JP4380425B2 - 電磁駆動弁の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、電磁駆動弁の制御装置に係り、特に、内燃機関の吸気弁または排気弁として機能する弁体を電磁力で駆動する電磁駆動弁の制御装置に関する。
従来、例えば、特開平11−294209号公報には、内燃機関の吸気弁または排気弁として機能する弁体を電磁力で駆動する電磁駆動弁の制御装置が開示されている。従来の電磁駆動弁は、電磁石が発する電磁力とスプリングのバネ力とによって弁体を駆動するものであり、一対の電磁石のほぼ中間に、弁軸に固定されたアーマチャを備えている。このような構成によれば、一対の電磁石に交互に適当な励磁電流を流通させることにより、弁体を開閉動作させることができる。
電磁駆動弁を備える内燃機関において、現実の運転状況下では、スプリングのバネ力等の経時変化に起因して、或いは何らかの外乱が作用することで、電磁駆動弁が正常な開閉動作を実行できないことがある。すなわち、一方の電磁石から開放されたアーマチャが他方の電磁石に正常に吸引されないという現象(以下「脱調」と称す)が生ずることがある。
上記従来の電磁駆動弁では、開弁動作中の弁体(排気弁)の脱調が検知された場合には、直ちに当該弁体と連動するアーマチャを閉弁位置に復帰させることとし、かつ、その復帰処理が完了するまでの間、同一気筒内の他の全ての弁体を閉弁状態に保持することとしている。そして、上記復帰処理が完了した後に到来する排気弁の開弁タイミングから通常の開閉動作を再開させることとしている。このような処理によれば、脱調発生時に、排気ガスが排気管から吸気管に逆流するのを防止しつつ、通常の弁体の開閉動作を速やかに再開させることができる。
特開平11−294209号公報 特開平11−200826号公報 特開平11−132017号公報 特開2000−248982号公報
上記従来の電磁駆動弁の制御装置によれば、脱調が検知されると、脱調が生じた弁体の復帰処理が一律のタイミングで速やかに実行される。つまり、上記従来の制御装置では、脱調が検知された場合に、脱調が検知された時点に基づいてアーマチャの復帰処理が開始されることとなり、復帰処理が完了するタイミングは、脱調が検知されたタイミングに依存したタイミングとなる。このように、上記従来の装置では、脱調が生じた後にアーマチャを正常位置に復帰させるタイミングについて考慮がなされていない。
電磁駆動弁を備える内燃機関においては、脱調が生じた気筒で復帰処理が行われている期間中も、所定の動作が継続されている。具体的には、ピストンの往復運動は当然に行われている。また、脱調が生ずると、その脱調検知時点より以前に既に開始された動作(例えば、燃料噴射動作)が完了されないままとなることがある。従って、復帰処理が適切なタイミングで行われないと、内燃機関を運転するうえで様々な弊害が生じ得る。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、脱調が内燃機関の運転に与える弊害を抑制しつつ、脱調時に適切かつ速やかに復調させることのできる電磁駆動弁の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、一対の電磁石を往復移動するアーマチャを有し、吸気弁または排気弁として機能する弁体を電磁力により開閉動作させる電磁駆動弁の制御装置であって、
前記弁体の脱調を検知する脱調検知手段と、
開弁動作中に前記脱調が検知された場合に、前記脱調の検知時点から脱調した前記弁体の正規の閉弁タイミングまでの残余時間を算出する残余時間算出手段と、
前記アーマチャを正常位置に復帰させる復帰処理に要する復帰時間を取得する復帰時間取得手段と、
前記残余時間と前記復帰時間との長短を比較する時間比較手段と、
前記残余時間が前記復帰時間より長い場合に、前記アーマチャが閉弁位置に復帰するタイミングが前記正規の閉弁タイミングとなるように前記復帰処理の開始タイミングを決定する復帰時期決定手段と、
前記復帰時期決定手段により決定された前記開始タイミングで前記復帰処理を実行する復帰処理実行手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第の発明は、第の発明において、前記弁体は、吸気弁として機能するものであり、
前記残余時間が前記復帰時間より長い場合に、前記弁体の設定作用角と機関回転数とに基づいて、前記脱調が生じた前記弁体を有する気筒に対して、前記脱調が生じたサイクルに供給する燃料噴射量を補正する燃料噴射量補正手段を備えることを特徴とする。
の発明は、上記の目的を達成するため、一対の電磁石を往復移動するアーマチャを有し、吸気弁として機能する弁体を電磁力により開閉動作させる電磁駆動弁の制御装置であって、
前記弁体の脱調を検知する脱調検知手段と、
前記脱調が生じたサイクルにおける圧縮上死点前から、脱調の生じた前記弁体の復帰動作を開始し、当該圧縮上死点の到来と同時に閉弁位置への前記弁体の復帰を完了させる復帰動作実行手段と、
を備えることを特徴とする。
また、の発明は、第1の発明において、前記弁体は、吸気弁として機能する第1の弁体排気弁として機能する第2の弁体とを含み、
前記脱調検知手段は、前記第1の弁体の脱調を検知する手段を含み、
前記第1の弁体の脱調が検知された場合であって前記残余時間が前記復帰時間より短い場合に、前記第1の弁体と連動するアーマチャを閉弁位置に復帰させる復帰処理を実行する第2復帰処理実行手段と、
前記第1の弁体の前記復帰処理が完了した時点で、前記第2の弁体を開弁動作させる開弁動作実行手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第の発明は、第の発明において、前記第2復帰処理実行手段は、上死点が到来する時点で、前記第1の弁体の前記復帰処理を完了させることを特徴とする。
また、の発明は、第1の発明において、前記弁体は、排気弁として機能する弁体を含み、
前記脱調検知手段は、排気弁として機能する前記弁体の脱調を検知する手段を含み、
排気弁として機能する前記弁体の前記脱調が検知された場合であって前記残余時間が前記復帰時間より短い場合に、次回以降に到来する排気弁の閉弁タイミングで、前記アーマチャを閉弁位置に復帰させる第2復帰動作実行手段を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、脱調の検知時点から弁体の正規の閉弁タイミングまでの残余時間に応じて、復帰処理を実行するタイミングが変更される。つまり、脱調が検知された場合に一律のタイミングで復帰処理を実行するのではなく、正規の閉弁タイミングまでに復帰処理を完了できる場合には、正常時と同様に、すなわち、弁体が正規の閉弁タイミングで閉弁するように、復帰処理の開始タイミングが遅延させられる。このため、本発明によれば、そのような場合に、脱調の発生による弁体の開口面積の時間積算値の減少を最小限に抑えることができる。また、そのような場合には、燃焼を省略する必要がない。このため、本発明によれば、脱調が生じた場合においても、残余時間が確保されている場合には、トルク変動を抑えつつ、ほぼ正常時と同様に内燃機関を継続して運転することができる。
の発明によれば、脱調が生じた弁体を有する気筒に対して、当該脱調が生じたサイクルに供給する燃料噴射量を、脱調による弁体の開口面積の時間積算値の減少分に応じた適切な量に修正することができる。このため、本発明によれば、正規の閉弁タイミングまでに復帰処理が完了した場合には、正常に運転が行われた場合と同様の空燃比で内燃機関の運転を継続させることができる。
の発明によれば、最も燃焼室容積が小さくなる圧縮上死点において弁体(吸気弁)が閉弁するように復帰動作が実行される。このため、本発明によれば、吸気弁の開弁後に、排気管に排出される未燃ガスの量を最小とすることができ、触媒の浄化性能の低下等の弊害を防止することができる。
の発明によれば、第1の弁体(吸気弁)の脱調が解消されて第2の弁体(排気弁)が開弁するまでの間に、吸気弁および排気弁の双方が閉弁状態となる期間をなくすことができる。また、本発明によれば、吸気弁の復帰処理が完了した時点で排気弁の開弁動作を行うことにより、吸気弁および排気弁の双方ではなく何れか一方のみが開弁状態とされる。このため、本発明によれば、正常な運転状態に復帰するまでの間に、排気ガスが排気管から吸気管に逆流するのを防止しつつ、無駄な圧縮および膨張仕事に起因するポンプ損失が生ずるのを防止することができる。
の発明によれば、排気管への未燃ガスの流出を最小限に抑えつつ、かつ、無駄な圧縮および膨張仕事に起因するポンプ損失が生ずるのを好適に防止することができる。
の発明によれば、弁体(排気弁)の脱調が生じた場合に、復帰動作が完了するまでの期間中の燃焼室と排気管とを連通状態に維持することができる。このため、本発明によれば、正常な運転状態に復帰するまでの間に、無駄な圧縮および膨張仕事に起因するポンプ損失が生ずるのを防止することができる。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1において用いられる電磁駆動弁10の断面図である。図1に示す電磁駆動弁10は、内燃機関の吸気弁として機能する弁体12を備えている。弁体12は、内燃機関の吸気ポート14に配置されている。吸気ポート14には弁座16が設けられており、弁体12が弁座16に着座することにより、あるいは弁座16から離座することにより吸気ポート14が開閉される。
弁体12は、弁軸18の先端に固定されている。弁軸18は、バルブガイド20によって摺動可能に保持されている。バルブガイド20の上方において、弁軸18にはロアリテーナ22が固定されている。ロアリテーナ22の下方には、弁軸18を上方に付勢する弾性力を発生するロアスプリング24が配置されている。
弁軸18の上端部には、アッパリテーナ26が固定されている。アッパリテーナ26の上方には、弁軸18を下方に付勢する弾性力を発生するアッパスプリング28が配置されている。アッパスプリング28の上端位置は、アジャスタ30により規制されている。弁軸18の上下方向位置は、アジャスタ30によって所望の位置に調整されている。アジャスタ30には、弁軸18の変位を検出するためのリフトセンサ32が取り付けられている。リフトセンサ32には、ECU34が接続されている。
弁軸18には、更に、ロアリテーナ22とアッパリテーナ26の中間位置において、磁性材料で構成されたアーマチャ36が固定されている。アーマチャ36の下方には、ロアコア38およびロアコイル40が配置されている。また、アーマチャ36の上方には、アッパコア42およびアッパコイル44が配置されている。ロアコイル40およびアッパコイル44には、EDU46が接続されている。EDU46は、ECU34から発せられる指令に応じてロアコイル40およびアッパコイル44に対して、それぞれ所望の波形で励磁電流を供給することができる。
図1は、ロアコイル40およびアッパコイル44のいずれにも励磁電流が供給されていない状態を示す。電磁駆動弁10の各部は、図1に示す通り、この状態において、アーマチャ36がほぼロアコア38とアッパコア42との中央に位置し(以下、「アーマチャ36の中立位置」と称す)、かつ、弁体12が全開位置と全閉位置のほぼ中央に位置するように調整されている。
図2は、図1に示す電磁駆動弁10が実行する弁体12の開閉動作を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図2(A)は、弁体12の開閉動作時におけるアーマチャ36の変位を示し、図2(B)は、アッパコイル44に供給される励磁電流の波形を示し、図2(C)は、ロアコイル40に供給される励磁電流の波形を示している。尚、図2(A)に符号「A」を付して示す期間は、弁体12の開弁動作または閉弁動作に要する動作時間を示している。
図2に示すように、弁体12が閉弁保持されている状態では、アッパコイル44には、アーマチャ36を閉弁位置に保持し得る適当な保持電流が供給されている。弁体12の開弁動作時において、アッパコイル44への励磁電流が遮断されると、アーマチャ36は、アッパスプリング28のバネ力により開弁位置に向けて変位し始める。この際、ロアコイル40に適当な吸引電流が供給されると、アーマチャ36はロアコア38に引き寄せられ、その結果、弁体12は全開状態とされる。ロアコイル40に適当な保持電流が供給されている間は、弁体12は全開状態に維持される。
この状態でロアコイル40への通電が遮断されると、アーマチャ36は、ロアスプリング24のバネ力により閉弁位置に向けて変位し始める。この際、アッパコイル44に適当な吸引電流が供給されると、アーマチャ36はアッパコアに引き寄せられ、その結果、弁体12は全閉状態とされる。以後、励磁電流の遮断と供給が、アッパコイル44側とロアコイル40側とに交互に行われることにより、少ない消費電力で、弁体12の開閉動作を継続させることができる。
電磁駆動弁を備える内燃機関において、現実の運転状況下では、スプリング24、28のバネ力等の経時変化に起因して、或いは何らかの外乱が作用することで、電磁駆動弁が正常な開閉動作を実行できないことがある。すなわち、一方の電磁石から開放されたアーマチャ36が他方の電磁石に正常に吸引されないという現象(以下「脱調」と称す)が生ずることがある。脱調が生じた際に、アーマチャ36を正常位置に復帰させるための処理(以下「復帰処理」と称す)として、以下に説明する手法が従来から知られている。
すなわち、電磁駆動弁において脱調が生ずると、アーマチャは、その中立位置を中心に減衰振動し、やがて中立位置に停止した状態となる。上記の復帰処理は、その停止状態からアッパコイル側とロアコイル側とに交互に所定の励磁電流を供給することにより実行されるものである。具体的には、電磁駆動弁における可動部の固有振動数とほぼ同じ振動数となるタイミングで、アッパコイルとロアコイルに交互に励磁電流が供給される。このような励磁電流が付与されると、アーマチャは、徐々に振幅が増大しながら閉弁位置および開弁位置側に交互に変位し、やがて閉弁位置に到達することとなる。このため、上記の復帰処理によれば、脱調状態にあるアーマチャを閉弁位置または開弁位置に復帰させることが可能となる。
ところで、電磁駆動弁を備える内燃機関では、脱調が生じた場合は、その脱調検知時点より以前に既に開始された動作(例えば、燃料噴射動作)が完了されないままとなることがある。このような場合に、復帰処理が適切なタイミングで行われないと、内燃機関を運転するうえで様々な弊害が生じ得る。従って、脱調がもたらす弊害を最小限に抑制しつつ、脱調からの復帰処理中およびその復帰処理完了後における内燃機関の運転を好適に実行するには、復帰処理の開始タイミングを適切に制御することが重要である。以下、図3乃至図5を参照して、本実施形態の電磁駆動弁10において用いられる復帰処理の開始タイミングの制御について説明する。
図3は、図1に示すECU34が脱調発生時に適切なタイミングで復帰動作を行うために実行するルーチンのフローチャートである。尚、本ルーチンは、内燃機関の気筒毎に実行されるものとする。図3に示すルーチンでは、先ず、吸気弁の開弁タイミングが到来したか否かが判定される(ステップ100)。
その結果、開弁タイミングの到来が確認されると、開弁動作が実行される(ステップ102)。次いで、開弁動作中に脱調が生じたか否かが判定される(ステップ104)。ECU34は、例えば、リフトセンサ32が発する出力に基づいて、開弁動作中に閉弁方向へ向かう速度が検出された場合に、或いは、閉弁動作中に開弁方向へ向かう速度が検出された場合に、脱調の発生を検知する。
上記ステップ104において、脱調が生じていないと判定された場合は、開弁動作が完了したか否かが判定される(ステップ106)。
その結果、開弁動作が完了していない間は、上記ステップ104の処理による脱調判定が継続して実行される。上記ステップ106において、開弁動作の完了が確認されると、所定の開弁期間が経過した後(ステップ108)、通常の閉弁動作が実行される(ステップ110)。
一方、上記ステップ104において、脱調の発生が検知された場合は、通常の閉弁動作に要する動作時間Aの取得(ステップ112)、脱調からの復帰に要する復帰時間Bの取得(ステップ114)、脱調が検知された時点T1から正規の閉弁タイミングの到来時点T2までの残余時間(T2−T1)の算出(ステップ116)がそれぞれ実行される。
次に、残余時間(T2−T1)が、動作時間Aと復帰時間Bとの和(A+B)より長いか否かが判定される(ステップ118)。
上記ステップ118において、(T2−T1)>(A+B)の成立が判別された場合には、正規の閉弁タイミングまでの間に、動作時間Aと復帰時間Bとが確保されていると判断することができる。弁体12の開弁時間は、弁体12の設定作用角や機関回転数に応じて変化するものである。従って、復帰処理の開始タイミングに対して何らの配慮も行わずに、残余時間(T2−T1)が残されている場合にまで、直ちにアーマチャ36を閉弁位置に復帰させることとすると、正規の閉弁タイミングより早い時点で弁体12が閉弁してしまうこととなる。また、脱調が発生した気筒への燃料噴射および点火を脱調が生じた時点で休止すると、正規の開弁タイミングまでに弁体(吸気弁)12の開弁動作が完了しているにも関わらず、当該気筒における燃焼が休止されることとなる。
そこで、本実施形態のシステムでは、残余時間(T2−T1)と動作時間Aと復帰時間Bとに基づいて、復帰処理の実行タイミングを変化させることとした。より具体的には、(T2−T1)>(A+B)となる残余時間が残されている場合には、脱調が生じた後に適切なタイミングで弁体12の復帰処理を行うべく、以下の図4に示す復帰処理を実行することとした。
図4は、残余時間(T2−T1)が動作時間Aと復帰時間Bとの和(A+B)より長い場合に行われる一連の処理を示すタイミングチャートである。図4に示すように、本実施形態のシステムは、脱調の発生が検知された時点で直ちにアーマチャ36を閉弁位置に復帰させる処理を行うのではなく、先ず、アーマチャ36が開弁位置に復帰できるように速やかに復帰処理を実行し、その後に正規の閉弁タイミングが到来した時点で、通常の閉弁動作を実行することとしている。このような処理によれば、残余時間(T2−T1)に応じて、脱調の発生による弁体12の開口面積の時間積算値の減少を最小限に抑えることができる。
上記の処理を実現すべく、図3に示すルーチンでは、上記ステップ118において、(T2−T1)>(A+B)の成立が判別されると、復帰処理を行ううえでのアーマチャ36の目標位置が開弁位置側に設定された後に(ステップ120)、その目標位置に対して復帰処理が実行される(ステップ122)。次に、正規の閉弁タイミング(時刻(T2−A))が到来したと判定されると(ステップ124)、通常の閉弁動作が実行される(ステップ126)。
一方、上記ステップ118において、(T2−T1)>(A+B)が成立しないと判別された場合は、残余時間(T2−T1)が復帰時間Bより長いか否かが判定される(ステップ128)。
上記ステップ128において、(T2−T1)>Bの成立が判別された場合は、正規の閉弁動作終了時点までの間に、復帰時間Bが未だ残されていると判断することができる。図5は、残余時間(T2−T1)が復帰時間Bより長い場合に行われる一連の処理を示すタイミングチャートである。この場合、図5に示すように、本実施形態のシステムでは、脱調の発生が検知された時点で直ちにアーマチャ36を閉弁位置に復帰させる処理を行うのではなく、アーマチャ36を閉弁位置に復帰させる処理が正規の閉弁タイミングで完了するように、その復帰処理の開始タイミングを遅らせることとしている。このような処理によれば、残余時間(T2−T1)に応じて、脱調の発生による弁体12の開口面積の時間積算値の減少を最小限に抑えることができる。
上記の処理を実現すべく、図3に示すルーチンでは、上記ステップ128において、(T2−T1)>Bの成立が判別されると、アーマチャ36の復帰目標位置が閉弁位置側に設定される(ステップ130)。次いで、復帰処理の開始タイミング(時刻(T2−B))が到来したと判定されると(ステップ132)、上記ステップ130において設定された目標位置に対して復帰処理が実行される(ステップ134)。
一方、上記ステップ128において、(T2−T1)>Bが成立しないと判別された場合、つまり、正規の閉弁タイミングまでに復帰処理を完了できないと判断した場合は、直ちにアーマチャ36を閉弁位置に復帰させるための一連の処理が実行される。すなわち、脱調した弁体12を備える気筒への点火を停止する指示(ステップ136)および、当該気筒への燃料噴射を停止する指示(ステップ138)が発せられる。次いで、アーマチャ36の復帰目標位置が閉弁位置側に設定された後に(ステップ140)、その目標位置に対して復帰処理が実行される(ステップ142)。
以上の処理によれば、復帰処理所要時間B、或いは、閉弁動作所要時間Aおよび復帰処理所要時間Bに対する残余時間(T2−T1)に応じて、復帰処理の開始タイミングを適切なタイミングに変更することができる。このため、上記ルーチンの処理によれば、正規の閉弁タイミングまでに復帰動作を完了できる場合には、脱調の発生による弁体12の開口面積の時間積算値の減少を最小限に抑えることができる。そして、この場合には、燃焼を省略する必要がないため、トルク変動を抑え、ほぼ正常時と同様に内燃機関を運転することが可能となる。
ところで、上述した実施の形態1においては、本発明を、吸気弁を駆動する電磁駆動弁10の制御に適用することとしているが、これに限定されるものではなく、本発明は、排気弁を駆動する電磁駆動弁10の制御に適用してもよい。
尚、上述した実施の形態1においては、ECU34が、上記ステップ104の処理を実行することにより前記第1の発明における「脱調検知手段」が、上記ステップ116の処理を実行することにより前記第1の発明における「残余時間算出手段」が、上記ステップ114の処理を実行することにより前記第1の発明における「復帰時間取得手段」が、上記ステップ128の処理を実行することにより前記第1の発明における「時間比較手段」が、上記ステップ130、132の処理を実行することにより前記第1の発明における「復帰時期決定手段」が、上記ステップ134の処理を実行することにより前記第1の発明における「復帰処理実行手段」が、それぞれ実現されている
実施の形態2.
次に、図6乃至図8を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態のシステムは、上述した実施の形態1における電磁駆動弁10が筒内噴射式の内燃機関における吸気弁に適用されたものである。
図6は、本実施形態のシステムにおける吸排気弁の開閉タイミングと燃料噴射タイミングとの関係を説明するためのタイミングチャートである。本実施形態のシステムにおいて用いられる復帰処理の手法は、実施の形態1における手法と同様であるものとする。つまり、図6は、吸気弁が脱調した場合に、そのような手法を用いて、正規の閉弁タイミングに復帰処理を完了した場合の制御例を示している。
図6に示すように、筒内噴射式の内燃機関では、弁体(吸気弁)12に脱調が生じた時点では未だ燃料噴射が開始されておらず、脱調した弁体12が閉弁状態に復帰した後に燃料噴射量の調整を行うことが可能である。そこで、本実施形態のシステムは、復帰処理が正規の閉弁タイミングまでに完了した場合に、脱調による弁体12の開口面積の時間積算値の減少分に応じて燃料噴射量を調整することを特徴としている。
図7は、上記の機能を実現するために、本実施の形態2においてECU34が実行するルーチンのフローチャートである。尚、図7において、実施の形態1における図4に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。図7に示すルーチンは、ステップ144〜150が追加されている点を除き、図3に示すルーチンと同様である。すなわち、図7に示すルーチンでは、開弁動作中に脱調が発生せずに通常の閉弁動作が実行されると(ステップ104〜110)、次いで、所定の燃料噴射タイミングが到来したか否かが判定され(ステップ144)、当該燃料噴射タイミングが到来すると、燃料噴射が実行される(ステップ146)。
一方、上記ステップ104において、脱調の発生が検知された場合は、所定の復帰処理が実行される(ステップ148)。本ステップ148において実行される処理は、図3に示すルーチンと同様のステップ112〜142の処理である。本ルーチンでは、弁体12の復帰処理が正規の閉弁タイミングまでに完了した場合に、すなわち、上記ステップ118または上記ステップ128における判定が成立した場合に、次いで、燃料噴射量τの補正が実行される(ステップ150)。ECU34は、図8に示すように、弁体12の設定作用角と機関回転数との関係で定めた燃料量補正係数kのマップを記憶している。
脱調が生じた弁体12において、作用角が大きく設定されているほど、脱調の発生による開口面積の時間積算値の減少分が大きくなる。このため、図8に示すマップでは、弁体12の設定作用角が大きいほど、燃料補正係数kが小さくなるように設定されている。また、機関回転数が高くなるほど、開口面積の時間積算値の減少により所定の吸入空気量を確保し難くなる。このため、図8に示すマップでは、機関回転数が高いほど、燃料補正係数kが小さくなるように設定されている。このようなマップの設定によれば、脱調の発生による弁体12の開口面積の時間積算値の減少分に応じて、燃料噴射量を適切な量に補正することができる。
次に、所定の燃料噴射タイミングが到来すると(ステップ144)、上記ステップ150において補正された燃料噴射量τに基づいて、燃料噴射が実行される(ステップ146)。
以上の処理によれば、脱調が生じた場合であっても、正規の閉弁タイミングまでに復帰処理を完了した場合には、正常に運転が行われた場合と同様の空燃比で内燃機関の運転を継続させることができる。また、以上の処理によれば、過大にリッチ状態にあるガスが流入することによる触媒の浄化性能の低下を防止することができる。
尚、上述した実施の形態2においては、ECU34が上記ステップ150の処理を実行することにより、前記第の発明における「燃料噴射量補正手段」が実現されている。
実施の形態3.
次に、図9および図10を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施形態のシステムは、上述した実施の形態1の装置構成を用いて、ECU34に図10に示すルーチンを実行させることにより実現されるものである。
図9は、本実施の形態3において用いられる復帰動作を説明するためのタイミングチャートである。尚、本実施形態のシステムでは、内燃機関の各気筒に2つの吸気弁が配置されており、それぞれが電磁駆動弁10により構成されているものとする。ここでは、その一方の吸気弁を「吸気弁A」とし、他方の吸気弁を「吸気弁B」と称する。
図9は、吸気弁Aの開閉動作が正常に行われ、かつ、吸気弁Bの開弁動作時に脱調が生じた場合における各アーマチャ36の変位を示している。図9に示すように、本実施形態のシステムでは、吸気弁Bの開弁動作中に脱調が生じた場合に、圧縮上死点で弁体12が閉弁するように復帰処理の開始タイミングを遅らせることを特徴としている。このような復帰処理が行われると、筒内に吸入された未燃ガス(脱調が生じたサイクルにおける燃料噴射の停止が間に合った場合は、吸入空気)が、圧縮行程の経過中に、脱調により半開状態にある吸気弁Bの開口部を通過して吸気管に戻される。そして、最も燃焼室容積が小さくなる圧縮上死点において、吸気弁Bが閉弁される。このため、燃焼室内に残留する未燃ガスの量を最小とすることができる。つまり、その後に排気管に排出される未燃ガスの量を最小とすることができる。これにより、触媒の浄化性能の低下や触媒の溶損等の弊害が生ずるのを防止することができる。
図10は、上記の機能を実現するために、本実施の形態3においてECU34が実行するルーチンのフローチャートである。尚、図10において、実施の形態1における図3に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。図10に示すルーチンでは、脱調の発生が検知された場合は(ステップ104)、脱調した弁体12を備える気筒への点火を停止する指示(ステップ152)、および、当該気筒への燃料噴射を停止する指示(ステップ154)が発せられる。次いで、脱調が検知された時点T1から圧縮上死点が到来する時点T3までの残余時間(T3−T1)が、動作時間Aと復帰時間Bとの和(A+B)より長いか否かが判定される(ステップ150)。
その結果、(T3−T1)>(A+B)の成立が判別された場合には、圧縮上死点が到来するまでの間に、動作時間Aと復帰時間Bとが確保されていると判断することができる。そこで、本ルーチンの処理では、このような場合は、脱調の発生が検知された時点で、先ず、アーマチャ36を開弁位置に速やかに復帰させることとし、その後に圧縮上死点が到来した時に通常の閉弁動作を実行することとしている。このような処理によれば、脱調した弁体12の開口面積を大きくすることができるので、圧縮行程時に、未燃ガスを吸気管に戻し易くすることができる。
一方、上記ステップ156において、(T3−T1)>(A+B)が成立しないと判別された場合は、残余時間(T3−T1)が復帰処理の所要時間Bより長いか否かが判定される(ステップ166)。
上記ステップ166において、(T3−T1)>Bの成立が判別された場合には、圧縮上死点が到来するまでの間に、復帰処理の所要時間Bが未だ残されていると判断することができる。このため、圧縮上死点が到来した時に閉弁状態が完了するタイミングで復帰処理が実行される。
また、上記ステップ166において、(T3−T1)>Bが成立しないと判別された場合、つまり、圧縮上死点までに復帰処理を完了できないと判断した場合は、直ちにアーマチャ36を閉弁位置に復帰させるための一連の処理が実行される。
上記の処理を実現するために図10に示すルーチンにおいて実行される処理、すなわち、ステップ158〜164、ステップ168〜172、および、ステップ174、176の処理は、時刻T2が時刻T3に変更されている点を除き、既述したステップ120〜126、ステップ130〜134の処理、およびステップ140、142と同様であるため、ここでは、その詳細な説明を省略する。
以上の処理によれば、残余時間(T3−T1)が閉弁動作所要時間Aおよび復帰処理所要時間B、或いは、復帰処理所要時間Bより長く残されている場合には、脱調が生じたサイクルにおける圧縮上死点で弁体12が閉弁状態となるように、復帰処理および閉弁動作、或いは、復帰処理を行うことができる。上記ルーチンの処理は、正規の閉弁タイミングまでに弁体12を閉弁状態に復帰させることができなかった場合に、特に有効な処理である。従って、上記ルーチンの処理は、実施の形態1または2におけるルーチンの処理と組み合わせると、更に有効である。
ところで、上述した実施の形態3においては、脱調が生じた気筒において、脱調が生じていない方の弁体12(吸気弁A)については、正規の閉弁タイミングで閉弁動作を実行することとしているが、本発明は、このような処理に限られるものではない。すなわち、脱調が生じていない吸気弁Aの閉弁タイミングは、脱調した弁体12と同様に圧縮上死点であってもよい。このような処理によれば、圧縮行程時に、未燃ガスを吸気管に更に戻し易くすることができる。
また、上述した実施の形態3においては、吸気弁の開弁動作中に脱調が生じた場合に図10に示すルーチンの処理を実行することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、吸気弁の閉弁動作中に脱調が生じた場合に上記ルーチンと類似の処理を実行するものであってもよい。
尚、上述した実施の形態3においては、ECU34が、上記ステップ158〜164の処理または上記ステップ168〜172の処理を実行することにより前記第の発明における「復帰動作実行手段」が実現されている。
実施の形態4.
次に、図11および図12を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。
図11は、本実施の形態4において用いられる復帰動作を説明するためのタイミングチャートである。尚、本実施形態のシステムでは、内燃機関の各気筒に配置された吸気弁および排気弁が、それぞれ電磁駆動弁10により構成されているものとする。
図11は、吸気弁Aの開閉動作が正常に行われ、かつ、正規の閉弁タイミングまでに復帰処理が完了できない運転状況下で、吸気弁Bの開弁動作中に脱調が生じた場合における各アーマチャ36の変位を示している。このような脱調が生じた場合に、脱調の検知時点で直ちに吸気弁Bの復帰処理が実行されると、吸気弁Bの復帰処理の完了時点は、脱調検知時点に応じて定まる不規則な時点となる。従って、この場合に、排気弁AおよびBの開閉動作が正規のタイミングで行われると、吸気弁Bの復帰処理が完了した時点から排気弁の正規の開弁タイミングまでの間は、吸気弁AおよびBと排気弁AおよびBが全て閉弁状態となる。その結果、その閉弁状態とされる期間中に行われるピストンの往復運動がポンプ仕事として消費され、燃費を悪化させてしまう。そこで、本実施形態のシステムでは、図11に示すように、吸気弁Bを正規の閉弁タイミングまでに復帰させることができないと判断された場合は、吸気弁Bの閉弁動作が終了した時点で、脱調が生じた気筒における排気弁AおよびBを開弁させることを特徴としている。尚、排気弁AおよびBは、正規の閉弁タイミングが終了する時点まで開弁状態とされる。
図12は、上記の機能を実現するために、本実施の形態4においてECU34が実行するルーチンのフローチャートである。尚、図12において、実施の形態1における図4に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。図12に示すルーチンでは、吸気弁の開弁動作中に脱調が発生せずに通常の閉弁動作が実行された場合は(ステップ104〜110)、正規の開弁タイミングが排気弁の開弁開始タイミングとして設定される(ステップ178)。この場合には、次いで、正規の排気弁の開弁タイミングが到来したか否かが判定され(ステップ180)、当該開弁タイミングが到来すると、排気弁の開弁動作が実行される(ステップ182)
一方、上記ステップ104において、吸気弁の脱調の発生が検知された場合は、正規の閉弁タイミングまでに復帰処理が可能か否かが判定される(ステップ184)。
その結果、復帰処理が可能と判定された場合は、復帰処理を行ううえでのアーマチャ36の目標位置が閉弁位置側に設定された後に(ステップ186)、その目標位置に対して復帰処理が実行される(ステップ188)。そして、この場合も、正規の開弁タイミングが排気弁の開弁開始タイミングとして設定される(ステップ178)。
一方、上記ステップ184において、正規の閉弁タイミングまでに復帰処理が可能でないと判定された場合は、脱調した吸気弁を備える気筒への点火を停止する指示(ステップ190)、および、当該気筒への燃料噴射を停止する指示(ステップ192)が発せられる。次いで、吸気弁の復帰処理が完了するまでの期間中の排気弁の開弁動作が禁止される(ステップ194)。
次に、アーマチャ36(吸気側)の復帰目標位置が閉弁位置側に設定される(ステップ196)。次いで、吸気弁の復帰処理完了タイミングが、排気弁の開弁開始タイミングとして設定される(ステップ198)。次に、上記ステップ196において設定された目標位置に対して吸気弁の復帰処理が実行される(ステップ200)。上記復帰処理が完了すると(ステップ202)、排気弁の開弁動作が実行される(ステップ182)。
以上の処理によれば、復帰処理が完了するまでの間は、吸気弁が開弁状態とされ、また、復帰処理が完了した後は、排気弁が開弁状態とされることとなり、吸気弁の脱調が生じた後から次回に排気弁が開弁するまでの間に、吸気弁および排気弁の双方が閉弁状態とされる期間をなくすことができる。このため、上記ルーチンの処理によれば、排気弁が開弁するまでの間に、無駄な圧縮および膨張仕事に起因するポンプ損失が生ずるのを防止することができ、その結果として、燃費の悪化、振動の悪化等をもたらすことなく、内燃機関を正常な運転状態に円滑に復帰させることができる。また、上記ルーチンの処理によれば、吸気弁および排気弁の何れか一方のみが開弁状態とされるため、排気ガスが排気管から吸気管に逆流することもない。
ところで、上述した実施の形態4においては、吸気弁Bの復帰処理が完了するタイミングに関しては特別な設定を有していないが、この復帰処理の完了タイミングを以下のように設定することとしてもよい。すなわち、上記復帰処理の完了タイミングが、脱調が生じたサイクルにおける圧縮上死点となるように復帰処理を実行してもよい。また、そのような圧縮上死点までに復帰処理を行うことができない場合は、上記復帰処理の完了タイミングは、当該復帰処理の完了が可能となる時点が経過した後に最初に到来する上死点であってもよい。このような処理によれば、排気管への未燃ガスの流出を最小限に抑えつつ、かつ、無駄な圧縮および膨張仕事に起因するポンプ損失が生ずるのを好適に防止することができる。
また、上述した実施の形態4においては、吸気弁の開弁動作中に脱調が生じた場合に図12に示すルーチンの処理を実行することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、吸気弁の閉弁動作中に脱調が生じた場合に上記ルーチンと類似の処理を実行するものであってもよい。
尚、上述した実施の形態4においては、ECU34が、上記ステップ196、200の処理を実行することにより前記第の発明における「第2復帰処理実行手段」が、上記ステップ198、202、182の処理を実行することにより前記第の発明における「開弁動作実行手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態5.
次に、図13および図14を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。
図13は、本実施の形態5において用いられる復帰動作を説明するためのタイミングチャートである。尚、本実施形態のシステムでは、内燃機関の各気筒に配置された吸気弁および排気弁が、それぞれ電磁駆動弁10により構成されているものとする。また、図13中に一点鎖線で示す曲線は、吸気弁の開弁禁止期間を表している。
図13は、排気弁Aの開閉動作が正常に行われ、かつ、正規の閉弁タイミングまでに復帰処理が完了できない運転状況下で、排気弁Bの開弁動作中に脱調が生じた場合における各アーマチャ36の変位を示している。また、吸気弁AおよびBについては、吸気管への排気ガスの逆流を防止すべく、排気弁Bの復帰処理が完了するまでの間は、閉弁状態に維持されている。
上記のような脱調が生じた場合に、排気弁Bを閉弁状態に復帰させるタイミングに対して、何らの考慮もされずに復帰処理が完了されると、次回に排気弁が開弁されるまでの期間中は、吸気弁および排気弁が共に閉弁状態に維持されることとなる。その結果、復帰処理が完了するまでの間に、無駄な圧縮および膨張仕事に起因するポンプ損失が生ずることとなり、燃費を悪化させてしまう。そこで、本実施形態のシステムでは、図13に示すように、排気弁Bを正規の閉弁タイミングまでに復帰させることができないと判断した場合は、次回以降に到来する排気弁の閉弁タイミングで排気弁Bの復帰動作を完了させることを特徴としている。より具体的には、脱調が検知された時点でアーマチャ36を開弁位置に向けて復帰処理を行った後に開弁状態を維持し、その後に到来する排気弁の閉弁タイミングで排気弁が閉弁するように閉弁動作を行うこととしている。
図14は、上記の機能を実現するために、本実施の形態5においてECU34が実行するルーチンのフローチャートである。図14に示すルーチンでは、先ず、排気弁の開弁タイミングが到来すると(ステップ204)、開弁動作が実行される(ステップ206)。次いで、開弁動作が完了するまでの間に、脱調が生じたか否かが判定される(ステップ208、210)。
上記ステップ208において、排気弁の脱調の発生が検知された場合は、正規の閉弁タイミングまでに復帰処理が可能か否かが判定される(ステップ212)。
その結果、正規の閉弁タイミングまでに復帰処理が可能でないと判定された場合は、点火カット(ステップ214)、燃料噴射カット(ステップ216)、吸気弁の開弁動作の禁止(ステップ218)が順に実行される。次に、アーマチャ36の復帰目標位置が開弁位置側に設定された後に(ステップ220)、その目標位置に対して復帰処理が実行される(ステップ222)。
次に、復帰処理の完了が確認されると(ステップ224)、点火許可(ステップ226)、燃料噴射許可(ステップ228)、吸気弁の開弁動作の許可(ステップ230)が順に実行される。次いで、次回の排気弁の閉弁タイミングが到来すると(ステップ232)、排気弁の閉弁動作が実行され(ステップ234)、当該閉弁動作が完了するまでの間に、脱調が生じたか否かが判定される(ステップ236、238)。
その結果、当該閉弁動作中に脱調の発生が認められると、上記ステップ212〜234の各処理が実行され、一方、脱調が生ずることなく閉弁動作が完了すると、今回の処理サイクルが速やかに終了される。
以上の処理によれば、復帰処理が完了するまでの期間を、燃焼室と排気管とが連通する状態に維持することができる。このため、上記ルーチンの処理によれば、排気弁の脱調が生じた場合に、排気管から吸気管への排気ガスの逆流を抑制しつつ、復帰処理中に無駄な圧縮および膨張仕事に起因するポンプ損失が生ずるのを回避することができる。また、上記ルーチンの処理では、脱調の検知後に開弁位置に向けてアーマチャ36の復帰処理を行うことで、その後の閉弁動作開始までの期間を開弁状態に維持している。これにより、排気弁の開口面積が大きく確保できるため、燃焼室と排気管との間でのガスの出入りに起因するポンプ損失を低減させることができる。尚、脱調した排気弁と同一の気筒内に配置された他の排気弁についても、排気弁の閉弁動作開始までの期間を開弁状態に維持することとすれば、更に効果的である。
ところで、上述した実施の形態5においては、脱調検知後に、先ず、開弁位置に向けてアーマチャ36の復帰処理を実行し、その後に到来する排気弁の閉弁タイミングで排気弁が閉弁するように閉弁動作を行う処理を示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、アーマチャを閉弁位置に向けて復帰処理を行うこととし、その復帰処理の完了時点が次回以降に到来する排気弁の閉弁タイミングとなるように、その復帰処理の開始タイミングを遅らせてもよい。
尚、上述した実施の形態5においては、ECU34が上記ステップ220〜224、232〜238の処理を実行することにより、前記第の発明における「第2復帰動作実行手段」が実現されている。
本発明の実施の形態1において用いられる電磁駆動弁の断面図である。 図1に示す電磁駆動弁が実行する弁体の開閉動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態1において用いられる復帰動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態1において用いられる復帰動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2における吸排気弁の開閉タイミングと燃料噴射タイミングとの関係を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 図7に示すルーチン中で、補正係数kを算出するために参照されるマップの一例を示す図である。 本発明の実施の形態3において用いられる復帰動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態4において用いられる復帰動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態4において実行されるルーチンのフローチャートである。 本実施の形態5において用いられる復帰動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態5において実行されるルーチンのフローチャートである。
符号の説明
10 電磁駆動弁
12 弁体
24 ロアスプリング
28 アッパスプリング
34 ECU(Electronic Control Unit)
36 アーマチャ
38 ロアコア
40 ロアコイル
42 アッパコア
44 アッパコイル
46 EDU(Electrical Driver Unit)

Claims (6)

  1. 一対の電磁石を往復移動するアーマチャを有し、吸気弁または排気弁として機能する弁体を電磁力により開閉動作させる電磁駆動弁の制御装置であって、
    前記弁体の脱調を検知する脱調検知手段と、
    開弁動作中に前記脱調が検知された場合に、前記脱調の検知時点から脱調した前記弁体の正規の閉弁タイミングまでの残余時間を算出する残余時間算出手段と、
    前記アーマチャを正常位置に復帰させる復帰処理に要する復帰時間を取得する復帰時間取得手段と、
    前記残余時間と前記復帰時間との長短を比較する時間比較手段と、
    前記残余時間が前記復帰時間より長い場合に、前記アーマチャが閉弁位置に復帰するタイミングが前記正規の閉弁タイミングとなるように前記復帰処理の開始タイミングを決定する復帰時期決定手段と、
    前記復帰時期決定手段により決定された前記開始タイミングで前記復帰処理を実行する復帰処理実行手段と、
    を備えることを特徴とする電磁駆動弁の制御装置。
  2. 前記弁体は、吸気弁として機能するものであり、
    前記残余時間が前記復帰時間より長い場合に、前記弁体の設定作用角と機関回転数とに基づいて、前記脱調が生じた前記弁体を有する気筒に対して、前記脱調が生じたサイクルに供給する燃料噴射量を補正する燃料噴射量補正手段を備えることを特徴とする請求項記載の電磁駆動弁の制御装置。
  3. 一対の電磁石を往復移動するアーマチャを有し、吸気弁として機能する弁体を電磁力により開閉動作させる電磁駆動弁の制御装置であって、
    前記弁体の脱調を検知する脱調検知手段と、
    前記脱調が生じたサイクルにおける圧縮上死点前から、脱調の生じた前記弁体の復帰動作を開始し、当該圧縮上死点の到来と同時に閉弁位置への前記弁体の復帰を完了させる復帰動作実行手段と、
    を備えることを特徴とする電磁駆動弁の制御装置。
  4. 前記弁体は、吸気弁として機能する第1の弁体排気弁として機能する第2の弁体とを含み、
    前記脱調検知手段は、前記第1の弁体の脱調を検知する手段を含み、
    前記第1の弁体の脱調が検知された場合であって前記残余時間が前記復帰時間より短い場合に、前記第1の弁体と連動するアーマチャを閉弁位置に復帰させる復帰処理を実行する第2復帰処理実行手段と、
    前記第1の弁体の前記復帰処理が完了した時点で、前記第2の弁体を開弁動作させる開弁動作実行手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の電磁駆動弁の制御装置。
  5. 前記第2復帰処理実行手段は、上死点が到来する時点で、前記第1の弁体の前記復帰処理を完了させることを特徴とする請求項記載の電磁駆動弁の制御装置。
  6. 前記弁体は、排気弁として機能する弁体を含み、
    前記脱調検知手段は、排気弁として機能する前記弁体の脱調を検知する手段を含み、
    排気弁として機能する前記弁体の前記脱調が検知された場合であって前記残余時間が前記復帰時間より短い場合に、次回以降に到来する排気弁の閉弁タイミングで、前記アーマチャを閉弁位置に復帰させる第2復帰動作実行手段を備えることを特徴とする請求項1記載の電磁駆動弁の制御装置。
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