JP4356229B2 - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム及び磁気記録テープ - Google Patents

磁気記録媒体用ポリエステルフィルム及び磁気記録テープ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、特にデジタルビデオカセットテープ用等、デジタルデータを記録する強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用のベースフィルムとして好適なポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
1995年に実用化された民生用デジタルビデオテープはベースフィルム上にCoの金属磁性薄膜を真空蒸着により設け、その表面にダイヤモンド状カーボン膜をコーティングし、更にその上に潤滑剤層をコーティングにより設け、ベースフィルムの反対面側にビデオテープレコーダー内でのテープの走行性、耐久性を確保するためにバックコート層が設けられたものである。Hi8用ME(蒸着)テープに比べて表面性が更に平滑化したにもかかわらず、良好な耐久性をもつ。
【0003】
そのベースフィルムとしては、
▲1▼ポリエステルフィルムと、該フィルムの少なくとも片面に密着された不連続皮膜と該皮膜中及び皮膜表面に存在する微粒子からなるポリエステルフィルム(例えば特公昭62−30105号公報)、
▲2▼熱可塑性樹脂からなる層Aと、微粒子が含有された熱可塑性樹脂からなる層Bとが積層された複合フィルム(例えば特公平1−26338号公報)、
▲3▼平滑なポリエステルフィルムであり非磁性面側表面に滑剤主体の被覆層が形成されたフィルム(例えば特開昭57−195321号、特公平1−49116号、特公平4−33273号公報)、
等が用いられ、Hi8MEテープ用ベースに比べ、更に金属磁性膜形成表面の粗度の小さいベースフィルムが利用されている。
【0004】
しかしながらこのように非常に平滑な民生用デジタルビデオテープは、その磁性面の表面性の変動により電磁変換特性が非常に大きく変化し、また蒸着工程での冷却キャンに付着する異物の影響により、得られたテープのドロップアウト(DO)特性が非常に大きく変化する。
【0005】
すなわち、デジタルビデオテープ用の強磁性金属薄膜を真空蒸着により設けるためのベースフィルムとして用いるとき、
前記▲1▼のフィルムは良好な高密度磁気記録特性を与えるが、ハンドリング性が不良で、大量生産には不適当であり、
前記▲2▼のフィルムから作成したテープはテープ磁性面の表面うねりのバラツキが大であり、電磁変換特性のバラツキが大となる問題があり、
また、前記▲3▼のフィルムは、非磁性面側表面の滑剤主体の被覆層が蒸着工程、特に真空蒸着の冷却キャンで削れたり剥離しがちであり、それによりDOが多くなる欠点がある。
【0006】
真空蒸着工程で冷却キャンに付着する汚れが少なく、真空蒸着により得られた磁気テープの表面うねりが小さく、電磁変換特性の良好な磁気テープとすることができ、しかもハンドリング性が良好で、大量生産に適した磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを与える事を目的として、特開平10−172127号公報において、ポリエステルフイルムの一方の片側表面AのSRa値が2〜4nm、SRz値が10〜40nmであり、他方の片側表面BのSRa値が5〜15nm、SRz値が50〜250nmであり、表面Bの外側には塗布により形成された易滑被覆層がなく、また高さ540nm以上の突起個数が2〜20個/100cm2 であるポリエステルフィルムであって、表面Aの外側に強磁性金属薄膜層を設けて使用されることを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフィルムが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、民生用デジタルビデオテープは非常に好評であり、市場により多くのテープを投入することが望まれており、1回の蒸着操作でより多量のデジタルビデオテープが製造できるように、ロールに巻かれるベースフィルムの長さが従来は10000m以下であったものを、12000m以上、更には15000m以上とより長尺化することが行われてきている。
【0008】
また、磁気テープ製造時の蒸着速度の増速も行われており1日あたりのデジタルビデオテープの生産量は増加してきている。蒸着速度を増速するためには一定時間内により多量のCoの金属薄膜をベースフィルム表面に設けなけれならず、真空蒸着の際のベースフィルムから冷却キャンへ逃げる熱量を増やさねばならず、ベースフィルムの温度が上昇しがちである。そのために、特開平10−172127号公報に示されるベースフィルムを使用してより蒸着速度を増速して民生用デジタルビデオテープを製造した場合、該フィルムの表面Bよりポリエステルフィルムの分解物が析出し易くなり、分解物が蒸着面側に転写し、製造されたデジタルビデオテープの電磁変換特性が不良でドロップアウトが多くなるということが明らかになってきた。
【0009】
従って本発明は、10000mを超える長尺ロール製品のポリエステルフィルムを蒸着速度を上げて蒸着し、その際にベースフィルムへかかる熱負荷が増した場合でも、表面Bからのポリエステル分解物の析出がなく、冷却キャンが汚れず、さらに、製造されたデジタルビデオテープの電磁変換特性が良好で、ドロップアウトが少ないデジタルビデオテープを製造することができる磁気記録媒体用ポリエステルフィルムを提供する事を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は以下の構成からなる。
【0011】
すなわち、
1. 層A及び層Bとからなる積層フィルムとその表面に形成された被覆層とからなるポリエステルフィルムであって、層A側の表面AのSRa値が2〜4nm、SRz値が10〜40nmであり、層B中には層B側の表面Bに表面突起を形成するための微細粒子が含まれ、該微細粒子の平均粒径が50〜500nmであり、層B中の微細粒子の含有率が0.01〜1.0重量%であり、表面B側に塗布により形成された被覆層の厚みが1〜10nmであり、かつ、表面Aの外側に強磁性金属薄膜層が設けられて磁気記録媒体用に使用される磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、
2. 層B中に、さらに、ろう及び/又はセッケンが0.05〜1.0重量%含まれている、上記1.に記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、
3. 被覆層を構成する主成分が水溶性高分子及び/又は水分散性高分子である、上記1.又は2.に記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、
4. 表面B側の被覆層が、水溶性高分子及び/又は水分散性高分子にシリコーン及びシランカップリング剤を配合してなる組成物から形成される、上記1.〜3.のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、
5. 表面B側の被覆層には微細粒子が実質的に存在しない、上記1.〜4.のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、
6. ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートである、上記1.〜5.のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、
7. デジタル記録方式のビデオカセットレコーダーテープ用に用いられる、上記1.〜6.のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム、
8. 上記1.〜7.のいずれかに記載のポリエステルフィルムの表面Aの外側に強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録テープ、
とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルは、分子配向により高強度フィルムとなり得るポリエステルであれば良いが、なかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。即ち、その構成成分の80%以上がエチレンテレフタレート、又は、エチレンナフタレートであるポリエチレンテレフタレート、又は、ポリエチレンナフタレートである。エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート以外のポリエステル共重合体成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能ジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などが挙げられる。
【0013】
さらに、上記のポリエステルは、他にポリエステルと非反応性のスルホン酸のアルカリ金属塩誘導体、該ポリエステルに実質的に不溶なポリアルキレングリコールなどの少なくとも一つを5重量%を越えない程度の少量ならば混合してもよい。
【0014】
本発明のポリエステルフィルムは層Aと層Bとが積層され、さらにその表面に被覆層が形成された構造を有する。
【0015】
層A側の表面A上には強磁性金属薄膜層が真空蒸着により設けられて磁気記録媒体として使用される。その強磁性金属薄膜としては公知のものを使用でき、特に限定されないが、鉄、コバルト、ニッケル、またはそれらの合金の強磁性体からなるものが好ましい。金属薄膜層の厚さは一般に100〜300nmである。
【0016】
本発明のポリエステルフィルムの層A側の表面AのSRa値は2〜4nm、好ましくは2〜3nmであり、SRz値は10〜40nm、好ましくは20〜40nmである。
【0017】
SRa値が2nm未満であると、表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層が平滑すぎて、デジタルビデオテープレコーダー内の記録、再生時にビデオヘッドによりビデオテープの強磁性金属薄膜が磨耗してしまうし、また、SRa値が4nmを超えると、該強磁性金属薄膜層が粗面すぎて、ビデオテープの出力特性が低下するので、磁気記録媒体用には適していない。
【0018】
SRz値が10nm未満であると、強磁性金属薄膜層が平滑すぎて、デジタルビデオテープレコーダー内の多数回にわたる繰返し記録、再生でビデオテープの強磁性薄膜の耐久性が低下し、また、SRz値が40nmを超えると、強磁性金属薄膜層が粗面になりすぎて、ビデオテープの小さなDO個数が増加するので、磁気記録媒体用には適していない。
【0019】
本発明のポリエステルフィルムの層B側の表面Bには、層B中の微細粒子による表面突起が形成されており、該微細粒子の平均粒径は50〜500nmであり、層B中の含有率が0.01〜1.0重量%であり、層B側には塗布により形成された被覆層が1〜10nmの厚みで設けられている。
【0020】
表面BのSRa値は10〜25nm、さらには15〜22nmが好ましく、SRz値は200〜450nm、さらには250〜350nmが好ましい。
【0021】
微細粒子の平均粒径が50nm未満、また含有率が0.01重量%未満であると、平滑すぎて、ポリエステルフィルムの製造の際、特に製膜後のスリッターによるスリット工程で、フィルムを所定の幅にスリットしロール状に巻き製品化する時にしわが入りすぎ、ロール状に巻けなくなる。表面BのSRz値が200nm未満であると同様の傾向があるので好ましくない。該微細粒子の平均粒径が500nmを超えると、また含有率が1.0重量%を超えると、ポリエステルフィルムに磁性金属を真空蒸着した後、ロール状に磁性金属層が設けられたフィルムを巻き放置した時に、その表面Bの粗さが磁性金属表面に転写され、磁性金属層の表面うねりが大きくなり、デジタルビデオテープの電磁変換特性が悪化し、ドロップアウトが増大する。表面BのSRz値が500nmを超えても同様の傾向があるので好ましくない。
【0022】
表面BのSRa値が10nmを下回ると、ポリエステルフィルムを製造し、10000m以上にスリットし製品として放置している期間に、ポリエステルフィルムの表面Bの微細粒子による突起形状が、特に、ボビン近くの巻芯部で、表面Aに転写し、表面Aにへこみ状の変形を与え、真空蒸着後、強磁性金属薄膜層にへこみ状の変形が残り、デジタルビデオテープの電磁変換特性が悪化し、ドロップアウトが増大するので好ましくない。表面BのSRa値が25nmを上回ると、表面Bの粗さが増大し、ポリエステルフィルムを製造し、10000m以上にスリットし製品として放置している期間に、ポリエステルフィルムの表面Bの粗さが表面Aに転写し、表面Aの表面うねりが増大し、真空蒸着後、強磁性金属表面層の表面うねりが大きくなり、デジタルビデオテープの電磁変換特性が悪化し、ドロップアウトが増大するので好ましくない。
【0023】
層B中に含有させる微細粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ポリスチレン、アルミナシリケート等用いられるがこれらに限定されるものではない。
【0024】
層B中には前記微細粒子より更に細かい別種の微粒子を内在させても良い。また界面活性化剤、帯電防止剤、各種エステル成分等、異なる成分を添加させても良い。
【0025】
ポリエステルフィルムの層B側には被覆層が1〜10nmの厚みで設けられていることを要する。この被覆層がないと、ポリエステルフィルム上に磁性金属を高速度で真空蒸着させる際にベースフィルムの温度が上昇し、ポリエステルからなる表面Bより、フィルム中ポリマからの分解物が析出し、蒸着後、巻きとった際に該分解物が蒸着面側に転写したり、冷却キャンを汚したり、汚れ物が真空蒸着されたフィルムに付着していき蒸着面側に転写しビデオテープの電磁変換特性やドロップアウトをおこすというトラブルを生じる。その被覆層は厚みが1〜10nmである。厚みが1nmを下回るとポリエステルフィルムの分解物が被覆層をこえて析出するので、また、厚みが10nmを超えると、被覆層が冷却キャンで削られ易く、冷却キャンを汚しがちとなるので、いずれも本発明の目的を達成できない。
【0026】
その被覆層は、冷却キャンとの間で易滑性であって削られにくく、かつ、ポリエステルフィルムからの分解物を通さない機能を有するものであり、主として、水溶性高分子及び/又は水分散性高分子から構成され、好ましくは、水溶性高分子及び/又は水分散性高分子にシリコーン及びシランカップリング剤とが加わった組成物から形成されることが好ましい。
【0027】
また、この被覆層が削られにくくするためには、被覆層中には微細粒子が実質的に存在しないことが好ましい。被覆層の中に、被覆層厚みの3倍程度までの粒子径の微細粒子が被覆層内重量分率で20%程度含まれていても製膜工程では削れの問題は生じ難いが、蒸着時、冷却キャンとの間では削りて脱落じがちとなるので、また磁気テープ加工工程での各種搬送ロールで削れやすくなるので、層B側の被覆層には微細粒子が実質的に存在しないことが好ましい。ただし、被覆層を強化する目的で被覆層の厚み以下の粒子径の微細粒子を補強材のように用いることは許容される。
【0028】
被覆層用に用いられる水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、トラガントゴム、アラビアゴム、カゼイン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリエステルエーテル共重合体、水溶性ポリエステル共重合体等が使用できる。また、水分散性高分子のエマルジョンとしては、ポリメタクリル酸メチルエマルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョン等が使用できる。
【0029】
なかでも、セルロース誘導体と水溶性ポリエステル共重合体の高分子ブレンド体が特に好ましい。水溶性ポリエステル共重合体としては、ジカルボン酸成分とグリコール成分が重縮合したポリエステルであって、例えばスルホン酸基を有するジカルボン酸成分のような機能性酸成分を全カルボン酸成分の5モル%以上共重合せしめること、及び/又は、グリコール成分としてポリアルキレンエーテルグリコール成分を2〜70重量%共重合せしめることによって水溶性を付与したものが好ましいが、これらに限定されるものではない。スルホン酸基を有するジカルボン酸としては、好ましくは5−スルホイソフタル酸、2−スルホテレフタル酸などや、それらの金属塩、ホスホニウム塩などが使用でき、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が特に好ましい。5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合せしめる際の他のジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、テレフタル酸などが好ましく、グリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコールなどが好ましい。セルロース誘導体はポリエステル分解物が析出することを防ぐために寄与し、水溶性ポリエステル共重合体はセルロ−ス誘導体とポリエステルフィルム表面との接着性を増大させるために寄与する。
【0030】
シリコーンとしては、ポリジメチルシロキサン等のシロキサン結合を分子骨格にもつ有機ケイ素化合物が共有結合で多数つながった重合体が使用できる。シリコーンにより被覆層の易滑性が向上し、冷却キャンとの走行性、耐削れ性が確保される。またポリエステルフィルムを巻いたときのフィルム間のブロッキングが防止される。なおフッ素化合物を易滑剤として用いても良い。
【0031】
シランカップリング剤としては、その分子中に2個以上の異なった反応基をもつ有機ケイ素単量体が挙げられ、その反応基の一つはメトキシ基、エトキシ基、シラノール基などであり、もう一つの反応基はビニル基、エポキシ基、メタアクリル基、アミノ基、メルカプト基などである。反応基としては水溶性高分子の側鎖、末端基およびポリエステルと結合するものが選ばれるが、シランカップリング剤としてビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が適用できる。シランカップリング剤はシリコーンが易滑剤層より遊離されることを防ぐために寄与し、さらに、被覆層とポリエステルとの接着性を向上させるためにも寄与する。
【0032】
本発明における層Aと層Bとが積層されてなるフィルムにおいて、層Bの厚みは全体厚みの8〜25%が好ましく、より好ましくは10〜20%である。層Bの厚みが全体厚みの8%未満であると、層B中の微細粒子が脱落しやすくなり好ましくない。層Bの厚みが全体厚みの25%より大であると、層B中の微細粒子の形状が層Aを通じて表面A上に突起状変形を作りやすくなるので好ましくない。
【0033】
本発明のポリエステルフィルムを形成する層B中には、さらに、ろう及び/又はセッケンが0.05〜1.0重量%、より好ましくは0.1〜0.7重量%含まれていることが好ましい。使用するろうとしてはカルナウバろう、鯨ろう、蜜ろう、シナろう、ラノリン等が用いられ、セッケンとしては脂肪酸、芳香族スルホン酸、樹脂酸、ナフテン酸などの金属塩、例えばアルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、リチウム塩等の界面活性剤類が使用できる。ろうやセッケンを配合することにより、ポリエステルフィルム内に存在するポリマ分解物のオリゴマー類がフィルム片側表面Bから析出することが抑制されるので好ましい。1.0重量%より多く含まれると、ポリエステルフィルムの表面Bと被覆層の接着性が低下しがちとなるので好ましくない。
【0034】
次に本発明の製法の一例を例示する。
【0035】
本発明のポリエステルフィルムは、溶融、シート成形、二軸延伸、熱固定からなる通常のプラスチックフィルム製造工程において、B層用ポリエステル中に微細粒子を含有させること、共押出し技術の使用によりA/B層が積層されたシートを押出しすこと、さらに、少なくとも層B側へ塗布による被覆層を形成することによって製膜し、巻取ることにより製造することができるが、より多層を設けることもでき、製法は本方法だけには限らない。
【0036】
含有粒子を可能な限り除いた層A用の原料と、平均粒径が50〜500nmの微細粒子を含有率0.01〜1.0重量%含有させた層B用の原料とを溶融共押出しし、キャスティングドラム上で冷却固化して未延伸フィルムシートを得、一軸延伸し、被覆層形成用の塗液をフィルム表面に塗布して乾燥し、その後に先の一軸延伸方向とは直交する方向に延伸配向させ、熱固定する製造方法により、本発明のフィルム条件を満足するように製造条件を適正化することによって、本発明のフィルムを製造することができる。
【0037】
層A上に塗布する塗液としては、水溶性高分子及び/又は水分散性高分子を溶解又は分散させた水性液に平均粒径10〜30nmの微細粒子を所定量添加させてなる塗液を用いることができる。
【0038】
層B上に塗布する塗液としては、前述した水溶性高分子及び/又は水分散性高分子にシリコーン及びシランカップリング剤を添加してなる水性液を用いることができる。水溶性高分子としては、前述したとおり、セルロース誘導体[A]と水溶性ポリエステル共重合体[B]とのブレンド体が特に望ましい。[A]/[B]/シリコーン/シランカップリング剤の重量比率としては、100/5〜20/60〜250/5〜40が好ましい。
【0039】
層B中には、さらに、ろう及び/又はセッケンを0.05〜1.0重量%含有させても良い。なお、層A中にもろう及び/又はセッケンを0.05〜1.0重量%含ませても良い。なお、層Aは磁気テープの磁気ヘッドによる耐久性を更に増すために、その内部に微細粒子を含ませても良い。
【0040】
二軸延伸は例えば逐次二軸延伸法又は同時二軸延伸法で行うことができるが、所望するならば熱固定前にさらに縦あるいは横方向あるいは縦と横方向に再度延伸させ機械的強度を高めた、いわゆる強力化タイプとすることもできる。
【0041】
層A上に被覆層を形成するためには、前述した通り、1軸方向への延伸を終えた段階で所定組成・濃度の塗液を基層フィルム上に塗布する方法をとればよい。その塗布方法としては、ドクターブレード方式、グラビア方式、リバースロール方式、メタリングバー方式のいずれであってもよい。表面AのSRa、SRzは被覆層の微粒子、成分、層A内部の微細粒子の調整により調整することができる。層B上の被覆層の形成に関しても同様の方法を用いればよく、被覆層厚みは、塗布液の固形分濃度、塗布液厚みの調整により所望値に調整することができる。
【0042】
本発明のポリエステルフィルムは磁気記録媒体のベースフィルムとして、特にデジタルビデオテープ用途に使用すると優れた結果を得ることができ好適である。またデータストレージテープ用途に使用しても優れた結果を得ることができ好適である。
【0043】
本発明の磁気テープは本発明のポリエステルベースフィルムの表面A上にCo等の強磁性金属薄膜を真空蒸着により膜厚み100〜300nmと形成し、この金属薄膜上に10nm程度の厚みのダイヤモンド状カーボン膜をコーティングし、さらに潤滑剤を5nm程度の厚みに塗布し、他方、表面Bの被覆層の上に固体微粒子および結合材からなり必要に応じて各種添加剤を加えた溶液を塗布することによりバックコート層を0.3〜1.5μm程度の厚みで設け、そして所定の幅に裁断することにより製造することができる。
【0044】
[測定法]
(1)SRa値、SRz値
小坂研究所製の光触針式(臨界角焦点エラー検出方式)の3次元粗さ計(ET−30HK)を使用して測定した。
【0045】
SRa値: JIS B0601 Raに相当する中心線面平均粗さ。
SRz値: JIS B0601 Rzに相当する十点平均面粗さ。粗さ曲面から基準面積分だけ抜き取った部分の平均面を基準面として、最高から5番目までの山の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の深さの平均値との距離を入力換算して求める。
【0046】
試験片は測定表面にAl蒸着を施した。また、測定方向はフィルム幅方向とし、カットオフ値は0.08mm、測定長は0.1〜0.25mm、送りピッチは0.2μm、測定スピードは20μm/s、測定本数は100本とした。単位はnmで表示した。
【0047】
(2)微細粒子の平均粒径
電子顕微鏡(電顕)試験台上に微細粒子粉体を、この粒子ができるだけ重ならないように散在せしめ、電顕(好ましくは透過型電子顕微鏡)により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値をもって平均粒径とした。
【0048】
なお、この粒径をフィルムから求める場合には下記のa)手法等により求められる。
a)フィルムの被膜表面A上に金スパッター装置により金薄膜蒸着層を20〜30nm(χnm)で設け、電子顕微鏡(好ましくは走査型電子顕微鏡)により倍率10万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値より2χnmを減じた値をもって粒径とする。
【0049】
(3)被覆層の厚み
被覆層厚みは、塗布液塗布時の塗布液厚みに固形分濃度を掛け、固形分密度、塗布後の延伸倍率で除して求める。
【0050】
なお、この被覆層の厚みをフィルムから求める場合には下記のa)手法等により求められる。
a)フィルムの少片を樹脂で固定し、フィルムの長手方向に平行に切断しフィルム断面の超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡により10万倍程度以上の倍率で観察し、被覆層/フィルム、被覆層/樹脂界面の距離より被覆層厚みを求める。
【0051】
(4)磁気テープの特性
市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダー(DVC)を用いドロップアウト(DO)を観測することにより評価した。作成したDVCテープに市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダーで録画し、1分間の再生をして画面にあらわれたブロック状のモザイク個数を数えることによりDOの測定をした。なおDOは常温常湿(25℃、60%RH)でテープ製造後の初期特性を調べた。さらに100回繰返し走行後のDOも測定した。DOは小さい値の方が良い。
【0052】
【実施例】
次に実施例に基づき、本発明を説明する。
【0053】
実施例1
実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートに平均粒径60nmのシリカを0.02重量%含有させた原料Aと、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートに平均粒径190nmのケイ酸アルミニウムと粒子径320nmのポリスチレン球とをそれぞれ0.36重量%、0.05重量%含有させた原料Bとを厚み比5:1の割合で共押出しし、ロール延伸法で110℃で3.0倍に縦延伸した。
【0054】
縦延伸の後の工程で、A層の外側に下記組成・濃度の水溶液を、塗布厚み4.0μmで塗布した。また、B層の外側に下記組成・濃度の水溶液を、塗布厚み2.5μmで塗布した。
Figure 0004356229
その後、ステンターにて横方向に98℃で3.3倍に延伸し、200℃で熱処理し、中間スプールに巻き、スリッターで小幅にスリットし、円筒コアーにロール状に巻取り、厚さ6.3μmのフィルムが長さ15000mでロール状に巻取られた複合ポリエステルフィルムを得た。
【0055】
このポリエステルフィルムの表面Aに真空蒸着によりコバルト−酸素薄膜を110nmの膜厚で強磁性金属薄膜層を形成した。なおコバルトの蒸着速度は従来の3割増しの速度で行った。次にコバルト−酸素薄膜層上に、スパッタリング法によりダイヤモンド状カーボン膜を10nmの厚みで形成させた。続いて、表面B上に、カーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層を400nm厚さで設け、スリッターにより幅6.35mmにスリットしリールに巻き取り磁気テープを作成した。
【0056】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0057】
実施例2
実施例1のベースフィルム製造において、ポリエチレンテレフタレートをポリエチレン−2,6−ナフタレートと変更し、A層外側、B層外側の塗布液の塗布厚みを8.0μm、5.0μmと変更し、縦延伸温度、倍率を135℃で5.0倍と変更し、横延伸温度、倍率を135℃、6.0倍と変更し、更に160℃で1.2倍に横に延伸し、200℃での熱処理と変更し、その他は実施例1と同様にして、厚さ4.2μmのフィルムが長さ15000mで巻取られた複合ポリエステルフィルムロールを得た。さらに実施例1と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0058】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は18nm、270nmであった。
【0059】
実施例3
実施例2のベースフィルム製造において、原料Aに含有させたシリカを除き、その他は実施例2と同様にして厚さ4.2μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得た。さらに、実施例2と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0060】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0061】
実施例4
実施例1のベースフィルム製造において、原料Bに含有させたケイ酸アルミニウムの含有量を0.50重量%とし、ポリスチレン球を使用しなかった。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得た。さらに実施例1と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0062】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は17nm、250nmであった。
【0063】
実施例5
実施例1のベースフィルム製造において、原料Bに含有させたケイ酸アルミニウムを使用せず、ポリスチレン球の含有量を0.10重量%とした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得た。さらに実施例1と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0064】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は23nm、345nmであった。
【0065】
実施例6
実施例1のベースフィルム製造において、原料Bにカルナウバワックスを0.4重量%追加した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得た。さらに実施例1と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0066】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。磁気テープを高温度(60℃)下、10日間放置し、常温常湿(25℃、60%RH)でDOを見たが、増加はなかった。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0067】
実施例7
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側に塗布する水溶液より水溶性ポリエステルを除き、塗布厚みを8.3μmとした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得た。さらに実施例1と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0068】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0069】
実施例8
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側に塗布する水溶液よりアミノエチルシランカップリング剤を除いた。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得た。さらに実施例1と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0070】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0071】
実施例9
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側に塗布する水溶液よりポリジメチルシロキサンを除いた。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得た。さらに実施例1と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0072】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0073】
実施例10
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側に塗布する水溶液より水溶性ポリエステルとアミノエチルシランカップリング剤を除き、塗布厚みを10.5μmとした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得た。さらに実施例1と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0074】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0075】
実施例11
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側に塗布する水溶液よりアミノエチルシランカップリング剤とポリジメチルシロキサンを除いた。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得た。さらに実施例1と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0076】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0077】
実施例12
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側に塗布する水溶液成分としてメチルセルロースのみを用い、塗布厚みを10.5μmとした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得た。さらに実施例1と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0078】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0079】
実施例13
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側に塗布する水溶液を、ポリメチルメタクリレート(PMMA)エマルジョン0.40重量%、ノニオン系界面活性化剤0.10重量%含有の水分散型PMMAエマルジョン液に変更して、その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得た。さらに実施例1と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0080】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1に示す。なお複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0081】
【表1】
Figure 0004356229
表1に示すテープ特性から明らかな様に、本発明のポリエステルフィルムの表面Aに強磁性金属薄膜層を設けて製造された磁気テープは、蒸着速度を上げて製造しても、電磁変換特性、耐久性に優れたデジタルビデオテープとすることができた。
【0082】
比較例1
実施例1のベースフィルム製造において、層A上の水溶液塗布の塗布厚みを2.0μmと変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得、さらに、幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0083】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表2に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0084】
比較例2
実施例1のベースフィルム製造において、A層外側用の塗布水溶液のメチルセルロース濃度を0.15重量%と変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得、さらに、幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0085】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表2に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0086】
比較例3
実施例1のベースフィルム製造において、塗布水溶液内の極微細シリカの濃度を0.02重量%と変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得、さらに、幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0087】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表2に示す。 なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0088】
比較例4
実施例1のベースフィルム製造において、原料Aに含有させたシリカの平均粒径を90nmに変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得、さらに、幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0089】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表2に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0090】
比較例5
実施例1のベースフィルム製造において、原料Bに含有させたケイ酸アルミニウムを使用しなくて、ポリスチレン球の粒径を600nmとした。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得て、さらに、幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0091】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表2に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は30nm、600nmであった。
【0092】
比較例6
実施例1のベースフィルム製造において、原料Bに含有させたポリスチレン球を使用せずに、ケイ酸アルミニウムの含有量を1.5重量%と変更し、その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得て、さらに、幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0093】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表2に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は28nm、300nmであった。
【0094】
比較例7
実施例1のベースフィルム製造において、原料Bに含有させたポリスチレン球を使用せず、ケイ酸アルミニウムの粒径を40nmとし、その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得ようとスリットしたが巻きが乱れてしまった。端面がきちっとそろったロール状製品が得られなかった。この後実施例1と同様にして磁気テープを作成してもテープ作成の収率が大幅に低下するので磁気テープ製造は中止した。
【0095】
得られた複合ポリエステルフィルムの特性を表2に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は8nm、185nmであった。
【0096】
比較例8
実施例1のベースフィルム製造において、原料Bに含有させたケイ酸アルミニウムを使用せずにポリスチレン球の含有量を0.005重量%と変更し、その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得ようとスリットしたが、長手方向のしわが幅方向の2/3程度入った。この後実施例1と同様にして磁気テープを作成してもテープ作成の収率が大幅に低下するので磁気テープ製造は中止した。
【0097】
得られた複合ポリエステルフィルムの特性を表2に示す。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は13nm、220nmであった。
【0098】
比較例9
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側に塗布する水溶液の塗布厚みを6.7μmと変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得た。また実施例1と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0099】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表2に示す。蒸着工程の冷却キャンは白い汚れ物で汚れていた。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0100】
比較例10
実施例1のベースフィルム製造において、B層外側に塗布する水溶液の塗布厚みを0.2μmと変更した。その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmの長さ15000mの複合ポリエステルフィルムロールを得た。さらに実施例1と同様にして幅6.35mmの磁気テープを作成した。
【0101】
得られた複合ポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表2に示す。蒸着工程の冷却キャンは黄色がかった白い汚れ物で汚れていた。なお、複合ポリエステルフィルムの表面BのSRa値、SRz値は20nm、300nmであった。
【0102】
【表2】
Figure 0004356229
【0103】
【発明の効果】
本発明のポリエステルフィルムによると、10000mを超える長尺ロール製品のポリエステルフィルムを蒸着速度を上げて蒸着して磁気テープを製造しても、表面Bからのポリエステル分解物の析出がなく、冷却キャンが汚れず、さらに、電磁変換特性が良好で、ドロップアウトが少ない磁気テープとすることができ、特にデジタルビデオテープのようなデジタルデータを記録する記録媒体用として有効である。

Claims (8)

  1. 層A及び層Bとからなる積層フィルムとその表面に形成された被覆層とからなるポリエステルフィルムであって、層A側の表面AのSRa値が2〜4nm、SRz値が10〜40nmであり、層B中には層B側の表面Bに表面突起を形成するための微細粒子が含まれ、該微細粒子の平均粒径が50〜500nmであり、層B中の微細粒子の含有率が0.01〜1.0重量%であり、表面B側に塗布により形成された被覆層の厚みが1〜10nmであり、かつ、表面Aの外側に強磁性金属薄膜層が設けられて磁気記録媒体用に使用されることを特徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  2. 層B中に、さらに、ろう及び/又はセッケンが0.05〜1.0重量%含まれていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  3. 被覆層を構成する主成分が水溶性高分子及び/又は水分散性高分子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  4. 表面B側の被覆層が、水溶性高分子及び/又は水分散性高分子にシリコーン及びシランカップリング剤を配合してなる組成物から形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  5. 表面B側の被覆層には微細粒子が実質的に存在しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  6. ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  7. デジタル記録方式のビデオカセットレコーダーテープ用に用いられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステルフィルムの表面Aの外側に強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録テープ。
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