JP4380559B2 - 記録材冷却装置および画像形成装置 - Google Patents
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かかる定着装置は、例えば、円筒状の芯金の内部に加熱源が配設された定着ロールと、この定着ロールに対して圧接配置された加圧ロールとで構成される。そして、定着ロールと加圧ロールとの間に、未定着トナー像を担持した用紙を通過させ、未定着トナー像に対して加熱と加圧とを行うことによって、用紙にトナー像を定着している。そして、このような定着装置により定着処理が行われた後の用紙は、回転するロール対が用紙の幅方向に複数配置された搬送部材によって挟持されながら、用紙載置トレイに向けて搬送される。
また、ヒートパイプを用いる構成において特許文献1に記載された技術と同様であるが、ヒートパイプに対して2本のロールに張架された搬送ベルトを圧接配置し、ヒートパイプと搬送ベルトとのニップ部を広く形成した記録材冷却装置に関する技術も存在する(例えば、特許文献2参照)。
またその一方で、特許文献2に記載されたようなロールに対して2本のロールに張架された搬送ベルトを用いる構成では、容易にニップ部を広く形成することは可能となるが、搬送ベルトに片寄りが生じ易い。そのため、搬送ベルトの片寄りを制御する機構が必要となり、装置の複雑化・大型化が不可避であり、さらには装置を安価に製造できないという新たな課題が生じることとなる。
また、他の目的は、画像形成装置の高速化に対応して、定着画像を汚損することなく、定着後の記録材を効率良く冷却することにある。
ここで、記録材冷却手段は、ベルト部材の両端部を支持する支持部材をさらに備えたことを特徴とすることができる。また、記録材冷却手段は、ロール部材がヒートパイプで構成されたことを特徴とすることもできる。
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、矢印A方向に回転するトナー像担持体の一例としての感光体ドラム10の周囲に、感光体ドラム10を帯電する帯電器11、感光体ドラム10上に静電潜像を書込むレーザ露光器12(図中、露光ビームを符号Bmで示す)、トナーが収容されて感光体ドラム10上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器13、転写部15における静電転写に先立ち感光体ドラム10上のトナー像を帯電する転写前帯電器14、感光体ドラム10上に形成されたトナー像を転写部15において記録材である記録紙(用紙)Pに転写する転写ユニット20、転写部15の下流側において感光体ドラム10に近接して配置された画像濃度の調整を行うための画像濃度センサ18、静電転写後の残留トナーの帯電量を低減するクリーニング前帯電器16、感光体ドラム10上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17等の電子写真用デバイスが配設されている。さらには、用紙Pに転写された未定着トナー像を定着する定着器60、定着器60から排出された用紙Pを冷却する記録材冷却装置の一例としての用紙冷却器70、各装置(各部)の動作を制御する制御部30を備えている。
また、本実施の形態の画像形成装置は、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ50、この用紙トレイ50に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51、ピックアップロール51により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール52、搬送された用紙Pを所定のタイミングで転写部15に送り込むレジストロール54、搬送ロール52により搬送された用紙Pをレジストロール54に導く搬送シュート53、レジストロール54から送り出された用紙Pを転写部15に導くインレットシュート55、転写ユニット20によりトナー像が転写されて搬送されてくる用紙Pを定着器60へ導く定着入口ガイド56、定着器60から排出された用紙Pを排紙載置部(不図示)に搬送する排紙ロール57を備えている。
形成された静電潜像は、現像器13によってトナー像が現像される。すなわち、例えばトナーとキャリアからなる現像剤を担持した現像剤担持体(現像スリーブ)13aに、図示しない電源から直流電圧からなる現像バイアス、または交流電圧に直流電圧が重畳された現像バイアスが印加されて、感光体ドラム10との間に現像電界が形成される。それによって、現像スリーブ13a上のトナーが静電潜像の画像部に転移し、静電潜像が可視像化される。
転写搬送ベルト21の定着器60側の後端部では、転写搬送ベルト21が駆動ロール22に巻き付く際の曲率、および用紙Pのコシによって、用紙Pは転写搬送ベルト21から剥離される。そして、用紙Pは、定着入口ガイド56に導かれて定着器60に搬送される。
定着器60に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着器60において熱および圧力による定着処理を受けることによって用紙P上に定着される。定着画像が形成された用紙Pは、用紙冷却器70を通過することによって冷却される。そして、用紙冷却器70を通過した用紙Pは、排紙ロール57によって画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部(不図示)に搬送され、一連の画像形成動作が完了する。
図2は、用紙冷却器70の構成を説明する側断面図である。図2に示すように、用紙冷却器70は、ロール部材の一例としての吸熱ロール71、ベルト部材の一例としてのエンドレスベルト72、およびエンドレスベルト72を介して吸熱ロール71から押圧される圧力部材の一例としての圧力パッド74により主要部が構成されている。
エンドレスベルト72は、継ぎ目がない無端状のベルトであり、エンドレスベルト72の内部に配置された圧力パッド74と、上流側ベルトガイド部材73aおよび下流側ベルトガイド部材73b、さらにはエンドレスベルト72の両端部に配置されたベルト規制部材の一例としてのエッジガイド部材80(後段の図3参照)によって回動自在に支持されている。そして、ニップ部Nにおいて吸熱ロール71に対して圧接されるように配置され、吸熱ロール71に従動して吸熱ロール71の表面速度と同一の移動速度(104mm/sec)で回動する。
図3に示したように、エンドレスベルト72の幅方向両端部は、エンドレスベルト72の内部に配置されたホルダ75の両端部に固設されたエッジガイド部材(支持部材)80によって支持されている。エッジガイド部材80は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部801、このベルト走行ガイド部801の外側に設けられ、エンドレスベルト72の外径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802、さらにエッジガイド部材80の外側面に設けられ、エッジガイド部材80を用紙冷却器70本体に位置決めして固定するための保持部803で構成されている。
そして、エンドレスベルト72は、エンドレスベルト72の幅方向両端部において、両端部の内周面がエッジガイド部材80に支持されながら、吸熱ロール71に従動して回動する。また、エンドレスベルト72は、エンドレスベルト72の外径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802によって、エンドレスベルト72の周長全域に亘ってエンドレスベルト72の幅方向への移動(ベルトウォーク)が規制されるので、エンドレスベルト72の片寄りが安定的に抑えられる。
ここで、上流側ベルトガイド部材73aおよび下流側ベルトガイド部材73bは、エンドレスベルト72の内部に配置されたホルダ75に、長手方向に沿って取り付けられている。そして、エンドレスベルト72から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質で形成されている。具体的にはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やポリフェニレンサルファイド(PPS)等の耐熱性樹脂が用いられる。
また、圧力パッド74には、上述したようにエンドレスベルト72の内周面と圧力パッド74との摺動抵抗を小さくするために、エンドレスベルト72と接する面に低摩擦部材の一例としての低摩擦シート78が設けられている。
低摩擦シート78は、ニップ部Nの上流側端部がシート固定部材76によってホルダ75の底面に固定されている。そして、低摩擦シート78は、圧力パッド74、上流側ベルトガイド部材73aおよび下流側ベルトガイド部材73bを覆うように構成されているので、ニップ部Nの全域においては、圧力パッド74とエンドレスベルト72内周面との間に挟持された状態で配設されている。なお、低摩擦シート78の後端側は、低摩擦シート78に歪みが生じないように、固定されず自由端(フリー)の状態に設定されている。そして、低摩擦シート78は、ニップ部Nにおいて圧力パッド74と吸熱ロール71との間に押圧力が印加されている状態の下で、エンドレスベルト72内周面と圧力パッド74との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減している。
まず、吸熱ロール71では、金属製のコアの外表面に離型層が被覆されて構成された円筒状ロールであって、コアは、ステンレス、鉄、アルミニウム、ニッケル、銅、亜鉛、またはこれらを含む合金等の熱伝導率の高い金属、さらにはヒートパイプで形成された円筒体または円柱体である。
離型層には、例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂等のトナーに対する離型性や耐摩耗性に優れた樹脂が用いられる。特に吸熱ロール71は高温になることから、耐熱性を備えているという観点も考慮する必要があり、フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等、シリコーン樹脂としては、熱可塑性のシリコーンゴム等が適している。また、離型層は、スプレー等によるコーティング、チューブ状の樹脂を被膜すること等によって被覆することができる。
なお、本実施の形態の用紙冷却器70では、吸熱ロール71は、ステンレスからなるコアに、厚さ30μmのPFAチューブを被覆することによって形成した外径26mm、長さ360mmの円筒状ロールで構成されている。
なお、弾性層の外周面にPFA、PTFE、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂からなる離型層を形成すれば、トナーのエンドレスベルト72への付着を効果的に抑えることができるので、好ましい。
本実施の形態の用紙冷却器70では、エンドレスベルト72は、周長30mm、厚さ70μm、幅340mmの熱硬化性ポリイミドからなるベース層に、厚さ100μmのシリコーンゴムからなる弾性層と、厚さ30μmのPFAからなる離型層とを積層して構成されている。
そして、本実施の形態の用紙冷却器70では、エンドレスベルト72は、この圧力パッド74により吸熱ロール71に約40°の巻き付き角度でラッピングされ、約15mm幅のニップ部Nを形成している。
なお、低摩擦シート78は、表面に孔部がなく潤滑剤に対する浸潤性、透過性のない材質で形成されることが望ましい。低摩擦シート78を表面に孔部がなく潤滑剤に対する浸潤性、透過性のない材質で形成することで、潤滑剤が低摩擦シート78に滲みこむことを抑制できるので、摺動部において潤滑剤が失われず、潤滑剤の安定的な維持を可能とする。また、潤滑剤が圧力パッド74に浸み込んで膨潤し、ニップ圧が低下することを防ぐこともできる。
ここで、低摩擦シート78は、少なくとも圧力パッド74のエンドレスベルト72内周面側に配置される構成であれば、低摩擦シート78を圧力パッド74と別体に構成して圧力パッド74等の部材全体を覆うように設定する構成のほか、圧力パッド74の表面に低摩擦シート78を一体的に被覆した構成とすることもできる。
また、本実施の形態の用紙冷却器70では、周長が比較的短く形成されたエンドレスベルト72を用い、これを圧力パッド74、さらには上流側ベルトガイド部材73aおよび下流側ベルトガイド部材73bによってフリーに支持するとともに、両端部をエンドレスベルト72の外径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802によって、エンドレスベルト72の周長全域に亘ってエンドレスベルト72の幅方向への移動(ベルトウォーク)が規制されるように構成されている。そのため、複雑なベルトウォーク制御機構を用いることなく、簡易な構成によってエンドレスベルト72の片寄りを安定的に抑えることが可能である。
そして、用紙Pとして坪量127g/m2の片面コート紙を用い、定着器60により定着処理した後、用紙冷却器70を通過する前後で用紙Pの表面温度を測定した。その結果、用紙冷却器70を通過することにより、15℃程度の温度低下効果を得ることができた。
また、同様の構成の用紙冷却器70を用いて、画像形成装置に用紙Pを1000枚通紙する実験を行なったところ、定着画像に排紙ロール57によるロール痕等の画像不良や、エンドレスベルト72のベルトウォークによる端部破損の発生は認められなかった。
このように、本実施の形態の用紙冷却器70による用紙Pに対する冷却効果は高く、また、ベルトウォークも充分に抑えることが可能であることが確認できた。
また、本実施の形態の用紙冷却器70では、周長が比較的短く形成されたエンドレスベルト72を用い、これを圧力パッド74、さらには上流側ベルトガイド部材73aおよび下流側ベルトガイド部材73bによってフリーに支持するとともに、両端部をエンドレスベルト72の外径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802によって、エンドレスベルト72の周長全域に亘ってエンドレスベルト72の幅方向への移動(ベルトウォーク)が規制されるように構成している。そのため、複雑なベルトウォーク制御機構を用いることなく、簡易な構成によってエンドレスベルト72の片寄りを安定的に抑えることが可能である。それによって、エンドレスベルト72のベルトウォークによる端部破損の発生が抑制され、定着画像に紙しわや汚損が生じることを抑えることが可能となる。また、装置全体を安価に製造することができるという効果も有している。
Claims (8)
- 記録材の温度を低下させる記録材冷却装置であって、
高熱伝導性を有する回転可能なロール部材と、
前記ロール部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、
前記ベルト部材の内側に配置され、当該ベルト部材を前記ロール部材に圧接させて当該ロール部材と当該ベルト部材との間に冷却すべき記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材と
を備えたことを特徴とする記録材冷却装置。 - 前記圧力部材は、前記ロール部材の回転方向に所定の幅を有するとともに、当該ロール部材側の面が当該ロール部材の表面形状に倣って形成された弾性体であることを特徴とする請求項1記載の記録材冷却装置。
- 前記ベルト部材は、基材と当該基材の前記ロール部材側の面に弾性層が形成されたことを特徴とする請求項1記載の記録材冷却装置。
- 前記ベルト部材の両端部を支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記ベルト部材の外径よりも大きな外径のフランジ部を有し、当該ベルト部材の幅方向への移動を規制することを特徴とする請求項1記載の記録材冷却装置。 - 前記ロール部材は、少なくとも一方の端部にフィンが配設されたことを特徴とする請求項1記載の記録材冷却装置。
- トナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段と、
前記定着手段の記録材搬送方向下流側に配設され、当該定着手段から排出された記録材の温度を低下させる記録材冷却手段とを含み、
前記記録材冷却手段は、
高熱伝導性を有する回転可能なロール部材と、
前記ロール部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、
前記ベルト部材の内側に配置され、当該ベルト部材を前記ロール部材に圧接させて当該ロール部材と当該ベルト部材との間に冷却すべき記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記記録材冷却手段は、前記ベルト部材の両端部を支持する支持部材をさらに備えたことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
- 前記記録材冷却手段は、前記ロール部材がヒートパイプで構成されたことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
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