JP4361304B2 - マクロレンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マクロレンズに関し、詳しくは無限遠から等倍まで撮影可能で、比較的画角が狭い中望遠(例えば、35mm一眼レフカメラにおいて75mm程度の焦点距離)の写真用マクロレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
中望遠クラスのマクロレンズにおいて、レンズ系全体を繰り出すことにより無限遠から等倍域まで撮影できるようにすると、フォーカス量が大きくなる傾向がある。これに対して、正の屈折力を有する前群と、負の屈折力を有する後群とからなる2群構成とし、フォーカシングに際して前群を光軸に沿って移動させるとともに後群を光軸上で固定することによりフォーカス量を小さく抑えて、近年必須の機能となっているオートフォーカスに対応させたマクロレンズが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の方式のマクロレンズは、無限遠から等倍域までフォーカシングすると、球面収差や像面湾曲等の収差変化が大きくなり、等倍域まで良好な性能を維持することが困難となる傾向があった。
【0004】
そこで、フォーカシングに際して後群を光軸上で固定しつつ、前群を構成する正の屈折力を有する2つのレンズ群の間隔を変化させながら、前群を独立して移動させることによりフォーカシングを行う、いわゆるフローティングフォーカス機構を取り入れたマクロレンズが開発されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第3351755号公報
【特許文献1】
特公平6−85018号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2記載のマクロレンズでは、収差変動を抑えるために、フォーカスのための機構が複雑になるという問題があった。
このように、従来の技術では、フォーカス量を小さく抑えて、近年必須の機能となっているオートフォーカスに対応させることと、無限遠から等倍域に至るまで球面収差や像面湾曲等の諸収差を良好に補正することを両立させるのは困難であった。
【0007】
すなわち、先に示した従来の技術でも明らかなように、この種のマクロレンズでは、しばしば前群にガウスタイプの構成が採用されてきた。前群に採用されたガウスタイプの構成は対称性を有しており、諸収差が良好に補正され、物点距離の変動にも比較的強く、フォーカス群としては好適である。
【0008】
しかしながら、オートフォーカスに対応させるためにフォーカス移動量を小さく抑えようとすると、全系の焦点距離よりもフォーカス群である前群の焦点距離を小さくする必要がある。また、全体として望遠タイプのレンズ構成とする場合には、前群の像面側に負の屈折力を有する1群を加えて、これを後群とすることから非対称性が生じる。
【0009】
上記特許文献1記載の技術では、絞りを挟んで物体側に配設した前群が正の屈折力を有するガウスタイプとなっており、像面側に配設した後群が負の屈折力を有するため、絞りを挟んで非対称な屈折力配分となっている。このような構成からなるレンズ系では、各群のレンズ構成や形状を適宜設定することにより、屈折力配分の非対称性から生じる非点収差、歪曲収差、コマ収差、倍率色収差などの諸収差を、特定の物点距離で小さく抑えることはできる。
しかしながら、結像倍率範囲の大きいマクロレンズでは、前後群間の間隔変化も大きく、これらの諸収差をフォーカス全域にわたって補正することは難しい。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、フォーカス移動量が比較的小さいとともにフォーカススピードが速いというオートフォーカスに好適な前群フォーカスタイプとした場合に、フォーカスによる収差変動が極めて小さく、無限遠から等倍まで均一で良好な性能を有する中望遠クラスのマクロレンズを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のマクロレンズは、上記目的を達成するため、物体側から順に、前群、および後群を配設してなり、
前記前群は、明るさを規定する絞りを挟んで物体側の第1前群、および像面側の第2前群からなり、
前記第1前群は、像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する1枚のレンズと、最も像面側に配置された1枚の両凸レンズを少なくとも含むとともに、全体として正の屈折力を有し、
前記第2前群は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズ、および像面側に凸面を向けた各々正の屈折力を有する2枚のレンズを配設してなり、
前記後群は、物体側から順に、両凸レンズ、両凹レンズ、および物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズを配設してなるとともに、全体として負の屈折力を有し、
無限遠物点から等倍物点に向かってフォーカスする際に、前記前群を光軸に沿って物体側へ移動させるとともに、前記後群を光軸上で固定し、
下記条件式(1)〜(5)を満足してなることを特徴とするものである。
1<bf1F/f1F<1.2 ・・・(1)
0.3<RN1/f<0.5 ・・・(2)
−0.5<RN2/f<−0.18 ・・・(3)
0.35<RN3/f<0.55 ・・・(4)
32.0<νN1<47.0 ・・・(5)
ただし、
bf1F:第1前群のバックフォーカス
f1F :第1前群の焦点距離
RN1 :第1前群に含まれる負の屈折力を有するレンズの像側面の曲率半径
RN2 :第2前群に含まれる負の屈折力を有するレンズの物体側面の曲率半径
RN3 :後群に含まれる負の屈折力を有するレンズの像側面の曲率半径
f :無限遠物点における全系の焦点距離
νN1 :第1前群に含まれる負の屈折力を有するレンズの硝材のアッベ数
【0012】
このように、本発明のマクロレンズでは、上記従来の技術に対して前群の構成を変更し、全系において軸外光束の通る光路が屈折力配分的に対称性に近付くようにしている。
すなわち、絞りを挟んで物体側に配設された第1前群において、負レンズが絞りから遠ざかるように、すなわち物体側に近づくように配設し、その像面側に正レンズを配設することにより、第1前群全体は正の屈折力を有するようにしている。これにより、絞りを挟んで像面側に配設された第2前群における正の屈折力が過剰になって球面収差が過大になることを防止することができる。
【0013】
また、第1前群を通る光線の高さの差を利用して、負の屈折力を強くするとともに、第2前群を絞りの後方に近接させて正の屈折力を弱めて後群の負の屈折力と対抗させ、軸外光束の対称性を高めることにより、屈折力配分の非対称性から生じる非点収差、歪曲収差、コマ収差、倍率色収差などの諸収差を小さく抑えることができる。
【0014】
このような構成では、前群を繰り出して等倍域に移行させると、後群の負の屈折力が強くなる。これに対して、後群の最も物体側に正の屈折力を有するレンズを配設することにより、等倍域では後群から遠ざかる前群に対する軸外光の光線高さが高くなり、より強い正の屈折力を確保することができる。そこで、後群において、最も物体側に配設した正レンズの像面側に、負の屈折力を有するレンズ、および正の屈折力を有するレンズを配設することにより、後群全体の負の屈折力に対抗して軸外光束に対する正の屈折力を増強することができ、諸収差を良好に補正して許容範囲内とすることができる。
【0015】
したがって、本発明のマクロレンズでは、上記レンズ構成を備え、上記各条件式を満足することにより、フォーカス移動量が比較的小さいとともにフォーカススピードが速いというオートフォーカスに好適な前群フォーカスタイプとした場合に、フォーカスによる諸収差の変動を極めて小さくし、無限遠から等倍域まで均一で良好な性能を有するマクロレンズとすることができる。
【0016】
次に、上記各条件式の意義について説明する。
条件式(1)は、前群において絞りを挟んで物体側に配設された第1前群の屈折力配分を規定するための条件式で、第1前群のバックフォーカスbf1Fが、第1前群の焦点距離f1Fよりも大きい所定の範囲内となることを規定している。この条件式(1)を満足させるためには、物体側に強い負の屈折力を有するレンズ群を配分することとなるが、第1前群全体としては正の屈折力となっているため、中心光束における球面収差の発生を抑えつつ、軸外光の対称性を維持して非点収差、歪曲収差、コマ収差、倍率色収差などの諸収差を良好に補正することができる。
【0017】
この条件式(1)において、bf1F/f1Fの値が下限を下回ると、第1前群の軸外光束に対する負の屈折力が弱まり、無限遠から等倍域まで非点収差やコマ収差などの諸収差の変動を抑えることができなくなる。一方、bf1F/f1Fの値が上限を上回ると、上述した作用とは逆の作用が生じ、無限遠から等倍域まで非点収差やコマ収差などの諸収差の逆向きの変動を抑えることができなくなる。
【0018】
条件式(2)は、第1前群に含まれる負の屈折力を有するレンズの像面側の曲率半径RN1と無限遠物点における全系の焦点距離fとの比RN1/fの値を規定することにより、絞りに対して軸外光の同心性を高め、球面収差を小さく維持しながら非点収差やコマ収差などの軸外諸収差とのバランスを保つための条件式である。
【0019】
この条件式(2)において、RN1/fの値が下限を下回ると、球面収差が補正過剰になるとともに像面湾曲が変化し、像面倒れが発生して好ましくない。一方、RN1/fの値が上限を上回ると、球面収差が補正不足になるとともに像面湾曲が大きくなり、この場合にも像面倒れが発生して、画面全体に亘る均一な性能を得ることができない。
【0020】
条件式(3)は、第2前群に含まれる負の屈折力を有するレンズの物体側の曲率半径RN2と無限遠物点における全系の焦点距離fとの比RN2/fの値を規定することにより、球面収差およびコマ収差を良好に補正するための条件式である。
【0021】
第2前群は、全系のバックフォーカスを確保するため、レンズ構成上、中心光束の入射高さと射出高さの差が大きく球面収差が発生しやすい。この球面収差をコントロールするためには、第2前群中で唯一、負の屈折力を有するレンズであり、かつ最も絞りに近いレンズの形状が重要であり、これが全体の性能に影響を与えることとなる。
【0022】
この条件式(3)において、RN2/fの値が下限を下回ると、上記負の屈折力が弱まって球面収差が補正不足となるとともに、外方のコマ収差が発生して、画面全体の結像性能を劣化させてしまう。一方、RN2/fの値が上限を上回ると、球面収差が補正過剰となるとともに、内方のコマ収差が発生して、画面全体の結像性能を劣化させてしまう。
【0023】
条件式(4)は、後群に含まれる負の屈折力を有するレンズの像面側の曲率半径RN3と無限遠物点における全系の焦点距離fとの比RN3/fを規定することにより、像面の平坦性を維持するための条件式である。
【0024】
上述したように、後群の最も物体側に配設する正の屈折力を有するレンズには、無限遠から等倍まで収差変動を小さく抑える働きがある。しかし、この正の屈折力を有するレンズは、球面収差を増大させ、フォーカスによる球面収差変動を助長する要因ともなってしまう。そこで、後群に含まれる負レンズに、後群内で発生する球面収差を抑える役割を担わせる必要がある。また、軸外光束が、後群に対して中心光束よりも高い位置で入射すると、像面倒れが球面収差以上に大きく変化する。このため、無限遠から等倍域まで、画面全域における像面の平坦性を維持するために規定されたのが条件式(4)である。
【0025】
この条件式(4)において、RN3/fの値が下限を下回ると、発散力が強くなり、特に遠距離側において正の像面倒れが発生してしまう。一方、RN3/fの値が上限を上回ると、負の像面倒れが発生してしまう。
【0026】
条件式(5)は、第1前群に含まれる負の屈折力を有するレンズの硝材のアッベ数νN1を規定することにより、軸上色収差と倍率色収差を良好に補正するための条件式である。
第1前群で発生する色収差を押さえるために、当該負の屈折力を有するレンズの硝材として、アッベ数の比較的大きいガラスを選択する必要がある。
【0027】
この条件式(5)において、νN1の値が規定の範囲内であれば、軸上色収差および倍率色収差を最周辺画角まで良好に補正することができる。一方、νN1の値が規定の範囲を超えると、軸上色収差と倍率色収差のバランスが崩れ、特に倍率色収差を抑えることができなくなる。
【0028】
また、本発明に係るマクロレンズは、物体側から順に、前群、および後群を配設してなり、
前記前群は、明るさを規定する絞りを挟んで物体側の第1前群および像面側の第2前群からなり、
前記第1前群は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズ、像面側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズ、および両凸レンズを配設してなるとともに、全体として正の屈折力を有し、
前記第2前群は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズ、および像面側に凸面を向けた各々正の屈折力を有する2枚のレンズを配設してなり、
前記後群は、物体側から順に、両凸レンズ、両凹レンズ、および物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズを配設してなるとともに、全体として負の屈折力を有し、
無限遠物点から等倍物点に向かってフォーカスする際に、前記前群を光軸に沿って物体側へ移動させるとともに、前記後群を光軸上で固定し、
上記条件式(1)〜(5)を満足してなることを特徴とするものである。
【0029】
このマクロレンズの基本レンズ構成は、先に説明したマクロレンズとほぼ同様となっているが、第1前群の最も物体側に正の屈折力を有するレンズを配設することで、無限遠から等倍域にわたって、画面最周辺まで良好な結像性能を維持することができる。
【0030】
すなわち、このマクロレンズは、第1前群と後群のレンズ基本構成が先に説明したマクロレンズと同様であり、軸外光束に対する屈折力の対称性のみならず諸収差の発生も似たものとなり、諸収差の発生をより良好に補正することができる。
【0031】
また、第1前群の物体側に正の屈折力を有するレンズを付加することで、軸外光束に対する負の屈折力が入射角度に応じて大きくなり過ぎるのを抑えることができる。さらに、画面最周辺まで非点収差、コマ収差、倍率色収差などを良好に補正することができ、結像性能においてより高性能化を達成することができる。
【0032】
このマクロレンズで規定する条件式(1)〜(5)の意義は、上述したとおりである。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係るマクロレンズを実施例1〜4を用いて説明する。
なお、以下の各表および各図に示されるデータの値は、全系の焦点距離を100mmとして規格化した場合の値である。
【0034】
<実施例1>
図1および図2は、本発明の実施例1に係るマクロレンズのレンズ基本構成図であり、図1は無限遠におけるレンズ基本構成図、図2は等倍におけるレンズ基本構成図である。
【0035】
本発明の実施例1に係るマクロレンズは、図1および図2に示すように、物体側から順に、前群G1、および後群G2を配設してなり、前群G1は、明るさを規定する絞り1を挟んで物体側の第1前群G1F、および像面側の第2前群G1Rから構成され、物体側から光軸Xに沿って入射した光束は結像面2の結像位置Pに結像される。
【0036】
第1前群G1Fは、物体側から順に、両凸の第1レンズL1、像面側に曲率の大きい凹面を向けた両凹の第2レンズL2、および両凸の第3レンズL3を配設してなり、全体として正の屈折力を有している。
【0037】
第2前群G1Rは、物体側に曲率の大きい凹面を向けた両凹の第4レンズL4、像面側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第5レンズL5、および像面側に曲率の大きい凸面を向けた両凸の第6レンズL6を配設してなる。
【0038】
後群G2は、物体側から順に、両凸の第7レンズL7、両凹の第8レンズL8、および物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第9レンズL9を配設してなり、全体として負の屈折力を有している。
また、無限遠物点から等倍物点に向かってフォーカスする際に、前群G1を光軸にX沿って物体側へ移動させるとともに、後群G2を光軸X上で固定している。
【0039】
実施例1における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D(mm)、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを下記表1の上段に示す。
ただし、この表1および後述する表2〜4において、各記号R,D,Nd,νdに対応させた数字は物体側から順次増加するようになっている。
【0040】
また、表1の中段に、この実施例1に関し、無限遠におけるレンズ系全体の合成焦点距離f、FNo、画角2ω、無限遠および等倍におけるD13に対応する値を示す。
さらに、表1の下段に、この実施例1における上記条件式(1)〜(5)に関するbf1F/f1F、RN1/f、RN2/f、RN3/f、νN1の各値を示す。
【0041】
【表1】
【0042】
上記表1から明らかなように、実施例1では条件式(1)〜(5)の全てが満足されている。
【0043】
<実施例2>
本発明の実施例2に係るマクロレンズのレンズ基本構成は、図1および図2に示す実施例1のものとほぼ同様となっている。
実施例2における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D(mm)、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを下記表2の上段に示す。
【0044】
また、表2の中段に、この実施例2に関し、無限遠におけるレンズ系全体の合成焦点距離f、FNo、画角2ω、無限遠および等倍におけるD13に対応する値を示す。
さらに、表2の下段に、この実施例2における上記条件式(1)〜(5)に関するbf1F/f1F、RN1/f、RN2/f、RN3/f、νN1の各値を示す。
【0045】
【表2】
【0046】
上記表2から明らかなように、実施例2では条件式(1)〜(5)の全てが満足されている。
【0047】
<実施例3>
図3および図4は、本発明の実施例3に係るマクロレンズのレンズ基本構成図であり、図3は無限遠におけるレンズ基本構成図、図4は等倍におけるレンズ基本構成図である。
【0048】
本発明の実施例3に係るマクロレンズは、図3および図4に示すように、物体側から順に、前群G1、および後群G2を配設してなり、前群G1は、明るさを規定する絞り1を挟んで物体側の第1前群G1F、および像面側の第2前群G1Rから構成され、物体側から光軸Xに沿って入射した光束は結像面2の結像位置Pに結像される。
【0049】
第1前群G1Fは、物体側から順に、負の屈折力を有し像面側に曲率の大きい凹面を向けたメニスカス形状の第1レンズL1、および両凸の第2レンズL2を配設してなり、全体として正の屈折力を有している。
【0050】
第2前群G1Rは、物体側に曲率の大きい凹面を向けた両凹の第3レンズL3、像面側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第4レンズL4および像面側に曲率の大きい凸面を向けた両凸の第5レンズL5を配設してなる。
【0051】
後群G2は、物体側から順に、両凸の第6レンズL6、両凹の第7レンズL7、および物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第8レンズL8を配設してなり、全体として負の屈折力を有している。
また、無限遠物点から等倍物点に向かってフォーカスする際に、前群G1を光軸Xに沿って物体側へ移動させるとともに、後群G2を光軸X上で固定している。
【0052】
実施例3における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D(mm)、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを下記表3の上段に示す。
【0053】
また、表3の中段に、この実施例3に関し、無限遠におけるレンズ系全体の合成焦点距離f、FNo、画角2ω、無限遠および等倍におけるD11に対応する値を示す。
さらに、表3の下段に、この実施例3における上記条件式(1)〜(5)に関するbf1F/f1F、RN1/f、RN2/f、RN3/f、νN1の各値を示す。
【0054】
【表3】
【0055】
上記表3から明らかなように、実施例3では条件式(1)〜(5)の全てが満足されている。
【0056】
<実施例4>
本発明の実施例4に係るマクロレンズのレンズ基本構成は、図1および図2に示す実施例1のものとほぼ同様となっている。
【0057】
実施例4における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D(mm)、各レンズのd線における屈折率Ndおよびアッベ数νdを下記表4の上段に示す。
【0058】
また、表4の中段に、この実施例4に関し、無限遠におけるレンズ系全体の合成焦点距離f、FNo、画角2ω、無限遠および等倍におけるD13に対応する値を示す。
さらに、表4の下段に、この実施例4における上記条件式(1)〜(5)に関する、bf1F/f1F、RN1/f、RN2/f、RN3/f、νN1の各値を示す。
【0059】
【表4】
【0060】
上記表4から明らかなように、実施例4では条件式(1)〜(5)の全てが満足されている。
【0061】
また、図5〜8に、実施例1〜4の無限遠および等倍における各収差(球面収差、像面湾曲、歪曲収差、倍率色収差)を示す。なお、各球面収差の収差図にはd線、c線、およびg線における収差が示されており、各像面湾曲の収差図には、サジタル像面(S)およびタンジェンシャル像面(T)における収差が示されており、各倍率色収差の収差図にはc線、およびg線における収差が示されている。
これら図5〜8から明らかなように、上述した各実施例によれば、諸収差を全て良好なものとすることができる。
【0062】
なお、本発明に係るマクロレンズとしては、上記実施例のものに限られず種々の態様の変更が可能であり、例えば各レンズの曲率半径Rおよびレンズ間隔(もしくはレンズ厚)Dを適宜変更することが可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上、本発明のマクロレンズによれば、フォーカス移動量が比較的小さいとともにフォーカススピードが速いというオートフォーカスに好適な前群フォーカスタイプとした場合に、フォーカスによる収差変動が極めて小さく、無限遠から等倍域まで諸収差を良好に補正して均一かつ良好な性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係るマクロレンズの無限遠におけるレンズ基本構成図
【図2】本発明の実施例1に係るマクロレンズの等倍におけるレンズ基本構成図
【図3】本発明の実施例3に係るマクロレンズの無限遠におけるレンズ基本構成図
【図4】本発明の実施例3に係るマクロレンズの等倍におけるレンズ基本構成図
【図5】本発明の実施例1に係るレンズの各収差図(球面収差、像面湾曲、歪曲収差、倍率色収差)
【図6】本発明の実施例2に係るレンズの各収差図(球面収差、像面湾曲、歪曲収差、倍率色収差)
【図7】本発明の実施例3に係るレンズの各収差図(球面収差、像面湾曲、歪曲収差、倍率色収差)
【図8】本発明の実施例4に係るレンズの各収差図(球面収差、像面湾曲、歪曲収差、倍率色収差)
【符号の説明】
L1〜L9 レンズ
R1〜R19 レンズ面等の曲率半径
D1〜D19 レンズ面間隔(レンズ厚)
X 光軸
P 結像位置
1 絞り
2 結像面
Claims (2)
- 物体側から順に、前群、および後群を配設してなり、
前記前群は、明るさを規定する絞りを挟んで物体側の第1前群、および像面側の第2前群からなり、
前記第1前群は、像面側に凹面を向けた負の屈折力を有する1枚のレンズと、最も像面側に配置された1枚の両凸レンズを少なくとも含むとともに、全体として正の屈折力を有し、
前記第2前群は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズ、および像面側に凸面を向けた各々正の屈折力を有する2枚のレンズを配設してなり、
前記後群は、物体側から順に、両凸レンズ、両凹レンズ、および物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズを配設してなるとともに、全体として負の屈折力を有し、
無限遠物点から等倍物点に向かってフォーカスする際に、前記前群を光軸に沿って物体側へ移動させるとともに、前記後群を光軸上で固定し、
下記条件式(1)〜(5)を満足してなることを特徴とするマクロレンズ。
1<bf1F/f1F<1.2 ・・・(1)
0.3<RN1/f<0.5 ・・・(2)
−0.5<RN2/f<−0.18 ・・・(3)
0.35<RN3/f<0.55 ・・・(4)
32.0<νN1<47.0 ・・・(5)
ただし、
bf1F:第1前群のバックフォーカス
f1F :第1前群の焦点距離
RN1 :第1前群に含まれる負の屈折力を有するレンズの像側面の曲率半径
RN2 :第2前群に含まれる負の屈折力を有するレンズの物体側面の曲率半径
RN3 :後群に含まれる負の屈折力を有するレンズの像側面の曲率半径
f :無限遠物点における全系の焦点距離
νN1 :第1前群に含まれる負の屈折力を有するレンズの硝材のアッベ数 - 物体側から順に、前群、および後群を配設してなり、
前記前群は、明るさを規定する絞りを挟んで物体側の第1前群および像面側の第2前群からなり、
前記第1前群は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズ、像面側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズ、および両凸レンズを配設してなるとともに、全体として正の屈折力を有し、
前記第2前群は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズ、および像面側に凸面を向けた各々正の屈折力を有する2枚のレンズを配設してなり、
前記後群は、物体側から順に、両凸レンズ、両凹レンズ、および物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズを配設してなるとともに、全体として負の屈折力を有し、
無限遠物点から等倍物点に向かってフォーカスする際に、前記前群を光軸に沿って物体側へ移動させるとともに、前記後群を光軸上で固定し、
下記条件式(1)〜(5)を満足してなることを特徴とするマクロレンズ。
1<bf1F/f1F<1.2 ・・・(1)
0.3<RN1/f<0.5 ・・・(2)
−0.5<RN2/f<−0.18 ・・・(3)
0.35<RN3/f<0.55 ・・・(4)
32.0<νN1<47.0 ・・・(5)
ただし、
bf1F:第1前群のバックフォーカス
f1F :第1前群の焦点距離
RN1 :第1前群に含まれる負の屈折力を有するレンズの像側面の曲率半径
RN2 :第2前群に含まれる負の屈折力を有するレンズの物体側面の曲率半径
RN3 :後群に含まれる負の屈折力を有するレンズの像側面の曲率半径
f :無限遠物点における全系の焦点距離
νN1 :第1前群に含まれる負の屈折力を有するレンズの硝材のアッベ数
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