JP2005321462A - 定着装置、低摩擦シートおよび画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 定着ロール61と、定着ロール61に接触しながら移動可能なエンドレスベルト62と、エンドレスベルト62の内側に配置されてニップ部Nを形成する圧力パッド64と、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間に設けられる低摩擦シート68とを備え、低摩擦シート68は、フッ素樹脂繊維からなる基材681と、基材681の少なくともエンドレスベルト62側に積層されたフッ素樹脂層682とで構成されるとともに、200℃雰囲気における1cm幅当たりの引張荷重0.75Nに対する伸び率が5.0%以下で構成している。
【選択図】 図2
Description
しかし、荷重を大きくする方法や、弾性体層の厚さを厚くする方法では、ロールの撓みに起因するニップ幅の形状がロール軸に沿って不均一になることから、定着むらや紙しわが生じる等といった画像品質上の問題が発生する。また、ロール径を大きくする方法では、装置の大型化を招くとともに、ロールを室温から定着可能温度に上昇させるまでの時間(ウォームアップタイム)が長くなるという問題がある。
また、長期に亘る使用に際して、摺擦部材に変形が生じる場合がある。その場合には、ニップ圧が不均一となって、定着画像に定着むらが生じる場合があった。また、摺擦部材の変形は、摺擦部材とエンドレスベルトとの摺動抵抗を増大させ、紙しわや画像ずれ等の画像不良を生じさせる要因ともなる。
また、ベルト部材は、内周面に凹凸が形成された構成とすることもできる。さらに、回動部材を加熱する加熱部材、またはベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とすることもできる。
ここで、基材は、フッ素樹脂繊維を編み込んで形成されたことを特徴とすることができる。また、基材は、PTFE繊維で形成された構成とすることもできる。さらに、かかる低摩擦シートは、基材にフッ素樹脂を含浸させた後に焼成して形成されたことを特徴とすることもできる。さらには、基材の一方の面に耐熱性樹脂または金属からなる補強層がさらに積層されたことを特徴とすることもできる。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
定着ロール61の内部には、発熱源としての定格600Wのハロゲンヒータ66が配設されている。一方、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、175℃)を維持するように調整している。
ここで、図3はエンドレスベルト62が支持される構成を説明する構成図であり、用紙Pの搬送方向下流側から見た定着装置60の一方の端部領域を示している。
図3に示したように、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65の両端部にエッジガイド部材80が固設されている。エッジガイド部材80は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部801、このベルト走行ガイド部801の外側に設けられ、エンドレスベルト62の外径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802、さらにフランジ部802の外側に設けられ、エッジガイド部材80を定着装置60本体に位置決めして固定するための保持部803で構成されている。
また、フランジ部802は、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両フランジ部802の内側面が、エンドレスベルト62の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、エンドレスベルト62が回動する際には、エンドレスベルト62の端部がフランジ部802の内側面に当接することによって、エンドレスベルト62の幅方向への移動(ベルトウォーク)が制限されている。このように、エンドレスベルト62は、エッジガイド部材80によって片寄りが規制されるように支持されている。
ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65に取り付けられ、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように、摩擦係数の小さな材質で形成されている。また、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成するのが好ましい。
なお、かかる圧力パッド64と低摩擦シート68とは、金属製のホルダ65に支持されている。
耐熱性弾性体層612は、耐熱性の高い弾性体で構成され、特に、ゴム硬度が15〜45°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましい。具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。本実施の形態の定着装置60では、ゴム硬度が35°(JIS−A)のシリコーンHTVゴムを600μmの厚さでコア611に被覆している。
本実施の形態の定着装置60では、周長94mm、厚さ75μm、幅320mmの熱硬化性ポリイミドからなるベース層に、厚さ30μmのPFAからなる離型層を積層した構成のエンドレスベルト62を用いている。
剥離ニップ部材64bは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。剥離ニップ部材64bの形状としては、ニップ部Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸状曲面に形成されている。
そして、本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62は、圧力パッド64により定着ロール61に約40°の巻き付き角度でラップされ、約10mm幅のニップ部Nを形成している。
低摩擦シート68は、圧力パッド64とエンドレスベルト62内周面との間に設けられている。そして、ニップ部Nにおいて圧力パッド64と定着ロール61との間に押圧力が印加されている状態の下で、低摩擦シート68は、エンドレスベルト62内周面と摺擦する際に、エンドレスベルト62内周面と圧力パッド64との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減する機能を有している。そのため、低摩擦シート68には、摩擦係数が小さく、耐摩耗性・耐熱性に優れた特性が要求される。
そこで、本実施の形態の低摩擦シート68は、図4(低摩擦シート68の断面構成図)に示したように、PTFE繊維等のフッ素樹脂繊維が平織り、綾織り等によって編み込まれて形成された基材681と、少なくともエンドレスベルト62内周面側の面において基材681のフッ素樹脂繊維を覆うように被覆したPTFE等からなるフッ素樹脂層682とで構成されている。その際、基材681のフッ素樹脂繊維を覆うフッ素樹脂層682は、フッ素樹脂繊維の凹凸が表面に現れるような膜厚で形成されている。このようなフッ素樹脂層682は、基材681のフッ素樹脂繊維に対して、フッ素樹脂水分散液を含浸塗布させ、これを焼成することにより形成される。したがって、低摩擦シート68のエンドレスベルト62内周面側には、フッ素樹脂繊維による凹凸が形成されている。
さらには、低摩擦シート68は、エンドレスベルト62の回動によるエンドレスベルト62内周面からの摩擦抵抗に抗して、低摩擦シート68としての形状を維持する程度の剛性を確保する観点から、200℃雰囲気下における1cm幅当たりの引張荷重0.75Nに対する伸び率は5.0%以下であるように構成されている。
上述したように、トナー像が静電転写された用紙Pが定着装置60のニップ部Nを通過することによってトナー像が用紙Pに定着されるが、用紙Pがニップ部Nを通過する際の搬送力は、駆動側の定着ロール61から受けている。すなわち、用紙Pは、定着ロール61の回転に伴い、定着ロール61から摩擦力を受けることによって搬送されている。
一方、ニップ部Nに用紙Pが搬送されていない状態では、従動側のエンドレスベルト62も定着ロール61から摩擦力を受けることによって回動しているが、ニップ部Nに用紙Pが搬送され、用紙Pがニップ部Nに挟持されている状態では、エンドレスベルト62は用紙Pを介して定着ロール61から搬送力を受けている。したがって、用紙P側から捉えると、用紙Pがニップ部Nを通過する際には、用紙Pには、定着ロール61からの搬送力が働くと同時に、エンドレスベルト62側から搬送方向とは逆方向の力(逆搬送力)が作用することとなる。
特に、定着ロール61の外径が中央部から両端部にかけて大きく形成された所謂フレア形状で構成されたり、剥離ニップ部材64bと定着ロール61との間の押圧力が中央部から両端部にかけて大きくなるように設定されることによって、ニップ部Nにおいては、常に用紙Pに対し中央部から両端部に向かって幅方向に力が作用するようにして、用紙Pに紙しわが生じるのを抑制している。ところが、エンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動抵抗が増加して、用紙Pが定着ロール61の搬送に追随できなくなってスリップが生じると、このような用紙Pの幅方向に作用する力のバランスが崩れることとなり、用紙Pに紙しわや画像ずれを生じさせる結果を招いてしまう。
また、低摩擦シート68の凹部に潤滑剤を保持しておくことができるので、この凹部から低摩擦シート68とエンドレスベルト62内周面との接触部(凸部)に潤滑剤を供給でき、接触部では常に潤滑剤が介在した接触状態を維持することができる。
このようにして、低摩擦シート68とエンドレスベルト62との間の摺動抵抗を低いレベルに維持することができるので、エンドレスベルト62の円滑な回動が可能となり、用紙Pを定着ロール61と等速に安定して搬送することができ、画像ずれや紙しわの発生を抑えられることが可能となる。
さらに、低摩擦シート68の摩耗も抑制することができるとともに、例え低摩擦シート68の摺擦面に摩耗が生じても、露出する基材681はフッ素樹脂繊維で構成されているので、摩擦係数を低く維持することが可能である。
したがって、エンドレスベルト62とベルトガイド部材63等との摺動により生じた摩耗粉等がエンドレスベルト62と圧力パッド64との間の摺動部に入り込んでも摩耗粉等は滞留しないので、異物の混入による潤滑剤のゲル化に起因する粘度上昇を抑制して摺動抵抗の増加を抑える効果も有している。さらには、潤滑剤がニップ部Nにおいて熱を受ける時間も少なくなるので、潤滑剤の熱劣化も抑えることができる。
なお、低摩擦シート68は、圧力パッド64のエンドレスベルト62内周面側に配置される構成であれば、低摩擦シート68を圧力パッド64と別体に構成しても、圧力パッド64と一体的に構成しても、いずれでもよい。
ここで、低摩擦シート68の引張特性は、熱機械分析装置TMA−50((株)島津製作所製)を用い、低摩擦シート68の摺動方向に長さ10mm、幅5mmの長方形状に切り出したサンプルに対し、雰囲気温度200℃の下、0.5Nまで荷重を加えていく過程における0.375N時点での伸び量を求めることによって測定した。そして、この伸び量をもって1cm幅当たりに換算して、上記引張荷重0.75Nに対する伸び率とした。
なお、200℃雰囲気で規定したのは、ニップ部Nにおいては、定着ロール61により低摩擦シート68の温度が200℃近くまで上昇するので、低摩擦シート68が使用される温度状態として想定したものである。また、1cm幅当たりの引張荷重を0.75Nとしたのは、低摩擦シート68とエンドレスベルト62との摺動により、低摩擦シート68がエンドレスベルト62から受ける引張力として一般的に想定できる値だからである。
また、基材681と、基材681を補強する補強層とを組み合わせて、低摩擦シート68に上記伸び率が5.0%以下となるような剛性とすることもできる。例えば、基材681だけでは上記伸び率が5.0%より大きくなる構成でも、低摩擦シート68の圧力パッド64側の面に、補強層としてフィルム状の耐熱性樹脂や金属を積層させて接着することで、上記伸び率が5.0%以下となるような剛性を実現することもできる。
(実施例1)
延伸PTFEフィルムと、PTFE繊維から成る織布との積層品(品番#8181、繊維の太さ400D、朱子織り:ジャパンゴアテックス(株)製)を基材に用い、その織布面に、PTFE水分散液を含浸塗布し、これを焼成したものを低摩擦シート68(基材の織布面側が摺動面)とした。この場合の低摩擦シート68は、200℃雰囲気下における1cm幅当たりの引張荷重0.75Nに対する伸び率は4.5%であり、5.0%以下を満たすものである。
この低摩擦シート68を本実施の形態の定着装置60に基材の織布側がエンドレスベルト62側になるように配設し、富士ゼロックス(株)製のカラープリンタC2220を用いて、フルカラーの所定のパターン画像を富士ゼロックス(株)製のJ紙(商品名)に出力するランニングテストを行い、ランニング初期と20万枚プリント後とにおける定着ロール61の駆動トルクとプリント画像の画質とを評価した。ここで、本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62が定着ロール61に従動するように構成しているため、定着ロール61の駆動トルクの経時変化を測定することで、低摩擦シート68とエンドレスベルト62との摺動抵抗を評価することができる。
さらに、ランニングテスト後の低摩擦シート68を目視観察したところ、低摩擦シート68には僅かな波打ち状の変形が認められたが、圧力パッド64の変形はなく、上述したように、画質への影響は殆ど生じていない。
ガラスクロス基材に、PTFE水分散液を含浸塗布し、これを焼成したものを低摩擦シート68とした。この場合の低摩擦シート68は、200℃雰囲気下における1cm幅当たりの引張荷重0.75Nに対する伸び率は0.3%であり、5.0%以下を満たすものである。
この低摩擦シート68を用いて、実施例1と同様のランニングテストを行なったところ、ランニング初期においては駆動トルク、画質ともに良好であったが、20万枚プリント後では、駆動トルクが上昇し、低摩擦シート68とエンドレスベルト62との摺動抵抗が増大していることが確認された。さらに、大きな画像ずれや紙しわも発生した。
さらに、ランニングテスト後の低摩擦シート68を目視観察したところ、低摩擦シート68に変形は生じていないものの、表面のフッ素樹脂(PTFE)が摩耗し、ガラス繊維が露出した状態であった。なお、この状態において圧力パッド64に変形は生じていなかった。
PTFE繊維からなる厚さ800μmの不織布(ポリフロンウェブ:ダイキン工業(株)製)を基材として、その状態のままで低摩擦シート68とした。この場合の低摩擦シート68は、200℃雰囲気下における1cm幅当たりの引張荷重0.75Nに対する伸び率は12.0%であり、5.0%以下を満たさないものである。
この低摩擦シート68を用いて、実施例1と同様のランニングテストを行なったところ、ランニング初期においては駆動トルク、画質ともに良好であったが、ランニングテスト中に駆動トルクの上昇が見られ、10万枚プリント時点において、用紙搬送性が悪化した結果、定着むらや紙しわも発生した。
さらに、ランニングテスト後の低摩擦シート68を目視観察したところ、低摩擦シート68に波打ち状の変形が認められ、圧力パッド64の膨潤による変形が観察された。
比較例2で使用した基材に、PTFE水分散液を含浸塗布し、これを焼成したものを低摩擦シート68とした。この場合の低摩擦シート68は、200℃雰囲気下における1cm幅当たりの引張荷重0.75Nに対する伸び率は7.0%であり、5.0%以下を満たさないものである。
この低摩擦シート68を用いて、実施例1と同様のランニングテストを行なったところ、ランニング初期においては駆動トルクは低く、画質も良好であったが、ランニングテスト中に駆動トルクの上昇が見られ、20万枚プリント時点では、用紙搬送性が悪化した結果、定着むらや紙しわも発生した。
さらに、ランニングテスト後の低摩擦シート68を目視観察したところ、低摩擦シート68に波打ち状の変形が認められたが、圧力パッド64の変形はなかった。
比較例3で使用した低摩擦シート68の摺擦面とは反対側の面に、厚さ20μmのポリイミドシートを積層接着したものを低摩擦シート68とした。この場合の低摩擦シート68は、200℃雰囲気下における1cm幅当たりの引張荷重0.75Nに対する伸び率は1.0%であり、5.0%以下を満たすものである。
この低摩擦シート68を用いて、実施例1と同様のランニングテストを行なったところ、ランニング初期および20万枚プリント後において、駆動トルクは低く用紙搬送性が安定的であり、画質も良好であった。
さらに、ランニングテスト後の低摩擦シート68を目視観察したところ、低摩擦シート68に波打ち状の変形も認められず、圧力パッド64の変形もなかった。
かかる本実施の形態の低摩擦シート68での効果は、比較例との対比によって明確である。
このように構成することによって、低摩擦シート68とエンドレスベルト62内周面との摩擦係数を低く設定することが可能となる。また、低摩擦シート68にうねりや波打ち等の変形が生じることを抑制することもできる。そのため、ニップ部Nにおけるニップ圧が長手方向に亘って不均一となり、定着画像に定着むらや画像の乱れを生じさせることや、ニップ部Nにおけるエンドレスベルト62の摺動抵抗が部分的に高くなり、エンドレスベルト62の円滑な回動を阻害することを抑制することができるので、良好な用紙搬送性を維持でき、紙しわの発生や画像ずれを抑制することも可能となる。
実施の形態1では、加熱手段として定着ロールを用い、加圧手段として圧力パッドが押圧されたエンドレスベルトを用いた定着装置が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態2では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源が押圧されたエンドレスベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
セラミックヒータ82は、加圧ロール91側の面がほぼフラットに形成されている。そして、定着ベルト92を介して加圧ロール91に押圧される状態で配置され、ニップ部Nを形成している。したがって、セラミックヒータ82は圧力部材としても機能している。ニップ部Nを通過した用紙Pは、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ベルト92の曲率の変化によって定着ベルト92から剥離される。
さらに、定着ベルト92内周面とセラミックヒータ82との間には、定着ベルト92の内周面とセラミックヒータ82との摺動抵抗を小さくするため、摺擦部材の一例としての低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、セラミックヒータ82と別体に構成しても、セラミックヒータ82と一体的に構成しても、いずれでもよい。
また、定着ベルト92は、原形が円筒形状に形成された無端ベルトであり、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性樹脂やSUS、ニッケル等の金属で形成されたベース層921と、このベース層921の加圧ロール91側の面または両面に被覆されたフッ素樹脂等からなる離型層922とから構成されている。
さらに、ニップ部Nの下流側近傍には、定着ベルト92から剥離された用紙Pを完全に定着ベルト92から分離し、画像形成装置の排出部へ向かう排紙通路に誘導するための剥離補助部材70が配設されている。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト92の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト92と近接する状態でバッフルホルダ72によって保持されている。
このように構成することによって、低摩擦シート68と定着ベルト92内周面との摩擦係数を低く設定することが可能となる。また、低摩擦シート68にうねりや波打ち等の変形が生じることを抑制することもできる。そのため、ニップ部Nにおけるニップ圧が長手方向に亘って不均一となり、定着画像に定着むらや画像の乱れを生じさせることや、ニップ部Nにおける定着ベルト92の摺動抵抗が部分的に高くなり、定着ベルト92の円滑な回動を阻害することを抑制することができるので、良好な用紙搬送性を維持でき、紙しわの発生や画像ずれを抑制することも可能となる。
Claims (13)
- 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
回動可能な回動部材と、
前記回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、
前記ベルト部材の内側に配置され、当該ベルト部材を前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該ベルト部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材と、
前記ベルト部材と前記圧力部材との間に設けられる摺擦部材と
を備え、
前記摺擦部材は、フッ素樹脂繊維からなる基材と、当該基材の少なくとも前記ベルト部材側に積層されたフッ素樹脂層とで構成されるとともに、200℃雰囲気における1cm幅当たりの引張荷重0.75Nに対する伸び率が5.0%以下であることを特徴とする定着装置。 - 前記摺擦部材は、前記基材がフッ素樹脂繊維を編み込んで形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記摺擦部材は、前記基材にフッ素樹脂を含浸させた後に焼成して形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記摺擦部材は、前記ベルト部材側の表面に凹凸が形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記摺擦部材は、前記ベルト部材とは反対側の面に耐熱性樹脂または金属からなる補強層がさらに積層されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記ベルト部材は、内周面に凹凸が形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記回動部材を加熱する加熱部材、または前記ベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- ベルト部材に対向する回動部材に対して当該ベルト部材を圧接させる圧力部材と、当該ベルト部材との間において配設される低摩擦シートであって、
フッ素樹脂繊維からなる基材と、
前記基材の少なくとも一方の面に積層されたフッ素樹脂層と
を有し、
200℃雰囲気における1cm幅当たりの引張荷重0.75Nに対する伸び率が5.0%以下であることを特徴とする低摩擦シート。 - 前記基材は、フッ素樹脂繊維を編み込んで形成されたことを特徴とする請求項8記載の低摩擦シート。
- 前記基材は、PTFE繊維で形成されたことを特徴とする請求項8記載の低摩擦シート。
- 前記基材にフッ素樹脂を含浸させた後に焼成して形成されたことを特徴とする請求項8記載の低摩擦シート。
- 前記基材の一方の面に耐熱性樹脂または金属からなる補強層がさらに積層されたことを特徴とする請求項8記載の低摩擦シート。
- トナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、
前記定着手段は、
回動可能な回動部材と、
前記回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、
前記ベルト部材の内側に配置され、当該ベルト部材を前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該ベルト部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材と、
前記ベルト部材と前記圧力部材との間に設けられる摺擦部材と
を備え、
前記摺擦部材は、フッ素樹脂繊維からなる基材と、当該基材の少なくとも前記ベルト部材側に積層されたフッ素樹脂層とで構成されるとともに、200℃雰囲気における1cm幅当たりの引張荷重0.75Nに対する伸び率が5.0%以下であることを特徴とする画像形成装置。
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