JP4357795B2 - 射出成形同時絵付用転写シート、及び絵付成形品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形同時絵付に使用する転写シートと、該転写シートを用いて得られる絵付成形品に関する。特に、表面凹凸と塗装感と共に耐スクラッチ性も良好となる転写シートと、それを用いて得られる絵付成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂成形物の表面を絵付シートによって絵付した絵付成形品は各種用途で使用されている。この様な絵付成形品を得る代表的な方法として、射出成形同時絵付方法(特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報、特開平6−315950号公報、特公平2−42080号公報、等参照)がある。この射出成形同時絵付には、大別して、ラミネート形態と転写形態とがある。ラミネート形態では、絵付シートの全層を樹脂成形物の表面に積層する。また、転写形態では、絵付シートとして、支持体シート上に転写層を積層した構成の転写シートを用いて、転写シート全層を一旦樹脂成形物表面に積層した後、支持体シートを剥離して、最終的に転写層のみを樹脂成形物表面に積層する。
【0003】
また、絵付成形品の表面に例えば木目導管溝模様等の凹凸模様を設ける場合には、ラミネート形態の場合では、例えば、射出成形型のキャビティ面に賦形用の凹凸模様を設けておいて、射出成形時に絵付シート表面に凹凸模様を賦形することで対応できる。一方、転写形態の場合では、上記ラミネート形態の場合と同様に、射出成形型のキャビティ面に金属加工等によって賦形用の凹凸模様を設けておき、転写シートの支持体シートを通して転写層表面に凹凸模様を賦形する場合と、転写シートの支持体シートの転写層側の面を凹凸模様賦形層等で凹凸面として、支持体シートから転写層に凹凸模様を賦形する場合とがある。
一方、塗装感を得る為には、転写形態では厚い透明樹脂層を形成し難い為に、ラミネート形態として、その絵付シートの基材シートには成形性等と共に透明性に優れたアクリル樹脂による透明樹脂シートを使用して、その裏面側に設けた絵柄層に対する塗装感を得る場合が多い。
また、印刷等で形成した絵柄層に対する耐摩耗性を得る場合には、転写形態では厚みを厚くできない為に、ラミネート形態として、透明樹脂シートの裏面側に絵柄層を形成して透明樹脂シートで絵柄層を保護するのが、性能的に優れたものとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、凹凸模様と共に塗装感も得る場合、上記の如きラミネート形態では塗装感の方は良いが凹凸模様の点で難があり、転写形態では凹凸模様の方は良いが塗装感の点で難がある。しかも、ラミネート形態では、成形性、透明性等を考慮した場合、アクリル樹脂シートが主となるが、アクリル樹脂シートは耐擦傷性に関しては、あまり芳しくない。この耐擦傷性に関しては、ポリカーボネート樹脂シート等、耐擦傷性に優れたシートは有るが、成形性(加工安定性)、コスト等に難があった。
【0005】
すなわち、本発明の課題は、凹凸模様、塗装感、及び耐摩耗性の全てを満たせる射出成形同時絵付技術を提供することである。そして、その為の射出成形同時絵付用転写シート、及びそれによって得られる絵付成形品を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明では次の如き転写形態で使用する転写シートと、それを用いて得られる絵付成形品を提供する。すなわち、本発明の射出成形同時絵付用転写シートは、転写層側に凹凸模様賦形層を有する支持体シートに、転写層として順次、剥離層、補強層、接着層、透明アクリル樹脂シート、絵柄層、接着剤層が積層されてなる射出成形同時絵付用転写シートであって、上記補強層に無機又は有機の粉末充填剤が添加されており、該補強層がアクリル樹脂をシランカップリング剤で硬化させる2液硬化型アクリル樹脂の硬化物からなり、かつ、透明な層で形成され、前記絵柄層を透視可能であり、かつ、前記接着層が熱融着性を有する、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー、塩素化ポリオレフィンの熱可塑性樹脂であることを特徴とする構成とした。
【0007】
この様な構成とすることで、凹凸模様を付与できる上、透明アクリル樹脂シートによって塗装感も得られ、しかも転写後は該透明アクリル樹脂シートの表面側に位置する事になる特定材料からなる補強層によって、耐摩耗性も得られる。従って、凹凸模様付与、塗装感、及び耐擦傷性の全てを満足させることができる。
【0008】
また、本発明の絵付成形品は、上記の射出成形同時絵付用転写シートの転写により、該転写シートの転写層が樹脂成形物の表面に積層されてなる構成の成形品とした。
【0009】
この様な構成とすることで、前記した射出成形同時絵付用転写シートによる効果が得られる。従って、その結果、凹凸模様付与、塗装感、及び耐擦傷性の全てを絵付成形品に付与できる様になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
概要
図1の断面図で、本発明の射出成形同時絵付用転写シートの形態例として2形態を例示する。図1(A)の射出成形同時絵付用転写シートSは、素材シート1Aの転写層側に凹凸模様賦形層1Bを有する構成からなる支持体シート1に、転写層2として、剥離層3、補強層4、接着層5、透明アクリル樹脂シート6、絵柄層7、接着剤層8が、この順に積層されてなる構成の転写シートである。しかも、上記補強層4は、アクリル樹脂をシランカップリング剤で硬化させる2液硬化型アクリル樹脂の硬化物から構成され、更に、無機或いは有機の粉末充填剤が添加された構成としてある。
【0012】
一方、図1(B)に示す射出成形同時絵付用転写シートSの方は、図1(A)で例示した射出成形同時絵付用転写シートSに対して、絵柄層に関する構成が異なる形態である。すなわち、図1(B)の該転写シートSでは、透明アクリル樹脂シート6の裏側(図面下側)の絵柄層7は、全面ベタ柄の光輝性ベタ層として設けてあり、更に透明アクリル樹脂シート6の表側(図面上側)にも絵柄層7Aを設け、絵柄層7Aによってパターン状の絵柄を表現した形態である。
【0013】
そして、上記の如き射出成形同時絵付用転写シートSを用いて、転写形態による射出成形同時絵付けを行う事で、樹脂成形物9の表面に上記転写シートの転写層2を転写させれば、図2(A)の断面図で概念的に示す如く、表面に凹凸模様eが付与された絵付成形品Pが得られる。なお、図2中、転写層2の部分は、図1(A)や図1(B)の断面図で例示した如き転写層2部分と同様であり、図2(B)の拡大断面図は、図1(A)の射出成形同時絵付用転写シートSによる転写によって得られる構成例を示す。図2(B)では、樹脂成形物9に図1(A)に於ける転写層2部分が積層し、該転写層2表面には、凹凸模様eが付与されている。
なお、これら図面にて、凹凸模様eの深さは剥離層3内に留まる深さであるが、これら図面は概念図でもあり、凹凸模様eの深さはこれに限定されず、更に深い場合もある。
【0014】
射出成形同時絵付用転写シート:
先ず、射出成形同時絵付用転写シートから説明する。
【0015】
〔支持体シート〕
支持体シート1は、その転写層側に凹凸模様賦形層1Bを有する構成のシートであり、具体的には、素材シート1Bと、その転写層側とする面に設けた凹凸模様賦形層1Bとから構成される。
【0016】
素材シート1Aとしては、いわゆる転写シートに於ける公知のシートを使用する事ができる。なお、射出成形同時絵付用の転写シートでは有るが、射出成形同時絵付の形態によっては成形性は無くても良い。従って、素材シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリアリレート、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、塩化ビニル樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニロン等のビニル重合体等からなる樹脂シート(フィルム)、或いは上質紙、薄葉紙等にポリオレフィン系樹脂やシリコーン樹脂による離型層を積層した塗工紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙である。
なかでも、ポリエステル樹脂シート、それも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートは代表的な樹脂シートである。なお、素材シートの厚さは、通常10〜100μm程度である。
【0017】
また、素材シートにポリエステル樹脂シートを用いる事によって、後述する凹凸模様賦形層に、ポリエステル樹脂を使用した硬化性樹脂を用いる場合に、素材シートと凹凸模様賦形層との密着を良好にでき、転写の際に支持体シートを剥離する時、素材シートと凹凸模様賦形層間で剥離する様な事を生じ難くできる。また、素材シートの樹脂として、ポリエステル樹脂は、耐熱性、力学的強度ともに優れており、転写時の熱や応力による破断や変形、及び支持体シート剥離時の支持体シート破断を生じ難く、転写層の剥離層として用いられる多くの樹脂との剥離性が良好であり、且つ入手の容易性、価格の点からも素材シートの材料として好適である。
【0018】
次に、凹凸模様賦形層1Bは、転写層に対しては剥離可能に素材シートと密着し、表面に凹凸模様を賦形する為の凹凸形状を有する層であれば、その材料及び形成方法等は基本的には特に限定は無い。従って、凹凸模様賦形層には、例えば、剥離性を調整する為に適宜シリコーン樹脂等を添加した、2液硬化型ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等を使用できる。また、凹凸模様賦形層の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アミノアルキド樹脂、及びメラミン樹脂を混合した混合樹脂で熱硬化させる熱硬化性ポリエステル樹脂は、転写層との剥離性、素材シートとの密着性等の点で好ましい樹脂の一つである。
【0019】
上記、熱硬化性ポリエステル樹脂を構成する、ポリエステル樹脂、アミノアルキド樹脂、及び、メラミン樹脂の各々の樹脂には公知の樹脂を使用すれば良い。
すなわち、上記ポリエステル樹脂には、不飽和二重結合を分子内に有する所謂不飽和ポリエステル樹脂を使う必要は無く、飽和ポリエステル樹脂を使用すれば良い。飽和ポリエステル樹脂は水酸基やカルボキシル基が反応基となる。飽和ポリエステル樹脂は、例えば、無水フタル酸やアジピン酸等の二塩基酸とプロピレングリコールやエチレングリコール等の二価アルコールとから得られる様な縮重合物等がある。
そして、上記アミノアルキド樹脂はアミノ樹脂とアルキド樹脂とを配合した樹脂である。また、アミノ樹脂は尿素、メラミン、グラアナミン、アニリン、スルホアミド、或いはアミノ基含有アクリル樹脂等のアミノ基含有化合物のアミノ基にホルムアルデヒドを反応させて得られる樹脂であり、尿素の場合は尿素樹脂、メラミンの場合はメラミン樹脂、グラアナミンの場合はグアナミン樹脂、アニリンの場合はアニリン樹脂等とも呼ばれる。また、アルキド樹脂は、例えば、無水フタル酸等の二塩基酸とグリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステルを、更にヒマシ油等の各種の油脂又は脂肪酸で変性したものが代表的であるが、更にロジンやフェノールで変性したロジン変性アルキド樹脂、フェノール変性アルキド樹脂等の変性アルキド樹脂等もある。
また、メラミン樹脂はメラミンとホルムアルデヒドから得られる樹脂で、前記アミノ樹脂の一種であるが、メラミンにホルムアルデヒドを反応させたものを有機溶剤可溶性とする為に、更にアルコールを反応させたアルキル化メラミン樹脂、代表的にはブチルアルコールで変性したブチル化メラミン樹脂が一般的である。
【0020】
また、上記熱硬化性ポリエステル樹脂は、硬化触媒(架橋促進剤)として、パラトルエンスルホン酸等の強酸を通常は添加して硬化させる。触媒の添加量は、樹脂分全量に対して1〜10質量%程度である。硬化触媒によって、加熱硬化時間を短くでき、凹凸模様賦形層を生産性良く形成できる。
【0021】
なお、ポリエステル樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン樹脂の各々の配合割合は物性等に応じて適宜量とすれば良い。例えば、アミノアルキド樹脂は樹脂分全量に対して10〜90質量%程度の範囲とする。また、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂との割合は、〔ポリエステル樹脂〕/〔メラミン樹脂〕=10/90〜90/10(質量比)程度の範囲とする。
【0022】
また、凹凸模様賦形層は、その樹脂中に例えば後述絵柄層で列記する様な公知の着色剤を添加して、着色しても良い。転写シートの製造段階での凹凸模様賦形層の形成状況を目視確認でき、凹凸模様賦形層の印刷品質等の品質管理が容易となる。
【0023】
なお、凹凸模様賦形層の形成法は特に限定は無いが印刷法が代表的である。例えば、凹凸模様の凹凸高さに応じて、グラビア印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷法を採用すれば良い。凹凸模様の凹凸高さが大きい場合には、特にスクリーン印刷が好ましい。
【0024】
また、凹凸模様賦形層が表現する凹凸模様としては、基本的には特に限定は無く、例えば、木目導管溝、木目年輪、花崗岩の劈開面、砂目、梨地、ヘアライン、万線状溝、タイル貼りや煉瓦積の目地、布目の表面テクスチュア、皮絞、文字、幾何学模様等である。但し、砂目、布目、皮絞等よりは、木目導管溝や目地等の様に平坦的な表面部分を比較的広く与える凹凸模様の方が、その部分で表面の擦り傷が目立ち易く、本発明による耐擦傷性向上効果がより効果的である。
【0025】
なお、この様な場合の凹凸模様賦形層1Bは、図1(A)及び(B)で例示の様に、素材シート1Aの全面にわたって連続していない分離独立した不連続層として形成されることが多い。但し、凹凸模様賦形層は、凹凸模様によっては、素材シートの全面にわたって連続し且つ転写層側の面が凹凸を成す連続層として形成しても良い。
【0026】
〔剥離層〕
剥離層3は、転写シートに於いて、支持体シートと転写層との剥離力を適正にする為の機能を基本機能として有する。また、剥離層は、転写後は最表面層となる関係上、表面保護層としての機能も相応に有するが、本発明では耐擦傷性に対する表面保護は、後述する補強層がより主体的に受け持つ。
また、剥離層は、支持体シートの凹凸模様賦形層の上に積層される事になる為、凹凸模様賦形層の凹凸を吸収して(埋めて)剥離層内に転写後の凹凸なる凹凸模様を受容する機能も有する。但し、剥離層は凹凸模様賦形層の凹凸高さを完全に埋め尽くせる厚さとする事は必ずしも必要無い。剥離層の次に形成する補強層、或いは更に接着層で、凹凸高さを吸収しても良い。
【0027】
上記の様な剥離層としては、支持体シートとの剥離性を有すれば、特に制限は無く、従来公知の材料及び方法で形成すれば良い。例えば、剥離層の樹脂としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体等のアクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等の樹脂の単独又は混合物が挙げられる。
【0028】
なお、剥離層は、上記樹脂を用いたインキ或いは塗液で、グラビア印刷、スクリーン印刷等の印刷法、或いは、グラビアコート、ロールコート等の塗工法等の公知の形成法で形成すれば良い。また、剥離層の厚みは、凹凸模様の深さ(或いは高さ)、用途、要求物性等に応じて適宜厚さとすれば良く、通常は1〜10μm程度とする。
【0029】
〔補強層〕
補強層4は、剥離層3と透明アクリル樹脂シート5との間に位置して、転写後の転写層に対して、表面擦り傷に対する耐擦傷性を強化する層である。この補強層4は、アクリル樹脂をシランカップリング剤で硬化させる2液硬化型アクリル樹脂の硬化物の層として形成し、しかも無機又は有機の粉末充填剤を添加した層として形成する。なお、この補強層4は絵柄層が透視可能な様に透明な層とする。この補強層によって、凹凸模様が賦形された表面に更に耐擦傷性も付与できる。なお、この補強層は硬化物層としてあるので、転写後は下側となる透明アクリル樹脂シートを有機溶剤から保護する耐溶剤性を付与することができる。
【0030】
上記2液硬化型アクリル樹脂の主剤としては、ヒドロキシル基やカルボキシル基等のシランカップリング剤と反応性を有する1種又は2種以上の官能基を、分子中に通常は2以上の複数導入したアクリル樹脂を使用できる。
例えば、上記官能基が2以上のヒドロキシル基の場合、該アクリル樹脂はアクリルポリオールと呼ぶ事もできる。この様なヒドロキシル基含有アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体等の1種又は2種以上と、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体の1種又は2種以上と、更に必要に応じ、スチレン単量体等の他のビニルモノマーとを共重合させて得られた共重合体が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸の意味である。
また、カルボキシル基を導入する場合には、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有ビニルモノマーを共重合した共重合体等が使用される。
【0031】
また、硬化剤となるシランカップリング剤としては、アルコキシ基の他に更に、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、クロル基等を有する公知のシランカップリング剤を用途に応じて使用すれば良い。
例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどである。
なお、硬化剤としてのシランカップリング剤の添加量は、主剤とするアクリル樹脂に対して、5〜15質量%程度である。
【0032】
補強層中に添加する、無機又は有機の粉末充填剤は、耐擦傷性をより向上させる為のものである。該粉末充填剤としては、補強層の樹脂よりも硬質でその硬さにより耐擦傷性を付与するには、樹脂ビーズ等の有機物でも良いが、より好ましくは無機物の方が付与し易い。無機物の粉末充填剤として、例えば、アルミニウム、チタニウム、珪素、ジルコニウム、マグネシウム等の金属の酸化物、硝子、炭酸カルシウム、ダイヤモンド等が挙げられる。具体的には、例えばα−アルミナ等のアルミナ等である。この様な、粉末充填剤は、例えば、平均粒径2〜3μmで、粒径分布が最小値0.01μm、最大値6μmの範囲のもの等(具体例としては球状のα−アルミナ等)が、良好な耐擦傷性が得られる点で好ましい。また、粉末充填剤の粒子形状は、球形、鱗片状、多面体等の形状のものが使用される。
なお、粉末充填剤の添加量は、要求物性によるが、通常は、樹脂分100質量部に対して1〜50質量部程度、より好ましくは5〜30質量部程度である。
なお、2液硬化型アクリル樹脂は硬化剤にシランカップリング剤を使用している関係上、粉末充填剤として上記金属酸化物等を使用した場合には、シランカップリング剤を粉末充填剤とも反応させて、該充填剤がバインダー樹脂中に強固に結合分散した補強層とする事もできる。
【0033】
なお、補強層中には、上記粉末充填剤以外に、シリコーン樹脂、ワックス等の滑剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、微粒子酸化セリウム系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、体質顔料、着色剤等の公知の添加剤を適宜使用することができる。また、これらは、前述剥離層中にも適宜使用することができる。
【0034】
なお、補強層の形成は、上記シランカップリング剤及びアクリル樹脂からなる2液硬化型アクリル樹脂を含む塗液(或いはインキ)を用いて、ロールコート等の公知の塗工法、或いはグラビア印刷等の公知の印刷法により形成すれば良い。また、補強層の厚さは、用途に応じた厚さとすれば良く、通常、2〜20μm程度とする。
【0035】
〔接着層〕
接着層5は、補強層4と透明アクリル樹脂シート6とを接着積層する為の層であるが、より具体的には、上述した支持体シート、剥離層、及び補強層のこれら各層が積層された構成の積層シートを工程シートとして、絵柄層を形成済みの透明アクリル樹脂シートに対してラミネートして接着積層させる為に用いる層である。
【0036】
従って、接着層5としては、例えば、熱融着性を有する従来公知の熱可塑性樹脂等を用いることができる。この様な熱可塑性樹脂は、例えば、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー、塩素化ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂等である。接着層は、この様な樹脂を含む塗液(或いはインキ)を用いて、ロールコート等の公知の塗工法、或いはグラビア印刷等の公知の印刷法により形成すれば良い。接着層の厚さは特に制限は無いが、通常は1〜10μm程度である。
【0037】
〔透明アクリル樹脂シート〕
透明アクリル樹脂シート6は、透明な熱可塑性アクリル樹脂からなる樹脂シートである。該熱可塑性アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、エチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等のアクリル樹脂〔但し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味〕を単体又は2種以上の混合物で用いる。透明アクリル樹脂シートはこれらアクリル樹脂からなる単層のシート、又は2層以上の積層体シートを用いることができる。
なお、透明アクリル樹脂シートの厚みは、特に限定されず用途によるが、30〜500μm程度、一般的には50〜250μm程度である。
【0038】
また、透明アクリル樹脂シートの透明とは、無着色透明、着色透明、半透明等である。なお、透明アクリル樹脂シートを着色するには、後述する絵柄層で述べる様な公知の着色剤等を樹脂中に練り込めば良い。
また、透明アクリル樹脂シートの表側面や裏側面には、必要に応じ適宜、他層との密着性向上のために、コロナ放電処理、プラズマ処理等の表面易接着処理を施しても良い。
【0039】
〔絵柄層〕絵柄層7は、少なくとも透明アクリル樹脂シート6の裏側面に形成する。また、絵柄層はこの他に、図1(B)で例示した射出成形同時絵付用転写シートSの絵柄層7Aの如く、補強層4と接着層5の間に追加形成しても良い。絵柄層7は、通常、接着層5を積層前の状態の透明アクリル樹脂シート6に対して印刷等で形成する。一方、追加的な絵柄層7Aは、通常、支持体シート1上に、順次、剥離層、補強層を形成した次に印刷等で形成し、それに続いて、接着層5を形成する。
【0040】
絵柄層7(或いは7A)としては、代表的には模様や文字等の絵柄を表現する層である。絵柄は任意であるが、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、布目模様、皮絞模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、幾何学図形、文字、記号、或いは全面ベタ等を1種又は2種以上を組合わせた模様等が用いられる。なお、透明アクリル樹脂シートよりも支持体シート側に設ける絵柄層7Aの場合には、通常は、全面ベタでは無く、パターン状に形成する。
【0041】
絵柄層7は、公知の印刷法で形成することができる。印刷は、例えば、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等による。また、全面ベタの場合には、グラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法で形成してもよい。
【0042】
印刷(或いは塗工)に用いるインキ(或いは塗液)としては、接着性等を考慮して公知のものの中から適宜選択使用すれば良い。例えば、インキ(或いは塗液)のバインダーの樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等を1種単独で、或いは2種以上混合して用いる。また、インキ(或いは塗液)に含有させる着色剤としては、例えば、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、カドミウムレッド、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエロー等の無機顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、イソインドリノンイエロー、キナクリドンレッド、ペリレンレッド等の有機顔料、アルミニウム、真鍮等の金属の粉末又は鱗片等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母の粉末又は鱗片等の真珠光沢(パール)顔料、或いは染料等が用いられる。金属顔料や真珠光沢(パール)顔料を用いれば光輝性の絵柄層を形成できる。
【0043】
なお、絵柄層としては、例えばアルミニウム、クロム等を蒸着して全面或いは部分的に形成した金属薄膜層等でも良い。
また、絵柄層としては、木目等の柄意匠の表現以外に、磁性体層、導電性層等の機能性層等でも良い。
【0044】
〔接着剤層〕
接着剤層8としては、樹脂成形物材料に応じて、例えば感熱型の接着剤として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の公知の樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂では、例えば、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー、塩素化ポリオレフィン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ゴム系樹脂等の1種又は2種以上の混合物が用いられる。また、熱硬化性樹脂では、フェノール樹脂、ブロックイソシアネート硬化型等のウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が用いられる。
接着剤層は、これら樹脂による接着剤を、グラビア印刷、ロールコート等の公知の印刷又は塗工法により形成する。また、接着剤層の厚さは特に制限は無いが、通常は1〜100μm程度である。
【0045】
絵付成形品:
本発明による絵付成形品は、図2(A)の断面図でその一形態を例示する如く、上述した射出成形同時絵付用転写シートの転写によって、樹脂成形物9の表面が絵付されて成り、表面に凹凸模様eが付与された構成の成形品である。絵付成形品Pは、樹脂成形物9上に、前述転写シートにおける転写層2部分が、その接着剤層8側を樹脂成形物9側を向けて積層された構成である。そして、図2(B)の絵付成形品Pは、その転写層部分の一形態を更に詳述した部分拡大断面図である。図2(B)に示す絵付成形品Pの構成は、樹脂成形物9上に、転写層2として、樹脂成形物9側から順に、接着剤層8、絵柄層7、透明アクリル樹脂シート6、接着層5、補強層4、剥離層3、そして、これらから成る転写層2の表面に凹凸模様eが賦形されている構成である。この図2(B)に例示する転写層2は、前述図1(A)で例示した構成の射出成形同時絵付用転写シートSの転写によって形成され得る。
なお、射出成形同時絵付用転写シートの転写は、好適には、転写形態での射出成形同時絵付方法によって行える。
【0046】
〔射出樹脂〕
なお、樹脂成形物となる射出樹脂としては、基本的には特に制限はなく公知の樹脂で良い。製品の要求物性やコスト等に応じて選定すれば良い。熱可塑性樹脂であれば、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂等である。また、硬化性樹脂であれば、2液硬化型の樹脂、例えば、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の未硬化樹脂液等である。熱可塑性樹脂は加熱熔融して流動状態で射出し、また硬化性樹脂は(その未硬化物を)室温又は適宜加熱して流動状態で射出する。
なお、射出樹脂は、用途に応じて適宜、着色剤を添加して着色した樹脂を使用しても良い。着色剤には、前述基材シートで述べた如き公知の着色剤を使用すれば良い。また、射出樹脂には、必要に応じ適宜、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機物粉末、ガラス繊維等の充填剤、安定剤、滑剤等の公知の各種添加剤を含有させる。
【0047】
〔成形品形状〕
なお、絵付成形品の形状は、転写面は凹凸面等の非平面、或いは平面の立体物である。また、絵付成形品の形状は、板状(平板、曲面板等)、柱状、三次元立体物等と任意である。
【0048】
射出成形同時絵付方法:
ここで、前述した射出成形同時絵付用転写シートの用途として、或いは上述した絵付成形品の製造方法として好適な絵付方法である、射出成形同時絵付方法について説明しておく。なお、射出成形同時絵付方法にはラミネート形態と転写形態とに大別されるが、ここでの形態は転写形態である。転写形態の射出成形同時絵付方法は、特公平2−42080号公報、特開平6−315950号公報等に記載されるように、射出成形同時絵付用転写シートを雌雄両型間に挿入した後、両型を型締めし、両型で形成されるキャビティ内に流動状態の樹脂を射出し固化させて、樹脂成形物の成形と同時にその表面に射出成形同時絵付用転写シートを一旦積層した後、該転写シートの支持体シートのみを剥離し、転写層を樹脂成形物表面に転写させることで絵付して、絵付成形品を得る方法である。
【0049】
射出成形同時絵付方法では、射出成形同時絵付用転写シートの予熱無しの場合でも、射出樹脂による熱圧を射出成形同時絵付用転写シートが受ける。従って、射出成形同時絵付用転写シートの予備成形は行う形態でも行わない形態でも、いずれでも良い。また、射出成形同時絵付用転写シートの予熱は、行っても良く、行わなくても良い。なお、予備成形時には通常は射出成形同時絵付用転写シートは予熱する。
【0050】
なお、もちろんの事だが、射出成形同時絵付用転写シートの絞りが大きい場合は、予備成形を行うのが好ましい。一方、射出成形同時絵付用転写シートの絞りが少ない場合は、射出される流動状態の樹脂の樹脂圧と樹脂熱で射出成形同時絵付用転写シートを成形しても良い。この際、絞りが浅ければ、予備成形無しで樹脂射出と同時に型内に充填される流動状態の樹脂の樹脂圧と樹脂熱のみで射出成形同時絵付用転写シートを成形しても良い。また、樹脂圧と樹脂熱で射出成形同時絵付用転写シートを成形する場合でも、射出成形同時絵付用転写シートの加熱は射出樹脂の樹脂熱のみを利用し予熱はしない事もある。また、射出成形同時絵付用転写シートの予備成形は、通常は、射出成形型を真空成形型と兼用して行うが、型間に射出成形同時絵付用転写シートを供給する前に、射出成形型外部で別の真空成形型で射出成形同時絵付用転写シートを真空成形する様な予備成形(オフライン予備成形)でも良い。但し、予備成形は、射出成形型と真空成形型とを兼用して行う形態が効率的且つ精度良く射出成形同時絵付用転写シートを積層できる点で好ましい。しかし、予備成形済みの射出成形同時絵付用転写シートを予め別の場所で纏めて製造しておく場合等では、予備成形はオフライン予備成形の形態が好ましい。なお、本発明の説明に於いて真空成形とは真空圧空成形も包含する。
【0051】
図3の概念図によって、射出成形同時絵付方法を、その或る一形態で説明する。なお、ここで説明する形態は、型締めする前に、射出成形同時絵付用転写シートを型間で加熱し軟化させて射出成形型で真空成形により予備成形した後に、型締めして樹脂を射出する形態である。
また、この形態は、上記した射出成形同時絵付用転写シートの予備成形、予熱の各種組合わせ形態の中で、射出成形同時絵付用転写シートの絞りが深い場合に、より好ましい形態である。
【0052】
先ず、図3(A)の如く、射出成形型としては、射出ノズルと連通する湯道(ランナー)及び湯口(ゲート)を有する型(雄型)Maと、キャビティ面に吸引孔41を有しシートの予備成形型を兼用する型(雌型)Mbの一対の成形型を用いる。これらの型は鉄等の金属、或いはセラミックスからなる。型開き状態に於いて両型Ma、Mb間に射出成形同時絵付用転写シートSを供給し、型Mbに射出成形同時絵付用転写シートSを平面視枠状のシートクランプ42で押圧する等して固定する。この際、射出成形同時絵付用転写シートの接着剤層側は、図面右側の射出樹脂側となる様にする事はもちろんである。次いで、適宜、両型間に挿入したヒータ(図示略)で射出成形同時絵付用転写シートを加熱軟化させる。加熱は例えば非接触の輻射加熱とするが、接触による伝導加熱でも良い。そして、吸引孔から吸引して真空成形して、射出成形同時絵付用転写シートを型Mbのキャビティ面に沿わせ予備成形する。次いで、ヒータを両型間から退避させ、図3(B)の如く両型を型締めし、両型で形成されるキャビティに加熱熔融状態等の流動状態の樹脂を充填する。そして、樹脂が冷却等によって固化した後、型開きして成形物を取り出せば、絵付成形品が得られるという絵付方法である。
なお、ここでは転写形態であるので、支持体シートを型Mb側に残した状態で絵付成形品を取り出すか、或いは、射出成形同時絵付用転写シート全層が積層された状態で成形物を取り出し後、支持体シートを剥離して、転写層のみが積層されて絵付けされた絵付成形品を得る。
【0053】
ここで、射出成形同時絵付方法を、例えば、射出成形型を真空成形型と兼用して射出成形同時絵付用転写シートを予備成形する形態に於ける或る一例として、工程毎に分けて述べれば、次の様な工程からなる射出成形同時絵付方法がある。すなわち、雌雄一対からなる型が型開き状態の時に雌型のパーティング面上に射出成形同時絵付用転写シートを供給するシート供給工程と、前記射出成形同時絵付用転写シートを雌型のパーティング面上に固定保持するクランプ工程と、前記射出成形同時絵付用転写シートを延伸させて雌型のキャビティ面に沿わせる延伸工程(予備成形工程)と、雌型と雄型とを型締めする型締め工程と、雌型と雄型とで形成されるキャビティ内に流動状態の樹脂を注入充填し固化させて、樹脂成形物と前記射出成形同時絵付用転写シートとを積層一体化させる射出工程と、雌型と雄型とを離間させる型開き工程と、樹脂成形物が射出成形同時絵付用転写シートで絵付された絵付成形品を取り出す取出し工程、をこの順に行う射出成形同時絵付方法がある。
なお、取出し工程では、上述した如く、その支持体シートを雌型側に残した状態で絵付成形品を取り出すか、或いは、射出成形同時絵付用転写シート全層が積層された状態で成形物を取り出し後、支持体シートを剥離して、転写層のみが積層されて絵付された絵付成形品を得る。
【0054】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳述する。
【0055】
〔実施例1〕
図1(A)の如き構成の射出成形同時絵付用転写シートSを次の様にして作製した。
【0056】
先ず、支持体シート1の素材シート1Aとして、厚さ26μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、その片面に木目導管溝模様の凹凸模様を賦形する為の凹凸模様賦形層1Bを、ポリエステル樹脂、アミノアルキド樹脂、及びメラミン樹脂の混合樹脂からなる熱硬化性ポリエステル樹脂を用いたインキをグラビア印刷して素材シート面が露出する様にパターン状に形成して、素材シート1A及び凹凸模様賦形層1Bとからなる支持体シート1を作製した。
【0057】
次に、上記支持体シート1の凹凸模様賦形層1B側の面に、転写層2の一部として、先ず、剥離層3、補強層4、接着層5をこの順にグラビア印刷で全面に形成して工程シートを得た。
なお、上記剥離層3は、ポリメチルメタクリレートを主成分とするアクリル樹脂を用いて厚さ2μmに形成した。また、補強層4は、アクリル樹脂の主剤100質量部に対してシランカップリング剤を硬化剤として12質量部添加した2液硬化型アクリル樹脂100質量部に対して、更に平均粒径2.5μmで球状のα−アルミナ粉末を30質量部添加し、これに適量の有機溶剤を添加したインキを用いて厚さ4μmに形成した。また、接着層5は、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との1対1質量比の混合樹脂を用いて厚さ4μmに形成した。
【0058】
一方、厚さ125μmの透明アクリル樹脂シート6に対して、その裏側とする面に、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との1対1質量比混合樹脂を用いた着色インキによって木目柄の絵柄層7と、同じく、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との1対1質量比混合樹脂を用いて厚さ3μmの接着剤層8を、この順にグラビア印刷で形成した。
【0059】
そして、上記絵柄層及び接着剤層が形成された透明アクリル樹脂シートの表側とする面に対して、前記工程シートをその接着層によって、ラミネートローラを用いて加熱ラミネートして、図1(A)の如き、所望の射出成形同時絵付用転写シートSを得た。
【0060】
次に、上記射出成形同時絵付用シートを、射出成形樹脂としてABS樹脂を用いて図3の如き射出成形同時絵付法によって、図2(A)及び(B)の様な樹脂成形物9の表面に転写層2が転写積層し、成形品表面に凹凸模様eが付与された構成の絵付成形品Pを作製した。
【0061】
〔実施例2〕
図1(B)の如き構成の射出成形同時絵付用転写シートSを次の様にして作製した。
【0062】
先ず、支持体シート1の素材シート1Aとして、厚さ26μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、その片面に抽象柄の凹凸模様を賦形する為の凹凸模様賦形層1Bを、ポリエステル樹脂、アミノアルキド樹脂、及びメラミン樹脂の混合樹脂からなる熱硬化性ポリエステル樹脂を用いたインキをグラビア印刷して素材シート面が露出する様にパターン状に形成して、素材シート1A及び凹凸模様賦形層1Bとからなる支持体シート1を作製した。
【0063】
次に、上記支持体シート1の凹凸模様賦形層1B側の面に、転写層2の一部として、先ず、剥離層3、補強層4、抽象柄の絵柄層7A、接着層5をこの順にグラビア印刷で形成して工程シートを得た。
なお、上記剥離層3は、ポリメチルメタクリレートを主成分とするアクリル樹脂を用いて全面に厚さ2μmで形成した。また、補強層4は、アクリル樹脂の主剤100質量部に対してシランカップリング剤を硬化剤として12質量部添加した2液硬化型アクリル樹脂100質量部に対して、更に平均粒径2.5μmで球状のα−アルミナ粉末を30質量部添加し、これに適量の有機溶剤を添加したインキを用いて全面に厚さ4μmで形成した。また、絵柄層7Aには、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との1対1質量比の混合樹脂による着色インキを用いてパターン状に部分的に形成した。また、接着層5は、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との1対1質量比の混合樹脂を用いて全面に厚さ4μmで形成した。
【0064】
一方、厚さ125μmの透明アクリル樹脂シート6に対して、その裏側とする面に、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との1対1質量比混合樹脂と光輝性顔料を含む光輝性インキによって全面ベタ柄の絵柄層7と、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との1対1質量比の混合樹脂を用いて厚さ3μmの接着剤層8を、この順にグラビア印刷で形成した。
【0065】
そして、上記絵柄層7及び接着剤層8が形成された透明アクリル樹脂シートの表側とする面に対して、前記工程シートをその接着層によって、ラミネートローラを用いて加熱ラミネートして、図1(B)の如き、所望の射出成形同時絵付用転写シートSを得た。
そして、この射出成形同時絵付用シートを、実施例1と同様にして射出成形同時絵付法に適用して、樹脂成形物の表面に転写層が転写され積層され、成形品表面に凹凸模様が付与された構成の絵付成形品を作製した。また、絵付成形品は、透明アクリル樹脂シート下の光輝性の絵柄層によって、深みの有る意匠感が得られた。
【0066】
〔比較例1〕
実施例1に於いて、その射出成形同時絵付用転写シートを作製時に、補強層の形成を省略した他は、実施例1と同様にして射出成形同時絵付用転写シートを作製した。そして、この射出成形同時絵付用転写シートを用いて、実施例1と同様にして絵付成形品を作製した。
【0067】
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られた絵付成形品について、耐擦傷性を評価した。
耐擦傷性は、絵付成形品の表面をスチールウール(日本スチールウール株式会社製、商品名「ボンスター」、品番0000)にて、9.8N(1kgf)の荷重にて複数回擦った後、表面の異常の有無を目視観察して評価した。その結果、比較例1では、3往復で表面に擦り傷が認められたが、実施例1及び2では、50回往復にて始めて表面に擦り傷が認められる程度であり、耐擦傷性は良好であった。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、凹凸模様の付与、及び塗装感の付与と共に、更に耐擦傷性も付与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の射出成形同時絵付用転写シートの形態例を例示する断面図。
【図2】本発明で利用する射出成形同時絵付方法をその一形態で説明する概念図。
【図3】本発明の絵付成形品の一形態を例示する断面図。
【符号の説明】
1 支持体シート
1A 素材シート
1B 凹凸模様賦形層
2 転写層
3 剥離層
4 補強層
5 接着層
6 透明アクリル樹脂シート
7 絵柄層
7A 絵柄層
8 接着剤層
9 樹脂成形物
41 吸引孔
42 シートクランプ
e 凹凸模様
Ma 射出成形型(雄型)
Mb 射出成形型(雌型)
P 絵付成形品
S 射出成形同時絵付用転写シート

Claims (2)

  1. 転写層側に凹凸模様賦形層を有する支持体シートに、転写層として順次、剥離層、補強層、接着層、透明アクリル樹脂シート、絵柄層、接着剤層が積層されてなる射出成形同時絵付用転写シートであって、上記補強層に無機又は有機の粉末充填剤が添加されており、該補強層がアクリル樹脂をシランカップリング剤で硬化させる2液硬化型アクリル樹脂の硬化物からなり、かつ、透明な層で形成され、前記絵柄層を透視可能であり、かつ、前記接着層が熱融着性を有する、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー、塩素化ポリオレフィンの熱可塑性樹脂であることを特徴とする射出成形同時絵付用転写シート。
  2. 請求項1記載の射出成形同時絵付用転写シートの転写により、該転写シートの転写層が樹脂成形物の表面に積層されてなることを特徴とする絵付成形品。
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