JP4386096B2 - 画像入力処理装置、および、その方法 - Google Patents
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Description
ただし、人間の目は約700[nm]より長波長側では殆ど感度を有さない。また、近赤外光は、色再現性を低下させるなどの弊害があるため、通常、撮像デバイスに被写体からの光(像)を制御する光学部品内に赤外線遮断フィルタ(赤外カットフィルタ)が設けられる。
蛍光灯や電球等の照明(光源)の違いにより、また、太陽光でも時刻によって含まれる赤外光が含まれる割合が異なるため、そのような撮影環境の変化に適応して赤外線を遮断すべきかどうかが決まる。
この技術では、たとえば、入射光路に対する赤外カットフィルタの挿入と抜出を回転機構等により切り替えて行ない、赤外カットフィルタを挿入している場合は近赤外光および赤外光の影響のない可視光カラー画像を、赤外カットフィルタを抜き出している場合は可視光および近赤外光の光強度を加算した画像を、それぞれ出力する。
特許文献2に記載された技術では、処理回路内に設けられている分光感度補正手段が、撮像信号の分光感度特性を変化させてIR成分分離を行い、その前後の信号の差分を取って積算することでIR成分を抽出する。分光感度補正手段は、単にIR成分を除去するだけでは色再現性が低下するので、色再現性を改善するためマトリクス演算で、IR分離後の赤(R),緑(G),青(B)の各色データを、ターゲット(例えば、正常色覚者の等色関数)の色バランスに合わせる処理を行っている。現在の色とターゲットとの近似性を知るには、最小二乗法などが用いられる。
特許文献3には、赤(R),緑(G),青(B)の3原色の透過フィルタと、赤外領域に感度を持ち、赤外光を透過する赤外通過フィルタとから、繰り返し最小単位(画素ユニット)が構成されているカラーフィルタが開示されている。そして、特許文献3には、赤外通過フィルタは白(W)のフィルタであってよいことが記載されている。
この方法で検出されたIR成分の大きさは、上記周波数が連続性しているという理由から正確ではないが、赤外透視撮影の検出の目的では十分であると考えられる。
この検出器は、入力画素信号を色ごとに、例えば1画面分積算(積分)する回路であり、輝度信号と色信号に分離する前あるいは後の所定の処理回路内位置に設けられる。例えば信号処理回路内の黒レベル補正部の後などに検出器が設けられる。そして、検出器から出力される色ごとの1画面分の積算値を用いてホワイトバランス補正を行い、あるいは、全色を合わせた1画面分の積算値を用いて露出補正を行う。
しかし、特許文献2に記載された方法および手段では、赤外透写撮影の有無を知る等の目的で大雑把にIR成分の大きさを検出するには有用であるが、ホワイトバランス補正や露出制御など、正確な制御のための明るさに関するデータを必要とするカメラ制御処理に対しては、求めたIR成分の大きさが正確性を欠くという理由から実用に耐えない。
光学帯域分離フィルタは、前記光センサ部の入射光経路に配置され、前記オンチップの色フィルタが形成された前記光センサ部の受光特性で全てのフィルタ色の感度が揃う波長を上限として近赤外光の所定波長帯域を遮断し、当該所定波長帯域の短波長側の可視光帯域、および、前記所定波長帯域の前記上限より大きく1000nm以下の長波長側帯域を通過させる。
前記光センサ部は、入射した光を、画素を単位として受光し、撮像信号を発生する。
前記オンチップの色フィルタ(の繰り返し基本単位)は、前記光センサ部にオンチップで形成され、2色の和が他の1色と可視光領域で等価、または、3原色の和が他の1色の1倍と可視光領域で等価となる等価性を有する4色配置となっている。
前記データ分離部は、前記光学帯域分離フィルタおよび前記オンチップの色フィルタを通すことによって前記短波長側の可視光帯域で前記4色配置の各色が選択され、かつ、前記長波長側帯域において前記4色配置の色間で等価の近赤外光成分をもつ光を前記光センサ部が受光したときに得られる前記撮像信号の前記4色配置に対応する画素データを、4色の色ごとに分離する。
前記赤外分離部は、前記分離後の4色の画素データ間で、前記4色配置に基づく可視光領域の前記等価性を利用した減算によって、前記長波長側帯域の近赤外光成分を画素データから分離する。
前記第1積算部は、前記データ分離部から出力され前記赤外分離部へ入力される前の複数の画素データを、色ごとに積算する。第2積算部は、前記赤外分離部から出力される複数の画素データを、色ごとに積算する。
前記カメラ制御処理部は、前記第1積算部からの色ごとの第1積算値と、前記第2積算部からの色ごとの第2積算値との大きさから、赤外光成分が相対的に多い画像か相対的に少ない画像かを判別し、判別した画像に適したホワイトバランス補正または露光制御を実行する。
本発明では好適に、前記カメラ制御処理部は、前記IR積算値に基づいて、近赤外光成分の大きさ、または、画素データに含まれる近赤外光成分の割合に関係するパラメータを算出し、当該パラメータの大きさに応じて、ホワイトバランス補正または露出制御に用いる色積算値を、前記第1積算部または前記第2積算部のどちらから得るかを決定する。
一方、人間の目は、近赤外光領域でも約700[nm]以上では殆ど感度を有さない。上記した色が異なっても等価な感度特性となる周波数下限は、700[nm]より大きく、両者間の周波数領域は色ごとに感度が異なる。
赤外分離部は、当該4色の画素データ間で演算を行う。このとき赤外分離部は、上記色フィルタの4色配置の特徴、即ち「2色の和が他の1色と可視光領域で等価、または、3色の和が他の1色の1倍あるいは2倍と可視光領域で等価となる等価性」と、分離後の2帯域の長波長側で近赤外光成分が等価にできる構成とを利用する減算を行うことによって、画素データから長波長側帯域の近赤外光成分を分離する。
近赤外光成分の分離は、上記等価性を示す2つの色の組(1色と2色、1色と3色の組み合わせ)間で行う減算により等価な可視光成分が相殺されることで達成できる。また、近赤外光成分を除去した3原色データは、1色と、2色または3色とで、可視光成分が相殺されるように減算を行うことによって達成できる。
一方、赤外分離前の近赤外光成分を含む前の画素データは、第1積算部で積算され、第1積算部から第1積算値が出力される。
そして、カメラ制御処理部は、比較結果に基づいて第1または第2積算値の何れか一方を決定し(または、所定の比率で混合した新たな積算値を算出し)、決定(または算出)した積算値に基づいて所定のカメラ制御処理を実行する。
最初に、本発明の実施形態の前提となる高精度な赤外分離について説明する。なお、赤外分離では、入力信号(撮像信号)から近赤外光成分(IR成分)を除去する、IR成分を抽出して出力する、その両方、すなわちIR成分が除去された信号とIR成分の両方を出力することができる。
但し、赤外分離を行う目的は様々存在する。そして発明の適用範囲は、色補正のためだけに赤外分離を設けるということに限定されるものでない。
図1は、本発明の実施形態に係る画素信号処理回路を内蔵したカメラ装置のブロック図である。
当該カメラ装置が、本発明の「画像入力処理装置」の一態様に該当する。カメラ装置は動画撮影を主体としたビデオカメラ、静止画撮影を主体としたデジタルスチルカメラ、ビデオカメラまたはデジタルスチルカメラの機能を備える他の電子機器の何れでもよい。
光学帯域分離フィルタは、近赤外光の所定波長帯域を遮断し、当該所定波長帯域の短波長側および長波長側の帯域を通過させる帯域分光特性を有する。
図1(A)に示すように、光学帯域分離フィルタ1Aを撮像デバイス2とは別に、例えば光学部品1内に設けることができる。この場合、撮像デバイス2の受光部の光入射側に色フィルタ2Aが形成されている。
あるいは、図1(B)に示すように、撮像デバイス2の受光部の光入射側に形成されているオンチップ・多層フィルタ2Bに、色フィルタとともに光学帯域分離フィルタを一体形成してよい。
撮像デバイスは、近赤外光領域の下限(700〜800[nm])より周波数が高い領域でも、赤(R),緑(G),青(B)および白(W)のそれぞれで感度を有することが図2から分かる。近赤外光領域は定義に幅があるが、一般には750〜780[nm]付近以上が近赤外光領域とされる。
これに対し、図2(B)に分光特性を示す補色系CCDデバイスは、波長が850[nm]付近から長波長側で、Ye(黄),Cy(シアン),Mg(マゼンダ),G(緑)およびW(白)の感度がほぼ揃ってくる。
このように撮像デバイスで色感度が長波長側で揃うのは半導体の物性に起因するが、色が揃う領域の下限の波長は、図示のように原色系か補色系の装置、また、撮像デバイスの種類によって異なる。
本実施形態では、そのような赤外カットフィルタを用いずに、図1に示すように光学帯域分離フィルタ1A等を用いる。
これらのグラフは、横軸を波長[nm]、縦軸を透過率(1を100[%]透過とする)にとったものである。
この遮断帯域の波長範囲は、図2(A)に示す原色系CCDデバイスの色間で感度が揃う長波長領域の下限(820[nm])に対応したものである。
なお、図2および図3は一例であり、デバイスの分光特性が変われば、それに適合した光学帯域通過フィルタの特性となるように変更を加えてよい。また、色フィルタの色配置の詳細は後述するが、原色系画素と補色系画素が混在する場合には、色が揃う波長下限がより大きな補色系画素に対応する850[nm]付近以上で近赤外光成分が通過可能に、フィルタ分光特性が設計される。
TG13は、これらのタイミング制御のための信号を、マイクロコンピュータ10の制御を受けて、不図示のシステムクロック信号から発生する回路である。撮像デバイス2は、これらのタイミング制御のための信号によって、転送動作やシャッタスピード変更等の各種動作が制御される。
なお、撮像デバイス2がCMOSセンサの場合、TG13の機能は撮像デバイス2内に持たせることができる。
データ分離部541は、デジタルの撮像信号の4色配置に対応する画素データを、4色の色ごとに分離する回路である。
赤外分離部548は、分離後の4色の画素データ間で、4色配置に基づく減算によって、光学帯域分離フィルタで分離された長波長側帯域の近赤外光成分を画素データから分離する回路である。
データ分離部541と赤外分離部548の、さらに詳細な機能および動作については後述する。
以下に述べるように、赤外分離部548は減算を含む簡単な演算を実行するのみであり、マイクロコンピュータ10とプログラムの機能から実現してよいし、専用回路でもよい。ただし、マイクロコンピュータ10の処理負担が増えると望ましくなく、マイクロコンピュータ10で行う場合は割り込み処理なので、処理同期が取りにくいため、減算器等を含むロジック回路で赤外分離部548を実現する方が望ましい。赤外分離部548の回路は簡単な(加算および)減算を行うのみであるため、以下の説明では、回路図を図示することなく、演算式で構成図の代用にする。
図5に示すステップST1で、図1(A)の光学帯域分離フィルタ1A、または、図1(B)のオンチップ・多層フィルタ2B内の光学帯域分離フィルタによって、被写体からの光(像)を、低波長側の可視光帯域と、長波長側の近赤外光帯域とに分離する(図3参照)。
撮像により、上記4色配置に対応する順序で画素データを含む撮像信号が、撮像デバイス2から出力される。
信号処理部4では、必要な処理が行われた後に、図5に示すステップST3で、データ分離部541(図1)によって、デジタルの撮像信号が色ごとの画素データに分離される。つまり、4色配置では、4つの色ごとの画素データが並列に、当該データ分離部541から出力される。
ここで画素信号に含まれるIR成分は、厳密には色ごとに異なるが、前述したように光学帯域分離フィルタにより分離された近赤外光帯域ではほぼ等しい(等価)とみなすことができ、画素信号に含まれるこの等価なIR成分を「(ir)」で表記する。また、補色とはYe,Cy,Mgの何れかを指す。
1つの補色と、2つの原色と、1つの白(W)で4色配置が構成される。具体的には、図4に示すように、「Ye,R,G,W」「Cy,B,G,W」「Mg,B,R,W」の3通りがある。
例えば「Ye,R,G,W」では、画素データ分離後の(R+(ir))データと(G+(ir))データの組と、(Ye(=R+G)+(ir))データとが、「2色の和が他の1色と可視光領域で等価という要件に合致する」ため、前述した等価性を満たす。同様に、他の2通りも、この要件を満たし等価性を満足する。
ここで重要なのは色の組み合わせであり、どの色成分を最も多く配置するかは問わない。但し、白(W)データは、3原色データの和(=R+G+B)と等価であるため情報量が最も多く高感度画素信号として、例えばエッジ検出や輝度信号の発生に有用である。よって、最も高感度画素となる色を、より多く配置することが望ましい。なお、より高感度とするには、白(W)画素データだけは、等価IR成分(ir)を除去しないで、次段の処理に供給することが望ましい。
図解した色分光特性の撮像信号は、光学帯域分離フィルタと色フィルタとを透過して撮像(光電変換)することにより得られたものである。ただし、オンチップ・多層フィルタ2Bの分光特性は、撮像デバイス2に積層することが可能な膜材料、膜厚、積層方法等の制限から、図3(B)に示すように遮断帯域(波長;650〜850[nm])で完全な遮断特性が得られない。よって、図6(B)に示すように、撮像信号における色分光特性において、波長700〜800[nm]付近ではG(緑)と他の色との感度が多少異なっている。しかし、800[nm]付近以上の波長では、図3(B)に示すように透過率を上昇させて、図2に示す色間の感度が揃う撮像デバイスの特性をよく反映させることによって、色間の感度のばらつきをほぼ無くした特性が実現できている。
本実施形態では、この点に着目して画素データ間で、以下のようにしてIR光成分のキャンセルを行う。
(Ye+(ir))−(G+(ir))=R…(1-1)
(Ye+(ir))−(R+(ir))=G…(1-2)
(W+(ir))−(Ye+(ir))=B…(1-3)
一方、等価IR成分(ir)を抽出したい場合は、画素データ(R+(ir))から上記(1-1)で求めたRデータを減算する、あるいは、画素データ(G+(ir))から上記(1-2)で求めたGデータを減算する。
図7から、特に800[nm]以上ではIR光成分がほぼ完全にキャンセルされ、700〜800[nm]の境界領域でも色間のばらつきは十分押さえられている。この境界領域で人間の色感度はほとんどなく、直接色のばらつきは認識できない。また、IR光成分がほぼキャンセルされていることから、色にオフセットがかかって全体が白っぽくなることが有効に防止された色補正がなされている。
また、図9(A)に、LED照明による撮像で得た撮像信号の色分光特性を示し、図9(B)に、図9(A)に示す特性の撮像信号をデータ分離し、前記式(1-1)〜(1-3)に従う減算を行った後の画素データの色分光特性を示す。
図8の光源下での撮像時に、図9に示す補助照明を用いて被写体を照らし、可視光での感度を増大させ信号の高感度化を図る応用が可能である。この場合でも、図8と図9から、IR成分のキャンセルが有効に働くことが容易に類推できる。
2つの補色と、1つの原色と、1つの白(W)で4色配置が構成される。具体的には、図4に示すように、「Ye,Cy,R,W」「Ye,Cy,B,W」「Ye,Mg,G,W」「Ye,Mg,B,W」「Cy,Mg,R,W」「Cy,Mg,G,W」の6通りがある。
例えば「Ye,Cy,R,W」では、画素データ分離後の(Cy(=B+G)+(ir))データと(R+(ir))データの組と、(W(=R+G+B)+(ir))データとが、「2色の和が他の1色と可視光領域で等価という要件に合致する」ため、前述した等価性を満たす。同様に、他の5通りも、この要件を満たし等価性を満足する。
(W+(ir))−(Cy+(ir))=R …(2-1)
(Cy+(ir))−(R+(ir))=G …(2-2)
(W+(ir))−(Ye+(ir))=B …(2-3)
(R+(ir))−R=(ir) …(2-4)
{(Cy+(ir))+(R+(ir))}−(W+(ir))=(ir)…(2-5)
3つの補色と、1つの白(W)で4色配置が構成される。具体的には、図4に示すように、「Ye,Cy,Mg,W」の1通りがある。
「Ye,Cy,Mg,W」では、画素データ分離後の(Ye(=R+G)+(ir))データと(Cy(=B+G)+(ir))データと(Mg(=B+R)+(ir))データの組と、(W(=R+G+B)+(ir))データとが、「3色の和が他の1色の2倍と可視光領域で等価という要件に合致する」ため、前述した等価性を満たす。
(W+(ir))−(Cy+(ir))=R …(3-1)
(W+(ir))−(Mg+(ir))=G …(3-2)
(W+(ir))−(Ye+(ir))=B …(3-3)
[{(Ye+(ir))+(Cy+(ir))+(Mg+(ir))}−(W+(ir))]/2=(ir)…(3-4)
3つの原色と、1つの白(W)で4色配置が構成される。具体的には、図4に示すように、「R,G,B,W」の1通りがある。
「R,G,B,W」では、画素データ分離後の(R+(ir))データと(G+(ir))データと(B+(ir))データの組と、(W(=R+G+B)+(ir))データとが、「3色の和が他の1色の1倍と可視光領域で等価という要件に合致する」ため、前述した等価性を満たす。
(W+(ir))−(B+(ir))=Ye …(4-1)
(W+(ir))−(R+(ir))=Cy …(4-2)
(W+(ir))−(G+(ir))=Mg …(4-3)
(Ye+Cy−Mg)/2=G…(5)
これらの図から、良好な帯域分離特性を反映して、約700[nm]付近以上はほぼゼロに等しくなり等価IR成分(ir)がキャンセルされていることが分かる。
(Ye+(ir))−(G+(ir))=R…(6-1)
(Cy+(ir))−(G+(ir))=B…(6-2)
(Ye+(ir))−R=G …(6-3)
一方、等価IR成分(ir)を抽出したい場合は、画素データ(G+(ir))から上記式(6-3)で求めたGデータを減算する。
これらの図から、良好な帯域分離特性を反映して、約700[nm]付近以上はほぼゼロに等しくなり等価IR成分(ir)がキャンセルされていることが分かる。
つぎに、図4に示す白(W)を含まない他の色の組み合わせについて簡単に説明する。
この色の組み合わせは図4に示す3通りがあり、例えば「Ye,R,G,B」では、(R+(ir))データと(G+(ir))データの組と、(Ye(=R+G)+(ir))データとが、「2色の和が他の1色と可視光領域で等価という要件に合致する」ため、前述した等価性を満たす。
演算は、例えば、前述した式(1-1)と(1-2)からRとGを求め、{(R+(ir)+(G+(ir))データと(Ye+(ir))データの差分から(ir)を求めて、これを(B+(ir))データから引くことでBデータを求める。
この色の組み合わせは図4に示すように、例えば「Ye,Cy,G,R」があり、この例では、(R+(ir))データと(G+(ir))データの組と、(Ye(=R+G)+(ir))データとが、「2色の和が他の1色と可視光領域で等価という要件に合致する」ため、前述した等価性を満たす。
演算は、例えば、{(G+(ir))+(B+(ir))}−(Cy+(ir))の式から(ir)を求める方法と、<1補色+3原色>と同様にGデータとRデータを先に求めてから(ir)を抽出する方法がある。
これは式(6-1)〜(6-3)で求めることができるし、等価IR成分(ir)の抽出も同様に可能である。
ただし、最初から色フィルタが補色系である場合は、先に記述した等価性は満足しない。
また、本実施形態では、IR成分を含んだ撮像信号から、上記赤外分離処理で取り出した可視光分を減算することで、IR成分のみからなる画像も取得可能となり「可視光」「IR画像」を1枚の撮像デバイスで分離し取得することが可能なカメラ装置を提供することができる。
図13(C)は、図1に示すデータ分離部541から赤外分離部548の間の画素データを検出し、色成分ごとに積算する構成を示す。図13(A)と図13(B)は画素データに占めるIR光量成分比が異なる場合を、光源の色温度が5000[K]と2400[K]で比較して示す色分光特性のグラフである。
具体的には、図13(A)に示す色温度5000[K]の光源下ではIR成分が含まれる割合は25[%]程度と低いが、図13(B)に示す色温度2400[K]の光源下ではIR成分が含まれる割合が73[%]にも達する。なお、図13(A)と(B)は、図1に示す光学帯域分離フィルタ1A等によって波長700〜800[nm]で帯域カットされているが、第1積算部61は全波長での積算値を算出するため、同じような値の積算値でもIR成分比は環境によって大きくことなる場合がある。
したがって、露出制御が第1積算部61からの積算値のみに基づいて行われると、その後に、赤外分離部548(図1)によって可視光とIR光が分離された場合、光源にIR光を非常に多く含んだ条件下で撮像がされていると(低色温度時などが該当する)、可視光成分は適正値より非常に少ないものとなるため、表示画面が暗くなってしまう。
しかし、第1積算部61が求める積算値は、IR成分を一定のオフセットとして含むものであるため、色ごとの積算値の比率は、適正比率と同じにならない。
しかし、IR成分を含んだ画素データの積算値から色ゲインを求めてしまうと、上記色ゲイン値が実際には、それぞれ1.22(B)、1.13(R)となり、適正ゲイン値とずれてしまう。よって、ホワイトバランス補正を行っても、白であるべき画像箇所が無彩色の白とならない不都合がある。
第1積算部61は赤外分離部548の前段に設けられ、R1データを積算する色積算部58R、G1データを積算する色積算部58G、B1データを積算する色積算部58B、および、Wデータを積算する色積算部58Wを備える。ここで入力データは、図示のように(R,G,B,W)4色配置の撮像デバイス2から出力され、所定の処理を経て、図1の分離部541で分離された4つの(R1,G1,B1,W)データである。
第1積算部61はIR成分と可視光成分の分離処理前のデータを入力とするため、IR成分と可視光成分を含む全波長の受光成分の大きさを検出し、積算値ΣR1、ΣG1、ΣB1およびΣW(以下、これらを第1積分値という)を出力する。
第2積算部62は、分離後のIR成分または可視光成分の大きさを検出し、積算値ΣR2、ΣG2、ΣB2およびΣIR(以下、これらを第2積分値という)を出力する。
カメラ制御処理部内のマイクロコンピュータ10が、算出された第1および第2積分値を用いてパラメータKを算出する。パラメータKは、IR成分の大きさと可視光成分の大きさに関係する変数であり、IR成分比率が大きいほど大きくまたは小さくなるように変動する関係式に基づくならば、定義は任意である。ここではIR成分比率100[%]のIR成分のみの場合に「1」をとり、逆に、可視光成分のみの場合に「0」をとる変数としてパラメータKが定義されている。
パラメータKがやや小さい「k1」を超えると、入力光の殆どがIR成分とみなして、IR優先の露出等の制御を行う。具体的には、IRデータを用いた露出制御を行う、あるいは、IR成分と等価とみなされる入力画素データを用いた露出等の制御を行う。
例えば、第1積算部61で求められた値(入力)と、第2積算部62で求められた値の比(IR成分比)を計算し、もし入力とIR成分の比が“1”に近い場合は、撮影対象はIR成分の光しか含んでいないこととなるため、IR画像の撮影を行うように、IR優先での露出制御を行う。
例えば、逆に入力に対しIR成分の値が小さい場合は、赤外を含まずに、可視光が十分に明るい被写体を映していると想定できるため、IR/可視光分離処理後の可視光成分を、適正な明るさにするように露出制御を行うことが、可視光撮影には望ましい。
このように制御にヒステリシスを設けているのは、頻繁に制御モードが切り替わるのを防止するためである。
以上の構成に加えて、本実施形態では高周波成分検出が可能に第2積算部62側に変更を加えることが可能である。
霧や煙などが多い環境下の撮影では、今まではユーザオペレーションにより撮影モード(例えばAEプログラムモード)の切り替えが行われていた。
「可視光」では霧や煙にさえぎられて、その奥の風景や道路等の物体が見えない場合でも、「IR光」が多い環境下、あるいは赤外線を意図的に照射すると、霧や煙を透かして、その奥が見えやすい。
風景や道路等の物体が見えているときは、より多くのエッジが含まれるため高周波成分が相対的に多くなり、見えていないときは高周波成分も少なくなる。
この性質を利用するならば、可視光成分とIR成分のそれぞれで高周波成分比を求め、その違いがある、即ちIRデータにおける高周波成分比が、可視光データにおける高周波成分比より大きければ、霧や煙が立ち込めた環境であるとしてIR優先の制御に自動的に切り替えることが可能である。
本変更例は、自動的な切り替え制御のための構成と動作に関する。
第2積算部62と赤外分離部548との間に、色ごと、および、IRに1つずつ高周波検出部としてのハイパスフィルタ(HPF)63を接続させている。このため第2積算部62を構成する色積算部58R,58G,58BとIR積算部58IRは、それぞれ入力データの高周波成分を、例えば1画面分積算して第2積算値として出力する。第2積算値は、不図示のマイクロコンピュータ10に送られ、マイクロコンピュータ10がモード切り替えを判断する。
図17(C)のように、霧がある場合に、可視光より近赤外光では視程が2倍弱から3倍強ほど大きくなる。これは、霧が発生した場合、可視光では見えづらくなるため高周波成分は少なくなるが、赤外線は霧の中でも透過性が高く、赤外カメラには見えているために赤外成分でHPFを掛けると画像が出力されてくる。
横軸に高周波成分の、可視光に対するIR光の成分比をとり、縦軸に可視光とIR光の積算値の利用優先度を示す。利用優先度は撮影モードの違いと考えてよい。
ここではIRの高周波成分と可視光の高周波成分の比を求めており、その比でIR成分が多く、可視光成分が少ない場合は、霧撮影状態と判定し、IR撮影(IR成分を用いた明るさ判定)へと切り替えを行うようになっている。ただし、このような状態は夜間でIRの照明を行った場合も同様となるため、必要があれば、「可視光が明るいが、高周波成分がない+IRは高周波成分が多い」という条件にしてもよい。
以上の構成により、可視光、IR光のそれぞれ必要な方を適正な露出で撮影をすることが可能となる。
Claims (5)
- 入射した光を、画素を単位として受光し、撮像信号を発生する光センサ部と、
前記光センサ部にオンチップで形成され、2色の和が他の1色と可視光領域で等価、または、3原色の和が他の1色の1倍と可視光領域で等価となる等価性を有する4色配置のオンチップの色フィルタと、
前記光センサ部の入射光経路に配置され、前記オンチップの色フィルタが形成された前記光センサ部の受光特性で全てのフィルタ色の感度が揃う波長を上限として近赤外光の所定波長帯域を遮断し、当該所定波長帯域の短波長側の可視光帯域、および、前記所定波長帯域の前記上限より大きく1000nm以下の長波長側帯域を通過させる光学帯域分離フィルタと、
前記光学帯域分離フィルタおよび前記オンチップの色フィルタを通すことによって前記短波長側の可視光帯域で前記4色配置の各色が選択され、かつ、前記長波長側帯域において前記4色配置の色間で等価の近赤外光成分をもつ光を前記光センサ部が受光したときに得られる前記撮像信号の前記4色配置に対応する画素データを、4色の色ごとに分離するデータ分離部と、
前記分離後の4色の画素データ間で、前記4色配置に基づく可視光領域の前記等価性を利用した減算によって、前記長波長側帯域の近赤外光成分を画素データから分離する赤外分離部と、
前記データ分離部から出力され前記赤外分離部へ入力される前の複数の画素データを、色ごとに積算する第1積算部と、
前記赤外分離部から出力される複数の画素データを、色ごとに積算する第2積算部と、
前記第1積算部からの色ごとの第1積算値と、前記第2積算部からの色ごとの第2積算値との大きさから、赤外光成分が相対的に多い画像か相対的に少ない画像かを判別し、判別した画像に適したホワイトバランス補正または露光制御を実行するカメラ制御処理部と、
を有する画像入力処理装置。 - 前記第1および第2積算部は、色積算値を色ごとに求める色積算部を含み、
前記第2積算部は、色積算値を色ごとに求める色積算部と、前記赤外分離部で抽出された近赤外光成分の積算値(IR積算値)を求めるIR積算部とを含む
請求項1に記載の画像入力処理装置。 - 前記カメラ制御処理部は、前記IR積算値に基づいて、近赤外光成分の大きさ、または、画素データに含まれる近赤外光成分の割合に関係するパラメータを算出し、当該パラメータの大きさに応じて、ホワイトバランス補正または露出制御に用いる色積算値を、前記第1積算部または前記第2積算部のどちらから得るかを決定する
請求項2に記載の画像入力処理装置。 - 入射した光を、画素を単位として受光し、撮像信号を発生する光センサ部と、
前記光センサ部にオンチップで形成されたオンチップの補色系4色(Ye,Cy,Mg,G)の色フィルタと、
前記光センサ部の入射光経路に配置され、前記オンチップの色フィルタが形成された前記光センサ部の受光特性で全てのフィルタ色の感度が揃う波長を上限として近赤外光の所定波長帯域を遮断し、当該所定波長帯域の短波長側の可視光帯域、および、前記所定波長帯域の前記上限より大きく1000nm以下の長波長側帯域を通過させる光学帯域分離フィルタと、
前記光学帯域分離フィルタおよび前記オンチップの補色系4色フィルタを通すことによって前記短波長側の可視光帯域で補色系4色の各色が選択され、かつ、前記長波長側帯域において前記補色系4色の色間で等価の近赤外光成分をもつ光を前記光センサ部が受光したときに得られる前記撮像信号の前記補色系4色に対応する画素データを、色ごとに分離するデータ分離部と、
前記分離後の補色系4色の画素データ間で減算を行うことによって、前記長波長側帯域の近赤外光成分を画素データから分離する赤外分離部と、
前記データ分離部から出力され前記赤外分離部へ入力される前の複数の画素データを、色ごとに積算する第1積算部と、
前記赤外分離部から出力される複数の画素データを、色ごとに積算する第2積算部と、
前記第1積算部からの色ごとの第1積算値と、前記第2積算部からの色ごとの第2積算値との大きさから、赤外光成分が相対的に多い画像か相対的に少ない画像かを判別し、判別した画像に適したホワイトバランス補正または露出制御を実行するカメラ制御処理部と、
を有する画像入力処理装置。 - オンチップの色フィルタが形成された光センサ部の受光特性で全てのフィルタ色の感度が揃う波長を上限として近赤外光の所定波長帯域を遮断し、当該所定波長帯域の短波長側の可視光帯域、および、前記所定波長帯域の前記上限より大きく1000nm以下の長波長側帯域を通過させる光学帯域分離フィルタに、入射光を通すステップと、
2色の和が他の1色と可視光領域で等価、または、3原色の和が他の1色の1倍と可視光領域で等価となる等価性を有する4色配置のオンチップの前記色フィルタが形成された前記光センサ部により、入射光を撮像するステップと、
前記光学帯域分離フィルタおよび前記オンチップの色フィルタを通すことによって前記短波長側の可視光帯域で前記4色配置の各色が選択され、かつ、前記長波長側帯域において前記4色配置の色間で等価の近赤外光成分をもつ光を撮像することにより得られた撮像信号を、色ごとの画素データを分離するステップと、
色ごとに分離された画素データを、色ごとに積算する第1積算ステップと、
前記色ごとの画素データ間の、前記4色配置に基づく可視光領域の前記等価性を利用した減算によって、前記長波長側帯域の近赤外光成分を分離するステップと、
赤外光分離後の画素データを、色ごとに積算する第2積算ステップと、
前記第1積算ステップで得られた色ごとの第1積算値と、前記第2積算ステップで得られた色ごとの第2積算値との大きさから、赤外光成分が相対的に多い画像か相対的に少ない画像かを判別し、判別した画像に適したホワイトバランス補正または露出制御を実行するステップと、
を含む画像入力処理方法。
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