JP4381341B2 - ピストンの冷却装置 - Google Patents
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Description
図7〜図9において、1は該ディーゼルエンジンのピストン、1aはピストンリングが嵌着されるリング溝、2はピストン内部の前記リング溝1aの背部に環状に形成された冷却室、3は前記冷却室2に開口して該冷却室2に冷却液を導入する冷却液入口穴、4は前記冷却室2に開口して該冷却室2内の冷却液を排出するドレン穴である。
前記冷却液入口穴3は1個設けられ、図8のように、高温になる排気ポート20の下方部位に設けられている。21は吸気ポート、5はピストン1の背面、6はピストンピン穴、7はピストンピンボスである。
図5は該冷却液噴出ノズル10の詳細を示し、12はノズル本体、13は球状弁、17は弁座、14は調圧スプリングで、前記球状弁13は前記調圧スプリング14の取付荷重で設定された開弁圧で以って前記弁座17に押付けられている。16は冷却液入口通路で、エンジンの潤滑油通路から分岐された冷却液(潤滑油)が供給されている。
そして、この冷却液は、冷却液入口穴3から冷却室2に流入し、該冷却室2内を周方向に流動することによってピストン1を冷却し、ドレン穴4からピストン1の背面5に流出し、下方に落下せしめられる。
前記ピストンの冷却液入口穴を2個設けるとともに、前記冷却液噴出ノズルを前記冷却液入口穴に対応して2個設け、前記2個の冷却液噴出ノズルは、冷却液の噴出始め圧力を調整する開弁圧調整機構をそれぞれそなえ、該2個の開弁圧調整機構の開弁圧を低開弁圧と高開弁圧との異なる開弁圧に設定し、更に2個の吸気ポートと2個の排気ポートとをそなえたエンジンに装備されて、前記2個の冷却液入口穴を、前記排気ポート下方部位及び吸気ポート下方部位にそれぞれ設けたことを特徴とする。
前記ピストンの冷却液入口穴を2個設けるとともに、前記冷却液噴出ノズルを前記冷却液入口穴に対応して2個設け、前記2個の冷却液噴出ノズルは、冷却液の噴出始め圧力を調整する開弁圧調整機構をそれぞれそなえ、該2個の開弁圧調整機構の開弁圧を低開弁圧と高開弁圧との異なる開弁圧に設定し、更に2個の吸気ポートと2個の排気ポートとをそなえたエンジンに装備されて、前記2個の冷却液入口穴を、前記2個の排気ポート下方部位にそれぞれ設ける。
このように構成すれば、通常、ピストンの排気ポート下方部位1箇所のみから冷却液を冷却室に供給していたのを、2個の排気ポート下方部位のそれぞれから冷却液を冷却室に供給するように構成したので、高温になる排気ポート下方部位近傍の冷却効果を向上できて、高熱負荷時におけるピストンの過熱を防止可能となり、エンジンの高出力化に対応できるピストンが得られる。
前記ピストンの冷却液入口穴を2個設けるとともに、前記冷却液噴出ノズルを前記冷却液入口穴に対応して2個設け、前記2個の冷却液噴出ノズルは、冷却液の噴出始め圧力を調整する開弁圧調整機構をそれぞれそなえ、該2個の開弁圧調整機構の開弁圧を低開弁圧と高開弁圧との異なる開弁圧に設定し、更に前記2個の冷却液入口穴は、異なる内径で構成される。
このように構成すれば、ピストンの周方向温度分布によって、前記2個の冷却液入口穴の配置を設定するとともに、該2個の冷却液入口穴の内径を設定することによって、ピストンの周方向温度分布を均一にでき、これによってピストンの周方向温度差による熱応力を低減できる。
このように構成すれば、2個の冷却液入口穴とドレン穴とを、冷却室の周方向において離れた位置に配置されるので、冷却液入口穴から冷却室内に導入された冷却液が直ぐにドレン穴に抜け出すのを回避できて、冷却室の周方向に沿って十分な量の冷却液を流動させることができる。
かかる発明によれば、冷却液噴出ノズルの開弁圧を低開弁圧(Ps0)と高開弁圧(Ps1)とに設定することにより、少ない冷却液量でも十分なエンジンの低回転域では、低開弁圧(Ps0)側の冷却液噴出ノズルのみから冷却液がピストンに供給されてピストンを十分に冷却できるとともに、高開弁圧(Ps1)側の冷却液噴出ノズルが閉じているので、この高開弁圧(Ps1)側の冷却液噴出ノズル10の入口側に連通されているエンジン側の潤滑油圧力の低下が回避され、エンジンの低回転域でも、十分な量の潤滑油をエンジン潤滑部に供給できる。
これにより、冷却液噴出ノズル10の開弁圧を低開弁圧(Ps0)と高開弁圧(Ps1)との2段階の開弁圧に設定することによって、エンジンの低回転域において、ピストン1に所要の冷却液量の供給を保持しつつエンジン側の潤滑油圧力の低下を回避することが可能となって、エンジンの低回転域におけるエンジン潤滑部の潤滑油量不足の発生を防止できる。
このように構成すれば、2個の冷却液噴出ノズルの開弁圧を調圧スプリングの取付荷重を変えるのみで異なる開弁圧に設定できることとなり、調圧スプリングを変えるのみで同一の冷却液噴出ノズルを用いることができる。
これにより、冷却液噴出ノズルの開弁圧を低開弁圧と高開弁圧との2段階の開弁圧に設定することによって、エンジンの低回転域において、ピストンに所要の冷却液量の供給を保持しつつエンジン側の潤滑油圧力の低下を回避することができて、エンジンの低回転域におけるエンジン潤滑部の潤滑油量不足の発生を防止できる。
かかるディーゼルエンジンは、図2のように、2個の吸気ポート21,21と2個の排気ポート20,20とをそなえている。
3は前記冷却室2に開口して該冷却室2に冷却液を導入する冷却液入口穴、4は前記冷却室2に開口して該冷却室2内の冷却液を排出するドレン穴である。
また、5はピストン1の背面、6はピストンピン穴、7はピストンピンボスである。
このように構成すれば、通常、ピストン1の排気ポート20下方部位1箇所のみから冷却液を冷却室2に供給していたのを、該排気ポート20下方部位に加えて吸気ポート21下方部位からも冷却液を冷却室2に供給するように構成したので、排気ポート20下方部位への冷却液量と吸気ポート21下方部位への冷却液量とを最適量に調整することによって、ピストン1全体の冷却効果を向上できる。
尚、該ドレン穴4は、前記冷却室2の周方向において、前記冷却液入口穴3から離れた位置であれば、3個以上設けてもよい。
このように構成すれば、通常、ピストン1の排気ポート20下方部位1箇所のみから冷却液を冷却室に供給していたのを、2個の排気ポート20下方部位のそれぞれから冷却液を冷却室2に供給するように構成したことにより、高温になる排気ポート20下方部位近傍の冷却効果を向上できて、高熱負荷時におけるピストンの過熱を防止できる。
尚、この第2例においても、前記ドレン穴4は、前記冷却室2の周方向において、前記排気ポート20,20の下方部位にそれぞれ設けられた冷却液入口穴3から離れた位置であれば、3個以上設けてもよい。
前記冷却液噴出ノズル10の詳細を示す図5において、12はノズル本体、13は球状弁、17は弁座、14は調圧スプリングで、前記球状弁13は前記調圧スプリング14の取付荷重で設定された開弁圧で以って前記弁座17に押付けられている。
16は冷却液入口通路で、エンジンの潤滑油通路から分岐された冷却液(潤滑油)が供給されている。
そして、この冷却液は、それぞれの各冷却液入口穴3から冷却室2に流入し、該冷却室2内を周方向に流動することによってピストン1を冷却し、2個のドレン穴4,4からピストン1の背面5に流出し、下方に落下せしめられる。
このように構成すれば、ピストン1の周方向温度分布によって、前記2個の冷却液入口穴3の配置を設定するとともに、該2個の冷却液入口穴3の内径を設定することによって、ピストン1の周方向温度分布を均一にでき、これによってピストン1の周方向温度差による熱応力を低減できる。
図6は、エンジンの回転数と潤滑油圧力の関係を示す。図6の(A)は、図7に示される従来技術の場合で、前述のように、開弁圧Ps0が潤滑油圧力P1よりも低いため、エンジンの低回転域では回転の立ち上がり時に、潤滑油が、球状弁13が開いている冷却液噴出ノズル10側に流れて、ピストン1の冷却液として抜け出すため、潤滑油圧力P1が上昇し難くなって、潤滑油不足を生じ易い。
これにより、冷却液噴出ノズル10の開弁圧を低開弁圧Ps0と高開弁圧Ps1との2段階の開弁圧に設定することによって、エンジンの低回転域において、ピストン1に所要の冷却液量の供給を保持しつつ、エンジン側の潤滑油圧力潤滑油圧力の低下を回避することができて、エンジンの低回転域におけるエンジン潤滑部の潤滑油量不足の発生を防止できる。
1a リング溝
2 冷却室
3 冷却液入口穴
4 ドレン穴
10 冷却液噴出ノズル
11 噴出孔
13 球状弁
14 調圧スプリング
16 冷却液入口通路
20 排気ポート
21 吸気ポート
Claims (5)
- リング溝の背部に形成された環状の冷却室及び該冷却室に冷却液を導入する冷却液入口穴を有するピストンと、該冷却液入口穴に向けて冷却液を噴出する冷却液噴出ノズルとをそなえたピストンの冷却装置において、
前記ピストンの冷却液入口穴を2個設けるとともに、前記冷却液噴出ノズルを前記冷却液入口穴に対応して2個設け、前記2個の冷却液噴出ノズルは、冷却液の噴出始め圧力を調整する開弁圧調整機構をそれぞれそなえ、該2個の開弁圧調整機構の開弁圧を低開弁圧と高開弁圧との異なる開弁圧に設定し、更に2個の吸気ポートと2個の排気ポートとをそなえたエンジンに装備されて、前記2個の冷却液入口穴を、前記排気ポート下方部位及び吸気ポート下方部位にそれぞれ設けたことを特徴とするピストンの冷却装置。 - リング溝の背部に形成された環状の冷却室及び該冷却室に冷却液を導入する冷却液入口穴を有するピストンと、該冷却液入口穴に向けて冷却液を噴出する冷却液噴出ノズルとをそなえたピストンの冷却装置において、
前記ピストンの冷却液入口穴を2個設けるとともに、前記冷却液噴出ノズルを前記冷却液入口穴に対応して2個設け、前記2個の冷却液噴出ノズルは、冷却液の噴出始め圧力を調整する開弁圧調整機構をそれぞれそなえ、該2個の開弁圧調整機構の開弁圧を低開弁圧と高開弁圧との異なる開弁圧に設定し、更に2個の吸気ポートと2個の排気ポートとをそなえたエンジンに装備されて、前記2個の冷却液入口穴を、前記2個の排気ポート下方部位にそれぞれ設けたことを特徴とするピストンの冷却装置。 - リング溝の背部に形成された環状の冷却室及び該冷却室に冷却液を導入する冷却液入口穴を有するピストンと、該冷却液入口穴に向けて冷却液を噴出する冷却液噴出ノズルとをそなえたピストンの冷却装置において、
前記ピストンの冷却液入口穴を2個設けるとともに、前記冷却液噴出ノズルを前記冷却液入口穴に対応して2個設け、前記2個の冷却液噴出ノズルは、冷却液の噴出始め圧力を調整する開弁圧調整機構をそれぞれそなえ、該2個の開弁圧調整機構の開弁圧を低開弁圧と高開弁圧との異なる開弁圧に設定し、更に前記2個の冷却液入口穴は、異なる内径で構成されたことを特徴とするピストンの冷却装置。 - 前記冷却室内の冷却液をピストンの下部空間に排出するドレン穴を、前記冷却室の周方向において前記2個の冷却液入口穴の間の位置、またはピストン中心に対して前記2個の冷却液入口穴と反対側の位置のいずれか一方に2個以上設けたことを特徴とする請求項1記載のピストンの冷却装置。
- 前記開弁圧調整機構は、冷却液の圧力が調圧スプリングの設定圧を超えたとき球状弁が
開弁するように構成されており、前記2個の冷却液噴出ノズルは前記調圧スプリングのみ異なる部材で構成されたことを特徴とする請求項1記載のピストンの冷却装置。
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