JP4377019B2 - 防振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動発生部からの振動を吸収する防振装置に関し、例えばエンジンマウント、サスペンションブッシュ、ボディマウント等の自動車用や一般産業用機械用に適用可能なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、外筒内にゴム等で形成された弾性体を介して内筒が取り付けられると共に複数の液室を内蔵し、エンジンへこの内筒の下端部が連結されるような構造の防振装置が知られている。このような防振装置では、内筒の外周側に弾性体が加硫接着されていて、エンジンの振動により生じる内筒の軸方向に沿った変位に伴って、弾性体の内周側が変位するようになっている。
【0003】
例えば、この種の防振装置の一例として、図11に示されるようなものが知られており、この図に基づき従来技術を説明する。
この図に示すように、この防振装置110は、内筒112と外筒114とをゴムなどの弾性体116で連結し、この弾性体116にてエンジンの重量を支持する構造となっている。つまり、内筒112の下端部に螺合されたボルト122により、エンジンに繋がる取付アーム120と内筒112とが連結され、また、外筒114の下部に取り付けられた取付脚134により外筒114が車体側に連結される形となっている。
【0004】
さらに、この外筒114、ダイヤフラム118及び弾性体116で区画された空間で液室130を形成している。そして、メンブラン124を挟みつつ仕切部材126と仕切部材128とを合わせることによって、前記液室130内を区切って一対の液室130A、130Bを形成すると共にこれら液室130A、130B間を連結する制限通路132を形成する。
【0005】
従って、この防振装置110では、内外筒間の上下方向への相対変位に伴って、制限通路132内を液体が行き来して液柱共振により振動が減衰され、さらに高周波数の振動が発生したときには、メンブラン124の変形で振動を抑えることが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような従来の構造の防振装置では、広範囲な周波数帯域の振動に対応できるものの、ダイヤフラム118とメンブラン124とを別々に加硫接着している為、防振装置の製造コストが増大する欠点を有していた。
本発明は上記事実を考慮し、低コスト化を図りつつ広範囲な周波数帯域の振動に対応した防振装置を提供することが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1による防振装置は、振動発生部及び振動受け部の一方に連結され且つ周面に穴部が設けられた筒状の外筒と、外筒の内側に位置し且つ振動発生部及び振動受け部の他方に連結される内筒と、内筒と外筒との間に配設されて弾性変形により内筒と外筒とを相対変位可能とする弾性体と、弾性体を隔壁の少なくとも一部として拡縮可能とされ且つ液体が充填される受圧液室と、受圧液室と隔離されて設けられ且つ受圧液室と通路によって繋がれる副液室と、外筒の一端を塞ぐ形で副液室の隔壁の一部を構成する弾性変形可能なダイヤフラムと、ダイヤフラムと一体的に形成され且つ受圧液室の隔壁の一部として外筒の穴部を弾性変形可能に塞ぐメンブランとを有し、メンブランの剛性をダイヤフラムの剛性より高剛性にしてなることを特徴とする。
【0009】
請求項1に係る防振装置の作用を以下に説明する。
振動発生部が振動を発生させた場合、外筒あるいは内筒を介して振動が弾性体に伝達され、弾性体の変形により振動が吸収されて内筒あるいは外筒に連結された振動受部側に振動が伝達され難くなる。
【0010】
これに合わせて、振動発生部が発生させた振動が低周波数の振動の場合には、弾性体の変形に伴って受圧液室が拡縮し、これに伴って通路内を液体が流通する。そして、通路を介して受圧液室と繋がる副液室がダイヤフラムの変形により拡縮するので、液体流動の粘性抵抗及び液柱共振に基づく減衰作用で、防振効果を向上することができる。
【0011】
さらに、振動発生部が発生させた振動が高周波数の振動の場合には、通路は目詰まり状態となるが、メンブランの変形により受圧液室が拡縮するので、低動ばねとなって振動が低減されて、防振効果を向上することができる。
【0012】
一方、本請求項によれば、外筒の一端を塞ぐ形で副液室の隔壁の一部をダイヤフラムが構成し、メンブランが外筒の穴部を弾性変形可能に塞ぎつつこのダイヤフラムと一体的に形成される。
【0013】
従って、ダイヤフラムとメンブランとが一体的に形成されているので、ダイヤフラム及びメンブランにより広範囲な周波数帯域の振動に対応できるだけでなく、メンブランの加工コストが削減されて、防振装置の製造コストを低減することが可能となった。
【0014】
請求項1に係る防振装置の作用を以下に説明する。ダイヤフラムの剛性とメンブランの剛性とを相互に異ならせたことにより、広範囲な周波数帯域の振動をより確実に低減可能となった。
【0015】
つまり、メンブランの剛性をダイヤフラムの剛性より高剛性にすることによって、メンブランの剛性とダイヤフラムの剛性とを相違させれば、低周波数の振動が伝達された際には、高剛性のメンブランが変形せず、積極的に副液室側に液体が流通してダイヤフラムが変形することになる。そしてこの結果、ダイヤフラムの変形により副液室が確実に拡縮するので、低周波数の振動に対する防振効果を向上することができる。
【0016】
請求項2に係る防振装置の作用を以下に説明する。本請求項も請求項1と同様の構成を有して同様に作用するものの、メンブランが円形に形成されたことにより、単純にメンブランの直径を変更するだけで、簡易にメンブランの剛性を変化させることが可能となる。
【0017】
請求項3に係る防振装置の作用を以下に説明する。本請求項も請求項1と同様の構成を有して同様に作用するものの、メンブランが四角形に形成されたことにより、単純にメンブランの辺の長さを変更するだけで、簡易にメンブランの剛性を変化させることが可能となる。
【0018】
請求項4に係る防振装置の作用を以下に説明する。本請求項も請求項1と同様の構成を有して同様に作用するものの、メンブランの過大な変位を制限するストッパが、メンブランと対向しつつ受圧液室内に配置されたことにより、振動発生部から大きな振幅の振動が入力されて、弾性体が大きく変形するのに伴い受圧液室が大きく拡縮した場合でも、メンブランの過大な変位がストッパにより制限されて、メンブランの耐久性が向上する。
【0019】
さらに、受圧液室と副液室との間を区画する部材の一部でストッパを形成することにより、上記のようなストッパを受圧液室内に配置する構成を簡易に得ることができる。これに伴って、受圧液室内にストッパを配置する構成とすれば、新たな部材を増やすことなく、低コストでストッパを得ることができる。
【0020】
請求項5に係る防振装置の作用を以下に説明する。本請求項も請求項1と同様の構成を有して同様に作用するものの、メンブランの過大な変位を制限するストッパが、メンブランと対向しつつ受圧液室外に配置されたことにより、請求項4と同様に、受圧液室が大きく拡縮した場合でも、メンブランの過大な変位がストッパにより制限されて、メンブランの耐久性が向上する。さらに、上記のようにストッパを受圧液室外に配置する構成とすれば、防振装置の最終組立工程で簡易にストッパを設置でき、低コストでストッパの組付けが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態に係る防振装置を図1から図4までに示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。
図1から図3に示すように、本実施の形態の防振装置10は、一例として振動受け部としての自動車の車体側へ連結される下部外筒12を備えている。この下部外筒12は円筒状とされ、上部側は一定の径に形成された大径部12Aとされており、下部側には、段部を介して、大径部12Aより小径の小径部12Cが設けられている。この小径部12Cの下端側には、この下端側を覆う底部12Bが設けられ、この底部12Bの中心部に円形の円孔12Dが形成されている。
【0022】
また、外筒の一端側である下端側を構成するこの小径部12Cには、下部外筒12を車体へ取り付けるための略L字形の取付脚14が一対固着されており、これら取付脚14には、図示しない取付ボルトを挿通するボルト孔16がそれぞれ形成されている。
【0023】
さらに、下部外筒12の大径部12Aの外周側には、板状であって幅方向両端部及び長手方向中程が強度向上の為に屈曲された形状とされた補強用のステー32が、溶接等により接合されている。この下部外筒12に固着されたステー32の他端側には、車体へのねじ止め用のボルト孔34が形成されていて、このボルト孔34に挿入されたボルト(図示せず)の車体側へのねじ止めにより、ステー32を介して下部外筒12の上部が車体に支持されることとなる。
つまり、これら取付脚14及びステー32を介して下部外筒12が車体に連結されることになる。
【0024】
図1に示すように、この下部外筒12の内部には、それぞれ下部外筒12と同軸的に配設される中間筒22、弾性体24及び内筒金具26等から構成される弾性体ブロック18が、配設されている。
【0025】
この弾性体ブロック18を構成している中間筒22の軸方向中央部よりも上側部分は、下部外筒12の大径部12Aと嵌合される嵌合部22Aとされており、中間筒22の下部側は、嵌合部22Aよりも小径の小径部22Bとされている。なお、中間筒22は、嵌合部22Aと小径部22Bとの間の段部が下部外筒12の大径部12Aと小径部12Cとの間の段部に当接して、下部外筒12内で位置決めされている。
【0026】
また、内筒金具26は、平面状で円形の底部を有し且つ内筒金具26の基端側を形成するカップ材30及び、パイプ状に形成されると共に上端面がカップ材30の底部に溶接されて固着されるパイプ材28により、構成されている。
【0027】
このパイプ材28の内周側には雌ねじが形成されており、内筒金具26の図1において下側となる先端側が、下部外筒12の円孔12Dから下方へ突出している。さらに、このパイプ材28と接合されるカップ材30の底部の外周側は、上方へ行くに従って径が拡大されるテーパ形状とされている。
【0028】
一方、弾性体24はゴム製であってリング状に形成されている。また、この弾性体24は、その外周が中間筒22のほぼ内周面全域にわたって加硫接着され、その内周がカップ材30の外周面及びパイプ材28の外周面の略上半分へ加硫接着されることで、内筒金具26と中間筒22との間に配設されている。
【0029】
他方、図1及び図3に示すように、下部外筒12の下方側であって下部外筒12の底部12Bに対向した位置には、鋳鉄等で形成された取付アーム36の基端側を構成する角柱部36Aが配設されている。この角柱部36Aにはボルト孔37が形成されており、角柱部36Aの外周には厚肉のゴム製の緩衝材40が嵌合されて装着されている。
【0030】
さらに、角柱部36Aに形成されたボルト孔37に、下方からボルト58が挿通し、パイプ材28の雌ねじにこのボルト58が螺合されて、取付アーム36が内筒金具26に固定されている。また、図3に示すように、取付アーム36の先端側には取付部36Bが設けられており、振動発生部となるエンジン(図示せず)に連結するための複数個のボルト孔38がこの取付部36Bに形成されている。
【0031】
この一方、図1に示すように、下端側が下部外筒12の上端側にかしめられて下部外筒12と密接して、この下部外筒12とで外筒を構成する略円筒形状の上部外筒20が、弾性体ブロック18の上側を囲むように配設されている。そして、図1、図2及び図4に示すように、この上部外筒20の円周面上であって上部外筒20の下部寄りの位置には、上部外筒20の中心軸を挟んで一対の穴部20Aが、それぞれ丸く形成されている。
【0032】
この上部外筒20の上部側は下部側より一段細く形成された小径部20Bとされており、この小径部20Bには、薄肉のゴムで形成された弾性膜であるダイヤフラム44が、開口された上部外筒20の小径部20Bを塞ぐように、配設されている。さらに、この上部外筒20の内外壁面には、ダイヤフラム44から延びる薄肉のゴム材が加硫接着されている。この為、ゴム材が一対の穴部20Aをも覆っていて、これら穴部20Aを覆ったゴム材の部分が弾性変形可能な一対の弾性膜であるメンブラン46とそれぞれされている。
【0033】
そして、このメンブラン46の厚みはダイヤフラム44の厚みより厚くされ、メンブラン46の面積はダイヤフラム44の面積より小さくされているので、メンブラン46の剛性がダイヤフラム44の剛性より高剛性になるように、メンブラン46の剛性とダイヤフラム44の剛性とが相違している。
【0034】
一方、金属等で円盤状に形成された仕切板金具42の外周面が上部外筒20の内壁面にゴム材を介して嵌合されると共に、上部外筒20の下部側の部分と小径部20Bとの間の段部にこの仕切板金具42の外周部分が当接して位置決めされることで、上部外筒20内にこの仕切板金具42が配設されている。また、この仕切板金具42は円盤状に成形されているものの、仕切板金具42の外周面には、仕切り部42Aを除いた仕切板金具42の外周部分ほぼ一周にわたって仕切板金具42の周方向に延びる溝部42Bが、プレス加工により屈曲されることで設けられている。
【0035】
ここで、仕切板金具42と弾性体ブロック18との間に形成された空間が受圧液室54とされ、仕切板金具42とダイヤフラム44との間に形成された空間が副液室56とされていて、弾性体24及びメンブラン46が受圧液室54の隔壁の一部となると共に、ダイヤフラム44が副液室56の隔壁の一部となっている。
【0036】
他方、仕切板金具42の溝部42Bと上部外筒20の内周面を覆うゴム材との間に囲まれるC字状の空間は、通路であってオリフィスである制限通路48とされている。
【0037】
そして、図1から図3に示すように、仕切り部42Aを挟んだ一方であって仕切板金具42の下部側の部分には、切欠きが形成されており、この切欠きの開放端が上部外筒20の内周面を覆うゴム材により塞がれて貫通孔50とされていて、この貫通孔50によって受圧液室54と制限通路48とが連通されている。また、仕切り部42Aを挟んだ他方であって仕切板金具42の上部側の部分にも、切欠きが形成されており、この切欠きの開放端が上部外筒20の内周面を覆うゴム材により塞がれて貫通孔52とされていて、この貫通孔52によって副液室56と制限通路48とが連通されている。
【0038】
従って、受圧液室54と副液室56とは、制限通路48を介して常に連通していることになり、これら受圧液室54、副液室56及び制限通路48内には、水、シリコンオイル、エチングリコール等の液体が充填されている。
【0039】
次に本実施の形態の組立を説明する。
この防振装置10の組立に際しては、図1及び図3に示すように、取付脚14が固着されると共にステー32が接合された状態の下部外筒12内に、まず弾性体ブロック18を挿入して、下部外筒12の内周面側に弾性体24を介して内筒金具26が取り付けられた状態とする。そして、内筒金具26の先端側を構成するパイプ材28の下部に、緩衝材40が装着された取付アーム36をボルト58の雌ねじへのねじ込みにより、ねじ止める。
【0040】
その後、図4に示す上部外筒20にダイヤフラム44及びメンブラン46を加硫接着し、図1に示すように、これらが加硫接着された上部外筒20内に、一枚の金属板から円盤状にプレス加工された仕切板金具42を挿入して嵌合した状態で、下部外筒12の上部に上部外筒20を組付けて、上部外筒20の下端側を下部外筒12側にかしめ加工する。
【0041】
なおこの際、上部外筒20、仕切板金具42及び下部外筒12等の組立を液体中で行うことによって、防振装置10内に液体を充填してもよく、組立て後に、上部外筒20に形成した液体充填用の孔(図示せず)から注入するようにしてもよい。
【0042】
さらに、本実施の形態の防振装置10は、取付脚14及びステー32をそれぞれボルトによって自動車の車体へ連結し、取付アーム36をエンジンに連結するような、つり下げ形式となっている。従って、防振装置10の自動車内への装着に際して、内筒金具26がエンジンの荷重を受けると、弾性体24が圧縮変形され、内筒金具26が図1の状態よりも下方へ移動して、緩衝材40が下部外筒12の底部12Bから所定寸法離間する。
【0043】
尚、この防振装置10の組み立てに伴って、上部外筒20の外周面に一対の穴部20Aを設ける加工が必要となるが、加工の際には、プレス加工のトランスファラインに穴加工用の金型を新たに組み込むだけで良い。この為、従来技術と比較して穴加工によるコストアップの要因としては、金型代だけとなる。
【0044】
そして、従来技術と同様にダイヤフラム44を上部外筒20に加硫接着する際に、メンブラン46も同様に加硫接着できるので、メンブラン46の加工コストが大幅に削減できることになる。さらに、メンブラン46が上部外筒20の外周面側に位置するのに伴って、図11に示す従来技術のように仕切部材126と仕切部材128との間でメンブラン124を挟みつける必要が無くなり、一枚の仕切板金具42をプレス加工により形成するだけで良くなるので、同様に加工コストが大幅に削減できることになる。
【0045】
次に本実施の形態の作用を説明する。
エンジンが振動を発生させてエンジンからの振動が取付アーム36を介して内筒金具26に伝達されると、弾性体24が変形して振動を吸収することにより振動が減衰され、下部外筒12に連結される車体側に伝達される振動が小さくなるが、さらに、受圧液室54、副液室56、制限通路48、ダイヤフラム44及びメンブラン46等により、以下のように作用する。
【0046】
つまり、エンジンが発生させた振動が、例えばエンジンのシェイク振動等の低周波数の振動の場合には、弾性体24の変形に伴って受圧液室54が拡縮し、これに合わせて制限通路48内を液体が流通して、制限通路48を介して受圧液室54と繋がる副液室56がダイヤフラム44の変形により拡縮する。
【0047】
この為、液体が制限通路48を介して受圧液室54と副液室56との間を行き来し、液体流動の粘性抵抗及び液柱共振に基づく減衰作用で、大きな減衰力を発生することにより低周波数の振動が吸収され、防振効果を向上することができる。
【0048】
さらに、エンジンが発生させた振動が、例えばアイドリング振動等の高周波数の振動の場合には、制限通路48は目詰まり状態となるが、受圧液室54がメンブラン46の変形により拡縮するので、高周波数の振動の動ばね係数が低下し、振動が低減されて防振効果を向上することができる。この結果、アイドリング時における振動や音が小さくなる。
【0049】
一方、本実施の形態によれば、外筒の一端を塞ぐ形で副液室56の隔壁の一部をダイヤフラム44が構成し、メンブラン46が上部外筒20の穴部20Aを弾性変形可能に塞ぎつつこのダイヤフラム44と一体的に形成されている。
【0050】
従って、ダイヤフラム44とメンブラン46とが一体的に形成されているので、ダイヤフラム44及びメンブラン46により広範囲な周波数帯域の振動に対応できるだけでなく、前述のようにメンブラン46の加工コストが削減されて、防振装置10の製造コストを低減することが可能となった。
【0051】
尚、メンブラン46の剛性をダイヤフラム44の剛性より高剛性にすることによって、メンブラン46の剛性とダイヤフラム44の剛性とを相違させたので、低周波数の振動が伝達された際には、高剛性のメンブラン46が変形せず、積極的に副液室56側に液体が流通してダイヤフラム44が変形することになる。そしてこの結果、ダイヤフラム44の変形により副液室56が確実に拡縮するので、低周波数の振動に対する防振効果を向上することができ、広範囲な周波数帯域の振動をより確実に低減可能となった。
【0052】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る防振装置を図5から図8までに示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。尚、第1の実施の形態において説明した部材と同一の部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図5に示すように、本実施の形態に係る仕切板金具42には、丸い形の穴部20Aの下部まで受圧液室54側に延びるように形成された延長部42Cが設けられており、図6(A)に示すように、これら一対の穴部20Aの中央にそれぞれ対応する部分を挟んで、それぞれ長方形に形成された貫通穴62が一対づつこの延長部42Cに設けられている。
【0053】
つまり、一対の穴部20Aの中央に対応するこの延長部42Cの部分には、上下に繋がる桟のようなストッパ64がそれぞれ設けられることになり、これらストッパ64の上下方向中程が、穴部20Aを覆う円形のメンブラン46から若干離れるように、ストッパ64は変形されている。この為、本実施の形態では、メンブラン46の過大な変位を制限するように、このストッパ64が受圧液室54内に配置されることになる。
【0054】
以上より、メンブラン46の過大な変位を制限するストッパ64が、メンブラン46と対向しつつ受圧液室54内に配置されたことにより、エンジンから大きな振幅の振動が入力されて、弾性体24が大きく変形するのに伴い受圧液室54が大きく拡縮した場合でも、メンブラン46の過大な変位がこのストッパ64により制限されて、メンブラン46の耐久性が向上する。
【0055】
さらに、受圧液室54と副液室56との間を区画する仕切板金具42の一部でストッパ64を形成することにより、ストッパ64を受圧液室54内に簡易に配置することができる。つまり、受圧液室54内にストッパ64を配置する構造とすれば、新たな部材を増やすことなく、低コストでストッパを得ることができる。
【0056】
一方、第1の実施の形態と同様に、メンブラン46が円形に形成されたことにより、単純にメンブラン46の直径を変更するだけで、簡易にメンブラン46の剛性を変化させることが可能となる。
【0057】
次に、本実施の形態の第1変形例を説明する。
本変形例では、図6(B)及び図7に示すように、上部外筒20の下部寄りの円周面上の部分には、一対の穴部20Cがそれぞれ四角形に形成されつつ配置されている。この為、これら穴部20Cを覆うゴム材であるメンブラン46がそれぞれ四角形に形成されることになる。つまり、メンブラン46が四角形に形成されたことにより、単純にメンブラン46の辺の長さを変更するだけで、簡易にメンブラン46の剛性を変化させることが可能となる。
【0058】
次に、本実施の形態の第2変形例を説明する。
本変形例は、図8に示すようにメンブラン46のストッパ64と対向する側の中央部に、ストッパ64と常時当接する高さを有した凸部46Aがメンブラン46から突出した形で、設けられた構造となっている。この為、上記と同様にメンブラン46の過大な変位がストッパ64により制限されて、メンブラン46の耐久性が向上するだけでなく、ゴム製の凸部46Aがストッパ64と常時当接しているので、メンブラン46がストッパ64に接触する際の異音発生の防止を図ることができる。
【0059】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る防振装置を図9及び図10までに示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。尚、第1の実施の形態において説明した部材と同一の部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図9に示すように、本実施の形態に係る上部外筒20の外周面側の一対の穴部20Aに対応する位置関係で、リング状或いはC字状のブラケット74が、薄肉のゴム材を介して、上部外筒20にかしめられて取り付けられている。
そして、図10に示すように、一対の穴部20Aの中央にそれぞれ対応する部分を挟んで、それぞれ長方形に形成された貫通穴72が一対づつこのブラケット74に設けられている。
【0060】
つまり、一対の穴部20Aの中央に対応するこのブラケット74の部分には、上下に繋がる桟のようなストッパ76がそれぞれ設けられることになり、これらストッパ76の上下方向中程が、穴部20Aを覆う円形のメンブラン46から若干離れるように、ストッパ76は変形されている。この為、本実施の形態では、メンブラン46の過大な変位を制限するように、このストッパ76が受圧液室54外に配置されることになる。
【0061】
以上より、メンブラン46の過大な変位を制限するストッパ76が、メンブラン46と対向しつつ受圧液室54外に配置されたことにより、第2の実施の形態と同様に、受圧液室54が大きく拡縮した場合でも、メンブラン46の過大な変位がこのストッパ76により制限されて、メンブラン46の耐久性が向上する。さらに、上記のようにストッパ76を受圧液室54外に配置する構成とすれば、防振装置10の最終組立工程で簡易にストッパ76を設置でき、低コストでストッパの組付けが可能となる。
【0062】
尚、上記実施の形態において、振動発生部となるエンジン側に内筒金具26を連結し、振動受け部となる車体側に外筒を連結するような構成としたが、この逆の構成としても良い。尚、この場合には、防振装置10の上下を図1と逆向きにして、防振装置10を装着することが考えられる。
【0063】
他方、実施の形態において、自動車に搭載されるエンジンの防振を目的としたが、本発明の防振装置は例えば自動車のボディマウント等、あるいは自動車以外の他の用途にも用いられることはいうまでもなく、また、弾性体、メンブラン等の形状、寸法なども実施の形態のものに限定されるものではない。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の防振装置は上記構成としたので、低コスト化を図りつつ広範囲な周波数帯域の振動に対応することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る防振装置の断面図である。
【図2】図1の2−2矢視線図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る防振装置の分解斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る防振装置に適用されるゴム材が加硫接着される前の上部外筒の斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る防振装置の断面図である。
【図6】図5の6−6矢視線図であって、(A)は円形のメンブランを有したときの図であり、(B)四角形のメンブランを有した第1変形例に対応する図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る防振装置の第1変形例に適用されるゴム材が加硫接着される前の上部外筒の斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る防振装置の第2変形例の断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る防振装置の断面図である。
【図10】図9の10−10矢視線図である。
【図11】従来技術の防振装置の断面図である。
【符号の説明】
10 防振装置
12 下部外筒(外筒)
20 上部外筒(外筒)
20A 穴部
24 弾性体
26 内筒金具(内筒)
44 ダイヤフラム
46 メンブラン
54 受圧液室
56 副液室
64 ストッパ
76 ストッパ
Claims (5)
- 振動発生部及び振動受け部の一方に連結され且つ周面に穴部が設けられた筒状の外筒と、
外筒の内側に位置し且つ振動発生部及び振動受け部の他方に連結される内筒と、
内筒と外筒との間に配設されて弾性変形により内筒と外筒とを相対変位可能とする弾性体と、
弾性体を隔壁の少なくとも一部として拡縮可能とされ且つ液体が充填される受圧液室と、
受圧液室と隔離されて設けられ且つ受圧液室と通路によって繋がれる副液室と、
外筒の一端を塞ぐ形で副液室の隔壁の一部を構成する弾性変形可能なダイヤフラムと、
ダイヤフラムと一体的に形成され且つ受圧液室の隔壁の一部として外筒の穴部を弾性変形可能に塞ぐメンブランとを有し、
メンブランの剛性をダイヤフラムの剛性より高剛性にしてなることを特徴とする防振装置。 - メンブランが円形に形成されたことを特徴とする請求項1記載の防振装置。
- メンブランが四角形に形成されたことを特徴とする請求項1記載の防振装置。
- メンブランの過大な変位を制限するストッパが、メンブランと対向しつつ受圧液室内に配置されたことを特徴とする請求項1記載の防振装置。
- メンブランの過大な変位を制限するストッパが、メンブランと対向しつつ受圧液室外に配置されたことを特徴とする請求項1記載の防振装置。
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