以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態について説明する。
図1には、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成が概略的に示されている。同図に示されるように、画像形成装置10には、複数の巻きかけローラ12に張架され、モータ(図示省略)の駆動により矢印E方向に搬送される無端ベルト状の中間転写体ベルト14の長手方向に沿って、複数の画像形成ユニット15(詳細は後述する)が配設されている。
なお、本実施の形態における画像形成装置10は、カラー画像の形成にも対応しており、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応するトナー像を形成する画像形成ユニット15Y、15M、15C、15Kがそれぞれ配設されている。以下、各色毎に設けられた部材については、符号の末尾に各々の色を示すアルファベット(Y/M/C/K)を付与して示すが、特に色を区別せずに説明する場合は、この符号末尾のアルファベットを省略して説明する。
各画像形成ユニット15により形成された互いに異なる色のトナー像は、中間転写体ベルト14のベルト面上で、互いに重なり合うように中間転写体ベルト14に各々転写される。これにより、中間転写体ベルト14上にカラーのトナー像が形成される。なお、本実施の形態では、このようにして4色のトナー像が重ねて転写されたトナー像を最終トナー像と称する。
4つの画像形成ユニット15よりも中間転写体ベルト14の搬送方向下流側には、対向する2つのローラ26A、26Bからなる転写装置26が配設されている。中間転写体ベルト14上に形成された最終トナー像は、このローラ26A、26Bの間に送り込まれ、画像形成装置10の底部に設けられた用紙トレイ29から取り出されて、同じくローラ26A、26Bの間に搬送されてきた用紙28に転写される。
また、最終トナー像が転写された用紙28の搬送経路には、加圧ローラ30Aと加熱ローラ30Bとからなる定着装置30が配設されている。定着装置30に搬送された用紙28は、加圧ローラ30Aと加熱ローラ30Bとによって挟持搬送されることにより用紙28上のトナーが溶融すると共に用紙28に圧着されて、定着される。これにより、用紙28上に所望の画像(カラー画像)が形成される。画像が形成された用紙28は装置外へ排出される。
一方、転写装置26よりも中間転写体ベルト14の搬送方向下流側には、転写装置26によって用紙28に転写されずに中間転写体ベルト上に残留したトナーを回収するクリーナ32が配設されている。クリーナ32には、中間転写体ベルト14に接するようにブレード34が備えられており、残留したトナーを擦り取ることによって回収する。
なお、画像形成ユニット15の中間転写体ベルト14の搬送方向下流側には、中間転写体ベルト14上の画像形成領域以外の所定位置に転写されたトナーの濃度検出等を行なうセンサユニット36が設けられている。
図2には、画像形成ユニット15の構成が示されている。なお、各画像形成ユニット15の構成は同様であるので、ここでは各々の色を示す末尾の符号を省略して説明する。
同図に示されるように、画像形成ユニット15は、中間転写体ベルト14に接するように配設され、矢印F方向に所定速度で回転する感光体ドラム16を備えている。
各感光体ドラム16の周面には、感光体ドラム16を帯電させるための帯電ローラ18が配置されている。帯電ローラ18は、導電性のローラであり、その周面が感光体ドラム16の周面に接触し、かつ帯電ローラ18の軸線方向と感光体ドラム16の軸線方向とが一致するように配設されている。
帯電ローラ18には、DC電圧とAC電圧とが重畳された所定の電圧(本実施の形態では、DC電圧−500V)が印加され、感光体ドラム16の回転に追従するように回転しながら、感光体ドラム16の表面を所定の電位(本実施の形態では、約−500V)に一様に帯電させる。
また、各感光体ドラム16の回転方向Fの帯電ローラ18よりも下流側の周面には、感光体ドラム16上に静電潜像を形成するための露光器20が備えられている。露光器20は、複数のLED(発光ダイオード)が配列されたLEDアレイを含んで構成されており、帯電ローラ18により一様に帯電された感光体ドラム16の軸線方向に、画像データに基づく光ビームを走査しながら照射する。露光器20により光ビームが照射された領域の電位は上昇し(本実施の形態では、約−200V)、感光体ドラム16上に静電潜像が形成される。なお、ここでは、「光ビームが照射された領域の電位は上昇する」と記載したが、帯電電位が0Vに近くなるという意味で絶対値だけを取出して、「光ビームが照射された領域の電位が落ちる」ともいう。
さらに、各感光体ドラム16の回転方向Fの露光器20よりも下流側の周囲には、感光体ドラム16上に形成された静電潜像を所定色(イエロー/マゼンタ/シアン/ブラック)のトナーによって現像してトナー像を形成させる現像器22が配設されている。なお、本実施の形態では、負極性であるトナー及び正極性であるキャリアの二成分を含む現像剤が適用されている。また、現像効率及び後述する転写効率を向上させるためには、トナーの粒状は球形であることが好ましい。
現像器22は、同図に示されるように、感光体ドラム16に近接配置された現像ローラ38及びブレード40を含んで構成されている。現像ローラ38は、感光体ドラム16の表面と同極性(本実施の形態では、負極性)に帯電され、現像器22内に装填された正極性のキャリアによってトナーが周面に付着される。また、現像ローラ38は、感光体ドラム16の回転方向Fと同じ方向(図中矢印Gの方向)に回転駆動され、現像ローラ38に余分に付着したトナーがブレード40によって落とされて現像ローラ38に均一に付着される。
現像ローラの回転方向Gの回転により、現像ローラ38に付着されたトナーが感光体ドラム16の表面に搬送され、感光体ドラム16の表面とトナーとが逆方向に移動される。これにより、トナーが感光体ドラム16に擦りつけられるので、感光体ドラム16上に形成された静電潜像が効率よく現像される。
なお、感光体ドラム16の露光されていない部位の表面電位Vhを−500V、露光された部位の表面電位Vlを−200Vとすると、現像ローラ38にバイアス電圧をかけて現像ローラ38の表面電位Vdeveを−400Vにした場合、現像ローラ38に付着していたトナーは感光体ドラム16上の露光された部位に付着する。よって、感光体ドラム16上に形成された静電潜像は、反転現像される。
また、各感光体ドラム16の回転方向Fの現像器22よりも下流側の周囲には、各感光体ドラム16上のトナー像を中間転写体ベルト14に転写する転写ローラ25が備えられている。転写ローラ25は、矢印Hで示す方向に回転して中間転写体ベルト14を所定の速度で搬送して感光体ドラム16に順次対向させる。また、転写ローラ25は、正極性に帯電され、感光体ドラム16上のトナーを中間転写体ベルト14上に転写させる。
ここで、転写ローラ25では、感光体ドラム16上の全てのトナーを中間転写体ベルト14に転写させることはできず、転写ローラ25を通過した感光体ドラム16上には、トナーがわずかに残留する(転写残トナー)。
また、転写ローラ25によって極性がプラスに反転され、感光体ドラム16上に再び付着するトナー(リトランスファートナー)も存在する。なお、転写ローラ25を通過する際に、中間転写体ベルト14上に他色のトナー像が既に転写されている場合には、リトランスファートナーには、他色のトナーも含まれる。
そこで、感光体ドラム16の周面の転写ローラ25よりも下流側には、感光体ドラム16上の転写残トナー又はリトランスファートナーを一時的に保持するクリーニングロール24が配置されている。クリーニングロール24は、表面に導電性のブラシ毛が植毛されており、当該ブラシ毛が感光体ドラム16と接触するように配設されており、ブラシ毛が帯電されると共に、回転駆動されるようになっている。
クリーニングロール24は、画像形成が行なわれている期間は負極性(本実施の形態では、−500V)に帯電されると共に、感光体ドラム16の回転方向と同方向に回転される。これにより、感光体ドラム16の表面に付着している正極性のリトランスファートナーをブラシ毛に吸着させて回収する。
なお、負極性の転写残トナーについては、クリーニングロール24では回収されず、感光体ドラム16上に付着したまま感光体ドラム16に対する帯電及び露光が行なわれ、感光体ドラム16上の非画像部に付着している転写残トナーについては、現像器22の現像ローラ38に付着したキャリア及びトナーとの摺擦により現像器22内に回収される。
クリーニングロール24によって回収されたリトランスファートナーは、ジョブが終了した場合等の非画像形成時に実行されるクリーニングモードによって、感光体ドラム16上に吐き出される。
クリーニングモードでは、クリーニングロール24は正極性(本実施の形態では、+500V)に帯電されると共に、感光体ドラム16の回転方向とは異なる方向に(感光体ドラム16の回転に追従するように)回転される。これにより、クリーニングロール24に保持されていた正極性のリトランスファートナーが感光体ドラム16上に吐き出される。
このようにして感光体ドラム16上に吐き出されたリトランスファートナーは、感光体ドラム16の回転により転写位置まで搬送される。
クリーニングモードでは、転写ローラ25は負極性に帯電されるようになっており、転写位置まで搬送されたリトランスファートナーは、転写ローラ25によって中間転写体ベルト14上に転写され、中間転写体ベルト14によってクリーナ32へと搬送され、クリーナ32のブレード34によって擦り取られる。
ところで、上述した帯電ローラ18に印加される電圧に含まれるAC電圧の電流値は、帯電時に放電生成物が発生する原因となる。当該放電生成物は、高湿度化において像流れを誘発させるため、AC電圧の電流値を放電生成物の発生を抑制可能な値に設定することが好ましい。
図3(A)には、一例として、帯電幅310[mm]の帯電ローラを用い、プロセススピード100[mm/s]で印加電圧Vpp[V]を変化させたときのAC電圧の電流値Iac[mA]が、黒丸印で示されている。また、同図には、像流れの防止に有効な電流値Iac[mA]の上限値の理論値が実線で示されている。同図から、当該条件下において放電生成物の発生を抑制するためには、電流値Iac[mA]は0.8[mA]以下とすることが好ましいことがわかる。
従来は、この点のみを考慮し、図4(A)に示されるように、前回感光体ドラム上に形成された画像の濃度が高いか低いかに拘わらず、電流値Iac[mA]を一定(0.70[mA])とし、放電生成物の発生を抑制するようにしていた。
しかしながら、電流値Iac[mA]が小さいと、形成する画像の濃度分布によっては、画像形成後の帯電において均一性が損なわれ(図7参照)、この状態で中間調の画像が形成されると、画像に前回の画像がうっすらと形成されてしまう、所謂ゴーストが発生しやすくなる。
なお、中間調の画像とは、画像の濃度を例えば0〜255の8ビットで表現した場合の0と255を除く1〜254の値によって示される濃度の画像を指すが、本実施の形態では、放電生成物の生成を最小限に留めつつ、ゴーストの発生を防止するという目的を考慮して、視認性に基づいて中間調の画像とみなすことができる濃度範囲を適宜設定し、当該濃度範囲の画像を中間調の画像として適用している。
ここで、図3(B)には、一例として、図3(A)と同じ条件下において、所定面積以上連続して高濃度の画像(所謂、ベタ)を形成した後、同一の領域に中間調の画像を形成した場合のゴーストの度合い(ゴーストレベル)を、当該領域を帯電させる際の電流値Iac[mA]を変えて測定した結果が示されている。なお、ゴーストレベルは、ゴーストの視認性を5段階で示すものであり、数値が大きくなるほどゴーストの視認性が高いことを示す。また、ゴーストレベル1は、肉眼ではほとんどゴーストが視認できず、ゴーストレベル2は、かすかに視認できる。これらのレベルでのゴースト発生は、特に問題とはならないが、ゴーストレベル3以上になると、何らかの対応が必要であるとみなすことができる。同図から、当該条件下においてゴーストの発生を抑制するためには、電流値Iac[mA]をおよそ0.85[mA]以上とすることが好ましいことがわかる。
そこで、本発明では、通常はAC電圧の電流値を第1の電流値(例えば、Iac=0.70[mA])として帯電処理を行ない、感光体ドラム16上の、前回、ベタが形成された領域に、今回、中間調の画像を形成する場合は、当該領域については第2の電流値(例えば、Iac=0.85[mA])として帯電処理を行うようにして、像流れを防止及びゴーストの発生の抑制を図っている。
より具体的には、図4(B)にAで示されるように、感光体ドラム16上にベタが形成された場合、次に感光体ドラム16上に形成する画像が中間調の画像であるときには、当該領域Aにおけるゴーストの発生を抑制するためにAC電圧の電流値を第2の電流値として帯電処理を行う。
また、同図にBで示されるように、感光体ドラム16上にベタが形成された場合であって、次回、インターイメージ(画像が形成されない期間)となる領域b1については、放電生成物の発生を抑制するために、感光体ドラムに前回形成された画像がベタであるか否かに拘わらずAC電圧の電流値を第1の電流値として帯電処理を行ない、次に中間調の画像が形成される領域b2については、ゴーストの発生を抑制するためにAC電圧の電流値を第2の電流値として帯電処理を行う。
図5には、本実施の形態に係る画像形成装置10の帯電処理に関する機能ブロック図が示されている。なお、同図には、本発明に特に関係する部分のみが示されている。
同図に示されるように、画像形成装置10は、CPU50を備えており、当該CPU50によって全体の動作が制御されるようになっている。
CPU50は、上述した感光体ドラム16、露光器20、現像器22等を制御する各部(図示省略)及び帯電ローラ18を制御する帯電処理制御部52に対して画像形成装置10で行なう処理の内容を示す指示信号や画像データ等を必要に応じて入力するようになっており、各部を介して画像形成装置10全体を制御する。
なお、本実施の形態では、CPU50は、帯電処理制御部52に対して画像形成を実行する旨を示す指示信号及び画像形成の対象となる画像データを入力する。
帯電処理制御部52は、CPU50に接続されており、帯電ローラ18の回転状態を制御するための回転制御部56と、帯電ロール18に印加する電圧の電圧レベル、電流値及び印加状態を制御する電圧印加制御部58と、CPU50から入力される指示信号に応じて上記回転制御部56及び電圧印加制御部58を制御するための帯電ローラ制御部54と、を含んで構成されている。
本実施の形態に係る帯電処理部52は、書き換え可能なメモリにより構成された画像データ記憶部62を含んで構成されており、CPU50から入力された画像データは、当該画像データ記憶部62に一時的に記憶される。
帯電ローラ制御部54は、濃度解析部65を含んで構成されており、帯電ローラ18により帯電処理を施す感光体ドラム16の領域に形成される画像を示す画像データの画像データ記憶部62から読み出し、読み出した画像データにより示される画像の濃度分布の解析を行なう。当該濃度解析部65によって解析された濃度分布を示す情報は、濃度情報生成更新部66及び濃度判定部67に出力される。
濃度情報生成更新部66では、帯電処理を施す領域に形成される画像の中に、ベタが存在するか否かを判定し、判定結果を示す情報を濃度情報として生成すると共に、濃度情報を書き換え可能なメモリにより構成された濃度情報記憶部64に記憶して更新する。
ベタが存在するか否かの判定は、画像の濃度を示す情報(濃度階調)を8ビットのデータを用いて0〜255の値で表わすした場合、濃度値が255であれば、濃度値が最大であり、所定値以上の濃度値の画素のRUN数を計数し、RUN数が所定数以上か否かを判定することにより行なうことができる。
ここで、RUN数は、条件に適合する画素群(ここでは、ベタ)を構成する画素の数である。すなわち、条件に適合した画素の累積総数を示すものではなく、それまで条件に適合した画素のうち、互いに垂直方向又は水平方向に隣接する画素の数を示すものである。
一方、濃度判定部67では、解析により得られた濃度分布に基づいて、読み出した画像データに中間調の画像を示す画像データが含まれているか否かを判定し、判定結果を電流値設定部68に出力する。
なお、中間調の画像が含まれているか否かの判定は、例えば、視認性に基づいて中間調の画像とみなすことができる濃度範囲を予め定めておき、濃度値が当該濃度範囲内の画素のRUN数を計数し、RUN数が所定数以上となった場合に中間調の画像が含まれているか否かを判定することにより行なうことができる。
電流値設定部68では、濃度判定部67による判定結果及び前記濃度情報記憶部64に記憶された濃度情報に基づいて、帯電ローラ18に印加する電圧の電流値Iac[mA]を、第1の電流値又は第2の電流値に設定する。
帯電ローラ18は、モータ70の駆動力に応じて感光体ドラム16に追従するように回転されると共に、画像形成装置10の駆動用の電源から供給された電力が、電圧レベル及び電流値を変換可能な電圧印加部72を介して印加され、帯電されるようになっている。
そして、モータ70及び電圧印加部72は、上述した帯電処理制御部52に接続されており、帯電処理制御部52は、モータ70の回転状態及び電圧印加部72で変換する電圧レベル、電流値及び変換した電圧の印加状態を制御することによって帯電ローラ18による帯電処理を制御する。
ここで、上述した濃度情報は、感光体ドラム16の予め定められた位置を基準にして1周毎に生成されるようになっており、帯電ローラ制御部54では、感光体ドラム16の当該位置を基準位置として1周毎に帯電ローラ18を制御するようにしている。このため、濃度解析部65では、感光体ドラム16が1周する毎に、以後の1周に形成される画像を示す画像データを読み出して濃度分布の解析を行なっている。
また、濃度情報生成更新部66では、感光体ドラム16の1周単位毎に、今回形成された画像にベタが含まれているか否かを示す情報を濃度情報として生成して更新するようにしている。
以下に、本実施の形態の作用を説明する。
画像形成装置10では、画像データ及び画像形成指示が入力されると、画像形成処理が実行され、CPU50により各部位に画像形成処理を実行することを示す指示信号及び画像データが必要に応じて入力される。
これにより、転写装置26及び定着装置30の駆動、中間転写体ベルト14の搬送及び感光体ドラム16の回転が開始されると共に、帯電ローラ18による感光体ドラム16表面の帯電、露光器20による画像データに基づく光ビームの照射、現像器22による感光体ドラム16上の静電潜像の現像及び転写ローラ25によるトナー像の中間転写体ベルト14への転写が行なわれ、画像形成が実行される。
図6は、画像形成実行時にCPU50から指示信号及び画像データが入力されたタイミングで、帯電処理制御部52で実行される帯電処理の流れを示すフローチャートであり、以下、同図を参照して本実施の形態に係る帯電処理について説明する。
まず、ステップ100では、画像データを画像データ記憶部62に記憶し、次のステップ102では、帯電ローラ18に印加するAC電圧の電流値を第1の電流値として回転制御部56及び電圧印加制御部58を介してモータ70及び電圧印加部72を制御して帯電ローラ18の回転駆動及び電圧印加を開始する。
次のステップ104では、画像データ記憶部62に記憶され、まだ本処理の対象とされていない画像データのうち、感光体ドラム16上の所定の基準位置までの領域に形成されるもの(最大感光体ドラム16の1周に形成される分)だけを読み出し、その後にステップ106に移行して、読み出した画像データの濃度値に基づいて、中間調の画像を示す画像データが存在するか否かを判定する。
ステップ106で肯定判定となった場合はステップ108に移行して、濃度情報記憶部64から濃度情報を読み出し、その後にステップ110に移行し、濃度情報が「ベタあり」を示すものであったか否かを判定する。当該判定が肯定判定となった場合はステップ112に移行して、次の基準位置までの領域を、帯電ローラ18に印加するAC電圧の電流値を第2の電流値として帯電させるように電圧印加部72を設定し、その後にステップ116に移行する。
一方、ステップ106及びステップ110が否定判定となった場合は、ゴーストの発生の恐れがないと判断してステップ114に移行し、次の基準位置までの領域に対し、帯電ローラ18に印加するAC電圧の電流値を第1の放電電流として帯電を行なうように電圧印加部72に対する設定を行ない、その後にステップ116に移行する。
ステップ116では濃度情報を生成し、その後にステップ118に移行して、濃度情報を更新する。
次のステップ120では、1ページ分の画像データに対するステップ104乃至ステップ118の処理が終了したか否かを判定し、当該判定が否定判定となった場合は再びステップ104に戻る。
一方、ステップ120で肯定判定となった場合は、次の領域がインターイメージであると判断してステップ122に移行し、帯電ローラ18に印加するAC電圧の電流値を第1の電流値として帯電を行なうように電圧印加部72に対する設定を行ない、その後にステップ124に移行して、全ての画像データに対する処理が終了したか否かを判定する。当該判定が否定判定となった場合はステップ126に移行する。
ステップ126では、インターイメージが感光体ドラム16の1周分以上か否かを判定し、当該判定が肯定判定とされた場合はステップ128に移行して、濃度情報として「ベタなし」を示す情報を生成し、次のステップ130で濃度情報を更新し、その後、次の基準位置までに形成される画像を示す画像データに対する処理を行なうべく、再びステップ104に戻る。
また、ステップ126が否定判定となった場合は、次の基準位置までの間に高濃度の画像が形成される可能性があると判断して、ステップ128及びステップ130の処理を行なうことなく、再びステップ104に戻る。
また、ステップ124で肯定判定となった場合は、画像形成処理を終了するものと判断して、ステップ132に移行して、回転制御部56及び電圧印加制御部58を介してモータ70及び電圧印加部72を制御して帯電ローラ18の回転駆動及び電圧印加を終了し、その後に本帯電処理を終了する。
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、直流電圧と交流電圧とが重畳された帯電バイアス電圧によって感光体ドラム16表面を所定の電位に一様に帯電した状態で、当該感光体ドラム16に光ビームを走査することで静電潜像を形成し、この感光体ドラム16上に形成された静電潜像をトナーによって現像し、現像されたトナー像を中間転写体ベルト14に転写して画像を形成するに際し、前記帯電バイアス電圧の前記交流電圧として、放電による画質低下成分の生成の低下を目的とした第1の電流値に基づいた交流電圧を設定すると共に、前記感光体ドラム16上に形成する画像に中間調の画像が含まれているか否かを判定し、前記感光体ドラム16上に形成した画像の濃度情報を濃度情報記憶部64に画像形成毎に更新記憶して、濃度情報記憶部64に記憶された最新の濃度情報に、予め設定した濃度値よりも高濃度の情報が含まれているか否かを判定し、形成する画像に中間調の画像が含まれていると判定され、かつ濃度情報に高濃度の情報が含まれていると判定された場合に、前記帯電バイアス電圧の前記交流電圧を、ゴーストによる画質低下の低減を目的とした第2の電流値に基づいた交流電圧に変更するようにしているので、放電生成物の発生を抑制しつつ、ゴーストの発生を防止することができる。
なお、本実施の形態では、感光体ドラム16上に今回形成する画像に中間調の画像が含まれ、かつ、感光体ドラム16上に前回形成した画像に高濃度の画像が含まれる場合にのみ、印加電圧のAC電圧の電流値を第2の電流値に変更する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、今回形成する画像に中間調の画像が含まれる場合に、前回形成した画像の内容に拘わらず第2の電流値に変更するようにしても良いし、前回形成した画像に高濃度の画像が含まれる場合に、前回形成した画像の内容に拘わらず第2の電流値に変更するようにしても良い。
また、本実施の形態において一例として記載した第1の電流値及び第2の電流値を示す数値は、帯電幅やプロセススピード、帯電ロールの径等によって異なる。なお、図3及び図8に示す特性についても一例であることは言うまでもない。
さらに、濃度情報生成更新部66を、濃度情報として前回形成された画像の濃度分布を示す情報を生成して更新するようにし、帯電ローラ制御部54において、感光体ドラム16上の前回高濃度の画像が形成された領域を特定して、一例として図8に示すように、帯電ローラ18により当該領域を帯電させる際にだけ、前記AC電圧の電流値を前記第2の電流値とするように電圧印加部72を制御するようにしてもよい。
図8に示されるように、高濃度の画像が形成された領域A及び領域Bを特定することができれば、次に当該領域A及び領域Bに対応する領域a及び領域b2に対して帯電処理を行う期間だけ、第2の電流値を用いるように制御することができるので、第2の電流値を用いることによる放電生成物の生成を最小限に留めることができる。
このように、濃度情報として前回形成された画像の濃度分布が記憶されているので、高濃度の画像が形成された領域が特定可能であり、当該領域を帯電させる場合にのみ、第2の電流値を用いて帯電されることになり、木目細やかな制御を行うことができる。
また、濃度情報生成更新部66は、濃度情報記憶部64に、前記像担持体のトナー像形成面を等分して得られた複数の領域毎に前記濃度情報を記憶させるようにしてもよい。
これにより、各領域単位で電流値を制御することができるので、濃度分布から高濃度の領域を特定しなくても木目細やかな制御を行うことができる。
なお、以上の画像形成装置10の構成(図1、図2及び図5参照)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、本実施の実施の形態で説明したフローチャート(図6参照)の処理の流れは一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。