JP2004002321A - 性ホルモン依存性疾患治療剤 - Google Patents

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JP2004002321A JP2003062996A JP2003062996A JP2004002321A JP 2004002321 A JP2004002321 A JP 2004002321A JP 2003062996 A JP2003062996 A JP 2003062996A JP 2003062996 A JP2003062996 A JP 2003062996A JP 2004002321 A JP2004002321 A JP 2004002321A
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Takahito Hara
原  隆人
Masami Kusaka
日下 雅美
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

【課題】LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストとアンドロゲン受容体アゴニストの併用剤の提供。
【解決手段】LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストとアンドロゲン受容体アゴニストを組合わせてなる医薬。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩とアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩とを組合わせてなる新規医薬、非ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を含有してなる前立腺癌予防・治療剤および前立腺癌の治療法などに関する。
【0002】
【従来の技術】
性腺刺激ホルモン放出ホルモン(Gonadotropin releasing hormone; GnRH(LHRHとも呼ばれる))は、視床下部で産生されるアミノ酸10個からなるデカペプチドであり、下垂体前葉に存在すると考えられる受容体を介して黄体形成ホルモン(Luteinizing hormone:LH)や卵胞刺激ホルモン(Follicle stimulating hormone:FSH)などの分泌を調節し、その結果、***誘発など多岐にわたる生理活性を表すことが知られている。したがって、これらの受容体に対する特異的かつ選択的な拮抗薬あるいは作動薬は、視床下部から産生されるGnRHのホルモン作用を調節し、LHやFSHなどの下垂体前葉ホルモンの分泌を制御することになるため、女性ではエストロゲンの、男性ではテストステロンの分泌が抑制され、性ホルモン依存性疾患に対する予防あるいは治療効果を期待することができる。
例えば、性腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体のアゴニストである酢酸リュープロレリンは天然型GnRHの20ないし100倍の活性を有し、代謝も受けにくい化合物である。これを反復投与することにより、GnRH受容体のダウンレギュレーションを起こし、下垂体において性腺刺激ホルモンの放出、産生を低下させ、例えば精巣においては性腺刺激ホルモンに対する反応性の低下を起こし、テストステロンの産生能が去勢レベルまで低下し、卵巣においてはエストロゲンの産生能が低下する。その結果、こうしたホルモン依存性の疾患、例えば、前立腺癌、前立腺肥大症、男性化症、多毛症、男性型禿頭症、男児性早熟症、女児性早熟症、思春期早発症、乳癌、子宮癌、乳腺症、子宮筋腫、子宮内膜症などに有用な予防治療剤となりうる。実際、酢酸リュープロレリンは、前立腺癌、乳癌、子宮内膜症、子宮筋腫、思春期早発症などの治療薬として臨床で広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ある種の癌は極めて低濃度のホルモン(例えば、去勢レベルのアンドロゲン)でも増殖できる能力を獲得するものがある。本発明は、LHRHアゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩による各種ホルモン依存性の疾患の予防・治療効果を向上させる医薬および予防・治療方法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩と、ホルモン依存性疾患の憎悪因子であるアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を併用することにより、意外にもLHRHアゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩による各種疾病の予防・治療効果を著しく向上させることができ、また副作用を軽減することができることを見いだした。本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)1)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩と2)アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩とを組合わせてなる医薬;
(2)LHRH受容体アゴニストがリュープロレリンである前記(1)記載の医薬;
(3)アンドロゲン受容体アゴニストがステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストである前記(1)記載の医薬;
(4)ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストが、デヒドロエピアンドロステロン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステンジオン、メスタノロン、オキシメステロン、メタンドロステノロン、フルオキシメステロン、クロロテストステロン アセテート、メテノロン アセテート、オキシメトロン、スタノゾロール、フラザボール、オキサンドロロン、19−ノルテストステロン、ノルエタンドロロン、エチルエストレノールおよびノルボレトンからなる群より選ばれる1もしくは2以上の化合物またはその塩である前記(3)記載の医薬;
(5)アンドロゲン受容体アゴニストが非ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストである前記(1)記載の医薬;
(6)ホルモン依存性疾患の予防または治療剤である前記(1)記載の医薬;
(7)ホルモン依存性疾患が前立腺癌である前記(6)記載の医薬;
(8)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩を徐放性製剤または埋め込み剤として使用する前記(1)記載の医薬;
(9)徐放性製剤が徐放型マイクロカプセルである前記(8)記載の医薬;
(10)徐放型マイクロカプセルが2ヶ月以上にわたってLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩を放出する長期徐放型マイクロカプセルである前記(9)記載の医薬;
(11)アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を含有してなる骨転移性前立腺癌の予防または治療剤;
(12)骨転移性前立腺癌細胞がアンドロゲン高感受性である前記(11)記載の剤;
(13)アンドロゲン受容体アゴニストがステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストである前記(11)記載の剤;
(14)ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストが、デヒドロエピアンドロステロン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステンジオン、メスタノロン、オキシメステロン、メタンドロステノロン、フルオキシメステロン、クロロテストステロン アセテート、メテノロン アセテート、オキシメトロン、スタノゾロール、フラザボール、オキサンドロロン、19−ノルテストステロン、ノルエタンドロロン、エチルエストレノールおよびノルボレトンからなる群より選ばれる1もしくは2以上の化合物またはその塩である前記(13)記載の剤;
(15)アンドロゲン受容体アゴニストが非ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストである前記(11)記載の剤;
(16)非ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を含有してなる前立腺癌の予防または治療剤;
(17)前立腺癌細胞がアンドロゲン高感受性である前記(16)記載の剤;
(18)哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩を有効量投与し、前立腺癌細胞がアンドロゲン高感受性となった後、アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を有効量投与することを特徴とする前立腺癌の治療法;
(19)哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩を有効量投与し、乳癌または子宮癌細胞がエストロゲン高感受性となった後、エストロゲン受容体アゴニストまたはその塩を有効量投与することを特徴とする乳癌または子宮癌の治療法;
(20)哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩の有効量とアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩の有効量とを組合わせて投与することを特徴とする前立腺癌の治療法;
(21)哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩の有効量とエストロゲン受容体アゴニストまたはその塩の有効量とを組合わせて投与することを特徴とする乳癌または子宮癌の治療法;
(22)哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩の有効量とアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩の有効量とを組合わせて投与して前立腺癌を縮小した後、外科手術または放射線治療を行うことを特徴とする前立腺癌の治療法;
(23)哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩の有効量とエストロゲン受容体アゴニストまたはその塩の有効量とを組合わせて投与して乳癌または子宮癌を縮小した後、外科手術または放射線治療を行うことを特徴とする乳癌または子宮癌の治療法;
(24)1)アンドロゲン高感受性の前立腺癌細胞にアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を一定期間投与すること、2)その後当該癌細胞のアンドロゲン感受性が低下した場合はLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗アンドロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩を有効量投与し、当該癌細胞のアンドロゲン感受性が増大した場合はアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を有効量投与すること、および3)癌の治療目的が達成されるまで必要により2)の工程を繰り返すことからなる前立腺癌の治療法;
(25)1)アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩と2)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗アンドロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩とを交互に有効量投与する前記(24)記載の治療法;
(26)3ヶ月ないし5年の期間経過後に投与薬を切り替える前記(25)記載の治療法;
(27)1)エストロゲン高感受性の乳癌または子宮癌細胞にエストロゲン受容体アゴニストまたはその塩を一定期間投与すること、2)その後当該癌細胞のエストロゲン感受性が低下した場合はLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗エストロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩を有効量投与し、当該癌細胞のエストロゲン感受性が増大した場合はエストロゲン受容体アゴニストまたはその塩を有効量投与すること、および3)癌の治療目的が達成されるまで必要により2)の工程を繰り返すことからなる乳癌または子宮癌の治療法;
(28)1)エストロゲン受容体アゴニストまたはその塩と2)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗エストロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩とを交互に有効量投与する前記(27)記載の治療法;
(29)3ヶ月ないし5年の期間経過後に投与薬を切り替える前記(28)記載の治療法;
(30)骨転移性前立腺癌の予防または治療用剤の製造におけるアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩の使用;
(31)前立腺癌の予防または治療用剤の製造のための非ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩の使用;
(32)1)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩と2)アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩とを組合わせてなる医薬の製造におけるLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩の使用および
(33)1)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩と2)アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩とを組合わせてなる医薬の製造におけるアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩の使用などに関する。
さらに本発明は、
(34)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストがLHRH受容体アゴニストである前記(18)、(19)、(20)、(21)、(22)、(23)、(24)または(27)いずれか1項記載の治療法;
(35)LHRH受容体アゴニストがリュープロレリンである前記(34)記載の治療法;
(36)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストがLHRH受容体アンタゴニストである前記(18)、(19)、(20)、(21)、(22)、(23)、(24)または(27)いずれか1項記載の治療法;
(37)アンドロゲン受容体アゴニストがステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストである前記(18)、(20)、(22)または(24)いずれか1項記載の治療法;
(38)ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストが、デヒドロエピアンドロステロン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステンジオン、メスタノロン、オキシメステロン、メタンドロステノロン、フルオキシメステロン、クロロテストステロン アセテート、メテノロン アセテート、オキシメトロン、スタノゾロール、フラザボール、オキサンドロロン、19−ノルテストステロン、ノルエタンドロロン、エチルエストレノールおよびノルボレトンからなる群より選ばれる1もしくは2以上の化合物またはその塩である前記(37)記載の治療法;
(39)アンドロゲン受容体アゴニストが非ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストである前記(18)、(20)、(22)または(24)いずれか1項記載の治療法;
(40)アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を1日に0.001mgないし2000mg、1または複数回に分けて投与する前記(18)、(20)、(22)または(24)いずれか1項記載の治療法;
(41)エストロゲン受容体アゴニストがステロイド性または非ステロイド性エストロゲン受容体アゴニストである前記(19)、(21)、(23)または(27)いずれか1項記載の治療法および
(42)エストロゲン受容体アゴニストが、エストラジオール、エストロン、エストリオール、スティルベストロール、ジエチルスティルベストロールおよびヘキセストロールからなる群より選ばれる1もしくは2以上の化合物またはその塩である前記(19)、(21)、(23)または(27)いずれか1項記載の治療法などに関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明においてLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストとしては、例えば以下のものが用いられる。
LHRH受容体アゴニストとしては、例えば、トリートメント ウイズ LHRH アナログ:コントラバーシス アンド パースペクテイブ(Treatment withLHRH analogs: Controversies and perspectives)[パルテノン バブリッシング グループ(株)(The Parthenon Publishing Group Ltd.)発行1996年]、特表平3−503165号公報、特開平3−101695号、同7−97334号および同8−259460号公報などに記載されているペプチド類が用いられるが、具体例を示せば、例えば式:
(Pyr)Glu−R−Trp−Ser−R−R−R−Arg−Pro−R(I)
[式中、RはHis,Tyr,Trpまたはp−NH−Pheを;RはTyrまたはPheを;RはGlyまたは置換基を有していてもよいD型のアミノ酸残基を;RはLeu,IleまたはNleを;RはGly−NH−R(Rは水素原子または水酸基を有しまたは有しないアルキル基)、NH−R(Rは水素原子、アミノ基、水酸基を有するもしくは有しないアルキル基、またはウレイド基(−NH−CO−NH))を示す]で表されるペプチドまたはその塩が用いられる。
【0006】
前記式(I)中、RにおけるD型のアミノ酸残基としては、例えば炭素数が9までのα−D−アミノ酸(例、D−Leu,Ile,Nle,Val,Nval,Abu,Phe,Phg,Ser,Thr,Met,Ala,Trp,α−Aibu)などが用いられる。また、Rにおける置換基としては、例えばtert−ブチル、tert−ブトキシ、tert−ブトキシカルボニル、メチル、ジメチル、トリメチル、2−ナフチル、インドリル−3−イル、2−メチルインドリル、ベンジル−イミダゾ−2−イル等が用いられる。式(I)中、RまたはRにおけるアルキル基としては、例えばC1−4アルキル基が好ましく、その例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルが用いられる。
また、式(I)で表されるペプチド〔以下、ペプチド(I)と略記することがある〕の塩としては、例えば酸塩(例、炭酸塩、重炭酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩等),金属錯体化合物(例、銅錯体、亜鉛錯体等)が用いられる。ペプチド(I)またはその塩は、例えば米国特許第3,853,837号,同第4,008,209号,同第3,972,859号,英国特許第1,423,083号,プロシーデイングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ジ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proceedings of the NationalAcademy of Sciences of the United States of America)第78巻,第6509〜6512頁(1981年)等に記載の方法あるいはこれに準ずる方法により製造することができる。
【0007】
ペプチド(I)は、好ましくは下記の式(a)〜(j)のいずれかである。
(a)リュープロレリン〔Leuprorelin、式(I)においてR=His,R=Tyr,R=D−Leu,R=Leu,R=NHCH−CHであるペプチド〕;
(b)ゴナドレリン(Gonadrelin)
【化1】
Figure 2004002321
〔ドイツ特許第2213737号〕;
(c)ブセレリン(Buserelin)
【化2】
Figure 2004002321
〔米国特許第4024248号、ドイツ特許第2438352号、特開昭51−41359号〕;
【0008】
(d)トリプトレリン(Triptorelin)
【化3】
Figure 2004002321
〔米国特許第4010125号、特開昭52−31073号〕;
(e)ゴセレリン(Goserelin)
【化4】
Figure 2004002321
〔米国特許第4100274号、特開昭52−136172号〕;
(f)ナファレリン(Nafarelin)
【化5】
Figure 2004002321
〔米国特許第4234571号、特開昭55−164663号、特開昭63−264498号、特開昭64−25794号〕;
【0009】
(g)ヒストレリン(Histrelin)
【化6】
Figure 2004002321
(h)デスロレリン(Deslorelin)
【化7】
Figure 2004002321
〔米国特許第4569967号、米国特許第4218439号〕;
(i)メテレリン(Meterelin)
【化8】
Figure 2004002321
〔WO9118016〕;
(j)レシレリン(Lecirelin)
【化9】
Figure 2004002321
〔ベルギー特許第897455号、特開昭59−59654号〕等が用いられる。
前記した式(c)〜(j)において、式(I)のRに相当するアミノ酸はD−体である。ペプチド(I)またはその塩は、特に好ましくはリュープロレリンまたは酢酸リュープロレリンである。ここにおいて、酢酸リュープロレリンとは、リュープロレリンの酢酸塩である。
【0010】
LHRH受容体アンタゴニストとしては、例えば米国特許第4,086,219号,同第4,124,577号,同第4,253,997号,同第4,317,815号で開示されたもの、あるいは式:
【化10】
Figure 2004002321
〔式中、Xは水素またはテトラヒドロフリルカルボキサミドを、Qは水素またはメチルを、AはニコチノイルまたはN,N’−ジエチルアミジノを、BはイソプロピルまたはN,N’−ジエチルアミジノを示す〕で表されるペプチド〔以下、ペプチド(II)と略記することがある〕またはその塩が用いられる。式(II)において、Xは好ましくはテトラヒドロフリルカルボキサミド、さらに好ましくは(2S)−テトラヒドロフリルカルボキサミドである。また、Aは好ましくはニコチノイルである。Bは好ましくはイソプロピルである。また、ペプチド(II)が1種以上の不斉炭素原子を有する場合、2種以上の光学異性体が存在する。ペプチド(II)は、このような光学異性体として、またはこれら光学異性体の混合物として用いてもよい。
ペプチド(II)の塩としては、好ましくは、薬理学的に許容される塩が用いられる。このような塩としては、無機酸(例、塩酸,硫酸,硝酸など),有機酸(例、炭酸,重炭酸,コハク酸,酢酸,プロピオン酸,トリフルオロ酢酸など)などとの塩が用いられる。ペプチド(II)の塩は、さらに好ましくは有機酸(例、炭酸,重炭酸,コハク酸,酢酸,プロピオン酸,トリフルオロ酢酸など)との塩である。ペプチド(II)の塩は、特に好ましくは酢酸との塩である。これらの塩は、モノないしトリ塩のいずれであってもよい。
【0011】
ペプチド(II)またはその塩は、好ましくは下記の式(1)〜(4)である。
【化11】
Figure 2004002321
〔式中、mは1ないし3の実数を示す〕
(3)NAcD2Nal−D4ClPhe−D3Pal−Ser−Tyr−DhArg(Et)−Leu−hArg(Et)−Pro−DAlaNH
(4)NAcD2Nal−D4ClPhe−D3Pal−Ser−Tyr−DhArg(Et)−Leu−hArg(Et)−Pro−DAlaNH・n(CHCOOH)
〔式中、nは1ないし3の実数を示す〕
前記した式(2)および(4)は、塩または溶媒和物を示す。ペプチド(II)またはその塩は、さらに好ましくは前記(1)または(2)であり、特にこれらはS−アイソマーであることが好ましい。
ペプチド(II)またはその塩は、公知の方法、例えば特開平3−101695(EP−A 413209)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)、35巻、3942頁、(1992)などに記載の方法あるいはこれに類する方法により製造できる。
【0012】
さらにはLHRHの誘導体である直鎖状ペプチド(USP 5,140,009,USP 5,171,835)、環状ヘキサペプチド誘導体(特開昭61−191698号公報)、2環性ペプチド誘導体〔ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of MedicinalChemistry), 36巻, 3265−3273頁, 1993年〕などを用いることもできる。LHRH拮抗作用を有する非ペプチド性の化合物としては、特開昭62−116514号公報、WO95/28405号公報(特開平8−295693号)、WO97/14697号公報(特開平9−169767号)、WO97/14682号公報(特開平9−169735号)、WO96/24597号公報(特開平9−169768号)などおよびジャーナルオブメディシナルケミストリー(J. Med. Chem.)1989年、第32巻、第2036〜2038頁などに記載の化合物などを用いることができる。
LHRH受容体アンタゴニストとして特に好ましくはアバレリクス、ガニレリクス、セトロレリクス、5−(N−ベンジル−N−メチルアミノメチル)−1−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−[4−(3−メトキシウレイド)フェニル]−3−フェニルチエノ[2,3−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン、5−(N−ベンジル−N−メチルアミノメチル)−1−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−[4−(3−エチルウレイド)フェニル]−3−フェニルチエノ[2,3−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン、5−(N−ベンジル−N−メチルアミノメチル)−1−(2,6−ジフルオロベンジル)−6−[4−(3−エチルウレイド)フェニル]−3−フェニルチエノ[2,3−d]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン 塩酸塩などが用いられる。
【0013】
アンドロゲン受容体アゴニストとしては、ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストと非ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストを用いることができる。
ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストとしては、デヒドロエピアンドロステロン(dehydroepiandrosterone)、テストステロン(testosterone)、ジヒドロテストステロン(DHT: dihydrotestosterone)、アンドロステンジオン(androstendione)などの内因性アンドロゲンおよびメスタノロン(Mestanolone)、オキシメステロン(Oxymesterone)、メタンドロステノロン(Methandrostenolone)、フルオキシメステロン(Fluoxymesterone)、クロロテストステロン アセテート(Chlorotestosterone acetate)、メテノロン アセテート(Methenolone acetate)、オキシメトロン(Oxymetholone)、スタノゾロール(Stanozolol)、フラザボール(Furazabol)、オキサンドロロン(Oxandrolone)、19−ノルテストステロン(19−Nortestosterone)、ノルエタンドロロン(Norethandrolone)、エチルエストレノール(Ethylestrenol)、ノルボレトン(Norbolethone)などの合成アンドロゲン(アナボリックステロイド)などを用いることができる。
非ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストとしてはLGD−2226などを用いることができる。
アンドロゲン受容体アゴニストとしては、前記の化合物を単独でまたは2以上の化合物をあわせて用いることができるが、好ましくはテストステロン、ジヒドロテストステロンなどである。
【0014】
エストロゲン受容体アゴニストとしては、エストラジオール(estradiol)、エストロン(estrone)、エストリオール(estriol)などのステロイド性エストロゲン受容体アゴニスト;スティルベストロール(stilbestrol)、ジエチルスティルベストロール(diethylstilbestrol)、ヘキセストロール(hexestrol)などの合成エストロゲン(非ステロイド性エストロゲン)受容体アゴニストを用いることができる。
エストロゲン受容体アゴニストとしては、前記の化合物を単独でまたは2以上の化合物をあわせて用いることができるが、好ましくはエストラジオール、ジエチルスティルベストロールなどである。
非ステロイド性エストロゲン受容体アゴニストとしては、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン;ラロキシフェン、アルゾキシフェン、ラソフォキシフェン、TSE−424、SERM−3339またはSPC−8490などを用いることができる。
【0015】
本発明においてLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩とアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩とを組合わせてなる医薬(以下、本発明の併用剤と略記する場合がある)の投与形態は、特に限定されず、投与時に、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストとアンドロゲン受容体アゴニストとが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストとアンドロゲン受容体アゴニストとを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストとアンドロゲン受容体アゴニストとを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストとアンドロゲン受容体アゴニストとを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストとアンドロゲン受容体アゴニストとを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストとアンドロゲン受容体アゴニストとを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト;アンドロゲン受容体アゴニスト薬の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが用いられる。
【0016】
抗アンドロゲン薬および抗エストロゲン薬としては、ステロイド性もしくは非ステロイド性の抗アンドロゲン剤および抗エストロゲン剤を用いることができる。
抗アンドロゲン薬としては、例えば、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミドなどを用いることができ、抗エストロゲン薬としては、例えば、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン;ラロキシフェン、アルゾキシフェン、ラソフォキシフェン、TSE−424、SERM−3339またはSPC−8490などのSERM(selective estrogen receptor modulator)剤;ER down regulatorなどを用いることができるが、さらに抗アンドロゲンあるいは抗エストロゲン作用が知られている以下に示す薬剤なども用いることができる。
【0017】
本願における抗アンドロゲン薬および抗エストロゲン薬としては、さらに、例えば、ホスフェストロール、ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、ダナゾール、アリルエストレノール、ゲストリノン、メパルトリシン、ラロキシフェン、オルメロキフェン、レボルメロキシフェン、メピチオスタン、テストロラクトン、アミノグルテチイミド、ドロロキシフェン、エピチオスタノール、スルホン酸エチニルエストラジオール、アロマターゼ阻害薬(例えば、塩酸ファドロゾール、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタン、フィンゾロールなど)、5α−レダクターゼ阻害薬(例えば、フィナステリド、エプリステリド、デュタステリド、イゾンステリドなどの5α−レダクターゼ2阻害薬;WO93/23420号に記載の化合物、WO95/11254号に記載の化合物、4,7β−ジメチル−4−アザ−5α−コレスタン−3−オン、3−オキソ−4−アザ−4,7β−ジメチル−16β−(4−クロロフェノキシ)−5α−アンドロスタン、3−オキソ−4−アザ−4,7β−ジメチル−16β−(ファフキシ)−5α−アンドロスタンなどの5α−レダクターゼ1阻害薬;WO95/07927号に記載の化合物、3−オキソ−4−アザ−17β−(2,5−トリスルオロメチルフェイル−カルバモイル)−5α−アンドロスタンなどの5α−レダクターゼ1および5α−レダクターゼ2の二重阻害薬など)、副腎皮質ホルモン系薬剤(例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロンなど)、アンドロゲン合成阻害薬(例えば、アビラテロン、ケトコナゾール、17α−ヒドロキシラーゼ/C17−20リアーゼ阻害剤(C17,20リアーゼ阻害薬としては、ステロイドタイプの化合物および非ステロイドタイプの化合物を用いることができる。ステロイドタイプの化合物としては、例えば、WO92/15404、WO93/20097、EP−A288053、EP−A413270などに開示された化合物を用いることができ、非ステロイドタイプの化合物としては、例えば、特開昭64−85975に開示された(1H−イミダゾール−1−イル)メチル置換ベンズイミダゾール誘導体、WO94/27989、WO96/14090およびWO97/00257に開示されたカルバゾール誘導体、WO95/09157に開示されたアゾール誘導体、US5,491,161に開示された1H−ベンズイミダゾール誘導体、WO99/18075に開示されたジヒドロナフタレン誘導体、WO98/37070、WO99/54309、WO00/78727、WO01/30763、WO01/30762、WO01/30764などに開示された化合物を用いることができる。)など)、レチノイドおよびレチノイドの代謝を遅らせる薬剤(例えば、リアロゾールなど)などを用いることができる。
抗アンドロゲン薬として好ましくはビカルタミド、フルタミドなどである。
抗エストロゲン薬として好ましくはタモキシフェン、トレミフェン、アナストロゾール、レトロゾールなどである。
【0018】
ホルモン依存性疾患として具体的に例示すれば、例えば、性ホルモン依存性癌(例、前立腺癌、子宮癌、乳癌、下垂体腫瘍など)、前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋腫、思春期早発症、月経困難症、無月経症、月経前症候群、多嚢胞性卵巣症候群、前記癌の術後再発、小人症、アルツハイマー病、更年期障害、不定愁訴、前記癌の転移、カルシウム・リン骨代謝障害等の性ホルモン依存性の疾患および避妊(もしくは、その休薬後のリバウンド効果を利用した場合には、不妊症)、さらに性ホルモン非依存性であるがLHRH感受性である良性または悪性腫瘍などが挙げられる。
本願発明の医薬は、前記ホルモン依存性疾患の予防・治療に用いることができるが、特に性ホルモン依存性癌の予防・治療に用いることが好ましく、より好ましくは、前立腺癌(リンパ転移性前立腺癌、骨転移性前立腺癌を含む)、子宮癌、乳癌の予防・治療に用いることである。
【0019】
癌の治療目的とは、もちろん癌の消滅・完治であるが、癌の体積などの縮小や維持もこれらに含まれる。この治療の目的は医療現場で適宜設定される。
哺乳動物とは、温血で肺によって呼吸する脊椎動物をいい、例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ウマなどを挙げることができる。
骨転移性前立腺癌とは、例えばMDA PCa 2bが樹立されたような骨組織に転移する癌をいう。
【0020】
アンドロゲン高感受性前立腺癌細胞の作出法
アンドロゲン高感受性の前立腺癌細胞は、前立腺癌細胞(例えばLNCaP−FGCやMDA PCa 2b細胞株(これらの株はATCCから入手できる)など)をチャコール処理をした血清を含む培養液で培養することにより得ることができる。3〜8ヶ月培養を継続するのが好ましい。
エストロゲン高感受性乳癌細胞&子宮癌細胞の作出法
同様にしてエストロゲン高感受性の乳または子宮癌細胞は、乳または子宮癌細胞(例えばMCF−7細胞株(これらの株はATCCから入手できる)など)をチャコール処理をした血清を含む培養液で培養することにより得ることができる。3〜8ヶ月培養を継続するのが好ましい。
【0021】
癌細胞のアンドロゲン感受性は、癌のアンドロゲン受容体アゴニストに対する反応性をみることにより測定することができる。
具体的には、癌細胞をアンドロゲン存在下培養することにより測定することができ、生体内における通常のテストステロン濃度(測定方法によっても異なるが、たとえば2.5〜11ng/ml:臨床検査ガイド ’95、文光堂)に相当する環境において、増殖が促進されれば通常の感受性であり、当該環境で癌細胞の増殖が抑制されるもしくは去勢時のテストステロン濃度に相当する環境において増殖が促進されれば、アンドロゲン感受性が高まっているといえる。
【0022】
同様にして癌細胞のエストロゲン感受性は、癌のエストロゲン受容体アゴニストに対する反応性をみることにより測定することができる。
具体的には、癌細胞をエストロゲン存在下培養することにより測定することができ、生体内における通常のエストロゲン濃度(測定方法によっても異なるが、たとえばエストラジオールであれば20〜500pg/ml:臨床検査ガイド’95、文光堂)に相当する環境において、増殖が促進されれば通常の感受性であり、当該環境で癌細胞の増殖が抑制されるもしくは閉経時のエストロゲン濃度に相当する環境において増殖が促進されれば、エストロゲン感受性が高まっているといえる。
【0023】
一般的な前立腺癌、乳癌、子宮癌の診断方法(例えば、Garnick,M., Scientific American, 270, p72−81, 1994; Garnick,M, Annals of Internal Medicine, 118, p803−818, 1993)により、癌細胞の性ホルモン(アンドロゲン及びエストロゲン)に対する感受性を(例えば癌細胞の増殖の増減によって間接的に)測定することも可能である。また通常行われているように、直腸検査、触診、超音波検査、磁気共鳴イメージング(MRI)、X線、静脈内腎盂造影、CATスキャン、バイオプシーなどによって前立腺(腫瘍)、乳癌、子宮癌のサイズなどを測定することにより治療効果を決定することによっても薬剤投与切り替えのタイミングなどを決定する重要な情報とすることができる。
また前立腺癌の進行の程度は、前立腺特異的な抗原であるPSA(prostatic specific antigen、前立腺特異抗原)を検出することによっても簡単に行うことができる。
【0024】
本発明において、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストとアンドロゲン受容体アゴニストを組合わせて使用する場合、アンドロゲン受容体アゴニストと、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗アンドロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩とを組合わせて使用する場合、エストロゲン受容体アゴニストと、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗エストロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩とを組合わせて使用する場合、骨転移性前立腺癌の予防・治療剤としてアンドロゲン受容体アゴニストを投与する場合、前立腺癌予防・治療剤として非ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストを投与する場合、各薬物は以下の量投与されるが、併用する薬剤、剤形、症状、投与期間などによって適宜増減して用いることができ、各々1日に1回から複数回に分けて投与することができる。
本発明において、LHRH受容体アゴニストの投与量は、たとえば、1回あたり、約0.01mgないし100mg/kg体重、好ましくは約0.02mgないし50mg/kg体重、さらに好ましくは0.05mgないし20mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。
また、上記製剤を注射剤として投与する場合、成人の患者(体重60kgに対し)においては、一回につきLHRH受容体アゴニストを通常約0.01から50mg程度、好ましくは約0.1から20mg程度、より好ましくは約0.1から15mg程度を皮下あるいは筋肉内に投与すればよい。また、上記のLHRH受容体アゴニストを含有してなる徐放型マイクロカプセルを含有する注射剤として投与する場合には、徐放型マイクロカプセルの薬物徐放期間によって、投与量が異なり、例えば、約1ヶ月に一回の投与を行う場合には、成人の患者(体重60kgに対し)において、一回につきLHRH受容体アゴニストを通常約0.01から20mg程度、好ましくは約0.1から10mg程度、より好ましくは約0.1から5mg程度を皮下あるいは筋肉内に投与すればよく、例えば、約3ヶ月に一回の投与を行う場合には、成人の患者(体重60kgに対し)において、一回につきLHRH受容体アゴニストを通常約0.1から30mg程度、好ましくは約0.1から20mg程度、より好ましくは約1から15mg程度を皮下あるいは筋肉内に投与すればよい。
LHRH受容体アンタゴニストの投与量は、好ましくは約1〜3000μg/kg/日、より好ましくは約1〜2000μg/kg/日、さらに好ましくは約1〜1000μg/kg/日である。
アンドロゲン受容体アゴニストの投与量は0.001mg〜2000mg/kg/日、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは、約0.01〜100mg程度であり、これを通常1日1〜4回に分けて投与する。
エストロゲン受容体アゴニストの投与量は0.001mg〜2000mg/kg/日、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは、約0.01〜100mg程度であり、これを通常1日1〜4回に分けて投与する。
抗アンドロゲン薬の投与量は0.001mg〜2000mg/kg/日、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは、約0.01〜100mg程度であり、これを通常1日1〜4回に分けて投与する。
抗エストロゲン薬の投与量は0.001mg〜2000mg/kg/日、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは、約0.01〜100mg程度であり、これを通常1日1〜4回に分けて投与する。
【0025】
本発明医薬は、剤型、投与方法、担体等により異なるが、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト、アンドロゲン受容体アゴニスト、エストロゲン受容体アゴニスト、抗アンドロゲン薬または抗エストロゲン薬などを製剤全量に対して通常0.1〜95%(w/w)含有させることにより、常法に従って製造することができる。
また、(1)本発明医薬の有効量を投与することと、(2)▲1▼さらに他の抗癌剤の有効量を投与すること、▲2▼さらに他のホルモン療法剤の有効量を投与すること、および▲3▼非薬剤療法から成る群から選ばれる1〜3種とを組合わせることにより、より効果的に癌を予防・治療することができる。非薬剤療法としては、例えば、手術、放射線療法、遺伝子療法、温熱療法、凍結療法、レーザー灼熱療法などが挙げられ、これらを2種以上組合わせることもできる。
例えば、本発明化合物は、他のホルモン療法剤、抗癌剤(例えば、化学療法剤、免疫療法剤、または細胞増殖因子ならびにその受容体の作用を阻害する薬剤)など(以下、併用薬物と略記する)とを併用して使用することができる(以下、併用剤と略記する)。
本発明の化合物は単剤として使用しても優れた抗癌作用を示すが、さらに上記併用薬物の一つまたは幾つかと併用(多剤併用)することによって、その効果をより一層増強させることができる。
【0026】
また、本発明の医薬または本発明の併用剤を、例えば(1)手術、(2)アンジオテンシンIIなどを用いる昇圧化学療法、(3)遺伝子療法、(4)温熱療法、(5)凍結療法、(6)レーザー焼灼法、(7)放射線療法などの非薬剤療法と組合わせることもできる。
例えば、本発明の医薬または本発明の併用剤を手術等の前または後に、あるいはこれら2、3種を組合わせた治療前または後に使用することによって、耐性発現の阻止、無病期(Disease−Free Survival)の延長、癌転移あるいは再発の抑制、延命などの効果が得られる。
また、本発明の医薬または本発明の併用剤による治療と、支持療法〔(i)各種感染病の併発に対する抗生物質(例えば、パンスポリンなどのβ−ラクタム系、クラリスロマイシンなどのマクロライド系など)の投与、(ii)栄養障害改善のための高カロリー輸液、アミノ酸製剤、総合ビタミン剤の投与、(iii)疼痛緩和のためのモルヒネ投与、(iv)悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、白血球減少、血小板減少、ヘモグロビン濃度低下、脱毛、肝障害、腎障害、DIC、発熱などのような副作用を改善する薬剤の投与および(v)癌の多剤耐性を抑制するための薬剤の投与など〕を組合わせることもできる。
前記の処置を施す前または施した後に、本発明の医薬または本発明の予防・治療剤を経口投与(徐放性を含む)、静脈内投与(bolus、infusion、包接体を含む)、皮下および筋注(bolus、infusion、徐放性を含む)、経皮、腫瘍内および近位投与によって投与するのが好ましい。
【0027】
手術等の前に本発明の医薬または本発明の併用剤を投与する場合の時期としては、例えば、手術等の約30分〜24時間前に1回投与することもできるし、あるいは手術等の約3ヶ月〜6ヶ月前に1〜3サイクルに分けて投与することもできる。このように、手術等の前に本発明の医薬または本発明の併用剤を投与することにより、例えば癌組織を縮小させることができるので、手術等がしやすくなる。
手術等の後に本発明の医薬または本発明の併用剤を投与する場合の時期としては、手術等の約30分〜24時間後に、例えば数週間〜3ヶ月単位で反復投与することができる。このように、手術等の後に本発明の医薬または本発明の併用剤を投与することにより、手術等の効果を高めることができる。
【0028】
本発明の治療法は
(1)哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩を有効量投与し、前立腺癌細胞がアンドロゲン高感受性となった後、アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を有効量投与することを特徴とする前立腺癌の治療法であり、
(2)哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩の有効量とアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩の有効量とを組合わせて投与することを特徴とする前立腺癌の治療法であり、
(3)哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩の有効量とアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩の有効量とを組合わせて投与して前立腺癌を縮小した後、外科手術または放射線治療を行うことを特徴とする前立腺癌の治療法であり、
(4a)1)アンドロゲン高感受性の前立腺癌細胞にアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を一定期間投与すること、2)その後当該癌細胞のアンドロゲン感受性が低下した場合はLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗アンドロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩を有効量投与し、当該癌細胞のアンドロゲン感受性が増大した場合はアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を有効量投与すること、および3)癌の治療目的が達成されるまで必要により2)の工程を繰り返すことからなる前立腺癌の治療法であり、
(4b)1)アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩と2)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗アンドロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩とを交互に有効量投与する前記(4a)の治療法であり、
(4c)3ヶ月ないし5年の期間経過後に投与薬を切り替える前記(4b)の治療法である。
【0029】
一定期間(例えば3ヶ月から5年)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩を有効量投与することにより、前立腺癌細胞のアンドロゲン感受性が高まる。その後アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を有効量投与することにより前立腺癌細胞の増殖を抑えまたは癌を縮小させることができる。アンドロゲン受容体アゴニストの投与を続け、前立腺癌細胞のアンドロゲン感受性が再び普通の細胞のレベルに戻るか、当該前立腺癌の増殖が始まった(腫瘍体積などが増加した)場合には、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗アンドロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩の投与に切り替え、その後このような癌のアンドロゲン感受性によって、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗アンドロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩(癌細胞のアンドロゲン感受性が通常の細胞[例えばLNCaP 104−S細胞(Cancer Res, 54, p1566−1573)、LNCaP−FGC細胞など]と同レベルの場合)を投与するか、アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩(癌細胞のアンドロゲン感受性が通常の細胞よりも高い場合[例えばLNCaP 104−R2細胞(Cancer Res, 54, p1566−1573)、LNCaP−hr細胞など])投与するか選択して切り替えることにより、前立腺癌に対して最適の治療を行うことが可能となる。
これらの投与の切り替えタイミングは治療毎に適宜設定できるが、例えば3ヶ月から5年、好ましくは6ヶ月年から4年、より好ましくは1年から3年、さらに好ましくは1年から2年のレンジで行うことができる。
したがって、一定期間LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばLHRH受容体アゴニストなど)などの投与によりMAB(Maximum androgen blockade)療法などが行われた場合は前立腺癌のアンドロゲン感受性が高まっている可能性が高く、本願発明のアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩との併用による治療法が効果を発揮する。この場合、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストの投与を続けながらアンドロゲン受容体アゴニストを投与することもできるし(これによりLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストの間歇療法に似た状態を、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストの投与を続けながら行うことができるようになる)、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストの投与を中止してアンドロゲン受容体アゴニスト投与に切り替えることもでき、双方の場合が本願発明に含まれる。
前立腺癌のアンドロゲン感受性は、前記のアンドロゲンへの反応性をみる方法で測定することもできるが、一定薬物投与下の腫瘍マーカーや生理学的指標、腫瘍体積などの増減で推定することもできる。
【0030】
また、本発明治療法は、
(5)哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩を有効量投与し、乳癌または子宮癌細胞がエストロゲン高感受性となった後、エストロゲン受容体アゴニストまたはその塩を有効量投与することを特徴とする乳癌または子宮癌の治療法であり、
(6)哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩の有効量とエストロゲン受容体アゴニストまたはその塩の有効量とを組合わせて投与することを特徴とする乳癌または子宮癌の治療法であり、
(7)哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩の有効量とエストロゲン受容体アゴニストまたはその塩の有効量とを組合わせて投与して乳癌または子宮癌を縮小した後、外科手術または放射線治療を行うことを特徴とする乳癌または子宮癌の治療法であり、
(8a)1)エストロゲン高感受性の乳癌または子宮癌細胞にエストロゲン受容体アゴニストまたはその塩を一定期間投与すること、2)その後当該癌細胞のエストロゲン感受性が低下した場合はLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗エストロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩を有効量投与し、当該癌細胞のエストロゲン感受性が増大した場合はエストロゲン受容体アゴニストまたはその塩を有効量投与すること、および3)癌の治療目的が達成されるまで必要により2)の工程を繰り返すことからなる乳癌または子宮癌の治療法であり、
(8b)1)エストロゲン受容体アゴニストまたはその塩と2)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗エストロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩とを交互に有効量投与する前記(8a)記載の治療法であり、
(8c)3ヶ月ないし5年の期間経過後に投与薬を切り替える前記(8b)記載の治療法である。
【0031】
前記と同様にして一定期間(例えば3ヶ月から5年)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩を有効量投与することにより、乳または子宮癌細胞のエストロゲン感受性が高まる。その後エストロゲン受容体アゴニストまたはその塩を有効量投与することにより乳または子宮癌細胞の増殖を抑えまたは癌を縮小させることができる。エストロゲン受容体アゴニストの投与を続け、乳または子宮癌細胞のエストロゲン感受性が再び普通の細胞のレベルに戻るか、当該乳または子宮癌の増殖が始まった(腫瘍体積などが増加した)場合には、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗エストロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩の投与に切り替え、その後このような癌のエストロゲン感受性によって、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗エストロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩(癌細胞のエストロゲン感受性が通常の細胞と同レベルの場合)を投与するか、エストロゲン受容体アゴニストまたはその塩(癌細胞のエストロゲン感受性が通常の細胞よりも高い場合)投与するか選択して切り替えることにより、乳または子宮癌に対して最適の治療を行うことが可能となる。
これらの投与の切り替えタイミングは治療毎に適宜設定できるが、例えば3ヶ月から5年、好ましくは6ヶ月年から4年、より好ましくは1年から3年、さらに好ましくは1年から2年のレンジで行うことができる。
したがって、一定期間LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばLHRH受容体アゴニストなど)などの投与が行われた場合は乳または子宮癌のエストロゲン感受性が高まっている可能性が高く、本願発明のエストロゲン受容体アゴニストまたはその塩との併用による治療法が効果を発揮する。この場合、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストの投与を続けながらエストロゲン受容体アゴニストを投与することもできるし、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストの投与を中止してエストロゲン受容体アゴニスト投与に切り替えることもでき、双方の場合が本願発明に含まれる。
乳または子宮癌のエストロゲン感受性は、前記のエストロゲンへの反応性をみる方法で測定することもできるが、一定薬物投与下の腫瘍マーカーや生理学的指標、腫瘍体積などの増減で推定することもできる。
【0032】
前記のLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばLHRH受容体アゴニスト、好ましくはリユープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、徐放性製剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤、徐放性製剤(特に徐放型マイクロカプセル)などの注射剤、埋め込み剤(生体内分解性ポリマーを基材として成型されたもの、チタンなどの生体内適合性金属の筒に封入され、一定速度で活性成分を放出するもの)、生体に投与可能な有機溶媒に生体内分解性ポリマーおよび薬物を溶解あるいは分散した注射剤、または溶液、懸濁液剤などの経鼻投与製剤の形で非経口的に投与できるが、好ましくは徐放性製剤として、特に好ましくは徐放性注射剤として投与される。また、徐放性製剤が徐放型マイクロカプセルである場合、2カ月以上にわたってLHRH受容体アゴニストあるいはアンタゴニストを放出する長期徐放型マイクロカプセルであることが好ましい。
リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリンを生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって前記製剤を製造することができる。
【0033】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80(TM)、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、前記製剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプル、バイアルなどの密封容器に充填される。
前記のLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を含有してなる徐放性製剤(特に徐放型マイクロカプセル)は、公知の方法、例えば、特開昭60−100516号、特開昭62−201816号、特開平4−321622号、特開平6−192068号、特開平9−132524号、特開平9−221417号、特開平11−279054号、WO99/360099号公報などに記載の方法に従って製造することができる。
前記の徐放性製剤の中でも、特に特開平4−321622号に記載されている「2カ月以上にわたって生理活性物質をゼロ次放出する長期徐放型マイクロカプセル」が好ましく用いられる。
【0034】
前記徐放型マイクロカプセルの製造方法の一例を以下に記載する。
まず、水にLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を約20%ないし70%(W/W)、好ましくは25〜65%(W/W)、より好ましくは35〜60%(W/W)溶解し、これに必要であればゼラチン、あるいは塩基性アミノ酸などの薬物保持物質を溶解もしくは懸濁し、内水相液とする。
これらの内水相液中には、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばLHRH受容体アゴニスト、好ましくはリユープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)の安定性、溶解性を保つためのpH調整剤として、炭酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、リン酸、塩酸、水酸化ナトリウム、アルギニン、リジンおよびそれらの塩などを添加してもよい。また、さらにLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばLHRH受容体アゴニスト、好ましくはリユープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)の安定化剤として、アルブミン、ゼラチン、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、デキストリン、亜硫酸水素ナトリウム、ポリエチレングリコールなどのポリオール化合物などを、あるいは保存剤として、一般に用いられるパラオキシ安息香酸エステル類(メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、ベンジルアルコール、クロロブタノール、チメロサールなどを添加してもよい。
このようにして得られた内水相液を、高分子重合物を含む溶液(油相)中に加え、ついで乳化操作を行い、W/O型乳化物をつくる。該乳化操作は、公知の分散法が用いられ、たとえば、断続振とう法、プロペラ型攪はん機あるいはタービン型攪はん機などのミキサーによる方法、コロイドミル法、ホモジナイザー法、超音波照射法などが用いられる。
【0035】
ついで、このようにして調製されたW/O型エマルションをマイクロカプセル化工程に付するが、該工程としては水中乾燥法あるいは相分離法が適用できる。水中乾燥法によりマイクロカプセルを製する場合は、該W/Oエマルションをさらに第3相目の水相中に加え、W/O/W型の3相エマルションを形成させた後、油相中の溶媒を蒸発させ、マイクロカプセルを調製する。
前記外相の水相中に乳化剤を加えてもよく、その例としては、一般に安定なO/W型エマルションを形成するものであればいずれでもよいが、たとえば、アニオン界面活性剤(オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル[Tween80、Tween60、アトラスパウダー社]、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体[HCO−60、HCO−50、日光ケミカルズ]など)、あるいはポリビニールピロリドン、ポリビニールアルコール、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチンなどが挙げられ、これらの中の1種類か、いくつかを組合わせて使用してもよい。使用の際の濃度は、約0.01%から20%の範囲から適宜選択でき、より好ましくは約0.05%から10%の範囲で用いられる。
油相の溶媒の蒸発には、通常用いられる方法が採用される。該方法としては、プロペラ型攪はん機、あるいはマグネチックスターラーなどで攪はんしながら徐々に減圧して行うか、ロータリーエバポレーターなどを用いて、真空度を調節しながら行う。この場合、高分子重合物の固化がある程度進行した時点で、溶媒の脱着をより完全にする目的で、W/O/W型エマルションを徐々に加温して行うと所要時間を短縮することができる。
【0036】
このようにして得られたマイクロカプセルは遠心分離あるいは濾過して分取した後、マイクロカプセルの表面に付着している遊離のLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)、薬物保持物質、乳化剤などを、蒸留水で数回繰り返し洗浄した後、再び、蒸留水などに分散して凍結乾燥する。この際に凝集防止剤(たとえば、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、ブドウ糖など)を加えてもよい。必要であれば加温し、減圧下でマイクロカプセル中の水分および有機溶媒の脱離をより完全に行う。
相分離法によりマイクロカプセルを製する場合は、該W/Oエマルションに攪はん下、コアセルベーション剤を徐々に加え、高分子重合物を析出、固化させる。
コアセルベーション剤としては、高分子重合物の溶剤に混和する高分子系、鉱物油系または、植物油系の化合物で、カプセル化用重合体を溶解しないものであればよく、例えば、シリコン油、ゴマ油、大豆油、コーン油、綿実油、ココナツ油、アマニ油、鉱物油、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどが用いられる。これらは2種以上混合して用いてもよい。
このようにして得られたマイクロカプセルは、濾過して分取した後、ヘプタン等により繰り返し洗浄し、コアセルベーション剤を除去する。さらに、水中乾燥法と同様の方法で遊離薬物の除去、溶媒の脱離を行う。洗浄中の粒子同志の凝集を防ぐために、凝集防止剤を加えてもよい。
前記で得られたマイクロカプセルは、必要であれば軽く粉砕した後、篩過して、大きすぎるマイクロカプセル部分を除去する。マイクロカプセルの粒子径は、平均径として約0.5〜1000μmの範囲が挙げられ、より好ましくは約2〜500μmの範囲にあることが望まれる。懸濁注射剤として使用する場合には、その分散性、通針性を満足させる範囲であればよく、たとえば、約2ないし100μmの範囲にあることが望ましい。
【0037】
前記高分子重合物としては、生体内分解性ポリマー、例えば、α−ヒドロキシモノカルボン酸類(例、グリコール酸、乳酸等)、α−ヒドロキシジカルボン酸類(例、リンゴ酸)、α−ヒドロキシトリカルボン酸(例、クエン酸)等のα−ヒドロキシカルボン酸類の1種以上から合成され、遊離のカルボキシル基を有する重合体、共重合体、またはこれらの混合物;ポリ(α−シアノアクリル酸エステル);ポリアミノ酸(例、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタミン酸)等);無水マレイン酸系共重合体(例、スチレン−マレイン酸共重合体等)などが用いられる。
モノマーの結合様式としては、ランダム、ブロック、グラフトのいずれでもよい。また、前記α−ヒドロキシモノカルボン酸類、α−ヒドロキシジカルボン酸類、α−ヒドロキシトリカルボン酸類が分子内に光学活性中心を有する場合、D−、L−、DL−体のいずれを用いてもよい。これらの中でも、乳酸−グリコール酸重合体(以下、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)あるいは乳酸−グリコール酸共重合体と称することもあり、特に明示しない限り、乳酸、グリコール酸のホモポリマー(重合体)及びコポリマー(共重合体)を総称する。また乳酸ホモポリマーは乳酸重合体、ポリ乳酸、ポリラクチドなどと、またグリコール酸ホモポリマーはグリコール酸重合体、ポリグリコール酸、ポリグリコリドなどと称される場合がある)、ポリ(α−シアノアクリル酸エステル)などが好ましい。さらに好ましくは、乳酸−グリコール酸重合体であり、より好ましくは、末端に遊離のカルボキシル基を有する乳酸−グリコール酸重合体である。
生体内分解性ポリマーは塩であってもよい。塩としては、例えば、無機塩基(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属など)や有機塩基(例、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類等)などとの塩、または遷移金属(例,亜鉛,鉄,銅など)との塩および錯塩などが用いられる。
【0038】
生体内分解性ポリマーとして乳酸−グリコール酸重合体を用いる場合、その組成比(モル%)は約100/0〜約40/60が好ましく、約100/0〜約50/50がより好ましい。また、2カ月以上にわたって生理活性物質をゼロ次放出する長期徐放型マイクロカプセルの場合、組成比が100/0である乳酸ホモポリマーも好ましく用いられる。
該「乳酸−グリコール酸重合体」の最小繰り返し単位の一つである乳酸の光学異性体比は、D−体/L−体(モル/モル%)が約75/25〜約25/75の範囲のものが好ましい。このD−体/L−体(モル/モル%)は、特に約60/40〜約30/70の範囲のものが汎用される。
該「乳酸−グリコール酸重合体」の重量平均分子量は、通常、約3,000〜約100,000、好ましくは約3,000〜約60,000、さらに好ましくは約3,000〜約50,000のものが用いられる。
また、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、通常約1.2〜約4.0が好ましく、さらには約1.5〜3.5が特に好ましい。
該「乳酸−グリコール酸重合体」の遊離のカルボキシル基量は、重合体の単位質量(グラム)あたり通常約20〜約1000μmol(マイクロモル)が好ましく、さらには約40〜約1000μmol(マイクロモル)が特に好ましい。
前記の重量平均分子量、数平均分子量および分散度とは、重量平均分子量が1,110,000、707,000、455,645、354,000、189,000、156,055、98,900、66,437、37,200、17,100、9,830、5,870、2,500、1,303、504の15種類の単分散ポリスチレンを基準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の分子量および算出した分散度をいう。測定は、高速GPC装置(東ソー製、HLC−8120GPC、検出方式は示差屈折率による)、GPCカラムKF804L×2(昭和電工製)を使用し、移動相としてクロロホルムを用いる。流速は1ml/minで行う。
【0039】
前記の遊離のカルボキシル基量とはラベル化法により求めたもの(以下、「ラベル化法によるカルボキシル基量」と称する)をいう。具体的にポリ乳酸の場合について述べると、ポリ乳酸 Wmgを5N塩酸/アセトニトリル(v/v=4/96)混液2mlに溶解し、0.01M o−ニトロフェニルヒドラジン塩酸塩(ONPH)溶液(5N塩酸/アセトニトリル/エタノール=1.02/35/15)2mlと0.15M 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩溶液(ピリジン/エタノール=4v/96v)2mlを加えて40℃で30分反応させた後溶媒を留去する。残渣を水洗(4回)した後、アセトニトリル2mlで溶解し、0.5mol/lのエタノール性水酸化カリウム溶液1mlを加えて60℃で30分反応させる。反応液を1.5N水酸化ナトリウム水溶液で希釈してYmlとし、1.5N水酸化ナトリウム水溶液を対象として544nm吸光度A(/cm)を測定する。一方、DL−乳酸水溶液を基準物質として、その遊離カルボキシル基量 Cmol/Lをアルカリ滴定で求め、またONPHラベル化法でDL−乳酸ヒドラジドとしたときの544nm吸光度を B(/cm)とするとき、重合体の単位質量(グラム)あたりの遊離のカルボキシル基のモル量は以下の数式で求められる。
[COOH](mol/g)=(AYC)/(WB)
また、該「カルボキシル基量」は生体内分解性ポリマーをトルエン−アセトン−メタノール混合溶媒に溶解し、フェノールフタレインを指示薬としてこの溶液をアルコール性水酸化カリウム溶液でカルボキシル基を滴定して求めることもできる(以下、この方法によって求めた値を「アルカリ滴定法によるカルボキシル基量」と称する)が、滴定中にポリエステル主鎖の加水分解反応を競合する結果、滴定終点が不明確になる可能性があり前記ラベル化法で定量するのが望ましい。
【0040】
該「乳酸−グリコール酸重合体」は、例えば、乳酸とグリコール酸からの無触媒脱水重縮合(特開昭61−28521号)あるいはラクチドとグリコリド等の環状ジエステル化合物からの触媒を用いた開環重合(Encyclopedic Handbook ofBiomaterials and Bioengineering Part A: Materials, Volume 2, Marcel Dekker, Inc. 1995年)で製造できる。前記の公知の開環重合方法によって得られる重合体は、得られる重合体の末端に遊離のカルボキシル基を有しているとは限らないが、例えば、EP−A−0839525号に記載の加水分解反応に付すことにより、単位質量当たりにある程度のカルボキシル基量を有する重合体に改変することができ、これを用いることもできる。
前記の「末端に遊離のカルボキシル基を有する乳酸−グリコール酸重合体」は公知の製造法(例えば無触媒脱水重縮合法、特開昭61−28521号公報参照)と同様の方法またはそれに準じた方法により製造できる。
該マイクロカプセルを注射剤とするには、マイクロカプセルを分散剤(例、Tween80、HCO−60、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、保存剤(例、メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖など)などと共に水性懸濁剤とするかゴマ油、コーン油などの植物油と共に分散して油性懸濁剤とし、実際に使用できる徐放性注射剤とする。
【0041】
前記のLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばLHRH受容体アゴニスト、好ましくはリユープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を含有してなる剤(例えばLHRH受容体アゴニスト、好ましくはリユープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を含有してなる徐放型マイクロカプセルを含有してなる剤)は、そのまま皮下、筋肉内、血管など(好ましくは皮下など)に容易に注射剤および埋め込み剤など(好ましくは注射剤など)として投与することができる。また、その他前記の種々の製剤に成形して投与することもでき、そのような製剤を製造する際の原料物質としても使用され得る。
また、前記製剤の投与量は、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばLHRH受容体アゴニスト、好ましくはリユープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)の含量、剤形、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばLHRH受容体アゴニスト、好ましくはリユープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)の持続時間、投与対象動物[例、温血哺乳動物(例、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマなど)]により種々異なるが、該LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばLHRH受容体アゴニスト、好ましくはリユープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)の医薬としての有効量であればよい。たとえば、前記温血哺乳動物に1回あたり投与量として、約0.01mgないし100mg/kg体重、好ましくは約0.02mgないし50mg/kg体重、さらに好ましくは0.05mgないし20mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。
【0042】
また、前記製剤を注射剤として投与する場合、成人の前立腺癌の患者(体重60kgに対し)においては、一回につきLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばLHRH受容体アゴニスト、好ましくはリユープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を通常約0.01から50mg程度、好ましくは約0.1から20mg程度、より好ましくは約0.1から15mg程度を皮下あるいは筋肉内に投与すればよい。また、前記のLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばLHRH受容体アゴニスト、好ましくはリユープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を含有してなる徐放型マイクロカプセルを含有する注射剤として投与する場合には、徐放型マイクロカプセルの薬物徐放期間によって、投与量が異なり、例えば、約1ヶ月に一回の投与を行う場合には、成人の前立腺癌の患者(体重60kgに対し)において、一回につきLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばLHRH受容体アゴニスト、好ましくはリユープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を通常約0.01から20mg程度、好ましくは約0.1から10mg程度、より好ましくは約0.1から5mg程度を皮下あるいは筋肉内に投与すればよく、例えば、約3ヶ月に一回の投与を行う場合には、成人の前立腺癌の患者(体重60kgに対し)において、一回につきLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばLHRH受容体アゴニスト、好ましくはリユープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を通常約0.1から30mg程度、好ましくは約0.1から20mg程度、より好ましくは約1から15mg程度を皮下あるいは筋肉内に投与すればよい。
他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0043】
前記したLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストとその他の種々の併用薬物とを組合わせることにより、
(1)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニスト、または併用薬物を単独で投与する場合に比べて、その投与量を軽減することができ、副作用を軽減することができる、
(2)患者の症状(軽症、重症など)に応じて、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストと併用する薬物を選択することができる、
(3)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストと作用機序が異なる併用薬物を選択することにより、治療期間を長く設定することができる、
(4)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストと作用機序が異なる併用薬物を選択することにより、治療効果の持続を図ることができる、
(5)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストと併用薬物とを併用することにより、相乗効果が得られる、
(6)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストと併用薬物とを併用することにより、Add−Back療法が可能となる、
(7)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストと併用薬物とを併用することにより、MAB(Maximum androgen blockade)療法が可能となる、などの優れた効果を得ることができる。
【0044】
Add−Back療法とは、LHRH受容体アゴニストの投与により血中の性ホルモン(テストステロン、エストロゲン、エストラジオールなど)を低下させて、これらホルモンに依存して増悪化する疾患の予防・治療を行う場合に、これらホルモンの低下、すなわち薬効に起因する副作用(例えば、骨塩量の低下)を軽減させるために、これらホルモンまたはホルモンと同等と見なされる薬剤(例えば、前立腺癌や乳癌に作用しないSERM剤やSARM剤;以下、Add−Back剤と略記する場合がある)を補助的に投与してやる治療方法をいう。主としてAdd−Back剤は経口投与により、投与するのが好ましい。
【0045】
MAB療法とは、前立腺におけるすべてのアンドロゲン作用をブロックする治療法である。すなわち、精巣由来のアンドロゲンの作用をブロックするための外科的去勢あるいはLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストと、副腎由来のアンドロゲンの作用をブロックするためのアンチアンドロゲンを併用する治療法をいう。
【0046】
LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストと併用薬物の併用に際しては、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストとアンドロゲン受容体アゴニストと併用薬物の投与時期は限定されず、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストまたはその製剤と併用薬物またはその製剤とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組合わせ等により適宜選択することができる。
LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストと併用薬物とを組合わせてなる医薬(以下、本発明の併用剤と略記する場合がある)の投与形態は、特に限定されず、投与時に、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストと併用薬物とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストと併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストと併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストと併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストと併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストと併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニスト;併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが用いられる。
【0047】
本発明である1)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩とアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩とを組合わせてなる医薬、2)アンドロゲン受容体アゴニストを含有してなる骨転移性前立腺癌の予防・治療剤、3)非ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストを含有してなる前立腺癌予防・治療剤および4)前記併用薬物とを含有する製剤は、毒性が低く、例えば、これらの薬剤を公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して製剤、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等として、経口的又は非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。注射剤は、静脈内、筋肉内、皮下または臓器内投与あるいは直接病巣に投与することができる。
該製剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質があげられ、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤、あるいは液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等があげられる。更に必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いることもできる。
【0048】
賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が用いられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が用いられる。
結合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が用いられる。
崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロース等が用いられる。
溶剤としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が用いられる。
溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が用いられる。
懸濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が用いられる。
等張化剤としては、例えばブドウ糖、D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が用いられる。
緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が用いられる。
無痛化剤としては、例えばベンジルアルコール等が用いられる。
防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が用いられる。
抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が用いられる。
【0049】
併用薬を含有する製剤における併用薬の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01ないし100重量%、好ましくは約0.1ないし50重量%、さらに好ましくは約0.5ないし20重量%程度である。なお、前記したLHRH受容体アゴニストを含有する製剤に併用薬を配合させる場合も同様の含有量でよい。
併用薬を含有する製剤における担体等の添加剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1ないし99.99重量%、好ましくは約10ないし90重量%程度である。
これらの製剤は、製剤工程において通常一般に用いられる公知の方法により製造することができる。
例えば、併用薬は、分散剤(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、米国)、HCO 60(日光ケミカルズ製)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリンなど)、安定化剤(例、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(例、ポリソルベート80、マクロゴール等)、可溶剤(例、グリセリン、エタノール等)、緩衝剤(例、リン酸及びそのアルカリ金属塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩等)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖等)、pH調節剤(例、塩酸、水酸化ナトリウム等)、保存剤(例、パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール等)、溶解剤(例、濃グリセリン、メグルミン等)、溶解補助剤(例、プロピレングリコール、白糖等)、無痛化剤(例、ブドウ糖、ベンジルアルコール等)などと共に水性注射剤に、あるいはオリーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油などの植物油、プロピレングリコールなどの溶解補助剤に溶解、懸濁あるいは乳化して油性注射剤に成形し、注射剤とすることができる。
【0050】
経口投与用製剤とするには、公知の方法に従い、併用薬を例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)又は滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール 6000など)などを添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とすることができる。そのコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン 80、プルロニック F68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、ドイツ,メタアクリル酸・アクリル酸共重合)および色素(例、ベンガラ,二酸化チタン等)などが用いられる。経口投与用製剤は速放性製剤、徐放性製剤のいずれであってもよい。
【0051】
例えば、坐剤とするには、公知の方法に従い、併用薬を油性又は水性の固状、半固状あるいは液状の坐剤とすることができる。前記組成物に用いる油性基剤としては、例えば、高級脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベル社製,ドイツ)など〕、中級脂肪酸〔例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社製,ドイツ)など〕、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが用いられる。また、水性基剤としては、例えばポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、水性ゲル基剤としては、例えば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体などが用いられる。
前記徐放性製剤としては、徐放性マイクロカプセル剤などが用いられる。
徐放型マイクロカプセルとするには、公知の方法を採用できるが、例えば、下記〔2〕に示す徐放性製剤に成型して投与するのが好ましい。
【0052】
以下に、〔1〕併用薬の注射剤およびその調製、〔2〕併用薬の徐放性製剤又は速放性製剤およびその調製、〔3〕併用薬の舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤およびその調製について具体的に示す。
〔1〕注射剤およびその調製
併用薬を水に溶解してなる注射剤が好ましい。該注射剤には安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩を含有させてもよい。
該注射剤は、併用薬と所望により安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の双方を水に溶解することにより得られる。
前記安息香酸、サリチル酸の塩としては、例えばナトリウム,カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム,マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、メグルミン塩、その他トロメタモールなどの有機酸塩などが用いられる。
注射剤中の併用薬の濃度は0.5〜50w/v%、好ましくは3〜20w/v%程度である。また安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の濃度は0.5〜50w/v%、好ましくは3〜20w/v%が好ましい。
【0053】
また、本剤には一般に注射剤に使用される添加剤、例えば安定化剤(アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(ポリソルベート80、マクロゴール等)、可溶剤(グリセリン、エタノール等)、緩衝剤(リン酸及びそのアルカリ金属塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩等)、等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、分散剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン)、pH調節剤(塩酸、水酸化ナトリウム等)、保存剤(パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸等)、溶解剤(濃グリセリン、メグルミン等)、溶解補助剤(プロピレングリコール、白糖等)、無痛化剤(ブドウ糖、ベンジルアルコール等)などを適宜配合することができる。これらの添加剤は一般に注射剤に通常用いられる割合で配合される。
注射剤はpH調節剤の添加により2〜12好ましくは2.5〜8.0に調整するのがよい。
注射剤はLHRH受容体アゴニストまたは併用薬と所望により安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の双方を、また必要により前記添加剤を水に溶解することにより得られる。これらの溶解はどのような順序で行ってもよく、従来の注射剤の製法と同様に適宜行うことができる。
注射用水溶液は加温するのがよく、また通常の注射剤と同様にたとえば濾過滅菌,高圧加熱滅菌などを行うことにより注射剤として供することができる。
注射用水溶液は、例えば100℃〜121℃の条件で5分〜30分高圧加熱滅菌するのがよい。
さらに多回分割投与製剤として使用できるように、溶液の抗菌性を付与した製剤としてもよい。
【0054】
〔2〕徐放性製剤又は速放性製剤およびその調製
併用薬を含んでなる核を所望により水不溶性物質や膨潤性ポリマーなどの被膜剤で被覆してなる徐放性製剤が好ましい。例えば、1日1回投与型の経口投与用徐放性製剤が好ましい。
被膜剤に用いられる水不溶性物質としては、例えばエチルセルロース、ブチルセルロースなどのセルロースエーテル類、セルロースアセテート、セルロースプロピオネートなどのセルロースエステル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレートなどのポリビニルエステル類、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリレート/シンナモエチルメタクリレート/アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリメタクリレート、ポリメタクリルアミド、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(メタクリル酸アンヒドリド)、グリシジルメタクリレート共重合体、とりわけオイドラギットRS−100,RL−100,RS−30D,RL−30D,RL−PO,RS−PO(アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチル・アンモニウムエチル共重合体)、オイドラギットNE−30D(メタアクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体)などのオイドラギット類(ローム・ファーマ社)などのアクリル酸系ポリマー、硬化ヒマシ油(例、ラブリーワックス(フロイント産業)など)などの硬化油、カルナバワックス、脂肪酸グリセリンエステル、パラフィンなどのワックス類、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が用いられる。
【0055】
膨潤性ポリマーとしては、酸性の解離基を有し、 pH依存性の膨潤を示すポリマーが好ましく、胃内のような酸性領域では膨潤が少なく、小腸や大腸などの中性領域で膨潤が大きくなる酸性の解離基を有するポリマーが好ましい。
このような酸性の解離基を有し pH依存性の膨潤を示すポリマーとしては、例えばカーボマー(Carbomer)934P、940、941、974P、980、1342等、ポリカーボフィル(polycarbophil)、カルシウムポリカボーフィル(carcium polycarbophil)(前記はいずれもBFグツドリッチ社製)、ハイビスワコー103、104、105、304(いずれも和光純薬(株)製)などの架橋型ポリアクリル酸重合体が用いられる。
【0056】
徐放性製剤に用いられる被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよい。
該親水性物質としては、例えばプルラン、デキストリン、アルギン酸アルカリ金属塩などの硫酸基を有していてもよい多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基を有する多糖類、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどが用いられる。
徐放性製剤の被膜剤における水不溶性物質の含有率は約30ないし約90%(w/w)、好ましくは約35ないし約80%(w/w)、さらに好ましくは約40ないし75%(w/w)、膨潤性ポリマーの含有率は約3ないし約30%(w/w)、好ましくは約3ないし約15%(w/w)である。被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよく、その場合被膜剤における親水性物質の含有率は約50%(w/w)以下、好ましくは約5〜約40%(w/w)、さらに好ましくは約5〜約35%(w/w)である。ここで前記%(w/w)は被膜剤液から溶媒(例、水、メタノール、エタノール等の低級アルコール等)を除いた被膜剤組成物に対する重量%を示す。
【0057】
徐放性製剤は、以下に例示するように薬物を含む核を調製し、次いで得られた核を、水不溶性物質や膨潤性ポリマーなどを加熱溶解あるいは溶媒に溶解又は分散させた被膜剤液で被覆することにより製造される。
I.薬剤を含む核の調製。
被膜剤で被覆される薬物を含む核(以下、単に核と称することがある)の形態は特に制限されないが、好ましくは顆粒あるいは細粒などの粒子状に形成される。
核が顆粒又は細粒の場合、その平均粒子径は、好ましくは約150ないし2,000μm、さらに好ましくは約500ないし約1,400μmである。
核の調製は通常の製造方法で実施することができる。例えば、薬物に適当な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定化剤等を混合し、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法などにより調製する。
核の薬物含量は、約0.5ないし約95%(w/w)、好ましくは約5.0ないし約80%(w/w)、さらに好ましくは約30ないし約70%(w/w)である。
【0058】
核に含まれる賦形剤としては、例えば白糖、乳糖、マンニトール、グルコースなどの糖類、澱粉、結晶セルロース、リン酸カルシウム、コーンスターチなどが用いられる。中でも、結晶セルロース、コーンスターチが好ましい。
結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プルロニックF68、アラビアゴム、ゼラチン、澱粉などが用いられる。崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(ECG505)、クロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol)、架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)などが用いられる。中でも、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。滑沢剤、凝集防止剤としては例えばタルク、ステアリン酸マグネシウムおよびその無機塩、また潤滑剤としてポリエチレングリコールなどが用いられる。安定化剤としては酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの酸が用いられる。
【0059】
核は前記製造法以外にも、例えば核の中心となる不活性担体粒子上に水、低級アルコール(例、メタノール、エタノールなど)等の適当な溶媒に溶解した結合剤をスプレーしながら、薬物あるいはこれと賦形剤、滑沢剤などとの混合物を少量づつ添加して行なう転動造粒法、パンコーティング法、流動層コーティング法や溶融造粒法によっても調製することができる。不活性担体粒子としては、例えば白糖、乳糖、澱粉、結晶セルロース、ワックス類で製造されたものが使用でき、その平均粒子径は約100μmないし約1,500μmであるものが好ましい。
核に含まれる薬物と被膜剤とを分離するために、防護剤で核の表面を被覆してもよい。防護剤としては、例えば前記親水性物質や、水不溶性物質等が用いられる。防護剤は、好ましくはポリエチレングリコールやヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基を有する多糖類、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが用いられる。該防護剤には安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の酸や、タルクなどの滑沢剤を含んでいてもよい。防護剤を用いる場合、その被覆量は核に対して約1ないし約15%(w/w)、好ましくは約1ないし約10%(w/w)、さらに好ましくは約2ないし約8%(w/w)である。
防護剤は通常のコーティング法により被覆することができ、具体的には、防護剤を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで被覆することができる。
【0060】
II.核の被膜剤による被覆
前記Iで得られた核を、前記水不溶性物質及び pH依存性の膨潤性ポリマー、および親水性物質を加熱溶解あるいは溶媒に溶解又は分散させた被膜剤液により被覆することにより徐放性製剤が製造される。
核の被膜剤液による被覆方法として、例えば噴霧コーティングする方法などが用いられる。
被膜剤液中の水不溶性物質、膨潤性ポリマー又は親水性物質の組成比は、被膜中の各成分の含有率がそれぞれ前記含有率となるように適宜選ばれる。
被膜剤の被覆量は、核(防護剤の被覆量を含まない)に対して約1ないし約90%(w/w)、好ましくは約5ないし約50%(w/w)、さらに好ましくは約5ないし35%(w/w)である。
【0061】
被膜剤液の溶媒としては水又は有機溶媒を単独であるいは両者の混液を用いることができる。混液を用いる際の水と有機溶媒との混合比(水/有機溶媒:重量比)は、1ないし100%の範囲で変化させることができ、好ましくは1ないし約30%である。該有機溶媒としては、水不溶性物質を溶解するものであれば特に限定されないが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等の低級アルコール、アセトンなどの低級アルカノン、アセトニトリル、クロロホルム、メチレンクロライドなどが用いられる。このうち低級アルコールが好ましく、エチルアルコール、イソプロピルアルコールが特に好ましい。水及び水と有機溶媒との混液が被膜剤の溶媒として好ましく用いられる。この時、必要であれば被膜剤液中に被膜剤液安定化のために酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの酸を加えてもよい。
噴霧コーティングにより被覆する場合の操作は通常のコーティング法により実施することができ、具体的には、被膜剤液を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで実施することができる。この時必要であれば、タルク、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸などを滑沢剤として、グリセリン脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油、クエン酸トリエチル、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどを可塑剤として添加してもよい。
被膜剤による被膜後、必要に応じてタルクなどの帯電防止剤を混合してもよい。
【0062】
速放性製剤は、液状(溶液、懸濁液、乳化物など)であっても固形状(粒子状、丸剤、錠剤など)であってもよい。経口投与剤、注射剤など非経口投与剤が用いられるが、経口投与剤が好ましい。
速放性製剤は、通常、活性成分である薬物に加えて、製剤分野で慣用される担体、添加剤や賦形剤(以下、賦形剤と略称することがある)を含んでいてもよい。用いられる製剤賦形剤は、製剤賦形剤として常用される賦形剤であれば特に限定されない。例えば経口固形製剤用の賦形剤としては、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース(旭化成(株)製、アビセルPH101など)、粉糖、グラニュウ糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、L−システインなどが挙げられ、好ましくはコーンスターチおよびマンニトールなどが用いられる。これらの賦形剤は一種又は二種以上を組合わせて使用できる。賦形剤の含有量は速放性製剤全量に対して、例えば約4.5〜約99.4w/w%、好ましくは約20〜約98.5w/w%、さらに好ましくは約30〜約97w/w%である。
速放性製剤における薬物の含量は、速放性製剤全量に対して、約0.5〜約95%、好ましくは約1〜約60%の範囲から適宜選択することができる。
【0063】
速放性製剤が経口固型製剤の場合、通常前記成分に加えて、崩壊剤を含有する。このような崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(五徳薬品製、ECG−505)、クロスカルメロースナトリウム(例えば、旭化成(株)製、アクジゾル)、クロスポビドン(例えば、BASF社製、コリドンCL)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学(株))、カルボキシメチルスターチ(松谷化学(株))、カルボキシメチルスターチナトリウム(木村産業製、エキスプロタブ)、部分α化デンプン(旭化成(株)製、PCS)などが用いられ、例えば水と接触して吸水、膨潤、あるいは核を構成している有効成分と賦形剤との間にチャネルを作るなどにより顆粒を崩壊させるものを用いることができる。これらの崩壊剤は、一種又は二種以上を組合わせて使用できる。崩壊剤の配合量は、用いる薬物の種類や配合量、放出性の製剤設計などにより適宜選択されるが、速放性製剤全量に対して、例えば約0.05〜約30w/w%、好ましくは約0.5〜約15w/w%である。
【0064】
速放性製剤が経口固型製剤である場合、経口固型製剤の場合には前記の組成に加えて、所望により固型製剤において慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば結合剤(例えば、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリンなど)、滑沢剤(例えば、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸(例えば、アエロジル(日本アエロジル))、界面活性剤(例えば、アルキル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体等の非イオン系界面活性剤など)、着色剤(例えば、タール系色素、カラメル、ベンガラ、酸化チタン、リボフラビン類)、必要ならば、橋味剤(例えば、甘味剤、香料など)、吸着剤、防腐剤、湿潤剤、帯電防止剤などが用いられる。また、安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸などの有機酸を加えてもよい。
前記結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンなどが好ましく用いられる。
速放性製剤は、通常の製剤の製造技術に基づき、前記各成分を混合し、必要により、さらに練合し、成型することにより調製することができる。前記混合は、一般に用いられる方法、例えば、混合、練合などにより行われる。具体的には、例えば速放性製剤を粒子状に形成する場合、前記徐放性製剤の核の調製法と同様の手法により、バーチカルグラニュレーター、万能練合機(畑鉄工所製)、流動層造粒機FD−5S(パウレック社製)等を用いて混合しその後、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法などにより造粒することにより調製することができる。
このようにして得られた速放性製剤と徐放性製剤とは、そのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に常法により別々に製剤化後、同時あるいは任意の投与間隔を挟んで組合わせて投与する製剤としてもよく、また両者をそのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に一つの経口投与製剤(例、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル等)に製剤化してもよい。両製剤を顆粒あるいは細粒に製して、同一のカプセル等に充填して経口投与用製剤としてもよい。
【0065】
〔3〕舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤およびその調製
舌下錠、バッカル製剤、口腔内速崩壊剤は錠剤などの固形製剤であってもよいし、口腔粘膜貼付錠(フィルム)であってもよい。
舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤としては、併用薬と賦形剤とを含有する製剤が好ましい。また、滑沢剤、等張化剤、親水性担体、水分散性ポリマー、安定化剤などの補助剤を含有していてもよい。また、吸収を容易にし、生体内利用率を高めるためにβ−シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体(例、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなど)などを含有していてもよい。
前記賦形剤としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが用いられる。滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられ、特に、ステアリン酸マグネシウムやコロイドシリカが好ましい。等張化剤としては塩化ナトリウム、グルコース、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、サッカロース、グリセリン、尿素などが挙げられ、特にマンニトールが好ましい。親水性担体としては結晶セルロース、エチルセルロース、架橋性ポリビニルピロリドン、軽質無水珪酸、珪酸、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウムなどの膨潤性親水性担体が挙げられ、特に結晶セルロース(例、微結晶セルロースなど)が好ましい。水分散性ポリマーとしてはガム(例、トラガカントガム、アカシアガム、グアーガム)、アルギン酸塩(例、アルギン酸ナトリウム)、セルロース誘導体(例、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ゼラチン、水溶性デンプン、ポリアクリル酸(例、カーボマー)、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリカーボフィル、アスコルビン酸パルミチン酸塩などが挙げられ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどが好ましい。特にヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。安定化剤としては、システイン、チオソルビトール、酒石酸、クエン酸、炭酸ナトリウム、アスコルビン酸、グリシン、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられ、特に、クエン酸やアスコルビン酸が好ましい。
【0066】
舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤は、併用薬と賦形剤とを公知の方法により混合することにより製造することができる。さらに、所望により前記した滑沢剤、等張化剤、親水性担体、水分散性ポリマー、安定化剤、着色剤、甘味剤、防腐剤などの補助剤を混合してもよい。前記成分を同時に若しくは時間差をおいて混合した後、加圧打錠成形することにより舌下錠、バッカル錠又は口腔内速崩壊錠が得られる。適度な硬度を得るため、打錠成形の過程の前後において必要に応じ水やアルコールなどの溶媒を用いて加湿・湿潤させ、成形後、乾燥させて製造してもよい。
【0067】
粘膜貼付錠(フィルム)に成型する場合は、併用薬および前記した水分散性ポリマー(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、賦形剤などを水などの溶媒に溶解させ、得られる溶液を流延させて(cast)フィルムとする。さらに、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、保存剤、着色剤、緩衝剤、甘味剤などの添加物を加えてもよい。フィルムに適度の弾性を与えるためポリエチレングリコールやプロピレングリコールなどのグリコール類を含有させたり、口腔の粘膜ライニングへのフィルムの接着を高めるため生物接着性ポリマー(例、ポリカルボフィル、カルボポール)を含有させてもよい。流延は、非接着性表面に溶液を注ぎ、ドクターブレードなどの塗布用具で均一な厚さ(好ましくは10〜1000ミクロン程度)にそれを広げ、次いで溶液を乾燥してフィルムを形成することにより達成される。このように形成されたフィルムは室温若しくは加温下乾燥させ、所望の表面積に切断すればよい。
【0068】
好ましい口腔内速崩壊剤としては、併用薬と、併用薬とは不活性である水溶性若しくは水拡散性キャリヤーとの網状体からなる固体状の急速拡散投与剤が用いられる。該網状体は、LHRH受容体アゴニストまたは併用薬を適当な溶媒に溶解した溶液とから構成されている固体状の該組成物から溶媒を昇華することによって得られる。
該口腔内速崩壊剤の組成物中には、併用薬に加えて、マトリックス形成剤と二次成分とを含んでいるのが好ましい。
該マトリックス形成剤としてはゼラチン類、デキストリン類ならびに大豆、小麦ならびにオオバコ(psyllium)種子タンパクなどの動物性タンパク類若しくは植物性タンパク類;アラビアゴム、ガーガム、寒天ならびにキサンタンなどのゴム質物質;多糖類;アルギン酸類;カルボキシメチルセルロース類;カラゲナン類;デキストラン類;ペクチン類;ポリビニルピロリドンなどの合成ポリマー類;ゼラチン−アラビアゴムコンプレックスなどから誘導される物質が含まれる。さらに、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトースならびにトレハロースなどの糖類;シクロデキストリンなどの環状糖類;リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムならびにケイ酸アルミニウムなどの無機塩類;グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−ヒドロシキプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシンならびにL−フェニルアラニンなどの炭素原子数が2から12までのアミノ酸などが含まれる。
マトリックス形成剤は、その1種若しくはそれ以上を、固形化の前に、溶液又は懸濁液中に導入することができる。かかるマトリックス形成剤は、界面活性剤に加えて存在していてもよく、また界面活性剤が排除されて存在していてもよい。マトリックス形成剤はそのマトリックスを形成することに加えて、併用薬の拡散状態をその溶液又は懸濁液中に維持する助けをすることができる。
【0069】
保存剤、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、着色剤、pH調整剤、香味料、甘味料若しくは食味マスキング剤などの二次成分を組成物中に含有していてよい。適当な着色剤としては、赤色、黒色ならびに黄色酸化鉄類およびエリス・アンド・エベラールド社のFD&Cブルー2号ならびにFD&Cレッド40号などのFD&C染料が用いられる。適当な香味料には、ミント、ラスベリー、甘草、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、カラメル、バニラ、チェリーならびにグレープフレーバーおよびその組合せたものが含まれる。適当なpH調整剤は、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸およびマレイン酸が含まれる。適当な甘味料としてはアスパルテーム、アセスルフェームKならびにタウマチンなどが含まれる。適当な食味マスキング剤としては、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン包接化合物、吸着質物質ならびにマイクロカプセル化アポモルフィンが含まれる。
製剤には通常約0.1〜約50重量%、好ましくは約0.1〜約30重量%の併用薬を含み、約1分〜約60分の間、好ましくは約1分〜約15分の間、より好ましくは約2分〜約5分の間に(水に)併用薬の90%以上を溶解させることが可能な製剤(前記、舌下錠、バッカルなど)や、口腔内に入れられて1ないし60秒以内に、好ましくは1ないし30秒以内に、さらに好ましくは1ないし10秒以内に崩壊する口腔内速崩壊剤が好ましい。
【0070】
前記賦形剤の製剤全体に対する含有量は、約10〜約99重量%、好ましくは約30〜約90重量%である。β−シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体の製剤全体に対する含有量は0〜約30重量%である。滑沢剤の製剤全体に対する含有量は、約0.01〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%である。等張化剤の製剤全体に対する含有量は、約0.1〜約90重量%、好ましくは、約10〜約70重量%である。親水性担体の製剤全体に対する含有量は約0.1〜約50重量%、好ましくは約10〜約30重量%である。水分散性ポリマーの製剤全体に対する含有量は、約0.1〜約30重量%、好ましくは約10〜約25重量%である。安定化剤の製剤全体に対する含有量は約0.1〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%である。前記製剤はさらに、着色剤、甘味剤、防腐剤などの添加剤を必要に応じ含有していてもよい。
【0071】
併用薬物を含有する製剤の投与量は、併用薬の種類、年齢、体重、症状、剤形、投与方法、投与期間などにより異なるが、例えば、前立腺含の患者(成人、体重約60kg)一人あたり、通常、併用薬物として、それぞれ1日約0.01〜約1000mg/kg、好ましくは約0.01〜約100mg/kg、より好ましくは約0.1〜約100mg/kg、とりわけ約0.1〜約50mg/kgを、なかでも約1.5〜約30mg/kgを1日1回から数回に分けて静脈投与される。もちろん、前記したように投与量は種々の条件で変動するので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
併用薬物は、副作用が問題とならない範囲でどのような量を設定することも可能である。併用薬物としての一日投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、感受性差、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、薬物の量として通常、たとえば経口投与で哺乳動物1kg体重あたり約0.001〜2000mg、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは、約0.1〜100mg程度であり、これを通常1日1〜4回に分けて投与する。
【0072】
併用薬物を含有する製剤を投与するに際しては、同時期に投与してもよいが、併用薬物を先に投与した後、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストを投与してもよいし、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストを先に投与し、その後で併用薬物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬物を先に投与する場合、併用薬物を投与した後1分〜3日以内、好ましくは10分〜1日以内、より好ましくは15分〜1時間以内にLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストを投与する方法が用いられる。LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストを先に投与する場合、LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよびアンドロゲン受容体アゴニストを投与した後、1分〜1日以内、好ましくは10分〜6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬物を投与する方法が用いられる。
【0073】
本明細書中に記載されるポリペプチドにおけるアミノ酸、ペプチド、保護基等に関し、略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものとし、また、アミノ酸に関し光学異性体がありうる場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
略号の例を以下に示す。
Figure 2004002321
Figure 2004002321
【0074】
【実施例】
以下に参考例、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0075】
参考例1 酢酸リュープロレリン含有マイクロカプセル
6.7mlの蒸留水に酢酸リュープロレリン5.8gを溶解した。これに別に溶解、濾過したポリ乳酸(重量平均分子量:15000)(51.6g)を含むジクロロメタン溶液138gを添加し、オートミニミキサーで9分間攪拌乳化(回転数:約6000rpm)した後、15℃に調整した。これを予め溶解、濾過し同じ温度に調整した0.1%ポリビニールアルコール(PVA)水溶液13.5Lに加えて乳化した。この場合、ホモミックラインフロー(特殊機化)を用い、ミキサーの回転数は約7000rpmで乳化した。このW/O/Wエマルションを軽く攪拌しながら約3時間ほど脱溶媒した(水中乾燥法)。
得られたマイクロカプセルを74μmのフルイを通して粗い粒子を除去した後、濾過あるいは遠心分離によって分離した。これを蒸留水で洗浄し、遊離の薬物、PVAを除去した後、少量の水で再分散しDマンニトール8.7gを溶解し、篩過後、凍結乾燥した。乾燥時の棚温度は徐々に上昇させ、最終52℃で69時間乾燥させた。これを篩過粉砕してマイクロカプセル末を得た。この操作で15%D−マンニトール含有のマイクロカプセル末58gが得られた。
【0076】
参考例2 ラロキシフェン含有注射剤
(1)ラロキシフェン               5.0mg
(2)食塩                   20.0mg
(3)蒸留水                 全量2mlとする
テストステロン 5.0mgおよび食塩20.0mgを蒸留水に溶解させ、水を加えて全量2.0mlとする。溶液をろ過し、無菌条件下に2mlのアンプルに充填する。アンプルを滅菌した後、密封し注射用溶液を得る。
【0077】
参考例3 テストステロン含有錠剤
(1)テストステロン             50mg
(2)ラクトース               34mg
(3)トウモロコシ澱粉            10.6mg
(4)トウモロコシ澱粉(のり状)        5mg
(5)ステアリン酸マグネシウム         0.4mg
(6)カルボキシメチルセルロースカルシウム  20mg
計 120mg
常法に従い前記(1)〜(6)を混合し、打錠機により打錠し、錠剤を得た。
【0078】
参考例4 アンドロゲン受容体アゴニスト高感受性株( LNCaP−hr  および MDA PCa2b−hr 細胞株)の樹立
LNCaP−FGCおよびMDA PCa 2b細胞株をアンドロゲンを除いた培養液 (LNCaP−FGCはRPMI1640+10% Dextran Charcoal (DCC)−Fetal Bovine Serum (FBS)、MDA PCa2bはHam’s F−12K + 25 ng/ml cholera toxin + 10 ng/ml EGF + 0.005 mM phosphoethanol amine + 100 pg/ml hydrocortisone + 45 nM selenious acid + 0.005mg/ml insulin + 20% DCC−FBS) 中で培養した。当初は増殖しないが、3から8ヶ月以上培養を継続すると増殖するようになった。その細胞をそれぞれLNCaP−hrおよびMDA PCa 2b−hrと名づけた。
【0079】
実施例1 アンドロゲン存在下での細胞増殖率に対する影響
(方法) LNCaP−hr(アンドロゲンを除いた培養液で60週間培養)およびLNCaP−FGC細胞を24穴プレートに40000 cells/mL/wellで播き、翌日0.01から10 ng/mLのテストステロンを添加し、添加3日後に細胞数を計測した。また、MDA PCa 2b−hr(アンドロゲンを除いた培養液で61週間培養)およびMDA PCa 2b細胞を24穴プレートに40000 cells/mL/wellで播き、翌日0.1から100 ng/mLのテストステロンを添加し、添加4日後に細胞数を計測した。
(結果) LNCaP−FGCおよびMDA PCa 2bの増殖はテストステロンにより促進された〔図1, 2〕。対照的に、LNCaP−hrおよびMDA PCa 2b−hr細胞の増殖はテストステロンにより抑制された〔図1, 2〕。
【0080】
実施例2
参考例1で得られた製剤と参考例2で得られた製剤とを組合わせる。
実施例3
参考例1で得られた製剤と参考例3で得られた製剤とを組合わせる。
【0081】
【発明の効果】
LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストとアンドロゲン受容体アゴニストとを組合わせることにより、各種疾病に対する予防・治療効果の向上、副作用の軽減等の優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】LNCaP−FGCとLNCaP−hr(アンドロゲン高感受性株)をテストステロン存在下培養し細胞の増殖率を示した図である。横軸はテストステロン濃度、縦軸は細胞の増殖率を示す。
【図2】MDA PCa 2bとMDA PCa 2b−hr(アンドロゲン高感受性株)をテストステロン存在下培養し細胞の増殖率を示した図である。横軸はテストステロン濃度、縦軸は細胞の増殖率を示す。

Claims (33)

  1. 1)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩と
    2)アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩とを組合わせてなる医薬。
  2. LHRH受容体アゴニストがリュープロレリンである請求項1記載の医薬。
  3. アンドロゲン受容体アゴニストがステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストである請求項1記載の医薬。
  4. ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストが、デヒドロエピアンドロステロン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステンジオン、メスタノロン、オキシメステロン、メタンドロステノロン、フルオキシメステロン、クロロテストステロン アセテート、メテノロン アセテート、オキシメトロン、スタノゾロール、フラザボール、オキサンドロロン、19−ノルテストステロン、ノルエタンドロロン、エチルエストレノールおよびノルボレトンからなる群より選ばれる1もしくは2以上の化合物またはその塩である請求項3記載の医薬。
  5. アンドロゲン受容体アゴニストが非ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストである請求項1記載の医薬。
  6. ホルモン依存性疾患の予防または治療剤である請求項1記載の医薬。
  7. ホルモン依存性疾患が前立腺癌である請求項6記載の医薬。
  8. LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩を徐放性製剤または埋め込み剤として使用する請求項1記載の医薬。
  9. 徐放性製剤が徐放型マイクロカプセルである請求項8記載の医薬。
  10. 徐放型マイクロカプセルが2ヶ月以上にわたってLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩を放出する長期徐放型マイクロカプセルである請求項9記載の医薬。
  11. アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を含有してなる骨転移性前立腺癌の予防または治療剤。
  12. 骨転移性前立腺癌細胞がアンドロゲン高感受性である請求項11記載の剤。
  13. アンドロゲン受容体アゴニストがステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストである請求項11記載の剤。
  14. ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストが、デヒドロエピアンドロステロン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステンジオン、メスタノロン、オキシメステロン、メタンドロステノロン、フルオキシメステロン、クロロテストステロン アセテート、メテノロン アセテート、オキシメトロン、スタノゾロール、フラザボール、オキサンドロロン、19−ノルテストステロン、ノルエタンドロロン、エチルエストレノールおよびノルボレトンからなる群より選ばれる1もしくは2以上の化合物またはその塩である請求項13記載の剤。
  15. アンドロゲン受容体アゴニストが非ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストである請求項11記載の剤。
  16. 非ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を含有してなる前立腺癌の予防または治療剤。
  17. 前立腺癌細胞がアンドロゲン高感受性である請求項16記載の剤。
  18. 哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩を有効量投与し、前立腺癌細胞がアンドロゲン高感受性となった後、アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を有効量投与することを特徴とする前立腺癌の治療法。
  19. 哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩を有効量投与し、乳癌または子宮癌細胞がエストロゲン高感受性となった後、エストロゲン受容体アゴニストまたはその塩を有効量投与することを特徴とする乳癌または子宮癌の治療法。
  20. 哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩の有効量とアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩の有効量とを組合わせて投与することを特徴とする前立腺癌の治療法。
  21. 哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩の有効量とエストロゲン受容体アゴニストまたはその塩の有効量とを組合わせて投与することを特徴とする乳癌または子宮癌の治療法。
  22. 哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩の有効量とアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩の有効量とを組合わせて投与して前立腺癌を縮小した後、外科手術または放射線治療を行うことを特徴とする前立腺癌の治療法。
  23. 哺乳動物に対してLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩の有効量とエストロゲン受容体アゴニストまたはその塩の有効量とを組合わせて投与して乳癌または子宮癌を縮小した後、外科手術または放射線治療を行うことを特徴とする乳癌または子宮癌の治療法。
  24. 1)アンドロゲン高感受性の前立腺癌細胞にアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を一定期間投与すること、2)その後当該癌細胞のアンドロゲン感受性が低下した場合はLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗アンドロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩を有効量投与し、当該癌細胞のアンドロゲン感受性が増大した場合はアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩を有効量投与すること、および3)癌の治療目的が達成されるまで必要により2)の工程を繰り返すことからなる前立腺癌の治療法。
  25. 1)アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩と2)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗アンドロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩とを交互に有効量投与する請求項24記載の治療法。
  26. 3ヶ月ないし5年の期間経過後に投与薬を切り替える請求項25記載の治療法。
  27. 1)エストロゲン高感受性の乳癌または子宮癌細胞にエストロゲン受容体アゴニストまたはその塩を一定期間投与すること、2)その後当該癌細胞のエストロゲン感受性が低下した場合はLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗エストロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩を有効量投与し、当該癌細胞のエストロゲン感受性が増大した場合はエストロゲン受容体アゴニストまたはその塩を有効量投与すること、および3)癌の治療目的が達成されるまで必要により2)の工程を繰り返すことからなる乳癌または子宮癌の治療法。
  28. 1)エストロゲン受容体アゴニストまたはその塩と2)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストおよび抗エストロゲン薬から選ばれる1もしくは2の化合物またはその塩とを交互に有効量投与する請求項27記載の治療法。
  29. 3ヶ月ないし5年の期間経過後に投与薬を切り替える請求項28記載の治療法。
  30. 骨転移性前立腺癌の予防または治療用剤の製造におけるアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩の使用。
  31. 前立腺癌の予防または治療用剤の製造のための非ステロイド性アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩の使用。
  32. 1)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩と2)アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩とを組合わせてなる医薬の製造におけるLHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩の使用。
  33. 1)LHRH受容体アゴニストもしくはアンタゴニストまたはその塩と2)アンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩とを組合わせてなる医薬の製造におけるアンドロゲン受容体アゴニストまたはその塩の使用。
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