JP2006348455A - 車両等のシート材 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の発泡ポリウレタンフォーム等の貼りあわせをなくし、一体構造としてクッション性,スプリング性,ファブリック性に優れた車両等のシート材を提供する。
【解決手段】所要間隔を隔てて表裏夫々列をなして長さ方向に延びる並列された多数の編目列からなる編地1,2と、該表裏編地間において両編目列を連結する多数の連結糸からなる編地構造体であり、該編地構造体の表面側編地を構成する編組織等を限定すると共に連結糸による筬の運動を表面側編地の外側の組織に組み合わせてニードルループの形状を変形させることにより表面の起毛6を均一にしてファブリック性を有し、かつ必要に応じ該編目構造体の裏面側編地2には直交方向に多数の緯糸4を挿入することによってスプリング性を有し、また該編地構造体の表裏の編目列を連結する糸は弾性回復性に優れた強度大なるモノフィラメントを用い、ファッション性を高める。
【選択図】 図1
【解決手段】所要間隔を隔てて表裏夫々列をなして長さ方向に延びる並列された多数の編目列からなる編地1,2と、該表裏編地間において両編目列を連結する多数の連結糸からなる編地構造体であり、該編地構造体の表面側編地を構成する編組織等を限定すると共に連結糸による筬の運動を表面側編地の外側の組織に組み合わせてニードルループの形状を変形させることにより表面の起毛6を均一にしてファブリック性を有し、かつ必要に応じ該編目構造体の裏面側編地2には直交方向に多数の緯糸4を挿入することによってスプリング性を有し、また該編地構造体の表裏の編目列を連結する糸は弾性回復性に優れた強度大なるモノフィラメントを用い、ファッション性を高める。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自動車,電車等の車両用座席を始め、応接椅子等に用いられるシート材に係り、特にクッション性を付与するために従来用いられているポリウレタンフォームを使用せずにクッション性,ファッション性,スプリング性に優れた座席シート材に関するものである。
従来、自動車,電車等の座席シート材を始め、各種椅子等のシート材は、織物のモケット地、通常の織物地、起毛地や一部にダブルラッセル機を用いて編成した経編地をセンターカットした起毛経編地等が用いられてきたが、これらは通常、厚さが薄く、クッション性に欠けるところから、発泡ポリウレタンフォームなどの発泡材と表面にファブリック、裏面にスプリング材を貼り合わせるのが一般的であった。殊に経編地の場合は強度も劣り、生地の厚さも限界があって発泡ポリウレタンフォームやスプリング材との貼り合わせは避けられなかった。しかし、上記の如く発泡ポリウレタンフォームを貼り合わせたものは廃棄焼却に際し有毒ガスが発生するなど、環境問題を有している。そこで発泡ポリウレタンフォームを用いず、三層立体構造のシート材を両面丸編地により作成することが提案されている。(例えば特許文献1参照)
このシート材は、表地糸、裏地糸、該表地糸と裏地糸とを接結するつなぎ糸を有する三層構造が形成され、つなぎ糸が表地糸、裏地糸のニット編目内側へ交互にタック編にて六角形状となるようにて接結された編地であるが、編針フック形状,カムの形状など装置面の改良が必要で、生産上、難があった。
このシート材は、表地糸、裏地糸、該表地糸と裏地糸とを接結するつなぎ糸を有する三層構造が形成され、つなぎ糸が表地糸、裏地糸のニット編目内側へ交互にタック編にて六角形状となるようにて接結された編地であるが、編針フック形状,カムの形状など装置面の改良が必要で、生産上、難があった。
そこで、近時、車両用シート材としてダブルラッセル編物が作られ、表面地組織、裏面地組織及びそれら両地組織の間隙を形成する連結糸からなり、表面地組織の表面が立毛化されている四層立体構造のダブルラッセル立体編物(例えば特許文献2参照。)や、相対する2枚の基布と、該基布を連結編成してなる連結糸よりなる二面式経編地において、少なくとも一方の基布を少なくとも2種の編組織の地糸の組み合わせにより構成し、1種の地糸を除く他の地糸のオーバーラップ方向と除かれた上記地糸と連結糸のオーバーラップとを逆方向とすると共に、他の地糸をオーバーフィードに設定して編成し、該地糸を外方に膨出させ起毛面としたダブルラッセル編が提案されている(例えば特許文献3参照。)。
特開2001−214346号公報
特開平10−325056号公報
特許第3136342号公報
しかし、上記各提案に係る表面起毛した四層立体構造のダブルラッセル立体編物及び一方の基布を構成する2種地糸のうち、内側の地糸及び連結糸を外側の地糸に対しオーバーラップ方向を逆方向にすると共に、外側の地糸をオーバーフィードとし、該糸のニードルループを外方に膨出させたものはクッション性,通気性等の点では優れた面があるが、表皮シート材として本来の持ち味である素材感の表現力において劣ると共に、起毛用の膨出が不均一であって、シートの外観と感触に難を有している。
本発明は、上述の如き実状に対処し、既存のダブルラッセル機を使用し、編組織の限定と、糸素材,糸量等の組み合わせにより、ニードルループ形状を従来の形より変形表現させ、表皮シート材として起毛を均一にし、本来の持ち味である優れた外観と触感を有する車両等のシート材を提供することを目的とするものである。
即ち、上記目的に適合する請求項1に記載の発明は、表面側編地と、裏面側編地及び両編地を間隙を形成して連結する連結糸からなるダブルラッセル立体編地であって、前記表面側編地は、1番外側の編組織が開き目で2針振り以上のアンダーラップで形成され、その内側の編組織は前記外側の編組織に対し1針振り以上でオーバーラップは逆掛け、アンダーラップは逆方向で形成され、更にその内側の連結糸の縞組織は1番外側の編組織に対して2針振り以上でオーバーラップは逆掛け、アンダーラップは同方向で形成されると共に、前記表裏の編地を連結する糸は弾性回復に優れた強度大なる合成モノフィラメントが用いられ、かつ表面側編地には起毛が施されてなることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、裏面側の編地の編目列に、該編目列に直交して多数の緯糸が挿入されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、連結糸が、ポリアミド,ポリテリメチレンテレフタレート,ポリエステルの各モノフィラメントから選ばれた1種のモノフィラメントであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、シートの厚みが3〜10mm、好ましくは5〜8mmであることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、従来のニードルループ形状から脱皮し表面側は本来表皮材がもつ外観及び触感を有すると共に、起毛が均一となって美麗であり、かつ弾性回復性にすぐれ、強度大なる連結糸の使用と合わせて、クッション性,スプリング性にも優れており、発泡ポリウレタンフォームを使用することなく環境管理下におけるシート材として頗る有用性に富む効果を有している。
また、連結糸を組み合わせ、一番外側の組織に対して2針振り以上でオーバーラップは逆掛け、アンダーラップは同方向とする、即ち、地糸のニードルループを変形させるにはアンダーラップの方向を組み合わせることと糸量バランスとにより左右へ方向性移動の作用で変形させることであり、これによって従来のニードルループ形状、いわゆる「メリヤスシャツ地」調の表現から脱皮し、表皮材として充分な外観,触感を得ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、裏面側の編地の編目列に、該編目列に直交して多数の緯糸が挿入されているため、スプリング性にも優れており、発泡ポリウレタンフォームを使用することなく環境管理下におけるシート材として頗る有用性に富む効果を有している。
請求項3に記載の発明によれば、連結糸が、ポリアミド,ポリテリメチレンテレフタレート,ポリエステルの各モノフィラメントから選ばれた1種のモノフィラメントであるため、弾性回復性に優れると共にファッション性を高めることができる。
請求項4に記載の発明によれば、シートの厚みが3〜10mm、好ましくは5〜8mmであるため、クッション性に優れ、座ったときの違和感が生じないことになる。
既存のダブルラッセル機を使用し、編組織の限定と、糸素材,糸量等の組み合わせにより、ニードルループ形状を従来の形より変形表現させ、表皮シート材として起毛を均一にし、本来の持ち味である優れた外観と触感を有する立体編物である車両等のシート材を提供するため、表面側編地と、裏面側編地及び両編地を間隙を形成して連結する連結糸からなるダブルラッセル立体編地であって、前記表面側編地は、1番外側の編組織が開き目で2針振り以上のアンダーラップで形成され、その内側の編組織は前記外側の編組織に対し1針振り以上でオーバーラップは逆掛け、アンダーラップは逆方向で形成され、更にその内側の連結糸の縞組織は1番外側の編組織に対して2針振り以上でオーバーラップは逆掛け、アンダーラップは同方向で形成されると共に、前記表裏の編地を連結する糸は弾性回復に優れた強度大なる合成モノフィラメントが用いられ、かつ表面側編地には起毛が施されてなることで、実現した。
図1〜図4は、本発明の一実施例を示す図である。
図1はこの実施例に係るシート材の一部を示す表面図、図2はその断面拡大図であり、図1及び図2において符号1,2は、適宜、所要の間隔を隔てて表裏、夫々長さ方向に編成されて延びる編目列3により形成された表裏の編地であり、その表面側編地には起毛6が施され、一方、裏面側の編目3には、その1例として略直交する方向に適宜、緯糸4が挿入されている。符号5は上記表裏の編地1,2における相対する編目列3間の互いに対向するループ間で交互にジグザグに係合して該表裏の編目列3を連結する連結糸である。そして、この実施例のシート材は、これら編目列3の編成と、緯糸4の挿入ならびに連結糸5による連結が図3に示す緯糸挿入装置付ダブルラッセル機を利用して図4に示す筬の動きで一体に編成された表糸層,裏糸層,連結糸層の三層一体の編物構造体を形成している。
即ち、上記ダブルラッセル機において、表面側F(フロント側)のニードル列を形成する筬L1,L2と・裏面側B(バック側)のニードル列を形成する筬L5,L6で夫々表裏の編目列を編成しつつ適宜、必要に応じ裏面側には緯糸を挿入して、表裏の編地を形成する一方、表裏の上記編目列間において、適宜、筬L3,L4によりジグザグ位置の互いに対向す対する編目列を連結糸により結接連結して上記三層一体の編地構造体が得られる。
この構造体は、X−Y軸方向の平面的編地1及び2と、両編地1,2を連結するZ軸方向の連結糸5による三軸構成を有して、三次元一体の構造を形成している、そして、この編地はその編成具合によって編地間の厚みや、幅,長さを適宜、調整が可能であり、任意にコントロールできる有利さを有している。
しかして、この実施例のシート材は、上記ダブルラッセル機による編地構造体の形成において、特にその編組織を限定し、表面側に立毛する起毛を均一化せしめた点に特徴を有するものである。
図4は、上記ダブルラッセル機により編成される組織の1例を示しており、ダブルニードル列経編機において、図3における筬L1,L2により表面側編地1を形成し、筬L5,L6により裏面側編地2を形成し、該表裏編地を連結する筬L3,L4の連結糸5によって立体編物が構成される。
そして、表面側編地を構成する筬L1,L2と連結糸の筬L3,L4の編組織において、図4の如く筬L1の編成組織は2針振り以上のアンダーラップで形成され、図では3針振りの開き目とする。
次に、筬L2の編成組織は、図4の如く筬L1の編成組織に対して1針振り以上で、オーバーラップは逆掛かりでアンダーラップは逆方向となる開き目とする。
ここで、この実施例のポイントは、上記筬L1,L2の編組織の組み合わせに対しての連結糸の筬L3,L4運動である。
即ち、筬L3,L4の編組織における運動は、図4に示す例として筬L1に対して2針振り以上で筬L1のオーバーラップに対して逆掛かりでアンダーラップ方向は同方向の編組織となっている。そして、その動きは筬L2に対しても限定する必要があり、筬L3,L4の運動は筬L2に対して2針以上で、筬L2のオーバーラップに対して正掛けで、アンダーラップ方向は逆方向の組織となっている。これによって表面側の起毛される糸は均一に確保され、均一な起毛を可能とすることが出来る。
なお、裏面側編地2は上記の表面側編地1の筬L1,L2による編組織の基本を採用するが、起毛等加工処理を実施する場合は上記編組織に限ることなく、それ以外の編地でも満足するものであれば採用可能であり、限定されるものではない。
上記編地において、表面側及び裏面側の編地1,2を形成する糸と、挿入緯糸4及び連結糸5に用いる糸素材は、適宜選択可能であり、綿などの天然繊維の外、ナイロン,アラミド,ポリエステル,ポリアクリル系合成繊維などが使用可能であり、特に表裏の編目編成糸としては一般的にポリエステル糸の使用が好適である。しかし、一方、連結糸としては強度があり、弾性回復性に優れている糸が好適である。
この種の糸としては、例えば、芳香族ポリアミド,ポリテリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸の如きものが挙げられる。なお、前記編目形成糸、緯糸はモノフィラメント糸に限らず、マルチフィラメント糸でもよいが、マルチフィラメント糸や集束糸は、以後の表面起毛に有利であり、編地面の劣化を少なくする。また、連結糸はモノフィラメント,マルチフィラメントあるいは集束糸も使用可能であるが、弾性回復機能,強度面よりしてモノフィラメントの使用が有効であり、とりわけ可及的多数のモノフィラメントによる集束状態で連結糸層を形成することはクッション性,スプリング性を高める上から効果的である。そして、これら各糸の太さは、特に大,細を問わないが、シート材としてファブリツク性を高めるために表面の起毛外観を形成するには、これに見合う太さが適当であり、通常120〜200デニール前後、好ましくは150デニール前後が用いられる。
また、前記編地の形成にあたって、特に1番外側の筬L1による表面側編目を前述のように起毛するためには張力を可及的低張力とし、無緊張状態下で編地の糸量を通常の編地に比し多量使用するようにすることが好ましく、従って、目付を1000g/m2以上、好ましくは1250g/m2程度とすることが好適である。但し、表面起毛面の筬2枚分の重量としては300g/m2位であり、通常150g/m2位である。
更に、連結糸についても使用する糸量が多いことは、構造体としての圧縮弾性回復性を良好にし、クッション性,スプリング性を良くする上で効果的であるが、特に多くすることは必要でない。この場合、シート材の厚さとしては3〜10mm、特に5〜8mm程度が好ましいことは前述の通りである。
ここで糸量は単位当たりの糸の量であり、必らずしも糸の本数に限らず、単位当たりの糸の重量も考えられるが、糸の太さとの関係があり、全体としてシート材に適した糸の太さ,目付,糸の密度が選択されることは云うまでもない。
前記実施例に説明したシート材は、主として自動車,電車等の車両用に用いて好適であるが、家庭内の椅子あるいは建屋内の応援セットを始め、座席シート材としても利用することができる。
1 表面側編地
2 裏面側編地
3 盗掘目列
4 緯糸
5 連結糸
6 起毛
2 裏面側編地
3 盗掘目列
4 緯糸
5 連結糸
6 起毛
Claims (4)
- 表面側編地と、裏面側編地及び両編地を間隙を形成して連結する連結糸からなるダブルラッセル立体編地であって、
前記表面側編地は、1番外側の編組織が開き目で2針振り以上のアンダーラップで形成され、その内側の編組織は前記外側の編組織に対し1針振り以上でオーバーラップは逆掛け、アンダーラップは逆方向で形成され、更にその内側の連結糸の縞組織は1番外側の編組織に対して2針振り以上でオーバーラップは逆掛け、アンダーラップは同方向で形成されると共に、前記表裏の編地を連結する糸は弾性回復に優れた強度大なる合成モノフィラメントが用いられ、かつ表面側編地には起毛が施されてなることを特徴とする車両等のシート材。 - 裏面側の編地の編目列に、該編目列に直交して多数の緯糸が挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の車両等のシート材。
- 連結糸が、ポリアミド,ポリテリメチレンテレフタレート,ポリエステルの各モノフィラメントから選ばれた1種のモノフィラメントであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両等のシート材。
- シートの厚みが3〜10mm、好ましくは5〜8mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車両等のシート材。
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JP2005225680A JP2006348455A (ja) | 2005-08-03 | 2005-08-03 | 車両等のシート材 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010043386A (ja) * | 2008-08-15 | 2010-02-25 | Asahi Kasei Fibers Corp | 布バネ用布帛 |
JP2013087401A (ja) * | 2011-10-21 | 2013-05-13 | Seiren Co Ltd | 起毛立体経編地 |
JP2016013174A (ja) * | 2014-06-30 | 2016-01-28 | 株式会社ユニチカテクノス | 靴の中物 |
JP2016125157A (ja) * | 2014-12-26 | 2016-07-11 | 共和レザー株式会社 | 表皮材及び表皮材の製造方法 |
-
2005
- 2005-08-03 JP JP2005225680A patent/JP2006348455A/ja active Pending
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