JP4378577B2 - 耐熱性樹脂組成物、これを用いた接着フィルム及び接着層付ポリイミドフィルム - Google Patents
耐熱性樹脂組成物、これを用いた接着フィルム及び接着層付ポリイミドフィルム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性樹脂組成物、これを用いた接着フィルム及び接着層付ポリイミドフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種電子機器の小型化、軽量化が急速に進むのに伴い、電子部品の搭載密度も高くなり、それに用いられる配線板、半導体パッケージ等に要求される特性も多様化してきている。このような中でプリント配線板は、配線占有面積の小型、高密度になり多層配線板(ビルドアップ配線板)化、フレキシブル配線板 (FPC)化、フレキシブルリジッド配線板(FRC)化等の要求が益々高まってきている。これらの配線板は、製造工程において種々の接着剤又は接着フィルムを用いているが、接着性及び耐熱性に優れ、かつ環境にやさしい非ハロゲン系で十分な難燃性を有している接着剤又は接着フィルムはなかった。
【0003】
また、半導体パッケージにおいても小型化、軽量化及び高密度化が急速に進み、その開発はめざましいが、その中の材料としては各種ポリイミドフィルムが広く用いられている。このポリイミドフィルムに対する接着性に優れ、耐熱性が良く、かつ環境にやさしい非ハロゲン系で十分な難燃性を有している接着剤及び封止材はなかった。
【0004】
これまでの耐熱性樹脂組成物は、ハロゲン系化合物及びアンチモン系化合物を併用配合することでいわゆる「フリーラジカルトラップ効果」やオキシハロゲン化アンチモンの脱水炭化作用を利用するものが広く知られているが、燃焼時にダイオキシン等の有毒物質が出る環境汚染の問題が解決していない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1記載の発明は、接着性及び耐熱性に優れ、各種プリント配線板、半導体パッケージ用接着剤、接着フィルム、半導体パッケージ用封止材に好適である耐熱性樹脂組成物を提供する。請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、さらに非ハロゲン系で十分な難燃性、接着性及び耐熱性に優れ、各種プリント配線板、半導体パッケージ用接着剤、接着フィルム、半導体パッケージ用封止材に好適である耐熱性樹脂組成物を提供する。
【0006】
請求項3記載の発明は、非ハロゲン系で十分な難燃性、接着性及び耐熱性に優れ、各種プリント配線板、半導体パッケージ用に有用である接着フィルムを提供する。請求項4記載の発明は、非ハロゲン系で十分な難燃性、接着性及び耐熱性に優れ、各種プリント配線板、半導体パッケージ用に有用である接着層付ポリイミドフィルムを提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、(B)エポキシ化ポリブタジエン及び(C)エポキシ樹脂を含有してなる耐熱性樹脂組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、(A)シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂が、芳香族環を3個以上有するジアミン及びシロキサンジアミンの混合物と無水トリメリット酸とを反応させて得られる下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表されるジイミドジカルボン酸を含む混合物と下記一般式(III)で表される芳香族ジイソシアネートとを反応させて得られるシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂である前記耐熱性樹脂組成物に関する。
【0009】
【化8】
〔式中、R1は、
【化9】
(ただし、Xは、
【化10】
を示す)を示す〕
【0010】
【化11】
〔式中、R2は、
【化12】
(ただし、R3及びR4は、各々独立に2価の有機基を示し、R5〜R8は、各々独立に炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜18のアリール基を示し、nは1〜50の整数である)を示す〕
【0011】
【化13】
〔式中、R9は、
【化14】
を示す〕
【0012】
また、本発明は、さらに(D)リン系化合物又は(E)無機充填剤を含有してなる前記耐熱性樹脂組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、前記耐熱性樹脂組成物からなる接着フィルムに関する。
また、ポリイミドフィルム上に接着層として、前記接着フィルムが積層された接着層付ポリイミドフィルムに関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明における(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味する。
【0015】
本発明の耐熱性樹脂組成物は、(A)シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、(B)ゴム系エラストマー及び(C)熱硬化性樹脂を含有してなる。
【0016】
上記(A)シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂は、芳香族環を3個以上有するジアミン及びシロキサンジアミンの混合物と無水トリメリット酸とを反応させて得られる前記一般式(I)及び前記一般式(II)で表されるジイミドジカルボン酸を含む混合物と前記一般式(III)で表される芳香族ジイソシアネートとを反応させて得られるシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂であることが好ましい。
【0017】
上記一般式(II)中、炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、これらの構造異性体等が挙げられる。
上記一般式(II)中、炭素数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられ、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、アリル基、炭素数1〜20のアルキル基等で置換されていてもよい。
【0018】
前記芳香族環を3個以上有するジアミンとしては、例えば、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPと略す)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4− (4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等が挙げられ、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂の特性のバランスとコストの見地からは、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン (BAPP)が好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0019】
本発明で用いるシロキサンジアミンとしては、公知のものが使用できるが、例えば、下記一般式(IV)で表されるものであることが好ましい。
【化15】
(式中、R10及びR11は、各々独立に2価の有機基を示し、R12〜R15は、各々独立に一般式(II)におけるR5と同意義であり、nは1〜50の整数である)
【0020】
上記一般式(IV)中、2価の有機基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基等のアリーレン基などが挙げられる。
【0021】
このようなシロキサンジアミンとしては下記式に示すもの等が挙げられる。
【化16】
(式中、nは1〜50の整数である)
【0022】
商業的に入手可能なものとしては、例えば、これらの中でもシロキサン系両末端アミンであるアミノ変性シリコーンオイルX−22−161AS(アミン当量450、信越化学工業(株)製商品名)、X−22−161A(アミン当量840、信越化学工業(株)製商品名)、X−22−161B(アミン当量1500、信越化学工業(株)製商品名)、BY16−853(アミン当量650、東レダウコーニングシリコーン(株)製商品名)、BY16−853B(アミン当量2200、東レダウコーニングシリコーン(株)製商品名)等が挙げられる。
【0023】
前記一般式(III)で示される芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、4 ,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す)、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、2,4−トリレンダイマー等が挙げられ、可とう性付与及び結晶性防止の見地から4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート (MDI)が好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
また、耐熱性の見地から、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイシシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートを上記芳香族ジイソシアネートに対して、5〜10モル%程度で併用することができる。
【0024】
また、耐熱性の見地から前記ジイミドカルボン酸に加えて、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸などを上記ジイミドカルボン酸に対して5〜10モル%程度で併用することができる。
【0025】
本発明で用いる(A)成分のシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂は、例えば、芳香族環を3個以上有するジアミン(1)及びシロキサンジアミン(2)の混合物((1)/(2)=0.1/99.9〜99.9/0.1モル比)と無水トリメリット酸(以下、TMAと略す)を((1)+(2))の合計モル数とTMAのモル比が1/2.20〜1/2.05で非プロトン性極性溶媒の存在下に、50〜90℃程度で0.2〜1.5時間程度反応させ、さらに水と共沸可能な芳香族炭化水素を非プロトン性極性溶媒の0.1〜0.5重量%程度で投入し、120〜180℃で反応を行い、前記一般式(I)で表される芳香族ジイミドジカルボン酸及び前記一般式(II)で表されるシロキサンジイミドジカルボン酸を含む混合物を製造し、これと前記一般式(III)で表される芳香族ジイソシアネート(3)とを150〜250℃程度で0.5〜3時間程度反応〔((1)+(2))/(3)=1/1.50〜1/1.05モル比〕を行うことで製造できる。
【0026】
また、芳香族ジイミドジカルボン酸を製造した後、その溶液を150〜250℃程度にすることでその溶液から芳香族炭化水素を除去し、これと芳香族ジイソシアネートとの反応を行うことによって製造することもできる。
また、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂は非プロトン性極性溶媒を含むワニスであることが好ましい。
【0027】
上記芳香族環を3個以上有するジアミン(1)及びシロキサンジアミン(2)の混合物の混合比としては、(1)/(2)=0.1/99.9〜99.9/0.1モル比であることが好ましく、0.1/99.9〜70.0/30.0モル比であることがより好ましい。このモル比が0.1/99.9未満では得られる樹脂の分子量が低下する傾向があり、99.9/1を超えると得られる樹脂の樹脂骨格が剛直になる傾向がある。
【0028】
さらに上記混合物と無水トリメリット酸(TMA)とを反応させ、前記一般式(I)及び前記一般式(II)で表されるジイミドジカルボン酸を含む混合物を得るためのモル比は((1)+(2))/TMA=1/2.20〜1/2.05であることが好ましく、1/2.15〜1/2.10であることがより好ましい。このモル比が1/2.20未満ではTMAが残存し、最終的に得られる樹脂の分子量が低下する傾向があり、1/2.05を超えるとジアミンが残存し、最終的に得られる樹脂の分子量が低下する傾向がある。
【0029】
次いで前記一般式(I)及び前記一般式(II)で表されるジイミドジカルボン酸の混合物と前記一般式(III)で表される芳香族ジイソシアネート(3)とを反応させ、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂を得るためのモル比は、((1)+(2))/(3)=1/1.50〜1/1.05であることが好ましく、1/1.4〜1/1.1であることがより好ましい。このモル比が1/1.50未満では得られる樹脂の分子量が低下する傾向があり、1/1.05を超えると得られる樹脂の分子量が低下する傾向がある。
【0030】
前記非プロトン性極性溶媒としては、芳香族環を3個以上有するジアミン、シロキサンジアミン及びTMAと反応しない有機溶媒であることが好ましく、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノン等が挙げられる。イミド化反応には、高温を要するため沸点の高いN−メチル−2−ピロリドンがより好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0031】
これらの非プロトン性極性溶媒中に含まれる水分量は0.1〜0.2重量%とすることが好ましい。この水分量が0.2重量%を超えるとTMAが水和して生成するトリメリット酸により、十分に反応が進行せず、ポリマの分子量が低下する傾向がある。また、本発明で使用する非プロトン性極性溶媒の使用量は、芳香族環を3個以上有するジアミン、シロキサンジアミン、無水トリメット酸及び非プロトン性極性溶媒の総量に対して、10〜70重量%の範囲になることが好ましい。この使用量が10%未満ではTMAの溶解性が低下し、十分な反応が行えなくなる傾向があり、70重量%を超えると工業的製造法として不利である傾向がある。
【0032】
前記芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0033】
(A)シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量は、20,000〜300,000であることが好ましく、25,000〜200,000であることがより好ましく、30,000〜150,000であることが特に好ましい。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定され、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算されたものである。
【0034】
本発明における(B)ゴム系エラストマーとしては、例えば、アクリロニトリルゴム、ポリブタジエンゴム、アクリル−ブタジエンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。上記アクリルゴムとしては、例えば、アクリロニトリルと他の(メタ)アクリル系モノマとの共重合体、これらのエポキシ変性物等が挙げられ、例えば、グリシジルアクリレートとの共重合物、東都化成社製のエポトートYR528、YR570等が挙げられる。
【0035】
上記ポリブタジエンゴムとしては、例えば、ブタジエンゴム、ブタジエン−イソプレンゴム、ブタジエン−スチレンゴム、これらのエポキシ変性物等が挙げられ、例えば、例えばダイセル化学工業(株)製のエポキシ化ポリブタジエン、エポリードPB3600、PB4700、エポキシ化ブタジエン−スチレン等が挙げられる。接着性及び耐熱性の見地からは、エポキシ変性物であることが好ましく、エポリードPB3600であることがより好ましい。
【0036】
アクリル−ブタジエンゴムとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン(NBRゴム)、アクリル−イソプレン、アクリル−ブタジエン−イソプレン、アクリル−ブタジエン−スチレン、これらのカルボン酸変性物、これらのエポキシ変性物等が挙げられ、例えば、B.F.グッドリッチ社製のハイカー、日本合成ゴム社製のXER−81、XER−91、PNR−1H、東都化成社製のエポトートYR450、YR207等が挙げられる。
【0037】
上記シリコーンゴムとしては、オルガノポリシロキサンを主成分としたものであることが好ましく、例えば、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系、ポリジフェニルシロキサン系、一部をビニル基、アルコキシ基等で変性したもの、エポキシ変性物等が挙げられ、例えば、ワッカー社製SY430、東レダウコーニングシリコーン社製SH6040等が挙げられる。
【0038】
これら上記のエポキシ変性物の中でPB3600は特性的に接着性、耐熱性の点から特に好ましい。
【0039】
本発明における(C)熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂等が挙げられる。接着性及び取り扱い性の見地からはエポキシ樹脂が好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂及びその変性物、ビキシレニルジグリシジルエーテル、YDC1312(東都化成社製)、エポトートYD−8125(東都化成社製)、TMH574(住友化学工業(株)製)、エピコート1031S(油化シェルエポキシ(株)製)等の芳香族系エポキシ樹脂、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の脂肪族系エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート等の複素環式エポキシ化合物などが挙げられる。
【0040】
これらの中では2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂とその硬化促進剤を用いることが好ましい。またグリシジル基は多いほどより好ましく、3個以上であれば特に好ましい。グリシジル基の数により、配合量が異なり、グリシジル基が多い程、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂に対する配合量が少なくても良い。また、エポキシ樹脂の硬化剤を併用すればさらに好ましい。
【0041】
上記硬化促進剤及び硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応するもの又は硬化を促進させるものであれば特に制限はなく、例えば、アミン類、イミダゾール類、多官能フェノール類、酸無水物類等が挙げられる。
上記アミン類としては、例えば、ジシアンジアマイド、ジアミノジフェニルメタン、グアニル尿素等が挙げられる。
上記イミダゾール類としては、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のアルキル基置換イミダゾール、ベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
上記多官能フェノール類としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA及びこれらのハロゲン化合物、前記多官能フェノール類とホルムアルデヒドとの付加縮合物であるノボラックフェノール型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。
上記酸無水物類としては、例えば、無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二水和物、メチルハイミック酸等が挙げられるが、反応性及びポットライフの見地からは、イミダゾール類又はアミン類を用いる事が特に好ましい。
これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0042】
本発明において必要に応じて含有される(D)リン系化合物としては、例えば、トリフェニルホスフェ−ト、トリグリシジルホスフェ−ト、ポリホスフェ−ト化合物、レゾルシンポリホスフェ−ト化合物、トリキシレニルホスフェ−ト、芳香族縮合リン酸エステル及びビフェニル型リン酸エステル(大八化学工業(株)製商品名CR−747等)等のリン酸エステル類等の有機リン系化合物などが挙げられる。
【0043】
本発明において必要に応じて含有される(E)無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製商品名ハイジライトH−42STE等)、水酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製商品名キスマ5PH)、アルミン酸カルシウム、シリコーンポリマー粉末等が挙げられるが、結晶水を含有する水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムがより好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0044】
難燃性を一層向上させるためには、(D)成分のリン系化合物及び(E)成分の無機充填剤を併用することが好ましい。
【0045】
本発明における(B)ゴム系エラストマーの配合量は、接着性、屈曲性、耐熱性の見地から、(A)シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂100重量部に対して5〜20重量部であることが好ましく、7〜12重量部であることが特に好ましい。この配合量が5重量部未満では接着性が低下する傾向があり、20重量部を超えるとはんだ耐熱性、接着性及びガラス転移温度が低下する傾向がある。
【0046】
本発明における(C)熱硬化性樹脂の配合量は、接着性、屈曲性及び耐熱性の見地から、(A)シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂100重量部に対して10〜150重量部であることが好ましく、30〜70重量部であることが特に好ましい。この配合量が10重量部未満では硬化物の架橋密度が低下し、絶縁性が劣る傾向があり、150重量部を超えると未反応の熱硬化性樹脂が残存し、硬化物のガラス転移温度が低下する傾向がある。
【0047】
本発明において必要に応じて含有される硬化促進剤又は硬化剤の配合量は、アミン類の場合はアミンの活性水素の当量とエポキシ樹脂のエポキシ当量が、それぞれほぼ等しくなる量が好ましい。イミダゾール類の場合は、エポキシ樹脂100重量部に対して、それぞれ0.1〜10.0重量部であることが好ましい。多官能フェノール類の場合、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、それぞれ0.6〜1.2水酸基当量であることが好ましい。この配合量は、上記配合量より少なければ未硬化のエポキシ樹脂が残存し、Tgが低くなる傾向があり、上記配合量を超えると未反応の硬化促進剤及び硬化剤が残存し、絶縁性が低下する傾向がある。
【0048】
本発明において必要に応じて含有される(D)リン系化合物の配合量は、(A)+(B)+(C)成分の総量100重量部に対して5〜25重量部であることが好ましく、10〜15重量部であることがより好ましい。この配合量が5重量部未満では難燃性が不十分となる傾向があり、25重量部を超えると接着性及びはんだ耐熱性が低下する傾向がある。
【0049】
本発明において必要に応じて含有される(E)無機充填剤の配合量は、(A)+(B)+(C)成分の総量100重量部に対して50〜80重量部であることが好ましく、50〜60重量部であることがより好ましい。この配合量が50重量部未満では難燃性が低下する傾向があり、80重量部を超えると接着性、はんだ耐熱性が低下する傾向がある。
【0050】
本発明では、これら組成物を有機溶媒中で混合して、固形分30〜40重量%程度の耐熱性樹脂組成物とすることが好ましい。
上記有機溶媒としては、溶解性が得られるものであれば特に制限はなく、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0051】
また、本発明の耐熱性樹脂組成物には上記各成分の他に必要に応じて、分散剤(Disperbyk110等)、カップリング剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、イオントラップ剤などを適宜配合しても良い。
【0052】
本発明の耐熱性樹脂組成物を用いて接着層を形成するには、例えば、そのまま塗布して接着層を形成してもよいし、接着フィルムの形態にして耐熱性樹脂組成物の層を積層することによって接着層を形成してもよい。また、接着フィルムを使用するときは積層してから下記支持基材を除去してもよいし、積層する前に除去してもよい。
【0053】
本発明の接着フィルムは、例えば、支持基材上に、所定の有機溶剤に溶解した耐熱性樹脂組成物を塗布後、加熱又は熱風吹き付けにより溶剤を乾燥させて作製することができる。
上記支持基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、テフロンフィルム、離型紙、銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などが挙げられる。支持基材の厚みは10〜150μmが好ましい。なお、支持基材にはマッド処理、コロナ処理、離型処理等を施してもよい。
上記有機溶剤としては、特に制限はなく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0054】
上記支持基材上に積層された耐熱性樹脂組成物の厚みは5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。
上記接着フィルムの形態としては、例えば、ある一定の長さで裁断されたシート状、ロール状等が挙げられる。保存性、生産性及び作業性の見地からは、耐熱性樹脂組成物と反対側の面に保護フィルムをさらに積層し、ロール状に巻きとって貯蔵することが好ましい。
上記保護フィルムとしては、例えば、支持基材と同じくポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、離型紙などが挙げられる。上記保護フィルムの厚みは10〜100μmであることが好ましい。なお、保護フィルムにはマッド処理、エンボス加工、離型処理を施してもよい。
【0055】
本発明の接着フィルムは、例えば、ポリイミドフィルム等に積層することで接着層付ポリイミドフィルムとすることができ、さらに金属箔を積層することでフレキシブルプリント配線板用基板等とすることができる。
【0056】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
【0057】
(合成例1)
還流冷却器を連結したコック付き25ミリリットルの水分定量受器、温度計、撹拌器を備えた1リットルのセパラブルフラスコに芳香族環を3個以上有するジアミンとしてBAPP(2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン)、シロキサンジアミンとして反応性シリコーンオイルX−22−161−AS(信越化学工業(株)製商品名、アミン当量416)、TMA(無水トリメリット酸)、非プロトン性極性溶媒としてNMP(N−メチル−2−ピロリドン)をそれぞれ表1に示した配合比で仕込み、80℃で30分間撹拌した。そして、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン100ミリリットルを投入してから温度を上げ、160℃で2時間還流させた。
【0058】
水分定量受器に水が約3.6ミリリットル以上溜まっていること、水の流出が見られなくなっていることを確認し、水分定量受器に溜まっている流出水を除去しながら、190℃まで温度を上げてトルエンを除去した。
その後、溶液を室温に戻し、芳香族ジイソシアネートとしてMDI(4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート)を表1に示した量を投入し、190℃で2時間反応させた。反応終了後、シロキサン変成ポリアミドイミド樹脂のNMP溶液A−1を得た。
【0059】
【表1】
【0060】
(実施例1〜4)
合成例1で得られたシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂A−1に対して表2に示す材料を配合し、樹脂が均一になるまで1時間撹拌した後、さらに無機充填剤と樹脂が均一になるまで三本ロールで混練し、脱泡のため室温で24時間静置して耐熱性樹脂組成物を得た。
【0061】
【表2】
【0062】
また、得られた耐熱性樹脂組成物を厚さ50μmのテフロンフィルム(日東電工(株)製商品名:ナフロンテープTOMBO9001)に乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、130℃で3分間乾燥させたものを作製して、乾燥機で180℃×120分間硬化させ、接着フィルムを得、上記接着フィルムを用いて厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製商品名:カプトン100H)表面上に上記耐熱性樹脂組成物の層を張り合わせ、テフロンフィルムを除去した。次いで、35μmの圧延銅箔(日鉱グールドホイール(株)製商品名:BHY−22B−T)の粗化面側を張り合わせ、温度120℃、圧力5kgf/cm2で熱ロールラミネートを行って仮接着し、乾燥機で180℃×120分間硬化させ、試料Aとした。
【0063】
また、得られた耐熱性樹脂組成物を厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製商品名:カプトン100H)に乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、130℃で3分間乾燥させたものを作製して、乾燥機で180℃×120分間硬化させ、試料Bとした。
【0064】
また、得られた耐熱性樹脂組成物を厚さ50μmのテフロンフィルム(日東電工(株)製商品名:ナフロンテープTOMBO9001)に乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、130℃で3分間乾燥させたものを作製して、乾燥機で180℃×120分間硬化させ、テフロンフィルム付き接着フィルムを得、テフロンフィルムを剥がして試料Cとした。
【0065】
これら試料を用いて、接着性(試料A)、はんだ耐熱性(試料A)、難燃性 (試料B)、ガラス転移点(試料C)、及び貯蔵弾性率(試料C)を測定しその結果を表3に示した。これら特性の測定方法、条件を次に示す。
【0066】
(接着性)
試料A(試料構成:ポリイミドフィルム/耐熱性樹脂組成物/圧延銅箔粗化面)を用いて90°方向及び180°方向の引き剥がし試験を下記条件で行い、ポリイミドフィルム及び銅箔粗化面との剥離強度(kN/m)を測定した。
測定温度:25℃、剥離速度:50mm/min
【0067】
(はんだ耐熱性)
試料A(試料構成:ポリイミドフィルム/耐熱性樹脂組成物/圧延銅箔粗化面)を用いて300℃のはんだ浴に3分間、試料を浸漬し、ふくれ、はがれ等の外観異常の有無を調べた。
○:ふくれ、はがれ等の外観異常有り
×:ふくれ、はがれ等の外観異常無し
【0068】
(難燃性)
試料B(試料構成:ポリイミドフィルム/樹脂組成物)を用いてUL94難燃性規格に準拠して難燃性グレードを測定した。
【0069】
(ガラス転移点及び貯蔵弾性率)
試料C(試料構成:耐熱性樹脂組成物のみ)を用いて動的粘弾性測定(レオメトリック(株)製商品名:)を下記条件で行った。ガラス転移点(Tg)はtanδピークの最大値を用いた。
測定モード:引張り
チャック間距離:22.5mm
測定温度:−50〜300℃
昇温速度:5℃/分
測定周波数:10Hz
試料サイズ:5mm幅×30mm長
【0070】
(比較例1)
比較例1として、実施例1〜4の配合で(B)ゴム系エラストマーを含まない配合とした。そして、実施例と同様にして試料を作製し、諸特性を測定した結果を表3に示した。
【0071】
(比較例2)
比較例2として、実施例1〜4の配合で(D)熱硬化性樹脂を含まない配合とした。そして、実施例と同様にして試料を作製し、諸特性を測定した結果を表3に示した。
【0072】
(比較例3)
比較例3として、実施例1〜4の耐熱性樹脂組成物の代わりにメラミン樹脂 (三井サイテック社製、サイメル303)を使用した。そして、実施例と同様にして試料を作製し、諸特性を測定した結果を表3に示した。
【0073】
【表3】
【0074】
【発明の効果】
請求項1記載の耐熱性樹脂組成物は、接着性及び耐熱性に優れ、各種プリント配線板、半導体パッケージ用接着剤、接着フィルム、半導体パッケージ用封止材に好適である。請求項2記載の耐熱性樹脂組成物は、請求項1記載の発明の効果に加えて、さらに非ハロゲン系で十分な難燃性、接着性及び耐熱性に優れ、各種プリント配線板、半導体パッケージ用接着剤、接着フィルム、半導体パッケージ用封止材に好適である。
【0075】
請求項3記載の接着フィルムは、非ハロゲン系で十分な難燃性、接着性及び耐熱性に優れ、各種プリント配線板、半導体パッケージ用に有用である。請求項4記載の接着層付ポリイミドフィルムは、非ハロゲン系で十分な難燃性、接着性及び耐熱性に優れ、各種プリント配線板、半導体パッケージ用に有用である。
Claims (4)
- (A)シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、(B)エポキシ化ポリブタジエン及び(C)エポキシ樹脂を含有してなり、
前記(A)シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂が、芳香族環を3個以上有するジアミン及びシロキサンジアミンの混合物と無水トリメリット酸とを反応させて得られる下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表されるジイミドジカルボン酸を含む混合物と下記一般式(III)で表される芳香族ジイソシアネートとを反応させて得られるシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂である耐熱性樹脂組成物。
- さらに(D)リン系化合物又は(E)無機充填剤を含有してなる請求項1記載の耐熱性樹脂組成物。
- 請求項1又は2記載の耐熱性樹脂組成物からなる接着フィルム。
- ポリイミドフィルム上に接着層として、請求項3記載の接着フィルムが積層された接着層付ポリイミドフィルム。
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