JP4354795B2 - 熱交換器用エレメントおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
即ち、波の高さを高くするとその分だけ金属板をヘッダー部に対して大きな絞り加工をすることになり、その境目に亀裂が生じ易い。そのため、従来の波形伝熱部を有するエレメントは、波の高さを比較的低いものにせざるを得なかった。その結果、波形伝熱部の伝熱面積が比較的小さいものとなり、熱交換性能の向上を余り期待できなかった。
前記対向する一対の金属板は、一枚の金属板をその側部で折返して重ね合わせ、その折返し縁(16)を前記フランジ状に形成し、
その波形伝熱部(4) の各波をその波の稜線方向両側へ連続して、一対のヘッダー部(3) の全幅に延在し、ヘッダー部(3) の各波はその稜線を直線状の直線波(14)にし、一対のヘッダ部 (3)間の波形伝熱部(4) の各波はその稜線を蛇行状に曲折した曲波(13)にし、
そのヘッダー部(3) は、各波がその進行方向の一方向へのみ断面S字状に倒して平坦に押し潰し、そこに金属板の板厚3枚分の同一方向の重合部(5) を一定ピッチで形成し、各重合部(5)間に板厚1枚分の非重合部を存在させると共に、重合部(5)の内面側と非重合部の内面側とを面一の平面に形成し、
そのヘッダー部(3)の高さを前記周縁のフランジより高く且つ、一対のヘッダ部(3) 間の波形伝熱部(4)の振幅の高さより低く形成し、そのヘッダー部(3) の一方の端縁と波形伝熱部(4)との境を傾斜面(19)に形成し、ヘッダー部(3) の他方の端縁にフランジ部(8)を形成し、
前記折り返されて対向する一対の前記金属板のフランジ部(8)どうしを、前記内面側の前記面一の平面で接触して、そのフランジ部(8)を一体に溶着固定したことを特徴とする熱交換器用エレメントの製造方法である。
そのヘッダー部(3) の波形面を前記傾斜方向へ押し倒して、押し潰し、互いに圧接された偏平な断面S字状の重合部(5) を形成させる工程と、
を有する熱交換器用エレメントの製造方法である。
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2により形成された熱交換器用エレメントである。
また、ヘッダー部3の重合部5はそこに延在する各波が進行方向の一方側へのみ断面S字状に倒されて平坦に押し潰され、その高さが周縁のフランジより高く、波形伝熱部より低く形成され、ヘッダ部3の端縁にフランジ部8を形成したものであるから、その重合部5の構造を単純化し、その縁のフランジ部8を溶着するとき漏れの生じ難いヘッダー部3を形成できる。
しかも、その縁のフランジ部8は、重合部5の内面側と非重合部の内面側とを面一の平面に形成し、折り返されて対向する一対の前記金属板のそのフランジ部8どうしを、その内面側の面一の平面で接触して、そのフランジ部8を一体に溶着固定したから、さらに漏れの生じ難いヘッダー部3を形成できる。
また、対向する一対の金属板は、一枚の金属板をその側部で折返して重ね合わせ、その折返し縁をフランジ状に形成したものであるから、部品点数が最小で済むと共に、接合部が少なく、信頼性の高い熱交換器用エレメントを製造できる。
さらに、ヘッダー部3の一方の端縁と波形伝熱部4との境が傾斜面19に形成されているため、ヘッダー部3と波形伝熱部4との境目を流体が円滑に流通できる。またヘッダー部(3) の各波の稜線が直線であるから、その波を押し潰し易く、製造の容易なエレメントとなると共に、ヘッダ部3間の波形伝熱部4の各波はその稜線を蛇行状に曲折した曲波13にしたので、伝熱面積が大きく、蛇行による攪拌により熱交換性能のよいエレメントを提供できる。
ヘッダー部(3) の波形の一方側の第1立ち上がり面(6) を傾斜面とし且つ、稜線を平坦面とすると共に、その稜線に対して他方側の第2立ち上がり面(7) を垂直に形成する工程と、
そのヘッダー部(3) の波形面を前記傾斜方向へ押し倒して、押し潰し、互いに圧接された偏平な断面S字状の重合部(5) を形成させる工程と、
その第1立ち上がり面6が押し倒されるように押し潰して、ヘッダー部3の重合部5を形成したものである。
この製造方法によれば、無理なくヘッダー部3に断面S字状の重合部5を形成することができる。
図1は本発明の熱交換器用エレメントの平面図であり、図2は図1のII部拡大斜視図であって一部を分解したもの、図3は図1の III− III矢視断面図である。また、図4は本エレメントの製造工程を示すものであり、(A)はその第1工程の平面図、(B)は同第1工程の斜視略図、(C)はその第2工程の斜視略図、(D)は(C)のD−D矢視略図である。
この熱交換器は図1及び図2に示す如く、一対の出入口9を除いて周縁が閉塞された一対の金属板1,金属板2からなり、その両側にヘッダー部3が位置し、それらの間に波形伝熱部4を有する。そして一対の金属板1,金属板2間に偏平な流路を形成したものである。この例では、一枚の金属板を折り返して郵便封筒状にし、一対の金属板1,金属板2を対向させ、その継目に接合部17を形成し、全体を偏平にすると共に、その両側のフランジ部8を溝形材11を介して接合し、対角位置に一対の偏平孔15を形成して、そこに出入口9を設けたものある。
次に、エレメントの両側に位置するヘッダー部3では、その直線波14は、夫々の波形がその波の進行方向の一方側へ断面S字状に倒されて平坦に押し潰され、そこに金属板の板厚3枚分の重合部5が断続的に形成されたものである。
即ち、先ず、図4(A)及び(B)の如く、金属板をその全幅に渡って波形に曲折する。その金属板の両側部においては、前述の如く、波の稜線12が直線状に形成された直線波14で、それらの中間においては稜線12がその平面方向に曲折する曲波13となる。夫々の高さ、即ち、振幅は同一であり、それらのピッチも同一である。曲波13と直線波14とは連続する。このような曲波13及び直線波14は、プレス機械により一体に形成することもできるが、順送りプレスによって一つずつ形成してもよい。その場合には、より振幅の大きな波を形成できる。波形伝熱部4およびヘッダー部3の各波の断面形状は矩形波であってもサインカーブ波であってもよい。
なお、図4の(A)は金属板の要部平面図であり、(B)はその斜視図である。
この例において、直線波14は図5(A)の如く、各波の一方側の第1立ち上がり面6が角θ傾斜し、他方側の第2立ち上がり面7が垂直に予め形成される。次いで、直線波14の振幅がなくなるように直線波14の上下両側から押し潰し、中心線上に図5(B)の如く押し潰した重合部5を形成する。第1立ち上がり面6のみが角θ傾斜していることにより、上下に押し潰すことで、簡単に図5(B)の如く押し潰し重合部5を形成できる。
また、重合部5の側端には傾斜面18を介してフランジ部8が図4(C)の如く形成される。そして上下一対の金属板1,2により、対向する重合部5間にヘッダー部3が形成されるものである。
なお、図1においてエレメントの上下両端(平面方向の両縁)は、図2の如く折り返されて折り返し縁16を形成するものである。その折り返し縁16には、波形は形成されていない。そして袋状の両端縁は、その平面の中央で図1の如く重ね合わされ、その重ね合わせ部が接合されて接合部17を構成する。
波形伝熱部4は、前述の如く、その平面方向に曲折する波が上下で互いに交差する。そしてエレメント内を流通する被加熱流体は、波形伝熱部4内を平面的に蛇行し、各波の交差部で攪拌されつつ移動する。そしてエレメントの外面側には高温の排ガス等が、各波の稜線方向に流通し、それと被加熱流体との間に熱交換が行われる。
なお、このようなエレメントは多数積層され、各エレメント間に前記の高温の排気ガス等が流通する。そして被加熱流体は図示しないマニホールドを介し、夫々のエレメントの出入口9に導かれる。
2 金属板
3 ヘッダー部
4 波形伝熱部
5 重合部
6 第1立ち上がり面
7 第2立ち上がり面
8 フランジ部
9 出入口
12 稜線
13 曲波
14 直線波
15 偏平孔
16 折り返し縁
17 接合部
18 傾斜面
19 傾斜面
Claims (3)
- 金属板のプレス成形体で、対向する一対の金属板の周縁をフランジ状に形成して、その周縁を互いに閉塞し、内部に熱交換媒体の流通する偏平流路を形成すると共に、その偏平流路の流路方向の両端部に一対のヘッダー部(3)を設け、そのヘッダー部(3)間に多数の並列された波形に曲折された波形伝熱部(4)を設けた熱交換器用エレメントの製造方法において、
前記対向する一対の金属板は、一枚の金属板をその側部で折返して重ね合わせ、その折返し縁(16)を前記フランジ状に形成し、
その波形伝熱部(4)の各波をその波の稜線方向両側へ連続して、一対のヘッダー部(3)の全幅に延在し、ヘッダー部(3)の各波はその稜線を直線状の直線波(14)にし、一対のヘッダ部(3)間の波形伝熱部(4)の各波はその稜線を蛇行状に曲折した曲波(13)にし、
そのヘッダー部(3)は、各波がその進行方向の一方向へのみ断面S字状に倒して平坦に押し潰し、そこに金属板の板厚3枚分の同一方向の重合部(5)を一定ピッチで形成し、各重合部(5)間に板厚1枚分の非重合部を存在させると共に、重合部(5)の内面側と非重合部の内面側とを面一の平面に形成し、
そのヘッダー部(3)の高さを前記周縁のフランジより高く且つ、一対のヘッダ部(3)間の波形伝熱部(4)の振幅の高さより低く形成し、そのヘッダー部(3)の一方の端縁と波形伝熱部(4)との境を傾斜面(19)に形成し、ヘッダー部(3)の他方の端縁にフランジ部(8)を形成し、前記折り返されて対向する一対の前記金属板のフランジ部(8)どうしを、前記内面側の前記面一の平面で接触して、そのフランジ部(8)を一体に溶着固定したことを特徴とする熱交換器用エレメントの製造方法。 - 請求項1に記載の熱交換器用エレメントの製造方法において、
前記ヘッダー部(3)の波形を略横断面矩形波状に形成すると共に、その一方側の第1立ち上がり面(6)を傾斜面とし且つ、稜線を平坦面とすると共に、その稜線に対して他方側の第2立ち上がり面(7)を垂直に形成する工程と、
そのヘッダー部(3)の波形面を前記傾斜方向へ押し倒して、押し潰し、互いに圧接された偏平な断面S字状の重合部(5)を形成させる工程と、
を有する熱交換器用エレメントの製造方法。 - 請求項1または請求項2により形成された熱交換器用エレメント。
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