JP4389547B2 - 水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂およびその組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、高温下での水素ガスバリア性に優れ、加工温度領域が低温であり、延伸が可能であり、かつ締め付け耐性が強いために、ワイヤーを巻き付けてもへこみなどの変形が生じにくい、これらの特性を必要とする部品に適した水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂に関するものである。
これまでにも、包装材料を中心にガスバリア材料の開発がなされてきたが、近年、水素エネルギーが注目されるようになり、水素ガスバリア性を有する樹脂材料が求められるようになりつつある。
水素は極めて分子直径が小さいガスであり、一般的な熱可塑性樹脂の水素ガスに対するバリア性は十分なものではない。
高いガスバリア性発現のためには、特に高結晶性の樹脂や、高い分子間相互作用を有する樹脂が有用とされており、ポリビニルアルコール共重合体などとともに、液晶性樹脂はその特異な分子形態から高いガスバリア性を示す材料として注目され始めている。
しかし、高いガスバリア性を有するポリビニルアルコール共重合体や、液晶ポリエステルアミド樹脂などは、水素結合による高い凝集エネルギーによりガスバリア性を発揮しているために、環境中の水分を吸いやすく、吸水することでガスバリア性が低下してしまう。
また、ポリビニルアルコール共重合体では、溶融加工時の架橋反応による高粘度化などの問題がある。
そこで、液晶ポリエステル樹脂の環境安定性に着目し、燃料タンクへの利用が検討されている(例えば、特許文献1)。
また、ガスバリア性のラミネートとしては、1,3−置換や1,2−置換の芳香族モノマーを共重合したアモルファスな液晶性ポリマーが検討されている(例えば、特許文献2〜3)。
また、バリア性の液晶性ポリマーとしては、酸素、水蒸気、香料などのバリア性に優れたものが検討されている(例えば、特許文献4〜10)
また、他の熱可塑性ポリマーとのアロイが検討されている(例えば、特許文献11〜14)。
また、良ガスバリア性ポリマーとの積層も検討されている(例えば、特許文献15〜16)
また、液晶性ポリマーをタンクのライナー材として用いる検討もされている(例えば、特許文献17)。
特開2002−104297号公報(第1〜2頁) 特開平11−188815号公報(第1〜2頁) 特開平11−268191号公報(第1〜2頁) 特開2001−500242号公報(第1〜2頁) 特開2001−151872号公報(第1〜2頁) 特開2001−342243号公報(第1〜2頁) 特開2002−178414号公報(第1〜2頁) 特開2003−103708号公報(第1〜2頁) 特開2001−30432号公報(第1〜2頁) 特開2001−72750号公報(第1〜2頁) 特開2002−88232号公報(第1〜2頁) 特開2003−128056号公報(第1〜2頁) 特開2001−131405号公報(第1〜2頁) 特開2001平13−192571号公報(第1〜2頁) 特開2002−36454号公報(第1〜2頁) 特開2001−80004号公報(第1〜2頁) 特開平4−249699号公報(第1〜2頁)
しかし、水素ガスの透過性については、近年までそのガスの危険性や用途が限られていたために、ヘリウムや窒素などの比較的分子直径の小さいガスと同様の傾向を示すものと考えられていたが、水素ガスは非常に浸透性が高く、ヘリウムなどよりもバリア材料には厳しいガスバリア性が要求されることが分かってきた。
また、近年、車内環境評価が進み、異常時には80〜120℃という高温に車載部品がさらされることもわかってきた。一般的に高温になる程ガスバリア性には厳しい条件となり、このような高温環境下での水素ガスバリア性が要求を満たす材料はほとんどなく、これまでに提案されている液晶ポリマーでは十分な水素ガスバリア性が得られない。
安全性の観点から、ガソリンなどに比べ、水素に対しては厳しいバリア性能が要求されており、特に水素ガスバリア性に優れた液晶性ポリエステル樹脂を開発することが求められていた。
そこで上述した従来の問題点の改良を目指し、特に自動車の車内の様な80〜120℃といった高温であるような劣悪な環境でも水素ガスバリア性に優れ、かつ、成形加工が低温で行え、延伸による高強度化が可能であり、更に締め付け耐性に優れる水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂の取得を課題とする。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定組成の液晶性ポリエステル樹脂が劣悪な環境下でも特異的に高い水素ガスバリア性を示すことを見出し、以下の結論に達した。
すなわち本発明は、
高温での水素ガス透過係数が1.4×10-11cc・cm/cm2・s・kPa未満であり、下記A、BおよびCからなる液晶性ポリエステル樹脂であり、構造単位(I)と(II)の合計が構造単位(I)、(II)、(III)(IV))及び(V)の合計に対して65〜80モル%であり、構造単位(II)が構造単位(I)と(II)の合計に対して35〜85モル%であり、構造単位(III)が構造単位(III)、(IV)および(V)の合計に対して60〜75モル%であり、構造単位(VII)が構造単位(VI)、(VII)および(VIII)の合計に対して60〜85モル%であり、構造単位(III)、(IV)および(V)の合計と構造単位(VI)、(VII)および(VIII)の合計が実質的に等モルである水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂およびその組成物、またはそれからなる水素ガスバリア用成形品である。
A.構造単位(I)及び(II)
B.構造単位(III)、(IV)及び(V)から選択される2種以上であって、かつ(III)を必須とする構造単位、
C.構造単位(VI)、(VII)及び(VIII)から選択される2種以上であって、かつ(VII)を必須とする構造単位
Figure 0004389547
また、上記水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂において、構造単位(VIII)を必須とし、構造単位(VIII)が構造単位(VI)、(VII)及び(VIII)の合計に対して5〜25モル%であることが好ましい。
また、上記水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂において、融点が観測されず、かつ流動開始温度が180℃未満であることが好ましい。
本発明の水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂は、極めて優れた水素ガスバリア性を有しており、延伸性、耐締め付け性などに優れているため、耐衝撃性や耐屈曲性を必要とし、劣悪な環境下での水素ガスバリア性を要する車載水素貯蔵タンクや移送チューブなどその周辺部品に好適である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明でいう重量は質量を意味する。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂は水素ガスに対して良好なガスバリア性を有しており、80℃での水素ガス透過係数が1.4×10-11cc・cm/cm2・s・kPa未満である。より好ましくは0.7×10-11cc・cm/cm2・s・kPa未満、更に好ましくは0.45×10-11cc・cm/cm2・s・kPa以下、最も好ましくは0.40×10-11cc・cm/cm2・s・kPa以下である。
水素ガス透過係数が小さい程、ガスバリア層の薄肉化が図れるために好ましい。
なお、水素ガス透過係数の好ましい下限は検出限界以下であるが、実用性の点からは0.01×10-11cc・cm/cm2・s・kPa以上である。
水素ガス透過係数はJIS K7126 A法(差圧法)に従い80℃で測定され、例えば、GTR−10(ヤナコ分析工業製)を用いて測定を行える。なお、サンプルは厚み100±20μmのプレスフィルムを用いる。
上記範囲の高温での水素ガス透過係数を有する液晶性ポリエステル樹脂は、下記A、BおよびCからなるからなる液晶性ポリエステル樹脂であり、構造単位(I)と(II)の合計が構造単位(I)、(II)、(III)(IV)及び(V)の合計に対して65〜80モル%であり、構造単位(II)が構造単位(I)と(II)の合計に対して35〜85モル%であり、構造単位(III)が構造単位(III)、(IV)および(V)の合計に対して60〜75モル%であり、構造単位(VII)が構造単位(IV)、(VII)および(VIII)の合計に対して60〜85モル%であり、構造単位(III)、(IV)および(V)の合計と構造単位(VI)、(VII)および(VIII)の合計が実質的に等モルである水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂である。
A.構造単位(I)及び(II)
B.構造単位(III)、(IV)及び(V)から選択される2種以上の構造単位であって、かつ(III)を必須とする構造単位
C.構造単位(VI)、(VII)及び(VIII)から選択される2種以上の構造単位であって、かつ(VIII)を必須とする構造単位
Figure 0004389547
構造単位(I)と(II)の合計が構造単位(I)、(II)、(III)及び(IV)の合計に対して65〜80モル%であることが必須であるが、より好ましくは68〜75モル%である。
また、構造単位(III)が構造単位(III)、(IV)および(V)の合計に対して60〜75モル%であることが必須であるが、より好ましくは65〜70モル%である。
また、構造単位(VII)が構造単位(VI)、(VII)および(VIII)の合計に対して60〜85モル%であることが必須であるが、より好ましくは、65〜80モル%である。
本発明においては、構造単位(II)の共重合量は構造単位(I)と(II)の合計に対して、35〜85モル%であることが必須であるが、45〜80モル%であることが好ましく、65〜75モル%であることがさらに好ましい。
また、本発明においては上記液晶性ポリエステルがさらに構造単位(VIII)を必須とすることが好ましく、その際の構造単位(VIII)の共重合量は構造単位(VI)、(VII)及び(VIII)の合計に対して5〜25モル%であることが好ましく、7〜20モル%であることがより好ましい。
本発明においてはこのような極限られた組成範囲において、劣悪な環境下においても特異的に優れた水素ガスバリア性を発揮する液晶性ポリエステル樹脂が得られることを見出したものである。
上記好ましく用いることができる液晶性ポリエステル樹脂は、上記構造単位(I)〜(VIII)を構成する成分以外に3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、クロロハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオール、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、およびm−ヒドロキシ安息香酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノ安息香酸、p−アミノフェノールなどを特性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
本発明において使用する上記液晶性ポリエステル樹脂の製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
例えば、上記液晶性ポリエステル樹脂の製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼン、2,6−ジアセトキシナフタレンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
本発明の液晶性ポリエステルを脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステルが溶融する温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱し水酸基をアセチル化させた後、液晶性ポリエステルの溶融温度まで昇温し、減圧により重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。アセチル化させる条件は、通常130〜300℃の範囲、好ましくは135〜200℃の範囲で通常1〜6時間、好ましくは140〜180℃の範囲で2〜4時間反応させる。重縮合させる温度は、液晶性ポリエステルの溶融温度、例えば、250〜350℃の範囲であり、好ましくは液晶性ポリエステルの融点+10℃以上の温度である。重縮合させるときの減圧度は通常0.1mmHg(13.3Pa)〜20mmHg(2660Pa)であり、好ましくは10mmHg(1330Pa)以下、より好ましくは5mmHg(665Pa)以下である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行っても良いが、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行っても良い。
得られたポリマーは、それが溶融する温度で反応容器内を例えば、およそ1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少ない優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
本発明の液晶性ポリエステルを製造する際に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の液晶性ポリエステルのポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性ポリエステルの液晶開始温度−10〜−20℃(例えば、100〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、所望の重合度まで重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
液晶性ポリエステルの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂の融点は特に限定されるものではないが、観測されないことが好ましい。
ここで融点とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度を融点とし、観測されない場合の昇温の上限は液晶性ポリエステルの分解温度以上である400℃とする。融点が観測されない場合には、成形加工温度が融点に制限されず、液晶開始温度以上の温度で加工できるために好ましい。
また液晶開始温度が180℃未満であることが好ましく、より好ましくは175℃以下であり、更に好ましくは170℃以下である。液晶開始温度の下限は 150℃以上であることが自動車の車内環境における耐熱性の点から好ましい。
液晶開始温度の測定は、剪断応力加熱装置(CSS−450)により剪断速度1,000(1/秒)、昇温速度5.0℃/分、対物レンズ60倍において測定し、視野全体が流動開始する温度を液晶開始温度とする。
また、本発明の液晶性ポリエステル樹脂は溶融粘度が液晶開始温度+50℃の温度(融点のあるものは融点+10℃の温度)で測定した場合に40〜120Pa・sであることが好ましく、より好ましくは60〜100Pa・sである。
溶融粘度の測定は高化式フローテスターによりオリフィス0.5φ×10mm、ずり速度1,000(1/秒)で測定できる。
溶融粘度が低すぎると製膜性に劣り、高すぎると溶融成形性が低下する。
本発明において水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂の機械強度その他の特性を付与するために補強剤を使用することが可能であり、特に限定されるものではないが、繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填剤を使用することができる。 具体的には例えば、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填剤、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、グラファイトなどの粉状、粒状あるいは板状の充填剤が挙げられる。上記充填剤中、ガラス繊維および導電性が必要な場合にはPAN系の炭素繊維が好ましく使用される。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、上記の充填剤は2種以上を併用して使用することもできる。なお、本発明に使用する上記の充填剤はその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
上記の充填剤の添加量は、液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対し、通常、10〜100重量部であり、好ましくは15〜80重量部、より好ましくは20〜50重量部である。
本発明においてはさらに靱性改良の点から、ゴムを添加することができる。ここでいうゴムとしては、例えばオレフィン系共重合体を配合することが可能である。
特に、他の熱可塑性樹脂と積層した場合の層間接着性、フィルム、シートとしての柔軟性などを得る意味においてエポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およ及びその塩、カルボン酸エステル、オキサゾリニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するオレフィン系共重合体を配合することが好ましい。
エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基、オキサゾリニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するオレフィン系共重合体の配合量は、水素ガスバリア性、フィルムもしくシートの成形性などの点から、液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.1〜50重量部の範囲が選択され、好ましくは1〜35重量部、より好ましくは2〜30重量部の範囲が選択される。
また、エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基、オキサゾリニル基を含有しないエラストマーを用いること、特に上記エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基、オキサゾリニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するオレフィン系共重合体と併用して用いることは、優れた平滑性を有するフィルムもしくはシートを得る上で、またより優れた機械的強度、成形性を得る上で有効である。
エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基、オキサゾリニル基を含有しないエラストマーを用いる場合、その好適な配合量は、水素ガスバリア性、面衝撃強度、成形性の点から、液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.2〜50重量部の範囲が選択され、1〜35重量部がより好適であり、2〜30重量部が更に好適である。
また、官能基を含有する熱可塑性樹脂と併用して用いる場合には、特に水素ガスバリア性の観点から、官能基を含有するオレフィン系共重合体とエポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基、オキサゾリニル基を含有しないエラストマーの合計が液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対し、50重量部以下が好ましく、45重量部以下、更に35重量部以下がより好ましい。
また、本発明の水素ガスバリア性液晶性ポリエステル樹脂には、その特性を損なわない程度であれば、その他の熱可塑性樹脂を添加することができる。
その他の熱可塑性樹脂としては、その他のポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられ、ガスバリア性を損ないにくいポリビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル共重合体などが好ましく用いられる。
液晶性ポリエステル樹脂へのこれらの熱可塑性樹脂の配合量は、液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜35重量部、より好ましくは2〜30重量部である。
本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化PPO、臭素化PC、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)を添加することができる。
液晶性ポリエステル樹脂に上記したような添加剤を配合する方法については特に制限はないが、液晶性ポリエステル樹脂との相互作用を適度に向上させるために好ましい方法としてニーディングディスク等を挿入した2軸押出機を用いて樹脂組成物に適度な剪断力をかけ、溶融混練を行うことが好ましい。
溶融加工温度については、液晶性ポリエステル樹脂の液晶開始温度+30℃以上、特に170℃以上270℃以下において混練することが、水素ガスバリア性を低下させないために好ましい。
また、充填材およびその他の添加剤を添加する際には、一括混練法、逐次添加法、高濃度組成物(マスター)を添加する方法等が挙げられ、いずれの方法でもかまわない。
本発明の水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂の成形方法に関しても制限はなく、公知の方法を利用することができる。例えば射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形(プレス成形、インジェクションプレス成形)などにより加工することができる。
本発明の特性発揮の観点から、ブロー成形あるいは押し出し成形等が好ましい。また、例えばTダイ法あるいはインフレーション法によってフィルムもしくはシートとすることができる。
本発明において、フィルム、シートおよびその他の成形品は、液晶性ポリエステル樹脂の単層で構成することが可能だが、他の熱可塑性樹脂との多層成形品とすることが好ましい。
他の熱可塑性樹脂として選択されるのは、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ポリアミドエラストマ、ポリエステルエラストマなどが例示でき、耐衝撃性、環境耐性の点からポリオレフィン樹脂が好ましく、中でもポリエチレンが好ましい。また、これら樹脂には所望の添加剤を添加した組成物として用いることも可能でさる。
本発明の水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂は、従来の液晶性ポリマーとは異なり、成形加工温度も低温であるために、ポリエチレンとの多層ブローにより製造したタンクは界面剥離もなく、水素ガスバリア性、耐衝撃性に優れている。
本発明の水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂を用いた多層成形品の各層の配置については特に制限はなく、全ての層を本発明の液晶性ポリエステル樹脂で構成してもよいし、少なくとも1層に本発明の液晶性ポリエステル樹脂を用い、他の層にその他の熱可塑性樹脂を用いて構成してもよい。本発明の液晶性ポリエステル樹脂からなる層は外層、内層もしくは中間層であっても良い。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂からなる層の厚みは多層成形品においては0.01〜5mmが好ましく、より好ましくは0.02〜2mmである。
層の厚みが薄い場合にも、数層に本発明の液晶性ポリエステル樹脂を構成した場合には、十分な水素ガスバリア性が発揮され、その場合には一層の厚みは0.01mm以下でも構わない。
また、本発明の水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂から構成される成形品は一般的に用いられる方法によって、2次加工することができる。2次加工とは、切削・研磨などの物理加工、加温・加熱による老成処理などの加熱処理、イオンやプラズマによる表面処理などであり、特に加温・加熱下での延伸処理やガスバリア性を発揮する方向の厚みを減じるプレス、ローラー圧延、多軸引張延伸などの応力付加による圧延処理が好ましく用いられる。加温・加熱温度は、通常液晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度以上かつ液晶性ポリエステル樹脂の液晶開始温度−10℃以下が好ましい。
こうして得られた本発明の水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂からなる成形品は、特に分子直径が小さい水素に対して優れたガスバリア性を発揮するため、例えば車載用の水素貯蔵タンクのライナー材、水素移送チューブ、パイプ、その他水素ガスバリア性を要する部品などとして用いることができ、特に車載用水素貯蔵タンクのライナー材として好適である。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
実施例1
p−ヒドロキシ安息香酸249重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸847重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル335重量部、ハイドロキノン99重量部、テレフタル酸45重量部、イソフタル酸299重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸136重量部及び無水酢酸1314重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて310℃まで昇温し、310℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位70モル当量、芳香族ジオキシ単位30モル当量、芳香族ジカルボン酸単位30モル当量からなる、融点は観測されず、液晶開始温度168℃、溶融粘度が75Pa・sの液晶性樹脂(A−1)が得られた。
融点の測定は示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )を融点とした。観測されない場合には、400℃まで昇温を続け、観測されないものは「融点が観測されない」とした。
液晶開始温度の測定は、剪断応力加熱装置(CSS−450)により剪断速度1,000(1/秒)、昇温速度5.0℃/分、対物レンズ60倍において測定し、視野全体が流動開始する温度を液晶開始温度とした。
溶融粘度の測定は高化式フローテスターにより、液晶開始温度+50℃(融点があるものは融点+10℃)において、オリフィス0.5φ×10mm、ずり速度1,000(1/秒)で測定した。
ペレタイズした後、80℃で10時間真空乾燥し、液晶開始温度+50℃で15MPa、30秒間の高圧プレスにより600mm×400mm×厚み100μmのプレスフィルムを作成し、以下(1)〜(3)の評価を行った。
(1)悪環境下での水素ガス透過性
JIS K7126 A法(差圧法)に従いGTR−10(ヤナコ分析工業製)を用いて80℃で水素ガス透過係数の測定を行った。
(2)延伸性
上記プレスフィルムを100mm四方に切り出し、自動二軸延伸装置(井元製作所製)を用いて、液晶開始温度−20℃において、延伸速度2mm/分で一軸、及び二軸延伸試験を行い、延伸性を評価した。
◎:同時二軸延伸が可能、○:一軸延伸が可能、×:延伸できない(破断)。
(3)締め付け耐性
上記プレスフィルムを半径25mm×高さ100mmの円柱状の筒(鉄製)に外周に沿って2/3周分に渡って張り付け、架台上にフィルムを張り付けた面が上部の半周分に来る様に水平に架け渡して、円柱の長さ方向に垂直になるように、両側に1kgの重りをつるした太さ1mmの針金を吊り下げ、23℃、湿度50%で24時間静置した。
針金を取り除き、フィルムについた跡の深さを測定し、評価した。
◎:跡は目視できない、○:跡は目視でき10μm未満、×:10μm以上の跡が残り、破断しやすくなった。
実施例2
得られた液晶ポリエステル樹脂(A−1)100重量部とガラス繊維(日本電気硝子(株)製チョップドストランド790DE(φ6μm×3mm長))30重量部をドライブレンドし、樹脂温度250℃で、ニーディングディスクをスクリューパターンに組み込んだPCM30型二軸押出機(池貝鉄鋼)で溶融混練し、液晶ポリエステル樹脂組成物を得た。
ペレタイズした後、80℃で10時間真空乾燥し、液晶開始温度+50℃、15MPa、30秒間で高圧プレスにより600mm×400mm×厚み100μmのプレスフィルムを作成し、実施例1と同様に評価した。
実施例3
p−ヒドロキシ安息香酸249重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸847重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル335重量部、ハイドロキノン99重量部、テレフタル酸90重量部、イソフタル酸359重量部及び無水酢酸1314重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて310℃まで昇温し、310℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位70モル当量、芳香族ジオキシ単位30モル当量、芳香族ジカルボン酸単位30モル当量からなる、融点は観測されず、液晶開始温度148℃、溶融粘度が63Pa・sの液晶性樹脂(A−2)が得られた。
評価は実施例1と同様に行った。
実施例
p−ヒドロキシ安息香酸435重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸677重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル280重量部、ハイドロキノン82重量部、テレフタル酸37重量部、イソフタル酸250重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸113重量部及び無水酢酸1263重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて310℃まで昇温し、310℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位75モル当量、芳香族ジオキシ単位25モル当量、芳香族ジカルボン酸単位25モル当量からなる、融点は観測されず、液晶開始温度171℃、溶融粘度が64Pa・sの液晶性樹脂(A−4)が得られた。
評価は実施例1と同様に行った。
比較例1
p−ヒドロキシ安息香酸211重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸728重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル447重量部、ハイドロキノン132重量部、テレフタル酸60重量部、イソフタル酸399重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸181重量部及び無水酢酸1314重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて310℃まで昇温し、310℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位60モル当量、芳香族ジオキシ単位40モル当量、芳香族ジカルボン酸単位40モル当量からなる、融点は観測されず、液晶開始温度159℃、溶融粘度が48Pa・sの液晶性樹脂(A−5)が得られた。
評価は実施例1と同様に行った。
比較例2
p−ヒドロキシ安息香酸249重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸847重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル251重量部、ハイドロキノン149重量部、テレフタル酸45重量部、イソフタル酸299重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸136重量部及び無水酢酸1314重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて310℃まで昇温し、310℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位70モル当量、芳香族ジオキシ単位30モル当量、芳香族ジカルボン酸単位30モル当量からなる、融点は観測されず、液晶開始温度188℃、溶融粘度が45Pa・sの液晶性樹脂(A−6)が得られた。
評価は実施例1と同様に行った。
比較例3
p−ヒドロキシ安息香酸249重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸847重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル335重量部、ハイドロキノン99重量部、テレフタル酸120重量部、イソフタル酸224重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸136重量部及び無水酢酸1314重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて310℃まで昇温し、310℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位70モル当量、芳香族ジオキシ単位30モル当量、芳香族ジカルボン酸単位30モル当量からなる、融点は観測されず、液晶開始温度241℃、溶融粘度が78Pa・sの液晶性樹脂(A−7)が得られた。
評価は実施例1と同様に行った。
比較例4
p−ヒドロキシ安息香酸373重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1186重量部及び無水酢酸1011重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて310℃まで昇温し、310℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位100モル当量、p−ヒドロキシ安息香酸からの生成構造単位が30モル%からなる、融点263℃、液晶開始温度238℃、溶融粘度が45Pa・sの液晶性樹脂(A−8)が得られた。
評価は実施例1と同様に行った。
比較例5
p−ヒドロキシ安息香酸907重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸457重量部及び無水酢酸1011重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、150℃3時間でアセチル化反応、次いで4時間かけて310℃まで昇温し、310℃で1torrまで30分で減圧し、約10分重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位100モル当量、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位が73モル%からなる、融点283℃、液晶開始温度243℃、溶融粘度が45Pa・sの液晶性樹脂(A−9)が得られた。
評価は実施例1と同様に行った。水素透過係数については参考値として、35℃でも測定した。
比較例6
得られた液晶ポリエステル樹脂(A−8)100重量部とガラス繊維(日本電気硝子(株)製チョップドストランド790DE(φ6μm×3mm長)30重量部をドライブレンドし、樹脂温度250℃で、ニーディングディスクをスクリューパターンに組み込んだPCM30型二軸押出機(池貝鉄鋼)で溶融混練し、液晶ポリエステル樹脂組成物を得た。
ペレタイズした後、80℃で10時間真空乾燥し、液晶開始温度+50℃で高圧プレスにより厚み100μmのプレスフィルムを作成し、実施例1と同様に評価した。
Figure 0004389547
表1の結果から本発明の液晶性ポリエステル樹脂は、劣悪環境下においても極めて優れた水素ガスバリア性を有しており、成形加工温度が低く、延伸が可能で、締め付け耐性に優れていることがわかる。

Claims (5)

  1. 80℃での水素ガス透過係数が1.4×10-11cc・cm/cm2・s・kPa未満であり、下記A、BおよびCからなる液晶性ポリエステル樹脂であり、構造単位(I)と(II)の合計が構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の合計に対して65〜80モル%であり、構造単位(II)が構造単位(I)と(II)の合計に対して35〜85モル%であり、構造単位(III)が構造単位(III)、(IV)および(V)の合計に対して60〜75モル%であり、構造単位(VII)が構造単位(VI)、(VII)および(VIII)の合計に対して60〜85モル%であり、構造単位(III)、(IV)および(V)の合計と構造単位(VI)、(VII)および(VIII)の合計が実質的に等モルである水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂。
    A.構造単位(I)及び(II)
    B.構造単位(III)、(IV)及び(V)から選択される2種以上であって、かつ(III)を必須とする構造単位、
    C.構造単位(VI)、(VII)及び(VIII)から選択される2種以上であって、かつ(VII)を必須とする構造単位
    Figure 0004389547
  2. さらに構造単位(VIII)を必須とし、構造単位(VIII)が構造単位(VI)、(VII)及び(VIII)の合計に対して5〜25モル%であることを特徴とする請求項記載の水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂。
  3. 融点が観測されず、かつ流動開始温度が180℃未満の請求項1または2記載の水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂。
  4. 請求項1〜いずれか記載の水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して、充填材10〜100重量部を充填してなる水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂組成物。
  5. 請求項1〜いずれかに記載の水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂または請求項記載の水素ガスバリア用液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる水素ガスバリア用成形品。
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