JP4350291B2 - プロピレン系ランダム共重合体の製造方法 - Google Patents

プロピレン系ランダム共重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプロピレン系ランダム共重合体の製造方法に関し、更に詳しくは、低融点のプロピレン系ランダム共重合体を長期間安定して製造可能なプロピレン系ランダム共重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタロセン系触媒を用いたプロピレン系ランダム共重合体の製造に関しては、これまでに各種の方法が提案されてきた( 特開昭62−119212、特開昭62−119215、特開平2−173015、特開平2−247207等)。
【0003】
しかしながら、低融点のプロピレン系ランダム共重合体の製造を行う場合、重合槽の壁面に共重合体が付着してファウリングが発生するため安定運転が難しいという問題がある。
【0004】
チーグラーナッタ触媒を使用してプロピレン・α−オレフィン共重合体を製造することは従来からも行なわれてきており、この場合、重合開始時、あるいは重合停止時に共重合体が重合槽壁面に付着し易く、ファウリングが発生し易いため、実際のプラント運転では、重合開始時には高融点のプロピレン単独重合体の重合を行い、その後ランダム重合に切り替えて生産を行ない、プラントを停止する際には、再び単独重合体の重合に戻してから運転を終了させている。
【0005】
従来のチーグラーナッタ触媒を使用したプロピレン・α−オレフィン共重合体の製造においては、比較的融点の高い共重合体を対象としているため、この方式によってファウリングを防止することが可能である。しかし、この方式は、規定外の物性の重合体の生成が避けられず、いわゆるオフ品が発生するため工業的にコスト高の原因となる問題をもっている。
【0006】
一方、メタロセン系触媒を用いたプロピレン系ランダム共重合体の製造においては、重合活性が高いことを利用して高生産性が追求されるようになり、また、低結晶、低分子量成分の生成が少ないことから、重合体の低温ヒートシール性の向上が追求され、益々低融点のプロピレン系ランダム共重合体が製造されるようになっている。このため、従来の方法では共重合体の重合槽壁面付着を防止することが難しく、ファウリングは益々重要な問題となっている。
【0007】
重合開始時にファウリングが発生し易い理由として次のことが考えられる。すなわち、重合に供するプロピレンは、攪拌式の重合槽においては、通常、重合によって発生する反応熱を除熱するため、重合槽の気相部からその一部が抜き出されて、リフラックスコンデンサー(以下リフコンと略称する)を通して凝縮され、再び反応槽に循環される機構が組み込まれている。リフコンを経由した原料プロピレンは、反応槽へのフィード温度が反応槽内の温度よりも低いために、重合反応の立ち上がりから定常状態に入るまでの間においては、重合によって発生する反応熱のみでは重合温度を所定温度に保持できず、一般に、重合槽にジャケットを設けてジャケットによる加熱が行なわれている。重合が定常状態に入った後はジャケットによる熱の補給を停止し、通常、逆に重合によって発生する反応熱を除熱するためにジャケットに冷却水を通す操作が行なわれる。
【0008】
また、リフコンを装備しない管状反応器等においても、重合の開始時には所定反応温度とするためには、加温を必要とする。
【0009】
このような理由から、重合開始時にはジャケット温度を高くして重合槽を加温するため、反応壁面の温度は、反応槽内の液相の温度よりも高温となる。一方、重合によって得られるランダム共重合体は、メタロセン触媒においても組成分布を有しており、例えばDSCの融点が135℃のものであっても、融点が100℃以下の低結晶かつ低分子量の成分も極少量含まれている。
【0010】
そのため、壁面付近に存在する粒子が高温の壁面に触れた場合には、低融点成分が溶融してポリマー粒子と重合槽壁面とを接着させる結果となる。また、一度ポリマーの付着が発生すると熱の伝導が悪くなり局部的に高温部が発生してポリマー粒子の付着が進行することとなる。したがって、重合運転の開始時におけるジャケットの温度制御が極めて重要となる。
【0011】
さらに、重合運転の停止時には、一般に、まず触媒の供給を停止して、いわゆる残重合を行なう。残重合においては、触媒の活性が低下してモノマーの消費が低下するため重合反応熱が減少してリフコンを装備するしないにかかわらず温度が低下する。その結果、重合温度を維持するためにジャケットによって加温が行なわれる。したがって、重合運転の停止時においても、開始時と同様の理由からファウリングが発生し易く、ジャケットの温度の制御が重要となる。
【0012】
従来のメタロセン系触媒を用いたプロピレン系ランダム共重合体の製造技術においては、かかる運転開始や停止時の問題点およびその解決方法についてはまだ充分とはいえないのが現状である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低融点のプロピレン系ランダム共重合体を製造する場合においても、重合槽の壁面に重合体が付着してファウリングが発生するおそれがなく、長期に安定してプロピレン系ランダム共重合体を製造することができるプロピレン系ランダム共重合体の製造方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、種々検討を行った結果、特定の運転条件で操作を行なうことによって、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0015】
すなわち、本発明は、温度制御用ジャケットを有する重合槽を用いてメタロセン系触媒によりプロピレンとα−オレフィンを共重合してプロピレン系ランダム共重合体を製造する方法において、重合開始時にはジャケットを高温として重合槽を加温し、定常状態ではジャケット温度を低下し、重合終了時には再びジャケット温度を高温として加温し、かつ、重合の開始及び終了の際の加温時におけるジャケット内熱媒体温度Tj(℃)と得られる共重合体の融点Tm(℃)を次の式(1a)および(2)を満たすように制御することを特徴とするプロピレン系ランダム共重合体の製造方法を提供するものである。
【0016】
(1a)Tm≦140
(2)Tj≦1.47×Tm−100
また、本発明は、重合が液状プロピレン中で行われる上記のプロピレン系ランダム共重合体の製造方法、及び、次式(1b)および(2)を満たすことを特徴とする上記のプロピレン系ランダム共重合体の製造方法を提供するものである。
【0017】
(1b)Tm≦135
(2)Tj≦1.47×Tm−100
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の重合方法において製造されるプロピレン系ランダム共重合体は、主成分であるプロピレンと、コモノマーである、エチレンおよび炭素数4以上のオレフィンからなる群の少なくとも一種とが共重合された、示差走査型熱量計(DSC)による融点(Tm)が、140℃以下、好ましくは115〜140℃、さらに好ましくは115〜135℃の低融点プロピレン系ランダム共重合体である。
【0019】
炭素数4以上のオレフィンの例としては、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
【0020】
本発明のプロピレン系ランダム共重合体の製造は、液状プロピレン中における重合、いわゆる塊状重合法によって実施することができ、その重合形態としては、一段階もしくは多段階で行なわれる。
【0021】
図1は、塊状重合の一般的なフロー図を示したものである。重合槽1はその周囲にジャケット2が装着され、ジャケット2に供給される熱媒体(本発明においては、加温、除熱に拘わらず、温度を制御する流体を熱媒体と称す)によって重合槽1を加温あるいは除熱が行われる構造とされている。図においては、重合槽1は撹拌翼3a、3bを有しモーター4で機械的に撹拌されるように構成されているが、無撹拌方式、例えば管状重合槽であってもよい。
【0022】
また、重合槽1には、モノマー供給管5、コモノマー供給管6、触媒供給管7等が必要に応じて連結され、また、重合槽1の気相部からその一部が抜き出されて熱交換機10で冷却され凝縮された後、貯槽11を介して重合槽1に還流するリフコン機構12が装着されている。
【0023】
重合においては、重合槽1に重合に必要な成分がそれぞれ供給される。供給の方式は任意であるが、図においては、触媒をモノマーに随伴させて供給する方式を示しており、モノマー供給管5より液状プロピレンを、コモノマー供給管6よりエチレンあるいはα−オレフィン、水素、及び、必要により助触媒その他添加剤等を、触媒供給管7からメタロセン触媒が供給される。これらの供給は回分式であっても連続的であってもよい。
【0024】
重合開始に際しては、ジャケット2の熱媒体温度を上昇して、重合槽1を加温する。重合槽1の温度上昇に伴って重合が進行するが、重合反応の立ち上がりから定常状態に入るまでの間においては、重合速度が低く、重合によって発生する反応熱のみでは重合温度を所定温度に保持できないため、ジャケット2による加温が行なわれる。
【0025】
本発明においては、重合を開始して定常状態に入るまでの間、ジャケット2によって加温を行なうことを特徴とするが、この場合のジャケット内熱媒体温度Tj(℃)と得られる共重合体の融点Tm(℃)が次の式(2)を満足するように制御される。
【0026】
(2)Tj≦1.47×Tm−100
本発明でいうジャケット内熱媒体温度Tj(℃)とは、ジャケット2内を流通する熱媒体の温度であって、通常、ジャケット2の出口温度でもって示される。
【0027】
重合が定常状態に入った後はジャケットによる熱の補給を停止し、必要に応じて重合によって発生する反応熱を除熱して重合温度を一定に保持するため、ジャケットに冷却水を通す操作が行なわれる。
【0028】
さらに、重合運転の停止時には、触媒の供給を停止して、いわゆる残重合が行なわれる。残重合においては、触媒の活性が低下して重合速度が低下するため重合反応熱が減少して温度が低下する。従って、ジャケット2の熱媒体温度Tj(℃)を上げて重合槽1の加温が行なわれる。この場合においても、ジャケット内熱媒体温度Tj(℃)は上記の式(2)を満足するように制御される。
【0029】
本発明で使用されるメタロセン系触媒は公知のものが使用できるが、好ましくは、以下に述べる成分[A]、成分[B]および必要に応じて使用する[C]を接触させて得られる触媒が使用される。
【0030】
成分[A]メタロセン錯体:共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期律表4〜6族の遷移金属化合物、
成分[B]助触媒:メタロセン錯体[A]を活性化することのできる化合物、
成分[C]有機アルミニウム化合物、
メタロセン系触媒は、予備重合処理がされていてもされていなくてもよい。また、上記オレフィン重合用触媒のなかでも、担体に担持されたメタロセン系触媒を使用することが好ましい。担体の具体例は後述する。
成分[B]の具体例としては、次の化合物を用いることができる。
【0031】
(b−1)アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸、
(b−3)固体酸微粒子、
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩微粒子、
担持メタロセン触媒における成分[B]の特に好ましい例としては、助触媒が担体の機能を兼ねたイオン交換性層状ケイ酸塩微粒子が挙げられる。
【0032】
上記の成分[A]としては、具体的には、次の一般式(1)で表される化合物を使用することができる。
【0033】
Q(C54ュa1 a)(C54ュb2 b)MXY (1)
上記の一般式[1]において、Qは二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を表す。Mは周期律表第4〜6族遷移金属を表し、中でもチタン、ジルコニウム、ハフニウムが好ましい。
【0034】
XおよびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基を示す。
【0035】
1およびR2はそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基またはホウ素含有炭化水素基を示す。また、隣接する2個のR1または2個のR2がそれぞれ結合してC4〜C10環を形成していてもよい。aおよびbは、0≦a≦4、0≦b≦4を満足する整数である。
【0036】
2個の共役五員環配位子の間を架橋する結合性基Qは、例としてアルキレン基、アルキリデン基、シリレン基、ゲルミレン基等が挙げられる。これらは水素原子がアルキル基、ハロゲン等で置換されたものであってもよい。
【0037】
メタロセン錯体として、具体的には次の化合物を挙げることができる。
(1)メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジ エニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロ ペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(4)エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル )ジルコニウムジクロリド、
(5)メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(6)エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(8)エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(9)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペン タジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(10)ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(11)ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル) ジルコニウムジクロリド、
(12)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコ ニウムジクロリド、
(13)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレ ニル)ジルコニウムジクロリド、
(14)メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ( インデニル)]ジルコニウムジクロリド、
(15)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニ ル)]ジルコニウムジクロリド、
(16)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジ ルコニウムジクロリド、
(17)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニ ル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(18)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニ ル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(19)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−ア ズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(20)ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェ ニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(21)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニ ル))]ジルコニウムジクロリド、
(22)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニ ル))]ジルコニウムジクロリド、
(23)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−ア ズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(24)ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(25)ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジル コニウムジクロリド、
また、チタニウム化合物、ハフニウム化合物などの他の第4、5、6族遷移金属化合物についても上記と同様の化合物が挙げられる。本発明の触媒成分および触媒については、これらの化合物を混合してもよい。
【0038】
成分[B]としては、次の化合物を使用することができる。
【0039】
(b−1)アルミニウムオキシ化合物:
アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には次の一般式(2)、(3)又は(4)で表される化合物が挙げられる。
【0040】
【化1】
Figure 0004350291
【0041】
上記の各一般式中、R3は、水素原子または炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数のR3はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R4は炭素数1〜10の炭化水素残基またはハロゲン化炭化水素基を示す。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
【0042】
一般式(2)及び(3)で表される化合物は、アルモキサンとも呼ばれる化合物であって、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる。具体的には、(a)一種類のトリアルキルアルミニウムと水から得られる、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、プロピルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、(b)二種類のトリアルキルアルミニウムと水から得られる、メチルエチルアルモキサン、メチルブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン等が例示される。これらの中では、メチルアルモキサン又はメチルイソブチルアルモキサンが好ましい。これらのアルモキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。
【0043】
一般式(4)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一般式(5)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。
【0044】
4B(OH)2 (5)
一般式(5)中、R4は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基またはハロゲン化炭化水素基を示す。具体的には以下の様な反応生成物が例示できる。
(a)トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物、
(b)トリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応物、
(c)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物、
(d)トリメチルアルミニウムとエチルボロン酸の2:1反応物、
(e)トリエチルアルミニウムとブチルボロン酸の2:1反応物、
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸:
まず、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物について説明する。なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。従って、上記のルイス酸およびイオン性化合物の両者に属する化合物は、何れか一方に属するものとする。
【0045】
成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
【0046】
〔K〕e+〔Z〕e- (6)
一般式(6)中、Kはカチオン成分であって、例えば、カルボニウムカチオン、トロピリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスフォニウムカチオン等が挙げられる。また、それ自身が還元され易い金属の陽イオンや有機金属の陽イオン等も挙げられる。
【0047】
上記のカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウム、ジフェニルカルボニウム、シクロヘプタトリエニウム、インデニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、ジプロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリメチルホスホニウム、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリス(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリフェニルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、ピリリウム、銀イオン、金イオン、白金イオン、銅イオン、パラジウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げられる。
【0048】
上記の一般式(6)中、Zは、アニオン成分であり、成分(A)が変換されたカチオン種に対して対アニオンとなる成分(一般には非配位の成分)である。Zとしては、例えば、有機ホウ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオン、有機リン化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられ、具体的には次のアニオンが挙げられる。
(a)テトラフェニルホウ素、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ素、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ホウ素、テトラキス{3,5−ジ(t−ブチル)フェニル}ホウ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等、
(b)テトラフェニルアルミニウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アルミニウム、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}アルミニウム、テトラキス(3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)アルミニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム等、
(c)テトラフェニルガリウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ガリウム、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ガリウム、テトラキス{3,5−ジ(t−ブチル)フェニル}ガリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム等、
(d)テトラフェニルリン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)リン等、(e)テトラフェニルヒ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ヒ素等、
(f)テトラフェニルアンチモン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アンチモン等、
(g)デカボレート、ウンデカボレート、カルバドデカボレート、デカクロロデカボレート等、
また、ルイス酸、特に成分[A]をカチオンに変換可能なルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、金属ハロゲン化合物などが例示され、その具体的例としては次の化合物が挙げられる。
(a)トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物、
(b)塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化臭化マグネシウム、塩化ヨウ化マグネシウム、臭化ヨウ化マグネシウム、塩化マグネシウムハイドライド、塩化マグネシウムハイドロオキシド、臭化マグネシウムハイドロオキシド、塩化マグネシウムアルコキシド、臭化マグネシウムアルコキシド等の金属ハロゲン化合物、
(b−3)固体酸微粒子
固体酸微粒子としては、アルミナ、シリカ−アルミナ等の固体酸の微粒子が挙げられる。
(微粒子状担体)
前記の成分[A]、成分(b−1)および成分(b−2)は微粒子状担体に担持させることが好ましい。微粒子状担体としては、その元素組成、化合物組成については特に限定されない。例えば、無機または有機の化合物から成る微粒子状担体として、以下の化合物が挙げられる。
【0049】
例えば、無機担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、各種ゼオライト、マグネシア等の典型金属酸化物、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の典型金属ハロゲン化物、酸化銅、酸化亜鉛、酸化鉄、塩化鉄等の遷移金属化合物、活性炭、珪藻土、後述の珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物等が挙げられる。あるいは、これらの混合物であってもよい。
【0050】
有機担体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜14のα−オレフィンの重合体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化水素の重合体などから成る多孔質ポリマーの微粒子担体が挙げられる。あるいはこれらの混合物であってもよい。
【0051】
これらの微粒子担体は、通常、0.1μm〜5mm、好ましくは1μm〜1mm、更に好ましくは5μm〜200μmの平均粒径を有する。
【0052】
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩
層状珪酸塩とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる珪酸塩化合物を言う。本発明では、層状珪酸塩は、イオン交換性であるものが使用される。ここでイオン交換性とは、層状珪酸塩の層間陽イオンが交換可能なことを意味する。また「層状」というのは層構造を有することを意味する。
【0053】
大部分のイオン交換性層状珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら、イオン交換性層状珪酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。イオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、例えば、白水晴雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載される公知の層状珪酸塩であって、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、テニオライト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
【0054】
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
【0055】
スメクタイト族の代表的なものとしては、一般にはモンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ノントライト、ヘクトライト、ソーコナイト等である。「ベンクレイSL」(水澤化学工業社製)、「クニピア」、「スメクトン」(いずれもクニミネ工業社製)、「モンモリロナイトK10」(アルドリッチ社製、ジュートヘミー社製)、「K−Catalystsシリーズ」(ジュートヘミー社製)等の市販品を利用することもできる。
【0056】
雲母族の代表的なものとしては、白雲母、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、レピドライト等がある。市販品の「合成雲母ソマシフ」(コープケミカル社製)、「フッ素金雲母」、「フッ素四ケイ素雲母」、「テニオライト」(いずれもトピー工業社製)等の市販品を利用することもできる。
【0057】
これらのイオン交換性層状珪酸塩は化学処理を施したものであることが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理とイオン交換性層状珪酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処理、(ハ)塩類処理、(ニ)有機物処理等が挙げられる。これらの処理は、表面の不純物を取り除く、層間の陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させ、その結果、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
【0058】
化学処理に用いられる(イ)酸としては、合目的的な無機酸あるいは有機酸、好ましくは例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等があげられ、(ロ)アルカリとしては、NaOH、KOH、NH3等があげられる。(ハ)塩類としては、2族から14族原子からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子または無機酸もしくは有機酸由来の陰イオンからなる群より選ばれた少なくとも1種の陰イオン、とからなる化合物が好ましい。(ニ)有機物としては、アルコール(炭素数1〜4の脂肪族アルコール、好ましくは例えばメタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、炭素数6〜8の芳香族アルコール、好ましくは例えばフェノール)、高級炭化水素(炭素数5〜10、好ましくは5〜8、のもの、好ましくは例えばヘキサン、ヘプタン等)があげられる。また、ホルムアミド、ヒドラジン、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアニリン等が好ましく挙げられる。
【0059】
塩類及び酸は、2種以上であってもよい。塩類処理と酸処理を組み合わせる場合においては、塩類処理を行った後、酸処理を行う方法、酸処理を行った後、塩類処理を行う方法、及び塩類処理と酸処理を同時に行う方法がある。
【0060】
塩類及び酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類及び酸は、トルエン、n−ヘプタン、エタノール等の有機溶媒中、または塩類、酸が処理温度において液体状であれば、無溶媒で用いることもできるが、好ましくは水溶液として用いられる。
【0061】
通常、イオン交換性層状珪酸塩(成分b−4)は加熱処理によりこれらの吸着水及び/又は層間水を除去したものが用いられることが望ましい。該層状珪酸塩の吸着水および層間水の加熱処理方法は特に制限されないが、加熱脱水、気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水および有機溶媒との共沸脱水等の方法が用いられる。
【0062】
具体的な乾燥方法としては、密閉容器に充填し減圧加熱脱水する方法、あるいは、一般的に工業的に用いられる回分式あるいは連続式のいわゆるロータリー・キルンを使用して加熱下、乾燥窒素等を流通させて乾燥する方法等を挙げることができる。
【0063】
加熱の際の温度は、層間水が残存しないように、50℃以上、好ましくは100℃以上、特に好ましくは150℃以上であるが、構造破壊を生じるような高温条件(例えば800℃以上)は好ましくない。好ましくは400℃未満、更に好ましくは300℃未満である。
【0064】
加熱時間は、乾燥しようとするイオン交換性層状珪酸塩の量、加熱前の水分含量、乾燥機の脱水能力等によっても異なるが、通常、0.5分以上、好ましくは1分以上、特に好ましくは3分以上である。その際、除去した後の成分(b−4)の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下であることが必要である。
【0065】
工業的に好ましい乾燥の実施形態としては、温度50〜150℃の間で水分含量5%程度以下まで予備的に乾燥を行う予備乾燥工程、次に、予備乾燥されたイオン交換性層状珪酸塩を、窒素等の不活性ガス流通下、あるいは減圧で加熱処理を行って、所定の水分含有率まで乾燥する本乾燥工程を経るというものである。
【0066】
予備乾燥工程で、イオン交換性層状珪酸塩の凝集塊が生成した場合は、所定の粒径までほぐして粒子状とした後、この粒子状イオン交換性層状珪酸塩を本乾燥工程に処するのが好ましい。
【0067】
本発明のイオン交換性層状珪酸塩(成分b−4)は、化学処理を行う場合にはその処理工程も含めて、これら全ての工程の前、間、後のいずれの時点においても、粉砕、造粒、分粒、分別等によって粒子性状を制御することができる。その方法は合目的的な任意のものでありうる。特に造粒法について示せば、例えば噴霧造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、ブリケッティング法、コンパクティング法、押出造粒法、流動層造粒法、乳化造粒法および液中造粒法等が挙げられる。特に好ましい造粒法は、上記の内、噴霧造粒法、転動造粒法および圧縮造粒法である。イオン交換性層状珪酸塩(成分b−4)は、担体の機能をも兼ねさせることができることは前述の通りである。
【0068】
本発明のα−オレフィン重合用触媒は、微粒子担体以外の任意成分として、例えば、H2O、メタノール、エタノール、ブタノール等の活性水素含有化合物、エーテル、エステル、アミン等の電子供与性化合物、ホウ酸フェニル、ジメチルメトキシアルミニウム、亜リン酸フェニル、テトラエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシ含有化合物を含むことができる。
【0069】
成分[C]は有機アルミニウム化合物である。本発明で成分[C]として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式(AlR5 p3ュpqで示される化合物が適当である。この式中、R5は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。pは1〜3までの、qは1〜2までの整数である。R5としてはアルキル基が好ましく、またXは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が好ましい。これらのうち、好ましくは、p=3、q=1のトリアルキルアルミニウムおよびジアルキルアルミニウムヒドリドである。
【0070】
具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリ低級アルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド等のハロゲン含有アルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド等のアルキルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムブトキシド等のアルコキシ含有アルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムフェノキシド等のアリールオキシ含有アルキルアルミニウム等が挙げられる。
【0071】
本発明では、この式で表される化合物を単独で、複数種混合してあるいは併用して使用することができることは言うまでもない。また、この使用は触媒調製時だけでなく、予備重合あるいは重合時にも可能である。特に好ましくは、R5が炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
【0072】
本発明に使用されるメタロセン系触媒は、本重合が行われる前に予備重合処理することが望ましい。予備重合に供されるモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン、1,3ブタジエン等のジエン化合物、スチレン、ジビニルベンゼン等のビニル化合物を用いることができる。
【0073】
【実施例】
次の実施例は、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれら実施例によって制約を受けるものではない。
(ポリマー凝集量の測定方法)
ポリマー100gをふるいにかけ、1700μm(JIS−Z−8801)以上のポリマーの重さを量る。
(ポリマー嵩密度の測定方法)
ASTM D1895−69に準拠して測定した。
(MFR(Melt Flow Rate))
JIS−K−6758ポリプロピレン試験方法のメルトフローレート(条件:230℃、荷重2.16Kgf)により測定した。
(DSCによるTmの測定方法)
セイコー社製DSC測定装置を用い、試料(約5mg)を採り200℃で5分間融解後、40℃まで10℃/minの速度で降温して結晶化した後に、さらに10℃/minで200℃まで昇温して融解したときの融解ピーク温度および融解終了温度で評価した。
【0074】
〈実施例−1〉
(珪酸塩の化学処理)
3Lの撹拌翼の付いたガラス製フラスコに、蒸留水1130mL、続いて濃硫酸750gをゆっくりと添加し、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径=25μm、粒度分布=10μm〜60μm)を300g分散させ、90℃まで1時間かけ昇温し、5時間その温度を維持した後、1時間で50℃まで冷却した。このスラリーを減圧ろ過し、ケーキを回収した。
【0075】
このケーキに蒸留水を4L加え、再スラリー化後、ろ過した。この洗浄操作を4回繰り返した。最終の洗浄液(ろ液)のpHは、3.42であった。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は227gであった。
【0076】
この化学処理したモンモリロナイトの組成は、Alが5.0%、Mgが0.8%、Feが1.6%、Siが37.7%含まれていた。
【0077】
(触媒の調製)
以下の操作は、不活性ガス下、脱酸素、脱水処理された溶媒、モノマーを使用して実施した。
【0078】
先に化学処理したモンモリロナイトを減圧下、200℃で、2時間乾燥を実施した。内容積3Lの攪拌翼のついたガラス製反応器に上記で得た乾燥モンモリロナイト200gを導入し、ノルマルヘプタン、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(10mmol)を加え、室温で攪拌した。1時間後、ノルマルヘプタンにて洗浄(残液率1%未満)し、スラリーを2000mLに調製した。
【0079】
次に、あらかじめ(r)−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル]ジルコニウムジクロリド3mmolのトルエンスラリー870mLとトリイソブチルアルミニウム(30mmol)のヘプタン溶液42.6mLを室温にて1時間反応させておいた混合液を、モンモリロナイトスラリーに加え、1時間攪拌した。
【0080】
続いて、窒素で十分置換を行った内容積10Lの攪拌式オートクレーブにノルマルヘプタン2.1Lを導入し、40℃に保持した。そこに先に調製したモンモリロナイト/錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後、プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。回収した予備重合触媒スラリーから、上澄みを約3L除き、トリイソブチルアルミニウム(30mmol)のヘプタン溶液を170mL添加し、10分間撹拌した後に、40℃にて減圧下乾燥した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレンが1.43gを含む予備重合処理触媒が得られた。
【0081】
(重合)
図2は、本実施例で用いられる連続バルク重合装置を示す概略図であり、リフコンは装備されていない。図2で示す重合槽1に、モノマー供給管5から液状プロピレンを、コモノマー供給管6からエチレン、水素及びトリイソブチルアルミニウム(TIBA)のヘキサン希釈溶液を供給し、触媒スラリーを触媒貯槽9から、触媒供給管7、ポンプ8、を介して連続的に供給して、内温を70℃に保持した。プロピレンの供給量は110kg/hr、エチレンの供給量は1.5kg/hrであり、定常運転前のジャケット出口熱媒体温度は75℃であった。従って、重合開始時のTjは75℃である。
【0082】
重合槽1に時間当たり一定量の触媒スラリー供給を継続し、20kg/hrのプロピレン・エチレンランダム共重合体を得た。約5日間安定に運転した。定常運転していたときのジャケット出口熱媒体温度は約60℃であった。触媒の供給を停止したところ、自動制御機構が作動してジャケット出口熱媒体温度が徐々に上昇され、重合開始前と同じ75℃となった。従って、重合停止時のTjは75℃である。
【0083】
リアクター壁面へのファウリング、ポリマーの凝集も見られなかった。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体は、MFR=8.7、Tm=135℃、嵩密度=0.49(g/cc)、1700μ以上の凝集ポリマー量=0.4%であった。
【0084】
実施例2
内容積3Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分置換した後に、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液2.86mL(2.02mmol)を加えた。さらにエチレン15g、水素35mL、続いて液体プロピレン1500mLを導入し、70℃に昇温しその温度を維持した。この時のジャケット出口熱媒体温度(Tj)は75℃であった。
【0085】
予備重合触媒を(予備重合ポリマーの重量は除く)15mgを圧入し重合を開始した。槽内温度を70℃に維持した。この時のジャケット出口熱媒体温度は67℃であった。1時間後、エタノール10mlを加えた。この時のジャケット出口熱媒体温度は開始時と同じく75℃となった。さらにジャケット出口熱媒体温度(Tj)を95℃に上げ、1分後パージを開始した。その結果、189gのポリマーが得られた。触媒活性は、12600g−PP/g−触媒・時であった。ポリマーBD=0.47(g/cc)、MFR=4.5(dg/分)、Tm=135℃であった。凝集ポリマーは見られず、0.2%未満であった。リアクター壁面の付着も全く見られなかった。
【0086】
実施例3
エチレン供給量を30g、水素供給量を100ml、触媒量を8mgにした以外は実施例2と同様に重合を行った。触媒導入前のジャケット温度(Tj)は75℃であった。30分重合(このときのジャケット出口熱媒体温度は67℃であった。)後、エタノールを10ml添加後、ジャケット出口熱媒体温度(Tj)を75℃に保ってモノマーをパージした。200gのポリマーが得られた。ポリマーBD=0.44(g/cc)、MFR=15、Tm=125℃であった。リアクター壁面には付着が無かった。
【0087】
比較例1
重合停止時のジャケット出口熱媒体温度(Tj)を90℃にした以外は実施例3と同様に行った。リアクターのジャケット接触部全面にシート状ポリマーが融着していた。付着ポリマーも含め、195gのポリマーが得られた。融着していないポリマーは、MFR=16、Tm=126℃であった。
【0088】
実施例4
エチレン供給量を38gにした以外は、実施例3と同様に重合を行った。重合開始時のTj=75℃であり、定常運転時のジャケット出口熱媒体温度は67℃であり、重合停止時のTj=75℃であった。210gのポリマーが得られた。ポリマーBD=0.44、MFR=4、Tm=120℃であった。リアクター壁面は全く付着が見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための重合プロセスを示すフローチャート図
【図2】実施例1で用いた重合槽を示すフローチャート図
【符号の説明】
1、重合槽
2、ジャケット
3、3a、3b、撹拌翼
4、モーター
5、モノマー供給管
6、コモノマー供給管
7、触媒供給管
8、ポンプ
9、触媒貯槽
10、熱交換機
11、貯槽
12、リフコン機構
13、ポンプ

Claims (3)

  1. 温度制御用ジャケットを有する重合槽を用いてメタロセン系触媒によりプロピレンとα−オレフィンを共重合してプロピレン系ランダム共重合体を製造する方法において、重合開始時にはジャケットを高温として重合槽を加温し、定常状態ではジャケット温度を低下し、重合終了時には再びジャケット温度を高温として加温し、かつ、重合の開始及び終了の際の加温時におけるジャケット内熱媒体温度Tj(℃)と得られる共重合体の融点Tm(℃)を次の式(1a)および(2)を満たすように制御することを特徴とするプロピレン系ランダム共重合体の製造方法。
    (1a)Tm≦140
    (2)Tj≦1.47×Tm−100
  2. 重合が液状プロピレン中で行われる請求項1に記載のプロピレン系ランダム共重合体の製造方法。
  3. 次式(1b)および(2)を満たすことを特徴とする、請求項1又は2に記載のプロピレン系ランダム共重合体の製造方法。
    (1b)Tm≦135
    (2)Tj≦1.47×Tm−100
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