JP2003034739A - オレフィン系架橋ゴム組成物 - Google Patents

オレフィン系架橋ゴム組成物

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JP2003034739A
JP2003034739A JP2001223995A JP2001223995A JP2003034739A JP 2003034739 A JP2003034739 A JP 2003034739A JP 2001223995 A JP2001223995 A JP 2001223995A JP 2001223995 A JP2001223995 A JP 2001223995A JP 2003034739 A JP2003034739 A JP 2003034739A
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olefin
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resin
rubber composition
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JP2001223995A
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Hajime Nishihara
一 西原
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外観、感触、耐傷つき性、耐油性、溶融加工
性及び機械的強度に優れたオレフィン系架橋ゴム組成物
の提供。 【解決手段】 (A)示差走査熱量測定法(DSC法)
での結晶化温度が、−100〜100℃の範囲にあり、
かつ結晶化ピーク熱量が3〜100J/gの範囲にある
架橋性ゴム状重合体と(B)ポリエチレン系樹脂を含有
する熱可塑性樹脂とからなる、部分的または完全に架橋
されたオレフィン系架橋ゴム組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オレフィン系架橋
ゴム組成物に関するものである。更に詳しくは、外観、
感触、耐傷つき性、耐油性、溶融加工性及び機械的強度
に優れたオレフィン系架橋ゴム組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ラジカル架橋性ゴムとPP等のラジカル
架橋性のない樹脂とをラジカル開始剤の存在下、押出機
中で溶融混練させながら架橋する、いわゆる動的架橋に
よる熱可塑性ゴム組成物は、既に公知の技術であり、自
動車部品等の用途に広く使用されている。このようなゴ
ム系組成物として、エチレン−プロピレン−ジエンゴム
(EPDM)により製造されたオレフィン系ゴム(特開
平8−120127号公報、特開平9−137001号
公報)を用いる動的架橋技術が知られているが、耐傷つ
き性に劣り、必ずしも市場では満足されていない。
【0003】このようなオレフィン系ゴムとして、エチ
レン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)またはメタ
ロセン触媒により製造されたオレフィン系ゴム(特開平
8−120127号公報、特開平9−137001号公
報)が知られている。またオレフィン系ゴムと特殊なポ
リオレフィン樹脂とからなる熱可塑性架橋ゴムとして、
例えば、オレフィン系ゴム、分解型ポリオレフィン、及
びエチレンと炭素数4〜10のαーオレフィンからなる
架橋型ポリオレフィンとの熱可塑性架橋ゴム組成物(特
開昭60ー231747号公報)、オレフィン系ゴム、
分解型ポリプロピレン、架橋型ポリエチレン等との熱可
塑性架橋ゴム組成物のシートの製造方法(特開平1−2
95818号公報)が開示されている。しかしながら、
上記公報のいずれの組成物も外観、感触、耐傷つき性、
耐油性及び機械的強度が必ずしも充分でなく、実用的使
用に耐えるオレフィン系架橋ゴム組成物が求められてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち外観、感
触、耐傷つき性、耐油性、溶融加工性及び機械的強度に
優れたオレフィン系架橋ゴム組成物を提供することを目
的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等はゴム組成物
の改良を鋭意検討した結果、特定の結晶性を有する架橋
性ゴム状重合体と特定の熱可塑性樹脂を用いることによ
り、驚くべきことに外観、感触、耐傷つき性、耐油性、
溶融加工性及び機械的強度が飛躍的に向上する事を見出
した。即ち、本発明は、(A)示差走査熱量測定法(D
SC法)での結晶化ピーク温度が、−100〜100℃
の範囲にあり、かつ結晶化ピーク熱量が3〜100J/
gの範囲にある架橋性ゴム状重合体と(B)ポリエチレ
ン系樹脂を含有する熱可塑性樹脂とからなる、部分的ま
たは完全に架橋されたオレフィン系架橋ゴム組成物を提
供するものである。
【0006】ここで、以下に、上記結晶化ピーク温度
(℃)、結晶化ピーク熱量(J/g)について説明す
る。図1は、(A)水素添加ゴム状重合体の代表的な示
差走査熱量測定法(DSC法)で測定した結晶化ピーク
を1個有する場合の熱量変化を示す曲線(縦軸単位:熱
量(J)、横軸単位:温度(℃))である。そこで、図
1を用いて解説すると、上記結晶化ピーク温度T
0 (℃)とは、示差走査熱量測定法(DSC法)で測定
した熱量変化を示す曲線において、ベースラインl0
対して直線l1 を平行移動させた場合に該曲線と1点で
接する点A(結晶化ピーク)の温度をいう。
【0007】また、結晶化ピーク熱量(J/g)とは、
ベースラインに対して変化した熱量変化を示す曲線で囲
まれたピーク面積から算出した熱量(J)の単位質量g
当たりの値をいう。具体的には、図1の場合には、ベー
スラインl0 と各熱量変化を示す曲線とで囲まれたピー
ク面積に相当する熱量(J)を、試料(A)水素添加ゴ
ム状重合体の質量gで割った値である。そして、(A)
水素添加ゴム状重合体が上記結晶化ピークを2個以上有
する場合も、上記した方法と同様にして夫々の結晶化ピ
ーク温度(℃)、結晶化ピーク熱量(J/g)が求めら
れる。
【0008】以下、本発明に関して詳しく述べる。(な
お、以下において、上記(A)・・・架橋性ゴム状重合
体、(B)・・・熱可塑性樹脂、(C)架橋剤、(D)
軟化剤を、単に(A)、(B)、(C)、(D)という
ことがある。)本発明の組成物は、(A)特定の結晶性
を有する架橋性ゴム状重合体と(B)特定の熱可塑性樹
脂とを架橋してなるオレフィン系架橋ゴム組成物であ
る。ここで、(A)は、示差走査熱量測定法(DSC
法)において、(A)の結晶化ピーク温度が−100〜
100℃の範囲にあり、好ましくは−70〜70℃の範
囲にあり、更に好ましくは−50〜50℃の範囲にあ
る。そして、(A)の結晶化ピーク熱量が3〜100J
/gの範囲にあり、好ましくは3〜50J/gの範囲に
あり、更に好ましくは5〜40J/gの範囲にある。上
記範囲の結晶化ピーク温度と結晶化ピーク熱量を有する
ゴム状重合体の場合は、感触に優れ、かつ外観、耐傷つ
き性及び機械的強度が向上する事を見出した。また
(B)はポリエチレン系樹脂を含有する熱可塑性樹脂で
ある。ポリエチレン系樹脂を含有することにより、外
観、耐油性、機械的強度及び溶融加工性が著しく向上す
ることを見出し、本発明を完成した。
【0009】以下に本発明の各成分について詳細に説明
する。本発明において(A)架橋性ゴム状重合体は、ガ
ラス転移温度(Tg)が−10℃以下であることが好ま
しく、このようなゴム状重合体は、例えば、ポリブタジ
エン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロ
ニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及び上記ジエ
ンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロ
ロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴ
ム及びエチレン−プロピレ共重合体ゴム、エチレン−プ
ロピレンン−ジエンモノマー三元共重合体ゴム(EPD
M)、エチレン−オクテン共重合体ゴム等の架橋ゴムま
たは非架橋ゴム、並びに上記ゴム成分を含有する熱可塑
性エラストマー等を挙げることができる。
【0010】本発明において、(A)架橋性ゴム状重合
体の好ましい具体例の一つはエチレン・α−オレフィン
共重合体であり、エチレンおよび炭素数が3〜20のα
−オレフィンとの共重合体が更に好ましい。α−オレフ
ィンとして、例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン
ー1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテ
ン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウン
デセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。中でもヘキ
セン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1が好
ましく、特に好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィ
ンであり、とりわけプロピレン、ブテン−1、オクテン
−1が最も好ましい。また(A)は必要に応じて、不飽
和結合を有する単量体を含有することができ、例えば、
ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン、1, 4
−ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン、ジシクロペン
タジエン、ノルボルネン誘導体等の環状ジエン化合物、
及びアセチレン類が好ましく、とりわけエチリデンノル
ボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン(DCP)
が最も好ましい。
【0011】上記エチレン・α−オレフィン共重合体
は、公知のメタロセン系触媒を用いて製造することが好
ましい。一般にはメタロセン系触媒は、チタン、ジルコ
ニウム等のIV族金属のシクロペンタジエニル誘導体と
助触媒からなり、重合触媒として高活性であるだけでな
く、チーグラー系触媒と比較して、得られる重合体の分
子量分布が狭く、共重合体中のコモノマーである炭素数
3〜20のα−オレフィンの分布が均一である。上記エ
チレン・α−オレフィン共重合体は、α−オレフィンの
共重合比率が1〜60重量%であることが好ましく、更
に好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは20〜
45重量%である。α−オレフィンの共重合比率が60
重量%を越えると、組成物の硬度、引張強度等の低下が
大きく、一方、1重量%未満では柔軟性、機械的強度が
低下する。上記エチレン・α−オレフィン共重合体の密
度は、0.8〜0.9g/cm3の範囲にあることが好
ましい。この範囲の密度を有するオレフィン系エラスト
マーを用いることにより、柔軟性に優れ、硬度の低いエ
ラストマー組成物を得ることができる。
【0012】上記エチレン・α−オレフィン共重合体
は、長鎖分岐を有していることが望ましい。長鎖分岐が
存在することで、機械的強度を落とさずに、共重合され
ているα−オレフィンの比率(重量%)に比して、密度
をより小さくすることが可能となり、低密度、低硬度、
高強度のエラストマーを得ることができる。長鎖分岐を
有するオレフィン系エラストマーとしては、米国特許第
5278272号明細書等に記載されている。また、上
記エチレン・α−オレフィン共重合体は、室温以上に上
記DSC法の融点ピークを有することが望ましい。上記
融点ピークを有するとき、該融点以下の温度範囲では形
態が安定しており、取扱い性に優れ、ベタツキも少な
い。また、本発明にて用いられる(A)のメルトインデ
ックスは、0.01〜100g/10分(190℃、
2.16kg荷重)の範囲のものが好ましく用いられ、
更に好ましくは0.2〜10g/10分である。100
g/10分を越えると、組成物の架橋性が不十分であ
り、また0.01g/10分より小さいと流動性が悪
く、加工性が低下して望ましくない。
【0013】本発明において、(A)架橋性ゴム状重合
体の好ましい具体例のもう一は上記水素添加ゴムであ
り、少なくとも一種の共役ジエン系単量体の単独重合体
ゴム、または共役ジエン系単量体と芳香族ビニル単量体
とからなる共重合体ゴムの全二重結合の水素添加率が5
0%以上である水素添加ゴムであり、とりわけ主鎖およ
び側鎖に二重結合を有する重合体及び/またはランダム
共重合体からなる不飽和ゴムの全二重結合の50%以上
が水素添加された水素添加ゴムであることが好ましい。
上記水素添加ゴムにおいて、必要に応じて、例えば、オ
レフィン系、メタクリル酸エステル系、アクリル酸エス
テル系、不飽和ニトリル系、塩化ビニル系単量体等の共
役ジエンと共重合可能な単量体を共重合することができ
る。
【0014】上記共役ジエン系単量体としては、1,3
−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルー1,3
−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−
1、3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5
−ジエチル−1、3−オクタジエン、3−ブチル−1,
3−オクタジエン、クロロプレン等を挙げることがで
き、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタ
ジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、イソプレンが
最も好ましい。また前記芳香族ビニル単量体としては、
スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、
t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメ
チル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン等を
挙げることができ、スチレン、α−メチルスチレンが好
ましい。上記芳香族単量体は一種または二種以上併用す
ることができる。芳香族ビニル単量体含有量は、0〜8
0重量%が好ましく、更に好ましくは0〜50重量%、
最も好ましくは0〜30重量%である。
【0015】上記水素添加ゴムにおいて、水素添加前の
共役ジエン単量体部分のビニル結合は、分子内に均一に
存在していても、分子鎖に沿って増減あるいは減少して
もよいし、またはビニル結合含有量の異なった、複数個
のブロックを含んでいてもよい。そして、芳香族ビニル
単量体または前記共役ジエン単量体と共重合可能な単量
体を含む場合は、上記共役ジエン単量体部分の中でラン
ダムに結合するが、本発明の上記DSC法による結晶性
に関する要件を満足する範囲内で、ブロック状の芳香族
ビニル単量体またはその他の単量体を含んでもよい。ブ
ロック状の芳香族ビニル重合体の含有率は、全芳香族ビ
ニル単量体中の20重量%以下が好ましく、更に好まし
くは10重量%以下である。
【0016】上記水素添加ゴム中の全二重結合は、50
%以上であり、好ましくは90%以上、更に好ましくは
95%以上が水素添加され、そして主鎖の残存二重結合
が5%以下、側鎖の残存二重結合が5%以下であること
が好ましい。このようなゴムの具体例としては、ポリブ
タジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アク
リロニトリル−ブタジエン)、ポリイソプレン、ポリク
ロロプレン等のジエン系ゴムを部分的または完全に水素
添加したゴム状重合体を挙げることができ、特に水素添
加ブタジエン系または水素添加イソプレン系ゴムが好ま
しい。本発明における二重結合の水素添加は、共役ジエ
ン系単量体についてであり、芳香族ビニル単量体につい
ては適用されない。
【0017】このような水素添加ゴムは、上述のゴムを
公知の水素添加方法で部分水素添加することにより得ら
れる。例えば、F.L.Ramp,etal,J.Amer.Chem.Soc.,83,46
72(1961)記載のトリイソブチルボラン触媒を用いて水素
添加する方法、Hung Yu Chen,J.Polym.Sci.Polym.Lette
r Ed.,15,271(1977)記載のトルエンスルフォニルヒドラ
ジドを用いて水素添加する方法、あるいは特公昭42−
8704号公報に記載の有機コバルト−有機アルミニュ
ウム系触媒あるいは有機ニッケル−有機アルミニュウム
系触媒を用いて水素添加する方法等を挙げることができ
る。ここで、特に好ましい水素添加の方法は、低温、低
圧の温和な条件下で水素添加が可能な触媒を用いる特開
昭59−133203号、特開昭60−220147号
公報あるいは不活性有機溶媒中にて、ビス(シクロペン
タジエニル)チタニウム化合物と、ナトリウム原子、カ
リウム原子、ルビジウム原子またはセシウム原子を有す
る炭化水素化合物とからなる触媒の存在下に水素と接触
させる特開昭62−207303号公報に示される方法
である。
【0018】また、水素添加ゴムの100℃で測定した
ムーニー粘度(ML)は20〜90、25℃における5
重量%スチレン溶液粘度(5%SV)は、20〜300
センチポイズ(cps)の範囲にあることが好ましい。
特に好ましい範囲は25〜150cpsである。そし
て、水素添加ゴムの結晶性の指標である上記DSC法で
の結晶化ピーク温度、結晶化ピーク熱量の制御は、テト
ラヒドロフラン等の極性化合物の添加または重合温度の
制御により、例えば、結晶化ピーク熱量の低下は、極性
化合物を増量するか、または重合温度を低下させて、
1, 2−ビニル結合を増大させることにより達成され
る。
【0019】本発明において(A)架橋性ゴム状重合体
の好ましい具体例の更なる一つとして、芳香族ビニル単
位と共役ジエン単位からなるブロック共重合体、または
上記共役ジエン単位部分が部分的に水素添加またはエポ
キシ変性されたブロック共重合体等が挙げられる。上記
ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル単量体は、例
えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチ
レン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、2,
4,5−トリブロモスチレン等であり、スチレンが最も
好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単
量体を共重合してもよい。また、上記ブロック共重合体
を構成する共役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、
イソプレン等を挙げることができる。
【0020】そして、ブロック共重合体のブロック構造
は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表
示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加さ
れた単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、
SB、S(BS)n(但し、nは1〜3の整数)、S
(BSB)n(但し、nは1〜2の整数)のリニア−ブ
ロック共重合体や、(SB)nX(但し、nは3〜6の
整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ化
合物等のカップリング剤残基。)で示され、B部分を結
合中心とする星状(スタ−)ブロック共重合体であるこ
とが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3型、S
BSBの4型のリニア−ブロック共重合体が好ましい。
【0021】本発明にて用いられる(A)架橋性ゴム状
重合体の結晶性の指標である上記DSC法での結晶化ピ
ーク温度、結晶化ピーク熱量の制御は、テトラヒドロフ
ラン等の極性化合物の添加または重合温度の制御によ
り、例えば、結晶化ピーク熱量の低下は、極性化合物を
増量するか、または重合温度を低下させて、1, 2−ビ
ニル結合を増大させることにより達成される。また、上
記結晶化ピーク温度、結晶化ピーク熱量の制御は、同じ
結晶化ピーク温度で結晶化ピーク熱量の異なったものを
ブレンドすることにより、または同じ結晶化ピーク熱量
で結晶化ピーク温度の異なったものをブレンドすること
により、夫々れ独立して制御することが出来る。そし
て、本発明の(A)架橋性ゴム状重合体は、複数の種類
のものを混合して用いると加工性のさらなる向上を図る
ことが可能となる。
【0022】本発明において(B)は、ポリエチレン系
樹脂を含有する熱可塑性樹脂である。上記ポリエチレン
系樹脂(B−1)は、ポリエチレンのホモポリマーまた
は、エチレンを主体に必要に応じて、プロピレン、ブテ
ン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレ
フィンとのアイソタクチック共重合樹脂(ブロック、ラ
ンダムを含む)等である。上記(B−1)のメルトイン
デックスは、0.1〜100g/10分(230℃、
2.16kg荷重)の範囲のものが好ましく用いられ
る。100g/10分を越えると、本発明のオレフィン
系架橋ゴム組成物(熱可塑性エラストマー組成物)の耐
熱性、機械的強度が不十分であり、また0.1g/10
分より小さいと流動性が悪く、成形加工性が低下傾向に
ある。
【0023】本発明における(B)は、ポリエチレン系
樹脂(B−1)に、例えばポリエチレン系以外のポリオ
レフィン系、ポリスチレン系、ポリフェニレンエーテル
系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリエステル
系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート
系、ポリメタクリレート系等の熱可塑性樹脂(B−2)
を配合したものであり、特にポリエチレン系樹脂に配合
する熱可塑性樹脂としてポリプロピレン系樹脂及び/ま
たはポリスチレン系樹脂が好ましい。本発明において、
(B−1)に配合する熱可塑性樹脂(B−2)としての
ポリプロピレン系樹脂を具体的に示すと、ホモのアイソ
タクチックポリプロピレン、プロピレンを主体に必要に
応じて、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセ
ン−1等の他のα−オレフィンとのアイソタクチック共
重合樹脂(ブロック、ランダムを含む)等が挙げられ
る。
【0024】上記(B−2)のメルトインデックスは、
0.1〜100g/10分(230℃、2.16kg荷
重)の範囲のものが好ましく用いられる。100g/1
0分を越えると、本発明のオレフィン系架橋ゴム組成物
(熱可塑性エラストマー組成物)の耐熱性、機械的強度
が不十分であり、また0.1g/10分より小さいと流
動性が悪く、成形加工性が低下傾向にある。本発明にお
いて、(B−2)の熱可塑性樹脂の一つのスチレン系樹
脂は、ゴム非変性スチレン系樹脂及び/またはゴム変性
スチレン系樹脂である。上記ゴム非変性スチレン系樹脂
は、芳香族ビニル単量体の単独重合体または二種以上の
共重合体であり、更に必要に応じて、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体、炭
素数が1〜8のアルキル基からなるアクリル酸エステル
またはメタクリル酸エステル、あるいはアクリル酸、メ
タクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレイミド等の
単量体の共重合体である。
【0025】また、ゴム変性スチレン系樹脂は、ゴム非
変性スチレン系樹脂よりなるマトリックス中にゴム状重
合体が粒子状に分散してなる樹脂をいい、ゴム状重合体
の存在下に芳香族ビニル単量体及び必要に応じ、これと
共重合可能なビニル単量体を加えて単量体混合物を公知
の塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の重合方法により得
られる。このようなゴム変性スチレン系樹脂の例として
は、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂
(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−
スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−
エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)等が挙げ
られる。
【0026】本発明において、(B−1)はポリエチレ
ンまたはエチレンが50重量%以上、好ましくは70重
量%以上、更に好ましくは90重量%以上含有するエチ
レンとαーオレフィンとの共重合樹脂が好ましく、架橋
剤の一つのラジカル開始剤の存在下で架橋する特性を有
する。また上記(B−2)はポリエチレン系樹脂以外の
熱可塑性樹脂であり、ラジカル開始剤の存在下で分解す
る特性を有することが好ましい。このような(Bー1)
架橋型樹脂と(B−2)分解型樹脂の二種の樹脂を組み
合わせることにより、外観、機械的強度、耐油性、及び
溶融加工性が更に向上する。本発明において、(B−
1)と(B−2)の合計量の中で、(B−1)は、1〜
99重量%であり、好ましくは10〜90重量%、更に
好ましくは10〜70重量%であり、最も好ましくは1
0〜50重量%である。1重量%未満では機械的強度、
耐油性、及び溶融加工性の改良効果は少なく、一方、9
9重量%を越えると架橋が進行しすぎて外観及び機械的
強度が低下傾向にある。
【0027】本発明において、(A)と(B)の合計量
100重量部の中で、(B)は、1〜99重量部であ
り、好ましくは10〜90重量部、更に好ましくは20
〜80重量部であり、最も好ましくは30〜70重量部
である。1重量部未満では組成物の流動性、加工性が低
下傾向にあり、一方、99重量部を越えると組成物の柔
軟性が低下傾向にある。本発明の架橋ゴム組成物は、
(C)架橋剤で架橋されることが好ましい。(C)は、
(C−1)架橋開始剤を必須成分とし、必要に応じて
(C−2)多官能単量体、(C−3)単官能単量体を含
有する。上記(C)は、(A)と(B)の合計量100
重量部に対し0.01〜10重量部、好ましくは0.0
5〜3重量部の量で用いられる。0.01重量部未満で
は架橋が不十分であり、10重量部を越えると組成物の
外観、機械的強度が低下する傾向にある。
【0028】ここで、(C−1)架橋開始剤は、有機過
酸化物、有機アゾ化合物等のラジカル開始剤等が挙げら
れ、その具体的な例として、1,1−ビス(t−ブチル
パーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t
−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−
ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−
4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブ
チル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレー
ト等のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパーオキ
サイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパ
ーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ
−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−
ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−
ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
サンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサ
イド類;アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオ
キサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパ
ーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5
−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイル
パーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキ
サイドおよびm−トリオイルパーオキサイド等のジアシ
ルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテー
ト、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパ
ーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘ
キサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチル
パーオキシイソプロピルカーボネート、およびクミルパ
ーオキシオクテート等のパーオキシエステル類;ならび
に、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイド
ロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパ
ーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ
ハイドロパーオキサイドおよび1,1,3,3−テトラ
メチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイ
ド類を挙げることができる。
【0029】これらの化合物の中では、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメ
チル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン
−3が好ましい。上記(C−1)は、(C)成分中で好
ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重
量%の量が用いられる。1重量%未満では架橋が不十分
であり、80重量%を越えると機械的強度が低下する。
【0030】本発明において、(C)架橋剤の一つの
(C−2)多官能単量体は、官能基としてラジカル重合
性の官能基が好ましく、とりわけビニル基がこのまし
い。官能基の数は2以上であるが、(C−3)との組み
合わせで特に3個以上の官能基を有する場合には有効で
ある。具体例としては、ジビニルベンゼン、トリアリル
イソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ダイアセ
トンジアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアク
リレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、エチレングリコール
ジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリ
レート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイ
ソプロペニルベンゼン、P−キノンジオキシム、P,
P’−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニルマレイ
ミド、アリルメタクリレート、N,N’−m−フェニレ
ンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テトラアリル
オキシエタン、1,2−ポリブタジエン等が好ましく用
いられる。特にトリアリルイソシアヌレートが好まし
い。これらの多官能単量体は複数のものを併用して用い
てもよい。上記(C−2)は、(C)成分中で好ましく
は1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の
量が用いられる。1重量%未満では架橋が不十分であ
り、80重量%を越えると機械的強度が低下する。
【0031】本発明において用いられる前記(C−3)
は、架橋反応速度を制御するために加えるビニル系単量
体であり、ラジカル重合性のビニル系単量体が好まし
く、芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等の不飽和ニトリル単量体、アクリル酸エス
テル単量体、メタクリル酸エステル単量体、アクリル酸
単量体、メタクリル酸単量体、無水マレイン酸単量体、
N−置換マレイミド単量体等を挙げることができる。上
記(C−3)は、(C)成分中で好ましくは1〜80重
量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられ
る。1重量%未満では架橋が不十分であり、80重量%
を越えると機械的強度が低下する。上記(D)は、パラ
フィン系、ナフテン系などのプロセスオイルが好まし
い。これらは組成物の硬度、柔軟性の調整用に、(A)
と(B)の合計量100重量部に対して、5〜500重
量部、好ましくは10〜150重量部用いる。5重量部
未満では柔軟性、加工性が不足し、500重量部を越え
るとオイルのブリードが顕著となり望ましくない。
【0032】また、本発明の組成物には、その特徴を損
ねない程度に無機フィラーおよび可塑剤を含有すること
が可能である。ここで用いる無機フィラーとしては、例
えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、カ
ーボンブラック、ガラス繊維、酸化チタン、クレー、マ
イカ、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム等が挙げられる。また、可塑剤としては、例えば、ポ
リエチレングリコール、ジオクチルフタレート(DO
P)等のフタル酸エステル等が挙げられる。また、その
他の添加剤、例えば、有機・無機顔料、熱安定剤、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、シリコンオ
イル、アンチブロッキング剤、発泡剤、帯電防止剤、抗
菌剤等も好適に使用される。
【0033】本発明の組成物の製造には、通常の樹脂組
成物、エラストマー組成物の製造に用いられるバンバリ
ーミキサー、ニーダー、単軸押出機、2軸押出機、等の
一般的な方法を採用することが可能である。とりわけ効
率的に動的架橋を達成するためには2軸押出機が好まし
く用いられる。2軸押出機は、(A)と(B)とを均一
かつ微細に分散させ、さらに他の成分を添加させて、架
橋反応を生じせしめ、本発明の組成物を連続的に製造す
るのに、より適している。本発明の組成物は、好適な具
体例として、次のような加工工程を経由して製造するこ
とができる。すなわち、(A)と(B)とをよく混合
し、押出機のホッパーに投入する。(C)架橋剤を、
(A)と(B)とともに当初から添加してもよいし、押
出機の途中から添加してもよい。また(D)を押出機の
途中から添加してもよいし、当初と途中とに分けて添加
してもよい。(A)と(C)の一部を押出機の途中から
添加してもよい。押出機内で加熱溶融し混練される際
に、前記(A)と(C)架橋剤とが架橋反応し、さらに
(D)等を添加して溶融混練することにより架橋反応と
混練分散とを充分させたのち押出機から取り出すことに
より、本発明の組成物のペレットを得ることができる。
【0034】また特に好ましい溶融押出法としては、原
料添加部を基点としてダイ方向に長さLを有し、かつL
/Dが5から100(但しDはバレル直径)である二軸
押出機を用いる場合である。二軸押出機は、その先端部
からの距離を異にするメインフィ−ド部とサイドフィ−
ド部の複数箇所の供給用部を有し、複数の上記供給用部
の間及び上記先端部と上記先端部から近い距離の供給用
部との間にニ−ディング部分を有し、上記ニ−ディング
部分の長さが、それぞれ3D〜10Dであることが好ま
しい。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例により更に詳
細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。なお、これら実施例および比較例において、各種
物性の評価に用いた試験法は以下の通りである。 1. 共役ジエン系ゴムの分析 1)水素添加率(%) NMRで以下の手順で測定した。まず、水素添加前のポ
リブタジエンゴムを重クロロホルムに溶解し、FT−N
MR(270メガ、日本電子製)にて化学シフト4. 7
〜5.2ppm(シグナルC0とする)の1,2−ビニ
ルによるプロトン(=CH−)と、化学シフト5. 2〜
5.8ppm(シグナルD0とする)のビニルプロトン
(=CH−)の積分強度より、次式で計算した。 (V)=〔0. 5C0/{0. 5C0+0. 5(D0−
0. 5C0)}〕×100
【0036】次に、部分水素添加後のポリブタジエンゴ
ムを重クロロホルムに溶解し、同様にFT−NMRに
て、化学シフト0. 6〜1.0ppm(シグナルA1と
する)の水素添加された1, 2結合によるメチル基プロ
トン(−CH3)、化学シフト4. 7〜5. 2ppm
(シグナルC1とする)の水素添加されていない1,2
−ビニルによるプロトン(=CH−)、化学シフト5.
2〜5.8ppm(シグナルD1とする)の水素添加さ
れていないビニルプロトン(=CH−)の積分強度から
次式により計算した。 まず、p=0. 5C0/(0.5C1+A1/3) A11=pA1, C11=pC1, D11=pD1と
し、1,2−ビニル結合部分の水素添加率(B) (B)=〔(A11/3)/{A11/3+C11/
2}〕×100 1, 4−二重結合部分の水素添加率(C) (C)=[{0. 5(D0−0. 5C0)−0. 5(D
11−0. 5C11)}/0. 5(D0−0. 5C
0)]×100 ブタジエン部全体の水素添加率(A) (A)=(V)×(B)/100+〔100−(V)〕
×(C)×100
【0037】2)ミクロ構造 上記で定義した記号で以下に記載した。 水素添加前の1,2−ビニル結合=(V)×(B)/1
00 (%) 水素添加前の1, 4結合={100−(V)}×(C)
/100 (%) 水素添加後の1,2−ビニル結合=(V)×{100−
(B)}/100(%) 水素添加後の1, 4−結合={100−(V)}×{1
00−(B)}/100(%)
【0038】2. (A)の結晶化ピーク温度、結晶化ピ
ーク熱量 示差走査熱量測定法(DSC法)により測定した。具体
的には、日本国(株)マックサイエンス(MAK SC
IENCE)製、熱分析装置システムWS002を用い
て、10mg試料を窒素気流下、室温から10℃/分で
昇温し、100℃に到達した後に、直ちに10℃/分で
−100℃まで降温し、ベースラインに対して変化した
熱量変化を示す曲線を求めた。この曲線から既に
【課題を解決するための手段】の冒頭で述べた方法によ
り結晶化ピーク温度(℃)と結晶化ピーク熱量(J/
g)を求めた。 3. 耐油性 前もって2mm厚さの組成物シートの重量W0 を測定し
た後に、組成物シートを80℃の流動パラフィン中で2
0時間静置した後に、組成物シートの重量(W 1 )を測
定し、以下のように重量変化率を算出する。ここで、数
値が小さいほど耐油性が優れていることを示す。 重量変化率=(W1 −W0 )/W0 ×100 (%)
【0039】4. 引張破断強度[MPa] JIS K6251に準じ、23℃にて評価した。 5. 外観 押出シート肌または射出成形体表面から以下の基準で外
観評価を行った。 ◎ 極めて良好 ○ 良好 △ 良好であるが、ややざらつく × 全体的にざらつく。光沢無し 6. 耐傷つき性 先端が長さ10mm、幅1mm の長方形で、重さが300gの
くさびを高さ5cmからシートに落下させてできた、シ
ートの傷をレーザー光で走査して傷深さ(μm)を測定
した。
【0040】7.真空成形性 底面が15cmの正方形で深さが5cmの直方体の金型
に1mm厚さのシートを接触させて、赤外線ヒーターに
てシート表面が140℃になるまで加熱した後に、真空
下で成形体を作製した。得られた成形体の型再現性、転
写性を目視で以下の基準で評価した。 ◎ 極めて型再現性、転写性が良好 ○ 良好 △ 良好であるが、ややコーナー部の型再現性、転写性
が悪い。 × 不良 8.感触 23℃雰囲気下にて、実際に手で触ってそのさらっと感
(べたつきの無いこと)と指紋跡が成形品表面に残るか
否かを評価した。 ◎:極めて手触り感が良好かつさらっとしており、指紋
跡も残らない。 ○:成形品表面に指紋の跡が残るが、べたつきは感じら
れない。 △:ややベタツキが感じられる。 ×:指紋跡が残り、べたつき感や、ぬめり感がある。
【0041】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。 (イ)架橋性ゴム状重合体・・・(A) 1)エチレン・αーオレフィン共重合体の製造 実施例1〜21、実施例39〜47、比較例1〜8、比
較例12〜13で用いたエチレン・オクテン−1共重合
体、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン
(ENB)共重合体(表1〜2、6中ではC2 /C8
2 /C3 /ENBと略記する。)の製造方法 内容積10リッターの攪拌機付、ジャケット付きオート
クレーブを反応器として、常法通り(例えば、特開平3
−163088号公報参照)に重合してC2 (70重量
%)/C8 (30重量%)共重合体、C2 (70重量
%)/C3 (25重量%)/ENB(5重量%)共重合
体、C2 (60重量%)/C8 (40重量%)共重合体
を製造した。
【0042】その際、結晶化ピーク温度、結晶化ピーク
熱量の調節は、テトラヒドロフラン等の極性化合物の添
加または重合温度の制御により、例えば、結晶化ピーク
熱量の低下は、極性化合物を増量するか、または重合温
度を低下させて、1, 2−ビニル結合を増大させること
により行うとともに、両者の一方を同じ結晶化ピーク温
度で結晶化ピーク熱量の異なったものをブレンドするこ
とにより、または同じ結晶化ピーク熱量で結晶化ピーク
温度の異なったものをブレンドすることにより、一定と
した。得られた共重合体の結晶化ピーク温度、結晶化ピ
ーク熱量のデータは表1〜3(A)、表6(A)に示さ
れている。
【0043】2)水素添加共役ジエン系ゴムの製造 −1 実施例22〜27で用いた水素添加ブタジエン
重合体の製造方法内容積10リッターの攪拌機付、ジャ
ケット付きオートクレーブを反応器として用いて、ブタ
ジエン/n−ヘキサン溶液(ブタジエン濃度15重量
%)を20リッター/hrの速度で、n−ブチルリチウ
ム/n−ヘキサン溶液(濃度6重量%)を50ミリッタ
ー/hrで導入し、重合温度100℃でブタジエンの連
続重合を実施した。得られた活性重合体をメタノールで
失活させ、別の内容積10リッターの攪拌機付、ジャッ
ケット付きの反応器に重合体溶液8リッターを移し、温
度50℃にて水素添加触媒としてジーp−トリルビス
(1ーシクロペンタジエニル)チタニウム/シクロヘキ
サン溶液(濃度1ミリリッター/リッター)250ミリ
リッターと、n−ブチルリチウム溶液(濃度5ミリリッ
ター/リッター)50ミリリッターとを、0℃、2kg
/cm2 の水素圧下で混合したものを添加し、水素分圧
3kg/cm2 にて50分間反応させた。得られた水素
添加重合体(実施例22)溶液を得た。
【0044】また、この際に得られたブタジエン重合体
の水素添加反応条件(水素添加圧力、水素添加温度、時
間及び触媒量)を制御し、ブタジエン部の水添率
(%)、残存主鎖二重結合量(%)、残存側鎖二重結合
量(%)を変化(実施例23〜27)させた。得られた
水素添加重合体溶液には、酸化防止剤として2, 6−ジ
ターシャルブチルヒドロキシトルエンを重合体当たり、
0. 5部添加して、溶剤を除去し、表4(A)に記載の
水添率(%)、残存二重結合量、結晶化ピーク温度、結
晶化ピーク熱量を有する水素添加ブタジエン重合体を得
た。
【0045】−2 実施例28〜31で用いた水素添
加ブタジエン重合体の製造方法実施例22の製造方法に
おいて、スチレンを更に添加し同様に重合を行うととも
に、得られたブタジエン重合体の水素添加反応条件(水
素添加圧力、水素添加温度、時間及び触媒量)を制御
し、表4(A)に記載のB/S重量比、水添率(%)、
残存二重結合量、結晶化ピーク温度、結晶化ピーク熱量
を有する水素添加ブタジエン重合体を得た。 −3 実施例32〜38、比較例9〜11で用いた水
素添加ブタジエン重合体の製造方法 実施例22の製造方法において、テトラヒドロフラン等
の極性化合物の添加または重合温度の制御により、例え
ば、結晶化ピーク熱量の低下は、極性化合物を増量する
か、または重合温度を低下させて、1, 2−ビニル結合
を増大させることにより行うとともに、両者の一方を同
じ結晶化ピーク温度で結晶化ピーク熱量の異なったもの
をブレンドすることにより、または同じ結晶化ピーク熱
量で結晶化ピーク温度の異なったものをブレンドするこ
とにより一定とし、得られたブタジエン重合体の水素添
加反応条件(水素添加圧力、水素添加温度、時間及び触
媒量)を制御して、表5(A)に記載の水添率(%)、
残存二重結合量、結晶化ピーク温度、結晶化ピーク熱量
を有する水素添加ブタジエン重合体を得た。
【0046】(ロ)ポリエチレン系樹脂・・・(B) (1)高密度ポリエチレン 旭化成(株)製、サンテックHD(HDPEと称する) (2)低密度ポリエチレン 旭化成(株)製、サンテックLD(LDPEと称する) (3)エチレンとオクテン−1との共重合樹脂(EO
R) 特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒
を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/オ
クテン−1の組成比は、98/2(重量比)である。
(EORと称する)
【0047】(ハ)非ポリエチレン系熱可塑性樹脂・・
・(B) (1)ホモポリプロピレン 日本ポリオレフィン(株)製、アイソタクチックホモポ
リプロピレン(PP−1と称する) (2)ブロックポリプロピレン 日本ポリオレフィン(株)製、(PP−2と称する) (3)ゴム非変性ポリスチレン 旭化成(株)製、スタイロン(PSと称する) (ニ)パラフィン系オイル・・・(D) 出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイル PW−3
80(MOと称する)
【0048】(ホ)架橋剤・・・(C) 1)架橋開始剤(C−1) 日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−
ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名パーヘキサ25
B)(POX−1と称する) 2)架橋開始剤(C−1) 日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−
ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(商品名パーヘキシン
25B)(POX−2と称する) 3)多官能単量体(C−2) 和光純薬(株)製、ジビニルベンゼン(DVBと称す
る) 4)多官能単量体(C−2) 日本化成(株)製、トリアリルイソシアヌレート(TA
ICと称する) 5)多官能単量体(C−2) 大内新興化学(株)製、N,N '-m フェニレンビスマレイ
ミド(PMIと称する) 6)単官能単量体(C−3) 旭化成(株)製、メタクリル酸メチル(MMAと称す
る)
【0049】(実施例1〜47)、(比較例 1〜1
3) 表1〜6記載の、(A)、(B)を用いて、(A)と
(B)の合計100重量部に対して、POX−1/TA
IC/MO(=0. 6/1. 2/3.0 重量部)を添
加した組成物を、バレル中央部に注入口を有した2軸押
出機(40mmφ、L/D=47)を用いて以下の条件
で製造した。スクリューとしては注入口の前後に混練部
を有した2条スクリューを用いた。このようにして得ら
れた組成物からTダイ押出機を用いて、200℃で2m
m厚のシートを作製し、各種評価を行った。その結果を
表1〜6に示した。 (押出条件)1)溶融押出温度 220℃一定 2)吐出量Q=12kg/h 3)押出機 バレル内径D=25mm 4)押出機長さをL(mm)とした時のL/D=47 5)スクリュー回転数N=280rpm
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】 表1〜6によると、本発明の要件の結晶性に関する特性
を満足することにより、外観、耐傷つき性、耐油性、真
空成形性及び機械的強度が向上することが分かる。
【0056】(実施例48〜57)実施例5において、
POX−1、TAICを表7の(C−1)〜(C−3)
に変更し、更に以下の定義に従って、溶融温度T
2 (℃)で、まず溶融混練し、次いで溶融温度T
3 (℃)で溶融混練すること以外、同様の実験を繰り返
した。その結果を表7に示した。尚、(C−2)、(C
−3)を併用する場合は、両者を等量使用した。表7に
よると、以下の溶融条件で製造することにより、引張破
断強度、外観及び耐傷つき性が優れたオレフィン系架橋
ゴム組成物が得られることが分かる。 T1 :(C−1)の1分間半減期温度(℃) T1 −100<T2 <T1 +40 T2 +1<T3 <T2 +200
【0057】
【表7】
【0058】
【発明の効果】本発明のオレフィン系架橋ゴム組成物
は、優れた外観、感触、耐傷つき性、耐油性、溶融加工
性及び機械的強度を有している。本発明の組成物は、自
動車用部品、自動車用内装材、エアバッグカバー、機械
部品、電気部品、ケーブル、ホース、ベルト、玩具、雑
貨、日用品、建材、シート、フィルム等を始めとする用
途に幅広く使用可能であり、産業界に果たす役割は大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)架橋性ゴム状重合体の代表的な示差走査
熱量測定法(DSC法)で測定した結晶化ピークを1個
有する場合の熱量変化を示す曲線(縦軸単位:熱量
(J)、横軸単位:温度(℃))である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC03U AC03W AC06W AC07W AC08W AC09W AC11W AE05Z BB03X BB05W BB05X BB12Y BB14Y BB15W BB15X BB15Y BC01Y BC03Y BC04Y BC06Y BC07Y BC08Y BC09Y BC10Y BD03Y BG04W BG05Y BJ00Y BN06Y BN12Y BN15Y BP01W BP02X BP03X CF00Y CG00Y CH05U CH07Y CL00Y CN01Y EA037 ED027 EF047 EF077 EH077 EH147 EK026 EK036 EK046 EK056 EP027 ES017 ET007 EU027 EU197 FD010 FD02Z FD14U FD147 FD156

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)示差走査熱量測定法(DSC法)
    での結晶化ピーク温度が、−100〜100℃の範囲に
    あり、かつ結晶化ピーク熱量が3〜100J/gの範囲
    にある架橋性ゴム状重合体と(B)ポリエチレン系樹脂
    を含有する熱可塑性樹脂とからなる、部分的または完全
    に架橋されたオレフィン系架橋ゴム組成物。
  2. 【請求項2】 (A)架橋性ゴム状重合体が、エチレン
    と炭素数3〜20のα−オレフィンを含有するエチレン
    ・α−オレフィン共重合体、あるいは少なくとも一種の
    共役ジエン系単量体の単独重合体ゴム、または共役ジエ
    ン系単量体と芳香族ビニル単量体とからなる共重合体ゴ
    ムの全二重結合の水素添加率が50%以上である水素添
    加ゴムである請求項1に記載のオレフィン系架橋ゴム組
    成物。
  3. 【請求項3】 上記エチレン・α−オレフィン共重合体
    が、メタロセン触媒を用いて製造されていることを特徴
    とする請求項2に記載のオレフィン系架橋ゴム組成物。
  4. 【請求項4】 (B)熱可塑性樹脂がポリエチレン系樹
    脂とポリプロピレン系樹脂とからなることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン系架橋ゴム
    組成物。
  5. 【請求項5】 (C)架橋剤で架橋され、更に(D)軟
    化剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のオレフ
    ィン系架橋ゴム組成物。
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