JP4354352B2 - 乳飲料用安定剤及びその応用 - Google Patents

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Description

本発明は、UHT殺菌により製造する常温流通可能な乳飲料に関する。更には、常温流通可能な乳飲料を製造する際、UHT殺菌機にて殺菌した場合のプレートへの乳飲料の焦げ付きを抑制する方法に関するものである。
従来、ココアや抹茶などの不溶性粉末を乳飲料中に分散するために、セルロース複合体、微結晶セルロースなどのセルロースを使用することは知られており、また、これら乳飲料に乳化剤を使用することやUHT殺菌により製造できることは知られている(特許文献1,特許文献2)。
しかし、これらのUHT殺菌による製法は、140℃2秒間(特許文献1 実験例〔0011〕等参照)や、120℃10秒間(特許文献2 実施例〔0033〕等参照)など、チルド(冷蔵)流通のための殺菌条件であり、常温流通可能とするために殺菌強度を強くすると、UHT殺菌機のプレートへ乳飲料が焦げ付き、連続運転時間が制限され製造効率が悪化することが問題となっていた。
更には、密封容器入りコーヒー飲料にもセルロース複合体などを添加することが検討されている。例えば、コーヒー豆由来の可溶性固形分を多量に含む密封容器入りコーヒー飲料であって、結晶セルロースやカルボキシメチルセルロース(CMC)などの繊維素系粘質を添加して、コーヒー成分に由来する沈澱の発生を防止すること(特許文献3)、食品用乳化剤及びセルロース複合体を含有することを特徴とする乳成分入りコーヒー飲料(特許文献4)、コーヒー抽出液に、生クリーム又はバターと、乳化剤と、微結晶セルロースとを添加し、pHを5.0〜6.5に調整して加熱殺菌することを特徴とするコーヒーの製造法(特許文献5)などがある。しかし、これら飲料は、120〜125℃で20〜25分程度のレトルト殺菌により製造しており、UHT殺菌により製造されたものではなく、前記の乳飲料と同じ課題が生じていた。
特開平6−169737号公報 特開2000−312572号公報 特開平6−205641号公報 特開平6−335348号公報 特開平6−245703号公報
本発明は、上記の実情に鑑みなされたものであり、常温流通可能な乳飲料をUHT殺菌により製造する場合、UHT殺菌機のプレートに乳飲料が焦げ付くことなく製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、セルロースを含む乳飲料に、2種類以上の乳化剤を組み合わせて含むことで、常温流通可能な殺菌条件でUHT殺菌を行っても、UHT殺菌機のプレートへの焦げ付きを有意に抑制し、風味も良好な乳飲料を提供できることを見出した。
更に、2種類以上の乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ユッカ抽出物、サポニン、レシチン、ポリソルベート、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウムから選ばれる2種以上が好ましいことが判った。
更に、乳飲料中にココアや抹茶などの不溶性粉末を含有しても、前記の通りUHT殺菌機のプレートへの焦げ付きを有意に抑制し、不溶性粉末を乳飲料中に良好に分散できることを見いだした。
尚、本発明の常温流通可能な乳飲料には、下記の態様が含まれる。
項1.セルロース及び2種類以上の乳化剤を組み合わせて含むことを特徴とする、常温流通可能な殺菌条件でUHT殺菌を行うための乳飲料用安定剤。
項2.乳化剤が、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ユッカ抽出物、サポニン、レシチン、ポリソルベート、ステアロイル乳酸ナトリウム及びステアロイル乳酸カルシウムから選ばれる2種以上である、項1に記載の乳飲料用安定剤。
項3.項1又は2に記載の、常温流通可能な殺菌条件でUHT殺菌された乳飲料。
項4.更に、不溶性粉末を含有する項3に記載の乳飲料。
項5.セルロースを含む乳飲料において、2種類以上の乳化剤を組み合わせて含有することによる、常温流通可能な殺菌条件でUHT殺菌を行う場合のUHT殺菌機プレートへの焦げ付きを抑制する方法。
本発明により、常温流通可能な乳飲料の製造方法において、UHT殺菌により製造する場合の、UHT殺菌機プレートへの焦げ付きを有意に抑制できる。
本発明の乳飲料用安定剤は、セルロース及び2種類以上の乳化剤を組み合わせて含むことを特徴とする。
本発明におけるセルロースとは、木材パルプ、精製リンター、再生セルロース、穀物もしくは果実由来の食物繊維等のセルロース系素材、微生物由来のセルロースなどで、セルロース、結晶セルロース、微結晶セルロース、セルロース複合体、発酵セルロースとよばれるものも含み、食品、医薬品、化粧品をはじめ幅広い分野で使用されているものであれば良い。形状は液体、ペースト、粉末等何れの形状のものでもよい。具体的には、セルロースと親水性高分子とからなるセルロース複合体もしくは発酵セルロースが効果の上から好ましい。また、親水性高分子の異なるセルロース複合体同士の併用や水分散後の平均粒子径が異なるセルロース複合体同士の併用でもよい。
セルロースの添加量としては、乳飲料に対して、0.1〜0.6重量%、より好ましくは、0.3〜0.5重量%が望ましい。0.1重量%よりも少ないと充分な効果を得ることができず、0.6重量%より多くしても更なる効果が望めないためである。
また、本発明では2種類以上の乳化剤を使用することを特徴とする。本発明で使用する乳化剤は、乳飲料に一般的に用いられている乳化剤であれば良い。具体的には、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル)、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ユッカ抽出物、サポニン、レシチン、ポリソルベート、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム等を挙げることができ、これらの2種以上の乳化剤を本発明の乳化剤として使用することが出来る。
これらの乳化剤の中でも、その効果の点より、特に、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステルから選ばれる2種以上を使用するのが望ましく、更に好ましくは、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステルの3種を併用するのが好ましい。
本発明で使用する2種類以上の乳化剤の添加量としては、用いる乳化剤の種類により一概には規定することが出来ないが、乳飲料に対して、乳化剤の合計量として、0.001〜0.2重量%、好ましくは、0.01〜0.1重量%、更に好ましくは、0.02〜0.07重量%である。0.001重量%よりも少ないと充分な効果を得ることができず、0.2重量%より多くしても更なる効果が望めないためである。更に、本発明で使用する乳化剤は一剤化してもよいし、別々に添加しても良い。
本発明では常温流通可能とするためにUHT殺菌を行うが、本発明で行う殺菌条件について説明する。一般に、UHT(超高温;ultra high temperature)殺菌とは超高温殺菌のことであり、120℃以上、120〜150℃程度の高温温度で行う殺菌を指している。本発明では、このUHT殺菌で殺菌を行い、UHT殺菌機プレートを使用する。本発明で使用するUHT殺菌機プレートは、UHT殺菌機の熱交換部に使用されている波型あるいは半球凹凸をもつプレートであればよく、食品分野で使用されているものであれば良い。
また、UHT殺菌の殺菌方法として、一般に、間接加熱方法と直接加熱方法がある。間接加熱方法は、プレート式熱交換、チューブラー式熱交換、かき取り式熱交換などがあり、直接加熱方法には、製品のなかに加圧蒸気を吹き込む方式(injection type)と蒸気の充満した容器のなかに製品を噴射する方式(infusion type)がある。本発明では間接加熱方式で行うのが好ましく、UHT殺菌機プレートは間接加熱方法のプレート式熱交換に使用されるものを使用するのが好ましい。
更に、本発明では常温流通可能とするために、殺菌条件として、殺菌温度が140℃ならば30〜60秒間の殺菌を行うのが好ましい。
なお、本発明の乳飲料用安定剤には、前記に加えて、増粘多糖類、カゼインナトリウムから選ばれる1種以上の化合物を加えることが好ましい。
本発明で使用する増粘多糖類は、乳飲料に一般的に用いられている増粘多糖類であればよい。具体的には、カラギナン(イオタ、ラムダ、カッパ)、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、ジェランガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、水溶性大豆多糖類等を挙げることができ、これらから選ばれる1種又は2種以上の増粘多糖類を本発明の増粘多糖類として使用することが出来る。これらの増粘多糖類の中でも効果の点より、特に、イオタカラギナン又はジェランガムが望ましい。増粘多糖類の添加量としては、用いる増粘多糖類の種類により一概には規定することが出来ないが、一般的には、乳飲料に対して、0.001〜0.06重量%が望ましい。0.001重量%よりも少ないと充分な効果を得ることが出来ず、0.06重量%より多くしても乳飲料の調製における作業効率が悪くなるためである。
本発明で使用するカゼインナトリウムは、タンパク質系の水溶性高分子で、脱脂乳に酸を加えて沈殿して得られたカゼインを水酸化ナトリウム、もしくは炭酸水素ナトリウムと反応させて製造したものである。カゼインナトリウムの添加量としては、乳飲料に対して0.005〜0.4重量%が望ましい。0.005重量%よりも少ないと充分な効果を得ることができず、0.4重量%より多くしても更なる効果が望めないためである。
なお、本発明の乳飲料用安定剤は、セルロース、前記2種類以上の乳化剤、及び必要に応じて増粘多糖類、カゼインナトリウムを一剤化して乳飲料に添加することも可能である。その形状として、粉末状、フレーク状、粒状、ペースト状、液状等いずれの形態でも用いることが出来る。一剤化製剤の製造方法としては、従来公知の方法をとることができる。例えば、セルロース及び乳化剤とその他の増粘多糖類やカゼインナトリウムを粉体混合したり、セルロース及び乳化剤とその他の増粘多糖類、カゼインナトリウムを水に撹拌分散させたり、ホモゲナイズ分散させたりすることにより調製することができる。
本発明の乳飲料用安定剤は、その効果を妨げない範囲において、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、塩酸、塩化ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、フィチン酸等の有機酸、無機酸及び/又はその塩類、ショ糖、果糖、ぶどう糖、麦芽糖、デンプン糖化物、還元デンプン水飴、デキストリン、サイクロデキストリン、トレハロース等の糖類、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等の糖アルコール類、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、アセスルファムK、ソーマチン等の高甘味度甘味料類等を添加することができる。
更に、本発明でいう乳飲料とは、缶、瓶、ペットボトル、紙パック、ラミネートパック等の密封容器に充填されている乳飲料であれば良く、密封状態で流通、販売されるものである。また、常温で販売されるものであっても、ホットベンダーで販売されるものであっても、チルド流通されるものであっても良いが、常温流通可能とするための殺菌が施されたものである。
一般に、乳飲料とは、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令((昭和二十六年十二月二十七日)(厚生省令第五十二号);乳等省令)等により生乳、牛乳もしくは特別牛乳又はこれらを原料とした食品を加工し、または主要原料とした飲料と定められているが、本発明の乳飲料とは、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、濃縮乳、生クリーム、練乳等の乳成分が含有されている飲料であればよい。中でも、牛乳由来の乳成分を含有する乳入り飲料においては、UHTプレートへの焦げ付き抑制効果が高く、また風味も良好なため、特に望ましい。
本発明の乳飲料の具体例としては、ミルク入りココア、抹茶ミルク、カルシウム強化乳飲料や、ミルク入りコーヒー、ミルク入り茶類、ミルクセーキ、ミルクシェイク、酸乳飲料、イチゴミルク等が挙げられる。
更に、本発明では、不溶性粉末を含む乳飲料にも適用可能である。特に、ミルク入りココア、抹茶ミルク、カルシウム強化乳飲料等の不溶性粉末を含む乳飲料は、通常、不溶性粉末を分散させるためにセルロースを併用することが多いが、特にUHT殺菌機プレートへの焦げ付きが問題となることがある。本発明は、この当該プレートの焦げ付きを有意に抑制できるものである。
本発明で言う不溶性粉末とは、飲料に添加可能な、不溶性の粉末成分で有れば特に限定はないが、ココア、抹茶、カルシウム等の金属塩、きなこや酵母などを挙げることができる。
本発明の乳飲料は、セルロース及び2種類以上の乳化剤を組み合わせて含み、常温流通可能な殺菌条件でUHT殺菌を行うことを特徴とするが、セルロース及び2種類以上の乳化剤の乳飲料への含有方法は、従来公知の方法をとることができる。例えば、湯または水にセルロースと乳化剤又はセルロースと乳化剤及び増粘多糖類、カゼインナトリウムを粉体及び液状等の形態で投入し、撹拌分散した後に、糖液、牛乳または牛乳及び他の乳成分(全脂粉乳、脱脂粉乳、濃縮乳、生クリームを含む)を加え、これに別途抽出したコーヒーエキス、紅茶エキス、果汁成分や、不溶性粉末を添加する場合は、ココア粉末、抹茶、炭酸カルシウム、乳清カルシウム、卵殻カルシウム、貝カルシウム等の不溶性粉末を添加し、必要であればpH調整した後ホモゲナイズし、瓶、缶、紙パック、ラミネートパック等の密閉容器に充填した後、UHT殺菌機による殺菌処理を行う方法や、ホモゲナイズした後にUHT殺菌機による殺菌処理を行い、ペットボトル、瓶、紙パック、ラミネートパック等の密閉容器に充填する方法を挙げることができる。
本発明により、従来の乳飲料に掲げる問題点であった、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿を抑制すると共に、本発明の目的である、UHT殺菌機プレートへの焦げ付き抑制、香味劣化抑制された、本発明の乳飲料を調製することができる。また、セルロース、乳化剤、増粘多糖類、カゼインナトリウム等の添加方法は限定されず、セルロース、乳化剤、増粘多糖類、カゼインナトリウム等をバラバラに添加することもできるが、セルロースと乳化剤又は、セルロースと乳化剤及び、増粘多糖類、カゼインナトリウムから選ばれる1種以上の化合物を混合して一剤化してから添加することが、品質の安定なものを得ることが出来ることから特に望ましい。
本発明の乳飲料には、その効果を妨げない範囲において、乳飲料に一般的に使用される成分、天然香料、合成香料等の香料類、プロテアーゼ、セルラーゼ等の酵素、カラメル色素等の着色料、調味料、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトシウム、炭酸カリウム等のpH調整剤等を添加することが出来る。
本発明は、乳飲料のUHT殺菌機プレートへの焦げ付きを抑制する方法を提供するものである。当該方法は、前述するように乳飲料の製造工程に、セルロースと乳化剤又は、セルロースと乳化剤及び増粘多糖類、カゼインナトリウムから選ばれる化合物の1種以上を添加することにより実施することが出来る。当該方法の操作方法、条件、使用材料等については、前述の記載をそのまま援用することができる。例えば、湯にセルロースと乳化剤又は、セルロースと乳化剤、増粘多糖類又はカゼインナトリウムを撹拌分散し、これに糖液、牛乳又は他の乳成分(全脂粉乳、脱脂粉乳、濃縮乳、生クリーム含む)、必要に応じて、ココア粉末又は抹茶等の不溶性粉末を添加し、ホモゲナイズした後、UHT殺菌を行い、密閉容器に充填することにより、殺菌時のUHT殺菌機プレートへの焦げ付きを有意に抑制することができる。
以下、本発明をより詳細に説明するために実験例、実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
実験例1:セルロースと乳化剤を用いたミルク入りココアの調製
(1)乳飲料用安定剤の調製
表1に示す配合量に従いセルロース(セルロース複合体A:親水性高分子はカルボキシメチルセルロースナトリウムとキサンタンガム、セルロース複合体B:親水性高分子はキサンタンガム)及び各種乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル:HLB16、モノグリセリン脂肪酸エステル:HLB3.8、プロピレングリコール脂肪酸エステル:HLB3.9)又はイオタカラギナンもしくはカゼインナトリウムを粉体混合し、実施例1〜6の乳飲料用安定剤を作成した。また比較として、セルロース、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル)、イオタカラギナン、カゼインナトリウムのみ、又はセルロースと1種類の乳化剤を併用した組み合わせもしくは、セルロースと乳化剤を併用しない組み合わせの比較例1〜11を作成した。
Figure 0004354352
(2)ミルク入りココアの調製
得られた、実施例1〜6の乳飲料用安定剤及び比較例1〜11とをそれぞれ、下記処方の添加量に従い、砂糖と粉体混合し、この混合物をイオン交換水に加え、80℃10分間加熱溶解後、室温まで冷却し、牛乳、食塩、ココア粉末を添加し、水にて全量補正後、70℃まで加温し、1段目9.8×106Pa、2段目4.9×106Paの圧力でホモゲナイズ処理した。ホモゲナイズ後、UHT殺菌(140℃60秒)し、ペットボトルに充填、密閉し実施例1〜6及び比較例1〜11を含むミルク入りココアを調製した。
<処方>
牛乳 23.0(重量%)
砂糖 6.2
ココア粉末 0.7
食塩 0.05
実施例1〜6、比較例1〜11 表1記載
イオン交換水にて全量 100とする
得られた密封容器入りミルク入りココアを室温と60℃で4週間保存後、2℃で1晩保存後に、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿について観察し、また、UHT殺菌時のプレートへの焦げ付きを観察した。結果を表2に示す。
Figure 0004354352
表2中の符号の説明
++++:極めて多い、+++:多い、++:やや多い、+:少ない、±:極めて少ない、−:ない
表2に示すように、実施例1〜6の乳飲料用安定剤を加えて調製したミルク入りココアにおいては、比較例1〜11に比して、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿等の飲料の状態が良好で且つUHT殺菌機プレートへの焦げ付き抑制効果のいずれに関しても有意な効果がみられた。
実験例2:セルロースと乳化剤の含量の検討
(1)乳飲料用安定剤の調製
表3に示す配合量に従いセルロース(セルロース複合体A:親水性高分子はカルボキシメチルセルロースナトリウムとキサンタンガム)と乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル:HLB16)を粉体混合し、実施例7〜10の乳飲料用安定剤を調製した。また、比較として比較例12〜18の乳飲料用安定剤を調製した。
Figure 0004354352
(2)ミルク入りココアの調製
得られた、実施例7〜10の乳飲料用安定剤及び比較例12〜18とをそれぞれ、下記処方の添加量に従い、砂糖と粉体混合し、この混合物をイオン交換水に加え、80℃10分間加熱溶解後、室温まで冷却し、牛乳、食塩、ココア粉末を添加し、水にて全量補正後、70℃まで加温し、1段目9.8×106Pa、2段目4.9×106Paの圧力でホモゲナイズ処理した。ホモゲナイズ後、UHT殺菌(140℃60秒)し、ペットボトルに充填、密閉し、実施例7〜10及び比較例12〜18のミルク入りココアを調製した。
<処方>
牛乳 23.0(重量%)
砂糖 6.2
ココア粉末 0.7
食塩 0.05
実施例7〜10、比較例1〜13 表4記載
イオン交換水にて全量 100とする
得られた密封容器入りミルク入りココアを室温と60℃で4週間保存後、2℃で1晩保存後に、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿について観察した。また、製造時UHT殺菌時のプレートへの焦げ付きを観察した。その結果を表4に記す。
Figure 0004354352
表4中の符号の説明
++++:極めて多い、+++:多い、++:やや多い、+:少ない、±:極めて少ない、−:ない
表6に示すように、実施例7〜10の乳飲料用安定剤を加えて調製したミルク入りココアにおいては、比較例12〜18に比して、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿、UHT殺菌機プレートへの焦げ付き抑制効果のいずれに関しても有意な効果がみられた。
実験例3:抹茶ミルク
(1)乳飲料用安定剤の調製
表5に示す配合量に従いセルロース(セルロース複合体A:親水性高分子はカルボキシメチルセルロースナトリウムとキサンタンガム)と乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル:HLB16、モノグリセリン脂肪酸エステル:HLB3.8、プロピレングリコール脂肪酸エステル:HLB3.9)、イオタカラギナンを粉体混合し、実施例11の乳飲料用安定剤を調製した。また、比較として、比較例19を調製した。
Figure 0004354352
<処方>
牛乳 25.0(重量%)
砂糖 6.0
抹茶 0.5
本発明の安定剤 表5に記載
イオン交換水にて全量 100とする
(2)抹茶ミルクの調製
得られた実施例11の乳飲料用安定剤及び比較例19とをそれぞれ、上記処方の添加量に従い、砂糖と粉体混合し、この粉体混合物をイオン交換水に加え、80℃10分間加熱撹拌後、室温まで冷却し、牛乳、抹茶を添加し、水にて全量補正後、70℃まで加温し、1段目9.8×106Pa、2段目4.9×106Paの圧力でホモゲナイズ処理した。ホモゲナイズ後、UHT殺菌(140℃60秒)し、ペットボトルに充填、密閉し、実施例11及び比較例19を含む抹茶ミルクを調製した。得られた抹茶ミルクのUHTプレートへの焦げ付きと、60℃にて4週間保存後のミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿について観察した結果、UHTプレートへの焦げ付き、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿において実施例11は比較例19と比較して良好で、有意差が認められた。
実験例4:ミルク入りコーヒー
(1)乳飲料用安定剤の調製
表6に示す配合量に従いセルロース(セルロース複合体A:親水性高分子はカルボキシメチルセルロースナトリウムとキサンタンガム)と乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル:HLB16、モノグリセリン脂肪酸エステル:HLB3.8、プロピレングリコール脂肪酸エステル:HLB3.9)、イオタカラギナンを粉体混合し、実施例12の乳飲料用安定剤を調製した。また、比較として、比較例20を調製した。
Figure 0004354352
<処方>
牛乳 15.0(重量%)
コーヒー生豆 6.5
砂糖 5.0
10%(w/v)重曹水溶液にてpH6.3に調整
本発明の安定剤 表6に記載
イオン交換水にて全量 100とする
(2)ミルク入りコーヒーの調製
得られた実施例12の乳飲料用安定剤及び比較例20とをそれぞれ、上記処方の添加量に従い、砂糖と粉体混合し、この粉体混合物をイオン交換水に加え、80℃10分間加熱撹拌後、室温まで冷却し、牛乳、重曹溶液を添加した。コーヒー生豆を粉砕し、豆量の7倍量熱湯を加え、40分間浸漬後ろ過し、20℃まで冷却した抽出液を更に添加し、水にて全量補正後、70℃まで加温し、1段目14.7×106Pa、2段目4.9×106Paの圧力でホモゲナイズ処理した。ホモゲナイズ後、UHT殺菌(143℃30 秒)し、ペットボトルに充填、密閉し、実施例12及び比較例20を含むミルク入りコーヒーを調製した。得られたミルク入りコーヒーのUHTプレートへの焦げ付きと、60℃にて4週間保存後のミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿について観察した結果、UHTプレートへの焦げ付き、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿において実施例12は比較例20と比較して良好で、有意差が認められた。
実験例5:ミルク入り茶飲料
(1)乳飲料用安定剤の調製
表7に示す配合量に従いセルロース(セルロース複合体A:親水性高分子はカルボキシメチルセルロースナトリウムとキサンタンガム)と乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル:HLB16、モノグリセリン脂肪酸エステル:HLB3.8、プロピレングリコール脂肪酸エステル:HLB3.9)、イオタカラギナンを粉体混合し、実施例13の乳飲料用安定剤を調製した。また、比較として、比較例21を調製した。
Figure 0004354352
<処方>
牛乳 20.0(重量%)
紅茶葉(セイロン) 0.8
砂糖 5.5
10%(w/v)重曹水溶液にてpH6.8に調整
本発明の安定剤 表6に記載
イオン交換水にて全量 100とする
(2)ミルク入り茶飲料の調製
得られた実施例13の乳飲料用安定剤及び比較例21とをそれぞれ、上記処方の添加量に従い、砂糖と粉体混合し、この粉体混合物をイオン交換水に加え、80℃10分間加熱撹拌後、室温まで冷却し、牛乳、重曹溶液を添加した。茶葉に茶葉量の35倍量の90℃〜95℃のお湯を加え、90℃〜95℃で10分間攪拌浸漬した後ろ紙ろ過し、室温まで冷却した抽出液を更に添加し、イオン交換水にて全量補正後、70℃まで加温し、1段目9.8×106 Pa 、2段目4.9×106Paの圧力でホモゲナイズ処理した。ホモゲナイズ後容器に充填し、UHT殺菌(143℃30 秒)を行いミルク入り茶飲料を調製した。得られたミルク入り茶飲料のUHTプレートへの焦げ付きと、60℃にて4週間保存後のミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿について観察した結果、UHTプレートへの焦げ付き、ミルク浮き、白色浮遊物、オイルオフ、沈殿において実施例13は比較例21と比較して良好で、有意差が認められた。

Claims (2)

  1. セルロースを含む乳飲料において、2種類以上の乳化剤を組み合わせて含有することによる、常温流通可能な殺菌条件でUHT殺菌を行う場合のUHT殺菌機プレートへの焦げ付きを抑制する方法。
  2. 乳化剤が、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ユッカ抽出物、サポニン、レシチン、ポリソルベート、ステアロイル乳酸ナトリウム及びステアロイル乳酸カルシウムから選ばれる2種以上である、請求項1に記載のUHT殺菌機プレートへの焦げ付きを抑制する方法。
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