JP4362799B2 - 再剥離性情報シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、再剥離性情報シートに関し、より詳しくは、情報担持面が高い光沢を有する上に、さらに適度な剥離性を備えた再剥離性情報シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、秘匿性や親展性を有する情報を、より簡単に受取人のみに伝達するために、剥離は容易であるが再接着の困難な感圧接着剤層を設けたシートで、情報担持面を隠蔽する方法が知られている。この方法は、情報担持面同士あるいは担持面と遮蔽シートとを重ね合わせ、その重ね合わせ面に、前記の性能を有する感圧接着剤層を設けて接着させることにより、受取人の手に渡る前に剥離したかどうかがすぐに分かるようにして、受取人以外の者が情報を知得する事を防止するものである。
【0003】
そして、この種の感圧接着剤としては、アクリル系エマルジョン、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスといった水性タイプのエマルジョンやラテックスが主体であった。しかし、このような水性タイプの感圧接着剤は、紙面に塗布されてから乾燥するまでに長い時間を必要とするために作業性が低下し、また、基体として用いる紙の伸縮が起こり、貼り合わせが困難になるなどの多くの問題を有していた。
【0004】
さらに、最近、この様なシートがダイレクトメール等に利用されるようになると、宣伝効果を高めるために、情報担持面に高い光沢が求められるようになっている。
【0005】
そこで、上記の問題を解決し、また、新たな要望に応えるために、放射線硬化型感圧接着剤を利用する方法、さらに、その接着面の剥離性の調整に従来から知られている微粒子充填剤を添加する方法が、特開平10−265743号公報等で開示されている。
【0006】
しかしながら、放射線硬化型樹脂のみからなる感圧接着剤層を接着させる場合はもとより、微粒子充填剤を添加する方法であっても、接着面に適度な剥離性を付与するのは困難であり、特に経時中に接着が強くなって、剥離面で紙剥けなどを起したり、あるいは強度が弱すぎて自然に剥離するなどの問題を有していた。
【0007】
また、特開平11−49986号公報では、アクリル酸エステル系ベースポリマーと放射線硬化型樹脂からなる接着層を用いた技術がある。しかし、これらの樹脂の組み合わせでは、やはり、経時中に接着が強くなりすぎて、接着力と再剥離性とのバランスをとるのが困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、このような従来技術の問題を解決する事であり、情報担持面で高い光沢を有し、さらに適度な剥離性を備えた再剥離性情報シートを提供する事である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、再剥離性情報シートに適した感圧接着剤について種々研究を重ねた結果、放射線硬化型組成物100重量部に対して、脂肪酸アミド0.1〜10重量部を混合して得られる塗工剤の硬化皮膜層を形成する事により、上記の課題を解決しうることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0010】
すなわち、本願の請求項1にかかる発明は、基体シートの重ね合わせ面同士を対接させ、所定の圧着または、必要に応じて加熱圧着により接着させる再剥離性情報シートにおいて、前記重ね合わせ面に、放射線硬化型組成物100重量部に対して、脂肪酸アミド0.1〜10重量部を混合して得られる塗工剤の硬化皮膜層を設けたことを特徴とする再剥離性情報シートである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の再剥離性情報シートは、少なくとも片方には情報が担持された基体シートの重ね合せ面に、感圧接着剤層を形成させて得られるものであり、利用可能な基体シートとしては、紙類(例えば、アート紙、つや紙、マシンコート紙、色刷石版用紙、バライタ紙)、各種合成紙など、従来の再剥離性情報シートと同じものが利用できる。
【0012】
次いで、本発明の感圧接着剤層を構成する放射線硬化型組成物としては、紫外線や電子線等により硬化しうる組成物であれば特に制限はないが、通常、分子内に不飽和基を有するプレポリマーや重合性モノマーの中から、必要とする皮膜物性や硬化条件等に応じて適宜選択し、さらに紫外線硬化系では光重合開始剤を含有させて得られる感光性組成物を利用するものである。
【0013】
まず、本発明でいう分子内に不飽和基を有するプレポリマーとは、分子内にエポキシ基、イソシアネート基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などの官能基を2つ以上有する化合物(オリゴマーと呼ばれるもの、および、あまり高分子量でないポリマー等も含まれる)に、前記の官能基と反応可能な基、例えば、アミノ基(エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基と反応可能)、水酸基(エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基と反応可能)、カルボキシル基(エポキシ基、イソシアネート基、水酸基、アミノ基と反応可能)と、不飽和基、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基などとを有するモノマー化合物を反応させて得られる、分子量が1000程度かそれ以上の各種プレポリマーである。
【0014】
そして、具体的に、エポキシ基との反応をもとにして得られる、分子内に不飽和基を有するプレポリマーとしては、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物(例えばビスフェノールAジグリシジルエーテルオリゴマーのジ(メタ)アクリレートなど)およびその酸変性物(さらにメチルテトラヒドロフタル酸無水物などの反応物)、エポキシ樹脂とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応生成物(例えばビスフェノールAジグリシジルエーテルオリゴマーと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応生成物など)、エポキシ樹脂とアリルアミン系モノマーとの反応生成物(例えばビスフェノールAジグリシジルエーテルオリゴマーと、アリルアミンとの反応生成物、ジアリルアミンとの反応生成物など)を挙げる事ができる。
【0015】
また、イソシアネート基との反応をもとにして得られる、分子内に不飽和基を有するプレポリマーとしては、脂肪族、芳香族、あるいは芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物とポリエーテルポリオール化合物、ポリエステルポリオール化合物、ポリブタジエングリコールなどを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、それと反応可能なモノマー、例えばヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応生成物、アリルアミン系モノマーとの反応生成物などを挙げる事ができる。
【0016】
また、水酸基との反応をもとにして得られる、分子内に不飽和基を有するプレポリマーとしては、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸との反応生成物(例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンオキシアルキレン付加物のトリ(メタ)アクリレートなど)、ジオール化合物とジカルボン酸化合物を反応させて得られるポリエステルジオールと(メタ)アクリル酸との反応生成物(例えば、ポリエチレンアジペートジオールのジ(メタ)アクリル酸エステル化合物など)、ポリビニルアルコールとN−メチロールアクリルアミドとの反応生成物、ポリエチレングリコールと無水マレイン酸とグリシジルメタクリレートとの反応生成物などを挙げる事ができる。
【0017】
また、アミノ基との反応をもとにして得られる、分子内に不飽和基を有するプレポリマーとしては、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物とを反応させて得られるアミノ基含有ポリアミドと、(メタ)アクリル酸との反応生成物などを挙げる事ができる。
【0018】
また、カルボキシル基との反応をもとにして得られる、分子内に不飽和基を有するプレポリマーとしては、四塩基酸二無水物のジアリルエステル化物に、p,p′−ジアミノジフェニルを反応させて得られるプレポリマー、オレフィン−無水マレイン酸共重合体とアリルアミンとの反応生成物などを挙げる事ができる。
【0019】
そのほか、アクリル変性イソプレンゴム又はブタジエンゴムのようなゴム系プレポリマーも利用可能である。
【0020】
次に、本発明でいう分子内に不飽和基を有する重合性モノマーとは、アクリル系モノマー、マレイン酸系モノマー、スチレン系モノマー、アリル基含有モノマーなど、通常の放射線硬化型組成物で用いられている、プレポリマーより低分子量の重合性化合物である。
【0021】
具体的には、アクリル系モノマーとして、例えば(メタ)アクリル酸とそのアルキルエステル化合物、ヒドロキシアルキルエステル化合物、ハロゲン化アルキルエステル化合物、アミド化合物、アルキルアミド化合物、アミノアルキルアミド化合物、ポリオール化合物と(メタ)アクリル酸のポリエステル化合物などを挙げる事ができる。
【0022】
また、マレイン酸系モノマーとしては、(無水)マレイン酸、フマル酸およびそれらのアルキルエステル化合物、ヒドロキシアルキルエステル化合物など、スチレン系化合物としては、スチレン、アルキルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなど、アリル基含有化合物としては、アリルアルコールとその誘導体(例えば脂肪酸アリルエステル化合物、多塩基酸ポリアリルエステル化合物)、アリルアルキルエーテル化合物(例えばアリルエチルエーテルなど)を挙げる事ができる。
【0023】
さらに、本発明で利用可能な光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ミヒラーケトン類、ベンゾインやそのアルキルエーテル類、チオキサントン類などが挙げられる。
【0024】
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独もしくは2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量は、通常、前記プレポリマーとモノマーの合計量100重量部に対して、5〜15重量部の範囲で利用可能である。
【0025】
次いで、本発明において放射線硬化型組成物と混合する脂肪酸アミドとしては、高級脂肪酸モノアミド(例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドなど)、高級脂肪酸ジアミド(例えば、N,N’−メチレンビス(ステアロアミド)、N,N’−エチレンビス(ステアロアミド)など)などが利用可能であるが、その中でも、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミドなどのアルコール可溶性または分散性のものが好ましい。
【0026】
なお、脂肪酸アミドが、剥離性調整のために用いる他の既知の材料、例えばポリオレフィンワックスや、シリカ、ガラスビーズなどの微粒子充填剤と比較して、良好な効果が得られる理由については、定かではないが以下のように考えられる。
【0027】
脂肪酸アミドは、塗工から硬化するまでの間に浮き出して、多くは接着剤表面に分散状態で存在すると考えられるが、その粒径は、通常のポリオレフィンワックスや微粒子充填剤と比較しても、非常に小さなものである。
【0028】
ここで、対接する接着剤層間に大粒径の粒子を介在させる場合は、接着剤の粘度、硬化速度、膜厚などの条件のわずかな差によって、接着剤層表面から粒子が露出する度合いが変化し、接着強度がばらつくのに対して、小粒径の粒子では、樹脂−粒子皮膜がより均一となり、安定した接着強度を得る事ができると考えられる。この様な考えをもとに、ワックスや微粒子充填剤では困難であった剥離性(接着強度)の調整を、脂肪酸アミドの利用によって可能としたものである。
【0029】
さらに、本発明において、脂肪酸アミドの使用量は、放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。利用する放射線硬化型樹脂のオリゴマーやモノマーの種類およびその含有量によって、接着剤自体の剥離強度や脂肪酸アミドの分散性が異なり、それに伴って離型剤として作用する脂肪酸アミドの必要量も変化する。しかしながら、使用量が上記の範囲であれば、概ね、良好な剥離性を有する再剥離性情報シートを得る事ができるものである。
【0030】
さらに、必要に応じて一般の感光性樹脂組成物で利用される添加成分、例えば熱重合禁止剤、粘着付与剤、粘度調整剤、老化防止剤、安定剤、着色剤、微粒子充填剤などを含有させることができる。
【0031】
以上の放射線硬化型組成物と脂肪酸アミドを所定の混合比率で混合して得られる塗工剤を塗工する方法としては、ロールコーター、フレキソコーター、グラビアコーター、エアナイフ等を用いることができ、また、塗工量としては2〜15g/m2が適量である。なお、溶剤で適宜粘度調整して使用してもよく、その溶剤としてはアルコール系溶剤、特にイソプロパノールの使用が好ましい。
【0032】
また、塗工剤の硬化条件として、紫外線硬化では、通常の高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の紫外線照射装置を用いて、80〜280w/cmの照射強度で、また、電子線硬化では、通常の電子線照射装置を用いて、2〜5Mradの照射強度で硬化できることが望ましい。
【0033】
さらに、本発明の再剥離性情報シートは、加熱などの手段を必要に応じて併用しながら、概ね10〜300kg/cm2程度の加圧で接着させることにより、50〜120g/25mm程度の適度な剥離強度で、再剥離可能に接着(擬似接着)させることができる。
【0034】
以上の方法から得られる再剥離性情報シートは、情報担持面が高い光沢を有する上に、これまで、剥離性の調整が困難であった放射線硬化型接着剤を用いているにもかかわらず、適度な剥離性を備えたものである。
【0035】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
脂肪族系ウレタンアクリレート40重量部、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド付加物のトリアクリレート30重量部、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジアクリレート20重量部、ポリエチレンワックス1重量部、サーフィノール104E(日信化学(株)社製)1重量部、ステアリン酸アミド1重量部、光重合開始剤(日本チバガイギー(株)社製、登録商標名「イルガキュア」184)8重量部を攪拌混合して得られた塗工剤を、コート紙に5g/cm2の割合で塗布したのち、紫外線照射装置を用いて露光処理して硬化させ、無色透明の接着剤層を有する実施例1の再剥離性情報シートを製造した。
【0036】
実施例2
脂肪族系ウレタンアクリレートの代わりにエポキシアクリレート50重量部を用い、トリメチロールのエチレンオキシド付加物のトリアクリレート30重量部を20重量部とした以外は実施例1と同じ組成の塗工剤、同じコート紙、同じ塗工方法で、無色透明の接着剤層を有する実施例2の再剥離性情報シートを製造した。
【0037】
実施例3
ステアリン酸アミド1重量部を5重量部とした以外は実施例1と同じ組成の塗工剤、同じノンコート紙、同じ塗工方法で、無色透明の接着剤層を有する実施例3の再剥離性情報シートを製造した。
【0038】
比較例1
脂肪酸アミドを用いない以外は実施例1と同じ組成の塗工剤、同じノンコート紙、同じ塗工方法で、無色透明の接着剤層を有する比較例1の再剥離性情報シートを製造した。
【0039】
比較例2
ステアリン酸アミドの代わりに、微粒子充填剤として炭酸カルシウムを1.5重量部を用いる以外は実施例1と同じ組成の塗工剤、同じノンコート紙、同じ塗工方法で、無色透明の接着剤層を有する比較例2の再剥離性情報シートを製造した。
【0040】
比較例3
ステアリン酸アミドの代わりに、リン酸エステルを1重量部用いる以外は実施例1と同じ組成の塗工剤、同じノンコート紙、同じ塗工方法で、無色透明の接着剤層を有する比較例3の再剥離性情報シートを製造した。
【0041】
評価
実施例1〜3および比較例1〜3の再剥離性情報シートについて、それぞれ剥離性および耐ブロッキング性を評価し、その結果を表1に示した。なお、各試験の評価方法は以下に示した通りである。
【表1】
【0042】
剥離性の評価
感圧接着剤層を重ね合わせ、110℃に加熱した熱ロールを用いて、150kg/cm2の圧力下、18m/minのライン速度で熱圧着した直後、1日、7日、14日経時させた試験サンプルを手で剥離して剥離性を評価した。
なお、結果の表示として、適度の力で剥離させる事ができるものをA、接着剤層間で剥離せず紙剥けを起すものをBとした。
【0043】
耐ブロッキング性の評価
感圧接着剤層を重ね合わせ面を、剥離性の評価と同条件で熱圧着した後、温度40℃、湿度90%の環境条件下、1kg/cm2の荷重を24時間かけた試験サンプルを手で剥離して耐ブロッキング性を評価した。(なお、耐ブロッキング性の評価は、特にシートが圧着された後、積み重ねられたままで長時間置かれる時の状態を考慮したものであり、圧着後にさらに荷重を付加するのが上記の剥離性の評価と異なる点である。)
なお、結果の表示としては、剥離性の評価と同様に、適度の力で剥離させる事ができるものをA、接着剤層間で剥離せず紙剥けを起すものをBとした。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
本発明の感圧接着性プリント用シートは、情報担持面で高い光沢を有し、外観も良好であり、さらに適度な剥離強度を備えた再剥離性情報シートである。
Claims (1)
- 基体シートの重ね合わせ面同士を対接させ、所定の圧着または、必要に応じて加熱圧着により接着させる再剥離性情報シートにおいて、前記重ね合わせ面に、放射線硬化型組成物100重量部に対して、脂肪酸アミド0.1〜10重量部を混合して得られる塗工剤(但し、分子内に不飽和基を有するプレポリマー及び/又は重合性モノマーを含有する放射線硬化型組成物100重量部に対して、酸もしくは塩基性化合物の存在下で、アルコールに溶解させたカチオン性もしくはアニオン性樹脂を、樹脂固形分として0.5〜8重量部混合して得られる再剥離性情報シート用塗工剤を除く。)の硬化皮膜層を設けたことを特徴とする再剥離性情報シート。
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