JP4373518B2 - 基準時刻の補正方法及び故障点標定システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基準時刻の補正方法及び故障点標定システムに関する。更に詳しくは、基準時刻を正確にする為の基準時刻の補正方法、及びサージ検出時刻を正確に得ることで、正確に故障箇所を標定することができる故障点標定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、送電線路や配電線路(以下、あわせて「送配電線路」と記載する。)において送配電線路の途中に故障が発生した場合に、その故障箇所を挟む二つの子局におけるサージ検出時刻の差から送配電線路上の故障位置を求める方法が知られている(特公昭63−51274号公報等)。かかる方法においては、両端の子局においてそれぞれサージを検出した時刻(以下「サージ検出時刻」という。)の標定精度が故障位置の標定精度を左右する。
【0003】
このサージ検出時刻は、各子局内に備える基準時計及びGPS電波を併用して求めていることが多い。
この基準時計は、温度補償型水晶発振器や高温槽付水晶発振器等を用いた時計が多く、温度変化等による影響が少なく優れた計時誤差を持つが、長期間に渡る計時においては誤差が累積するため、サージ検出に無視できないものとなる。(図9参照)。
【0004】
そこで、GPS電波を用いた各子局間の基準時刻の同期が行われている。このGPS電波は、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)において人工衛星が発する電波である。そして、このGPSは、複数の人工衛星からの電波を受信して、その受信にかかる時刻の差から位置を求めるシステムである。このため高精度な時刻管理がされた同期信号を送信しており、この同期信号は地域による時刻の誤差が長期的に見ると極めて少ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、各同期信号においては図8に示すように、一定の範囲で進みや遅れといった誤差が生じている。このため、単純に同期信号によって基準時計の調整を行うとかえって不正確な時刻となり、サージ検出時刻として用いるには不適切である。
また、受信障害等によって、GPS電波を受信できない状態が生じた場合は、時刻の検出ができず、故障点の標定機能を行うことができない。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するものであり、常時正確なサージ検出時刻を得ることができる基準時刻の補正方法、及び正確なサージ検出時刻を得ることによって故障箇所を標定することができる故障点標定システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本第1発明の基準時刻の補正方法は、送配電線路のいずれかの箇所で発生した故障によるサージ電圧又はサージ電流の検出時刻として用いられる基準時刻の補正方法において、受信したGPS電波から得られるGPSの保有する標準時刻、及び該標準時刻を取得した時の基準時刻の差を求め、該差を一定期間分累積した後、該保存した差の平均値を該基準時刻に加えることで基準時刻を補正することを特徴とする。
【0008】
本第2発明の故障点標定システムは、送配電線路に設置されサージ検出時刻の情報を親局(2)に送信する子局(1)と、該サージ検出時刻の情報をもとに故障点を標定する親局(2)と、を有する故障点標定システムであって、上記子局(1)は受信したGPS電波から得られるGPSの保有する標準時刻、及び該標準時刻を取得した時の基準時刻の差を求め、該差を一定期間分累積した後、該保存した差の平均値を該基準時刻に加えることで基準時刻を補正し、送配電線路のいずれかの箇所で発生した故障によるサージ電圧又はサージ電流の検出時刻を該基準時刻より求め、通信網を通じて上記親局(2)に送信することを特徴とする。
【0009】
上記親局(2)は第3発明に示すように、上記送配電線路網の故障点を挟む一対の子局のうちの一の子局の上記サージ検出時刻t1と、他の子局の上記サージ検出時刻t2と、サージの伝播速度vと、該子局間の送配電線路の長さLと、をもとに、該一の子局から上記故障点までの送配電線路上の距離L1を、式L1=(L+(t1−t2)×v)/2から求めるものである。
【0010】
また、上記親局(2)は第4発明に示すように、上記送配電線路網の電源端に最も近い子局の上記サージ検出時刻t1と、送配電線路網の末端の子局の上記サージ検出時刻t2と、サージの伝播速度vと、該子局間の送配電線路の長さLと、をもとに、該電源端側の子局から上記故障点までの送配電線路上の距離L1を、式L1=(L+(t1−t2)×v)/2から求め、更に、上記計算で得られた故障点位置を挟む一対の子局のうちの一の子局の上記サージ検出時刻t3と、他の子局の上記サージ検出時刻t4と、サージの伝播速度vと、該一対の子局間の送配電線路の長さL’と、をもとに、該一の子局から上記故障点までの送配電線路上の距離L3を、式L3=(L’+(t3−t4)×v)/2から求めるものである。
【0011】
【作用】
GPS受信手段が出力する標準時刻の同期信号(以後、同期信号という)は個々の信号が正確ではなく、絶対基準となる世界標準時刻に対してある範囲の誤差を持って出力されている。たとえば、標準時刻の秒が変化する毎に同期信号を出力するGPS受信器の場合、その同期信号の標準時刻に対する誤差を一定期間(例えば、一日間)収集し、そのデータを集計してグラフにすると、図8に示すような正規分布グラフとなり、一定の範囲で誤差が発生していることがわかる。
【0012】
しかし、ここで注目すべきことは、同期信号の誤差が一定範囲でばらつくことではなく、その誤差の集計結果が標準時刻との誤差が零である位置を中心に正規分布になることである。つまり、集計データの平均値は正規分布グラフの中心となるため、標準時刻との誤差が零となることを意味する。
このことから、GPS受信器の同期信号は、標準時刻に対して1秒単位のような短時間で見ると200ns程度の範囲で誤差をもっているが、一日間又は一週間といった期間における平均値では、誤差が限りなく零に近づく性質を有することがわかる。
【0013】
次に、発振回路が出力する基準時刻信号であるが、通常、精度が高く安定した基準時刻信号を得るためには、発振器に温度補償形水晶発振器もしくは恒温槽付水晶発振器を使用する。
これらの発振器は、周囲の温度変化に対しても非常に安定しており、また、短期間(たとえば、1秒、1分、1日及び1週間等)での基準時刻信号の進みや遅れといった変動が殆ど無いといえる精度を容易に得ることができる。しかし一方で、基準時刻信号の微少な時刻の誤差が累積されることにより、長期間(たとえば1年とか10年)では大きな基準時刻の累積誤差を発生させる性質を有する。
【0014】
図9にその代表例として、恒温槽付水晶発振器が出力する、基準時刻信号周波数の経時変化特性グラフを示す。図9に示すように、短期間では誤差が殆ど見られないが、長期間に渡ることで微少な時刻の誤差が累積することで無視することができないほどの大きな誤差となる。
【0015】
このため、発振回路の基準時刻信号によって生成される時刻を基準時刻とし、一定期間蓄積した同期信号を受け取った時の基準時刻と標準時刻との誤差の平均値をもって基準時刻の補正を行う。つまり、基準時刻信号と同期信号を受け取った時の基準時刻との時刻差を加えることで、時刻の正確性を保つことができる(図6参照)。また、図7に示すように、この補正を定期的に行うことで補正を行わない場合より誤差を狭い範囲に保つことができる。
以上より、一定期間蓄積した同期信号を受け取った時の基準時刻と標準時刻との誤差の平均値をもって行う基準時刻の補正を定期的にすることで、常に正確な標準時刻を得ることができる。また、各子局が正確な標準時刻でサージを検出し、正確なサージ検出時刻で親局に送信することで、送配電線路の故障点を正確に求めることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜9を用いて本発明の実施の形態を説明する。
〔実施例〕
(1)故障点標定システムの構成
本故障点標定システムは、図1に示すように、送配電線路の各鉄塔や電柱に設置される子局1と、電力会社の営業所や支店などに設置され、子局1からの情報をもとに故障点を標定する親局2とからなる。
【0017】
(a)子局
子局1は、図2に示すように、GPSアンテナ111と、GPS受信機112と、発振回路121と、基準時計122と、基準時刻保持回路123と、ZCT131(零相変流器)と、フィルタ回路132と、サージ信号検出回路133と、サージ検出時刻保持回路134と、中央処理ユニット141と、通信インターフェイス142と、を備える。
【0018】
そして、ZCT131、フィルタ回路132、サージ信号検出回路133、サージ検出時刻保持回路134、並びに中央処理ユニット141の一部は「サージ検出手段13」に相当する。また、中央処理ユニット141と通信インターフェイス142は「サージ情報送信手段14b」に相当する。
【0019】
そして、同程度の概念としては、 GPSアンテナ111とGPS受信機112をまとめて「GPS受信手段11」としてとらえることができ、発振回路121と基準時計122と基準時刻保持回路123とをまとめて「計時手段12」としてとらえることができる。
【0020】
以下、各構成要素について説明する。
(i)ZCT131(零相変流器)
送配電線路の鉄塔に取付けられ、故障時に発生するサージ信号(サージ電流)を検出し、フィルタ回路132に送る。なお、サージ信号としてサージ電圧を検出する場合には、PT又はPD等の電圧検出器を使用する。
(ii)フィルタ回路132
ZCT131が検出した信号から、サージ信号以外の不要な商用周波信号成分等を除去し、サージ信号のみを通過させ、サージ信号検出回路133に送る。
(iii)サージ信号検出回路133
サージ信号のレベルを検出し、信号レベルがサージ認定レベルを超えたら、サージの発生と判断して時刻保持信号をサージ検出時刻保持回路134へ出力する。
【0021】
(iv)サージ検出時刻保持回路134
サージ信号検出回路133から時刻保持信号が出力されると、その時の基準時計122の時刻を保持し、それをサージ検出時刻として中央処理ユニット141へ出力する。
【0022】
(vi)GPSアンテナ111とGPS受信機112
GPSアンテナ111がGPS衛星からの電波を受信し、それをGPS受信機112に送る。そしてGPS受信機112が、その電波からGPS衛星が保有する標準時刻の情報を同期信号として取り出し、基準時刻保持回路123へ出力する。
(vii)基準時刻保持回路123
GPS受信機112から同期信号を受信すると、受信時の基準時計122の基準時刻を保持し、この基準時刻を中央処理ユニット141へ出力する。
【0023】
(viii)基準時計122
基準時刻を基準時刻保持回路123及びサージ検出時刻保持回路134へ出力する。
(ix)発振回路121
時刻を計時するための基準時刻信号を基準時計122へ出力する。
【0024】
(x)中央処理ユニット141
サージ検出時刻保持回路134から出力されるサージ検出時刻を、通信インターフェイス142を介して親局2に送信する。また、基準時刻保持回路123から受けた基準時刻を、標準時刻との時刻誤差データとして1日間分収集し、その誤差データから標準時刻との平均誤差値を求め、その値を補正値として基準時計122の時刻に加え、基準時刻の補正処理を行う基準時刻補正処理124を行う。
(xi)通信インターフェイス142
中央処理ユニット141が公衆回線網を使って親局2と通信できるように、中央処理ユニット141と公衆回線網との間で通信信号を中継する。
【0025】
(b)親局
また、親局2は図3に示すように、通信インターフェイス21と、 補助記憶装置222と、中央処理装置23と、CRT241と、プリンタ242と、キーボード25とを有する。
【0026】
ここで、通信インターフェイス21は、各子局からのサージ検出時刻の情報を受信する子局サージ情報受信手段21bとして位置づけることができる。
そして、中央処理装置23は、サージ検出時刻をもとに故障位置を標定する故障位置特定手段23cとして位置づけることができる。
【0027】
更に、CRT241とプリンタ242は、標定結果を出力する情報出力手段24として位置づけることができる。そして、キーボード25は、入力手段として位置づけることができる。
以下で各構成要素について説明する。
【0028】
(i)通信インターフェイス21
子局1との間の通信信号を中継する。即ち、公衆回線網を介して子局1から送られてくる信号を変換して、中央処理装置23に渡す。
【0029】
(ii)中央処理装置23(パーソナルコンピュータ、ワークステーションなど)
各子局1,1,1,...から送られてくる位置情報とサージ検出時刻とを、通信インターフェイス21を介して受け取り、後述する故障点標定処理を行う。
故障点標定処理によって得た故障点は、補助記憶装置222に記憶されていた送配電線路図データと共に、CRT241もしくはプリンタ242へ出力される。
【0030】
(iii)補助記憶装置222(ハードディスクなど)
各子局1,1,1,...から送られてくるサージ検出時刻や位置情報、並びに中央処理装置23が計算した故障点及び中央処理装置23での処理に必要な送配電線路図データを記録し保存する。
ここで、送配電線路図データには、電柱や鉄塔の位置データ、各電柱(鉄塔)間の距離データなどがある。
(iv)プリンタ242
中央処理装置23の指示により、中央処理装置23から送られた送配電線路図データや故障点の標定結果などを印刷する。
【0031】
(v)CRT241
中央処理装置23の指示により、中央処理装置23から送られた送配電線路図や故障点の標定結果などを表示する。
(vi)キーボード25(入力手段)
送配電線路図を作成するために必要な作図データ等を入力する。
ここで、作図データには、電柱や鉄塔の位置データ、各電柱(鉄塔)間の距離データなどがある。
【0032】
(2)基準時刻の補正処理
以下に、基準時刻補正処理124で行う、基準時刻の補正処理の方法について説明する。
▲1▼子局の電源が投入され、GPS受信機112から同期信号及び標準時刻データが出力される様になった段階で、中央処理ユニット141はGPS受信機112から標準時刻データを受けとり、その時刻データを基準時刻として基準時計122に設定し、基準時計122の計時時刻を標準時刻に合わせる。
【0033】
▲2▼GPS受信機112が出力する同期信号、たとえば1秒ごとに出力されるとした場合、その1秒ごとの同期信号に合わせて、基準時計112の時刻が基準時刻保持回路123に保持されるため、その時刻を中央処理ユニット141に取込む。また同時に、GPS受信機から標準時刻データが出力されるため、その標準時刻データも取り込み、標準時刻と基準時刻との差(-ε0、-ε1、...、+εn)を求め、時刻誤差データとして記憶する(図5参照)。
【0034】
▲3▼この時刻誤差データが一定量、たとえば1日分収集できた段階で集計し、時刻誤差データの平均値を算出する。この平均値は、基準時刻と標準時刻との実際の誤差であるため(図6参照)、基準時計の計測時刻に加える。これによって、基準時計の時刻が標準時刻に修正される。
【0035】
この方法によれば、発振回路が出力する基準時刻信号の長所(短時間の誤差が殆ど無い)と、GPS受信機が出力する同期信号の長所(長時間の誤差の平均値が標準時刻に近づく)を取入れることができ、短時間、長時間(長期間)ともに安定した、標準時刻との誤差が少ない基準時刻を得ることか出来る。従って、各子局との基準時刻の同期ズレも殆どなくすことができるため、サージ検出時刻の差を正確に検出できるようになり、故障点の標定精度を上げることが出来る。
【0036】
(3)故障点標定システムにおける処理
以下では、送配電線路に故障が生じた場合に故障箇所を特定するための手続きについて説明する。まず(a)において、子局におけるサージ検出時刻の標定について説明をし、次に(b)において、親局における故障点の標定について説明する。
【0037】
(a)子局におけるサージ検出時刻の標定
以下に、子局1の中央処理ユニット141におけるサージ検出時刻の標定手続を示す。
子局は、故障時に発生するサージ電流をZCT131で受信し、フィルタ回路132及びサージ信号検出回路133によって検出し、サージ検出信号をサージ検出時刻保持回路134へ出力する。次いで、サージ検出時刻保持回路134ではサージ検出信号を受けたときの基準時刻を保持し、サージ検出時刻として中央処理ユニット141へ出力する。続いて、中央処理ユニット141は、サージ検出信号の検出時刻データを、故障情報として子局番号と共に親局へ自動送信する。
【0038】
(b)親局における故障点の標定
以下に、親局2の中央処理装置23における故障点の標定の原理及び手続を示す。まず(i)において、その故障点標定の原理について説明し、次に(ii)でその手続きについて説明する。
【0039】
(i)故障点標定の原理
図4に故障点の標定原理図を示す。
子局▲1▼と子局▲2▼の間で地絡故障が発生すると、図4に示すように進行波(サージ)が発生する。この進行波が子局▲1▼及び子局▲2▼で検出される時刻は、送配電線路を伝播する進行波の伝播速度vが一定であると仮定すれば、故障発生地点からの各子局までの距離L1,L2に比例することになる。
【0040】
つまり、子局▲1▼と子局▲2▼の間の送配電線路の長さLが分かっており、子局▲1▼及び子局▲2▼で検出した時刻差を正確に検出することができれば、図4に示すように、計算式「L1=(L+(t1−t2)×v)/2」により子局▲1▼から故障点までの距離L1を求めることができることになる。
【0041】
本実施例の故障点標定システムにおいては、サージ時刻の差を検討する子局(電源端と末端の子局)の間の送配電線路の長さLは、予め計算し記憶しているものである。この長さLは、手動入力や、GPSによる自動計測などで求めたものである。
【0042】
また、隣り合う子局については、送配電線路がほぼ直線であるという仮定のもとに、子局の位置情報(緯度、経度、高度)をもとに両者の間の送配電線路の距離を計算することができる。
更に、隣り合わない子局間の距離については、その間に存在する隣り合う子局同士の間の送配電線路の長さを足し合わせることで、子局間の送配電線路の長さLを得ることができる。
【0043】
(ii)故障点標定の手続
親局2の中央処理装置23は、あらかじめ電源端に最も近い子局と、送配電線路網の各末端の子局との間の送配電線路の長さLを計算し記憶している。
そして、中央処理装置23は、送配電線路上の電源端に最も近い子局1と、幹線及び支線の末端に最も近い子局1との組み合わせを選択し、両子局のサージ検出時刻の差から故障点を標定する。
【0044】
即ち、中央処理装置23は、電源端側の子局のサージ検出時刻t1と、末端側の子局の上記サージ検出時刻t2と、サージの伝播速度vと、両子局間の送配電線路の長さLと、をもとに、電源端側の子局から送配電線路の故障の生じた位置(故障点)までの送配電線路上の距離L1を、式L1=(L+(t1−t2)×v)/2から求める。
ただし、vは架空線路の場合とケーブル配電線路の場合とを考えて150〜300m/μsとしている。このvは250〜300m/μsとするとより好ましい。
【0045】
そして、標定した故障点の近くにその故障点を挟む子局1,1がある場合は、再度、それらの子局のサージ検出時刻の差から故障点の標定をし直すことにより、標定の信頼性を上げることができる。
この故障点の標定手続については、オペレータがその都度手動操作により中央処理装置23に必要な指示を与えて、故障点の標定処理をさせるものとしてもよいし、中央処理装置23が自動的に処理できるようにプログラムを組んでもよい。
【0046】
なおこの場合、両端の子局の基準時計の時刻を同期させていなければ正確な時刻差は検出できないが、ここでは、上述したように、GPS衛星から送られてくる標準時刻と、各子局の基準時計の時刻を組合わせて随時補正することにより、各子局の時刻の同期を取っている。
【0047】
(III)故障発生個所の表示
親局2の中央処理装置23は、故障点の標定が完了すると、故障発生個所をオペレータに知らせるため、補助記憶装置222に格納している送配電線路図情報と、標定した故障点と、をCRT241の画面に表示する。また、オペレータの要求に応じてそれらをプリンタ242から印刷させる。
【0048】
(4)故障点標定システムの運用
子局1は、送配電線路を支持する電柱(鉄塔)に取り付け、いつ故障が発生しても検出できるように24時間連続で運転する。
親局2は、例えば、電力会社の支店又は営業所に設置し、オペレータがいる間だけ運転するようにしてもよいし、いつ故障が発生してもすぐに故障点が確認できるように、24時間運転としてもよい。
【0049】
(5)故障点標定システムの効果
本実施例の故障点標定システムは、子局内の計時手段12とGPS受信手段11を組合わせることにより、各子局で同期し、正確な時刻を維持することで、故障箇所の両側(電源端と末端)に位置する子局のサージ信号の到達時刻の差から、故障点の位置(子局から故障点の位置までの距離)を特定する。また、GPS電波を受信できない状態が短期間生じた場合でも、子局内部の基準時間を利用することができる。従って、故障点の標定を迅速かつ正確に行うことができる。
【0050】
〔その他〕
なお、本発明においては、前記実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した態様とすることができる。即ち、基準時刻とGPSから得た標準時刻と差である時刻誤差データは、各々1日間分収集してから平均値を求めることができるし、予め積算した状態で保存して、その後、収集回数で割ることで平均値とすることもできる。
また、子局から親局への情報の送信は、携帯電話、PHS及び公衆電話回線等の有線や無線等の公衆回線網を利用するものとすることができるし、送配電線路に設けられた専用回線網(メタルケーブル、光ファイバ、無線など)によって行うものとしてもよい。更に、送配電線路上に変調した信号を搬送させてもよい。
【0051】
また、送配電線路図情報中の地図データについても、補助記憶装置に記録される態様に限られるものではなく、磁気ディスク、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)等の他の記録メディアに記録されるものであってもよい。また、インターネット上の地図情報システムを運用しているWWWサイトのサーバから地図データをダウンロードし、又はオンラインで取り出すものとしてもよい。インターネットを介してサーバからデータをダウンロードし、又はオンラインで取り出す態様とすれば、地図情報を独自に保持する必要がなく常に最新の地図情報を入手することができる。
【0052】
【発明の効果】
請求項1記載の基準時刻の補正方法及び請求項2記載の故障点標定システムにおいては、GPS電波から得られる標準時刻を一定期間蓄積し、その平均値をもって基準時刻を補正している。
このため、各子局間で同期した標準時刻を維持することができ、各子局におけるサージ検出時刻を同程度に正確に標定することができる。即ち、各子局で受信するサージの立ち上がり時刻の違いにより生じる、サージ検出時刻のばらつきが少ない。
【0053】
請求項3及び請求項4記載の故障点標定システムにおいては、親局を備えるため、その親局によって、各子局からのサージ検出時刻の情報をもとに故障点を標定することができる。しかも、送配電線路網に設けられる子局とは別に親局を備えるため、故障点の標定機能を親局の設備に任せることで、各子局の設備を簡易かつコンパクトなものとすることができる。
また、GPS受信機が何らかの電波障害等によって、GPS電波を受信できない状態が短期間(短時間)生じた場合でも、子局内部の基準時間を利用することで、故障点の標定機能を支障なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】故障点標定システムの親局と子局の関係を示す説明図である。
【図2】子局の各構成要素の説明図である。
【図3】親局の各構成要素の説明図である。
【図4】故障箇所を特定する原理を示す説明図である。
【図5】基準時刻の補正方法を説明する為の模式図である。
【図6】基準時刻の補正方法を説明する為の模式図である。
【図7】基準時刻の補正方法を説明する為の模式図である。
【図8】GPS電波を受信して得られる標準時刻の誤差の分布を説明するためのグラフである。
【図9】基準時刻の発振回路の累積誤差を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
1;子局、11;GPS受信手段、111;GPSアンテナ、112;GPS受信機、12;計時手段、121;発振回路、122;基準時計、123;基準時刻保持回路、124;基準時刻補正処理、13;サージ検出手段、131;ZCT(零相変流器)、132;フィルタ回路、133;サージ信号検出回路、134;サージ検出時刻保持回路、14b;サージ情報送信手段、141;中央処理ユニット、142;通信インターフェイス、2;親局、21;通信インターフェイス、21a;子局位置情報受信手段、21b;子局サージ情報受信手段、22;地図情報記憶手段、221;CD−ROMドライブ、222;補助記憶装置、23;中央処理装置、23a;送配電線路図情報作成手段、23b;故障区間特定手段、23c;故障位置特定手段、24;送配電線路図情報出力手段、241;CRT、242;プリンタ、25;キーボード(入力手段)。
Claims (4)
- 送配電線路のいずれかの箇所で発生した故障によるサージ電圧又はサージ電流の検出時刻として用いられる基準時刻の補正方法において、
受信したGPS電波から得られるGPSの保有する標準時刻と、該標準時刻を取得した時の該基準時刻との差を求め、該差を一定期間分累積した後、該累積した差の平均値を該基準時刻に加えることで該基準時刻を補正することを特徴とする基準時刻の補正方法。 - 送配電線路に設置されサージ検出時刻の情報を親局(2)に送信する子局(1)と、該サージ検出時刻の情報をもとに故障点を標定する該親局(2)と、を有する故障点標定システムであって、
上記子局(1)は受信したGPS電波から得られるGPSの保有する標準時刻と、該標準時刻を取得した時の該基準時刻の差を求め、該差を一定期間分累積した後、該累積した差の平均値を該基準時刻に加えることで基準時刻を補正し、
送配電線路のいずれかの箇所で発生した故障によるサージ電圧又はサージ電流の検出時刻を該補正後の基準時刻より求め、通信網を通じて上記親局(2)に送信することを特徴とする故障点標定システム。 - 上記親局(2)は、上記送配電線路網の故障点を挟む一対の子局のうちの一の子局の上記サージ検出時刻t1と、他の子局の上記サージ検出時刻t2と、サージの伝播速度vと、該子局間の送配電線路の長さLと、をもとに、該一の子局から上記故障点までの送配電線路上の距離L1を、式L1=(L+(t1−t2)×v)/2から求めるものである請求項2記載の故障点標定システム。
- 上記親局(2)は、上記送配電線路網の電源端に最も近い子局の上記サージ検出時刻t1と、送配電線路網の末端の子局の上記サージ検出時刻t2と、サージの伝播速度vと、該子局間の送配電線路の長さLと、をもとに、該電源端側の子局から上記故障点までの送配電線路上の距離L1を、式L1=(L+(t1−t2)×v)/2から求め、
更に、上記計算で得られた故障点位置を挟む一対の子局のうちの一の子局の上記サージ検出時刻t3と、他の子局の上記サージ検出時刻t4と、サージの伝播速度vと、該一対の子局間の送配電線路の長さL’と、をもとに、該一の子局から上記故障点までの送配電線路上の距離L3を、式L3=(L’+(t3−t4)×v)/2から求めるものである請求項2記載の故障点標定システム。
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