JP4384309B2 - 航空機の作動油管理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
この発明は、航空機の各種機器類を作動する制御回路内の全作動油を一定の清浄状態に管理し、作動油の汚染に起因して発生する機器類の作動不良を防止することを目的とする航空機の作動油管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、翼の制御、車輪の出し入れ等航空機の機械的な作動部分は、油圧作動により操作、制御されている。航空機事故の内、人為的な原因及び燃料系統の不良を原因とするものを除くと、航空機事故の殆どは作動油の作動不良が原因であると考えられている。作動油の作動不良をもたらす主要な原因は、作動油中に含まれる1ミクロン以上の金属の不純物、いわゆるコンタミに起因している。作動油は、油圧制御回路に設置されたセレクタバルブ、チェックバルブ、シーケンスバルブ、リリーフバルブ、リストリアクタバルブ等の各種の高圧弁類により制御されるが、これらの弁類の弁体と弁座の接触面は0.1ミクロンの精度に仕上げられており、この接触面に5〜10ミクロンのコンタミが噛み込まれると弁類は作動不良となり、正常な作動を期待することが出来なくなる。航空機の作動油は、各国共に厳しい管理規則が定められており、航空会社はこの管理規則の基づいて作動油の点検及び交換を実施している。
【0003】
かかる作動油の管理基準は、基本的に作動油の使用経過時間若しくは清浄度に基づいて、定められた使用時間毎若しくは汚染度に達したとき、作動油や部品の交換を行っている。作動油の清浄度を示す基準としてNAS等級が知られており、スペースシャトル等の宇宙航空機器に関しては、NAS等級0級〜4級の作動油ときわめて厳しい基準が定められており、航空機の場合はNAS4級〜8級と定められている。工業用作動油では一般的にNAS8級で使用を始め12級以内に保つように管理している。これは航空機等に比べて工業機械には人命のファクターが少ないことに起因していると考えられるが、工業機械でも一旦故障すると製品等に大きなダメージを与えるため、最近ではNAS8級以内に保つように工夫されている。本発明者等の工業用作動油の管理経験によると、先ずNAS8級の作動油を実際に入手するのが困難であると共に、従来の作動油の管理法では新油が12級になるまでの時間を、フィルターにより如何に長びかせるかに注意が払われていた。しかしながら、新油に交換しても作動油の回路系統の汚れにより数時間で11級や12級になってしまい、故障発生の確率が高くなっているのが現状である。
【0004】
航空機の場合には、航空機用の特殊作動油がNAS4級で補給或は交換されたとしても、使用限度のNAS8級になるまでの時間は一定ではない。配管内の汚れや、交換された部品に付着している汚れが作動油中に分散してくる可能性があり、短時間で8級或はそれ以上に汚染してしまうおそれがある。実際の航空機の作動油制御回路では、作動油のリザーバータンクの手前にフィルターが配置されているが、これらのフィルターはいずれも10ミクロンの炉体からなる目の粗いものであり、これらが目詰まりするとバイパス弁が開いてリザーバータンクへの作動油の戻りをスムースにしており、この時点でフィルターは作用していないことになる。すなわち、従来の航空機の作動油の管理においても、NAS4級の作動油に混入してくる汚染物質を除去して汚染を抑えて、使用限度のNAS8級になるまでの時間を長びかせようとしているに過ぎず、作動油を清浄な状態に積極的に復元し改良しようとするものではなかった。又、緊急用手動ポンプを作動させるとリザーバータンクの底部から取り出される汚染度の高い作動油が送給されるため、作動不良が発生するおそれが高かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、航空機の作動油の汚れのスピードと清浄にするスピードのバランスを取り、汚染の進行よりも清浄化する度合いを大きくすることによって、作動油を清浄な状態に積極的に復元、改良し、作動油の清浄度を初期の清浄な状態に維持し得るように管理して、作動油の汚れによる機器類の作動不良を防止することを課題とする。又、リザーバータンクの底部に汚染した作動油が存在しないようにし、緊急用手動ポンプの作動時においても、作動油が送給されないようにすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためにこの発明が採った手段は、航空機の各作動機構部を作動させる作動油の制御回路のリザーバータンクの底部から、作動油の一部を常時取りだし、複数の紙を積層し紙の積層間隙に作動油を流過させて流過中に不純物を紙の繊維にブラウン運動により付着させて除去するようにした所要サイズと所要数のフィルターエレメントの組合せにより、汚染スピードとバランスするスピードで前記取り出した一部の作動油を濾過して、作動油中の1ミクロン以上の微細な不純物を除去して、リザーバータンクを含む作動油の全制御回路内の作動油を常時一定レベル以下の清浄度に維持し、緊急用手動ポンプを作動させても汚染した作動油が航空機の作動機構部に送給されないようにしたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明の好ましい実施の形態を、以下に詳細に説明する。この発明は、翼の回動、車輪の出し入れ等、航空機の機械的作動機器類の回転、摺動、揺動等の各種作動をもたらす作動油を、その制御回路の適所から常時一部取り出して、精密濾過装置に送り、精密濾過装置で不純物を除去した後再び制御回路に戻すようにし、精密濾過装置は作動油中に混入してくる汚染物質の量とバランスした濾過能力を有し、汚染物質を適切に除去することにより、作動油を一定の汚染レベルに維持するようにして、作動油の汚染による航空機の各種作動部分の故障を防止するようにしたことを特徴とする。精密濾過装置により作動油中に存在する1ミクロン以上の不純物が除去され、一定の汚染レベルに維持されるため、ベント弁座に接触面に1ミクロン以上のコンタミが噛み込まれて来ることが無くなり、実質的に不純物の噛み込みよる作動不良や圧力低下を防止することが出来、航空機の各種作動機器の作動不良を解消し、機械的作動部の作動不良による航空機事故を減少することが可能となる。
【0008】
精密濾過装置は、ティッシュペーパーの如き薄紙を多数積層し、或はトイレットペーパー状に巻回したフィルターエレメントを有し、フィルターエレメントの積層された紙の層間隙と平行に作動油を流過させて、積層された紙の層間を作動油が通過中に紙の繊維に不純物がそのブラウン運動等により付着し油から分離、除去されるようになっている。このフィルターエレメントは、不純物をそのブラウン運動等により紙の繊維に付着させて除去するために、1ミクロン以上の不純物を効果的に除去することが出来る。薄紙を多数積層したフィルターエレメントの濾過面積は、1枚の紙の表裏両面が濾過面として使用されるため、1枚の紙の表面積を2倍し、更に積層枚数を乗じた数値が1個のフィルターエレメントの全濾過面積となり、きわめて大きな濾過能力を有するフィルターエレメントとなる。従って、所要サイズ及び所要数のフィルターエレメントを適宜組み合わせることにより、所要の濾過能力を得ることが出来、清浄化スピードと汚染スピードのバランスを取ることが容易となる。
【0009】
【実施例1】
図1を参照して、(1)は航空機の機械作動機器を作動する作動油のリザーバータンクであり、該タンク(1)の中間部から取り出された作動油がポンプ(2)でアクチュエータ(3)に送られ、アクチュエータ(3)を駆動して、航空機の翼や車輪等の所望の作動部を作動させることが出来る。アクチュエータ(3)を作動した後、作動油はフィルター(4)で不純物を除去されてリザーバータンク(1)に戻される。リザーバータンク(1)の底部には緊急用の手動ポンプ(5)が連結されており、ポンプ(2)が航空機のエンジン不調のため作動停止した時に手動で所要の作動部を作動できるようになっている。しかしながら、この緊急用の手動ポンプ(5)は、通常タンクの底部に接続されているため、底部に沈殿しているスラッジ等の不純物を多く含む作動油が送られることとなり、作動不良を惹起するおそれが高く、緊急用としては問題があった。この実施例1は、手動ポンプ(5)に送られる管路(6)を分岐してポンプ(7)を介して精密濾過装置(8)を接続し、タンク(1)の底部の汚染した作動油を常時精密濾過装置(8)に送って濾過し、タンク(1)に戻すようにした。すなわちリザーバータンク(1)内の作動油は、常時精密濾過装置(8)で濾過されて清浄にされるようになっている。これにより、リザーバータンク(1)を含む全回路内の作動油は一定の清浄度に維持されることとなる。
【0010】
精密濾過装置(8)には、フィルターエレメント(9)が組み込まれており、該フィルターエレメント(9)は、中心に濾液通路を貫設した直径15cmの円板状の薄い紙を5000枚積層した構造を有し、一個当たり、一時間当たり100リットルの作動油を濾過処理することが可能である。従って、例えばリザーバータンク(1)内の作動油の量が200リットルとすると、フィルターエレメント(9)を1個備えた精密濾過装置(8)を設置することによって、全作動油を24時間で精密濾過装置(8)に12回通過させて濾過を行い、清浄にすることが出来、清浄スピードを24時間飛行した作動油の汚染スピードとバランさせることが可能となる。これにより作動油の清浄度は、NAS等級で5〜6級に維持することが出来た。
【0011】
【実施例2】
図2を参照して、この実施例2は精密濾過装置(8)をフィルター(4)のバイパスとして接続し、回路を流れる作動油の一部を取り出して精密濾過装置(8)に送り濾過するようにしたものであり、その他の点は実施例1と同じである。この場合、航空機のエンジンで駆動されるポンプ(2)が作動している間のみ濾過が行われるため、実施例1よりも汚れは取れにくくなるが、清浄度はNAS等級で5〜6に維持することが出来た。
【0012】
【発明の効果】
この発明によれば、作動油の制御回路のリザーバータンクの底部から作動油の一部を常時取り出して、汚染スピードにバランスするスピードで清浄にし、航空機の作動機構部分を作動する作動油の全制御回路内の作動油の清浄度を一定のレベル以下に維持するようにしてあるので、正常作動時は勿論のこと、緊急用手動ポンプを作動させても汚染した作動油が送給されることがなく、作動油の汚染に起因する航空機事故を減少させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の回路図
【図2】実施例2の回路図
【符号の説明】
(1)リザーバータンク
(2)ポンプ
(3)アクチュエータ
(4)フィルター
(5)緊急用手動ポンプ
(6)管路
(7)ポンプ
(8)精密濾過装置
(9)フィルターエレメント
Claims (1)
- 航空機の各作動機構部を作動させる作動油の制御回路のリザーバータンクの底部から、作動油の一部を常時取りだし、複数の紙を積層し紙の積層間隙に作動油を流過させて流過中に不純物を紙の繊維にブラウン運動により付着させて除去するようにした所要サイズと所要数のフィルターエレメントの組合せにより、汚染スピードとバランスするスピードで前記取り出した一部の作動油を濾過して、作動油中の1ミクロン以上の微細な不純物を除去して、リザーバータンクを含む作動油の全制御回路内の作動油を常時一定レベル以下の清浄度に維持し、緊急用手動ポンプを作動させても汚染した作動油が航空機の作動機構部に送給されないようにしたことを特徴とする航空機の作動油管理方法。
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JP29808499A JP4384309B2 (ja) | 1999-10-20 | 1999-10-20 | 航空機の作動油管理方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP29808499A JP4384309B2 (ja) | 1999-10-20 | 1999-10-20 | 航空機の作動油管理方法 |
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JP29808499A Expired - Fee Related JP4384309B2 (ja) | 1999-10-20 | 1999-10-20 | 航空機の作動油管理方法 |
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Country | Link |
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-
1999
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