JP4370738B2 - インジェクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料噴射用のインジェクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃料噴射装置に用いられるインジェクタは、噴孔を閉じるニードルを着座状態とリフト状態とに切り換えることにより、燃料の噴射とその停止とを切り換える。燃料の噴射量はニードルの開弁時間により制御される。ニードルの着座状態とリフト状態とを切り換える代表的な構造として、ニードルに、加圧された燃料により常時開弁方向の付勢力が作用するようにしておくとともに、ニードルの後端面側に、ニードルを閉弁方向に付勢する背圧を発生する背圧室を設けて、背圧の高低切り換えによりニードルの着座状態とリフト状態とを切り換えるものがある。このインジェクタでは、高圧源から背圧室に導入される燃料により背圧を高圧にしてニードルを着座状態とし、背圧室の燃料を低圧源に排出することにより背圧を低圧にしてニードルをリフト状態とする。背圧室における燃料の導入と燃料の排出との切り換えは、背圧室と低圧源との間に介設された弁室内に弁体を配設して、弁体により背圧室と低圧源との連通と遮断とを切り換えることでなされる。弁体には、弁室内の燃料圧が、低圧源に通じるポートを閉鎖する方向に作用するようにしておき、開弁する場合にはピエゾアクチュエータ等のアクチュエータが弁体を押圧して弁体をリフトする。
【0003】
また、アクチュエータは直接、弁体を押圧するのではなく、油圧を介して行うものもある。このものでは、燃料が充填された油圧室を備えており、油圧室は、アクチュエータの駆動力で前進するピストンにより前記燃料が圧縮して前記弁体を押圧し開弁せしめる押圧力を発生する。
【0004】
ところで、近年、燃料の噴射率や噴霧状態を、内燃機関の運転状態に応じて、例えば低速域と高速域とで、また、低負荷域と高負荷域とで切り換えて、運転状態に適合した最適な燃焼状態を実現し、排ガスのクリーン化や機関出力の高出力化を図る試みがなされている。燃料の噴射率や噴霧状態を切り換える手段として、インジェクタのニードルを着座状態およびフルリフト状態の2つの状態の間でだけ切り換えるのではなく、その中間の状態(ハーフリフト状態)をも選択し得るようにする技術がある。
【0005】
ニードルをハーフリフトとする場合、前記弁体のリフト量を、ニードルがフルリフトのときのリフト量よりも小さなリフト量に調整して、背圧室から低圧源への燃料の排出流量を減じ、ニードルを閉弁方向に付勢する背圧室の圧力をニードルがフルリフトのときよりも高圧にして、ニードルをハーフリフトとすることが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、弁体が低圧源に通じるポートを閉鎖している閉弁状態では、弁室内の弁体に作用する燃料圧が、圧倒的に閉弁方向に作用するアンバランスなものとなっている。弁体はこの閉弁方向の燃料圧に抗して開弁することになるが、弁体に作用する燃料のアンバランスは、弁体が一旦、リフトすると緩和される。この緩和は弁体のリフトを促す方向に作用するので、閉弁状態から開弁するのに必要な押圧力と、弁体を所定のリフト量に維持するのに必要な押圧力とには、あまり差がない。このため、弁体のリフト量を制御して、ニードルをハーフリフトに維持するのは困難であった。
【0007】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、ニードルを良好にハーフリフトとすることができるインジェクタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、常時開弁方向の付勢力を受けるニードルと、該ニードルの後端面側に形成されて、ニードルを閉弁方向に付勢する背圧を発生する背圧室とを有し、高圧源から背圧室に導入される燃料により前記背圧を高圧にしてニードルを着座状態とし、背圧室の燃料を低圧源に排出してニードルをリフト状態とするインジェクタであって、
背圧室と低圧源との間に介設された弁室と、
該弁室内に配設されて、背圧室と低圧源との連通と遮断とを切り換える弁体とを有するインジェクタにおいて、
燃料が充填され、アクチュエータの駆動力で前進するピストンにより前記燃料が圧縮して前記弁体を押圧し開弁せしめる押圧力を発生する油圧室と、
前記油圧室と連通する別の油圧室と、
該別の油圧室の燃料圧を受けて作動し、燃料圧が、前記弁体がリフトする燃料圧よりも大きな所定の燃料圧を越えると、ニードルのリフト位置を切り換えるリフト位置切り換え手段とを具備せしめる。
【0009】
弁体がリフトする燃料圧よりも大きな所定の燃料圧になると作動するリフト位置切り換え手段を設けることで、弁体のリフト量の微妙な制御をすることなく、アクチュエータの駆動力を大きく2段階に切り換えるだけで、ニードルをフルリフトとハーフリフトとの間で切り換えることができる。
【0010】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、前記リフト位置切り換え手段、離座したニードルを受けてニードルを所定のリフト位置で停止せしめるストッパであって、ニードルの変位方向に移動自在に構成されたストッパにより構成する。
【0011】
ストッパの、ニードルの変位方向のストロークだけで、ニードルのリフト量の設定をすることができ、設計が容易である。
【0012】
請求項2の発明の構成におけるストッパとしては、請求項3記載の発明のように、前記ストッパにピストン部を具備せしめて、該ピストン部にてストッパ用のガイド孔に摺動自在に保持せしめ、
該ストッパ用ガイド孔を、ニードルを主導自在に保持するニードル用のガイド孔と同方向で、かつ、ニードルの後端面側で連なるように形成した凹所により構成し、
該凹所の底部に前記油圧室の燃料を導入し、前記凹所底部により前記別の油圧室を形成する。
【0013】
また、ストッパの構成は、請求項4記載の発明のように、前記ストッパを、ニードルの変位方向に設けられたねじ軸と螺合し、ねじ軸の軸方向に移動自在なストッパ本体部材と、
該ストッパ本体部材の外周に設けられて、ストッパ本体部材が前記軸方向にのみ相対移動可能な筒状部材とにより構成し、
該筒状部材を摺動自在に保持する保持穴の側面と筒状部材の側面との間に、扇状の空間であって、その周方向の一端が筒状部材の側面に形成された段部の段側面により区画され、周方向の他端が保持穴の側面に形成された段部の段側面により区画された空間を形成するとともに、該空間に前記油圧室の燃料を導入し、前記空間により前記別の油圧室を形成する。
【0014】
請求項5記載の発明では、請求項1の発明の構成において、前記リフト位置切り換え手段を、背圧室と低圧源との間に介設された別の弁室内に配設されて、背圧室と低圧源との連通と遮断とを切り換える別の弁体により構成する。
【0015】
弁体および別の弁体のうち、弁体のみが開弁するか、両方とも開弁するかの切り換えだけで、背圧室からの燃料の排出モードを2種類に切り換えることができる。
【0016】
請求項6記載の発明では、請求項5の発明の構成において、背圧室における燃料の排出用で前記弁室に通じる排出ポートを、ニードルを摺動自在に保持するガイド孔の、ニードルの摺接部と摺接可能な面に開口せしめるとともに、
排出ポートの開口位置を、着座状態のニードルの摺接部によって閉鎖されず、フルリフト状態のニードルの摺接部によって閉鎖される位置とする。
【0017】
弁体のみが開弁したときには、ニードルが排出ポートを閉鎖するまでリフトすると、背圧室からの燃料の排出が禁止されて、背圧室の燃料圧を増大する方向に作用するので、排出ポートの開口位置によりリフト量が規定され、ハーフリフトとすることができる。一方、別の弁体が開弁したときには別の弁室を経由する燃料の排出経路が確保されて、ニードルは排出ポートを閉鎖してもさらにリフトし、フルリフトとなる。
【0018】
請求項7記載の発明では、請求項6の発明の構成において、前記ニードルの後端面側に設けられて、ニードルの摺接部が排出ポートを閉鎖する位置においてニードルと弾接するばね部材を設ける。
【0019】
ハーフリフトになるとニードルがばね部材により受けられ、ニードルに制動力が働く。これにより、ニードルが、排出ポートの開口位置で規定されるリフト量に速やかに収束する。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1、図2、図3に本発明のインジェクタの構成を示し、図4に前記インジェクタを備えたディーゼルエンジンのコモンレール式の燃料噴射装置の構成を示す。インジェクタの説明に先立ち燃料噴射装置について説明する。ディーゼルエンジンの気筒数分のインジェクタ1が各気筒に対応して設けられ(図例ではインジェクタ1は1つのみ図示)、供給ライン75を介して連通する共通のコモンレール74から燃料の供給を受け、インジェクタ1から各気筒の燃焼室内に略コモンレール74内の燃料圧力(以下、コモンレール圧力という)に等しい噴射圧力で燃料を噴射するようになっている。コモンレール74には燃料タンク71の燃料が高圧サプライポンプ73により圧送されて高圧で蓄えられる。
【0021】
また、高圧源であるコモンレール74からインジェクタ1に供給された燃料は、上記燃焼室への噴射用の他、インジェクタ1の制御油圧等としても用いられ、インジェクタ1からドレーンライン76を経て低圧源である燃料タンク71に還流するようになっている。
【0022】
CPU77はクランク角度等の検出信号に基づいて燃料の噴射時期と噴射量を演算し、これに応じた噴射信号を各インジェクタ1に搭載されたアクチュエータ6を駆動するためのアクチュエータ駆動回路78に出力し、インジェクタ1から所定の期間、燃料を噴射せしめる。また、このとき、燃料噴射をフルリフトでの噴射とするか、あるいはハーフリフトでの噴射とするか、についての選択信号もCPU77からアクチュエータ駆動回路78に出力される。
【0023】
また、CPU77は他のセンサ入力等により知られる運転条件に応じた適正な噴射圧となるように制御する。このため、圧力センサ79がコモンレール74に設けられており、CPU77はコモンレール圧力に基づいて調量弁72を制御してコモンレール74への燃料の圧送量を調整する。
【0024】
前記インジェクタ1の構造を示す図1〜図3において、インジェクタ1は棒状体で、図中下側部分がエンジンの図略の燃焼室壁を貫通して燃焼室内に突出するように取り付けられている。インジェクタ1のハウジング2は複数の略円柱状ないし円盤状のハウジング部材21,22,23,24,25等をその軸方向に重ねてスリーブ状のリテーナ26により一体化され、その内部に、燃料の通路101等を構成する空間や、ニードル31等を収容する空間が形成される。
【0025】
ハウジング2の先端側に形成された縦孔201にはニードル31が配設され、その後端部311の摺接部3111にて縦孔201に摺動自在に保持されている。ニードル31は縦孔201の先端に位置する環状シート201aに着座または離座する。ニードル31の先端部312の外周の空間(以下、クリアランス部という)103には高圧通路101および燃料溜まり102を介してコモンレール74から高圧燃料が導入され、ニードル31のリフト時に、ハウジング2の先端壁を貫通する噴孔104から燃料が噴射される。ニードル31には、燃料溜まり102位置に下向きに形成された環状段面等にて、燃料圧が常時ニードル31のリフト方向(上向き)に作用している。
【0026】
ニードル31の後端面31a側には、縦穴201により画成された空間に背圧室105が形成されており、背圧室105に導入された燃料の圧力により、ニードル後端面31aに作用する背圧を発生する。この背圧は、背圧室105に配設されたコイルばね51とともに、ニードル31を着座方向(下向き)に付勢する。
【0027】
背圧室105は高圧通路101から通路106を介して燃料が導入されるようになっている。
【0028】
また、背圧室105と燃料タンク71に通じる低圧通路110との間には弁室108が介設され、弁室108を介して背圧室105からの燃料の排出が行われる。
【0029】
弁室108には、ボール状の制御バルブ32が配設されている。弁室108は、すり鉢状の天井面の最上部に低圧通路110に通じる低圧ポート109が開口しており、制御バルブ32が、低圧ポート109の開口外周縁に形成された上側シート108aからリフトすると、弁室108と燃料タンク71とが連通する。背圧室105と弁室108とは、燃料排出用の通路107により連通している。
【0030】
低圧ポート109の上方には、低圧ポート109に連なる縦孔が形成され、下側部分が、2つのピストン42,43を摺動自在に保持するシリンダ203で、上側部分が、ピエゾアクチュエータ6を格納するアクチュエータ格納室204となっている。
【0031】
シリンダ203の弁室108側の小径部2031に保持されたピストン42は、制御バルブ32側にピン状に突出するピストンピン421が一体的に設けられており、低圧ポート109を経て弁室108内に進出して、制御バルブ32を押圧するようになっている。シリンダ小径部2031にはコイルばね52が配設されて、ピストン42を常時、ピストン43の方に付勢している。シリンダ203の大径部2032に保持されたピストン43は、前記ピストン42よりも大径である(以下、適宜、ピストン42を小径制御ピストン42と、ピストン43を大径制御ピストン43という)。
【0032】
大径制御ピストン43にはアクチュエータ格納室204に突出する突出部431が設けられており、アクチュエータ格納室204に格納されたピエゾアクチュエータ6を受けるようになっている。ピエゾアクチュエータ6はPZT等の圧電セラミック層と電極層とを交互に積層した一般的なピエゾスタックにより構成され、アクチュエータ駆動回路78による充電と放電とで伸縮する。
【0033】
アクチュエータ格納室204にはコイルばね53が配設されて、大径制御ピストン突出部431を上方に付勢し、大径制御ピストン突出部431とピエゾアクチュエータ6との当接状態が常時保たれるようになっており、ピエゾアクチュエータ6の伸縮量がそのまま大径制御ピストン43の変位量となる。
【0034】
両ピストン42,43の間は燃料が充填される油圧室111となっている。油圧室111への燃料の導入は低圧通路110と連通する図示しない導入通路によりなされる。導入通路には例えば油圧室111に向かう方向を順方向とする逆止弁が設けられて、油圧室111内の燃料が加圧状態のとき、油圧室111が実質的に閉鎖されるようになっている。これにより、ピエゾアクチュエータ6が伸長すると、油圧室111内の燃料が圧縮されて小径制御ピストン42を押し下げる燃料圧を発生し、この燃料圧により、小径制御ピストン42を介して制御バルブ32をリフトせしめる。
【0035】
なお、制御バルブ32側の小径制御ピストン42をピエゾアクチュエータ6側の大径制御ピストン43よりも小径とすることで、ピエゾアクチュエータ6の伸長量が拡大されて小径制御ピストン42の変位に変換される。
【0036】
制御バルブ32がリフトすると、背圧室105の燃料が低圧通路110から燃料タンク71に排出されて、背圧室105の燃料圧が低下し、ニードル31に対するリフト方向の付勢力が優勢となってニードル31がリフトする。
【0037】
背圧室105の上方には、離座したニードル31を受けリフト位置を規定するストッパ41が設けられている。ストッパ41は、ピストン部411とリフト位置調整部412からなり、ピストン部411は、背圧室105の上方に、これと連なるように形成された凹所をストッパ用ガイド孔202として、これに摺動自在に保持されており、その最大の変位量は、ピストン部411の長さとストッパ用ガイド孔202の長さとの差bである。リフト位置調整部412は、背圧室105の天井部を構成するハウジング部材22を貫通して背圧室105内に突出しており、ストッパ41の先端面41aが、ニードル後端面31aと、ストッパ先端面41aと対向位置でニードル後端面31aから突出する台部3112で当接可能である。
【0038】
ストッパピストン部411の上端は、周縁部が面とりされてテーパ面41bが形成されており、ストッパ41が最上位置にあるときでもストッパ用ガイド孔202の隅部に空間113が形成される。
【0039】
縦穴202の側面には、この空間113に臨む位置に、前記油圧室111に通じる通路112が開口しており、空間113が別の油圧室である燃料室113となっている。燃料室113の燃料圧は、ストッパピストン部411の少なくともテーパ面41bに作用し、ストッパ41を常時、下方に付勢する。
【0040】
また、ストッパ41が最上位置にあるときのストッパ先端面41aとニードル後端面31aとのクリアランスaは、ニードル31が着座状態において、ニードル31のフルリフト量に設定し、ストッパ41の最大変位量bは、所期のハーフリフト量をa’としてa−a’に設定する。
【0041】
また、ピエゾアクチュエータ6を電気駆動するアクチュエータ駆動回路78は、ピエゾアクチュエータ6の充電量である充電電圧を切り換え自在に構成され、ニードル31をフルリフトとするか、ハーフリフトとするかの指令に対して充電電圧を切り換える。充電電圧については後述する。
【0042】
本インジェクタ1の作動について説明する。図5はピエゾアクチュエータ6の状態を、発生する駆動力および伸長量により示したものである。I、II、IIIはピエゾアクチュエータ6の充電電圧の等電圧線であり、等電圧線Iが最も電圧が低い場合であり、この順に電圧値が高くなる。以下、適宜、等電圧線Iに対応する充電電圧を第1の充電電圧、等電圧線IIに対応する充電電圧を第2の充電電圧、等電圧線IIIに対応する充電電圧を第3の充電電圧という。
【0043】
(1)フルリフト
燃料噴射開始前は図1の状態である。この状態では、低圧ポート109が制御バルブ32により閉鎖されており、背圧室105が高圧となっている。したがって、ニードル31は着座状態で、ストッパ41は、先端面41aに作用する高い上向き燃料圧により、最上位置にある。そして、小径制御ピストン42は制御バルブ32と当接位置にある。また、ピエゾアクチュエータ6の状態は、図5中、充電電圧が0で、伸長量が0のO点にある。
【0044】
この状態から、第1の充電電圧まで充電する。伸長量が増大すると、油圧室111の燃料が圧縮されて燃料圧が上昇するから、ピエゾアクチュエータ6の駆動力も伸長量に対して比例的に上昇し、A点に移行する。
【0045】
油圧室111の燃料圧の上昇により、ストッパ41に対する下向きの付勢力が増大するが、A点において、増大する付勢力によりストッパ41が変位しないように、背圧室105の上向きの燃料圧を受ける先端面41aの面積等を設定しておく。また、A点において駆動力が制御バルブ32を開弁可能な駆動力となるように第1の充電電圧を設定しておく。これにより、制御バルブ32が低圧シート108aからリフトする。そして、制御バルブ32が弁室108の底面との間のクリアランスc、変位して前記底面に密着する。これは、油圧室111の燃料圧を緩和する方向に作用するので、ピエゾアクチュエータ6の状態は、伸長量が増大するとともに、駆動力が低下して、等電圧線I上をA点からF点に移行する。
【0046】
背圧室105は、弁室108を介して燃料タンク71と連通し、背圧室105から燃料が燃料タンク71へ排出され、ニードル31がリフトして、リフト量が、ニードル後端面31aが台部3112でストッパリフト位置調整部412の先端面41aと当接するリフト量に達する。そして、燃料の噴射が開始される(図2)。このときのニードル31のリフトは、リフト位置調整部412が最上位置にあるからフルリフトとなる。
【0047】
この状態で、ピエゾアクチュエータ6を放電して、制御バルブ32への押圧力を解除すれば、制御バルブ32は上昇してシート108aに着座する。低圧ポート109は閉鎖され、元の状態に復する。これにより、燃料噴射が停止する。
【0048】
(2)ハーフリフト
図1の状態から、第2の充電電圧まで充電する。制御バルブ32がリフトするまではフルリフトの場合と同様であるが、ピエゾアクチュエータ6の充電電圧が高い分、続いて、ピエゾアクチュエータ6の伸長量および駆動力が増大し、等電圧線II上のB点に移行する。油圧室111は、ストッパ41の背後の燃料室113と通じているから、燃料室113の燃料圧が増大し、ストッパ41に対する下向きの付勢力も増大する。第2の充電電圧を、燃料室113の燃料圧によりストッパ41が背圧室105の燃料圧に抗して下方変位可能な大きさに設定することで、ストッパ41が下方変位する。これは油圧室111内の燃料圧を緩和する方向に作用するから、ピエゾアクチュエータ6の状態は、等電圧線II上を、ピエゾスタック6の伸長量が増加し駆動力が低下する方向に移動する。さらに充電電圧を、第2の充電電圧よりも高い第3の充電電圧とすると、ピエゾアクチュエータ6の駆動力および伸長量ともに増大して、ストッパ41が最大変位量b、下方変位して最下位置に達する。ピエゾアクチュエータ6の状態は、E点に移行する。
【0049】
したがって、ニードル31はフルリフトの手前でストッパ41により停止せしめられ、そのリフト量はa−bすなわち所期のハーフリフト量a’となる(図3)。
【0050】
この場合も、ピエゾアクチュエータ6を放電すれば、ピエゾアクチュエータ6が縮小して、制御バルブ32への押圧力が解除され、各部が元の状態に復し、燃料の噴射が停止する。
【0051】
このように、制御バルブ32をハーフリフトとすることなく、安定してニードル31のフルリフトとハーフリフトとを切り換えることができる。
【0052】
(第2実施形態)
図6、図7、図8、図9、図10、図11に本発明の第2のインジェクタを示す。図中、第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には同じ番号を付して第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0053】
インジェクタ1Aは、ハウジング2Aが複数のハウジング部材21,22,23A,24,25等からなる。
【0054】
背圧室105の上方には、離座したニードル31を受けリフト位置を規定するストッパ44が設けられている。ストッパ44は、両端開口の筒状部材441とストッパ本体部材であるリフト位置調整部442からなり、筒状部材441は、背圧室105の上方に形成された保持穴205に摺動自在に保持され、リフト位置調整部442は、筒状部材441内に挿入されている。リフト位置調整部442の背圧室105側の端部は、背圧室105の天井部を構成するハウジング部材22を貫通して背圧室105内に突出しており、ストッパ44の先端面としてのリフト位置調整部442の先端面44aがニードル31の後端面31aと台部3112で当接可能である。筒状部材441とリフト位置調整部442とは、その対向側面に軸線に平行に形成された係合溝4421と係合突起4411にて係合しており、係合溝4421および係合突起4411が回り止めとなって、一緒に回転可能である。
【0055】
リフト位置調整部442はめねじが形成されており、おねじが形成されたねじ軸であるガイドシャフト45により保持されている。ガイドシャフト45はハウジング部材23Aの図示しない取り付け孔に圧入されている。リフト位置調整部442が、これと螺合するガイドシャフト45に沿って螺動自在である。リフト位置調整部442の上下方向位置により、リフト位置調整部442の先端面44aとニードル後端面31aとのクリアランスが規定される。
【0056】
筒状部材441は、全体形状が前記保持穴205の側面と摺接する形状となっているが、筒状部材441の側面には、断面扇状で幅広の段部である溝4412が軸線方向に形成されている。筒状部材441と縦穴205との対向側面の間には、前記溝4412により、これと同形状の空間114が形成される。該空間114には、縦穴205側面に形成されて軸線方向に延びる突条が突出し、前記空間114を周方向に2つに分割する段部である隔壁231としてある。この分割された空間1141,1142は、ストッパ44の回動角度によって容積比が変化する。
【0057】
縦穴205の側面には、油圧室111に通じる通路112が一方の分割空間1141に臨む位置に開口しており、分割空間1141に油圧室111から燃料が導入可能である(以下、分割空間1141を燃料室1141という)。燃料室1141、筒状部材441の溝4412の段側面4412aと隔壁231の段側面である隔壁面231aとで区画され、この筒状部材441の溝段側面4412aと隔壁面231aとに作用する燃料圧は、燃料室1141の容積を拡大する方向すなわち筒状部材441を図7、図9、図11中、左回りに回動せしめる方向に作用する。
【0058】
他方の分割空間1142にはコイルばね54が周方向に介設されており、他方の分割空間1142の容積を拡大する方向すなわち筒状部材441を図7、図9、図11中、右回りに回動せしめる方向に作用する(以下、他方の分割空間1142をばね室1142という)。
【0059】
筒状部材441が回動すれば、回り止め4411,4421により筒状部材441と係合するリフト位置調整部442がガイドシャフト45に沿って螺動して、上下方向に変位し、ニードル31のリフト量が変化せしめられる。
【0060】
本インジェクタ1Aの作動について説明する。なお、ピエゾアクチュエータ6は実質的に第1実施形態と同様の挙動を示すので、適宜、前掲図5にしたがって説明する。
【0061】
(1)フルリフト
燃料噴射開始前は図6、図7の状態である。この状態では、低圧ポート109が制御バルブ32により閉鎖されており、背圧室105が高圧となっている。したがって、ニードル31は着座状態で、燃料室1141の燃料圧は低圧であり、ばね室1142内のコイルばね54の弾発力により、燃料室1141の容積は最小である。このとき、ストッパ44のリフト位置調整部442は最上位置にあり、着座状態のニードル31とのクリアランスはニードル31のフルリフト量aとなっている。また、ピエゾアクチュエータ6の状態は、充電電圧が0Vで、伸長量が0である。
【0062】
この状態から、第1の充電電圧まで充電する。伸長量が増大すると、油圧室111の燃料が圧縮されて燃料圧が上昇するから、ピエゾアクチュエータ6の駆動力も伸長量に対して比例的に上昇し、A点に移行する。
【0063】
一方、油圧室111の燃料圧の上昇により、コイルばね54の弾発力に対抗する燃料室1141の燃料圧も上昇するが、増大する燃料圧により筒状部材441が回動しないように、すなわち、リフト位置調整部442が螺動しないように、筒状部材441の溝段側面4412aの面積等を設定しておく。また、A点において駆動力が制御バルブ32を開弁可能な駆動力となるように第1の充電電圧を設定しておく。これにより、制御バルブ32が低圧シート108aからリフトする。そして、制御バルブ32が弁室108底面と当接する。これは、油圧室111の燃料圧を緩和する方向に作用するので、ピエゾアクチュエータ6の状態は、伸長量が増大するとともに、駆動力が低下して等電圧線I上をA点からF点に移行する。
【0064】
背圧室105は、弁室108を介して燃料タンク71と連通し、背圧室105から燃料が燃料タンク71へ排出され、ニードル31がリフトして、リフト量が、ニードル後端面31aが台部3112でストッパリフト位置調整部442の先端面44aと当接するリフト量に達する。そして、燃料の噴射が開始される(図8、図9)。このときのニードル31のリフトは、リフト位置調整部442が最上位置にあるからフルリフトとなる(図8、図9)。
【0065】
この状態で、ピエゾアクチュエータ6を放電して、制御バルブ32への押圧力を解除すれば、制御バルブ32は上昇してシート108aに着座する。低圧ポート109は閉鎖され、元の状態に復する。これにより、燃料噴射が停止する。
【0066】
(2)ハーフリフト
図6、図7の状態から、第2の充電電圧まで充電する。制御バルブ32がリフトするまではフルリフトの場合と同様であるが、ピエゾアクチュエータ6の充電電圧が高い分、続いて、ピエゾアクチュエータ6の伸長量および駆動力が増大し、等電圧線II上のB点に移行する。油圧室111は燃料室1141と通じているから、筒状部材442を左回転せしめる方向に作用する燃料室1141の燃料圧も増大する。第2の充電電圧を、前記燃料室1141の燃料圧により、コイルばね54の弾発力に抗して筒状部材441が回動可能な大きさに設定することで、リフト位置調整部442が下方変位する。これは燃料室1141の容積の拡大を伴い、油圧室111内の燃料圧を緩和する方向に作用するから、等電圧線II上を、ピエゾアクチュエータ6の伸長量が増加する方向に移動する。さらに充電電圧を、第2の充電電圧よりも高い第3の充電電圧とすると、ピエゾアクチュエータ6の駆動力および伸長量ともに増大して、燃料室1141の燃料圧による筒状部材441の左方向回転力により、リフト位置調整部442がガイドシャフト45に沿って螺動し、先端面44aが、ニードル後端面31aに接近する。ピエゾアクチュエータ6の状態は、E点に移行する。
【0067】
したがって、ニードル31のリフトはハーフリフトとなる(図10、図11)。なお、図10は図11におけるX−X線に沿う断面を示している。
【0068】
この場合も、ピエゾアクチュエータ6を放電すれば、ピエゾアクチュエータ6が縮小して、駆動力が解除され、各部が元の状態に復し、燃料の噴射が停止する。
【0069】
このように、制御バルブ32をハーフリフトとすることなく、安定してニードル31のハーフリフトとフルリフトとを切り換えることができる。
【0070】
なお、ニードル31をフルリフト位置で受けるリフト位置調整部442の最上位置、およびハーフリフト位置で受けるリフト位置調整部442の最下位置が、次のように規定されるようにしてもよい。係合突起4411は係合溝4421内のみ移動可能であるから、この係合溝4421をその両端部が閉じたものにしておけば、係合突起4411が係合溝4421の端部まで達すると、そこで停止する。この停止位置にて、リフト位置調整部442の最上位置およびリフト位置調整部442の最下位置が規定されるようにする。
【0071】
(第3実施形態)
図12、図13、図14に本発明の第3のインジェクタを示す。図中、第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には同じ番号を付して第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0072】
インジェクタ1Bは、ハウジング2Bが複数のハウジング部材21B,22B,23B,24B,25等からなる。
【0073】
背圧室105の燃料を排出する通路115が設けられ、弁室である主弁室117に通じている。主弁室117内には主制御バルブ33が配設され、低圧通路110に通じる低圧ポート118の開口外周縁部をシート117aとして着座すると低圧ポート118を閉鎖する。背圧室105は主弁室117を介して低圧通路110と接続される。
【0074】
前記通路115は、途中にオリフィス116が設けられるとともに、背圧室105側の通路端が背圧室105から燃料を排出するための排出ポート1151となっている。排出ポート1151はニードル31を摺動自在に保持するガイド孔201の側面201bに開口せしめてある。
【0075】
この排出ポート1151の開口位置は次のように設定される。ニードル31の基端部311の摺接部3111の上端31bと排出ポート1151との間隔が、ニードル31の着座状態において、ニードル31のハーフリフトのリフト量a’となるように設定する。
【0076】
また、背圧室105の燃料を排出する別の通路119が形成され、副弁室120に通じている。副弁室120内には副制御バルブ34が配設され、低圧通路110に通じる低圧ポート121の開口外周縁部をシート120aとして着座すると低圧ポート121を閉鎖する。背圧室105は副弁室120を介して低圧通路110と接続される。
【0077】
各制御バルブ33,34にはそれぞれピストン46,47が接続されており、対応する弁室117,120に、低圧ポート118,121側で連なるシリンダ206,207に摺動自在に保持されている(以下、適宜、ピストン46を主制御ピストン46と、ピストン47を副制御ピストン47という)。主制御バルブ33を保持するシリンダ206は、前記各実施形態のシリンダ203と実質的に同じもので、主制御バルブ33用のピストン46は小径部2061に保持される。また、大径部2062には大径制御ピストン43が保持される。
【0078】
主制御ピストン46は前記各実施形態の小径制御ピストンのごとく、大径制御ピストン43よりも小径のものであり、大径制御ピストン43の変位で燃料が圧縮する油圧室111の燃料圧により押圧駆動されて、主制御バルブ33をシート107aからリフトする。
【0079】
副制御ピストン47を保持するシリンダ207は低圧ポート121側が大径の段付きのもので、大径部にて副制御ピストン47が保持される。また、小径部は連通路122を介して油圧室111と連通している。
【0080】
シリンダ206,207にはピストン46,47を、制御バルブ33,34を閉弁方向に付勢するコイルばね57,58が配設してある。
【0081】
副制御ピストン47は、上部が先端ほど縮径するテーパー状となっており、副制御バルブ34の着座状態ではテーパ部471にてシリンダ207の段部2071と当接しており、このとき、副制御ピストン47に燃料圧が作用する受圧面の面積はシリンダ207の小径部の断面積となる。ここで、シリンダ207の小径部の径は、主制御ピストン46を保持するシリンダ小径部2061の径よりも小径としてあり、副制御ピストン47は、油圧室111の燃料圧が主制御バルブ33が開弁する燃料圧よりも高い燃料圧にてはじめて開弁が可能である。
【0082】
また、背圧室105には、常時、ニードル31を着座方向に付勢する前記各実施形態と同様のコイルばね55が設けられるとともに、ばね部材である別のコイルばね56が配設してある。別のコイルばね56はコイルばね55よりも短いもので、例えば一端が背圧室105の天井部に係止せしめてある。別のコイルばね56の長さは、ニードル31の摺接部3111の上端31bが前記排出ポート1151に略達した状態のときニードル31と弾接する長さに設定され、離座したニードル31の摺接部上端31bが前記排出ポート1151に略達すると、上方変位するニードル31を制動するように作用する。
【0083】
また、アクチュエータ6を電気駆動するアクチュエータ駆動回路78は、充電電圧を2段階に設定可能に構成しておく。詳細については後述する。
【0084】
本インジェクタ1Bの作動について説明する。説明の便宜のため、ハーフリフトの場合から説明する。なお、ピエゾアクチュエータ6は実質的に第1実施形態と同様の挙動を示すので、適宜、前掲図5にしたがって説明する。
【0085】
(1)ハーフリフト
燃料噴射開始前は図12の状態にある。この状態では、主弁室117、副弁室120のいずれのルートについても、背圧室105と低圧通路110の間が遮断されており、背圧室105が高圧となっている。これにより、ニードル31が着座している。また、ピエゾアクチュエータ6の状態は、充電電圧が0Vであり、伸長量が0のO点にある。
【0086】
この状態から、第1の充電電圧まで充電する。伸長量が増大すると、油圧室111の燃料が圧縮されて燃料圧が上昇するから、ピエゾアクチュエータ6の駆動力も伸長量に対して比例的に上昇し、A点に移行する。
【0087】
A点における駆動力が主制御バルブ33を開弁可能な駆動力となるように第1の充電電圧を設定しておけば、大径制御ピストン43はさらに変位して等電圧線IのF点に移行し、主制御バルブ33が低圧シート117aからリフトする。これにより、背圧室105は、排出ポート1151、オリフィス116および主弁室117を介して燃料タンク71と連通し、背圧室105から燃料が排出される。なお、このとき、副制御ピストン47のテーパ部471にも、副制御バルブ34の開弁方向に燃料圧が作用するが、副制御ピストン47が変位しないように、すなわち副制御バルブ34が開弁しないように、第1の充電電圧が設定される。
【0088】
ニードル31が前記リフト量a’上方変位して、摺接部3111の上端31bが排出ポート1151位置に達すると、ニードル31自身により排出ポート1151が閉鎖される。また、副制御バルブ34は閉弁しているから、背圧室105はその燃料を排出する経路を失う。
【0089】
すると、通路106からの燃料の導入で、背圧室105の燃料圧が上昇し、ニードル31を下方に押し戻し、排出ポート1151を開く方向に作用する。
【0090】
これにより、ニードル31は排出ポート1151の開口位置で規定されるリフト量a’に収束することになる。これにより、ニードル31がハーフリフト状態にて、燃料の噴射が実行される(図13)。
【0091】
この状態で、ピエゾアクチュエータ6を放電して、主制御バルブ33への押圧力を解除すれば、主制御バルブ33は上昇してシート107aに着座する。低圧ポート108は閉鎖され、元の状態に復する。これにより、燃料噴射が停止する。
【0092】
(2)フルリフト
図12の状態から、第2の充電電圧まで充電する。主制御バルブ33がリフトするまではフルリフトの場合と同様であるが、ピエゾアクチュエータ6の充電電圧が高い分、続いて、ピエゾアクチュエータ6の伸長量および駆動力が増大し、等電圧線II上のB点に移行する。これにより、油圧室111の燃料圧がさらに上昇する。第2の充電電圧を、副制御ピストンテーパ部471に作用する燃料圧が、コイルばね58の弾発力に抗して副制御ピストン47が変位するように、すなわち副制御バルブ34が開弁するように設定する。
【0093】
これにより、背圧室105は排出ポート1151が閉鎖されているといないとにかかわらず、副弁室120を介して低圧通路110と連通する。
【0094】
したがって、ニードル31が排出ポート1151を閉鎖しても、背圧室105の燃料を、燃料タンク71に逃がすことができ、ニードル31はさらに上昇し、フルリフトする(図14)。この場合も、ピエゾアクチュエータ6を放電すれば、ピエゾアクチュエータ6が縮小して、駆動力が解除され、各部が元の状態に復し、燃料の噴射が停止する。
【0095】
このように、制御バルブをハーフリフトとすることなく、安定してニードルのハーフリフトとフルリフトとを切り換えることができる。
【0096】
なお、ニードル31のハーフリフト位置の要求される収束性によっては別のコイルばね56は省略することもできる。
【0097】
また、排出ポート1151をニードル31自身により閉鎖するように構成するのではなく、通路119のごとく背圧室105の天井面に開口せしめて、主制御バルブ33のみが開弁した場合と、両制御バルブ33,34が開弁した場合とで、背圧室105からの燃料の排出流量を違えることで、背圧室105の燃料圧の低下幅を二値切り換えし、ニードル31のリフト量を切り換えるのもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1のインジェクタの燃料噴射前における状態を示す部分断面側面図である。
【図2】前記インジェクタのフルリフト状態における状態を示す部分断面側面図である。
【図3】前記インジェクタのハーフリフト状態における状態を示す部分断面側面図である。
【図4】前記インジェクタにより構成した燃料噴射装置の全体構成図である。
【図5】前記インジェクタのピエゾアクチュエータの作動状態を示すグラフである。
【図6】本発明の第2のインジェクタの燃料噴射前における状態を示す部分断面側面図である。
【図7】図6におけるVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】前記インジェクタのフルリフト状態における状態を示す部分断面側面図である。
【図9】図8におけるIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】前記インジェクタのハーフリフト状態における状態を示す部分断面側面図である。
【図11】図10におけるXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】本発明の第3のインジェクタの燃料噴射前における状態を示す部分断面側面図である。
【図13】前記インジェクタのハーフリフト状態における状態を示す部分断面側面図である。
【図14】前記インジェクタのフルリフト状態における状態を示す部分断面側面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B インジェクタ
105 背圧室
107 弁室
117 主弁室(弁室)
,120 副弁室(弁室)
111 油圧室
113 燃料室(別の油圧室)
1141 燃料室(別の油圧室)
1151 排出ポート
201 ガイド孔
202 ストッパ用のガイド孔
201b 側面
205 保持穴
231a 隔壁面(段側面)
31 ニードル
31a 後端面
32 制御バルブ(弁体)
33 主制御バルブ(弁体)
34 副制御バルブ(別の弁体)
41,44 ストッパ
411 ピストン部
441 筒状部材
4412a 段側面
442 リフト位置調整部(ストッパ本体部材)
45 ガイドシャフト(ねじ軸)
56 別のコイルばね(ばね部材)
6 アクチュエータ
71 燃料タンク(低圧源)
74 コモンレール(高圧源)

Claims (7)

  1. 常時開弁方向の付勢力を受けるニードルと、該ニードルの後端面側に形成されて、ニードルを閉弁方向に付勢する背圧を発生する背圧室とを有し、高圧源から背圧室に導入される燃料により前記背圧を高圧にしてニードルを着座状態とし、背圧室の燃料を低圧源に排出してニードルをリフト状態とするインジェクタであって、
    背圧室と低圧源との間に介設された弁室と、
    該弁室内に配設されて、背圧室と低圧源との連通と遮断とを切り換える弁体とを有するインジェクタにおいて、
    燃料が充填され、アクチュエータの駆動力で前進するピストンにより前記燃料が圧縮して前記弁体を押圧し開弁せしめる押圧力を発生する油圧室と、
    前記油圧室と連通する別の油圧室と、
    該別の油圧室の燃料圧を受けて作動し、燃料圧が、前記弁体がリフトする燃料圧よりも大きな所定の燃料圧を越えると、ニードルのリフト位置を切り換えるリフト位置切り換え手段とを具備せしめたことを特徴とするインジェクタ。
  2. 請求項1記載のインジェクタにおいて、前記リフト位置切り換え手段、離座したニードルを受けてニードルを所定のリフト位置で停止せしめるストッパであって、ニードルの変位方向に移動自在に構成されたストッパにより構成したインジェクタ。
  3. 請求項2記載のインジェクタにおいて、前記ストッパにはピストン部を具備せしめて、該ピストン部にてストッパ用のガイド孔に摺動自在に保持せしめ、
    該ストッパ用ガイド孔を、ニードルを摺動自在に保持するニードル用のガイド孔と同方向で、かつ、ニードルの後端面側で連なるように形成した凹所により構成し、
    該凹所の底部に前記油圧室の燃料を導入し、前記凹所底部により前記別の油圧室を形成したインジェクタ。
  4. 請求項2記載のインジェクタにおいて、前記ストッパを、ニードルの変位方向に設けられたねじ軸と螺合し、ねじ軸の軸方向に移動自在なストッパ本体部材と、
    該ストッパ本体部材の外周に設けられて、ストッパ本体部材が前記軸方向にのみ相対移動可能な筒状部材とにより構成し、
    該筒状部材を摺動自在に保持する保持穴の側面と筒状部材の側面との間に、扇状の空間であって、その周方向の一端が筒状部材の側面に形成された段部の段側面により区画され、周方向の他端が保持穴の側面に形成された段部の段側面により区画された空間を形成するとともに、該空間に前記油圧室の燃料を導入し、前記空間により前記別の油圧室を形成したインジェクタ。
  5. 請求項1記載のインジェクタにおいて、前記リフト位置切り換え手段を、背圧室と低圧源との間に介設された別の弁室内に配設されて、背圧室と低圧源との連通と遮断とを切り換える別の弁体により構成したインジェクタ。
  6. 請求項5記載のインジェクタにおいて、背圧室における燃料の排出用で前記弁室に通じる排出ポートを、ニードルを摺動自在に保持するガイド孔の、ニードルの摺接部と摺接可能な面に開口せしめるとともに、
    排出ポートの開口位置を、着座状態のニードルの摺接部によって閉鎖されず、フルリフト状態のニードルの摺接部によって閉鎖される位置としたインジェクタ。
  7. 請求項6記載のインジェクタにおいて、前記ニードルの後端面側に設けられて、ニードルの摺接部が排出ポートを閉鎖する位置においてニードルと弾接するばね部材を設けたインジェクタ。
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