JP4343348B2 - ネット材の端末部処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、三次元構造のネット材の端末部処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
クッション性の良いシート、例えば自動車の車両用シート等は、通常、シートフレーム上にコイルばね、S型ばね等のばね材を配設した上で、さらにウレタン等からなるパッド材を設け、その表面をビニールレザーや布地等で覆って形成している。しかしながら、このようにして形成したシートは、ばね材を含めた全体の厚みが厚く、また、重量もある。また、パッド材に通気孔を形成するなど、特殊な機構を採用したものを除き、一般的には通気性も良くない。通気を確保するための特殊な機構を採用したものは、製造コストが高いという問題がある。
【0003】
上記した点を改善するシートとして、表面メッシュ層と裏面メッシュ層との間を多数のパイルで連結し、トラス構造(三次元構造)にしたネット材を用いたものが知られている。トラス構造であるため、へたりにくい弾性構造物となっており、体圧の分散及び吸収特性に優れている。従って、薄型でも大きなクッション性を発揮できる。しかも、ネット構造であるため、多数の空隙を有しており何ら特別の機構を採用しなくても通気性に優れている。このような利点を有するため、三次元構造のネット材は上記の車両用のシートのほか、学習机や事務机などに使用される家具用の椅子、映画館等における座席シート、またシートに限らずその他の構造体、例えばパーテンションなどに応用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
三次元構造のネット材は上記のような特徴を有するものの、表面メッシュ層、裏面メッシュ層及びパイルから構成されるため、これを上記のような用途に供するに当たって、単に所定の大きさに切断しただけでは、これらを構成する糸や繊維がほつれ易く、見栄えが悪く、また取り扱いに不便である。従って、従来、端末部の見栄えを向上し、取り扱いの便を図るため、端末部を表皮材で被覆して両者を縫製していた。
【0005】
しかしながら、縫製作業は時間がかかり面倒である。また、単に縫製しているだけであるため、端末部の剛性は、その内方部位と比較してそれほど変わらず、端末部の伸びがフレーム等への取り付け性を損なうという問題もあった。
また、縫製後、さらに端末部を被覆するカバー部材を装着する場合もあるが、カバー部材を装着する際、該カバー部材の挿入用スリットが、表面メッシュ層や裏面メッシュ層に引っ掛かって挿入しにくいという問題もあった。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みなされたものであり、縫製作業を不要とすることができるネット材の端末部処理方法を提供することを課題とする。また、本発明は端末部の剛性を高め、端末部の伸びを抑えることができるネット材の端末部処理方法を提供することを課題とする。また、本発明は、カバー部材の装着する場合、その装着性を向上させることができるネット材の端末部処理方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の方法を提供する。
【0008】
1.熱可塑性樹脂からなり、表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、該表面メッシュ層と裏面メッシュ層とが多数のパイルで結合されて構成された三次元構造のネット材の端末部処理方法であって、端縁を内側に向かって折り返し、その折り返し面と該折り返し面に対向する対向面とを、折り曲げ部よりも内方に間隔をおいた位置で振動溶着手段によって固着した後、長手方向に沿ったスリットを有する中空のカバー部材を、そのスリット形成端間で該固着部位を挟持するように配設することを特徴とするネット材の端末部処理方法。
【0009】
2.前記1記載のネット材の端末部処理方法であって、前記端縁を内側に向かって折り返す工程から前記カバー部材を装着するまでの間の任意の工程において、前記折り返し面とその対向面との間に形状保持用の芯材を配置する工程を有することを特徴とするネット材の端末部処理方法。
【0010】
3.熱可塑性樹脂からなり、表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、該表面メッシュ層と裏面メッシュ層とが多数のパイルで結合されて構成された三次元構造のネット材の端末部処理方法であって、端末部を振動溶着手段によって厚みが薄くなるように加工してネット組織の密度を密にする工程を経た後、該端末部の少なくとも片面に該端末部の幅よりも幅広の表皮材を積層し、該表皮材の端縁をネット材の端縁に沿わせ、展開した状態で振動溶着手段によって振動溶着した後、端縁付近よりも内側にはみ出した部分を折り返してさらに振動溶着手段によって振動溶着して、該表皮材を前記端末部に固着することを特徴とするネット材の端末部処理方法。
【0011】
4.熱可塑性樹脂からなり、表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、該表面メッシュ層と裏面メッシュ層とが多数のパイルで結合されて構成された三次元構造のネット材の端末部処理方法であって、端縁から内側に向かって間隔をおいた部位を、振動溶着手段によって厚みが薄くなるように溝状に加工してネット組織の密度を密にする工程と、長手方向に沿ったスリットを有する中空のカバー部材を、そのスリット形成端間で前記工程により薄く加工した部位を挟持するように配設することを特徴とするネット材の端末部処理方法。
【0012】
5.前記4記載のネット材の端末部処理方法であって、端縁から内側に向かって間隔をおいた部位を、振動溶着手段によって厚みが薄くなるように溝状に加工してネット組織の密度を密にする前記工程を経た後、該工程によって薄く加工した部位から端縁までの間の部位に振動溶着手段によって表皮材を固着し、しかる後、前記カバー部材を配設することを特徴とするネット材の端末部処理方法。
【0013】
6.前記4又は5記載のネット材の端末部処理方法であって、前記工程によって薄く加工される部位から端縁までの間のネット組織の密度が、それより内側の部位よりも予め密に形成されていることを特徴とするネット材の端末部処理方法。
【0014】
7.熱可塑性樹脂からなり、表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、該表面メッシュ層と裏面メッシュ層とが多数のパイルで結合されて構成された三次元構造のネット材の端末部処理方法であって、端縁から内側に向かって所定幅の部位である端末部を、振動溶着手段によって厚みが薄くなるように加工してネット組織の密度を密にする工程と、該端末部に表皮材を積層し、該表皮材を前記端末部に対して振動溶着手段によって固着する工程と、前記工程により固着された表皮材上に射出成形によってカバー部材を形成する工程とを具備することを特徴とするネット材の端末部処理方法。
【0015】
8.前記7記載のネット材の端末部処理方法であって、前記表皮材として起毛部を備えたものを用い、一部の起毛部をつぶさずに起毛させたまま該表皮材を振動溶着手段によって固着することを特徴とするネット材の端末部処理方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明を更に詳しく説明する。
【0017】
まず、図1〜図3に基づき、本発明の処理対象となる三次元構造のネット材10の概要について説明する。
【0018】
このネット材10は、図1の断面図に示したように、表面メッシュ層11、裏面メッシュ層12及び該表面メッシュ層11と裏面メッシュ層12とを結合する多数のパイル13とを有する立体的なトラス構造(三次元構造)から構成されている。
【0019】
表面メッシュ層11は、例えば、図2に示したように、細い糸を撚った撚糸から、ハニカム状(六角形)のメッシュを有する構造に形成され、裏面メッシュ層12は、図3に示したように、細い糸を撚った撚糸をゴム編みにして形成され、表面メッシュ層11のハニカム状のメッシュよりも小さなメッシュ(細目)を有する構造に形成されている。パイル13は繊維又は糸で形成し、表面メッシュ層11と裏面メッシュ層12とが所定の間隔を保持するように、該表面メッシュ層11と裏面メッシュ層12との間に編み込んだもので、この立体メッシュニットとなっているネット材10に所定の剛性を付与している。なお、ここでは、ハニカム状のメッシュを有する層を表面(例えば、シートのクッション材として用いた場合に人体に接する面)としているが、これを裏面とし、小さなメッシュを有する層を表面として使用することもできる。また、後述の表1で示したように、このメッシュ層組織としてはハニカム状や細目以外のメッシュ形状を採用することももちろん可能である。
【0020】
ネット材10を構成する材料としては熱可塑性樹脂が好ましく、繊維状に成形可能で、織物にして所定の用途(シート地等)に供される際に要求される強度を発揮できるものであればよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などに代表される熱可塑性ポリエステル樹脂類、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリアミド樹脂類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表されるポリオレフィン樹脂類、あるいはこれらの樹脂を2種類以上混合した樹脂などを用いることができる。
【0021】
また、パイル13の太さとしては380d以上で、好ましくは600d以上がよい。これにより、例えば、シートのクッション材として使用されるネット材10に加わる着座者の荷重を各メッシュ層11,12を構成するメッシュの変形とパイル13の倒れによって支持することができ、応力集中の起きない柔構造とすることができる。
【0022】
参考のため、表1に、ネット材10として採用可能な材料の例及びそれらの物性値をいくつか示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1において、「d」はデニールを表し、1dは1グラムの糸を9,000m引っ張ったときの太さの単位であり、例えば、220dは1グラムの糸を9,000/210=42.9m引っ張ったときの太さの糸である。「f」はフィラメントを表し、糸が何本の細い糸で構成されているかを示す単位で、例えば、70fは70本の細い糸で1本の糸を構成していることを意味する。引張強度の「kg/5cm」は、5cm幅のものを引っ張ったときの強度である。パイル組織の「パラレル」は表面メッシュ層11と裏面メッシュ層12とを連結するパイル13が側面から見て交差していない状態をいい、「クロス」とは側面から見て交差している状態をいう。
【0025】
次に、図4及び図5に基づき、第1の実施形態にかかる端末部処理方法について説明する。まず、ネット材10の端縁15を内側に向かって折り返し、その折り返し面16とそれに対向する対向面17とを振動溶着手段によって固着したものである。固着部位18は、折り曲げ部19よりも内方に所定の間隔をおいた位置となっている。このように位置で固着することにより、図4及び図5に示したように、ネット材10の外周囲に沿って膨らみ20が形成され、端末部21の見栄えがよくなる。なお、端末部21とは、固着部位18から折り曲げ部19までの所定の幅の範囲をいう。
【0026】
端末部21を構成する固着部位18は、折り返し面16とその対向面17とが振動溶着によって固着された部位であるため、当該部位におけるパイル13同士、表面メッシュ層11とパイル13、裏面メッシュ層12とパイル13、あるいは表面メッシュ層11と裏面メッシュ層12は相互に接合されて厚みが薄くなっている。これにより、この固着部位18は、ほぼ板状形態となって空隙が小さくなってクッション性がほとんどなくなり、剛性が高くなっている。従って、この固着部位18を含んだ端末部21は、伸びが抑えられることにより、フレーム等への組み付け性が向上する。また、端縁15を内側に向かって折り返して固着するというきわめて簡素な構成であるため、従来の縫製による端末部処理方法と比較して作業時間が短く、作業も容易である。
【0027】
ここで、本実施形態において振動溶着手段を採用したのは、ネット材10が、上記のように、表面メッシュ層11、裏面メッシュ層12及びパイル13を有する複雑な三次元構造であり、このような複雑な構造体を、確実に溶着し、高密度の薄型に加工するのに適するからである。なお、表面メッシュ層11、裏面メッシュ層12及びパイル13は、材料が同じであればその溶融点はいずれも同じであるが、それらを構成する繊維数にも関係する。例えば、パイル13がモノフィラメントで表面メッシュ層11及び裏面メッシュ層12がマルチフィラメントの場合にはモノフィラメントからなるパイル13が振動溶着によって溶融することになる。
【0028】
次に、図6に基づき本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態においても、まず、上記第1の実施形態と同様、端縁15を内側に向かって折り返し、折り返し面16とその対向面17同士を振動溶着によって固定する。また、固着部位18も、上記第1の実施形態と同様、折り曲げ部19よりも内方に所定の間隔をおいた位置とし、これにより、ネット材10の外周囲に沿って膨らみ20を備えた端末部21を形成する。
【0029】
端末部21を形成したならば、カバー部材30を装着するが、図6に示したように、該カバー部材30が容易に外れないよう、膨らみ20の形状を保持する芯材20aを、折り返し面16とその対向面17との間に配置することが好ましい。なお、芯材20aを配置するタイミングは任意であり、端縁15を内側に向かって折り返す際に芯材20aを配置して行ってもよいし、端縁15を折り返した後、例えば、振動溶着した後に挿入するようにしてもよい。このカバー部材30は、中空で、断面略半楕円状のパイプ状に形成されているが、一側端面にはその長手方向に沿ってスリット31が形成されている。装着の際には、スリット31を挟んで対向するスリット形成端31a,31b間に固着部位18が位置するようにスライドさせて挟持し、中空部32内に端末部21の一部である膨らみ20を収容して装着する。この際、本実施形態によれば、スリット形成端31a、31bが、振動溶着された固着部位18の表面に接することになるが、この固着微18の表面は振動溶着により滑らかになっており、振動溶着する前と比較して摩擦係数が低くなっている。従って、カバー部材30をスライド挿入させる作業はきわめて容易である。なお、このようなカバー部材30を装着した場合には、該カバー部材30によって膨らみ20を隠すことができるため、美観がさらに向上する。
【0030】
図7は、本発明の第3の実施形態を説明するための図である。本実施形態においては、まず、端末部21に相当する端縁15から内側に向かって所定幅の部位を、振動溶着手段によって、パイル13同士、表面メッシュ層11とパイル13、裏面メッシュ層12とパイル13、あるいは表面メッシュ層11と裏面メッシュ層12を相互に接合して厚みが薄くなるように加工する。パイル13同士等が接合されて厚みが薄くなることによりネット組織の密度が他の部位よりも密になり、剛性が高くなり、端末部21の伸びがそれよりも内側の部位と比較して抑えられることになる。
【0031】
次に、本実施形態においては、端末部21に、表皮材23を積層し、振動溶着手段によって固着する。これにより、表皮材23が固着された部位の剛性がさらに高くなる。なお、剛性をより高めるため、及び形状のバランスを保つためには、図7に示したように、該表皮材23は、表面メッシュ層11側と裏面メッシュ層12側の両面に固着することが好ましい。また、表皮材23としては不織布等を用いることができ、また上記した素材からなるネット材10に対して振動溶着可能な材料であればよいが、特に、ネット材10と同質の材料からなるものを用いることが好ましい。
【0032】
また、ここでいう表皮材23は、端末部21に積層することによって該端末部21を覆う化粧部材としても機能する。かかる機能を有効に発揮させるためには、端末部21に1枚の表皮材23を固着するだけでなく、表皮材23として端末部21よりも幅の大きなものを使用し、表皮材23の一方の端縁23aをネット材10の端縁15にほぼ沿わせて両者を振動溶着した後、端末部21よりも内側にはみ出した部分を外側に折り返し、さらに各表皮材23の折り返し部23b同士を振動溶着することが好ましい。これにより、端末部21よりも内側の部位と表皮材23との境界において、表皮材23のカットラインではなく折り曲げ部23cが表れることになるため、見栄えが向上する。また、表皮材23が折り返されているため、該表皮材23によるクッション性も向上し、表皮材23に接した際の感触がより良好となる。
【0033】
図8は、本発明の第4の実施形態を示したものであり、上記第2の実施形態と同様に、美観を向上させる化粧部材としての役割を果たすカバー部材30を用いた端末部処理方法である。
【0034】
本実施形態においては、まず、ネット材10の端縁15から内側に向かって所定間隔おいた部位を、振動溶着手段によって、パイル13同士、表面メッシュ層11とパイル13、裏面メッシュ層12とパイル13、あるいは表面メッシュ層11と裏面メッシュ層12を相互に接合して厚みが薄くなるように加工して、溝状の薄肉部22を形成する。この薄肉部22は、パイル13同士等が接合されて厚みが薄くなることによりネット組織の密度が他の部位よりも密になり、剛性が高くなっており、これにより、該薄肉部22から端縁15までの本実施形態の端末部21の伸びがそれよりも内側の部位と比較して抑えられることになる。
【0035】
次に、本実施形態においては、薄肉部22と、この薄肉部22から端縁15までの間の部位に、表皮材23を積層し、振動溶着手段によって固着する。これにより、表皮材23が固着された部位の剛性がさらに高くなる。なお、剛性をより高めるため、及び形状のバランスを保つためには、図8に示したように、該表皮材23は、表面メッシュ層11側と裏面メッシュ層12側の両面に固着することが好ましい。また、表皮材23としては上記第3の実施形態と同様に、ネット材10と同質の材料からなるものを用いることが好ましい。
【0036】
薄肉部22を形成すると共に、表皮材23を固着したならば、次に、カバー部材30を装着する。このカバー部材30は、中空の断面略四角形に形成されていると共に、一側端面にスリット31が形成されており、対向するスリット形成端31a,31bにより薄肉部22を両面から挟持し、かつ該薄肉部22から端縁15までの部位を中空部32内に収容するようにして装着する。この場合も、スリット形成端31a,31bが当接する薄肉部22は、振動溶着によりその表面が滑らかになっており、カバー部材30をスライド挿入するのが容易である。
【0037】
なお、カバー部材30を装着するに当たって、上記の表皮材23は必ずしも必須ではないが、端末部21の剛性を高め、その伸びを抑制するという観点からは、上記のように表皮材23を積層して固着することが好ましい。
【0038】
また、さらに剛性を高めるためには、図9(a),(b)に示したように、ネット材10を形成する際に、この端末部21に相当する部位について、ネット組織の密度が予め密となるように編んでおくことが好ましい。
【0039】
端末部21に相当する部位のネット組織の密度が密となるように編み込む手段としては種々の手段が考えられるが、例えば、パイル13の表面メッシュ層11及び裏面メッシュ層12に対する編み込み間隔を、該端末部21より内側における編み込み間隔よりも小さくして隣接するパイル13間の間隔を短くする手段、表面メッシュ層11及び/又は裏面メッシュ層12のメッシュの大きさが端末部21に相当する部位のみ小さくなるように編み込む手段、端末部21に相当する表面メッシュ層11、裏面メッシュ層12及び/又はパイル13を形成する繊維(モノフィラメント)の太さを太くする手段、端末部21に相当する表面メッシュ層11、裏面メッシュ層12及び/又はパイル13を糸(多層又は撚り繊維)から形成する手段、又は、これらの手段を適宜に組み合わせて行う手段等が挙げられる。
【0040】
図10〜図14は、本発明の第5の実施形態を説明するための図であり、化粧部材であるカバー部材30を射出成形により、端末部21に一体化させて形成した構造である。
【0041】
具体的には、図10に示したように、まず、端縁15から内側に向かって所定幅の部位である端末部21を上記実施形態と同様に振動溶着により厚みを薄くしてネット組織を密にし、剛性を高める。次に、該端末部21の表面を振動溶着により表皮材23で被覆する。表皮材23で被覆することにより、射出成形の際、端末部21の間隙に射出圧によって合成樹脂が入り込むことが防止される。また、端末部21及び表皮材23の弾性により型のクリアランスのばらつきに伴う合成樹脂の漏れを防止することができる。
【0042】
次に、この端末部21を図示しない金型にセットして、射出成形する。この結果、成形されたカバー部材30は、端末部21と一体化しているため、上記のように押出成形等により予め成形されたカバー部材30を端末部21に装着する場合と比較して外れにくくなる。
【0043】
なお、このように射出成形により成形されるカバー部材30をより外れにくくするために、図11で示したように、表皮材23として起毛部を有するものを用い、一部の起毛部23dを起毛させた状態で残して振動溶着することが好ましい。また、図11では、起毛部23dを端末部21の片面のみに残しているが、図12〜図14に示したように、端末部21の両面に残す構成とすることもできる。すなわち、図12及び図13に示したように、まず、端末部21を振動溶着により薄く加工してネット組織の密度を密にし、この端末部21に表皮材23を積層する。次に、この表皮材23を端末部21の両面においてその略中央部を除き振動溶着する。これにより、起毛部23dが両面に残った状態で表皮材23が固着される。そして、図14に示したように、金型にセットして射出成形によりカバー部材30を形成すると、起毛部23dが端末部21の両面に残っているため、より強固に接合することになる。
【0044】
なお、本発明のネット材の端末部処理方法は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、図6、図8、図9、図10及び図14に示したカバー部材30の形状は、あくまで例示であり、これら以外の形状とすることはもちろん可能である。また、端末部21を構成する部位について、ネット材10を編む際に予め当該部位のネット組織が密になるように編み込んでおくことを、上記説明では第4の実施形態においてのみ説明しているが、他の実施形態においてかかる手段を採用して端末部21の剛性をより高くすることも可能である。
【0045】
【発明の効果】
本発明の三次元構造のネット材の端末部処理方法は、振動溶着手段を用いて処理する工程を有するため、従来のように縫製作業をする必要がなくなり、端末部の処理作業が容易となる。また、端末部を振動溶着手段により薄く加工してネット組織の密度を密にしたり、振動溶着手段によって表皮材を固着したりする工程を有することにより、端末部の剛性を高め、端末部の不要な伸びを抑えることができる。このため、端末部の伸びによりフレーム等への取り付け性を損なうという問題を解消することができる。また、端末部にカバー部材を装着して処理するに当たっては、カバー部材と接する面が振動溶着によって滑らかになり、振動溶着する前と比較して摩擦係数が低減されるため、カバー部材をスムースに装着できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の処理対象となるネット材を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示したネット材の表面メッシュ層を示す拡大図である。
【図3】図3は、図1に示したネット材の裏面メッシュ層を示す拡大図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態にかかる端末部処理方法を説明するためのネット材の一部を示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施形態にかかる端末部処理方法を説明するためのネット材の一部を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施形態にかかる端末部処理方法を説明するためのネット材の一部を示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の第3の実施形態にかかる端末部処理方法を説明するためのネット材の一部を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明の第4の実施形態にかかる端末部処理方法を説明するためのネット材の一部を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の第4の実施形態にかかる端末部処理方法の好ましい態様を示す図であり、(a)は端末処理を施す前のネット材の一部を示す断面図であり、(b)は端末処理を施した後のネット材の一部を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の第5の実施形態にかかる端末部処理方法を説明するためのネット材の一部を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の第5の実施形態にかかる端末部処理方法において表皮材を固着した状態を示すネット材の一部断面図である。
【図12】図12は、本発明の第5の実施形態にかかる端末部処理方法において表皮材を固着した状態を示すネット材の一部斜視図である。
【図13】図13は、本発明の第5の実施形態にかかる端末部処理方法の好ましい態様を示す図であり、表皮材を固着した状態におけるネット材の一部断面図である。
【図14】図14は、本発明の第5の実施形態にかかる端末部処理方法の好ましい態様を示す図であり、カバー部材を形成した状態におけるネット材の一部断面図である。
【符号の説明】
10 ネット材
11 表面メッシュ層
12 裏面メッシュ層
13 パイル
15 端縁
16 折り返し面
17 対向面
18 固着部位
21 端末部
22 薄肉部
23 表皮材
30 カバー部材
31 スリット
Claims (8)
- 熱可塑性樹脂からなり、表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、該表面メッシュ層と裏面メッシュ層とが多数のパイルで結合されて構成された三次元構造のネット材の端末部処理方法であって、端縁を内側に向かって折り返し、その折り返し面と該折り返し面に対向する対向面とを、折り曲げ部よりも内方に間隔をおいた位置で振動溶着手段によって固着した後、長手方向に沿ったスリットを有する中空のカバー部材を、そのスリット形成端間で該固着部位を挟持するように配設することを特徴とするネット材の端末部処理方法。
- 請求項1記載のネット材の端末部処理方法であって、前記端縁を内側に向かって折り返す工程から前記カバー部材を装着するまでの間の任意の工程において、前記折り返し面とその対向面との間に形状保持用の芯材を配置する工程を有することを特徴とするネット材の端末部処理方法。
- 熱可塑性樹脂からなり、表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、該表面メッシュ層と裏面メッシュ層とが多数のパイルで結合されて構成された三次元構造のネット材の端末部処理方法であって、端末部を振動溶着手段によって厚みが薄くなるように加工してネット組織の密度を密にする工程を経た後、該端末部の少なくとも片面に該端末部の幅よりも幅広の表皮材を積層し、該表皮材の端縁をネット材の端縁に沿わせ、展開した状態で振動溶着手段によって振動溶着した後、端縁付近よりも内側にはみ出した部分を折り返してさらに振動溶着手段によって振動溶着して、該表皮材を前記端末部に固着することを特徴とするネット材の端末部処理方法。
- 熱可塑性樹脂からなり、表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、該表面メッシュ層と裏面メッシュ層とが多数のパイルで結合されて構成された三次元構造のネット材の端末部処理方法であって、端縁から内側に向かって間隔をおいた部位を、振動溶着手段によって厚みが薄くなるように溝状に加工してネット組織の密度を密にする工程と、長手方向に沿ったスリットを有する中空のカバー部材を、そのスリット形成端間で前記工程により薄く加工した部位を挟持するように配設することを特徴とするネット材の端末部処理方法。
- 請求項4記載のネット材の端末部処理方法であって、端縁から内側に向かって間隔をおいた部位を、振動溶着手段によって厚みが薄くなるように溝状に加工してネット組織の密度を密にする前記工程を経た後、該工程によって薄く加工した部位から端縁までの間の部位に振動溶着手段によって表皮材を固着し、しかる後、前記カバー部材を配設することを特徴とするネット材の端末部処理方法。
- 請求項4又は5記載のネット材の端末部処理方法であって、前記工程によって薄く加工される部位から端縁までの間のネット組織の密度が、それより内側の部位よりも予め密に形成されていることを特徴とするネット材の端末部処理方法。
- 熱可塑性樹脂からなり、表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、該表面メッシュ層と裏面メッシュ層とが多数のパイルで結合されて構成された三次元構造のネット材の端末部処理方法であって、端縁から内側に向かって所定幅の部位である端末部を、振動溶着手段によって厚みが薄くなるように加工してネット組織の密度を密にする工程と、該端末部に表皮材を積層し、該表皮材を前記端末部に対して振動溶着手段によって固着する工程と、前記工程により固着された表皮材上に射出成形によってカバー部材を形成する工程とを具備することを特徴とするネット材の端末部処理方法。
- 請求項7記載のネット材の端末部処理方法であって、前記表皮材として起毛部を備えたものを用い、一部の起毛部をつぶさずに起毛させたまま該表皮材を振動溶着手段によって固着することを特徴とするネット材の端末部処理方法。
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