JP4345473B2 - 弾性表面波素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、バンドパスフィルタや共振子等に用いられる弾性表面波素子の製造方法に関し、より詳細には、圧電性基板のドメイン構造が改良された弾性表面波素子の製造方法に関する。
弾性表面波は、媒質の表面付近にそのエネルギーを集中して伝搬する波である。弾性表面波素子は、圧電基板に少なくとも1つのインターデジタルトランスデューサ(IDT)を形成した構造を有する。IDTは、少なくとも2つの櫛形の電極を有し、櫛形電極の電極指同士が互いに間挿し合うように配置された構造を有し、櫛形電極間に電気信号を印加することにより、表面波が励振される。
弾性表面波素子は、一般に小型化が可能であり、高周波領域において使用するのに適しているため、各種AV機器や通信機器のバンドパスフィルタ、信号源あるいは信号処理デバイスなどに広く利用されている。
従来、弾性表面波としては、主にレイリー波が用いられていたが、近年、BGS波やラブ波などのSHタイプの表面波も用いられてきている。
弾性表面波素子の圧電基板材料としては、主に、水晶やLiTaO3やLiNbO3などの単結晶が用いられているが、その他、PbTiO3系(PT系)やPbZrO3−PbTiO3系(PZT系)の固溶体を主体とした圧電セラミックスも用いられている。また、絶縁性基板上に、ZnOやPZTなどの圧電膜を形成してなる圧電性基板も用いられている。
弾性表面波素子において所望の特性を得るには、IDTの設計、弾性表面波の振動モードや圧電基板材料の選択などにおいて最適な設計が必要であり、これまで種々の検討がなされてきている。
一般的な弾性表面波であるレイリー波は、等方性及び異方性の各媒体表面において伝搬し、表面波は、進行方向(x方向)の変位成分であるP波(Primary Wave、縦波)と、深さ方向(z方向)に平行な変位成分であるSV波(Vertical Shear Wave、横波)とからなる。そして、基板表面から1波長以内に、振動エネルギーの90%以上が集中しており、弾性表面波として優れたエネルギー集中度を示す。
しかしながら、P波やSV波は境界面において複雑に反射されるので、反射時にモード変換が生じる。そのため、弾性表面波素子を共振子として利用するには、別途反射器を形成する必要があり、素子サイズが大きくなりがちであった。特に、周波数が低い領域においては、IDTの電極間ピッチも大きくなるので、素子サイズはさらに大きくなりがちであった。
また、表面波の振動エネルギーが表面に集中している欠点としては、基板表面の影響を受け易く、例えば信頼性試験などにおいて特性が悪化し易いという問題もあった。
これに対して、波の進行方向(x方向成分)と基板深さ方向(z方向成分)に垂直な方向の変位成分(y方向成分)を有するSH波は、等方体では存在しない弾性表面波であり、圧電媒体や層状媒体などの異方性を有する媒体表面で伝搬することが知られている。
BGS波は、SH波の1つであり、各種圧電単結晶、またはc軸もしくは分極軸が基板表面に平行な圧電セラミックス基板上を伝搬する。
BGS波などのSH波は、レイリー波とは異なり、反射器を構成することなく共振子を構成することができるという利点を有する。これは、SH波が、xy面に平行なy方向の変位成分しか有しない波であり、高誘電率の基板の自由端面においてモード変換を引き起こすことなく完全に反射されるためである。そのため、圧電基板の端面を反射面として利用することができ、反射器を省略することができる。従って、レイリー波を利用した場合には素子サイズが大きくなりがちである数十〜数百MHzの周波数領域において、SH波を利用することにより弾性表面波素子のサイズを効果的に小さくすることができる。
また、同一圧電性基板を用いた場合、電気機械結合係数(k)、温度特性あるいは伝搬速度などにおいて、SH波はレイリー波と異なった特性を示す。従って、その特徴を活かした応用も期待されている。
しかしながら、SH波では、(1)表面波の振動エネルギーの表面集中度が低いこと、(2)伝搬の際にバルク波を内部に放射すること、並びに(3)端面で反射される際に、SH波が端面の影響を受け易いことなどにより、本質的に伝搬損失が大きいという問題もあった。そのため、SH波の応用に際しては、これらの伝搬損失の低減が必要であった。従来は、素子の加工精度、端面状態の向上、スプリアス要因となるバルク波の低減を目的とした基板底面及び端面の一部の粗面化(特許文献1)などにより、伝搬損失の低減が図られていた。
しかしながら、上記のように伝搬損失の低減を図ったとしても、SHタイプの表面波では、電気機械結合係数kが小さい圧電性基板を用いた場合、***振周波数におけるインピーダンスZaと共振周波数におけるインピーダンスZrとの比、Za/Zrが小さく、狭帯域のフィルタ特性を得ることが困難であるという問題があった。
また、電気機械結合係数kが大きい基板を用いた場合には、インピーダンス比Za/Zrを大きくすることができ、広帯域のフィルタは形成し得るものの、耐
候性、特に湿中放置時の共振周波数のシフト量が増大するという問題があった。
これに対し、特許文献2では、電極形成面と垂直な厚み方向について、その組成あるいは電気的及び機械的特性に関して異なる2層以上の多層構造を有する、またはその組成あるいは電気的及び機械的特性に関して傾斜構造を有することを特徴とする弾性表面波素子を用いることにより、弾性表面波の振動エネルギーの表面集中度を主とした制御を行い、電気機械結合係数kが小さい圧電性基板での表面集中度の低下に起因した損失を低減し、電気機械結合係数kが大きい圧電性基板では気温や湿度などの影響を受けにくくするために基板表面への振動エネルギーの過度の集中を抑えるなどして、Za/Zrや耐湿性を改善している。
特公平8−21830号公報 特開2003−51734号公報
上記のように弾性表面波では振動姿態の制御によりその特性を改善することが可能である。しかしながら、弾性表面波の振動エネルギーの表面集中度に代表される振動姿態を制御するために特許文献2に記載されるような制御法を用いた場合、その加工工程が複雑となってしまい、また、コストの増加も懸念されるという問題があった。
本発明の目的は、上述した従来のSH波を利用した弾性表面波素子の欠点を解消し、伝搬損失の低減、耐候性の改善が図られ得る弾性表面波素子を容易にかつ安価に得ることを可能とする製造方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を達成するためになされたものであり、本発明の弾性表面波素子の製造方法は、第1,第2の主面を有する圧電性基板を用意する工程と、前記圧電性基板の第1の主面と平行な方向に均一な分布の電界を印加し均一に分極を行う工程と、前記分極時とは電界印加方向が逆向きでかつ前記圧電性基板の厚み方向に対して電界強度が傾斜的に分布するように電界の回り込み現象を利用して分極を行う工程と、前記圧電性基板の第1の主面上にインターデジタルトランスデューサを形成する工程とを備えることを特徴とする。本発明によれば、第1,第2の主面を有する圧電性基板と、前記圧電性基板の第1の主面側に配置されたインターデジタルトランスデューサとを備え、前記圧電性基板の分極度が第1の主面と直交する厚み方向に対して、傾斜的に変化したドメイン構造を有する、SH波型弾性表面波素子が提供される。
すなわち、弾性表面波の振動エネルギーの表面集中度に代表される弾性表面波の振動姿態は、圧電性基板の電気的特性や機械的特性により大きな影響を受ける。本発明では、この圧電性基板の電気的特性や機械的特性の制御が、上記のようにドメイン構造(分極度)を制御することにより果たされる。
従来、弾性表面波素子のドメイン構造(分極度)を制御する例としては、任意の一方向へのドメインの配向処理を行う分極処理方法、あるいはドメイン構造を安定化させるために分極処理後にエージング処理を行う方法などがあった。これに対して、本発明では、上記のように圧電性基板の厚み方向において、傾斜的に分極度が変化するようにドメイン構造が制御されており、それによって後述の実施例から明らかなように、従来の弾性表面波素子の製造方法に煩雑な付加的な工程を加えることなく、圧電性基板の電気的特性や機械的特性の制御が安価にかつ容易に果たされる。
従って、圧電性基板の電気的特性や機械的特性をドメイン構造(分極度)の制御により調整し得るので、所望の特性の弾性表面波素子を高精度にかつ安価に提供することができる。
なお、エージングとは、圧電体などを温度を上げて一定時間保持することによって、その諸特性の経時変化を意図的に加速させることをいい、「枯化」ともいわれている。
本発明に係る弾性表面波素子の製造方法の特定の局面では、上記圧電性基板として、圧電セラミックスが用いられる。
なお、上記SH波としては、BGS波、ラブ波、漏洩弾性波などの様々なSH波を用いることができる。
本発明に係る弾性表面波素子では、インターデジタルトランスデューサが形成された第1の主面と直交する厚み方向において、圧電性基板の分極度が傾斜的に変化しているドメイン構造を有するので、圧電性基板の電気的特性や機械的特性を傾斜的に制御することができる。従って、弾性表面波の振動エネルギーの表面集中度に代表される振動姿態の制御を、分極構造の制御により容易にかつ高精度に、さらに安定に達成することができる。これは、分極構造の制御は、電界などの外部から印加されるエネルギーにより比較的容易にかつ高精度に行い得ることによる。
しかも、分極構造を制御するだけでよいため、製造に際し、煩雑な工程を必要としないため、コストの増加を招くことなく、機械的特性や電気的特性を改善することができるので、所望とする特性の弾性表面波素子を安価に提供することができる。
本発明において、上記圧電性基板としては、圧電セラミックスを用いた場合、本発明に従って所望とする機械的特性及び電気的特性を有するSH型弾性表面波素子を容易に構成することができる。
本発明に係る弾性表面波素子は、SH波を利用したものであるが、好ましくは、BGS波が用いられる。BGS波を利用した弾性表面波素子の場合、表面波のエネルギーの表面集中度が低いため、本発明に従って圧電性基板の分極構造を制御することにより、インピーダンス比Za/Zrを大きくして狭帯域のフィルタ特性などを容易に実現することができ、かつ耐候性も高め得る。
本発明に係る弾性表面波素子の製造方法では、前記圧電性基板の第1の主面と平行な方向に均一な分布の電界を印加し均一に分極を行った後、前記分極時とは電界印加方向が逆向きでかつ前記圧電性基板の厚み方向に対して電界強度が傾斜的に分布するように電界の回り込み現象を利用して分極を行うことにより圧電性基板が分極される。
従って、上記のように厚み方向において傾斜的に変化しているドメイン構造を有するように分極処理が施されるので、本発明の弾性表面波素子と同様に、圧電性基板の電気的特性や機械的特性を容易に制御することができ、所望とする特性の弾性表面波素子を容易に得ることができる。また、上記分極に際しては、電界の印加等により容易に行い得るので、製造工程が煩雑化することもない。
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明をより詳細に説明する。
まず、図1及び図2を参照して、本発明の弾性表面波素子の具体的な実施形態を説明する。
図1に示す弾性表面波素子1は、矩形板状の圧電性基板2を有する。圧電性基板2は、PbTiO3やPbZrO3−PbTiO3系の圧電セラミックスにより構成されている。圧電性基板2の第1の主面としての上面2a上には、インターデジタルトランスデューサ3が形成されている。インターデジタルトランスデューサ3は、一対の櫛形の電極3a,3bを有する。櫛形電極3a,3bの電極指は互いに間挿し合うように配置されている。弾性表面波素子1では、圧電性基板2が、図示の矢印P方向に分極処理されている。すなわち、櫛形電極3a,3bの電極指と平行な方向に分極されており、表面波伝搬方向Aは、電極指と直交する方向とされている。
弾性表面波素子1では、櫛形電極3a,3b間に交流電圧を印加することによりBGS波が励振され、該BGS波が伝搬方向Aに沿って伝搬し、端面2b,2cで反射される。すなわち、向かい合う端面2b,2cは平行とされており、BGS波を利用した端面反射型表面波共振子の反射端面を構成している。
本実施形態の弾性表面波素子1の特徴は、圧電性基板2のドメイン構造(分極度)にある。これを、図2を参照して説明する。
図2は、圧電性基板2を分極する方法を説明するための模式的断面図であり、図1の端面2c側から見た状態を示す。
圧電性基板2を分極するにあたっては、まず均一に分極を行う。すなわち、図2(a)に示すように、分極用電極6a,6b,7a,7bを形成し、分極用電極6aと分極用電極7aに同位の電圧を印加し、分極用電極6bと分極用電極7bにそれらと一定の電位差をもつ電圧を印加する(分極方法A)。
続いて、図2(b)に示すように、分極用電極6a,6bのみに分極方法Aとは逆方向に電圧を印加すること(分極方法B)で、基板の厚み方向に対し傾斜的に分極度が増加するドメイン構造を得ることができる。また、図2(c)に示すように、分極用電極7a,7bのみに分極方法Aとは逆方向に電圧を印加することで、基板の厚み方向に対し傾斜的に分極度が低下するドメイン構造を得ることもできる(分極方法C)。
このように、“一度、均一に分極した後に傾斜型の逆分極をかける”ことで、分極時の歪みを小さくすることができ、従来例(特許公報第2508334号、特開平5−160463号)で発生していたような分極時の反り、割れを抑えることができる。これは、最初の均一分極で180°ドメイン及び非180°ドメインが基板厚み方向に対して均一に分極された後、逆電界の傾斜型分極で配向され易い180°ドメインのみを反転させて、歪みを発生させることなく、より安定に分極度を制御することができるためと考えられる。
本実施形態の弾性表面波素子1では、上記のように、圧電性基板2が、上面2aと直交する厚み方向において分極度が傾斜的に変化されているドメイン構造を有するため、均一に分極された圧電性基板を用いた場合に比べて、分極構造の制御により圧電性基板の電気的特性や機械的特性を制御することができる。この点については、具体的な実施例に基づき後述する。
なお、図2(b)に示した分極方法Bにより得られた分極構造では、上面2aが下面2f側に比べて分極度が低くなるように傾斜的に分極度が変化されるが、図2(c)に示すように、逆に、分極度が上面2a側から下面2f側に行くにつれて低くなるようにドメイン構造を形成してもよい。
また、上記実施形態の弾性表面波素子1では、圧電性基板2として上記のように圧電セラミックスからなるものを用いたが、LiTaO3やLiNbO3などの単結晶であってもよい。
また、BGS波に限らず、ラブ波などの他のSH波を利用した弾性表面波素子にも本発明を適用することができる。
次に、具体的な実施例につき説明する。
下記の表1に示す磁器組成物α,βからなる、50mm×50mm×厚さ0.7mmの2種の圧電性基板を用意した。なお、磁器組成物αは、磁器組成物βに比べて電気機械結合係数kが小さい圧電セラミックスを与えている。
次に、下記の表2に示す基板組成物、分極方法にて試料(1)〜(4)を作製した。試料(1)〜(4)の詳細な作製手順は以下の通りである。
〔試料(1)〕…磁器組成物αからなる圧電性基板を、図2(a)の分極方法Aに示すように圧電性基板2の上面に分極用電極6a,6bを、下面に分極用電極7a,7bを形成し、分極用電極6a,6b間及び分極用電極7a,7b間に、80℃〜200℃のオイル中で2.5〜4kV/mmの電界を10分間〜60分間印加し、圧電性基板2を均一にフル分極した。次に、図2(b)の分極方法Bに示すように圧電性基板の上面に形成されている分極用電極6a,6bのみを用いて、60℃〜100℃のオイルに圧電性基板を浸漬し、0.5〜3.0kV/mmの電界を図2(a)とは逆向きでパルス的に印加し、逆分極を行った。
〔試料(2)〕…磁器組成物βからなる圧電性基板を、図2(a)の分極方法Aに示すように圧電性基板2の上面に分極用電極6a,6bを、下面に分極用電極7a,7bを形成し、分極用電極6a,6b間及び分極用電極7a,7b間に、80℃〜200℃のオイル中で、2.5〜4kV/mmの電界を10分間〜60分間印加し、圧電性基板2を均一にフル分極した。次に、図2(c)の分極方法Cに示すように圧電性基板の下面に形成されている分極用電極7a,7bのみを用いて、60℃〜100℃のオイルに圧電性基板を浸漬し、0.5〜3.0kV/mmの電界を図2(a)とは逆向きでパルス的に印加し、逆分極を行った。
〔試料(3)〕…磁器組成物αからなる圧電性基板を、図2(a)の分極方法Aに示すように圧電性基板2の上面に分極用電極6a,6bを、下面に分極用電極7a,7bを形成し、分極用電極6a,6b間及び分極用電極7a,7b間に、80℃〜150℃のオイル中で、2〜3.5kV/mmの電界を10分間〜60分間印加し、分極した(従来法)。
〔試料(4)〕…磁器組成物βからなる圧電性基板を、図2(a)の分極方法Aに示すように圧電性基板2の上面に分極用電極6a,6bを、下面に分極用電極7a,7bを形成し、分極用電極6a,6b間及び分極用電極7a,7b間に、80℃〜150℃のオイル中で、2〜3.5kV/mmの電界を10分間〜60分間印加し、分極した(従来法)。
上記のように作製された試料(1)〜(4)の各圧電性基板の分極用電極をエッチング液により除去し、超音波洗浄した。しかる後、150℃〜200℃の温度で10分間〜60分間エージングし、エージング済みの各圧電性基板を得た。
なお、エージングによりドメイン構造の安定性が高められるが、エージングは本発明では必ずしも必須の工程ではない。
次に、上記のようにして得られた圧電性基板の上面に、それぞれAlを蒸着し、フォトリソグラフィによりパターニングし、1つのインターデジタルトランスデューサ3を形成した。さらに、圧電性基板を約1mm×約2〜3mm×厚み0.7mの寸法に切り出し、4種類の圧電性基板を得た。
上記のようにして、試料(1)〜(4)の4種類の弾性表面波素子を作製し、インピーダンスアナライザーにより、BGS波の電気機械結合係数kBGSと、40、80、120及び160MHzにおける各共振周波数ごとの***振点と共振点とのインピーダンス比Za/ZrBGSとを測定した。また、各弾性表面波素子を温度60℃・相対湿度95%の環境に1000時間放置する耐湿試験を行い、共振周波数シフト量ΔFrを測定した。結果を図3〜図6に示す。
また、上記評価とともに、図7に示すように、各共振周波数におけるBGS波の振動エネルギーを、各kBGS値ごとに有限要素法によりシミュレーションした。
図3及び図4から明らかなように、試料(1)の弾性表面波素子では、kBGSが約20%と非常に低いにも関わらず、40〜80MHzの低周波域においてインピーダンス比Za/Zrはフィルタを形成することが可能な値である45dB以上となっている。従って、従来法で作製した試料(3)に比べて、インピーダンス比Za/Zrを大幅に改善し得ることがわかる。
これは、試料(1)においては、分極度が傾斜的に変化したドメイン構造が実現されているので、BGS波の表面集中度が高められ、それによって伝搬損失が低減したためと考えられる。
また、主に40〜80MHz帯において、インピーダンス比Za/Zrの改善が達成されているのは、図7に示されているように、電気機械結合係数kBGSが20%の場合、低周波域(40〜80MHz)における表面集中度が特に悪く、それが改善されたことにより伝搬損失が低減したためと考えられる。
さらに、試料(1)では、図7から明らかなように、高周波特性においても、従来法で作製した試料(3)とほぼ同等以上とされていることがわかる。なお、試料(1)は、耐湿性は幾分悪化しがちであるが、狭帯域バンドパスフィルタの信頼性に必要とされるレベルの耐湿性は確保されている。
図5及び図6から明らかなように、試料(2)では、電気機械結合係数kBGSが50%程度と大きく、インピーダンス比Za/Zrは、100MHz程度まで広帯域フィルタの形成が可能な45dB程度の値とされている。試料(2)は、過度の表面波の表面集中は緩和されている。従って、試料(2)は、40〜80MHz帯において、従来法で作製した試料(4)に比べて、インピーダンス比Za/Zrは幾分低下するものの、インピーダンス比は実用上支障をきたすレベルではないことがわかる。
さらに、従来法で作製した試料(4)に比べ、試料(2)は耐湿試験後の共振周波数シフト量が小さく、従って耐湿性が高められることがわかる。
これは、試料(2)においては、分極度が傾斜的に変化したドメイン構造が実現されているので、気温や湿度などの影響を受け易い基板表面への過度の表面波の集中が緩和されて耐候性が高められているためと考えられる。
Figure 0004345473
Figure 0004345473
本発明の一実施形態に係る弾性表面波素子を示す斜視図。 (a)は、本発明の一実施形態の弾性表面波素子の製造方法に際して従来の分極処理を行う工程を説明するための模式的端面図であり、(b)及び(c)は、本発明の一実施形態の弾性表面波素子の製造方法に際して分極処理を行う工程を説明するための各模式的端面図。 種々の分極条件で分極処理された圧電性基板を用いた各弾性表面波素子の共振周波数とインピーダンス比との関係を示す図。 種々の分極条件で分極処理された圧電性基板を用いた弾性表面波素子の湿中放置時間と、共振周波数シフト量との関係を示す図。 種々の分極条件で分極処理された圧電性基板を用いた各弾性表面波素子の共振周波数とインピーダンス比との関係を示す図。 種々の分極条件で分極処理された圧電性基板を用いた弾性表面波素子の湿中放置時間と、共振周波数シフト量との関係を示す図。 種々の電気機械結合係数を有する圧電性基板を用いて構成される弾性表面波素子の共振周波数と振動エネルギー分布を示す侵入深さとの関係を示す図。
符号の説明
1…弾性表面波素子
2…圧電性基板
2a…上面
2b,2c…端面
2f…下面
3…インターデジタルトランスデューサ
6a,6b,7a,7b…分極用電極

Claims (3)

  1. 第1,第2の主面を有する圧電性基板を用意する工程と、
    前記圧電性基板の第1の主面と平行な方向に均一な分布の電界を印加し均一に分極を行う工程と、
    前記分極時とは電界印加方向が逆向きでかつ前記圧電性基板の厚み方向に対して電界強度が傾斜的に分布するように電界の回り込み現象を利用して分極を行う工程と、
    前記圧電性基板の第1の主面上にインターデジタルトランスデューサを形成する工程とを備えることを特徴とする、SH波型弾性表面波素子の製造方法。
  2. 前記圧電性基板として、圧電セラミックスを用いる、請求項に記載のSH波型弾性表面波素子の製造方法。
  3. BGS波が励振される、請求項またはに記載のSH波型弾性表面波素子の製造方法。
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