阻害する化合物Bが、結果的に前立腺癌細胞の増殖を抑制するものと考えられた。
【0076】
実施例4
細胞増殖を制御する細胞内蛋白のひとつであるMAP kinaseに対するアンギオテンシンIIの効果を明らかにするために、前立腺癌細胞のLNCaPを血清刺激を加えない状態で24時間培養した後、アンギオテンシンII(1x10-6M)または既に増殖作用があることが知られているEGF(1ng/ml)によって刺激し、適時細胞を採取した。全細胞溶解物をSDS-PAGEにより分離した後、PDGF膜に移し、活性化されたMAP kinaseのみを認識する抗phospho-MAP kinase抗体(Cell Signaling Technology社 166B Cumming Center Beverly, MA 01915 U.S.A. : 図4中、WB: PMAPK)と、内在するMAP kinase 全てを認識するMAP kinase抗体(Cell Signaling Technology社 166B Cumming Center Beverly, MA 01915 U.S.A. : 図4中、WB: MAPK)を用い、Western blotting法により細胞内の活性化されたMAP kinaseとMAP kinaseの総量を測定した[図4]。アンギオテンシンIIまたはEGF で刺激を加えた際に、MAP kinaseの総量に変化は見られないが(図4中、WB: MAPK)、活性化されたMAP kinase は増加していた(図4中、WB: PMAPK)。すなわち、アンギオテンシンII の刺激により細胞増殖を制御するMAP kinase が活性されることが明らかになった。このことから、前立腺癌細胞に対し、アンギオテンシンIIの刺激を阻害する化合物Bが、結果的に前立腺癌細胞の増殖を抑制すると考えられる。
【0077】
実施例5
増殖因子やサイトカインの情報伝達系因子のひとつであり、細胞増殖に関与するとされる細胞内蛋白のSTAT3に対するアンギオテンシンIIの効果を明らかにするために、前立腺癌細胞のLNCaPを血清刺激を加えない状態で24時間培養した後、アンギオテンシンII(1x10-6M)または既に増殖作用があることが知られているEGF(1ng/ml)によって刺激し、適時細胞を採取した。全細胞溶解物をSDS-PAGEにより分離した後、PDGF膜に移した。活性化されたSTAT3のみを認識する抗phospho- STAT3(Tyr705)抗体(Cell Signaling Technology社 166B Cumming Center Beverly, MA 01915 U.S.A. : 図5中、WB:PSTAT3)と、内在するSTAT3全てを認識するSTAT3抗体 (Cell Signaling Technology社 166B Cumming Center Beverly, MA 01915 U.S.A. : 図5中、WB:STAT3)を用い、Western blotting法により細胞内の活性化されたSTAT3とSTAT3の総量を確認した[図5]。アンギオテンシンIIまたはEGF で刺激を加えた際に、STAT3の総量に変化は見られないが(図5中、WB:STAT3)、活性化されたSTAT3は増加していた(図5中、WB:PSTAT3)。すなわち、アンギオテンシンII の刺激により細胞増殖を制御するSTAT3が活性されることが明らかになった。このことから、前立腺癌細胞に対し、アンギオテンシンIIの刺激を阻害する化合物Bが、結果的に前立腺癌細胞の増殖を抑制すると考えられる。
【0078】
実施例6
雄ヌードマウス(Balb/c)4週令にDU145細胞5×106個を背側皮下に注射した。10日後に、径5mmの腫瘍を形成したところで(0週)カンデサルタン シレキセチル(化合物C)を5mg/kg/day, 2.5mg/kg/dayの量で経口摂取できるよう飲料水に混入した(各群:n=5)。また、対照群として化合物C投与しない群(n=5)を同時に飼育した。経口開始を0週とし、各群とも4週まで飼育し毎週毎に腫瘍径を測定した。結果を[図6]に示す。2週目より化合物C投与群が腫瘍増殖の抑制が認められた。とくに、化合物C:5mg/kg/day群は2週以降P<0.01の有意差をもって、対照群と比べて増殖抑制に差のあることが認められた。
【0079】
実施例7
雄ヌードマウス(Balb/c)4週令にDU145細胞5×106個を背側皮下に注射した。10日後、径5mmの腫瘍を形成したところで(0週)カンデサルタン シレキセチル(化合物C)を5mg/kg/dayの量で経口摂取できるよう飲料水に混入した(各群:n=3)。また、対照群として化合物Cを投与しない群(n=3)を同時に飼育した。経口開始を0週とし、各群とも4週まで飼育したあと、腫瘍を摘出し後述するように抗CD31抗体で染色して腫瘍内の微小血管数を調べた。顕微鏡下にて(400倍)、腫瘍充実組織部位のうち微小血管数の多い部分を4箇所選択し、カウントした。結果を[図7]に示す。コントロール群が一視野に平均72.5±9.7個、化合物C投与群が平均37.5±3.3個の血管を認め、両群間に有意差を認めた(P<0.02)。対照群(A)に比べ化合物C投与群(B)は有意に血管増生が減少しているのが確認された。
CD31免疫組織化学染色:
ヌードマウス移植腫瘍組織内の血管を抗マウスCD31抗体を用いて免疫染色し、血管数や新生状態を検討した。操作手順として、以下の通りに行った。
雄ヌードマウス(Balb/c)4週令にDU145細胞の5×106個を背側皮下に注射し、10日後に径5mmの腫瘍を形成させた。そこで、カンデサルタン シレキセチレルを5mg/kg/dayの量で経口摂取させ、4週後に腫瘍を摘出した。摘出腫瘍を半割、切片にしたい面を下にクリオモールドに置いた後、OCT compoundを流し込み凍結した。凍結組織を2. 5μm厚さの切片にして風乾した。次に、氷上で, 5分間アセトン固定した。室温で5分間水中に浸したあと、内在性ペロキシダーゼ失活のために0.3%過酸化水素/メタノールの中に、室温で30分間おいた。標本を水中およびPBS中に5分づつ浸し、さらに37℃で10 %正常ヤギ血清/PBS中に, 15分間置いた。次に、標本を37℃で1時間または4℃で8時間、抗マウスCD31 (PECAM) monoclonal antibody(25-100倍希釈)(Pharmingen, Cat01951D)に曝した。PBSに5分間づつ3回浸したあと、ビオチン化抗ラットIg (100倍希釈)(Pharmingen, Cat 554014)に37℃で 30分間反応させた。PBSで5分づつ3回洗浄し、室温で5分間、ストレプトアビジン標識ペロキシダーゼ(ニチレイ、ヒストファインキット)と反応させた。標本をPBSで3回洗浄し、水に移した。Diaminobenthidine(DAB)反応として、0.3gDAB/0.1% Tween 20/150ml PBSに過酸化水素水を数滴加えたものに浸漬、15秒ごとに水に移して反応を止め、顕微鏡で観察しながら適度なところで停止した。水洗後に後染色し(ヘマトキシリンまたはメチルグリーン)、型どおり脱水封入した。
【0080】
実施例8
前立腺癌組織におけるアンギオテンシンIIレセプター(AT1)のmRNA発現をRT-PCRで調べた。前立腺全摘術で得られた前立腺癌組織と、同一標本の正常前立腺組織からTotal RNAを抽出し、cDNAに変換したあとPCRを行った。また、同時にinternal controlとしてβ-actinもPCRを行い、それぞれのPCR産物10μlを1.5%アガロースゲルで電気泳動した。[図8]のごとく、AT1とβ-actinのバンドをNIHイメージのソフトで定量を行い、AT1/β-actin比を測定することによってAT1発現量を半定量した。PCR primerは下記のとおりである。
Figure 0004390441
PCRの条件は、以下のとおりである。
denaturing 30秒、95℃, annealing 30秒、55℃, elongation 30秒、72℃,
AT1: total 30 cycles, beta-actin:total 23 cycles
結果は、癌組織でAT1のmRNAが正常組織に比べ強く発現していた症例が24例中15例(62.5%)であり、癌組織の方がAT1が強く発現していることが推察された。また、再燃前立腺癌組織におけるAT1のmRNA発現をRT-PCRで調べた。組織は、再燃した前立腺原発巣や転移したリンパ節、骨組織からTotal RNAを抽出し、cDNAに変換したあとPCRを行った。また、同時にinternal controlとしてβ-actinもPCRを行い、それぞれのPCR産物10μlを1.5%アガロースゲルで電気泳動した。結果を[図9]に示す。再燃癌組織でのAT1 mRNAの発現の強いことが認められた。
【0081】
実施例9
症例は、再燃した前立腺癌症例11例であり、再燃時の平均年齢は70.8才であった(症例リストを[図10]に示す)。初期治療として、1例が前立腺全摘術を受けていたが(Case2)、その他はホルモン療法を施行されていた。そのうち、4例は補助療法として外照射による放射線治療を受けていた。10例は、骨転移やリンパ節・肺転移を有しており、また11例全例とも血清PSA値が3回連続上昇しており、かつandrogen withdrawal によるPSA値の低下も認められない症例であった。カンデサルタン投与方法は、来院時の収縮期圧が140mmHg以上の症例で4mg錠剤を1日1錠投与から行った。
再燃前立腺癌患者11症例にブロプレス錠を投与した結果を以下に示す。
投与期間は15週以上を継続して内服可能であった症例に限った。血清PSA値の評価は、ブロプレス内服中の最高値から最小減少値を除したもので50%以上の減少を認めたのは11例中3例(27.3%)であり、50%以下の減少率を呈した症例は2例(18.2%)であった。したがって、PSA値の減少を認めた症例は計5例(45.5%)であった。ブロプレス内服からPSA値の減少を認めるまでの内服期間は、PSA50%以上の減少例が平均14.7週間、PSA50%以下の減少例が平均20週間であった。PSA値の減少症例全体では、平均16.8週間であった。
【0082】
実施例10
(1)LNCaP細胞(107個)をserum freeの培養液(F-12+1mg/ml BSA)で24時間培養したあと、各濃度のEGFおよび化合物B(10-6M)を加えMAPKのリン酸化を調べた。結果は、EGF:1ng/mlで刺激するとMAPKはリン酸化されるが、30分前に化合物B(10-6M)を加えることによってリン酸化が抑制された[図11上段]。
(2)LNCaP細胞(107個)をserum freeの培養液(F-12+1mg/ml BSA)で24時間培養したあと、EGF:1ng/mlおよび各濃度の化合物B(10-6M, 5×10-6M, 10×10-6M )を加えMAPKのリン酸化を調べた。結果は、EGF刺激によるSTAT3のリン酸化は化合物B容量依存的に抑制されることが認められた[図11中段]。
(3)LNCaP細胞(107個)をserum freeの培養液(F-12+1mg/ml BSA)で24時間培養したあと、IL-6:25ng/mlおよび各濃度の化合物B(10-6M, 5×10-6M, 10×10-6M )を加えMAPKのリン酸化を調べた。結果は、 IL-6によるMAPKのリン酸化は化合物B容量依存的に抑制されることが認められた[図11下段]。
以上より、化合物BはLNCaP細胞におけるEGFやIL-6のMAPKやSTAT3のリン酸化を抑制し、結果的に細胞増殖の抑制を起こすことが推測された。
【0083】
【発明の効果】
アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物、そのプロドラッグまたはそれらの薬学的に許容される塩は、細胞増殖因子(例、EGFなど)や細胞増殖の情報伝達において中心的な役割を果している、MAPキナーゼSTAT3などによる細胞内シグナル伝達を抑制(遮断)し、さらに、細胞内タンパク質のチロシンリン酸化を抑制することができる。したがって、本発明のホルモン非依存性癌の治療・予防剤、ホルモン非依存性癌細胞増殖抑制剤、癌細胞のアポトーシス誘導剤などの抗癌剤は、優れた抗癌作用を発揮し、かつ副作用が見られないので、医薬として優れた性質を有している。また、本発明の抗癌剤は、従来の血管新生阻害薬では有効な治療効果が得られなかった癌などについても著効を示すことから、血管新生を必ずしも必要としない癌に対しても有効に用いることができる点でも優れている。
【0084】
【配列表】
Figure 0004390441
Figure 0004390441

【図面の簡単な説明】
【図1】EGFおよび化合物Bの添加5日間後のDU145細胞の細胞数の測定結果を示す。
【図2】EGFおよび化合物Bの添加5日間後のLNCaP細胞の細胞数の測定結果を示す。
【図3】LNCaP細胞のアンギオテンシンIIおよび EGF刺激による細胞内蛋白のチロシンリン酸化の観察結果を示す。
【図4】LNCaP細胞のアンギオテンシンIIおよび EGF刺激による細胞内の活性化されたMAP kinaseとMAP kinaseの総量の測定結果を示す。
【図5】LNCaP細胞のアンギオテンシンIIおよび EGF刺激による細胞内の活性化されたSTAT3とSTAT3の総量の測定結果を示す。
【図6】雄ヌードマウス(Balb/c)4週令にDU145細胞により腫瘍を形成させた場合における腫瘍増殖の経時変化を示す。-◆-はcontrol(対照群)を、-■-は化合物C5mg/kg/day投与群を、-▲-は化合物C 2.5mg/kg/day投与群を示す。
【図7】雄ヌードマウス(Balb/c)4週令にDU145細胞により腫瘍を形成させた場合における腫瘍内の微小血管数を対照群(control)および化合物C5mg/kg/day投与群で測定した結果を示す。
【図8】前立腺癌組織におけるAT1のmRNA発現をRT-PCRで調べた結果を示す。
【図9】再燃前立腺癌組織におけるAT1のmRNA発現をRT-PCRで調べた結果を示す。
【図10】症例リストを示す。初期治療として、opeは前立腺全摘術を、RTxは補助療法として外照射による放射線治療を受けていた患者を示す。
リストには、ブロプレス内服中、血清PSA値の減少を認めた症例(response(+))のPSA値の最高値、最小値を示した。
【図11】上段:LNCaP細胞(107個)をserum freeの培養液で24時間培養したあと、各濃度のEGFおよび化合物B(10-6M)を加えMAPKのリン酸化を調べた結果を示す。
中段:
LNCaP細胞(107個)をserum freeの培養液で24時間培養したあと、EGF:1ng/mlおよび各濃度の化合物B(10-6M, 5×10-6M, 10×10-6M )を加えMAPKのリン酸化を調べた結果を示す。
下段:
LNCaP細胞(107個)をserum freeの培養液で24時間培養したあと、IL-6:25ng/mlおよび各濃度の化合物B(10-6M, 5×10-6M, 10×10-6M )を加えMAPKのリン酸化を調べた結果を示す。

Claims (9)

  1. アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物である2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸またはその塩を含有してなるホルモン非依存性前立腺癌の治療・予防剤
  2. アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物である1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートまたはその塩を含有してなるホルモン非依存性前立腺癌の治療・予防剤
  3. アンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物である2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸またはその塩を含有してなるホルモン非依存性前立腺癌の治療・予防剤
  4. アンギオテンシンII拮抗作用を有する、2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートおよび2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸からなる群から選択される化合物またはその塩およびLH−RHアゴニストまたはアンタゴニストを組み合わせてなるホルモン非依存性前立腺癌の治療・予防剤。
  5. LH−RHアゴニストがリュープロレリンまたはその塩である請求項記載の剤。
  6. 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートおよび2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸からなる群から選択されるアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物またはその塩を含有してなるホルモン非依存性前立腺癌細胞増殖抑制剤。
  7. 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートおよび2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸からなる群から選択されるアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物またはその塩を含有してなるホルモン非依存性前立腺癌細胞のアポトーシス誘導剤。
  8. 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートおよび2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸からなる群から選択されるアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物またはその塩を含有してなる、細胞増殖因子による細胞内シグナル伝達抑制剤。
  9. 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートおよび2−エトキシ−1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸からなる群から選択されるアンギオテンシンII拮抗作用を有する化合物またはその塩を含有してなる、チロシンリン酸化抑制剤。
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