JP2001131406A - 気体および/または液体バリア成形品用樹脂組成物 - Google Patents

気体および/または液体バリア成形品用樹脂組成物

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JP2001131406A
JP2001131406A JP31172799A JP31172799A JP2001131406A JP 2001131406 A JP2001131406 A JP 2001131406A JP 31172799 A JP31172799 A JP 31172799A JP 31172799 A JP31172799 A JP 31172799A JP 2001131406 A JP2001131406 A JP 2001131406A
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resin
gas
liquid
resin composition
acid
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JP31172799A
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Koji Tachikawa
浩司 立川
Hideyuki Umetsu
秀之 梅津
Daisuke Sato
大輔 佐藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】気体および/または液体バリア性に優れ、振動
特性および耐クリープ性が向上した自動車用となどに好
適な気体および/または液体バリア成形品用樹脂組成物
および成形品を提供する。 【解決手段】ポリアミド樹脂(a)100重量部に融点
が285〜340℃の液晶性樹脂(b)を0.5〜10
0重量部配合してなる気体および/または液体バリア成
形品用樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、様々な気体および
/または液体のバリア性に優れ、振動特性、耐クリープ
性などが向上するために、これらの特性が要求される自
動車用途を始め、多くの気体および/または液体成形品
用途に有用な成形品用樹脂組成物およびその成形品とそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車などの内燃機関において、
その軽量化や環境問題への対応のために、金属部品の樹
脂部品への代替が求められている。その中でも、内燃機
関周辺やブレーキ機構、駆動力伝達機構などに関連する
部品においては、その使用環境が過酷であるために、樹
脂化が難しい。また、燃料やブレーキオイル、冷却液、
ウィンドウ洗浄液などの薬液の移送系や貯蔵部などにお
いても、薬液耐性を考慮して、今まではポリアミド樹
脂、中でもポリアミド11やポリアミド12などの柔軟
ポリアミド樹脂が広く用いられているが、ポリアミド樹
脂を単独で使用した場合、環境汚染問題および燃費向上
から要求されているアルコールガソリンの透過防止性に
対しては十分ではないと言う懸念点が指摘されその改良
が望まれており、上記の問題を改善するために、様々な
改良が試みられている。
【0003】近年、熱可塑性樹脂に特殊な形状の前処理
した無機充填材を添加することによってガソリン透過性
を改良する検討がなされており、チューブやパイプ用途
において燃料移送などに用いられつつある。しかし、こ
の場合には靱性低下などの問題が生じ耐衝撃特性ととも
にある程度の柔軟性が要求される自動車用途などには好
ましくない。
【0004】また、リサイクル性などの視点から、近
年、熱可塑性樹脂に液晶性樹脂を配合して燃料透過性を
改良する検討がなされつつあり、これらは特開平6−1
37469号公報などに提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平6−1
37469号公報の方法では、液晶性樹脂粒子がチュー
ブの長手方向に配向していることによって、寸法安定性
やガソリン透過性は若干向上するものの十分ではなく、
成形品用途としては、チューブのように長手方向にのみ
粒子を配向させることは難しいため適さない。また、こ
のようにチューブ厚み方向のガス透過率を改良するため
に、液晶性樹脂を極度に配向させた場合には、逆に粒子
界面から剥離しガス漏れの原因となるため好ましくな
い。
【0006】そこで上述した従来の問題点の改良を目指
し、気体および/または液体バリア性に優れ、振動特
性、耐クリープ性などを改良し、これらの特性が要求さ
れる自動車用途を始め、多くのガスバリア成形品用途に
最適なバリア成形品用樹脂組成物およびその成形品の取
得を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下の結論
に達した。
【0008】すなわち本発明は、(1)ポリアミド樹脂
(a)100重量部に融点が285〜340℃の液晶性
樹脂(b)を0.5〜100重量部配合してなる気体お
よび/または液体バリア成形品用樹脂組成物、(2)該
液晶性樹脂(b)の融点がポリアミド樹脂(a)の融点
よりも45℃以上高いことを特徴とする上記(1)記載
の気体および/または液体バリア成形品用樹脂組成物、
(3)該液晶性樹脂(b)が下記構造単位(I)、(II)、
(III)および(IV)からなる液晶性ポリエステルであるこ
とを特徴とする上記(1)または(2)記載の気体およ
び/または液体バリア成形品用樹脂組成物、
【0009】
【化4】
【0010】(ただし式中のR1
【0011】
【化5】
【0012】から選ばれた1種以上の基を示し、R2
【0013】
【化6】
【0014】から選ばれた1種以上の基を示す。ただし
式中Xは水素原子または塩素原子を示す。) (4)気体および/または液体バリア成形品用樹脂組成
物中の液晶性樹脂(b)粒子が楕円球状もしくは扁平楕
円球状であり、そのアスペクト比(長径/短径、ただし
扁平している場合には扁平方向に垂直方向の短径)が1
0以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)いず
れか記載の気体および/または液体バリア成形品用樹脂
組成物、(5)ポリアミド樹脂(a)および液晶性樹脂
(b)を該液晶性樹脂(b)の液晶開始温度以上融点以
下の温度において混練することにより上記(1)〜
(4)いずれか記載の気体および/または液体バリア成
形品用樹脂組成物の製造方法、(6)上記(1)〜
(4)いずれか記載の気体および/または液体バリア成
形品用樹脂組成物からなる成形品、(7)ポリアミド樹
脂(a)の融点(℃)+10℃〜融点(℃)+30℃か
つ該液晶性樹脂(b)の液晶開始温度(℃)+10℃以
下の温度において成形することにより上記(6)記載の
気体および/または液体バリア成形品を製造することを
特徴とするバリア成形品の製造方法を提供するものであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0016】ポリアミド樹脂(a)は、アミノ酸、ラク
タムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる原料とす
るナイロンである。その原料の代表例としては、6−ア
ミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−ア
ミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミ
ノ酸、ε−アミノカプロラクタム、ω−ラウロラクタム
などのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノ
ナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデ
カメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリ
メチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレ
ンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレン
ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサ
ン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1
−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル
シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メ
タン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)
メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プ
ロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエ
チルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミ
ン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル
酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル
酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロ
イソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボ
ン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から
誘導されるナイロンホモポリマーまたはコポリマーを各
々単独または混合物の形で用いることができる。
【0017】本発明において、特に有用なポリアミド
は、170℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れた
ポリアミドであり、具体的な例としては、ポリウンデカ
アミド(ナイロン11)、ポリドデカミド(ナイロン1
2)、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメ
チレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレ
ンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセ
バカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデ
カミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンアジパ
ミド(ナイロン6/66)、ポリノナメチレンテレフタ
ルアミド(ナイロン9T)、ポリドデカミド/ポリヘキ
サメチレンテレフタラミドコポリマー(ナイロン12/
6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメ
チレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6
T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリカプ
ロアミドコポリマー(ナイロン6T/6)、ポリヘキサ
メチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルア
ミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリカプロア
ミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリヘキ
サメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/
6I/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘ
キサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイ
ソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6
I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキ
サメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T
/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ
(2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド)コポリ
マー(ナイロン6T/M5T)、ポリキシリレンアジパ
ミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物ないし共
重合体などが挙げられる。
【0018】とりわけ好ましいものとしては、ナイロン
11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイ
ロン610、ナイロン9T、ナイロン6/66コポリマ
ー、ナイロン66/610、ナイロン6/12コポリマ
ー、ナイロン12/6Tコポリマー、ナイロン6T/6
コポリマー、ナイロン66/6Tコポリマー、ナイロン
6T/6Iコポリマー、ナイロン6T/M5Tコポリマ
ーなどの例を挙げることができ、更にこれらのナイロン
樹脂を成形性、耐熱性、靱性、耐薬品性、真円性などの
必要特性に応じてナフタレンジカルボン酸、ジカルボキ
シビフェニルなどのカルボン酸を少量共重合するかある
いは上記ナイロン樹脂を1種あるいは2種の混合物とし
て用いることも実用上好適である。
【0019】これらポリアミド樹脂の重合度にはとくに
制限がなく、1%の濃硫酸溶液中、25℃で測定した相
対粘度が、2.0〜8.0の範囲のものが好ましく、
3.0〜7.0の範囲のものがより好ましく、さらに
3.5〜6.5の範囲のものが最も好ましい。
【0020】これらポリアミド共重合体は公知の方法で
得られる。例えば重合方法としては溶融重合、界面重
合、溶液重合、塊状重合、固相重合などの方法が利用さ
れ、一般的には溶融重合が最も適当である。さらに前記
のポリアミドを押出機又は射出成形機に投入し、完全又
は部分的に交換反応を行わせることによって共重合体を
得ることができる。
【0021】液晶性樹脂(b)は、融点が285〜34
0℃であることが必須であり、融点が295〜335℃
であることが好ましく、融点が310〜330℃である
ことがより好ましい。
【0022】上記範囲においては、結晶性および分子の
パッキング性が高いために、本発明の効果である気体お
よび/または液体バリア性を保持したまま、振動特性、
耐クリープ性などが特異的に向上する。
【0023】上記要件を満たしていれば、その他の構成
単位については特に限定されるものではない。好ましい
液晶性樹脂としては、下記(I)、(II)、(III) およ
び(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルが挙げ
られる。
【0024】
【化7】
【0025】(ただし式中のR1
【0026】
【化8】
【0027】から選ばれた1種以上の基を示し、R2
【0028】
【化9】
【0029】から選ばれた1種以上の基を示す。ただし
式中Xは水素原子または塩素原子を示す。) 上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成し
た構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロ
キシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、
t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、
メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上
の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、
構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造
単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、
4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−
4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフ
ェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,
4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた一
種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各
々示す。これらのうちR1
【0030】
【化10】
【0031】であり、R2
【0032】
【化11】
【0033】であるものが特に好ましい。
【0034】本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエ
ステルにおける上記構造単位(I)、(II)、(III)および(I
V)の共重合量は任意である。しかし、本発明の特性を発
揮させるためには次の共重合量であることが好ましい。
【0035】すなわち、上記構造単位(I)、(II)、(I
II)、(IV)からなる共重合体において上記構造単位(I)お
よび(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(III)の合計
に対して75〜95モル%が好ましく、80〜92モル
%がより好ましい。また、構造単位(III)は構造単位
(I)、(II)および(III)の合計に対して25〜5モル
%が好ましく、20〜8モル%がより好ましい。また、
構造単位(I)の(II)に対するモル比[(I)/(II)]は好ま
しくは75/25〜95/5であり、より好ましくは7
8/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造
単位(II)および(III)の合計と実質的に等モルであるこ
とが好ましい。
【0036】ここで実質的に等モルとは、末端を除くポ
リマー主鎖を構成するユニットが等モルであるが、末端
を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らな
いことを意味する。
【0037】また上記構造単位(I)〜(IV)以外にp−ア
ミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位
を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミド
が好ましい。
【0038】上記好ましく用いることができる液晶性ポ
リエステル、液晶性ポリエステルアミドは、上記構造単
位(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェニ
ルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸な
どの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン
酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン
酸、クロルハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビ
フェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジ
ヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール、プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロ
ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安
息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸およびp−アミノ安息香酸などを、
本発明の必須要件を満たし、かつ液晶性を損なわない程
度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0039】本発明において使用する上記液晶性樹脂
(b)の製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエス
テルの重縮合法に準じて製造できる。
【0040】例えば、上記液晶性ポリエステルの製造に
おいて、次の製造方法が好ましく挙げられる。 (1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセ
トキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族
ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳
香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性
ポリエステルを製造する方法。 (2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒド
ロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒド
ロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無
水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化し
た後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを
製造する方法。 (3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよ
び4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン
などの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香
族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール
重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。 (4)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳
香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを
反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンな
どの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重
縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。 (5)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル
のポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエ
チル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス
(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)ま
たは(2)の方法により液晶性ポリエステルを製造する
方法。 (6)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル
のポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエ
チル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス
(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(2)ま
たは(3)の方法により液晶性ポリエステルを製造する
方法。
【0041】また、液晶性樹脂(b)の溶融粘度は特に
限定されないが、本発明の効果をより発揮するために、
融点+10℃で測定した値が、好ましくは100Pa・s
以下であり、より好ましくは50Pa・s以下であり、最
も好ましくは0.5〜30Pa・sである。
【0042】なお、ここで溶融粘度は、剪断速度1,0
00(1/秒)の条件下でノズル径0.5mmφ、ノズル長1
0mmのノズルを用い高化式フローテスターによって測定
した値である。
【0043】ここで融点とは示差熱量測定において、重
合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件
で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の
観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、2
0℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度2
0℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピー
ク温度(Tm2)を融点とする。
【0044】ポリアミド樹脂(a)と液晶性樹脂(b)
の溶融粘度比は、本発明の効果を発揮させる上では、特
に限定されるものではないが、混練時に極度に微分散化
することを防ぐために混練条件下においてポリアミド樹
脂(a)の溶融粘度に対して、液晶性樹脂(b)の溶融
粘度が0.05〜1.8の範囲にあることが好ましく、
より好ましくは0.1〜1.5、更に好ましくは0.5
〜1.2であり、好適範囲においては、気体および/ま
たは液体バリア性に加えて、機械物性の改良効果などが
得られ好ましい。
【0045】また、液晶性樹脂(b)の融点は、上記し
たように285〜340℃であることが必須であるが、
本発明の特性発揮のためには、液晶性樹脂(b)の融点
が、ポリアミド樹脂(a)の融点よりも45℃以上高い
ことが好ましく、より好ましくは液晶性樹脂(b)の融
点が、ポリアミド樹脂(a)の融点よりも50℃以上高
いことであり、更に好ましくは液晶性樹脂(b)の融点
が、ポリアミド樹脂(a)の融点よりも60℃以上高い
ことである。
【0046】このように、液晶性樹脂(b)の融点が、
ポリアミド樹脂(a)の融点に比べて高い場合には、得
られる成形品中で、液晶性樹脂粒子の存在確率に厚み方
向の分布が生じ、本発明の効果である気体および/また
は液体バリア性を保持したまま、耐熱性や高い放熱効果
を発揮する材料が得られる。
【0047】また、液晶性樹脂(b)の液晶開始温度に
ついては、特に限定されないが、220℃以上であり、
かつポリアミド樹脂(a)の融点以上であることが好ま
しく、より好ましくは270℃以上であり、更に好まし
くは290℃以上である。液晶開始温度の測定は、剪断
応力加熱装置(CSS−450)により剪断速度1,0
00(1/秒)、昇温速度5.0℃/分、対物レンズ6
0倍において測定し、視野全体が流動開始する温度を液
晶開始温度とした。
【0048】液晶性樹脂(b)のポリアミド樹脂(a)
への配合量は、ポリアミドの本来有する特性を損なわ
ず、かつ新規に気体および/または液体のバリア性、振
動特性などの特性を付与する点からポリアミド樹脂10
0重量部に対して0.5〜100重量部、好ましくは
1.0〜70重量部、より好ましくは2〜50重量部で
ある。
【0049】本発明の気体および/または液体バリア成
形品用樹脂組成物においては、ポリアミド樹脂(a)中
に分散する液晶性樹脂(b)の分散形態は特に限定され
ないが、分散粒子は楕円球もしくは扁平楕円球をしてい
ることが好ましく、その扁平方向は多くの場合に均一方
向に最も気体および/または液体バリア性が発揮され
る。
【0050】また、液晶性樹脂粒子(b)のアスペクト
比(長径/短径、ただし扁平している場合には扁平方向
に垂直方向の短径)は、気体および/または液体バリア
性や振動特性をより鮮明に発揮するために、10以下で
あることが好ましく、より好ましくは1.0〜8であ
り、更に好ましくは1.5〜5である。
【0051】また、液晶性樹脂(b)粒子の数平均分散
径(長径)は、本発明の効果である気体および/または
液体バリア性をより発現するために、0.5〜20μm
の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.8〜
18μm、更に好ましくは1.0〜15μmである。
【0052】気体および/または液体バリア成形品用樹
脂組成物中の液晶性樹脂(b)の数平均分散径の測定方
法は、組成物の任意方向に切削して得られたコア層部分
の切片を電子透過型顕微鏡(TEM)により観察・写真
撮影し、最も長い径が観察された方向の断面写真におい
て分散粒子100個の平均値をそれぞれ数平均分散径と
して求めることができる。なお、分散粒子径は長径方向
で測定し、通常溶融混連後押し出したストランドをカッ
ターもしくはローラーで引き取りペレタイズした場合に
は、ペレットの長手方向に長径が見られる。
【0053】本発明の気体および/または液体バリア成
形品用樹脂組成物に導電性を付与するために導電性フィ
ラー及び/又は導電性ポリマーを使用することが可能で
あり、特に限定されるものではないが、導電性フィラー
として、通常樹脂の導電化に用いられる導電性フィラー
であれば特に制限は無く、その具体例としては、金属
粉、金属フレーク、金属リボン、金属繊維、金属酸化
物、導電性物質で被覆された無機フィラー、カーボン粉
末、黒鉛、炭素繊維、カーボンフレーク、鱗片状カーボ
ンなどが挙げられる。
【0054】金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属
種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニ
ウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示で
きる。
【0055】金属繊維の金属種の具体例としては鉄、
銅、ステンレス、アルミニウム、黄銅などが例示でき
る。
【0056】かかる金属粉、金属フレーク、金属リボ
ン、金属繊維はチタネート系、アルミ系、シラン系など
の表面処理剤で表面処理を施されていても良い。
【0057】金属酸化物の具体例としてはSnO2 (ア
ンチモンドープ)、In2 3 (アンチモンドープ)、
ZnO(アルミニウムドープ)などが例示でき、これら
はチタネート系、アルミ系、シラン系などの表面処理剤
で表面処理を施されていても良い。
【0058】導電性物質で被覆された無機フィラーにお
ける導電性物質の具体例としてはアルミニウム、ニッケ
ル、銀、カーボン、SnO2 (アンチモンドープ)、I
23 (アンチモンドープ)などが例示できる。また
被覆される無機フィラーとしては、マイカ、ガラスビー
ズ、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ
ー、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、ホウ酸アル
ミニウムウィスカー、酸化亜鉛系ウィスカー、酸化チタ
ン酸系ウィスカー、炭化珪素ウィスカーなどが例示でき
る。被覆方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、
無電解メッキ法、焼き付け法などが挙げられる。またこ
れらはチタネート系、アルミ系、シラン系などの表面処
理剤で表面処理を施されていても良い。
【0059】カーボン粉末はその原料、製造法からアセ
チレンブラック、ガスブラック、オイルブラック、ナフ
タリンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラッ
ク、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラ
ック、ディスクブラックなどに分類される。本発明で用
いることのできるカーボン粉末は、その原料、製造法は
特に限定されないが、アセチレンブラック、ファーネス
ブラックが特に好適に用いられる。またカーボン粉末
は、その粒子径、表面積、DBP吸油量、灰分などの特
性の異なる種々のカーボン粉末が製造されている。本発
明で用いることのできるカーボン粉末は、これら特性に
特に制限は無いが、強度、電気伝導度のバランスの点か
ら、平均粒径が500nm以下、特に5〜100nm、
更には10〜70nmが好ましい。また表面積(BET
法)は10m2 /g以上、更には30m2 /g以上が好
まし。またDBP給油量は50ml/100g以上、特
に100ml/100g以上が好ましい。また灰分は
0.5%以下、特に0.3%以下が好ましい。
【0060】かかるカーボン粉末はチタネート系、アル
ミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施されて
いても良い。また溶融混練作業性を向上させるために造
粒されたものを用いることも可能である。
【0061】気体および/または液体バリア成形品は、
その用途上しばしば表面の平滑性が求められる。かかる
観点から、本発明で用いられる導電性フィラーは、高い
アスペクト比を有する繊維状フィラーよりも、粉状、粒
状、板状、鱗片状、或いは樹脂組成物中の長さ/直径比
が200以下の繊維状のいずれかの形態であることが好
ましい。
【0062】本発明で用いられる導電性ポリマーの具体
例としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチ
レン、ポリ(パラフェニレン)、ポリチオフェン、ポリ
フェニレンビニレンなどが例示できる。
【0063】上記導電性フィラー及び/又は導電性ポリ
マーは、2種以上を併用して用いても良い。かかる導電
性フィラー、導電性ポリマーの中で、特にカーボンブラ
ックが強度、コスト的に特に好適に用いられる。
【0064】本発明で用いられる導電性フィラー及び/
又は導電性ポリマーの含有量は、用いる導電性フィラー
及び/又は導電性ポリマーの種類により異なるため、一
概に規定はできないが、導電性と流動性、機械的強度な
どとのバランスの点から、(a)成分と(b)成分の合
計100重量部に対し、1〜250重量部、好ましくは
3〜100重量部の範囲が好ましく選択される。
【0065】また導電性を付与した場合、十分な帯電防
止性能を得る意味で、その体積固有抵抗が1010Ω・c
m以下であることが好ましい。但し上記導電性フィラ
ー、導電性ポリマーの配合は一般に強度、流動性の悪化
を招きやすい。そのため目標とする導電レベルが得られ
れば、上記導電性フィラー、導電性ポリマーの配合量は
できるだけ少ない方が望ましい。目標とする導電レベル
は用途によって異なるが、通常体積固有抵抗が100Ω
・cmを越え、1010Ω・cm以下の範囲である。
【0066】本発明において気体および/または液体バ
リア成形品用樹脂組成物の機械強度その他の特性を付与
するために充填剤を使用することが可能であり、特に限
定されるものではないが、繊維状、板状、粉末状、粒状
などの充填剤を使用することができる。具体的には例え
ば、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステ
ンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊
維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、
セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、ア
ルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素
繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チ
タン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィス
カー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー
状充填剤、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カ
ルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイ
クロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナ
イト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、
グラファイトなどの粉状、粒状あるいは板状の充填剤が
挙げられる。上記充填剤中、ガラス繊維および導電性が
必要な場合にはPAN系の炭素繊維が好ましく使用され
る。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いる
ものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維
タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなど
から選択して用いることができる。また、上記の充填剤
は2種以上を併用して使用することもできる。なお、本
発明に使用する上記の充填剤はその表面を公知のカップ
リング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネー
ト系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理
して用いることもできる。
【0067】また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル
共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬
化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0068】上記の充填剤の添加量は、ポリアミド樹脂
(a)、液晶性樹脂(b)の合計100重量部に対し、
通常、0.05〜200重量部であり、好ましくは5〜
100重量部、より好ましくは10〜50重量部であ
る。
【0069】導電性を付与するために導電性フィラーを
添加した場合には、ポリアミド樹脂(a)、液晶性樹脂
(b)の合計100重量部に対し、導電性フィラーと上
記充填材の合計量が導電性フィラーの添加量1〜250
重量部、導電性ポリマーを用いた場合には、充填材量お
よび導電性ポリマーが上記範囲となるように添加する。
【0070】さらに本発明において気体および/または
液体バリア成形品用樹脂組成物からなる成形品の気体お
よび/または液体バリア性をさらに向上させることが必
要な場合、界面接着性を上げるために、酸無水物あるい
は多価エポキシ化合物を添加することが可能である。酸
無水物の例としては、無水安息香酸、無水イソ酪酸、無
水イタコン酸、無水オクタン酸、無水グルタル酸、無水
コハク酸、無水酢酸、無水ジメチルマレイン酸、無水デ
カン酸、無水トリメリト酸、無水1,8−ナフタル酸、
無水フタル酸、無水マレイン酸などが挙げられ、中でも
無水コハク酸、無水1,8−ナフタル酸、無水フタル
酸、無水マレイン酸などが好ましく用いられる。また、
多価エポキシ化合物は、分子内に2個以上のエポキシ基
を有する化合物である。好ましくは多価エポキシ化合物
は、エポキシ当量100〜1000の多官能エポキシ化合物か
ら選択される。そのような多価エポキシ化合物として
は、例えばノボラック樹脂(フェノールノボラック、ク
レゾールノボラック等)とエピクロルヒドリンとを反応
させて得られるノボラック型エポキシ化合物が挙げられ
る。または、1分子に2個以上の活性水素を有する化合
物とエピクロルヒドリンまたは2-メチルエピクロルヒド
リンとを反応させて得られる化合物が挙げられる。1分
子に2個以上の活性水素を有する化合物としては、例え
ば多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスヒドロキ
シジフェニルメタン、レゾルシン、ビスヒドロキシジフ
ェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA等)、
多価アルコール類(エチレングリコール、ネオペンチル
グリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペ
ンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ビスフェノールA‐エチレンオキシ
ド付加物、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート
等)、アミノ化合物(例えばエチレンジアミン、アニリ
ン等)、多価カルボキシ化合物(例えばアジピン酸、フ
タル酸、イソフタル酸等)が挙げられる。そのような多
価エポキシ化合物の例としては、例えばテレフタル酸ジ
グリシジルエステル、トリグリシジルシアヌレート、ヒ
ドロキノンジグリシジルエーテル、N,N'- ジグリシジル
アニリン等が挙げられる。その他に、線状脂肪族エポキ
シ化合物、例えばブタジエンダイマージエポキシド、エ
ポキシ化大豆油など、脂環式エポキシ化合物、例えばビ
ニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエン
ジエポキシド等などが挙げられる。これらを単独でまた
は2種以上組合せて使用する。
【0071】本発明の酸無水物または多価エポキシ化合
物の配合量は、気体および/または液体バリア性改良効
果の点からポリアミド樹脂100重量部に対して0.0
1〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜3
重量部、特に好ましくは0.1〜2重量部である。酸無
水物または多価エポキシ化合物を用いることにより、界
面接着性が向上するだけでなく、ポリアミド樹脂(a)
中に分散する液晶性樹脂(b)の分散粒子径およびアス
ペクト比の分布幅が狭くなり、結果的に液晶性樹脂添加
による気体および/または液体バリア性のより優れた向
上効果を得ることが可能である。
【0072】しかし、添加する酸無水物量または多価エ
ポキシ化合物量が多すぎるとコンパウンド時および押出
成形時にガス発生あるいは反応過多によるゲル化が起こ
り押出時の分解発泡、押出加工不能、噛み込み不良、成
形品のガス焼け等の原因となり、得られた成形品も表面
外観のみならず、機械特性も低下する傾向にある。
【0073】また、本発明の気体および/または液体バ
リア成形品用樹脂組成物に長期耐熱性を向上させるため
に銅化合物が好ましく用いられる。銅化合物の具体的な
例としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭
化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第二銅、
硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、サリ
チル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香酸第二銅お
よび前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジアミン、2−
メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールな
どの錯化合物などが挙げられる。なかでも1価の銅化合
物とりわけ1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸
第1銅、ヨウ化第1銅などを特に好適な銅化合物として
例示できる。銅化合物の添加量は、通常ポリアミド樹脂
100重量部に対して0.01〜2重量部であることが
好ましく、さらに0.015〜1重量部の範囲であるこ
とが好ましい。添加量が多すぎると溶融成形時に金属銅
の遊離が起こり、着色により製品の価値を減ずる傾向に
ある。本発明では銅化合物と併用する形でハロゲン化ア
ルカリを添加することも可能である。このハロゲン化ア
ルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化リチウ
ム、ヨウ化リチウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨ
ウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウム
を挙げることができ、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウ
ムが特に好ましい。
【0074】また本発明の気体および/または液体バリ
ア成形品用樹脂組成物にアルコキシシラン、好ましくは
エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メ
ルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1
種の官能基を有するアルコキシシランの添加は、機械的
強度、靱性などの向上に有効である。かかる化合物の具
体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラ
ン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどの
メルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイ
ドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピル
トリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)ア
ミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有
アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルト
リエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメト
キシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシ
ラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラ
ン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどの
イソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2
−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランな
どのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロ
ピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシ
ラン化合物などが挙げられる。
【0075】本発明においてはさらにオレフィン系
(共)重合体を配合することが可能である。
【0076】特に、優れた気体および/または液体バリ
ア成形体とした場合の層間接着性などを得る意味におい
てエポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその
塩、カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の
官能基を含有するオレフィン系共重合体を配合すること
が可能である。
【0077】エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基
及びその塩、カルボン酸エステル基から選ばれる少なく
とも1種の官能基を含有するオレフィン系共重合体の配
合量は、気体および/または液体バリア性、振動特性、
成形性などの点から、ポリアミド樹脂(a)および液晶
性樹脂(b)の合計量100重量部に対し、1〜200
重量部の範囲が選択され、好ましくは1〜100重量
部、より好ましくは3〜50重量部の範囲が選択され
る。
【0078】また、エポキシ基、酸無水物基、カルボキ
シル基及びその塩、カルボン酸エステル基を含有しない
エラストマーを用いること、特に上記エポキシ基、酸無
水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステ
ル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するオ
レフィン系共重合体と併用して用いることは、優れた平
滑性を有する気体および/または液体バリア成形品を得
る上で、またより優れた機械的強度、成形性を得る上で
有効である。
【0079】エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基
及びその塩、カルボン酸エステル基を含有しないエラス
トマーを用いる場合、その好適な配合量は、気体および
/または液体バリア性、面衝撃強度、成形性の点から、
ポリアミド樹脂(a)および液晶性樹脂(b)の合計量
100重量部に対し、5〜200重量部の範囲が選択さ
れ、5〜100重量部がより好適であり、10〜80重
量部が更に好適である。
【0080】また、官能基を含有する熱可塑性樹脂と併
用して用いる場合には、特に気体および/または液体バ
リア性の観点から、官能基を含有するオレフィン系共重
合体とエポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びそ
の塩、カルボン酸エステル基を含有しないエラストマー
の合計がポリアミド樹脂(a)および液晶性樹脂(b)
の合計量100重量部に対し、200重量部以下が好ま
しく、100重量部以下、更に70重量部以下がより好
ましい。
【0081】本発明における組成物中には本発明の効果
を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱
安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホ
スファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾ
ルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール
系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型
剤及び滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステ
ル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステ
アラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレン
ワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニ
ン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結
晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑
剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼン
スルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェー
ト型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチ
オン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
ステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン
系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、メラミ
ンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニ
ウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポ
リスチレン、臭素化PPO、臭素化PC、臭素化エポキ
シ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモ
ンとの組み合わせ等)、他の重合体(ポリエステル、ポ
リカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニ
レンスルフィド、ポリエーテルスルフォン等)を添加す
ることができる。
【0082】本発明の気体および/または液体バリア成
形品用樹脂組成物を得る方法については本発明で規定し
た気体および/または液体バリア成形品用樹脂組成物が
得られる限り、制限はなく、例えば“ユニメルト”タイ
プのスクリューを備えた単軸押出機、2軸、3軸押出機
およびニーダタイプの混練機などを用いて組成物とする
ことができる。ポリアミド樹脂(a)と液晶性樹脂
(b)の相互作用を適度に向上させるために好ましい方
法としてニーディングディスク等を挿入した2軸押出機
を用いて樹脂組成物に適度な剪断力をかけ、溶融混練を
行うと良い。
【0083】また、混練温度としては、特に限定されな
いが、本発明の効果である気体および/または液体バリ
ア性、振動特性、耐クリープ性などを良好に発揮するた
めには、液晶性樹脂(b)の液晶開始温度以上融点以下
において混練することが好ましい。ここでいう混練温度
もしくは後述する成形温度とは、押出や成形における樹
脂温度をさす。樹脂温度は、例えば差し込み式の熱電対
を用いて吐出される樹脂の温度でモニターすることがで
き、このようにモニターされた樹脂の温度のことを本発
明においては樹脂温度という。また、混練時の樹脂温度
を混練温度、成形時の樹脂温度を成形温度と呼ぶ。
【0084】また、充填材およびその他の添加剤を添加
する際には、前記したポリアミド樹脂(a)と液晶性樹
脂(b)との好ましい混練方法におけるいずれの段階で
添加してもよい。具体的には、ポリアミド樹脂および酸
無水物あるいは多価エポキシ化合物、導電性フィラー及
び/又は導電性ポリマー、官能基を含有するおよび/ま
たは官能基を含有しないオレフィン系共重合体、その他
の添加剤を溶融混練した後、液晶性樹脂、充填材と混練
する方法、全ての成分を一括混練する方法、一度ポリア
ミド樹脂と酸無水物あるいは多価エポキシ化合物、液晶
性樹脂とを混練した後に導電性フィラー及び/又は導電
性ポリマー、官能基を含有するおよび/または官能基を
含有しないオレフィン系共重合体、その他の添加剤充填
材およびその他の添加剤を混練する方法、一度ポリアミ
ド樹脂と酸無水物あるいは多価エポキシ化合物、液晶性
樹脂とを混練し樹脂組成物(A)とした後、得られた樹
脂組成物(A)を用いて導電性フィラー及び/又は導電
性ポリマーの高濃度組成物(マスター)(B)を作成す
る等が挙げられ、いずれの方法でもかまわない。
【0085】本発明の気体および/または液体バリア成
形品用樹脂組成物はマスターバッチ法により製造するこ
とも可能である。その場合は、ポリアミド樹脂(a)の
一部に液晶性樹脂(b)、さらに必要に応じて導電性フ
ィラー及び/又は導電性ポリマーや官能基を含有するお
よび/または官能基を含有しないオレフィン系共重合
体、その他の添加剤を溶融混練してなるマスターにポリ
アミド樹脂(a)またはポリアミド樹脂(a)および酸
無水物あるいは多価エポキシ化合物の残部を混合して、
直接溶融成形に供することができる。
【0086】本発明の気体および/または液体バリア成
形品用樹脂組成物は、製造において、混練後1軸もしく
は2軸方向に2〜50倍の延伸処理を加えると、各特性
がより鮮明に発揮され好ましい。延伸倍率や、延伸速
度、延伸方法などについては特に規定されず、一般的に
用いられている方法が好ましく用いることができる。例
えば、最も一般的に用いることができる方法として、2
軸押し出し機から吐出したストランドを引き取りローラ
ーを介して、もしくは介さずにカッターにかけ、ペレタ
イズする。その際、カッターの回転数と引き取りローラ
ーを介する場合には、引き取りローラーの回転数を調節
することによって、1軸方向に延伸処理を行うことが出
来る。また、得られたストランドに加温ローラーによっ
て多軸延伸を行い。液晶性樹脂粒子を扁平させることも
でき、気体および/または液体バリア性の点から好まし
く用いられる。
【0087】本発明の気体および/または液体バリア成
形品用樹脂組成物の成形方法に関しても制限はなく、公
知の方法を利用することができる。例えば射出成形、押
出成形、ブロー成形、圧縮成形(プレス成形、インジェ
クションプレス成形)などにより、三次元成形品に加工
することができる。本発明の特性発揮の観点から、押出
成形あるいはブロー成形等が好ましい。
【0088】成形温度は、本発明の特性であるガスバリ
ア性や振動特性を発揮させる上で重要であり、ポリアミ
ド樹脂(a)の融点+10℃〜融点+30℃かつ液晶性
樹脂(b)の液晶開始温度+10℃以下において行うこ
とが好ましい。
【0089】このような、場合によっては液晶性樹脂
(b)単体の加工下限温度以下で樹脂組成物を成形する
ことにより、本発明の特性は更に鮮明に発揮される。
【0090】こうして得られる気体および/または液体
バリア成形品は、ポリアミド樹脂(a)に比して、非常
に融点の高い液晶性樹脂(b)を配合し、上記した好ま
しい条件で加工することで、成形品中での液晶性樹脂
(b)の分散形態に非常に特徴がある。
【0091】すなわち気体および/または液体バリア成
形品中において、液晶性樹脂(b)粒子は、成形品厚み
方向に偏分散しており、厚み方向の中心部においては、
非常に液晶性樹脂粒子の密度が高く、各特性の特異的な
向上のためには、表層部の粒子密度と中心部の粒子密度
の比(表層部/中心部)が0.9以下であることが好ま
しく、より好ましくは0.3〜0.9であり、更に好ま
しくは0.5〜0.8である。
【0092】このような特殊な分散形態により、本発明
の気体および/または液体バリア成形品用樹脂組成物
は、極めて良好な気体および/または液体バリア性に加
えて、振動特性や耐クリープ性が向上するため、電気電
子部品、機械機構部品、自動車部品など幅広い用途に好
適であり、特に自動車部品用途に好適である。
【0093】また、本発明の気体および/または液体バ
リア成形品用樹脂組成物は、本発明の気体および/また
は液体バリア成形品用樹脂組成物ともしくはそれ以外の
樹脂製成形品、フィルム、シートなどと、場合によって
は金属、紙、不織布も含む布などと積層により積層品と
して用いることが出来る。積層品の製造方法は特に限定
されるものではなく、例えば、本発明の気体および/ま
たは液体バリア成形品を一般的な溶着法、もしくは接着
剤などを用いて接着するあるいは、インサート成形や二
色成形などによって金型内で複合させても良い。ブロー
成形においては、通常の多層同時ブローはもちろん、一
層を成形後に次層を内層に成形する積層ブロー成形が用
いられる。また、チューブ状体の成形においては、層の
数もしくは材料の数の押出機より押し出された溶融樹脂
を、一つの多層チューブ用ダイスに導入し、ダイス内も
しくはダイスを出た直後に接着せしめることにより、多
層チューブを製造することができる。また、一旦単層チ
ューブを製造し、その内側あるいは外側に他の層を積層
し、多層チューブを製造する方法によってもよい。
【0094】なお、三層以上の多層構成からなる多層チ
ューブを製造する場合には、押出機を適宜に増設してそ
れぞれの押出機を共押出ダイに接続し、多層状のパリソ
ンを押出すことにより得られる。
【0095】本発明の気体および/または液体バリア成
形品用樹脂組成物を用いた多層成形品における各層の配
置については特に制限はなく、全ての層を本発明の気体
および/または液体バリア成形品用樹脂組成物で構成し
てもよいし、少なくとも1層に本発明の気体および/ま
たは液体バリア成形品用樹脂組成物を用い、他の層にそ
の他の熱可塑性樹脂を用いて構成してもよい。本発明の
気体および/または液体バリア成形品用樹脂組成物から
なる層は外層、内層もしくは中間層であっても良いが、
導電性を付与する場合はその導電効果を十分に発揮させ
る上で、最内層であることが好ましい。
【0096】本発明の気体および/または液体バリア成
形品用樹脂組成物からなる層の厚みは積層成形品におい
ては0.1〜5mmが好ましく、より好ましくは0.5
〜2mmである。また積層フィルムにおいては、5〜5
00μmが好ましく、より好ましくは10〜200μm
である。また積層シートにおいては、0.2〜5mm程
度が好ましく、より好ましくは0.5〜2mmである。
【0097】また、二色成形やインサート成形によって
得られる複合成形品においては、その構成比は、本発明
の気体および/または液体バリア成形用樹脂組成物が、
他の金属、樹脂などに対して、1〜95%の幅広い範囲
において好ましい複合成形品が得られ、その接合もしく
は被覆形態については特に限定されず、インサート成形
においては、本発明の気体および/または液体バリア成
形品用樹脂組成物が金型インサート成分であっても、被
覆もしくは接合成分であっても良い。また、二色成形に
おいては、他の熱可塑性樹脂を基体として、気体および
/または液体バリア性の必要な部位に本発明の気体およ
び/または液体バリア成形品用樹脂組成物を用いる方法
が好ましく用いられるが、本発明の気体および/または
液体バリア成形品用樹脂組成物は、その表面特性はナイ
ロン樹脂(a)の特性を十分に保持しているために、基
体として用いても好ましい複合成形品が得られる。
【0098】ここで用いられる本発明の気体および/ま
たは液体バリア成形品用樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂
としては、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、
四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、
ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレ
ンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホ
ン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケ
トン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性
ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、
ポリアミドエラストマ、ポリエステルエラストマなどが
例示でき、必要に応じ、これらの一種以上の熱可塑性樹
脂を配合して用いることも、それらに各種添加剤を添加
して所望の物性を付与して用いることも勿論可能であ
る。
【0099】このようにして得られた本発明の気体およ
び/または液体バリア成形体は、気体および/または液
体バリア性に優れ、振動特性、耐クリープ性が向上する
ために、薬液および/またはガス(例えば、フロン−1
1、フロン−12、フロン−21、フロン−22、フロ
ン−113、フロン−114、フロン−115、フロン
−134a、フロン−32、フロン−123、フロン−
124、フロン−125、フロン−143a、フロン−
141b、フロン−142b、フロン−225、フロン
−C318、R−502、1,1,1−トリクロロエタ
ン、塩化メチル、塩化メチレン、塩化エチル、メチルク
ロロホルム、プロパン、イソブタン、n−ブタン、ジメ
チルエーテル、ひまし油ベースのブレーキ液、グリコー
ルエーテル系ブレーキ液、ホウ酸エステル系ブレーキ
液、極寒地用ブレーキ液、シリコーン油系ブレーキ液、
鉱油系ブレーキ液、パワースアリリングオイル、ウイン
ドウオッシャ液、ガソリン、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、ブタノール、窒素、酸素、二酸化炭
素、メタン、プロパン、アルゴン、ヘリウム、キセノ
ン、医薬剤等)搬送ライン用に用いるパイプや上記薬液
の貯蔵用タンク、ポット、もしくはパッキンやフラン
ジ、バルブ、コックなどのそれらの付属部品などの自動
車部品、電気・電子部品、および医療器具用途部品とし
て有効である。具体的には、冷却液タンク、オイル移液
用タンク、消毒液用タンク、輸血ポンプ用タンク、燃料
タンク、燃料タンク部材、ウォッシャー液タンク、ウォ
ッシャー液タンク部材、オイルリザーバータンク、オイ
ルリザーバータンク部材などの自動車部品、医療器具用
途部品、および一般生活器具部品としてタンク状成形品
やその付属部品などに有効である。特に本発明の気体お
よび/または液体バリア成形品は、上記特性を十分に発
揮できる燃料チューブ、タンク、その付属部品など、自
動車などの内燃機関もしくはその周辺用途に好ましく適
用される。
【0100】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定される
ものではない。
【0101】参考例1(ポリアミド樹脂) A−1:ε−カプロラクタムを常法により重合して、ナ
イロン6のペレットを得た。このポリアミドの対数粘度
を測定したところ4.20、融点222℃であった。
【0102】A−2:ヘキサメチレンジアミン−アジピ
ン酸の等モル塩20重量%、ε−カプロラクタムを80
重量%の混合水溶液(固形原料濃度60重量%)を加圧
重合缶に仕込み、攪拌下に昇温し、水蒸気圧17kg/cm
2 で1.5時間反応させた後約2時間かけて徐々に放圧
し、更に常圧窒素気流下で約30分反応し、相対粘度
4.09、融点192℃のポリアミド樹脂を得た。
【0103】参考例2(液晶性樹脂) B−1:p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4
´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル
酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエ
チレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸960
重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、重
合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル
当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジ
オキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位
20モル当量からなる融点314℃、液晶開始温度29
3℃、324℃の溶融粘度21Pa・s(オリフィス
0.5φ×10mm、ずり速度1,000(1/秒))の
液晶性樹脂が得られた。
【0104】B−2:p−ヒドロキシ安息香酸907重
量部と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸457重量部及
び無水酢酸873重量部を攪拌翼、留出管を備えた反応
容器に仕込み、重合を行った結果、芳香族オキシカルボ
ニル単位100モル等量からなる融点283℃、液晶開
始温度233℃、293℃の溶融粘度が50Pa・s
(オリフィス0.5φ×10mm、ずり速度1,000
(1/秒))の液晶性樹脂が得られた。
【0105】B−3 :p−ヒドロキシ安息香酸839
重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量
部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6d
l/gのポリエチレンテレフタレ−ト432重量部及び
無水酢酸682重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容
器に仕込み、重合を行った結果、芳香族オキシカルボニ
ル単位72.5モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モ
ル当量、エチレンジオキシ単位20モル当量、芳香族ジ
カルボン酸単位27.5モル当量からなる融点232
℃、液晶開始温度207℃、242℃の溶融粘度47P
a・s(オリフィス0.5φ×10mm、ずり速度1,0
00(1/秒))の液晶性樹脂が得られた。
【0106】実施例1〜5、比較例1〜5 表1に示す配合割合でポリアミド樹脂(A−1、A−
2)100重量部に対し、液晶性樹脂(B−1〜B−
3)および充填材やその他の添加材をドライブレンド
し、表1の混練温度で、ニーディングディスクをスクリ
ューパターンに組み込んだPCM30型二軸押出機(池
貝鉄鋼)で溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた組
成物は上下2段の加温ローラーを介して引き取りカッタ
ーでペレタイズした後、80℃で10時間真空乾燥し、
住友ネスタ−ル射出成形機プロマット40/25(住友
重機械工業(株)製)に供し、成形温度250℃、金型
温度80℃に設定し、(1)、(3)、(4)各試験用
の成形品を成形した。下記方法により評価した。
【0107】(1)分散状態 ポリアミド樹脂(a)中の液晶性樹脂(b)のアスペク
ト比は、混練後ペレタイズして得られたペレットの中心
部を長手方向に切削して得られた切片(厚み方向と幅方
向にそれぞれ作成)を電子透過型顕微鏡(TEM)によ
り観察・写真撮影した。この断面写真において、液晶性
樹脂粒子50個についてそのアスペクト比(長径/短
径、ただし扁平楕円球状の粒子については扁平方向の垂
直方向の短径)を算出し、50個で平均して評価した
(長軸/幅方向短軸比=幅方向アスペクト比)。
【0108】(2)バリア性(アルコールガソリン透過
性) 直径40mmの押出機の先端にチューブ状に成形するダ
イス、チューブを冷却し寸法制御するサイジングダイ、
および引取機からなるものを使用し、外径:8mm、内
径:6mmのチューブを成形した。さらに30cm長に
カットし、チューブの一端を密栓し、内部に市販レギュ
ラーガソリンとメチルアルコールおよびエチルアルコー
ルを70対20対10重量比に混合したアルコールガソ
リン混合物を入れ、残りの端部も密栓した。その後、全
体の重量を測定し、試験チューブを40℃の防爆型オー
ブンにいれ、重量変化によりアルコールガソリン透過性
を評価した。
【0109】(3)振動特性 220mm×12.7mm×3.2mm厚の試験片を成
形し、得られた試験片に8mmφ×0.3mm厚の磁性
鋼を固定部から50、150mmの位置にグリスで接着
し、高低温槽中にセットして1次共振周波数での損失係
数を求めた(電力増幅器(B&K製2706型)、前置
増幅器(B&K製2639S型)および2チャンネルF
FT分析器(B&K製2034型)を用いる)。評価
は、振幅が1/10に減衰するまでの振動回数により行
った。
【0110】(4)耐クリープ性
【0111】上記成形機にて、標点間距離1/2のAS
TM1号ダンベル(厚み3.12mm)の試験片を作成
し、引張り応力2MPa、80℃の条件で500時間試
験を行った。
【0112】
【表1】
【0113】表1の結果から本発明の気体および/また
は液体バリア成形品用樹脂組成物は、極めて優れた気体
および/または液体バリア性を有しており、振動特性や
耐クリープ性が向上するため、これらの特性が必要とさ
れる自動車部品用途、特に燃料移送パイプやオイルリザ
ーバータンクおよびその付属部品などの燃料やオイルの
気体および/または液体バリア性が必要とされる部品に
好適である気体および/または液体バリア成形品を得る
ことができる。
【0114】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の気体およ
び/または液体バリア成形品用樹脂組成物は様々な気体
および/または液体に対するバリア性に優れ、振動特
性、耐クリープ性が向上するために、これらの特性が要
求される自動車用途を始め、多くのガス気体および/ま
たは液体バリア用途に有用な樹脂組成物およびその成形
品が得られ、特に自動車などの振動下にさらされる内燃
機関用燃料パイプやタンクおよびその周辺部品などに好
ましく適用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 71/12 C08L 71/12 101/12 101/12 Fターム(参考) 4F071 AA43 AA43X AA54 AA84 AD02 AF08 AF09 AF13 AG21 AH05 BA01 BB05 BB06 BC04 4J002 CF162 CH062 CH092 CJ002 CL011 CL031 CL051 CL082 FD020 FD030 FD060 FD110 FD130 FD160 FD170 GB01 GN00 GQ00 4J029 AA05 AC02 AE01 BA03 BB05A BB05B BB10A BB10B BB13A BC05A BC06A BF14A CB05A CB06A CB10A CB12A CB12B CC06A CF08 EB05A HA01 HB01 JB163 KD02 KE02 KE06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアミド樹脂(a)100重量部に融点
    が285〜340℃の液晶性樹脂(b)を0.5〜10
    0重量部配合してなる気体および/または液体バリア成
    形品用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】該液晶性樹脂(b)の融点がポリアミド樹
    脂(a)の融点よりも45℃以上高いことを特徴とする
    請求項1記載の気体および/または液体バリア成形品用
    樹脂組成物。
  3. 【請求項3】該液晶性樹脂(b)が下記構造単位(I)、
    (II)、(III)および(IV)からなる液晶性ポリエステルで
    あることを特徴とする請求項1または2記載の気体およ
    び/または液体バリア成形品用樹脂組成物。 【化1】 (ただし式中のR1は 【化2】 から選ばれた1種以上の基を示し、R2は 【化3】 から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素
    原子または塩素原子を示す。)
  4. 【請求項4】気体および/または液体バリア成形品用樹
    脂組成物中の液晶性樹脂(b)粒子が楕円球状もしくは
    扁平楕円球状であり、そのアスペクト比(長径/短径、
    ただし扁平している場合には扁平方向に垂直方向の短
    径)が10以下であることを特徴とする請求項1〜3い
    ずれか記載の気体および/または液体バリア成形品用樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】ポリアミド樹脂(a)および液晶性樹脂
    (b)を該液晶性樹脂(b)の液晶開始温度以上融点以
    下の温度において混練することにより請求項1〜4いず
    れか記載の気体および/または液体バリア成形品用樹脂
    組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜4いずれか記載の気体および/
    または液体バリア成形品用樹脂組成物からなる成形品。
  7. 【請求項7】ポリアミド樹脂(a)の融点(℃)+10
    ℃〜融点(℃)+30℃かつ該液晶性樹脂(b)の液晶
    開始温度(℃)+10℃以下の温度において成形するこ
    とにより請求項6記載の気体および/または液体バリア
    成形品を製造することを特徴とするバリア成形品の製造
    方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006025538A1 (ja) * 2004-08-31 2006-03-09 Polyplastics Co., Ltd. 熱可塑性樹脂組成物
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CN101195708B (zh) * 2007-12-19 2010-08-11 华南理工大学 一种增强耐热尼龙复合材料及其制备方法
WO2022113942A1 (ja) * 2020-11-24 2022-06-02 Eneos株式会社 液晶ポリマー粒子、熱硬化性樹脂組成物、および成形体

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