JP4381791B2 - 気相成長炭素材料製造用触媒、気相成長炭素材料製造方法 - Google Patents
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Description
まず、単層カーボンナノチューブを挙げることができる。単層カーボンナノチューブは、グラファイト状の炭素の層からなるグラフェンを丸めて円筒状にした形状を有する。なお、グラフェンとは黒鉛構造の一部であって、1枚の炭素の層からなるものをいう。また、複数のグラフェンの円筒が同心円状に重なった形状を有する多層カーボンナノチューブ挙げることができる。さらに、多数の小さなグラフェンの層が軸方向に連続して積層したカーボンナノファイバーを挙げることができる。カーボンナノファイバーには、頂部を切り欠いて底面が開放した略円錐形のグラフェンが積層して軸方向に伸びた形状のもの、底面が開放した多角錐形のグラフェンが積層して軸方向に伸びた形状のもの、小紙片状のグラフェンが積層して軸方向に伸びた形状のもの、小紙片状のグラフェンがハの字型に積層して軸方向に伸びた形状のものがある。
直径1μm以下の繊維状の炭素材料のうち、カーボンナノファイバーの製造方法として鉄系触媒を利用した気相成長法がある。気相成長法における繊維状の炭素材料の成長機構として、以下のような機構が提案され、広く受け入れられている。まず、一酸化炭素を原料として、次の式(1)で表される反応により炭素を生成させる。
2CO→CO2+C …(1)
第2の気相成長法として、炭素供給源のベンゼン及び触媒となるフェロセンなどの鉄化合物を気相として供給し、鉄化合物を熱分解して鉄微粒子を発生させ、この鉄微粒子を触媒とする方法がある(特許文献1を参照)。
第3の気相成長法として、シリカ等の不活性担持体の上に担持された鉄を触媒とする方法がある。
第3の気相成長法では、細径で比較的均一な直径を有する炭素材料を製造することが可能ではあるものの、不活性担持体の上に成長した炭素材料を不活性担持体から分離する必要があり、手間とコストがかかってしまう。
第4の気相成長法では、得られる炭素材料の直径の均一性に問題がある。発明者らが行った試験によれば、鉄とニッケルを共沈させて触媒とし、又は、鉄と銅を共沈させて触媒とした場合、製造される炭素材料の直径のばらつきが非常に大きくなってしまった。
請求項1の発明に係る気相成長炭素材料製造用触媒は、水素及び一酸化炭素を含有するガスと加熱状態で接触して炭素材料を成長させる触媒であって、鉄及びコバルトを含む共沈物を乾燥して得られる。
請求項2の発明に係る気相成長炭素材料製造用触媒は、請求項1に記載の気相成長炭素材料製造用触媒であって、コバルトが鉄とコバルトの合計に対して60〜90モル%である。
請求項3の発明に係る気相成長炭素材料製造方法は、水素及び一酸化炭素を含有するガスと、請求項1又は請求項2に記載の気相成長炭素材料製造用触媒とを、加熱状態で接触させる。
請求項5の発明に係る気相成長炭素材料製造方法は、請求項3又は請求項4に記載の気相成長炭素材料製造方法であって、請求項1又は請求項2に記載の気相成長炭素材料製造用触媒と水素及び一酸化炭素を含有する前記ガスとが接触するときの前記ガスの温度を450〜650℃とする。
すなわち、鉄及びコバルトを含む共沈物を乾燥して気相成長法の触媒とすると、製造される炭素材料の直径の最大値が200nm未満となり、直径の平均値が100nm以下となることを見出した。
鉄及びコバルトを含む溶液を作る原料として、例えば、鉄及びコバルトの塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩等を挙げることができ、これらの水溶液を鉄及びコバルトを含む溶液とすることが好ましい。鉄及びコバルトを共沈させる物質としては、例えば塩基性物質をあげることができる。塩基性物質としては、アンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。また、塩基性物質は塩基性溶液を用いることが取り扱いが容易であり好ましく、前述した塩基性物質の水溶液であることが好ましい。なお、鉄及びコバルトを含む溶液や塩基性物質中に、後述する沈殿物の生成に影響を与えない範囲内の有機溶媒又は不純物等を含むことは問題とはならない。
鉄及びコバルトを含む共沈物は、濾過又は遠心分離等の既知の方法によって液相から分離可能であり、液相から分離した共沈物を乾燥した後、既存の方法で粉砕可能である。
すなわち、請求項1の発明に係る触媒中のコバルトのモル数を、この触媒中の鉄のモル数よりも多くし、この触媒を気相成長法に用いると、製造される炭素材料の直径が細くなることを見出した。
また、発明者らは検討を重ねた結果、触媒中の鉄とコバルトの合計のモル数に対して、触媒中のコバルトのモル数がとる割合と、製造される炭素材料の直径との間に以下の関係が成立していることを見出している。
触媒中のコバルトのモル数が、この触媒中の鉄とコバルトの合計のモル数に対して60モル%未満である場合、製造される炭素材料の直径の平均値は100nmに接近した大きな値となり、特に50モル%未満であると、直径100nm超200nm未満の炭素材料が少量含まれる。
触媒中のコバルトが60〜90モル%である場合、製造される炭素材料の直径の平均値は100nmよりも小さな値となり、60モル%未満の場合及び90モル%よりも大きな場合に製造される炭素材料の直径の平均値よりも小さな値となっており、直径100nm超200nm未満の炭素材料が含まれる割合も小さくなっている。
さらに、触媒中のコバルトのモル%を70〜80モル%とすると、製造される炭素材料の直径の最大値が100nm以下となり、直径100nm超の炭素材料は含まれない。したがって、触媒中の鉄とコバルトの合計に対して、触媒中のコバルトをこの触媒中の鉄とコバルトの合計に対して70〜80モル%とすることがより好ましい。
なお、発明者らは、ガス中に水素が含有されていない場合、炭素材料が製造されないが、ガス中に少なくとも2体積%の水素が含有されていれば、炭素材料が製造されることを確認している。また、反応容器内において、一酸化炭素の流量が一定である場合、ガス中の水素の含有量を3体積%以上に増やしても、炭素材料の成長速度に変化が見られないことを確認している。
水素及び一酸化炭素以外のガス中の成分を、窒素等の不活性ガスとすることができる。また、ガス中に二酸化炭素が含有されていてもよいが、その場合、その含有量が一酸化炭素の濃度以下であることが好ましい。二酸化炭素は酸化性ガスであるので、ガス中に大量の二酸化炭素が含有されていると、二酸化炭素が炭素材料を酸化分解してしまうからである。また、ガス中に酸素が含有されていないことが好ましい。酸素も酸化性ガスであり、酸素が炭素材料を酸化分解してしまうからである。さらに、ガス中に炭素材料の成長を阻害する成分が混入することは好ましくない。炭素材料の成長を阻害する成分として、例えば、硫化水素を挙げることができる。
なお、転炉による製鋼過程から得られる転炉ガスは、例えば、水素を5体積%程度、一酸化炭素を50〜60体積%程度含有し、残りは主に窒素と二酸化炭素からなる。発明者らは、成分調整を行わずに、転炉から得られる転炉ガスをそのまま気相成長炭素材料製造方法に用いることができ、転炉ガスを用いて細径の炭素材料を製造できることを確認している。
請求項5の発明は、発明者らが水素及び一酸化炭素を含有するガスと触媒とが接触するときの前記ガスの温度を検討した結果なされた発明である。
まず、気相成長炭素材料製造用の触媒の製造について述べる。
塩化コバルトを水に溶解して、コバルトを含む水溶液S1を作るとともに、三塩化鉄を水に溶解して、鉄を含む水溶液S2を作り、水溶液S1と水溶液S2とを混合して混合水溶液S3を作る。混合する水溶液S1と水溶液S2の各量は、混合水溶液S3中で溶解しているコバルトのモル数が、溶解している鉄とコバルトの合計のモル数に対して70〜80モル%となる量である。
そして、塩基性水溶液S4を攪拌しつつ、塩基性水溶液S4に混合水溶液S3を滴下し、混合水溶液S5を作る。混合水溶液S5中で、鉄とコバルトが水酸基と反応して水酸化物となり沈殿物として共沈する。混合水溶液S5から共沈物を濾過して取り出す。
反応容器内において、ガス中の一酸化炭素から前記式(1)の反応により炭素が生成し、生成した炭素が触媒C中に一旦溶解し、グラフェンの層が触媒C表面に繰り返し析出し、繊維状の炭素材料が成長するものと考えられる。
触媒Cを用いることにより、直径の平均値が小さな炭素材料が製造できる理由は明らかではないが、以下の理由が考えられる。
これに対して、水酸化物又は酸化物の状態にある本発明の触媒Cは、結晶粒が微小であり、反応容器内で触媒Cの還元が進むと、鉄及びコバルトの微小な結晶粒が触媒C中に形成される。鉄及びコバルトの微小な結晶粒が形成されると、この微小な結晶粒の大きさに応じたグラフェンの層の析出が始まり、炭素材料の直径の最大値が200nm未満、直径の平均値が100nm以下となる。
次に、本発明に係る発明例1〜発明例13の触媒についてと、発明例1〜発明例13の触媒を用いて本発明に係る気相成長炭素材料製造方法により製造した発明例1〜発明例13の炭素材料について、以下の表1を参照しつつ順番に説明する。また、これらと比較するため、比較例1〜比較例3の触媒についてと、比較例1〜比較例3の触媒を用いて気相成長炭素材料製造方法により製造した比較例1〜比較例3の炭素材料について、表1を参照しつつあわせて説明する。
まず、発明例1の触媒について述べる。塩化鉄(FeCl3・6H2O)を水に溶解して、0.5Mの塩化鉄水溶液を作り、同様に、塩化コバルト(CoCl2・6H2O)を水に溶解して、0.5Mの塩化コバルト水溶液を作った。これらの塩化鉄水溶液25mlと塩化コバルト水溶液75mlとを混合し、この混合水溶液に、0.5Mの炭酸ナトリウム(Na2CO3)の塩基性水溶液200mlを40分かけて滴下した。そして、塩基性水溶液を滴下して生じた共沈物を遠心分離により集め、300mlの蒸留水で集めた共沈物を洗浄した。共沈物の遠心分離と蒸留水による洗浄を3回繰り返し行った後、共沈物を集め、120℃で共沈物を24時間乾燥した。乾燥後の共沈物は4.5gあり、乾燥後の共沈物を乳鉢と乳棒とを用いて粉砕し、発明例1の触媒を得た。発明例1の触媒中に含有されるコバルトは、この触媒中に含有される鉄とコバルトの合計に対して75モル%である。
発明例1の触媒を0.2g反応容器に仕込んだ。反応容器は、外径20mm、内径17mm、長さ500mmの縦置き石英管であり、反応容器のほぼ中央部に石英綿が詰められており、この石英綿上に触媒が仕込まれている。また、反応容器中央部の外側には温度調整が可能な電気ヒーターが取り付けられている。下方から反応容器内に成分を調整したガスを流した。ガスの流量は、標準状態に換算して150cm3/minであり、ガスの組成は水素が33体積%、一酸化炭素が67体積%である。反応容器内にガスを流しつつ反応容器内のガスの温度を室温から550℃まで昇温させ、ガスを流したまま反応容器内のガスを550℃の状態で3時間維持し、反応容器内で炭素材料を成長させた。その後、反応容器から成長した炭素材料を発明例1の炭素材料として取り出して回収した。回収された発明例1の炭素材料は、その先端に触媒の微粒子が付着した状態となっている。
その結果、発明例1の炭素材料において、直径の平均値は65nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は0%、直径200nm以上の炭素材料の割合も0%であった。
発明例2の触媒は、塩化鉄水溶液50mlと塩化コバルト水溶液50mlとを混合して混合水溶液を作った点を除いて、発明例1のものと同様にして得られたものである。発明例2の触媒中に含有されるコバルトは、この触媒中に含有される鉄とコバルトの合計に対して50モル%である。
発明例2の炭素材料の製造条件は、発明例2の触媒を用いる点を除いて、発明例1のものと同様である。
発明例2の炭素材料の回収量は、触媒が付着した状態で4.0gであった。発明例1の炭素材料同様に、発明例2の炭素材料を観察した結果、発明例2の炭素材料において、直径の平均値は71nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は0%、直径200nm以上の炭素材料の割合も0%であった。
発明例3の触媒は、塩化鉄水溶液10mlと塩化コバルト水溶液90mlとを混合して混合水溶液を作った点を除いて、発明例1のものと同様にして得られたものである。発明例3の触媒中に含有されるコバルトは、この触媒中に含有される鉄とコバルトの合計に対して90モル%である。
発明例3の炭素材料の製造条件は、発明例3の触媒を用いる点を除いて、発明例1のものと同様である。
発明例3の炭素材料の回収量は、触媒が付着した状態で3.4gであった。発明例1の炭素材料同様に、発明例3の炭素材料を観察した結果、発明例3の炭素材料において、直径の平均値は55nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は0%、直径200nm以上の炭素材料の割合は0%であった。
発明例4の触媒は、塩化鉄水溶液75mlと塩化コバルト水溶液25mlとを混合して混合水溶液を作った点を除いて、発明例1のものと同様にして得られたものである。発明例4の触媒中に含有されるコバルトは、この触媒中に含有される鉄とコバルトの合計に対して25モル%である。
発明例4の炭素材料の製造条件は、発明例4の触媒を用いる点を除いて、発明例1のものと同様である。
発明例4の炭素材料の回収量は、触媒が付着した状態で3.8gであった。発明例1の炭素材料同様に、発明例4の炭素材料を観察した結果、発明例4の炭素材料において、直径の平均値は85nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は3%、直径200nm以上の炭素材料の割合は0%であった。
発明例5の触媒は、発明例1のものと同じものである。
発明例5の炭素材料の製造条件は、反応容器内のガスの温度を400℃まで昇温させ、ガスを流したまま反応容器内のガスを400℃の状態に3時間維持する点を除いて、発明例1のものと同様である。
発明例5の炭素材料の回収量は、触媒が付着した状態で1.2gであった。発明例1の炭素材料同様に、発明例5の炭素材料を観察した結果、発明例5の炭素材料において、直径の平均値は77nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は2%、直径200nm以上の炭素材料の割合は0%であった。
発明例6の触媒は、発明例1のものと同じものである。
発明例6の炭素材料の製造条件は、反応容器内のガスの温度を700℃まで昇温させ、ガスを流したまま反応容器内のガスを700℃の状態に3時間維持する点を除いて、発明例1のものと同様である。
発明例6の炭素材料の回収量は、触媒が付着した状態で1.3gであった。発明例1の炭素材料同様に、発明例6の炭素材料を観察した結果、発明例6の炭素材料において、直径の平均値は60nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は0%、直径200nm以上の炭素材料の割合も0%であった。
発明例7の触媒は、発明例1のものと同じものである。
発明例7の炭素材料の製造条件は、反応容器内に流すガスとして以下の成分を含有する転炉ガスをそのまま用いた点を除いて、発明例1のものと同様である。転炉ガスは、水素を4.5体積%、一酸化炭素を52.7体積%、二酸化炭素を24.3体積%含有していおり、残部窒素である。
発明例7の炭素材料の回収量は、触媒が付着した状態で3.2gであった。発明例1の炭素材料同様に、発明例7の炭素材料を観察した結果、発明例7の炭素材料において、直径の平均値は68nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は0%、直径200nm以上の炭素材料の割合も0%であった。
発明例8の触媒は、塩化鉄水溶液50mlと塩化コバルト水溶液50mlとを混合して混合水溶液を作った点を除いて、発明例1のものと同様にして得られたものである。発明例8の触媒中に含有されるコバルトは、この触媒中に含有される鉄とコバルトの合計に対して50モル%である。
発明例8の炭素材料の製造条件は、発明例8の触媒を用いた点と、反応容器内に流すガスとして以下の成分を含有する転炉ガスを用いた点を除いて、発明例1のものと同様である。転炉ガスは、水素を4.5体積%、一酸化炭素を52.7体積%、二酸化炭素を24.3体積%含有しており、残部窒素である。
発明例8の炭素材料の回収量は、触媒が付着した状態で3.1gであった。発明例1の炭素材料同様に、発明例8の炭素材料を観察した結果、発明例8の炭素材料において、直径の平均値は70nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は0%、直径200nm以上の炭素材料の割合も0%であった。
発明例9の触媒は、塩化鉄の代わりに硝酸鉄(Fe(No3)3・9H2O)を用い、塩化コバルトの代わりに硝酸コバルト(Co(No3)2・6H2O)を用い、炭酸ナトリウムの代わりに炭酸カリウム(K2CO3)を用いた点を除いて、発明例1のものと同様にして得られたものである。発明例9の触媒中に含有されるコバルトは、この触媒中に含有される鉄とコバルトの合計に対して75モル%である。
発明例9の炭素材料の製造条件は、発明例9の触媒を用いた点を除いて、発明例1のものと同様である。
発明例9の炭素材料の回収量は、触媒が付着した状態で4.3gであった。発明例1の炭素材料同様に、発明例9の炭素材料を観察した結果、発明例9の炭素材料において、直径の平均値は63nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は0%、直径200nm以上の炭素材料の割合も0%であった。
発明例10の触媒は、発明例1のものと同じものである。
発明例10の炭素材料の製造条件は、反応容器内のガスの温度を450℃まで昇温させ、ガスを流したまま反応容器内のガスを450℃の状態に3時間維持する点を除いて、発明例1のものと同様である。
発明例10の炭素材料の回収量は、触媒が付着した状態で4.0gであった。発明例1の炭素材料同様に、発明例10の炭素材料を観察した結果、発明例10の炭素材料において、直径の平均値は70nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は0%、直径200nm以上の炭素材料の割合も0%であった。
発明例11の触媒は、発明例1のものと同じものである。
発明例11の炭素材料の製造条件は、反応容器内のガスの温度を650℃まで昇温させ、ガスを流したまま反応容器内のガスを650℃の状態に3時間維持する点を除いて、発明例1のものと同様である。
発明例11の炭素材料の回収量は、触媒が付着した状態で3.5gであった。発明例1の炭素材料同様に、発明例11の炭素材料を観察した結果、発明例11の炭素材料において、直径の平均値は62nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は0%、直径200nm以上の炭素材料の割合も0%であった。
発明例12の触媒は、塩化鉄水溶液5mlと塩化コバルト水溶液95mlとを混合して混合水溶液を作った点を除いて、発明例1のものと同様にして得られたものである。発明例12の触媒中に含有されるコバルトは、この触媒中に含有される鉄とコバルトの合計に対して95モル%である。
発明例12の炭素材料の製造条件は、発明例12の触媒を用いる点を除いて、発明例1のものと同様である。
発明例12の炭素材料の回収量は、触媒が付着した状態で3.1gであった。発明例1の炭素材料同様に、発明例12の炭素材料を観察した結果、発明例12の炭素材料において、直径の平均値は58nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は5%、直径200nm以上の炭素材料の割合は0%であった。
発明例13の触媒は、炭酸ナトリウムの代わりに水酸化カリウム(KOH)を用いた点を除いて、発明例1のものと同様にして得られたものである。発明例13の触媒中に含有されるコバルトは、この触媒中に含有される鉄とコバルトの合計に対して75モル%である。
発明例13の炭素材料の製造条件は、発明例13の触媒を用いた点を除いて、発明例1のものと同様である。
発明例13の炭素材料の回収量は、触媒が付着した状態で4.2gであった。発明例1の炭素材料同様に、発明例13の炭素材料を観察した結果、発明例13の炭素材料において、直径の平均値は67nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は0%、直径200nm以上の炭素材料の割合も0%であった。
比較例1の触媒は、塩化コバルトの代わりに酢酸ニッケル((CH3COO)2Ni・4H2O)を用いた点を除いて、発明例1のものと同様にして得られたものである。比較例1の触媒中に含有されるニッケルは、この触媒中に含有される鉄とニッケルの合計に対して75モル%である。
比較例1の炭素材料の製造条件は、比較例1の触媒を用いた点を除いて、発明例1のものと同様である。
比較例1の炭素材料の回収量は、触媒が付着した状態で3.7gであった。発明例1の炭素材料同様に、比較例1の炭素材料を観察した結果、比較例1の炭素材料において、直径の平均値は95nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は9%、直径200nm以上の炭素材料の割合は3%であった。
比較例2の触媒は、塩化コバルトの代わりに硝酸銅(Cu(NO3)2・3H2O)を用いた点を除いて、発明例1のものと同様にして得られたものである。比較例2の触媒中に含有される銅は、この触媒中に含有される鉄と銅の合計に対して75モル%である。
比較例2の炭素材料の製造条件は、比較例2の触媒を用いた点を除いて、発明例1のものと同様である。
比較例2の炭素材料の回収量は、触媒が付着した状態で3.1gであった。発明例1の炭素材料同様に、比較例2の炭素材料を観察した結果、比較例2の炭素材料において、直径の平均値は113nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は20%、直径200nm以上の炭素材料の割合は18%であった。
比較例3の触媒は、鉄とコバルトからなる合金板である。比較例3の触媒中に含有されるコバルトは、この触媒中に含有される鉄とコバルトの合計に対して50モル%である。
比較例3の炭素材料の製造条件は、比較例3の触媒を用いた点を除いて、発明例1のものと同様である。反応容器中に仕込まれた比較例3の触媒の大きさは、10mm×30mm×5mmである。
比較例3の炭素材料の回収量は、触媒となる鉄コバルト合金板の表面からステンレス製の箆を用いてはがして回収されたものであり、発明例1の炭素材料と同様にその先端に触媒の微粒子が付着している。反応容器から回収された比較例3の炭素材料は、触媒が付着した状態で0.3gであった。発明例1の炭素材料同様に、比較例3の炭素材料を観察した結果、比較例3の炭素材料において、直径の平均値は100nm、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合は12%、直径200nm以上の炭素材料の割合は6%であった。
触媒中に鉄及びコバルトを含有している発明例1〜発明例13において、回収された炭素材料の直径の平均値は85nm以下であり、直径100nm超且つ200nm未満の炭素材料の割合も5%以下に抑制され、直径200nm以上の炭素材料は含有されていない。
したがって、触媒中に鉄及びコバルトを含有させると、炭素材料の直径の平均値を小さくできるとともに、太径の炭素材料が含まれることを回避できることがわかる。
発明例1と発明例7の比較と同様に、発明例2と発明例8とを比較すると、やはり発明例1と発明例7の比較結果と同様のことがわかる。
Claims (5)
- 水素及び一酸化炭素を含有するガスと加熱状態で接触して炭素材料を成長させる触媒であって、鉄及びコバルトを含む共沈物を乾燥して得られることを特徴とする気相成長炭素材料製造用触媒。
- コバルトが鉄とコバルトの合計に対して60〜90モル%であることを特徴とする請求項1に記載の気相成長炭素材料製造用触媒。
- 水素及び一酸化炭素を含有するガスと、請求項1又は請求項2に記載の気相成長炭素材料製造用触媒とを、加熱状態で接触させることを特徴とする気相成長炭素材料製造方法。
- 前記ガスの少なくとも一部が、転炉による製鋼過程から得られるガスであることを特徴とする請求項3に記載の気相成長炭素材料製造方法。
- 請求項1又は請求項2に記載の気相成長炭素材料製造用触媒と水素及び一酸化炭素を含有する前記ガスとが接触するときの前記ガスの温度を450〜650℃とすることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の気相成長炭素材料製造方法。
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JP2005169282A (ja) | 2005-06-30 |
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