JP4390238B2 - 軟化剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟化剤に関するものである。更に詳しくは、優れた軟化性、流動性、耐ブリード性及び熱・光安定性を発揮する軟化剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
架橋性エラストマーとPP等のラジカル架橋性のない樹脂と軟化剤とをラジカル開始剤の存在下、押出機中で溶融混練させながら架橋する、いわゆる動的架橋による熱可塑性エラストマー組成物は、既に公知の技術であり、自動車部品等の用途に広く使用されている。
このような組成物として、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)により製造されたオレフィン系エラストマー(特開平8−120127号公報、特開平9−137001号公報)を用いる技術が知られているが、軟化剤の保持性が劣るために、耐ブリード性に劣り、必ずしも市場では満足されていない。
【0003】
一方、軟化剤の中でもナフテン系炭化水素は、特にオレフィン系エラストマーに対する相溶性、耐ブリード性に優れているものの、熱・光安定性に劣るという欠点がある。そのために耐ブリード性、熱・光安定性に優れ、しかも軟化性、流動性に優れた実用的使用に耐える軟化剤が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑み、上記のような問題点のない、耐ブリード性、熱・光安定性に優れ、しかも軟化性、流動性に優れた軟化剤を配合した架橋性エラストマーとポリプロピレン系樹脂とからなる重合体組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は軟化剤の改良を鋭意検討した結果、特定の組成比の炭化水素からなる軟化剤を用いることにより、驚くべきことに上記の性能が飛躍的に向上する事を見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、重合体に軟化剤を配合してなる重合体組成物であって、前記重合体が架橋性エラストマーとポリプロピレン系樹脂とからなり、かつ部分的または完全に動的架橋してなり、前記軟化剤が(1)芳香族系炭化水素、(2)ナフテン系炭化水素、(3)パラフィン系炭化水素からなる軟化剤において、ASTM D2140−97で規定される、(3)の炭素数CPと(2)の炭素数CNの炭素数の比CP/CNが0.1以上1.5以下あり、かつ(1)の炭素数CAが軟化剤全体の炭素数中で0%以上10%以下であることを特徴とする重合体に軟化剤を配合してなる重合体組成物である。
【0006】
以下、本発明に関して詳しく述べる。
本発明の軟化剤(A)は、(1)芳香族系炭化水素、(2)ナフテン系炭化水素、(3)パラフィン系炭化水素からなり、この軟化剤をとりわけ架橋性エラストマー(B)と熱可塑性樹脂(C)に配合することにより卓越した特性が発現する。
ここで、(1)の炭素数CAが軟化剤全体の炭素数中で10%以下、好ましくは5%以下、最も好ましくは1%以下である場合は、流動性、耐ブリード性、熱・光安定性及び軟化性能が飛躍的に向上する。そして、上記(3)と(2)の炭素数の比CP/CNが1.5以下であることが重要である。好ましくは1.5〜0.1である。上記比が1.5を越えると、軟化剤のブリードが著しくなる。0.1未満であると、熱・光安定性に劣る。
【0007】
以下に本発明の各成分について詳細に説明する。
本発明の(A)軟化剤は、重合体に柔軟性の付与および加工性等の改善のための成分であり、(1)芳香族系炭化水素、(2)ナフテン系炭化水素、(3)パラフィン系炭化水素からなる。
本発明の(A)は石油の硫酸スラッジから精製、水添することにより得られる。ASTM D2140−97で規定される、(1)芳香族系炭化水素の炭素数CAは、10%以下、好ましくは5%以下、最も好ましくは1%以下であることが重要である。10%を越えると、流動性、耐ブリード性、熱・光安定性及び軟化性能が劣る。また(2)ナフテン系炭化水素は、環状炭化水素であり、重合体の軟化性能を最も支配しているものであり、(3)と(2)の炭素数の比CP/CNが1.5以下になることにより、流動性、軟化性、耐ブリード性が向上する。そして、(3)パラフィン系炭化水素は、非環状炭化水素であり、熱・光安定性の向上に寄与し、CP/CNが0.1未満であると、熱・光安定性に劣る。
【0008】
本発明の(A)は、JIS−K2283規定の40℃での動粘度が30〜500mm2/sであることが好ましく、更に好ましくは50〜400mm2/s、最も好ましくは60〜300mm2/sである。
本発明の(A)の組成比は、(A)を石油の硫酸スラッジから得る場合、蒸留または硫酸洗浄等の精製回数、時間により制御することができ、特にナフテン系炭化水素量は芳香族系炭化水素の水素添加率により制御することができる。
【0009】
上記(A)の重合体への配合量はなんら規定されないが、好ましい配合量を例示すれば、重合体100重量部に対し、5〜300重量部、好ましくは10〜100重量部添加して用いることが一般的である。5重量部未満では軟化性能が十分発揮されず、また、300重量部を越えると重合体の軟化剤保持性が低下傾向にある。また、本発明の軟化剤はとりわけ架橋性エラストマー(B)と熱可塑性樹脂(C)に配合することにより卓越した特性が発現する。
【0010】
ここで、(B)架橋性エラストマーは、例えば、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、1,2−ポリブタジエン系、ポリ塩化ビニル系等であり、特にポリオレフィン系エラストマ−が好ましい。
前記(B)ポリオレフィン系エラストマ−の中でも特にエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムが好ましく、例えば、エチレンおよび炭素数が3〜20のα−オレフィンからなるエチレン・αーオレフィン共重合体ゴムが挙げられる。
【0011】
上記炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。中でもヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1が好ましく、特に好ましくはオクテン−1である。オクテン−1は少量でも柔軟化する効果に優れ、得られたエチレン・αーオレフィン共重合体ゴムは機械的強度に優れている。
【0012】
本発明にて好適に用いられるポリオレフィン系エラストマーは、公知のメタロセン系触媒またはチーグラー系触媒により製造することが好ましい。
一般にはメタロセン系触媒は、チタン、ジルコニウム等のIV族金属のシクロペンタジエニル誘導体と助触媒からなり、重合触媒として高活性であるだけでなく、チーグラー系触媒と比較して、得られる重合体の分子量分布が狭く、共重合体中のコモノマーである炭素数3〜20のα−オレフィンの分布が均一である。
【0013】
本発明にて好適に用いられる(B)の中のポリオレフィン系エラストマーは、α−オレフィンの共重合比率が1〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは10〜40重量%、最も好ましくは20〜30重量%である。α−オレフィンの共重合比率が50重量%を越えると、組成物の硬度、引張強度等の低下が大きく、一方、1重量%未満では組成物の硬度が高く、機械的強度が低下傾向にある。
【0014】
(B)の密度は、0.8〜0.9g/cm3の範囲にあることが好ましい。この範囲の密度を有するポリオレフィン系エラストマーを用いることにより、柔軟性に優れ、硬度の低い熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
本発明にて用いられる(B)の中のポリオレフィン系エラストマーは、長鎖分岐を有していることが望ましい。長鎖分岐が存在することで、機械的強度を落とさずに、共重合されているα−オレフィンの比率(重量%)に比して、密度をより小さくすることが可能となり、低密度、低硬度、高強度のエラストマーを得ることができる。長鎖分岐を有するオレフィン系エラストマーとしては、USP5278272等に記載されている。
【0015】
また、ポリオレフィン系エラストマーは、室温以上にDSCの融点ピークを有することが望ましい。
融点ピークを有するとき、融点以下の温度範囲では形態が安定しており、取扱い性に優れ、ベタツキも少ない。
また、本発明にて用いられる(B)の中のポリオレフィン系エラストマーのメルトインデックスは、0.01〜100g/10分(190℃、2.16kg荷重)の範囲のものが好ましく用いられ、更に好ましくは0.2〜10g/10分である。
【0016】
本発明において、(B)のもう一つの好ましい架橋性エラストマーは、主鎖および側鎖に二重結合を有する重合体及び/またはランダム共重合体からなる不飽和ゴムの全二重結合の50%以上が水素添加された水素添加ゴムである。
上記水素添加ゴム中の全二重結合は、50%以上であり、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上が水素添加され、そして主鎖の残存二重結合が5%以下、側鎖の残存二重結合が5%以下であることが好ましい。このようなゴムの具体例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴムを部分的または完全に水素添加したゴム状重合体を挙げることができ、特に水素添加ブタジエン系または水素添加イソプレン系ゴムが好ましい。
【0017】
このような水素添加ゴムは、上述のゴムを公知の水素添加方法で部分水素添加することにより得られる。例えば、F.L.Ramp,etal,J.Amer.Chem.Soc.,83,4672(1961)記載のトリイソブチルボラン触媒を用いて水素添加する方法、Hung Yu Chen,J.Polym.Sci.Polym.Letter Ed.,15,271(1977)記載のトルエンスルフォニルヒドラジドを用いて水素添加する方法、あるいは特公昭42−8704号公報に記載の有機コバルト−有機アルミニュウム系触媒あるいは有機ニッケル−有機アルミニュウム系触媒を用いて水素添加する方法等を挙げることができる。ここで、特に好ましい水素添加の方法は、低温、低圧の温和な条件下で水素添加が可能な触媒を用いる特開昭59−133203号、特開昭60−220147号公報あるいは不活性有機溶媒中にて、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物と、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子またはセシウム原子を有する炭化水素化合物とからなる触媒の存在下に水素と接触させる特開昭62−207303号公報に示される方法である。
【0018】
また、水素添加ゴムの100℃で測定したムーニー粘度(ML)は20〜90、25℃における5重量%スチレン溶液粘度(5%SV)は、20〜300センチポイズ(cps)の範囲にあることが好ましい。特に好ましい範囲は25〜150cpsである。
そして、水素添加ゴムの結晶性の指標である吸熱ピーク熱量の制御は、テトラヒドロフラン等の極性化合物の添加または重合温度の制御により行う。吸熱ピーク熱量の低下は、極性化合物を増量するか、または重合温度を低下させて、1,2−ビニル結合を増大させることにより達成される。
【0019】
本発明にて用いられる(B)は、複数の種類のものを混合して用いても良い。そのような場合には、加工性のさらなる向上を図ることが可能となる。
本発明において(C)熱可塑性樹脂は、(A)と相溶もしくは均一分散し得るものであればとくに制限はない。たとえば、ポリスチレン系、ポリフェニレンエーテル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以上を混合したものを使用することができる。特に熱可塑性樹脂としてプロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂が好ましい。
【0020】
本発明で最も好適に使用されるプロピレン系樹脂を具体的に示すと、ホモのアイソタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレフィンとのアイソタクチック共重合樹脂(ブロック、ランダムを含む)等が挙げられる。
これらの樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の(C)熱可塑性樹脂が、(B)と(C)の合計100重量部中、1〜99重量部の組成比で用いられる。好ましくは5〜90重量部、更に好ましくは20〜80重量部、最も好ましくは20〜70重量部である。1重量部未満では組成物の流動性、加工性が低下し、99重量部を越えると組成物の柔軟性が不十分であり、望ましくない。
【0021】
また、本発明にて用いられるプロピレン系樹脂のメルトインデックスは、0.1〜100g/10分(230℃、2.16kg荷重)の範囲のものが好ましく用いられる。100g/10分を越えると、耐熱性、機械的強度が不十分であり、また0.1g/10分より小さいと流動性が悪く、成形加工性が低下して望ましくない。
本発明の軟化剤を添加する架橋性エラストマーと熱可塑性樹脂からなる重合体組成物は、部分的または完全に架橋しても良い。
【0022】
ここで(B)架橋性エラストマーを部分的または完全に架橋する為には、(D)架橋剤を用いることが好ましい。(D)は(D−1)架橋開始剤を必須とし、必要に応じて(D−2)架橋助剤を含有する。(D)は、(B)と(C)からなる重合体100重量部に対し好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜5重量部の量で用いられ、(D−1)/(D−2)の重量比は、好ましくは99/1〜1/99、より好ましくは1/99〜50/50である。
【0023】
上記(D−1)架橋開始剤は、(B)の動的架橋を行うために用いられ、ラジカル開始剤等であり、例えば、有機過酸化物、または有機アゾ化合物等が好ましい。これにより、耐摩耗性や機械的強度、耐熱性等を向上させることが可能となる。
ここで、好ましく使用される上記有機過酸化物は、1分間半減期温度T1が100〜250℃であることが好ましく、150〜200℃であることがより好ましい。またペンタデカン分子中の水素引き抜き能から算出される架橋効率εが20〜60であることが好ましく、30〜50であることがより好ましい。
【0024】
このような有機過酸化物の具体的な例として、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;
【0025】
アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドおよびm−トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、およびクミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類;
【0026】
ならびに、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイドおよび1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類を挙げることができる。
これらの化合物の中では、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が特に好ましい。
【0027】
本発明における前記(D)架橋剤の中の(D−2)架橋助剤は、更に架橋効率を向上させるための成分である。例えば架橋助剤としては、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、P−キノンジオキシム、P,P’−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等が好ましく用いられる。これらの架橋助剤は複数のものを併用して用いてもよい。
【0028】
本発明の重合体用軟化剤の熱・光安定性を更に向上させる場合には、必要に応じて、紫外線吸収剤、ヒンダ−ドアミン系光安定剤、酸化防止剤、活性種捕捉剤、金属不活性剤、または消光剤から選ばれる一種または二種以上の安定剤(E)を配合することができる。
(E)の量は、重合体100重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量部、更に好ましくは、0.1〜10重量部、最も好ましくは、0.2〜5重量部である。
【0029】
(E)としての紫外線吸収剤は、光エネルギーを吸収して、分子内プロトン移動することによりケト型分子となったり(ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール系)、またはcis−trans異性化することにより(シアノアクリレート系)、熱エネルギーとして放出、無害化するための成分である。その具体例は、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−t−オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類、フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類、2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類、及びエチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類である。
【0030】
(E)としてのヒンダードアミン系光安定剤は、光エネルギーにより生成したハイドロパーオキサイドを分解し、安定なN−O・ラジカルやN−OR、N−OHを生じ、安定化させるための成分である。その具体例は、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−t−オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物等である。
【0031】
(E)としての酸化防止剤は、熱成形時または光暴露により生成したハイドロパーオキシラジカル等の過酸化物ラジカルを安定化したり、生成したハイドロパーオキサイド等の過酸化物を分解するための成分である。その例は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤や過酸化物分解剤である。前者は、ラジカル連鎖禁止剤として、後者は、系中に生成した過酸化物をさらに安定なアルコール類に分解して自動酸化を防止する。
【0032】
前記酸化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例は、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スタイレネイテドフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、アルキレイテッドビスフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキシスピロ〔5・5〕ウンデカン等である。
【0033】
また、前記酸化防止剤としての過酸化物分解剤の具体例は、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等の有機リン系過酸化物分解剤またはジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等の有機イオウ系過酸化物分解剤である。
【0034】
前記活性種捕捉剤としての有機エポキシ化合物は、エポキシ化大豆油、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、4,4’−スルホビスフェノール・ポリグリシジルエーテル、N−グリシジルフタルイミド、または水添ビスフェノールAグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルスピロ〔5,5〕−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂環式エポキシ化合物等である。
【0035】
(E)としての金属不活性剤は、キレート化合物を形成して樹脂中の重金属イオンをキレート化合物中で不活性化するための成分である。その具体例としては、アシッドアミン誘導体、ベンゾトリアゾール、及びその誘導体等を挙げることができる。
(E)としての消光剤は、高分子中の光励起したハイドロパーオキサイドやカルボニル基等の官能基をエネルギー移動によって失活させるための成分であって、有機ニッケル等が知られている。
【0036】
また、本発明において、その特徴を損ねない程度に他の樹脂、エラストマー、無機フィラーおよび可塑剤を含有することが可能である。ここで用いる無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、カーボンブラック、ガラス繊維、酸化チタン、クレー、マイカ、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。また、可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタル酸エステル等が挙げられる。また、その他の添加剤、例えば、有機・無機顔料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、シリコンオイル、アンチブロッキング剤、発泡剤、帯電防止剤、抗菌剤等も好適に使用される。
【0037】
本発明において、軟化剤を重合体に配合する方法は、通常の樹脂組成物、エラストマー組成物の製造に用いられるバンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、2軸押出機、等の一般的な方法を採用することが可能である。とりわけ効率的に動的架橋を達成するためには2軸押出機が好ましく用いられる。2軸押出機は、(B)と(C)とを均一かつ微細に分散させ、さらに他の成分を添加させて、架橋反応を生じせしめ、本発明の組成物を連続的に製造するのに、より適している。
【0038】
また本発明において用いられる製造装置の一つの二軸押出機は、二軸同方向回転押出機でも、二軸異方向回転押出機でもよい。また、スクリュ−の噛み合わせについては、非噛み合わせ型、部分噛み合わせ型、完全噛み合わせ型があり、いづれの型でもよい。低いせん断力をかけて低温で均一な樹脂を得る場合には、異方向回転・部分噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。やや大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。さらに大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。
こうして得られた組成物は任意の成形方法で各種成型品の製造が可能である。射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、発泡成形等が好ましく用いられる。
【0039】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これら実施例および比較例において、各種物性の評価に用いた試験法は以下の通りである。
1.軟化剤の組成
以下に規定される粘度比重恒数と屈折度切片を求め、ASTM D2140−97に準拠したカーボンタイプ法に基づき、芳香族系炭化水素数CA、ナフテン系炭化水素数CN、パラフィン系炭化水素数CPを軟化剤の組成の指標とした。
粘度比重恒数(VGC:Viscosity Gravity Constant)
VGC=〔G+0.0887-0.776loglog(10V-4)〕/〔1.8082-0.72loglog(10V-4)〕
G=比重/15.6℃ V=粘度(cSt)/37.8℃
屈折度切片(RI:Refractivity Intercept)
RI=nD 20 - 1/2d4 20
nD 20=屈折率/20℃ d4 20=密度/20℃
【0040】
2.共役ジエン系ゴムの分析
1)水素添加率(%)
NMRで以下の手順で測定した。
まず、水素添加前のポリブタジエンゴムを重クロロホルムに溶解し、FT−NMRにて化学シフト4.7〜5.2ppm(シグナルC0とする)の1,2−ビニルによるプロトン(=CH2)と、化学シフト5.2〜5.8ppm(シグナルD0とする)のビニルプロトン(=CH2−)の積分強度より、次式で計算した。
(V)=〔0.5C0/{0.5C0+0.5(D0ー0.5C0)}〕×100
次に、部分水素添加後のポリブタジエンゴムを重クロロホルムに溶解し、同様にFT−NMRにて、化学シフト0.6〜1.0ppm(シグナルA1とする)の水素添加された1,2結合によるメチル基プロトン(−CH3)、化学シフト4.7〜5.2ppm(シグナルC1とする)の水素添加されていない1,2ービニルによるプロトン(=CH2)、化学シフト5.2〜5.8ppm(シグナルD1とする)の水素添加されていないビニルプロトン(=CH−)の積分強度から次式により計算した。
まず、p=0.5C0/(0.5C1+A1/3)
A11=pA1,C11=pC1,D11=pD1とし、1,2−ビニル結合部分の水素添加率(B)
(B)=〔(A11/3)/{A11/3+C11/2}〕×100
1,4−二重結合部分の水素添加率(C)
(C)=[{0.5(D0−0.5C0)−0.5(D11−0.5C11)}/0.5(D0−0.5C0)]×100
ブタジエン部全体の水素添加率(A)
(A)=(V)×(B)/100+〔100−(V)〕×(C)×100
【0041】
2)ミクロ構造
上記で定義した記号で以下に記載した。
水素添加前の1,2−ビニル結合=(V)×(B)/100(%)
水素添加前の1,4結合={100−(V)}×(C)/100(%)
水素添加後の1,2−ビニル結合=(V)×{100−(B)}/100(%)
水素添加後の1,4−結合={100−(V)}×{100−(B)}/100(%)
3.光安定性
光安定性試験機として米国ATLAS Electric Devices Co.製 ATLAS CI35W Weatherometerを用い、JIS K7102に基づいた方法で行なった。照射条件としては、試験機内部温度、55℃、湿度55%、雨無し、キセノン光(波長340nm エネルギー0.30W/m2)300時間照射とした。照射後、シートの外観を目視で以下の基準で外観評価を行った。
◎ 極めて良好
○ 良好
△ 良好であるが、ややざらつく
× 全体的にざらつく。光沢無し
【0042】
4.熱安定性
シートをギヤオーブン中で120℃、100時間の条件で加熱し、JIS K6251に準拠した引張破断強度の初期値に対する加熱試験後の値の比を引張破断強度の保持率(%)と定義し、熱安定性の尺度とした。
5.手触り感
シートの23℃での感触から評価した。
◎:極めて手触り感が良好かつさらっとしており、指紋跡も残らない。
○:良好
△:成形品表面に指紋の跡が残るが、べたつきは感じられない。
×:指紋跡が残り、べたつき感や、ぬめり感がある。
6.耐ブリード性
120℃雰囲気下にて、100時間放置後、成形品表面を観察し評価した。
◎:極めて良好。
○:良好
△:成形品表面に少しオイル状物質が付着している。
×:成形品表面にオイル状物質が多量に付着し、べたつき感が著しい。
7.表面硬度
2mm厚シートを4枚重ねて、ASTM D2240に準じ、Aタイプにて23℃雰囲気下にて評価した。
8.流動性
ASTM D 1238に準じ,230℃,2.16kg荷重の条件で、メルトフローレート(MFR)を測定し、流動性の指標とした。
【0043】
実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いた。
(イ)軟化剤
石油の硫酸スラッジから公知の方法で精製することにより製造した。ここで、(1)芳香族系炭化水素、(2)ナフテン系炭化水素、(3)パラフィン系炭化水素の組成比は、水素添加率、蒸留または硫酸洗浄等の精製回数、時間により制御した。
(ロ)重合体
1)エチレン・オクテン−1共重合体(EOM−1)
特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/オクテン−1の組成比は、重量比で72/28である。(TPE−1と称する)
2)エチレン・オクテン−1共重合体(EOM−2)−▲2▼
通常のチーグラー触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/オクテン−1の組成比は、重量比で72/28である。(TPE−2と称する)
3)エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン共重合体(EPDM−1)
特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエンの組成比は、重量比で72/24/4である。(EPDM−1と称する)
【0044】
4)エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン共重合体(EPDM−2) 通常のチーグラー触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエンの組成比は、重量比で72/24/4である。(EPDM−2と称する)
5)水素添加共役ジエン系ゴム
内容積10リッターの攪拌機付、ジャケット付きオートクレーブを反応器として用いて、ブタジエン/n−ヘキサン溶液(ブタジエン濃度20重量%)を20リッター/hrの速度で、n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(濃度5重量%)を70ミリッター/hrで導入し、重合温度110℃でブタジエンの連続重合を実施した。得られた活性重合体をメタノールで失活させ、別の内容積10リッターの攪拌機付、ジャッケット付きの反応器に重合体溶液8リッターを移し、温度60℃にて水素添加触媒としてジ−p−トリルビス(1−シクロペンタジエニル)チタニウム/シクロヘキサン溶液(濃度1ミリリッター/リッター)250ミリリッターと、n−ブチルリチウム溶液(濃度5ミリリッター/リッター)50ミリリッターとを、0℃、2kg/cm2の水素圧下で混合したものを添加し、水素分圧3kg/cm2にて30分間反応させた。得られた水素添加重合体溶液は、酸化防止剤として2,6−ジターシャルブチルヒドロキシトルエンを重合体当たり、0.5部添加して、溶剤を除去した。この際にブタジエン重合体を水素添加反応条件(水素添加圧力、水素添加温度、時間及び触媒量)を変えて水素添加して水素添加重合体を得た。その結果を表1に記載した。
【0045】
(ハ)オレフィン系樹脂:ポリプロピレン
日本ポリケム(株)製、アイソタクチックポリプロピレン(PPと称する)
(ニ)架橋剤:ラジカル開始剤
日本油脂(株)製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン( 商品名パーヘキサ25B)(POXと称する)
(ホ)架橋助剤
和光純薬(株)製、ジビニルベンゼン(DVBと称する)
(ヘ)安定剤
1)ヒンダードフェノール系安定剤(HP)
n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(HPと称する)
2)ヒンダードアミン系安定剤(HA)
2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート(HAと称する)
3)リン系安定剤(SP)
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(SPと称する)
【0046】
【実施例 1〜31 比較例 1〜8】
バレル中央部に注入口を有した二軸押出機(40mmφ、L/D=47、)を用いて、表1〜4記載の組成物を設定温度160℃で溶融混練を行った。スクリューとしては注入口の前後に混練部を有した2条スクリューを用いた。
このようにして得られた組成物から200℃にて圧縮成形により2mm厚のシートを作成し、各特性を評価した。
その結果を表1〜4に示した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
表1〜4によると、本願の要件を満足する軟化剤を用いることにより、重合体に、卓越した流動性、耐ブリード性、熱・光安定性及び軟化性能を付与することができ、特に重合体としてポリオレフィン系エラストマーが好ましく、とりわけメタロセン触媒を用いて製造されたエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンからなるエチレン・α−オレフィン共重合体及び/または主鎖および側鎖に二重結合を有する単独重合体及び/またはランダム共重合体からなる不飽和ゴムの全二重結合の50%以上が水素添加された水素添加ゴムの場合は、極めて卓越した上記特性が発現することが分かる。
【0052】
【発明の効果】
本発明は、流動性、耐ブリード性、熱・光安定性及び軟化性能に優れた重合体用軟化剤となる。
本発明の軟化剤を用いた組成物は、優れた外観、流動性、及び機械的強度を有しているために、自動車用部品、自動車用内装材、エアバッグカバー、機械部品、電気部品、ケーブル、ホース、ベルト、玩具、雑貨、日用品、建材、シート、フィルム等を始めとする用途に幅広く使用可能であり、産業界に果たす役割は大きい。
Claims (5)
- 重合体に軟化剤を配合してなる重合体組成物であって、前記重合体が架橋性エラストマーとポリプロピレン系樹脂とからなり、かつ部分的または完全に動的架橋してなり、前記軟化剤が(1)芳香族系炭化水素、(2)ナフテン系炭化水素、(3)パラフィン系炭化水素からなる軟化剤において、ASTM D2140−97で規定される、(3)の炭素数CPと(2)の炭素数CNの炭素数の比CP/CNが0.1以上1.5以下あり、かつ(1)の炭素数CAが軟化剤全体の炭素数中で0%以上10%以下であることを特徴とする重合体に軟化剤を配合してなる重合体組成物。
- 前記軟化剤の(1)の炭素数CAが軟化剤全体の炭素数中で1%以下であることを特徴とする請求項1記載の重合体組成物。
- 前記軟化剤のJIS−K2283規定の40℃での動粘度が30〜500mm2/sである請求項1〜2のいずれかに記載の重合体組成物。
- 前記軟化剤に安定剤を配合した請求項1〜3のいずれかに記載の重合体組成物。
- 前記架橋性エラストマーがメタロセン触媒を用いて製造されたエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンからなるエチレン・α−オレフィン共重合体、または主鎖および側鎖に二重結合を有する単独重合体及び/またはランダム共重合体からなる不飽和ゴムの全二重結合の50%以上が水素添加された水素添加ゴムから選ばれる一種以上の架橋性エラストマーである請求項1〜4のいずれかに記載の重合体組成物。
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