JP4356362B2 - バス通信システムの検査方法及び通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のノードが共通のバスに接続されて相互にデータ通信するよう構成された通信システムの検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば車両において、複数の電子制御装置(ECU)を共通のバスに接続して相互にデータ通信できるよう構成された通信システムが知られており、その適用が様々な車種へ広がありつつある。上記構成の通信システムにおいては、システム稼働中に、バスに接続されている各ノード相互間で正常に通信がなされるか否か、換言すれば各ECUが備えるCPU相互間の通信が正常になされるか否かを、検査する必要がある。
【0003】
この検査を行うにあたり、従来は、図10に示すように、検査対象ノードを例えばCPU−Aを備えたノードA111として、そのノードA111が他の通信対象ノード(例えばCPU−Bを備えたノードB112)と正常に通信するか否かを検査するために、ノードB112を搭載しているECU−B102をバスL20から切り離して検査装置100を接続し、本来ならノードB112がノードA111へ送信するデータを、ノードB112の代わりに検査装置100から出力して、それに対する応答データなどのノードA111からの各種データをみることで、ノードA111の通信データ検査を行うようにしていた。
【0004】
しかし、この方法は、一つのECUは一つのノードをもつ、ということを前提としているため、例えば図11に示すように、一つのECU−D130に2つのノード(ノードA111及びノードB112)を持ち、各ノード111,112のバスL20への接続ラインがECU−D130内で共通化され、いずれも共通のバス接続ラインL200によってバスL20に接続されている場合、一般的には一つのノードだけをバスL20から切り離すことはできない。そのため、ノードA111とノードB112との間で送受信される通信データの検査方法として、図10で説明したような検査方法を適用することはできない。
【0005】
一方、ECUをバスから切り離すことなく各ECUの検査を行う技術として、バスに検査装置を接続し、各ECUを試験モードに設定した上で各ECUへ検査用の各種データを送信することにより、各ECU本体における各種回路試験等を行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−336220号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示された方法は、ECU自体の各種試験(回路試験やCPU試験等)を試験モードで行うものであって、通信システム稼働中にバスに接続されている各ノード間で正常にデータ通信がなされているか否かを検証するものではない。
【0008】
仮に、図11のような、2つのノードを持つECU−D130がバスL20に接続された通信システムに対して、上記のように各ECUを切り離すことなく検査装置100をバスL20に接続し、例えばノードB112がノードA111へ送信するデータを検査装置100が擬似的に生成してノードA111へ送信したとしても、ノードB112自体もバスL20に接続されたままであるため、ノードA111はノードB112からもデータを受信することになる。つまり、実質的に同じ2つのノードB112がバスに接続された状態となる。
【0009】
このように、ノードA111は、ノードB112からもらうべきデータをノードB112自体のみならず検査装置100からも受信すると、どちらを正しいデータとして取り込めばよいか判断できず、結果として検査装置100が送信したデータ(ノードB112相当のデータ)に対する動作検証を正確に行うことはできない。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、複数のノードがバスに接続された通信システムにおいて、各ノード相互間の通信データの検査を、バスからノードを切り離すことなく正確に行えるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、複数のノードが共通のバスに接続され、各ノードがバスを介して相互にデータ通信するよう構成されたバス通信システムにおいて、データ通信が正常に行われるか否かの検査を行う検査方法であって、複数のノードのうち少なくとも一つを、上記データ通信(バスを介した各ノード相互間のデータ通信)を行う通常動作モードからバスへのデータ出力を停止するスリープモードに移行可能な動作状態可変ノードとして構成する。
また、複数のノードのうち少なくとも2つは動作状態可変ノードであり、予め設定された2以上の動作状態可変ノードは、1つの電子制御装置内において共通のバス接続ラインに接続され、このバス接続ラインを介してバスに接続されるよう構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
そして、動作状態可変ノードのいずれか一つをスリープ対象ノードとしてスリープモードに移行させ、その後、そのスリープ対象ノードがデータ通信の際にバスへ出力するデータを代わりに外部からバスへ入力することにより、上記データ通信を実現させて、そのデータ通信中にバス上を流れるデータに基づいて検査を行う。
【0013】
上記の検査方法によれば、バスに接続された各ノードのうちいずれか一つをスリープモードに移行させてデータを出力しないようにしているため、バスからノードを切り離すことなく検査を行うことが可能となる。しかも、そのスリープモードに移行したスリープ対象ノードがデータ通信時に出力するデータを、スリープ対象ノードの代わりに外部からバスへ入力することにより、擬似的に通常のデータ通信を実現しているため、上記検査を正確に行うことも可能となる。
【0014】
そして、例えば請求項2に記載のように、当該バス通信システムを構成する複数のノードを全て動作状態可変ノードとして構成するようにすれば、全てのノードについてそれぞれスリープモードに移行させて検査を行うことができるため、検査対象のバス通信システムの信頼性をより高めることが可能となる。
【0015】
スリープ対象ノードをスリープモードに移行させる具体的方法としては、例えば請求項3に記載の方法が考えられる。即ち、動作状態可変ノードを、自出力データ(データ通信時に自身がバスへ出力するデータ)が外部からバス上に入力された場合にスリープモードに移行するよう構成し、スリープ対象ノードをスリープモードに移行させる際は、該スリープ対象ノードの自出力データを外部からバスへ入力するようにする。
【0016】
このようにすれば、スリープモードにするための特別なデータを送信するのではなく、単にスリープ対象ノードの自出力データを外部からバスへ入力するだけで、スリープ対象ノードが自らそれを検知してスリープモードに移行することができると同時に、その外部からの自出力データによって上記データ通信を実現しつつ検査を行うことができる。
【0017】
ここで、自出力データであるか否かを判断するためには、例えばバス上を流れるデータを常時モニタすればよいが、そのようにすると、外部からバスに入力された自出力データも、ノード自らがバスへ出力した自出力データも、共に自出力データとして検知されるため、そのままでは外部からのものなのか否かを判断することはできない。そのため、単にバス上に自出力データが流れたことをもってスリープモードに移行するようにすると、自らがバスへ出力したデータによってスリープモードに移行(つまり意に反して移行)してしまうことになる。
【0018】
そこで、上記構成(請求項3)の動作状態可変ノードは、例えば請求項4に記載の検査方法のように、バスへデータを出力する毎にその旨を示す出力フラグをオンにし、バス上に自出力データが流れたときに出力フラグがオンになっている場合は出力フラグをオフにして、バス上に自出力データが流れたときに出力フラグがオフになっているならば、その自出力データは外部からバスへ入力されたものと判断してスリープモードに移行するよう構成するとよい。
【0019】
即ち、バス上を流れるデータが自ら出力したものであれば、そのときの出力フラグはそのデータを出力したときにオンにされているはずであるため、再びオフにするだけである。一方、バス上を流れるデータが外部からの自出力データであれば、そのときの出力フラグはオフになっているはずであるため、外部からのものであると判断されてスリープモードに移行することになる。
【0020】
従って、動作状態可変ノードを請求項4記載のように構成すれば、バス上を流れる自出力データが外部からのものであるか否か判断することができるため、自らが出力するデータによって意図せずスリープモードになってしまうことがなく、必要なときだけ確実にスリープモードに移行させることが可能となる。
【0021】
また、スリープ対象ノードをスリープモードに移行させる具体的方法として、例えば請求項5に記載の方法も考えられる。即ち、動作状態可変ノードを、スリープモードに移行すべき旨のモード変換信号を受信した場合にスリープモードに移行するよう構成する。そして、スリープ対象ノードをスリープモードに移行させる際は、該スリープ対象ノードに対してモード変換信号を送信すればよい。
【0022】
モード変換信号をスリープ対象ノードに対してどのように送信するかについては、例えば、外部からスリープ対象ノード宛のモード変換信号をバスへ入力することにより、スリープ対象ノードがその自身宛のモード変換信号を他のデータと同様にバスを介して取り込むようにしてもよい。また例えば、バスは介さず、外部からスリープ対象ノードへ直接送信するようにしてもよく、スリープ対象ノードが自身に対するモード変換信号を受信できる限りその具体的方法は特に限定されない。
【0023】
動作状態可変ノードを上記(請求項5)のように構成すれば、単に、自身に対するモード変換信号を受信したときにスリープモードに移行すればよいため、請求項3又は4記載の検査方法のような、自出力データであるか否かの判断及びそれが外部からのものであるか否かの判断が必要なものに比べて、既存のバス通信システムに対する当該検査方法実現のためのソフト変更規模を少なくしつつ、容易にスリープ対象ノードをスリープモードに移行させることができる。
【0024】
ところで、検査の過程においては、動作状態可変ノードのいずれかをスリープ対象ノードとしてスリープモードに移行させて検査した後、スリープ対象ノードを変更して同様に検査を行うことも当然ながら考えられ、その場合、スリープモード中のノードを再び通常動作モードに戻す必要がある。
【0025】
そのため、例えば請求項6記載の検査方法のように、動作状態可変ノードを、スリープモードへの移行後、自出力データが外部からバスへ入力されない状態が予め設定した所定時間以上継続した場合に、通常動作モードに復帰するよう構成するとよい。
【0026】
このように構成すれば、検査の過程においてスリープモード中のノードを通常動作モードに復帰させたい場合、単に、現在スリープモード中のノードに対応する自出力データを所定時間以上外部からバスに入力しないようにするだけでよく、それによってスリープモード中のノードを自動的に通常動作モードに復帰させることができる。
【0027】
また例えば、請求項7記載の検査方法のように、動作状態可変ノードを、スリープモードへの移行後、通常動作モードに復帰すべき旨のモード復帰信号を受信した場合に通常動作モードに復帰するよう構成し、スリープモード中のスリープ対象ノードを通常動作モードに復帰させる際は該スリープ対象ノードに対してモード復帰信号を送信するようにしてもよい。
【0028】
このように構成すれば、検査の過程においてスリープモード中のノードを通常動作モードに復帰させたい場合、単に、現在スリープモード中のノードに対してモード復帰信号を送信するだけでよく、それによってスリープモード中のノードを自動的に通常動作モードに復帰させることができる。しかも、請求項6記載の検査方法のように所定時間経過を待つ必要がなくモード復帰信号を受信することで、即、通常動作モードに復帰するため、請求項6の検査方法に比べてより迅速に、且つ、既存のバス通信システムに対する当該検査方法実現のためのソフト変更規模を少なくしつつ容易に、通常動作モードへ復帰させることが可能となる。
【0029】
尚、このモード復帰信号についても、上記モード変換信号(請求項5に記載)と同様、例えば他のデータと同様にバスを介して取り込むようにしてもよいし、また例えば、バスは介さずに外部から直接、スリープモード中のノードへ送信するようにしてもよく、スリープモード中のノードが自身に対するモード復帰信号を受信できる限りその具体的方法は特に限定されない。
【0030】
ところで、バスに複数のノードが接続され、各ノードが相互にデータを送受信できるような通信システムとしては、例えば、イーサネット(登録商標)、CAN(Controller Area Network )、LIN(Local Interconnect Network)など、種々の規格のものが挙げられる。そして、既述の通り、近年は車両においてもこういった通信システムが搭載されてきているが、車両に搭載される通信システムの規格としては、特にCANの採用が広がってきており、車両内通信システム(ネットワーク)の標準規格となりつつある。
【0031】
そこで、本発明(請求項1〜7)の検査方法は、特に、複数のノードがいずれもCANプロトコルに従って相互にデータ通信を行うよう構成されたCANバス通信システムに対して適用すれば、車両に搭載されたCANバス通信システムの検査を迅速且つ確実に行うことが可能となる。
【0032】
次に、請求項9記載の発明は、請求項3記載の検査方法を実現するための動作状態可変ノードとしての通信装置であって、バス上に流れるデータを取り込むデータ取得手段と、該データ取得手段により取り込まれたデータが外部からバスに入力された自出力データであるか否か判断する外部入力判断手段と、該外部入力判断手段によって外部からバスに入力された自出力データであると判断された場合に当該通信装置をスリープモードに移行させるスリープ手段と、を備えたものである。
【0033】
このように構成された通信装置によれば、バス上のデータを取り込んでそれが外部から入力された自出力データである場合に、自身をスリープモードに移行させるため、請求項3記載の検査方法を実現でき、請求項3と同様の効果が得られる。
【0034】
そして、上記通信装置を構成する外部入力判断手段は、より具体的には、例えば請求項10記載のように、バスへデータを出力したときにその旨を示す出力フラグをオンするフラグセット手段と、データ取得手段により取り込まれたデータが自出力データであるか否か判断する自出力データ判断手段と、該自出力データ判断手段によって自出力データと判断されたときに出力フラグがオンならば該出力フラグをオフにするフラグリセット手段と、を備えたものとし、自出力データ判断手段によって自出力データと判断されたときに出力フラグがオフならば、該自出力データは外部からバスへ入力されたものと判断するものであるとよい。
【0035】
このように構成された通信装置によれば、自身がバスへ出力したデータが取り込まれた場合は、その出力の際に出力フラグがオンにされていることにより再びオフにし、外部からバスへ入力された自出力データが取り込まれた場合は、出力フラグはオフにされていることにより外部からの自出力データと判断するため、請求項4記載の検査方法を実現でき、請求項4と同様の効果が得られる。
【0036】
請求項11記載の発明は、請求項5記載の検査方法を実現するための動作状態可変ノードとしての通信装置であって、バス上に流れるデータを取り込むデータ取得手段と、外部からモード変換信号を受信する受信手段と、該受信手段によってモード変換信号が受信された場合に当該通信装置をスリープモードに移行させるスリープ手段と、を備えたものである。
【0037】
このように構成された通信装置によれば、外部からモード変換信号を受信した場合に自身をスリープモードに移行させるため、請求項5記載の検査方法を実現でき、請求項5と同様の効果が得られる。尚、データ取得手段と受信手段は、例えば別々に構成されたものであってもよいし、また例えば、共通の一つの手段(物理的に同じ一つのもの)がその2つの手段の機能を兼ね備えたもの、即ちモード変換信号も他のデータと同様にバスを介して取り込むように構成してもよい。
【0038】
そして、請求項9〜11いずれかに記載の通信装置は、更に、例えば請求項12に記載のように、スリープモードへの移行後、データ通信時に当該通信装置自身がバスへ出力するデータ(つまり自出力データ)がデータ取得手段により取り込まれない状態の継続時間を計時する計時手段と、その計時手段により計時される継続時間が予め設定した所定時間以上となった場合に通常動作モードに復帰させるモード復帰手段と、を備えたものであるとよい。
【0039】
このように構成された通信装置によれば、スリープモード中に自出力データを所定時間以上継続して受信しなかった場合は通常動作モードに復帰するため、請求項6記載の検査方法を実現でき、請求項6と同様の効果が得られる。
また例えば、請求項9〜11いずれかに記載の通信装置は、請求項13に記載のように、スリープモードへの移行後、通常動作モードに復帰すべき旨のモード復帰信号がデータ取得手段により取り込まれた場合に通常動作モードに復帰させるモード復帰手段を備えたものであるとよい。このように構成された通信装置によれば、スリープモード中にモード復帰信号を受信した場合に通常動作モードに復帰するため、請求項7記載の検査方法を実現でき、請求項7と同様の効果が得られる。
【0040】
そして、請求項9〜13いずれかに記載の通信装置は、例えば請求項14に記載のように、他の1又は複数の通信装置と共に一つの電子制御装置を構成し、該他の通信装置と共通のバス接続ラインによってバスに接続されたものとして構成してもよい。
【0041】
このように構成された通信装置は、他の通信装置と共通のバス接続ラインでバスに接続されているため、自身のみをバスから切り離すことは困難であるが、バスに接続した通常の状態のままであっても、その通信装置のみ(或いは同じ電子制御装置を構成する他のいずれかの通信装置のみ)をスリープモードに移行させることができるため、各通信装置がそれぞれ物理的に別々のバス接続ラインでバスに接続されている場合と全く同様に検査を行うことができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態のCANバス通信システム及びその通信検査方法を示す説明図である。図1に示す如く、本実施形態のCANバス通信システムは、ノードA11,ノードB21,ノードC31・・・のように複数のノードが共通のCANバスL10に接続され、CANバスL10を介して相互にデータ通信(データの送受信)が行われるように構成されている。尚、「CAN」は、ISO(国際標準化機構)で規格化され、自動車をはじめ様々な分野で採用されている周知のシリアル通信プロトコルであるため、ここではその詳細説明を省略する。
【0043】
このうち、ノードA11及びノードB21は、それぞれ独立して上記データ通信を行うものの、いずれも同じ一つの電子制御装置(ECU−A1)内に搭載されており、CANバスL10への接続ラインはECU−A1内で共通化され、一つのバス接続ラインL10aによってCANバスL10に接続されている。ECU−C3に搭載されたノードC31は、バス接続ラインL10cによってCANバスL10に接続されている。
【0044】
また、本実施形態のCANバス通信システムは、図示は省略したものの、車両に搭載され、車両の各部を制御するための様々な種類のECUの相互間でデータ通信を行うようにされている。各ECU(ECU−A1,ECU−C3・・・)は、例えば、車両(図示略)のエンジンの燃料噴射や点火タイミング等を制御するエンジンECU、車両に設けられた自動変速装置を制御するトランスミッション制御ECU、車両に設けられたブレーキを制御するブレーキ制御ECUなどをはじめ、様々な種類のものがある。
【0045】
そして、ECU−A1は、2つのノードを備えたものであり、一例として、図示しないエアコンを制御するCPU−AからなるノードA11と、図示しないドアを制御するCPU−BからなるノードB21とを備えた統合ECUが挙げられる。もちろん、これはあくまでも一例であり、他の制御を行うCPUからなるノードであってもよいことはいうまでもなく、また、一つのECUに搭載されるノードの数も、図示のように2つに限らず3つ以上であってもよい。
【0046】
次に、本実施形態のCANバス通信システムを構成する各ノードの構成について、ノードB21を例に挙げて説明する。図2に、ノードB21の概略構成を示す。図2に示す如く、本実施形態のノードB21は、所定の制御処理(例えばブレーキに関する各種制御処理)を行うCPU−B22と、CPU−B22から他のノードへのデータをCANプロトコルに従って出力データTxDに処理すると共に他のノードからCANトランシーバ24を介して入力されたCANプロトコルの入力データRxDを処理してCPU−B22へ出力するCANコントローラ23と、CANプロトコルにおける物理層の処理(CANバスL10〜CANコントローラ23間の信号TxD,RxDの受け渡し等)を行うCANトランシーバ24と、後述するデータ受信処理時に動作する通信途絶カウンタ26と、により構成される。
【0047】
尚、図示は省略したものの、CPU−B22が実行する各種制御プログラムが格納されたROMや、CPU−B22のワークエリアとしてのRAMなども備えており、CPU−B22と共にマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)を構成している。また、一般的には、CPU−B22からなるマイコンとCANコントローラ23は1チップ化された一つのマイコン(CAN内蔵マイコン)として提供される場合が多い。
【0048】
他のノード(ノードA11,ノードC31・・・)についても、ハード構成自体は基本的に同じであり、異なるのはそれぞれが備えるCPUにて実行される制御処理内容のみである。但し、後述するデータ通信検査に関連する処理である、データ送信処理(図4参照),データ受信処理(図5参照)及び通信途絶タイムアウト時処理(図6参照)はいずれも、各ノードにおいて共通して実行されるものである。そのため、当該CANバス通信システムのデータ通信検査に関する以下の説明においても、ノードB21を例に挙げて説明する。
【0049】
上記構成のCANバス通信システムにおいては、各ノード相互間のデータ送受信(データ通信)が正常に行われるか否かのデータ通信検査を、図1に示すように、検査装置50をCANバスL10に接続して行う。より具体的には、データ通信の実行中(つまり全てのノードがデータ送受信を行う通常動作モードであるとき)に、検査装置50をCANバスL10に接続して、各ノードのいずれか一つをスリープ対象ノードとして、データ出力を行わないスリープモードに移行させる。
【0050】
そして、そのスリープモードに移行したノード(スリープノード)に代わって、検査装置50がデータの送受信を行う。このデータは、スリープノードが本来ならばデータ通信時に送受信するはずのデータである。即ち、検査装置50が受信するデータはCANバスL10上を流れる全てのデータであり、送信(CANバスL10へ出力)するデータは、他のノードに関係なくスリープノードが一方的に出力するデータを始め、他のノードからのデータに対して本来ならスリーブノードが応答して出力する応答データなど、その種類は様々である。これにより、データ通信が擬似的に実現されることになり、このときのCANバスL10上のデータをみることによって、データ通信が正常に行われているか否かを検査する。
【0051】
本実施形態では、CANバスL10に接続されている(当該CANバス通信システムを構成する)全てのノードが、スリープモードに移行できるようにされている。つまり、全てのノードが本発明の動作状態可変ノードに相当するものである。
【0052】
また、検査装置50は、スリープモード中のノードに代わってそのノード相当のデータを擬似的に生成し出力する機能を持つと同時に、CANバスL10上を流れるデータをモニタしてその波形を見たりデータ処理するなどして各種検査を行うものである。
【0053】
そして、例えばノードB21をスリープ対象ノードとする場合、図1に示すように、検査装置50を接続した後、検査装置50からノードB21相当のデータを出力する。この「ノードB21相当のデータ」とは、本来ならばノードB21がデータ通信時に出力するデータであり、ノードB21に対応した本発明の自出力データに相当するものである。つまり、検査装置50を擬似的にノードB21として機能させるのである。
【0054】
このノードB21相当のデータはCANバスL10上を流れるため、当然ながらノードB21も受信することになり、これを受信したノードB21は、後述するデータ受信処理(図5)によって自身をスリープモードに移行させる。その後も、検査装置50はノードB21相当のデータを送信することによりデータ通信を実現させつつ、データ通信検査を行うのである。
【0055】
検査装置50から出力するスリープノード相当のデータ、及び各ノードから送信されるデータは、図3に示すようにフレーム化されて送信される。即ち、図示の如く、フレームの先頭を示すSOF、データの種類及び優先順位(他のノードからのデータに対する優先順位)を示すデータID、データ本体、フレームの最後尾を示すEOF、その他図示しないACK(Acknowledgement )データやCRC(Cyclic Redundancy Check )データなどにより構成される。
【0056】
次に、ノードB21が備えるCPU−B22が実行するデータ送信処理について、図4に基づいて説明する。図4は、CPU−B22にて実行されるデータ送信処理を表すフローチャートである。ノードB21では、CPU−B22が図示しないROMからデータ送信処理プログラムを読み出し、このプログラムに従って処理を実行する。CPU−B22は定期的に所定のデータを送信するようにされており、このデータ送信処理は、データ送信時にCANコントローラ23に対して送信要求を行う処理であって、データを送信する毎に逐一実行されるものである。
【0057】
この処理が開始されると、まずステップ(以下「S」と略す)S110にて、スリープモードフラグがONになっているか否かを判断する。このスリープモードフラグとは、当該ノードB21がスリープモードであるか否か、換言すればデータの送信を許可されているか否かを示すものであり、通常のデータ通信中、つまり通常動作モードにあるときはOFFでデータ送信を許可されているが、後述するデータ受信処理(図5参照)によってスリープモードに移行するとONになり、データ送信が禁止された状態となる。
【0058】
スリープモードフラグがONになっていない通常動作モード時は、S120に進んで送信処理を行う。つまり、CANコントローラ23に対して送信用データを出力することによりデータ送信するよう要求する。その後、S130に進んで送信検知フラグをONにする。この送信検知フラグは、送信するデータ毎に設定されるものであり、CPU−B22自身がそのデータを送信したこと(延いてはノードB21自身がそのデータをCANバスL10へ出力したこと)を示すためのものである。つまり、CPU−B22は、データを送信する毎にそのデータに対する送信検知フラグをONにするのである。
【0059】
一方、ノードB21がスリープモードである場合は、S110で肯定判定され、そのままこのデータ送信処理を終了する。つまり、スリープモードの場合はデータ送信を行わない。
次に、CPU−B22が実行するデータ受信処理について、図5に基づいて説明する。図5は、CPU−B22にて実行されるデータ受信処理を表すフローチャートである。この処理はデータ受信による割り込みにて実行されるものであり、CANバスL10上を流れるデータを受信すると、CPU−B22が図示しないROM内のデータ受信処理プログラムに従って処理を実行する。
【0060】
この処理が開始されると、まずS210にて、受信したデータ(データフレーム)に含まれるデータIDをみて、自分が送信するデータ(データID)であるか否かを判断する。そして、自分が送信するデータでなければ、S220に進んでそのデータの受信処理(CANコントローラ23からのデータ読み出し・解析・応答など)を行うが、自分が送信するデータ(以下「自出力データ」ともいう)であれば、S230に進み、そのデータに対する送信検知フラグがONになっているか否か判断する。
【0061】
即ち、CANバスL10上に自出力データが流れるのは、図4のデータ送信処理によってCPU−B22自らがそのデータを送信するか、或いは、検査装置50がそのデータを出力するかのどちらかが行われた場合である。そして、前者の場合は図4の処理によって送信検知フラグがONになっているはずであり、後者の場合は送信検知フラグがOFFになっているはずである。そのため、自出力データを受信したときにS230で送信検知フラグがONになっているか否かを判断することにより、その自出力データがどこから送信されたものかを判断するようにしているのである。
【0062】
S230にて、送信検知フラグがONになっていれば、その受信した自出力データはCPU−B22自らが出力したものとしてS280に移行し、送信検知フラグをオフにして、このデータ受信処理を終了する。一方、送信検知フラグがOFFになっていれば、その受信した自出力データは外部の検査装置50からのものと判断して、S240に進む。
【0063】
S240では、スリープモードフラグがONになっているか否かを判断し、スリープモードになっていなければ、S250に進んでスリープモードフラグをONにする。このとき、通信途絶カウンタ26のカウントアップも開始する。この通信途絶カウンタ26は、カウントアップを開始すると自動的にインクリメントしていくオートインクリメントカウンタである。そして、続くS260で送信停止処理を行うことによりスリープモードに移行する。これにより、定期的なデータ送信を行わなくなる。
【0064】
一方、スリープモードに移行した後に検査装置50からの自出力データを受信した場合は、S240で肯定判定されてS270に進み、通信途絶カウンタ26をクリアする。スリープモード中は基本的に通信途絶カウンタ26がカウントアップし続けるが、その間、検査装置50から自出力データを受信する度に、カウント値をクリアするのである。つまりこの通信途絶カウンタ26は、スリープモードに移行後、検査装置50からの自出力データを受信しない時間を計時するものであり、受信しない限りカウントアップし続けることになる。
【0065】
そして、検査装置50から自出力データを受信しない時間が所定時間継続(タイムアウト)した場合は、図6の通信途絶タイムアウト時処理が実行される。図6に示す如く、通信途絶カウンタ26がタイムアウトすると、S310にてスリープモードフラグをOFFにし、続くS320にて、送信再開処理を実行する。つまり、検査装置50からの自出力データの送信が途絶して所定時間継続した場合、検査装置50がCANバスL10から切り離されたか、或いは、他のノードが新たにスリープ対象ノードとしてスリープモードに移行するものと判断して、送信再開処理を行って通常動作モードに復帰し、定期的なデータ送信を再開するのである。
【0066】
図7に、本実施形態のCANバス通信システムにおけるスリープ対象ノードの動作を、ノードB21を例に挙げて示す。図示の如く、時刻t1にてノードB21自身がデータを送信(つまりCPU−B22がデータを送信)すると、送信検知フラグがONになるが、そのデータは他のノードはもちろんノードB21自身も受信することになるため、図5のデータ受信処理におけるS280の処理によって、すぐに再びOFFになる。
【0067】
そして、時刻t2にて検査装置50からノードB21相当の自出力データが出力され、それをノードB21が受信すると、時刻t3にて、図5のデータ受信処理におけるS250の処理によってスリープモードフラグがONになると同時に、通信途絶カウンタ26のカウントアップが開始される。尚このとき、同じく図5におけるS260の処理により、ノードB21からのデータ送信も停止される。
【0068】
その後、検査装置50からノードB21相当の自出力データを受信する度に、通信途絶カウンタ26はクリアされるが(例えば時刻t4)、検査装置50からの自出力データ送信が所定時間続いてタイムアウトすると(時刻t5)、図6の通信途絶タイムアウト時処理により、スリープモードフラグがOFFになってノードB21からのデータ送信が再開される。
【0069】
以上詳述したように、本実施形態のCANバス通信システムでは、検査装置50をCANバスL10に接続し、例えばノードB相当のデータを生成して出力すると、ノードB21のCPU−B22はそのデータ(自出力データ)を検知して自身をスリープモードに移行する。その間に検査装置50は、ノードB21相当のデータを出力してそれに対する他のノード(例えばノードA11)からの応答データを解析するなどの各種検査を行う。そして、ノードB21相当の自出力データを所定時間以上出力しないようにすることでノードB21を再び通常動作モードに復帰させるようにしている。他のノードA11,ノードC31・・・についても全く同様である。
【0070】
従って、本実施形態のCANバス通信システム及びその検査方法によれば、CANバスL10に接続された各ノードがいずれも、検査装置50からの自出力データを検知して自らスリープモードに移行するよう構成されているため、従来(図10参照)のようにノードをCANバスL10から切り離すことなく、当該CANバス通信システムの物理的状態はそのままにして単に検査装置50を接続するだけで、データ通信の検査を行うことができる。
【0071】
しかも、スリープ対象ノードをスリープモードにするための特別なデータを送信するのではなく、単にスリープ対象ノードの自出力データを外部検査装置50からCANバスL10へ出力するだけで、スリープ対象ノードが自らそれを検知してスリープモードに移行することができると同時に、その外部からの自出力データによって上記データ通信を実現しつつ検査を行うことができる。
【0072】
また、各ノードはいずれも、単に自出力データがCANバスL10上を流れたことを検知するだけではなく、それが外部検査装置50からのものなのか、それとも自身が出力したものなのかを判断するようにしているため、外部検査装置50からの自出力データによってのみ確実に自身をスリープモードに移行させることができる。
【0073】
更に、スリープノードを再び通常動作モードに復帰させる場合は、単にそのスリープモード中のスリープノードに対応する自出力データを所定時間以上検査装置50からCANバスL10に出力しないようにするだけでよく、それによってスリープノードを自動的に通常動作モードに復帰させることができる。特に、検査を終了した場合などは、単に検査装置50をCANバスL10から物理的に切り離すだけで、スリープノードを自動的に通常動作モードに復帰させることができる。
【0074】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態において、CANバスL10に接続された全てのノードA11,ノードB21,ノードC31・・・がいずれも本発明の動作状態可変ノードに相当し、CANトランシーバ24は本発明のデータ取得手段及び受信手段に相当し、CPU−B22(他のCPUも同様)は本発明の外部入力判断手段及びスリープ手段に相当し、通信途絶カウンタ26は本発明の計時手段に相当し、送信検知フラグは本発明の出力フラグに相当する。
【0075】
また、図4のデータ送信処理におけるS130の処理は本発明のフラグセット手段が実行する処理に相当し、図6の通信途絶タイムアウト時処理は本発明(請求項12)のモード復帰手段が実行する処理に相当する。また、図5のデータ受信処理において、S210の処理は本発明の自出力データ判断手段が実行する処理に相当し、S250の処理は本発明(請求項9)のスリープ手段が実行する処理に相当し、S280の処理は本発明のフラグリセット手段が実行する処理に相当する。
【0076】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、スリープ対象ノードをスリープモードに移行させるために、そのノード相当の自出力データを検査装置50から出力することにより、それをスリープ対象ノードが検知して自らスリープモードに移行するよう構成したが、本実施形態のCANバス通信システムは、スリープモードに移行させるためのデータ(検査装置接続ID)を検査装置50がスリープ対象ノード宛に出力し、これを受けたスリープ対象ノードが自身をスリープモードに移行させるよう構成されている。
【0077】
スリープモードから通常動作モードへの復帰についても、上記第1実施形態ではスリープノード相当の自出力データを所定時間以上出力しないことにより実現したが、本実施形態では、通常動作モードへ復帰させるためのデータ(検査装置切離ID)を検査装置50がCANバスL10に出力し、これを受けたスリープノードが自身を通常動作モードへ復帰させるよう構成されている。
【0078】
そのため、本実施形態のCANバス通信システムでは、第1実施形態のCANバス通信システムにおける通信途絶カウンタ26は備えておらず、図6の通信途絶タイムアウト時処理は行わない。また、図4のデータ送信処理におけるS110及びS130の処理も行わない。
【0079】
それ以外については、CANバス通信システムの構成を含め、基本的に第1実施形態と同様である。そのため、以下の説明においては、上記第1実施形態と異なる部分のうち、既に説明した上記相違点以外の、各ノードのCPUが実行するデータ受信処理(第1実施形態における図5のデータ受信処理に相当するもの)について、図8に基づいて説明する。図8のデータ受信処理も、CANバスL10上のデータ受信による割り込みにて実行されるものである。
【0080】
この処理が開始されると、まずS410にて、受信したデータ(データフレーム)に検査装置切離IDが含まれているか否かを判断する。この検査装置切離IDは、言い換えれば検査装置50がスリープモード中のスリープノードに対して通常動作モードに復帰すべき旨を指示するものであり、データ通信検査を終了して検査装置50をCANバスL10から切り離す際はもちろん、検査中にスリープモード中のノードを通常動作モードに復帰させて他のノードをスリープモードにしたい場合などに、検査装置50からCANバスL10へ出力する。そしてこの検査装置切離IDは、図3に示したデータフレームにおいて、例えばデータIDの中に含まれるものである。
【0081】
検査装置切離IDであればS510に移行し、自身がスリープモードであるか否かを判断する。そして、スリープモードでなければそのままこの処理を終了するが、スリープモード中であればS520でスリープモードフラグをOFFにして続くS530で送信再開処理を行うことにより、通常動作モードへ復帰する。尚、このS520,S530の処理はそれぞれ、図6におけるS310,S320の処理と同様である。
【0082】
受信したデータに検査装置切離IDが含まれていなかった場合はS410からS420に進み、検査装置接続IDが含まれているか否かを判断する。この検査装置接続IDは、言い換えれば検査装置50がスリープ対象ノードに対してスリープモードに移行すべき旨を指示するものであり、スリープ対象ノードからみれば、これを受信することによって検査装置50がCANバスL10に接続されたことを知ることにもなる。そしてこの検査装置接続IDは、図3に示したデータフレームにおいて、例えばデータIDの中に含まれるものである。
【0083】
ここで、検査装置接続IDが含まれていなかった場合は、S440に進む。尚、S440の処理は、図5におけるS220と全く同様の処理であるため、ここではその処理については説明を省略する。
一方、受信したデータに検査装置接続IDが含まれていた場合は、S420で肯定判定されてS470へ進み、その検査装置接続IDが自身を対象とするものか否か、つまり自身がスリープ対象ノードとしてスリープモードに移行すべきか否かを判断する。この判断は、検査装置接続IDと共に同じデータフレーム中に含まれる宛先情報に基づいて行われ、自身を対象とするものでなければS510以降の処理に進むが、自身を対象とするものであれば、S480に進む。
【0084】
S480〜S500の処理は、図5におけるS240からS260の処理と全く同様であり、既にスリープモードフラグがONになっていればそのままこのデータ受信処理を終了するが、スリープモードフラグがOFFならば、S490でONにし、続くS500で送信停止処理を行う。
【0085】
図9に、本実施形態のCANバス通信システムにおけるスリープ対象ノードの動作を、ノードB21を例に挙げて示す。図示の如く、時刻t1ではノードB21自身がデータを送信(つまりCPU−B22がデータを送信)しているため、通常動作モードがそのまま継続するが、時刻t2にて検査装置50からノードB21宛の検査装置接続IDを受信すると、図8のデータ受信処理におけるS490の処理によってスリープモードフラグがONになり、スリープモードとなる。
【0086】
スリープモードへの移行後は、ノードB21相当のデータを検査装置50がCANバスL10へ出力することによりデータ通信を擬似的に実現させ、その際のCANバスL10上のデータを検査装置50がモニタして各種検査が行われる。そして、時刻t3にて検査装置50から検査装置切離IDが送信されると、図8のデータ受信処理におけるS520の処理によってスリープモードフラグがOFFになり、その後ノードB21は通常動作モードに復帰してデータ送信を再開することになる。
【0087】
以上説明した本実施形態のCANバス通信システム及びその検査方法によれば、各ノードは自身に対する検査装置接続IDを受信したときにスリープモードに移行すればよく、また、通常動作モードへの復帰についても、検査装置切離IDもしくは自身以外に対する検査装置接続IDを受信したときに復帰すればよいため、既存のCANバス通信システムに対する当該検査方法実現のためのソフト変更規模を少なくしつつ、検査の際に容易にスリープ対象ノードをスリープモードに移行させることができる。特に通常動作モードへの復帰については、検査装置切離IDもしくは自身以外に対する検査装置接続IDを受信したら、即、復帰できるため、所定時間の経過を待つ必要のある第1実施形態に比べて、より迅速に通常動作モードに復帰させることができる。
【0088】
本実施形態において、検査装置接続IDは本発明のモード変換信号に相当し、検査装置切離IDは本発明のモード復帰信号に相当する。また、図8のデータ受信処理において、S490の処理は本発明(請求項9,11)のスリープ手段が実行する処理に相当し、S520及びS530の処理はいずれも本発明(請求項13)のモード復帰手段が実行する処理に相当する。
【0089】
尚、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記第2実施形態では、検査装置接続ID及び検査装置切離IDをいずれも、検査装置50からCANバスL10上へ出力するようにしたが、CANバスL10への出力に限らず、例えば対象とするノードに対して直接(CANバスL10とは別の専用線で、或いは無線などで)送信するようにしてもよい。但し、システム構成を簡素化するには、上記第2実施形態のようにCANバスL10を介して送信するのがよい。
【0090】
また、上記各実施形態では、CANバスL10に接続された全てのノードがスリープモードに移行できるよう構成されているものとして説明したが、全てのノードを必ずしもそのように構成する必要はなく、スリープモードに移行できないノードを含むCANバス通信システムであってもよい。但しその場合、当然ながら検査装置50からそのノード相当のデータを送信して検査を行うことはできない。
【0091】
更に、上記各実施形態では、バス通信システムにおけるデータ通信プロトコルとしてCANを例に挙げて説明したが、本発明の適用はCANに限定されるものではないことはいうまでもなく、例えばCSMA/CD方式のように、複数のノードが対等にデータ送信する権利を持ち、図3に示したデータIDのようなIDによってデータを識別する方式のプロトコルであれば、上記各実施形態と同様のシステム構築及び検査方法の実現が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態のCANバス通信システム及びその通信検査方法の概略を示す説明図である。
【図2】 本実施形態のCANバス通信システムにおけるノードの概略構成を示すブロック図である。
【図3】 各ノードからのデータフレームの概略構成を示す説明図である。
【図4】 本実施形態のデータ送信処理を示すフローチャートである。
【図5】 本実施形態のデータ受信処理を示すフローチャートである。
【図6】 本実施形態の通信途絶タイムアウト時処理を示すフローチャートである。
【図7】 本実施形態のCANバス通信システムにおける、スリープ対象ノードの動作を示すタイムチャートである。
【図8】 第2実施形態のデータ受信処理を示すフローチャートである。
【図9】 第2実施形態のCANバス通信システムにおける、スリープ対象ノードの動作を示すタイムチャートである。
【図10】 従来のバス通信システム及びその検査方法の概略を示す説明図である。
【図11】 複数のノードを持つECUを示す説明図である。
【符号の説明】
1,101…ECU−A、3,103…ECU−C、11,111…ノードA、21,112…ノードB、22…CPU−B、23…CANコントローラ、24…CANトランシーバ、26…通信途絶カウンタ、31…ノードC、50,100…検査装置、L10…CANバス、L10a,L10c,L200…バス接続ライン
Claims (14)
- 複数のノードが共通のバスに接続され、前記各ノードが前記バスを介して相互にデータ通信するよう構成されたバス通信システムにおいて、前記データ通信が正常に行われるか否かの検査を行う検査方法であって、
前記複数のノードのうち少なくとも2つは前記動作状態可変ノードであり、予め設定された2以上の前記動作状態可変ノードは、1つの電子制御装置内において共通のバス接続ラインに接続され、このバス接続ラインを介して前記バスに接続されるよう構成されて、
前記各ノードの少なくとも一つを、前記データ通信を行う通常動作モードから前記バスへのデータ出力を停止するスリープモードに移行可能な動作状態可変ノードとして構成し、
前記動作状態可変ノードのいずれか一つをスリープ対象ノードとして前記スリープモードに移行させ、
前記スリープ対象ノードの前記スリープモードへの移行後、該スリープ対象ノードが前記データ通信の際に前記バスへ出力するデータを代わりに外部から前記バスへ入力することにより、前記データ通信を実現させて、そのデータ通信中に前記バス上を流れるデータに基づいて前記検査を行う
ことを特徴とするバス通信システムの検査方法。 - 前記複数のノードが全て前記動作状態可変ノードであることを特徴とする請求項1に記載のバス通信システムの検査方法。
- 前記動作状態可変ノードは、前記データ通信時に自身が前記バスへ出力するデータである自出力データが、外部から前記バス上に入力された場合に、前記スリープモードに移行するよう構成されており、
前記スリープ対象ノードを前記スリープモードに移行させる際は、該スリープ対象ノードの前記自出力データを、外部から前記バスへ入力する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のバス通信システムの検査方法。 - 前記動作状態可変ノードは、前記バスへデータを出力する毎にその旨を示す出力フラグをオンにし、前記バス上に前記自出力データが流れたときに前記出力フラグがオンになっている場合は該出力フラグをオフにして、前記バス上に前記自出力データが流れたときに前記出力フラグがオフになっているならば、その自出力データは外部から前記バスへ入力されたものと判断して前記スリープモードに移行するよう構成されている
ことを特徴とする請求項3記載のバス通信システムの検査方法。 - 前記動作状態可変ノードは、前記スリープモードに移行すべき旨のモード変換信号を受信した場合に前記スリープモードに移行するよう構成されており、
前記スリープ対象ノードを前記スリープモードに移行させる際は、該スリープ対象ノードに対して前記モード変換信号を送信する
ことを特徴とする請求項1〜2いずれかに記載のバス通信システムの検査方法。 - 前記動作状態可変ノードは、前記スリープモードへの移行後、前記自出力データが外部から前記バスへ入力されない状態が、予め設定した所定時間以上継続した場合は、前記通常動作モードに復帰するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のバス通信システムの検査方法。 - 前記動作状態可変ノードは、前記スリープモードへの移行後、前記通常動作モードに復帰すべき旨のモード復帰信号を受信した場合に前記通常動作モードに復帰するよう構成されており、
前記スリープモード中の前記スリープ対象ノードを前記通常動作モードに復帰させる際は、該スリープ対象ノードに対して前記モード復帰信号を送信する
ことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のバス通信システムの検査方法。 - 前記バス通信システムは、前記複数のノードがいずれもCAN(Controller Area Network)プロトコルに従って前記データ通信を行うよう構成されたCANバス通信システムである
ことを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載のバス通信システムの検査方法。 - 請求項3記載の検査方法を実現するための前記動作状態可変ノードとしての通信装置であって、
前記バス上に流れるデータを取り込むデータ取得手段と、
該データ取得手段により取り込まれたデータが外部から前記バスに入力された前記自出力データであるか否か判断する外部入力判断手段と、
該外部入力判断手段によって外部から前記バスに入力された前記自出力データであると判断された場合に、当該通信装置を前記スリープモードに移行させるスリープ手段と、
を備えたことを特徴とする通信装置。 - 前記外部入力判断手段は、
前記バスへデータを出力したときにその旨を示す出力フラグをオンするフラグセット手段と、
前記データ取得手段により取り込まれたデータが前記自出力データであるか否か判断する自出力データ判断手段と、
該自出力データ判断手段によって前記自出力データと判断されたとき、前記出力フラグがオンならば該出力フラグをオフにするフラグリセット手段と、
を備え、
前記自出力データ判断手段によって前記自出力データと判断されたとき、前記出力フラグがオフならば、該自出力データは外部から前記バスへ入力されたものと判断する
ことを特徴とする請求項9記載の通信装置。 - 請求項5記載の検査方法を実現するための前記動作状態可変ノードとしての通信装置であって、
前記バス上に流れるデータを取り込むデータ取得手段と、
外部から前記モード変換信号を受信する受信手段と、
該受信手段によって前記モード変換信号が受信された場合に、当該通信装置を前記スリープモードに移行させるスリープ手段と、
を備えたことを特徴とする通信装置。 - 前記スリープモードへの移行後、前記データ通信時に当該通信装置自身が前記バスへ出力するデータが前記データ取得手段により取り込まれない状態の継続時間を計時する計時手段と、
前記計時手段により計時される前記継続時間が予め設定した所定時間以上となった場合に前記通常動作モードに復帰させるモード復帰手段と、
を備えたことを特徴とする請求項9〜11いずれかに記載の通信装置。 - 前記スリープモードへの移行後、前記通常動作モードに復帰すべき旨のモード復帰信号が前記データ取得手段により取り込まれた場合に、前記通常動作モードに復帰させるモード復帰手段を備えたことを特徴とする請求項9〜11いずれかに記載の通信装置。
- 請求項9〜13いずれかに記載の通信装置であって、
当該通信装置は、他の1又は複数の前記通信装置と共に一つの電子制御装置を構成し、該他の通信装置と共通のバス接続ラインによって前記バスに接続されている
ことを特徴とする通信装置。
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