JP4364983B2 - 水性分散液及び水性分散液を塗布してなるヒートシール性フィルム - Google Patents

水性分散液及び水性分散液を塗布してなるヒートシール性フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の中和物から成る水性分散液に関するもので、より詳細には帯電防止性やヒートシール性、更には耐水性に優れた樹脂被覆を形成することが可能な水性分散液に関する。
【0002】
【従来の技術】
アイオノマーに代表されるイオン性ポリマーは、無極性高分子マトリックス中にイオン性基が分散した構造を有するものであり、このイオンの凝集形態により、特異な物性、特に高い溶融粘度、優れたヒートシール性、強度、強靱性、耐磨耗性、耐裂断性及び耐衝撃性等が達成されるものである。
【0003】
基体表面に上記イオン性ポリマーを被覆することにより、上記特性を付与することが可能であり、この目的のためにイオン性ポリマーの水性分散液を用いることも広く行われている。
【0004】
エチレン・アクリル酸共重合体やエチレン・メタクリル酸共重合体で代表されるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の水性分散液については、古くから知られており、商業的にも種々のものが入手可能である。この中でも、アルカリ金属化合物を用いて前記共重合体を水に分散させた分散液は、製造が容易であることから、原料共重合体の制約も比較的緩やかであるため最も広く使用されている。
【0005】
一方、アンモニアによる水性分散液は製造が若干難しいものの、これから得られる塗膜は耐水性に優れているという利点がある。特に、アンモニアによる水性分散液として使用可能な原料共重合体として、エチレン・アクリル酸共重合体が非常に優れていることはよく知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、公知のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の中和物から成る水性分散液においては、被覆の帯電防止性能と被覆の耐水性と水分散性乃至分散安定性とを両立させることが困難であるという問題がある。
【0007】
即ち、アルカリ金属での中和による水性分散液は、水への分散性や分散安定性には優れており、また高湿度条件下では帯電防止性能に優れているものの、形成される被覆が耐湿性に劣っており、水との接触で白化する傾向を示す。また、このタイプの水性分散液から形成された被覆の帯電防止性能は湿度依存性が比較的大であり、低湿度条件下での帯電防止性能は未だ十分満足しうるものではない。
【0008】
アルカリ金属による中和度の大きいエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を含む水性分散液から形成される樹脂被覆は、ヒートシールの目的に使用したとき、低温ヒートシール性が悪いという欠点も認められる。
【0009】
一方、アンモニアでの中和による水性分散液は、形成される樹脂被覆の耐水性には優れているものの、水への分散性や分散安定性に未だ難点があると共に、樹脂被覆の帯電防止性能にも未だ不満足な点がある。
【0010】
従って、本発明の目的は、水中への分散性や分散安定性に優れており、また基体に対する塗工性にも優れており、耐水性、帯電防止性及びヒートシール性に優れた樹脂被覆を基体上に形成することが可能な水性分散液を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、不飽和カルボン酸含量が10〜35重量%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を、該共重合体のカルボキシル基を基準にして、10〜50モル%に相当する量のカリウムイオン、0〜40モル%に相当する量の多価金属、さらに20〜90モル%に相当する量のアンモニアで中和した、固形分5〜40%の水分散液であつて、グリセリン、分子量が250以下のポリエチレングリコール、あるいはアルカノールアミン化合物を、共重合体当たり2〜30重量%の範囲で配合してなることを特徴とする水性分散液が提供される。
本発明においては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体が1〜2000g/10分のメルトフローレート(190℃、2160g荷重)を有するものであることが好ましく、また前記共重合体のカルボキシル基を基準としたトータルの中和量が30〜150%の範囲にあることが好ましい。
本発明によれば更に、上記水性分散液から形成されていることを特徴とする樹脂被覆並びに上記水性分散液を、基材に塗布し、乾燥し、塗膜を形成させてなることを特徴とする積層体が提供される。
【0012】
【発明の実施形態】
本発明の水性分散液では、不飽和カルボン酸含量が10〜35重量%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を、イオンで中和することにより、固形分濃度が5〜40%の水性分散液に転化するが、
(I)このイオンとして、該共重合体のカルボキシル基を基準にして、
A.10〜50モル%に相当する量のカリウムイオン、
B.0〜40モル%に相当する量の多価金属、さらに
C.20〜90モル%に相当する量のアンモニア
を組合せで用いること、及び
(II)こので中和共重合体に、グリセリン、分子量が250以下のポリエチレングリコール、あるいはアルカノールアミン化合物を、共重合体当たり2〜30重量%の範囲で配合すること、
が特徴である。
【0013】
本発明において、カルボキシル基の中和に用いるイオンの内、カリウムイオンは水中への分散性や分散安定性の点で必須不可欠の成分であるが、このカリウムイオンの中和量が10〜50モル%の低いレベルに抑制されていることが一つの特徴である。
即ち、本発明の水性分散液においては、カリウムイオンの量が低い範囲に抑制されているため、形成される被覆は耐水性に優れており、更に金属イオンの中和量を低く抑制することが可能となるため、形成される被覆は、ヒートシール性、特に低温ヒートシール性に優れているという利点を与える。
【0014】
本発明では、上述した量のカリウムイオンとの組み合わせで、20〜90モル%に相当する量のアンモニアを用いることが第二の特徴である。
アンモニアを上記の量で用いることにより、カリウムイオンを限定された少量で用いる場合にも、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の安定な水中への分散化が可能となる。また、用いたアンモニアはその大部分が空気中に揮散するので、これは被覆の耐水性の向上、ヒートシール性の向上に役立っている。
【0015】
本発明では、この水性分散液に、更にグリセリン、分子量が250以下のポリエチレングリコール、あるいはアルカノールアミン化合物を、共重合体当たり2〜30重量%の範囲で配合することが第三の特徴である。
アルカリ金属による中和で形成させた水性分散液では、低湿度条件下での帯電防止性能が低下する傾向があるが、上記の特定のアルコール類を共存させることにより、カリウムイオンによる中和度が低い場合にも、低湿度条件下での帯電防止性能を向上させることができる。
【0016】
本発明の水性分散液から形成される樹脂被覆は、帯電防止性能とヒートシール性、特に低温ヒートシール性との組み合わせに優れているという利点がある。これらの組み合わせ特性は、透明性が必要な包装袋などにおいて強く要望されるものである。包装袋は、延伸樹脂フィルムの袋内面となる面にヒートシール性樹脂層を施し、ヒートシールにより製袋することにより製造されるが、粉粒体の内容物が静電気により袋内面に付着して、内容物の透視性を低下させ、或いはヒートシールすべき部分に付着してヒートシール後の密封性を阻害する原因となる。本発明の樹脂被覆では、これらのトラブルを有効に解消することができる。
【0017】
本発明の水性分散液では、前述した中和成分に加えて、40モル%までの多価金属で中和されていることが、耐水性を低下させることなしに、帯電防止性能を向上させるために特に好ましい。
【0018】
[ベースポリマー]
本発明では、水性分散液のベースポリマーとして、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を用いる。
このエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸のみからなる狭義の共重合体であることが好ましいが、任意にその他の共重合成分が共重合された多元共重合体であってもよい。
【0019】
本発明に用いるベースポリマーは、不飽和カルボン酸含有量が15〜35重量%、特に15〜30重量%の範囲にあるのがよい。不飽和カルボン酸含有量が上記範囲よりも少ないと、上記範囲内にあるものに比して水中への分散性が低下する傾向があり、一方、不飽和カルボン酸含有量が上記範囲よりも多いと、上記範囲内にあるものに比して耐湿性やヒートシール性が低下する傾向がある。
【0020】
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等を例示することができ、特にアクリル酸もしくはメタクリル酸が好ましい。
【0021】
また、任意の他の共重合体成分としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルの様なビニルエステル、一酸化炭素等を例示することができる。
これらの共重合成分の含有量は、40重量%以下、特に10重量%以下であることが好ましい。
【0022】
本発明に用いるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、190℃/2160g荷重におけるメルトフローレートが1〜2000g/10分、特に10〜1500g/10分のものを使用するのが好ましい。
メルトフローレートの非常に低いものを用いる場合には、良好な分散性を有する水性分散体が得られない傾向があり、一方高すぎると、得られる被覆の機械的強度が不足するので好ましくない。
【0023】
本発明に用いるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、好ましくはエチレン及び不飽和カルボン酸の高圧ラジカル共重合によって得ることができる。また、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の加水分解によっても得ることができる。
【0024】
[中和成分]
本発明の水性分散液では、上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を、共重合体中のカルボキシル基を基準として、
A.10〜50モル%、特に20〜50モル%に相当する量のカリウムイオン、
B.0〜40モル%、特に10〜35モル%に相当する量の多価金属、さらに
C.20〜90モル%、特に30〜90モル%に相当する量のアンモニア
の組合せで中和してなる。
【0025】
本発明の水性分散液では、アルカリ金属の内でもカリウムを用いることが重要であり、カリウムイオンの代わりに、リチウムイオンやナトリウムイオンを用いても帯電防止性に優れた塗布膜を生成しうる溶液を得ることができない。
また、カリウムイオンの量が前記範囲より少なくなると、同様に帯電防止性良好な塗布膜を形成しうる溶液を得ることはできず、またその量が上記範囲を越えると、被覆の耐湿性が低下する。
【0026】
カリウムイオンとの組み合わせで、アンモニアを用いることの重要性については既に指摘したが、アンモニアによる中和量が上記範囲を下回ると分散性や分散安定性が上記範囲内にある場合に比して低下する傾向があり、またこの中和量が上記範囲を上回ると上記範囲内にある場合に比してゲル化を生じやすくなる傾向があるので好ましくない。
【0027】
所望により用いる多価金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム等のイオン性を有する各種金属があげられる。これらの多価金属のうちでも、亜鉛が好適なものである。
【0028】
カリウムや多価金属は、従来この用途に使用されている解離可能な剤形、一般に酸化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩などの化合物として、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の中和に用いられる。
本発明では、これらのイオンのトータルの量は、カルボキシル基を基準にして30〜150モル%の範囲で用いるのがよい。
【0029】
[アルコール系添加剤]
本発明では、上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカリウムイオン中和物に、グリセリン、分子量250以下のポリエチレングリコール或いはアルカノールアミンを配合する。
アルカノールアミンとしては下記一般式(1)
R'3−n−N−(ROH)n
式中、Rはアルキレン基であり、nは1乃至3の数であり、
R’は水素原子またはアルキル基である、
で示されるものが使用される。
このなかでも、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジペンタノールアミン、N−メチルエタノールアミン及びN−エチルプロパノールアミンが好ましく、ジエタノールアミンが最も好ましい。
多価アルコールの内でも、上記の化合物を用いることが重要であり、例えばポリプロピレングリコールを用いたのでは、低湿度条件下で満足すべき帯電防止性は得られない。
また、ポリエチレングリコールを用いる場合、分子量が250以下であることも重要であり、分子量が上記範囲よりも大きいポリエチレングリコールを用いたのでは、やはり低湿度条件下で満足すべき帯電防止性は得られない。
【0030】
上記アルコール系添加剤は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(A)当たり、2〜30重量%、好適には5〜15重量%の量で使用される。
アルコール系添加剤の量が、上記範囲よりも多い場合にも、また上記範囲よりも少ない場合にも、低湿度条件下での帯電防止性能が低下するので、好ましくない。
【0031】
[水性分散液]
本発明の帯電防止用有機溶液を製造するには、先ず上記ベースポリマーのイオン中和物及びアルコール系添加剤を含有する水性分散液を製造する。この水性分散液を製造するには、同時添加法や逐次添加法が用いられる。
すなわち、同時添加法では、原料のエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体と、カリウム化合物、アンモニア或いは更に多価金属化合物と、アルコール系添加剤とを、各所定量使用し、80℃以上、好ましくは95℃以上の温度で、撹拌しながら、水中で反応させることによって得られる。
【0032】
この方法においては、水と、固型分濃度が5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となる量のエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体と、該共重合体のカルボキシル基を基準にして、前述した量のイオンの量の化合物の組み合わせと、前述した量のアルコール系添加剤を、例えば撹拌機付きのオートクレーブ中、所定温度で剪断力をかけながら反応させることによって、水性分散体を得ることができる。反応時間は、反応温度やその他反応条件によっても異なるが、30〜120分程度である。
同時添加法では、添加操作や反応操作が簡単で、処理も容易であり、製造コストも低いという利点がある。
【0033】
かくして得られる水性分散液は、一般に平均粒径が1〜10000nm、好ましくは5〜5000nmの範囲にあり、また粘度が10〜2000mPa・s、好ましくは50〜1000mPa・sの範囲にある。
【0034】
勿論、原料となる水性分散液は、逐次添加法でも製造することができ、この場合には、予め調製したエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の組み合わせイオン中和物の水性分散液に、アルコール系添加剤を配合すればよい。
【0035】
かくして得られる水性分散液は、安定性がよく、長期保存しても、粒径や粘度が大幅に変化することはない。水性分散液には、必要に応じ各種添加剤を配合することができる。
【0036】
このような添加剤としては、水溶性エポキシ化合物、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノアセテート等のエステル類、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止材、顔料、染料、抗菌剤、滑剤、無機充填剤、ブロッキング防止剤、接着剤等を例示することができる。
【0037】
本発明の水性分散液はまた、例えば他の重合体水性分散液と配合することができる。一般には固型分換算(重量比)で10/90〜90/10、とくに20/80〜80/20の割合で配合するのがよい。
このような重合体水性分散液としては、pHが7以上のもの、あるいはアンモニア水等でpHを7以上にしたものであって、本発明の水性分散液と混合した時ゲル化しないようなものを選択する必要がある。
またこの平均分散粒子径が1〜10000nm、好ましくは5〜5000nmであって、固型分濃度が2〜60%、とくに5〜50%のものを選択することが望ましい。
【0038】
このような他の重合体分散液の例としては、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、水溶性アクリル樹脂、アクリルアミド樹脂、メタクリルアミド樹脂、アクリルニトリル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性スチレン−マレイン酸共重合体、水溶性ポリウレタン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリエチレン樹脂、酸化ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン−エチレン共重合体、無水マレイン酸グラフト−ポリプロピレン−エチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)、塩素化ポリプロピレン、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂等の水性分散体が挙げられる。さらに配合する分散液は、2種類以上の高分子水分散液を用いてもよい。
【0039】
混合水性分散体の調製は、配合する分散液を室温で撹拌しながら混合することによって得られる。また、あらかじめ、本発明の分散液のベースレジンと配合する分散液のベースレジンとをメルトブレンドまたはドライブレンドし、しかるのちに水中に分散させてもよい。いずれにしても、本発明はこのような製法によって制限されるものではない。
【0040】
[被覆]
本発明の水性分散液或いはこれと他の重合体分散液との混合水性分散液は、任意の基材に塗布することができる。
このような基材として、例えば、高、中、低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフイン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体又はそのアイオノマー、エチレン・(メタ)アクリル酸(メタ)アクリル酸エステル共重合体又はそのアイオノマー、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンのようなオレフィン共重合体、ポリスチレン、ABS系樹脂、スチレン・ブタジエンブロック共重合体のようなスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートの様なポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、の様なポリアミド、ポリ塩化ビニル及びこれらの任意割合のブレンドの様な各種重合体からなる成形品、フィルム、鉄、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属、木材、紙等の天然素材、天然及び合成皮革、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ウレタン、レーヨン等の繊維及び織物などを例示することができる。
すでに指摘したとおり、本発明の水性分散液は、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、延伸ポリエステルフィルム(OPET)、ナイロンフィルムなどの表面にヒートシール層を形成させるのに特に有用である。
【0041】
基材上に本発明の水性分散体を塗布する方法は、公知の方法、例えば、ロールコーター、バーコーター、スプレイ、エアーナイフコーター或いは刷毛を用いてコーティングしたり、基材を水性分散体中に浸漬する方法等が用いられる。塗布後加熱乾燥することにより水分を蒸発させ、均一な膜が得られる。
【0042】
塗膜の厚みは任意であるが、通常1〜20μm、特に好ましくは1〜5μmである。塗膜は、耐水性、耐久性等を高める目的で、電子線照射による架橋処理を施してもよい。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、不飽和カルボン酸含量が10〜35重量%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を、該共重合体のカルボキシル基を基準にして、10〜50モル%に相当する量のカリウムイオン、0〜40モル%に相当する量の多価金属、さらに20〜90モル%に相当する量のアンモニアで中和して、固形分5〜40%の水分散液とし、更にグリセリン、分子量が250以下のポリエチレングリコール、あるいはアルカノールアミン化合物を、共重合体当たり2〜30重量%の範囲で配合することにより、水中への分散性や分散安定性に優れており、また基体に対する塗工性にも優れており、耐水性、帯電防止性及びヒートシール性に優れた樹脂被覆を基体上に形成することが可能な水性分散液を提供することができる。
【0044】
【実施例】
本発明を以下の例により具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0045】
1.原料及び添加剤
[基材]
ポリプロピレン(グランドポリマー(株)製MFR2)
Tダイキャストを用いて加工温度250℃で2.5mmシートを作成した。続いて140℃の熱ロールで5倍の縦延伸を行い、続いて160℃のテンターで5倍の横延伸を行った。
〔エチレン・不飽和カルボン酸共重合体(以下単に共重合体と呼ぶ)〕
Figure 0004364983
【0046】
Figure 0004364983
【0047】
(表面抵抗率)
基材として100μmのポリプロピレンフイルムを用い、基材上に調製した塗布液をバーコーダを用いて塗膜の厚みが2μmになるように塗布した。これを、100〜150℃の熱風にて3分間乾燥した。得られた試験片について表面抵抗率を評価した。
高低抗・抵抗率計 三菱化学「ハイレスタIP」を用い、恒温恒湿槽内で23℃/所定の湿度で24時間調湿後、500V、10秒で表面抵抗率を測定した。尚、表面抵抗率の表示は、例えば1E+09とあるのは1×10の意味である。
測定は23℃/50%RH条件下にサンプルを24時間放置した後、表面抵抗率を測定した。
【0048】
(塗膜の耐水性)
基材として100μmのポリプロピレンフィルムを用い、基材上に調製した塗布液をバーコーダを用いて塗膜の厚みが2μmになるように塗布した。これを、100〜150℃の熱風にて3分間乾燥した。得られた試験片を水道水に5時間浸漬し塗膜を指で擦り、塗膜の状態を観察した。
○:変化はない。
×:破膜が発生する。
ヒートシール強度
基材として100μmの延伸ポリプロピレンフィルムを用い、基材上にプライマーとしてポリメントSK−1000(日本触媒製)をバーコーターを用いて塗膜厚みが2μmになるように塗布した。これを、120℃の熱風にて3分間乾燥し、2日間常温湿度50%でエージングした。次いで調整した水性分散液を同じくバーコーターを用いて塗膜厚みが4μmになるように塗布した。これを100℃の熱風にて3分間乾燥した。
塗布されたフィルムは次いでヒートシーラーを用い110℃、0.5秒、実圧0.1MPaの条件で1cm幅ヒートシールバーで塗布面同士を接着した。ヒートシール強度は1日間エージング後引張り速度300mmで測定した。
【0049】
各実施例及び比較例で用いた水性分散液組成を下記表1にまとめて示す。
【表1】
Figure 0004364983
【0050】
実施例1
前記共重合体1に、水酸化カリウム、酸化亜鉛、アンモニア水溶液、及び添加剤1を表1に示す量比で水と共に、加熱下に攪拌混合して水性分散液を調製した。
この水性分散液についての測定結果を表2に示す。
【0051】
実施例2
酸化亜鉛による中和度を20%から10%に変え、添加剤の添加量を10wt%から15wt%に変える以外は、実施例1と同様にして水性分散液を調整した。
この水性分散液についての測定結果を表2に示す。
【0052】
実施例3
添加剤1の代わりに添加剤2を用いる以外は実施例1と同様にして、水性分散液を調製した。
この水性分散液についての測定結果を表2に示す。
【0053】
実施例4
添加剤1の代わりに添加剤3を用いる以外は実施例1と同様にして、水性分散液を調製した。
この水性分散液についての測定結果を表2に示す。
【0054】
実施例5
共重合体1の代わりに共重合体2を用いる以外は実施例1と同様にして、水性分散液を調製した。
この水性分散液についての測定結果を表2に示す。
【0055】
比較例1
実施例1において、酸性亜鉛、アンモニア水溶液、及び添加剤1の添加を省略し、水酸化カリウムによる中和度を90%として、水性分散液を調製した。
この水性分散液についての測定結果を表2に示す。
【0056】
比較例2
実施例1において、水酸化カリウムの添加を省略しアンモニア中和度を90%に変更する以外は実施例1と同様にして、水性分散液を調製した。
この水性分散液についての測定結果を表2に示す。
【0057】
比較例3
実施例1において、添加剤1の添加を省略する以外は実施例1と同様にして、水性分散液を調製した。
この水性分散液についての測定結果を表2に示す。
【0058】
比較例4
実施例1において、酸化亜鉛、アンモニア水溶液、及び添加剤1の添加を省略して、水性分散液の調製を試みたした。
結果を表2に示す。
【0059】
比較例5
基材として厚さ100μmの延伸ポリプロピレンフィルムを用い、水性分散液を塗布することなくヒートシール強度を測定した。
この測定結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
Figure 0004364983

Claims (5)

  1. 不飽和カルボン酸含量が10〜35重量%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を、該共重合体のカルボキシル基を基準にして、10〜50モル%に相当する量のカリウムイオン、0〜40モル%に相当する量の多価金属、さらに20〜90モル%に相当する量のアンモニアで中和した、固形分5〜40%の水分散液であつて、グリセリン、分子量が250以下のポリエチレングリコール、あるいはアルカノールアミン化合物を、共重合体当たり2〜30重量%の範囲で配合してなることを特徴とする水性分散液。
  2. エチレン・不飽和カルボン酸共重合体が1〜2000g/10分のメルトフローレート(190℃、2160g荷重)を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の水性分散液。
  3. 前記共重合体のカルボキシル基を基準としたトータルの中和量が30〜150%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の水性分散液。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の水性分散液から形成されていることを特徴とする樹脂被覆。
  5. 請求項1乃至3の何れかに記載の水性分散液を、フィルム基材に塗布し、乾燥し、塗膜を形成させてなることを特徴とする積層体。
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